映画『炎上』の口コミ・レビュー

炎上

[エンジョウ]
1958年上映時間:99分
平均点:6.88 / 10(Review 25人) (点数分布表示)
公開開始日(1958-08-19)
ドラマモノクロ映画犯罪もの青春もの実話もの小説の映画化
新規登録(2003-11-12)【へちょちょ】さん
タイトル情報更新(2025-03-19)【Olias】さん
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監督市川崑
助監督田中徳三
キャスト市川雷蔵(男優)溝口吾市
中村鴈治郎(二代目)(男優)田山道詮老師
仲代達矢(男優)戸苅
舟木洋一(男優)鶴川
新珠三千代(女優)お花の師匠
中村玉緒(女優)五番町の女
浦路洋子(女優)洋館の女
北林谷栄(女優)溝口あき
浜村純(男優)溝口承道
信欣三(男優)副司
水原浩一(男優)検事
小林加奈枝(女優)宿の内儀
小柳圭子(女優)街の女
香川良介(男優)桑井禅海
上田寛(男優)背広の男
志摩靖彦(男優)刑事部長
伊達三郎(男優)護送する刑事A
寺島雄作(男優)護送する刑事B
原作三島由紀夫「金閣寺」
脚本和田夏十
長谷部慶治
音楽黛敏郎
撮影宮川一夫
製作永田雅一
企画藤井浩明
配給大映
美術西岡善信
加藤茂(美術助手)
編集西田重雄
録音大角正夫
照明岡本健一[照明]
美間博(照明助手)
あらすじ
僻地の寺の跡継ぎに生まれた溝口吾市は父の縁故で国宝建造物を擁する驟閣寺の小僧となって仏教大学に進学するが、病死した父を裏切った母との確執に悩み、世知に長けた住職や純真な同輩の鶴川と生来の吃りで醜い自分を比較するうちに国宝の驟閣寺御堂に永遠の美を見出す。誰もが戦後の無気力の中で生きる道を模索する中、吾市は虚無的で毒舌家の同級生戸苅に感化され、学業を放棄して学費を女遊びに使い込み家出を試みるなど放蕩にのめりこむが、その過程である確信に到達する。「驟閣寺御堂を破壊しなければならない。」
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💬口コミ一覧

