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ちゃじじさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 304
性別 男性
自己紹介 つたない文章力で自分なりのレビューを心がけます。映画館で観た作品は自然と評価が高くなりがちです。

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1.  ワイルド・アパッチ 《ネタバレ》 
生身に迫る恐怖を突きつけられ、事後として提示される事で想像を煽られる、アパッチ族による無機質な殺戮シーン。 広大な自然で遠近感を保ったまま繰り広げられる追跡劇。アパッチ族と追撃隊の位置関係を想像する事で、その空間は画面外までも拡がっていく。 その中で、戦う事でしか関わり合う事が出来ない、対話という交渉手段を失った者達。そして倫理を超えた所にある、男という生物が背負った性、業。 男達の意志は、無言あるいは、言葉よりも表情を欠いた「顔」の優位性ゆえに、無方向に揺らぎ、拡散し続ける。その無方向性はサスペンスにもなるだろう。 そして舞台は渓谷へと向かう。ケ・ニ・テイとウルザナの仲間の時間と緊張感が途切れる事がない一騎打ち。二人が出会う場面の舞台設定。 俯瞰の優位性を生かした渓谷での銃撃戦。 どれもが、過剰も不足もなく映し出される。 そして全てが終わった後に残る、叙情性に湿ることがない諦念を携えた徒労感。 観客にはマッキントッシュが息を引き取る瞬間を観るなどという、一人の男に対する敬意を欠いた行動は許されない。只々彼が葉巻を巻く事が出来るかどうかだけを想像し、それを最後まで見届ければいい。それがこの映画を観るという事に対する最低限の節度なのだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2017-12-13 00:47:40)(良:1票)
2.  スター・ウォーズ/フォースの覚醒 《ネタバレ》 
まずテーマ曲と共にオープニングクロールが流れた事、そしてディズニーがシンデレラ城のオープニングロゴを出さなかった心意気、それだけでもう十分満足。 前作までのセルフパロディ、歴史や世代を超えた繋がりを感じさせる数々の場面の踏襲はあげればきりがなく、そのどれもでいちいち涙が出そうになった。 そして今作で前作までと大きく変わったと感じたのは、前作まではアナキンやルークという選ばれし者の物語であったものが、今作はストームトルーパーであるフィン、ダースベイダーの正当な後継者ではないカイロ・レンといった選ばれなかった者達の物語に変化したという事。 そのことにより物語に厚みと深さ、多くの人に対して共感、勇気を与えていると思う。選ばれなかったものたちの物語の中で、特に自分が魅力的に感じたのは、カイロ・レンという人物で、アナキンと比べるとどうしても全ての面で劣っており、劣っている事を自ら感じているゆえの苦悩、どうやっても拭えない小物感、若さゆえの痛々しさには清々しさすら感じたし、愛おしくなってしまった。 スターウォーズという世代を超えた繋がりを感じさせる壮大な物語を現代社会の中で生きるあらゆる人に向けて作った素晴らしい作品だと思った。
[映画館(字幕)] 9点(2016-01-04 23:49:10)(良:1票)
3.  ゴーン・ガール 《ネタバレ》 
普遍的なものである男女関係、もっといえば他者との関係に深く切り込んだ作品。社会、他者からみられている自分(テレビを通してのエイミー像)とあるがままを出した自分(ニックの前での姿)。たいていの人間は虚像に苦しみ苦悩するものであるが、エイミーはそれすら逆手に取りニックに対するそれと同じように世論を支配し手玉にとってしまう。そのすがすがしいまでの本能をむき出しにした姿、人間の業すら支配下においていしまう様には神々しさすら感じてしまう。それと同時に女性に対する畏怖を抱かずにはいられない。 人間の恐ろしさ、異常さと同時に崇高さをも感じさせる傑作だった。
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-13 18:06:32)(良:2票)
4.  ブギーナイツ 《ネタバレ》 
世間的に見れば落伍者の集まり。子供に会わせて貰うことも叶わず、ポルノ映画に関わっているという事で融資を受けることも出来ない。一歩外に出れば後ろ指をさされるような人生。人間的にも真っ当な人間とは決して言えない。 でもそこにはプライドがあり、夢がある。みんな誇りを持って人生を生きている。誰にそれが馬鹿に出来ようか。 それぞれが手にしたものは大きな成功ではなく、ささやかであるが新たな人生の始まりの予感や自分の居場所。でもみんながみんな本当に人生を楽しんでいるように見えた。笑えて、泣けて、ハラハラできて一度に何度もおいしい素晴らしい映画だった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-08 20:22:48)
5.  ファントム・オブ・パラダイス 《ネタバレ》 
自分が愛し魂を注いだもの(音楽、女性、声)は全て奪われ、死ぬ自由すら奪われた。しかし、最後にフェニックスはスワンではなく、醜い姿も行動も全てをさらし、何も残っていないウィンスローを選んだ。愛する人を守り、これほどまでに悲しく美しく幸せな死に際なら人生悪くない、そう思えました。そして自分が求めている愛とか恋はきっとここにあるような気がしました。 エンディングの歌詞も含め、本当に悪趣味で露悪的で最高な熱い映画です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-02-07 20:49:52)
6.  ノーカントリー 《ネタバレ》 
絶対的な力を持つ純粋悪の前では、正義、道徳、情け、懺悔といった当たり前のような価値観は一切通用せず、ただその力に従うしかない。そこにあるのは、身勝手なルールだけ。 自分は、モスがシガーを殺して金を持ち帰るか、保安官の最期の大仕事によって事件が解決するのか、あるいはモスとシガーの直接対決を見せる、という展開を予想しました。しかし物語は、そこまであったお決まりの空気を一気に変え、全く予想しない展開を迎えます。そして全てを終え家に戻った老いた保安官は、自分の無力さを感じ、ただ慰めあう事しかできない。 こんな終わり方はきっとあってはいけない。しかしこの映画はそんな、人に対する、映画に対する、予定調和を一切許さず、自分の中にあるあらゆる物に対する物差しを見事に壊し、現実で起こり得るかもしれない残酷な結果を突きつけてきました。
[DVD(字幕)] 9点(2009-10-27 18:45:47)
7.  サイコ(1960) 《ネタバレ》 
マリオンの横領から始まり幽霊屋敷の真相に至るまでの話の広がり具合や展開、構成は素晴らしいとしか言えません。前半は観客の意識をマリオンの視点に持っていき彼女の気持ちになって4万ドルを持って逃走するスリルを味あわせ、彼女の突然の死後からはその事件の謎解きや幽霊屋敷の真相に意識を集中させる。モノクロの画面や音楽の効果で恐怖感を増大させ、楽しみを種明かしのみにとどめずノーマン・ベイツの異常性を見せることによって彼の今までの人生や行動を観る人に想像させ、さらにそこで怖さやおどろおどろしさを感じさせる。全てが計算し尽くされているような映画で、その凄さに愕然としました。この作品を予備知識一切なしで観ることができた自分の無知さと運の良さに感謝します。
[ビデオ(字幕)] 9点(2008-02-16 10:44:02)
8.  ゾンビ/ディレクターズカット完全版 《ネタバレ》 
怖さはあるけども、ただの悲劇でも単純なスプラッター映画でもなくてショッピングモールでのゾンビ掃討作戦には怖さよりも、面白さを感じました。モール制圧からの好き放題シーンは自分の一度はやってみたい願望を見事に実現していて、多少中だるみを感じたものの戦いの中の一瞬の平穏がうまく出てました。それが壊されていくラストの暴走族の襲撃では緊張感が一気に増して見事に映画の世界に引き込まれました。そう考えると、全体的にうまくメリハリが利いていたと思います。最後は絶望的な展開だったものの、エンディングのコミカルさで心が現実に戻る事ができ、何故か自分が救われた気分になりました。後は、地獄が一杯にならないことをただひたすら祈るのみです。
[ビデオ(字幕)] 9点(2008-01-31 18:32:13)
9.  ミッドナイト・ラン 《ネタバレ》 
レンタル店に行ったら、アクションの棚に置かれていたのに、ふたを開けてみたら中身はコメディタッチのロードムービー。シリアスな内容になってもおかしくない状況なのに、何でだろうと考えてみたら、登場人物全員がどこかヌケていて憎めないキャラクターなのと、音楽、脚本に原因があるのだと結論。しかしそれがたまらなく心地がよくて面白い。派手な演出はないものの、一言一言がウィットに富んでいるセリフと、さりげなくて笑える伏線、ラストのデニーロの絶体絶命な状況からの大逆転や妻に対する未練からの脱却による精神的な成長。どれをとってもすばらしい物があり、見所十分でした。マデューカスとの別れも、余韻を残しつつも、くどくなりすぎていなく、たくさんの言葉を交わさなくても何かを分かり合えた二人を堪能できました。全編を通して、何とも粋でこじゃれた作品でした。