25.三島由紀夫の代表作「金閣寺」の映画化。舞鶴の貧しい寺の子として育った吃音で劣等感が強く内向的な青年吾市が彼にとっての美の象徴である「驟閣」こと「金閣」に放火し消失させるに至った経緯を描いている。当時二枚目時代劇俳優として売出し中だった市川雷蔵が吾市を演じることに大映は猛反対したらしいが、結果として彼の演技が認められる作品となった。私にとっても雷蔵と言えば眠狂四郎だったが、この映画を見て初めて「市川雷蔵」と言う人の個性を強く感じた。大人の世界の汚さと、自分自身ももはや無垢ではないという事に対する嫌悪感。強い劣等感とそれに匹敵する程の強い自尊心。セリフが少ない本作だがそんな10代の複雑な心理がよく表現されている。宮川一夫の映像がまた素晴らしく、市川崑にはやっぱ宮川一夫だなとつくづく思った。へちょちょ星人さん登録ご苦労さまです。つたない文章で先に書いてしまいました。スミマセンです。
黒猫クロマティさん 8点(2003-12-04 12:21:12)
24.重い作品ですが、何度も見てしまいました(ビデオ)
監督は当初、主役に川口浩を考えていたそうですが、市川雷蔵で正解です 彼のはじめての現代ものですが、表現力のある人だとおもいました 中村鴈治郎もいやらしい感じがうまく出せてると思うし、当時彼は大根といわれていたそうですが、これで大根なら昨今の役者は…
圧巻はラストの炎上シーンですね 木立の向こうに火の粉が舞い上がる美しさは筆舌に尽くしがたいものがありました 日本海の厳しく、わびしい雰囲気もよく表現されていたし、宮川一夫って凄い人だな
宵待草さん 10点(2004-01-31 08:45:41)
23.10代の時に原作の「金閣寺」を読み、その心情の全てを吐露し抉り出すような文章に圧倒され、日本語はこんなにも美しく深くグロテスクなのか、という畏怖に似た感情を抱いたのを憶えている。言葉は時には心を凌駕することもあるのかも知れない、そう思った小説の1つでした。しかしあまりにも観念的に過ぎ、しかも私の読解力が呆れるほど痛い為、主人公の内面世界の外の状況が客観的に分からなかった(記憶がある…私だけかな?)。そしてこの映画化作品を観た時にやっと理解した。こういう状況だったんですね。小説と映画の両方に接することをお勧めしたい作品です。どちらも強烈な美意識に溢れています。「滅して初めて完成される」、それは仏教観念の1つなのです。
ひのとさん 8点(2004-04-02 13:53:14)
22.火の粉の舞のシーンは圧巻、すごくきれいで、もう少し観たかった。私の勝手な「金閣寺」のイメージからすると呉市がまだ優しすぎるし、偏愛ぶりも足りない気がする。私的には仲代の方が狂気さがあって良いのだが、市川雷蔵もコレはコレで良いし、上手い。中村鴈治郎はもっと鴈治郎一家のDNAに刻まれたスケベさ、いやらしさを出して欲しかった。出演者がみな京都の役者さん達ばかりなんでしょうか、言葉も自然で演技が上手いです(鴈治郎除く)。
亜流派 十五郎さん 7点(2004-05-04 13:42:41)
21.仲代がホントに憎たらしい。こんな憎たらしい奴おるんかってぐらい憎たらしい。
だけど、そういう仲代がちょっと好きだったりする。
夏目さん 5点(2004-06-29 09:50:01)
20.ネタバレ 市川崑監督が三島由紀夫の「金閣寺」を映画化した作品で、主演は市川監督たっての希望でこれが現代劇初出演となる市川雷蔵がつとめている。25年前にはじめて見た時は雷蔵の出演している映画を見るのも初めてだったのだが、本当に時代劇スターなのかと思うほどに主人公である溝口になりきっていてビックリしたのだが、ほかの映画での雷蔵を見慣れた今になって久しぶりに見てもやっぱりうまく、自身の吃音に劣等感を持ちながら、金閣寺(本作では名前は変えられているが。)の美しさを絶対のものと信じる溝口の複雑な内面をスターのオーラを捨てて見事に演じていて、素晴らしく、演技派としての魅力がじゅうぶんに感じられ、間違いなく代表作の一本だ。黛敏郎の音楽が異様にマッチしていて、そのせいか全体的な雰囲気も独特なのだが、それも強烈な印象を残している。溝口の大学の友人である戸苅(仲代達矢)が足に障害を持ちながら、溝口とは逆に俗物的な描かれ方をしているのが印象深く、演じている仲代達矢の憎たらしさやその存在感も圧倒的だった。溝口が立派な人だと慕っていた和尚(中村鴈治郎)が後になって女遊びをするなど変わってしまうのだが、ちゃんとその和尚が自身の行為について苦悩するのを見せていたところも良かった。クライマックスの溝口の放火によって炎上する寺が非常に美しく撮られていて、圧巻で、まさに名シーンと言え、撮影の宮川一夫の手腕もそうだが、会社側からカラーで寺の美しさを描いてほしいという要求を突っぱねてあえて白黒を使ったという市川監督の意図もここにあるのではないかと感じる。(2024年12月30日更新)
イニシャルKさん [DVD(邦画)] 9点(2005-03-02 01:02:58)
19.普通の監督だったら、代表作になっていると思う。
みんな嫌いさん [CS・衛星(邦画)] 7点(2006-12-10 21:05:20)
18.ネタバレ レンタルリリースになったので早速、観ました。主人公の「家庭問題」「どもり」など内面的な面をシッカリと映像化されているのは上手い。監督もカメラも雷蔵もすごい。仲代は原作のイメージより顔が二枚目すぎるだろうぉ・・と思ったが演技は上手いわ。「春の雪」を観て原作を再読する気にはさらさらなれなかったが(ふざけんなよ~プンプン)、これはまた三島の世界を確認したくなる映画だ。それだけ三島の世界に近づくことに成功しているということなんだろうか?