[DVD(字幕)] 9点(2008-01-29 21:16:30)(良:1票)
10.  2001年宇宙の旅
映画の最初に、画面は真っ暗なのに音楽(序曲)だけ流れ始めた時に「テレビかDVDデッキが壊れた!」と思ったのは、自分だけではないはず。てゆうかそうであって欲しいです。そんな事はおいといて、とにかくこの映画には色んな意味で衝撃を受けました。しかも作られたのが40年以上も前だということを知ってさらに衝撃。そして、今まで自分が持っていた映画や宇宙、地球外生命体に対する概念は見事に覆させられました。見終わった後に「宇宙やモノリス」について調べてみたくもなりました。たとえ映画自体の宇宙に対する見解が間違ったものだったとしても、そんな知的好奇心をくすぐってくれたというだけで、この映画の自分に対する影響は大きいものだし、久しぶりに、子供の頃に見たことのない物に出会ったときに感じていた、わくわく感を体験することも出来たし、十分満足です。
[DVD(字幕)] 9点(2008-01-28 04:21:39)
11.  リトル・ミス・サンシャイン 《ネタバレ》 
いつも観る前に期待して観に行った映画は、イマイチだったというのが多いのですが、この映画は期待通り。というかそれ以上でした。全員の登場人物がそれぞれ個性的で、みんな何かしらの問題や悩みを抱えている。いつもは誰にも伝えることのない自分の考えや思いを、旅を通じることによって少しずつさらけ出していく。そのことによって起こる衝突も、突然起こるハプニングも、家族全員で乗り越え壊れかけていた絆が徐々に復活していく様子は、すごく見ごたえがありました。ラストでの家族全員でのダンスシーンは声を出して笑ってしまったし、泣きそうにもなりました。あの姿を見ていたら、この先どんな問題があっても、衝突しながら、喧嘩しながらもこの家族は乗り越えていけるんだろうなぁと感じました。また、台詞ではなく表情で考えていることがわかるところもとてもよかったです。個人的にはフランクの走り方が一番ツボでした
[映画館(字幕)] 9点(2007-02-22 00:04:10)(良:1票)
12.  ハドソン川の奇跡 《ネタバレ》 
これほど、乗り物が道具が自然が、そして人間が有機的に機能、連携し、流動的に姿を変える映画を観た事はない。 映画内でサリーと妻は直接会う事はない。「電話」という手段が文字通り二人の意思疎通を助け、絆を繋ぐというこれ以上にない役割を果たす。 飛行機の不時着の場面。テレビのニュースが現状を映す事で、音声だけでは伝わらない画面としての説得力を、安心を、妻は「テレビ」から得る事ができる。 このテレビと電話の無償の補完関係の美しさ。 報道陣からサリーを守り目的地まで運ぶ「車」の頼もしさ。 飛行機が不時着し、役目を終えてもなお4本の腕で乗客を支える「飛行機」の健気さ。今まで見せた事がない新しい側面。 そこにすかさず、四方から駆けつけ人命を救助する「船」。船では助けられない、川で溺れる人を空から救う「ヘリコプター」。 人間同士の連携はもちろんの事、この乗り物同士の無償の奉仕性、有機的な連携は感動以外のなにものでもない。 そして川、水が人命を助ける場として機能する愛しさ、もっと言えば水が凶暴さを潜める新鮮さ、水が水として機能しないさま、それは映画史への挑戦でもあると思う。 人間同士の爽やかで、柔軟性がある関係性は言うまでもない。 100分にも満たない時間、一見すれば単純にも思えるストーリーラインの中で、これほどまで奥深く濃厚で感動的な映画体験を出来る幸せを感じた。
[DVD(字幕)] 8点(2017-08-16 16:32:57)(良:1票)
13.  昼下りの決斗 《ネタバレ》 
自ら法と秩序と契約に縛られる不自由な男であるジャッド。 彼は見えない物に縛られる事で、西部劇の主人公たる権利も奪われ、その象徴である銃を使う事も許されない。(ライフルは整備が行き届かず発射出来ない) そんな彼の傍らで一人の女性を巡り、何に縛られるでもなく、自由奔放に動き回るハモンド兄弟を代表する若者たち。 自由な若者達と最後に束の間の自由(ラストシーンで始めてジャッドの手で銃が機能する)を手にする不自由な老兵達との対決。 その場面がとてつもなく美しいのは、それが若者達の恋路を老兵が命をかけて守り祝福する事でも、若者と老兵が融和する事でも、自由への渇望を表現しているのでもなく、ジャッドが不自由を受容し、現金を届けるという契約=不自由をウェストラムが受け継いだからこそではないか。 そしてあらゆる物に縛られ西部劇的な存在からは程遠い不自由なジャッドを西部劇の象徴たる牧場と聳え立つ崖、山が後ろから支え受け入れたからではないか。
[DVD(字幕)] 8点(2017-03-10 21:22:11)
14.  ドント・ブリーズ 《ネタバレ》 
ひと気がない整然と並ぶ家々を俯瞰して見下ろす映像から、カメラが下降し老人が女性を引きずる様子を映し物語は始まる。この台詞なしのワンショットのみで異様な空気、不吉な予感を漂わせる。 時折不気味なゴーストタウンのショットを挟みながら物語は進み、三人は老人の家に進入する。 家に入ってからの舐めるようなカメラワークの長回し。緊張感の演出もさることながら、観客にあらゆる物の配置、間取りを覚えさせるという機能も果たしている。ここで恐怖の下地が整う。 そこからは恐怖があらゆる感覚を通じて、連続で続く。 視覚による恐怖。痛覚の恐怖。嗅覚(老人が嗅ぎつけた香水であろう匂い)による恐怖。触覚(怪力で盲目の老人に触れられる事で逃げられない)の恐怖。聴覚(物音を立てる事ができない)の恐怖。 沈黙の間の中押し寄せる恐怖の連続は観ている側にも、息をつき物音を立てる事を許さない。 人物設定も素晴らしい。過去に娘を事故で亡くした盲目の退役軍人と獰猛な番犬という補って余りある補完関係は、主人公達との力関係を絶妙なラインでシーソーのように揺れ動かせる。そして妹と現状を抜け出す為にどうしても金がいるロッキーは、人間の罪や弱さを背負う。そのどちらもがサスペンス要素を伴いそれを増長させる。 そして計算されつくした舞台設定。 一軒家という限定された空間、薄いガラスの天窓、一人しか通れない幅の地下通路、鍵束、ホームセキュリティ、格子付きの窓、通気口など挙げればキリがないセットはどれもが物語に十二分に機能していく。 何から何まで作り込まれた物語、状況設定に、あらゆる感覚を刺激されるという、今までに感じた事のない恐怖体験だった。
[映画館(字幕)] 8点(2017-01-17 23:46:42)(良:1票)
15.  はじまりのうた 《ネタバレ》 
冒頭のグレタの演奏シーン。二つの視点からそれは映される。 いきなり始まる演奏はお世辞にも上手と言えるものではない。多くの人が聞く事に集中せず、談笑をする中一人立ち上がる男性。 直後その男性の1日が語られ、先程の演奏シーンに結びつく。 彼の頭の中で流れるアレンジ。今まで体たらくだったダンとグレタの才能が結びつく瞬間。 二人だけが分かる世界で、物語が始まる瞬間の感動は言葉では言い表せない。 それこそが音楽が持つ力であり魅力なのだろう。そして視点を変えた反復とズレという映画の持つ力もここで表現される。 鬱屈とした思いの中、スティーヴの部屋で曲が生まれる瞬間も忘れられない。 そしてアルバム制作シーン。日常の雑踏の中で即興を交えながら、生の人が集まり演奏されるその様は音楽の原点であり、一つの到達点なのではないだろうか。 何よりも誰もが音を楽しんでいる。 現代の一から十まで計算され作り込まれた音楽に異論を唱えつつも、それすらも含めて音楽を愛している事が伝わってくる素晴らしい映画だった。
[DVD(字幕)] 8点(2017-01-14 18:25:57)(良:1票)
16.  黒い罠 《ネタバレ》 
冒頭の長回しの凄さ。それは、ただ時間の経過をおさめるだけではない。 そこには、空間の移動があり、人物や車、出来事がまるで計算されていないかのように、絶妙のタイミングで横切る。 そして、カップルから別のカップルへの視点の移行が伴う。一度離れた、二つの視点は検問という舞台装置で再び出会い、観客の意識が別のカップルへ移りかけた、その瞬間に爆発が起こる。 本当に美しく、濃厚な映画体験をする事が出来た。 常に提示され続ける、多重の出来事、人物配置による画面の深度の深さ。 音や、フェードイン、フェードアウトを使うことで、画面の外への興味の引きつけも、尽きる事がない。 画面を構成するアングル、人物の占める比率による、心理描写、登場人物の関係性の変化なども、常に暗示され続ける。 音と映像の互いが決して譲り合うことも、迎合するこもない、相関関係。光と影による演出などもすごい。 台詞や展開も加えて、とてつもない情報量による、非常に濃密で贅沢な映画だった。