グレースさん [DVD(邦画)] 7点(2007-09-22 14:28:05)
17.三島由紀夫の有名な原作を市川崑監督が演出したことで有名なこの映画、かなりの評価も解ることは解る。しかし、個人的には市川崑監督というと、私は喜劇の方が好きですし、文芸作品なら「ビルマの竪琴」勿論、最初のです。が一番だと思ってます。市川雷蔵の演技も素晴らしいし、宮川一夫のカメラ、撮影は相変わらず素晴らしい。特に金閣寺が炎上していく場面におけるあの映像は宮川一夫カメラマンにしか撮れない美しさと力強さを感じる。それでも話としての暗さがどうも気になって仕方ない。好みの問題という意味でこの点数ですが、一人の人間の心の中に潜んでいる闇、悪、心の葛藤など様々なものをきちんと映画化している所は流石は市川崑監督です。
青観さん [DVD(邦画)] 6点(2007-12-16 09:28:38)
16.いまいち主人公の切羽詰った思いが感じられませんでした。三島文学が好きでないことも、低い点数の原因かもしれません。
くろゆりさん [CS・衛星(邦画)] 5点(2008-02-16 19:50:57)
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15.三島由紀夫原作の「金閣寺」を、監督はじめスタッフ、あるいは俳優が、それぞれ独自の解釈でアプローチしたのではないだろうか。原作と本作は質的にかなり異なるように感じた。しかし、それは悪い意味ではなく、映画ならではのオリジナリティが随所に認められ、良い作品だ。
ジャッカルの目さん [映画館(邦画)] 6点(2008-02-16 23:25:03)
14.やっぱり市川雷蔵と市川崑の組み合わせがイマイチな気がする。
市川雷蔵はカッコいいか、もしくは渋いキャラを演じさせて、初めてその魅力が発揮される俳優だと思っているので、こういう朴訥なキャラを演じさせてしまうと、その魅力が半減してしまう。
暗い作品は嫌いではないが、本作は暗さが退屈さを招き入れてしまっている。
にじばぶさん [CS・衛星(邦画)] 6点(2008-10-13 22:51:35)
13.溝口がなぜ火をつけたのか、そのあたりがはっきりとはわからなかったのですが、これはあえて暗示にとどめたのでしょう。それよりも、現世の煩悩に苦しむ老師や屈折した芦刈と絡ませることで、奥行きのあるドラマを作っています。実際、この2人の方が溝口よりインパクトがありました。あと、中村玉緒も出番は短いのに印象に残っています。物語が細切れでややダレ気味だったのが残念。
アングロファイルさん [地上波(邦画)] 6点(2011-09-01 16:46:36)
12.ネタバレ 主人公溝口の心の闇、いかにして火を放つに至るのか、興味深くて面白かった。はっきりした事は分からないが、鬱積したものを吃音ゆえか外にぶつけられなかったのが一番なのかなと感じた。同時に驟閣が他人に汚されるくらいなら自分の手で終わらせたい、といったような歪んだ愛も見えた。驟閣が激しく燃える場面もいいが、遠くから見つめる火の粉、あの場面も印象深い。俳優陣ではいくつかの賞に輝いた市川雷蔵はもちろんだが、戸苅役仲代達矢も独特の存在感があって良い。新珠三千代がさして重要でない役で出演しているのは意外だった。
リーム555さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-06-19 23:35:06)
11.「新平家物語」でさわやかな好男子としての平清盛を演じた市川雷蔵が醜い吃りの学僧をどうやって演じるのか興味津々で鑑賞しました。さわやかな目鼻立ちなど暗い演技で消えてしまう演技派俳優の面目躍如たるものがあります。原作は何度も読み返しましたが主人公が金閣寺に放火する経緯を明らかに書いたのでは面白味がなくなるし、主人公が破滅に進む経緯が丁寧に再現されていなけれは読む価値がなくなるそのバランスとお語り口がすばらしい作品です。映画のほうも負けてはいません。
かわまりさん [DVD(邦画)] 9点(2013-07-22 07:57:36)
10.三島由紀夫の原作を映画にしたら、これはアリだと思う。いあ、秀逸か。しかし、少し、省かれているような。俳優の起用が大胆ですね。市川崑監督も面白いイメージだ。
minさん [DVD(字幕)] 7点(2013-10-30 20:39:05)
9.ネタバレ 三島由紀夫と市川雷蔵は相性がいいのか?この二人の「剣」も自分にはお気に入りだ。果たして、この作品。原作の「金閣寺」は高校生の頃に読んだが、老婆とのシーンが心に刻み込まれてて、もはやトラウマだった。しかし、この映画では、そのシーンはなかった。まとまった好作品として、完成されてた。観終わると、ほっと安心したような、残念だったような、複雑な気分だ。映画の品は保たれたが、あの作品の毒は薄まってた。でもそれを置いとくと、さすが市川崑。実に映像的に素晴らしい作品を創り上げた。二代目中村鴈治郎と市川雷蔵のコンビは「殺陣師段平」で、強烈だったものだから、嬉しいキャスティングであった。絶望色の濃い内容に、中村のコミカルな存在感は、観てる我々に安心感を与えてくれていた。それにしても金閣寺の名前を使うのは、映画会社の上から、圧力があったのか?この映画では別の寺になってたが、市川崑の映像表現力なら、金閣寺でもうまく創り上げたろうに・・。
トントさん [DVD(邦画)] 8点(2015-04-26 19:32:27)
👍 1
8.Japan SocietyでのKON ICHIKAWA RESTORATIONSと題した2日に渡って3本を上映するミニシリーズにて。