[DVD(字幕)] 8点(2016-05-15 00:11:51)
17.  レヴェナント 蘇えりし者 《ネタバレ》 
全ての行動が「生きる」ということへの執着に溢れていた。それは食べる事、水を飲む事、移動すること、寝る事、生きる残るために人を殺す事、息をする事。 これほど生々しく、そして痛々しく、生を描いた作品は今まで観たことはない。 そして、ショットを多彩に駆使しながら、自然と人間との相関関係を客観的に捉え続ける視点。 瀕死状態のグラスを徹底的にローアングルのクローズアップ(観にくく、窮屈な印象)で映し続け、自然と折り合いをつけながら、生きていくようになるにつれ、カメラアングルは引いていき、観やすく開放的な印象に変わっていく。 そして時折、全てを俯瞰して捉えた視点が挟まれる。 カメラ自体が、生きているようだった。カメラの視点が人間に対する、自然の距離感を表し、それは超越的な神の視点のようにも感じる。 台詞が少ない中で、映像、音楽、効果音で物語を魅せる凄さ。 寒さや飢え、痛み、孤独を画面の中から感じる事で、本当の意味での体感型映画を体験することができた。
[映画館(字幕)] 8点(2016-04-29 02:53:53)(良:1票)
18.  フォックスキャッチャー 《ネタバレ》 
人間なら誰しもが抱く、承認欲求、自分が何者でもないことへの不安。社会、他者、物に対する依存。 デイヴはマークを庇護の下に置き、マークは理想である兄を追い続けた。デュポンの母は名誉に捕らわれた。 デュポンは母の影に支配され続けていた。そして、マークに対しては自分と同じもの(何者かの庇護の下にいる)を重ね合わせ、自分が持っていないカリスマ性を持つデイヴに対しては憧れを抱いていた。社会、母、デイヴという存在に捕らえられ、また自分もマークを庇護し捕らえようとしていた。 自分の下を離れるマーク。自分自身であるマークを失ってしまったデュポンはついに憧れの、理想の自分であるデイヴを殺してしまう。ついに支配、人間という生き物の輪廻から抜け出すことは出来なかった。 何かを常に捕らえるかのような客観的なカメラ視点が終始続く物語の中で、何者の視点でもないマーク自身の主観ショットで自ら柵に囲まれたリングに向かうマークはこの映画で唯一独立した存在、人間ではない何かに成り得たようにみえた。
[DVD(字幕)] 8点(2015-12-31 21:19:33)(良:1票)
19.  LEGO ムービー 《ネタバレ》 
子供のころは持っていた自由で柔軟な発想や考え方。空想の世界では自分は何ものにでもなれた。町全体が遊び場だったし、何でも遊び道具になった。誰とでもすぐに友達になれた。 社会というものと自分なりに戦いながら、いつからか発想も考え方も生き方も凝り固まってしまったし、自らスパボンで固めて世間から自分を守って生きてきた。 それが世の中で生きていく術と言われればそれまでだけど、それだけでは寂しすぎる。 人間として柔軟でありたいし、あらゆるものから刺激を受けて振り回されながら、変化しながら生きていきたい。 もうすぐ自分も父親になります。父親になったとしても、一人の人間として常に子供と共に成長したいし、子供に成長させられる父親でありたいと強く思いました。
[DVD(字幕)] 8点(2015-11-26 20:05:38)(良:2票)
20.  6才のボクが、大人になるまで。
人物の成長というドキュメントと物語というフィクションが境界なく混ざり合っているので、観る側がそれぞれの登場人物の実人生をも想像し、話しの進行との相乗効果で物語、もっというと人間の人生を味わい深いものにしていた。 またそれぞれの人物が独立して生きていて、物語、他者(親子や姉弟という関係)に奉仕していない。そこもリアリティーに繋がるし、物語自体が常にどこか冷めた視点を持ち、登場人物の誰かしらが批評的な立場をとっているので、視野が狭い甘い話になっていないく話に厚みが出ていた。 その時々のそれぞれの心情、成長の切り取り方も絶妙で、セリフだけでなく、行動、仕草、表情から上手く切り取っていたので、自然に自分自身の人生を振り返り、重ね合わせ、追体験した気分になった。また時には、これからの自分の人生をも想像した。 人生の酸いも甘いも、彼らと体感できる素晴らしい映画だった。
[DVD(字幕)] 8点(2015-10-29 08:58:44)(良:1票)
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