映画に関しては予習をしないポリシーを今回も貫徹するも、上映前のイントロで「三島由紀夫の作品『金閣寺』を原作とする作品であること」、「法曹界の了承を得れなかったのか本作内では『驟閣』といったような実在名を避けて表現されていること」、「三島本人も市川崑の作品を愛好していることを表明していたこと」等々の軽い解説を受けての鑑賞スタート。

開演と同時に感じたのはまだまだ数を観た感じのしない大映ロゴ。そんな大映作品として真っ先に思い浮かんだのは小津安二郎が大映で撮ったリメイク版「浮草」(1959) であったが、製作年をあとで見比べてみて中村鴈治郎がその頃の印象のままでそこに立っていたのに納得がいった。その他のキャストについては…市川雷蔵体験は実はこれが初かも。これからが楽しみ。抜群の安心感の仲代達矢、新珠三千代、北林谷栄に加え玉緒さんがいい感じで登場。ほくほくである。

振り返ってみるとまだまだ市川崑作品は初心者レベル、Film Forumのおかげで数年前に鑑賞できた「細雪」(1983) が唯一の既鑑賞作品であったことを改めて認識する。本作の脚本を監督が妻でもある和田夏十と書くに当たり、あまりにも原作の完成度が高いので作者本人に執筆時のノートを開示してもらうよう依頼して初めて成り立ったという下りを読んでやはり原作にも手を伸ばさざるをえないような感じがした。作風としての類似性としてはATGの「無常」(1970) を思い浮かべたりもした。

あと鑑賞後に元となった史実について読み漁っていて、新聞記者時代に本事件の記事を担当していたシバさんのことがぼんやりと思い起こされてくるのも自分にとっては面白かった次第。
keiさん [映画館(邦画)] 7点(2015-10-19 13:33:53)
7.どう表現したらいいのかわらかないけど、鑑賞中、終始これじゃない感があった。市川雷蔵にこの役は合っていないのではないか、市川崑にこの題材はあまり向いていないのではないか……。一言で言えばハマらなかったということか。仲代達矢の憎たらしい演技と音楽は素晴らしく、これだけのために観るのも悪くない。
カニばさみさん [インターネット(字幕)] 6点(2016-02-25 14:17:38)
6.ネタバレ  小説では味わえない映画の魅力の一つとして「音」があります。

 本作においても、作中の関西弁が早口であり、それによって主人公の吃音の「周りと歩調が合わない、取り残された感じ」が際立っていたのが印象深いですね。
 序盤にて主人公が金閣寺(=驟閣寺)に見惚れているシーンで、唐突に音楽が流れだす演出などは「ちょっと分かり易過ぎるかな」とも思いましたが、総じて音楽は秀逸であり、それでいて多用する事は無く、静かな場面の方が多かった事も好印象。

 また、何と言ってもラストにおける、燃える寺の囂々とした焼け音が素晴らしかったですね。
 モノクロ映像ゆえか、それまでは驟閣寺の美しさを感じ取る事が出来なかった中で、炎上するその姿からは、圧倒するような美を感じられました。
 
 原作小説には愛着がある為、柏木(=戸刈)よりも重要な人物であろう鶴川の出番が殆ど無い点。
 そして、主人公が列車から身投げするという結末も、原作の「生きようと私は思った」という前向きな姿勢とは全く正反対である点などは、正直抵抗もあったりするのですが、そういった先入観を排し、一本の映画として観賞すれば、充分に楽しめる代物だと思います。

 主演の市川雷蔵は、相変わらず惚れ惚れするような演技巧者っぷりだし、彼の悪友を演じる事となる仲代達矢の存在感も素晴らしい。
「あんた、その片端の脚が自慢なんやろ?」
「片端やなかったら、誰一人振り向いてくれる人あらへんもんな」
 なんて痛烈な台詞を吐く新珠三千代の姿も、忘れ難いものがありました。

 原作において、何よりも美しいと感じられたのが、あれほどのドン底に落ち込みながらも、なお生きようとした主人公の最後の姿だった事に対し、本作においては「驟閣寺と心中しようというかのように、刑事を振り払って身投げする主人公」の姿が、非常に醜く描かれているように思える辺りも、何だか興味深い。
 様々な意味で原作小説とは異なる、意図的に対とした結末であるように感じられました。
ゆきさん [DVD(邦画)] 7点(2016-10-29 19:33:55)
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マーク説明
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《更新》:7日以内に更新

【点数情報】

Review人数 25人
平均点数 6.88点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
5312.00%
6728.00%
7936.00%
8312.00%
928.00%
1014.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 6.00点 Review1人
2 ストーリー評価 6.75点 Review4人
3 鑑賞後の後味 6.25点 Review4人
4 音楽評価 6.33点 Review3人
5 感泣評価 5.33点 Review3人

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