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ゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 615
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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241.  アンストッパブル(2010) 《ネタバレ》 
 私生活が上手くいっていない主人公達が、事件を解決してヒーローになるという、非常に単純明快で気持ちの良い映画。   こういったストーリーの場合、現実逃避的な色合いが濃くなり、興醒めしてしまう事も多いのですが、本作に関しては「実話が元ネタなんだ。文句あるか」とばかりに、開き直った作りになっているのが良かったですね。  その為、素直に主人公達の活躍を祝福出来たように思えます。   若手とベテランの対立を軸に据え、両者の衝突と和解を、スピーディーさを損なう事無く描いている辺りも、素晴らしい。  「今はそんな会話している場合じゃないだろう。事態の解決に集中しろよ」とツッコませる作品も少なくない中で、本作はその辺りを非常にスムーズに、自然に描いているんだから、これは凄い事だと思います。   人為的なミスによって列車の暴走が始まり、周りのスタッフも当初は笑っていたのに、それがどんどん取り返しのつかない事態に発展していく流れも、上手く描かれていましたね。  お偉いさんが「命令に逆らったらクビにする」と脅してきた際に「とっくにクビになっていますよ」とベテラン機関士役のデンゼル・ワシントンが返す場面も、実に恰好良い。  自分としては相棒役のクリス・パインの方が贔屓だったりもするのですが、本作は完全にデンゼル側が「オイシイ」役でしたね。  緊迫した場面でも冗談を飛ばす剽軽さと、命を投げ打つ覚悟で暴走列車を止めようとする生真面目さ、両方を持ち合わせた男。  正に、彼の為にあるような役柄だったと思います。   難所のカーブを曲がり切る場面や、並走する車に列車から飛び移る場面なども、トニー・スコット監督らしい迫力があって、良かったですね。  無事に暴走を止めた後、エンディングのテロップにて「出世後、円満退社」「第二子が誕生」と、主人公達の幸福な顛末が語られる演出も、ハッピーエンド色を強めてくれている。   ただ、会社のお偉いさんや、事故を起こした機関士のテロップが、それぞれ「解雇」「ファストフード業界へ」となっているのは、喜ぶべきかどうか、迷っちゃいました。  そりゃあ作中で主人公達を「クビにするぞ!」と脅していた傲慢な上司がクビになるというのは、皮肉が効いていて面白いし、後者に関しても転職出来たなら、一応めでたしめでたしと思えますが、そのテロップで映画が終わってしまうというのは、如何にも寂しい。  順番を入れ替え、まずは上司達の末路について説明し、最後に主人公二人の幸福な顛末を示す形にしてくれていたら、もっと好きな映画になっていたかも知れませんね。  そこだけ、ちょっと残念。   とはいえ総合的には充分楽しめたし、娯楽作品としてレベルの高い一品だったと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2017-08-08 22:08:20)(良:2票)
242.  ブルークラッシュ2<OV> 《ネタバレ》 
 あまり期待せずに観賞したのですが、意外や意外。  良質な青春ロードムービーでしたね。   流石にサーフィン場面の美しさでは前作に及ばないかも知れませんが、その他の部分が魅力たっぷり。  金持ちのブロンドお嬢様で、サーフィンなんて出来る訳無いと嘲笑われていた主人公が、見事な波乗り姿を披露して周りを黙らせるシーンなんて、実に痛快です。  ここでハートを掴まれ、以降は最後まで、明るい気分で楽しめたように思えます。   それと、前作と共通している「家族の問題を乗り越えての自己再生」と「プロサーファーになる夢を叶える」という二つの要素を、二人の人物に分担させたのも上手かったですね。  主人公のデイナが一人で思い悩み、精神的に成長したりするのをカメラが捉えている間にも、親友のプッシーはプロになる為に必死に練習しているんだろうな……と、自然と脳内補完出来る形。  二人の出会いと友情、共に特訓するシーンについても描かれているので、主人公と同じようにプッシーを応援したくなるし、彼女が合格した際には、一緒に祝福したい気持ちになれました。   ヒッチハイクしたトラックの荷台に乗せてもらって移動するシーンなど「旅行」「家出」ならではの風情が感じられるのも良かったし、浜辺のコミュニティで皆が住んでいる住居の数々も、思わず泊まってみたくなるような魅力があります。  そんな住居の中の一つが、改造を施したバスであり「その気になれば、何時か動かしてみせる」という台詞が伏線だった事には、本当に吃驚。  立ち退き命令によって、皆の住居が強制的に取り壊されていく中、バスが動き出すシーンの爽快感は、特筆物でしたね。  その後のバス旅行に関しても、短い時間ながら「コミュニティの皆が家族」という絆の強さが伝わってきたし、全員で一斉に橋から河に飛び込むシーンなんかも、凄く好き。   物語のクライマックスとして「プッシーのプロテスト合格」を用意し、そこで最高潮に盛り上げておいて、その後に「父との和解」「母の思い出の場所でサーフィンする主人公」を静かに、情感たっぷりに描いて終わるのも、良い流れだったと思います。   難点を挙げるなら、ティムとグラントとの三角関係が微妙というか、好みでは無かったという事でしょうか。  ティムの方は自然保護活動をしている気の良い青年、グラントの方は少々嫌味っぽい気障なイケメン、という両者のキャラ付けが分かり易過ぎたのですよね。  前者と結ばれるのが見え見えなのに「主人公はグラントの方に惹かれている」「でもグラントは嫌な奴だったと分かる」「結局ティムの方と良い感じに」と、お約束の流れを辿るのが、ちょっと退屈でした。  その後、グラントにも「悪事に手を染めていたのは、経済的に困窮して止むを得ずだった」などと、色々とフォローが入るし、後味は決して悪くないんですけどね。  後は、ゾウやサイと遭遇するシーンが(如何にも合成映像って感じだなぁ……)と思えてしまうクオリティなのも残念。  この辺りは、低予算ゆえの悲しさを感じます。   でも、そんな難点についても「女の子が主人公なんだから、恋愛要素が濃い目になるのは仕方ない」「低予算なんだから特撮が拙いのは仕方ない」と、妥協出来る範囲内でしたね。  魅力的な部分の方が、ずっと多いので「そんなの、別に良いじゃん」と軽く流し、受け入れてあげたくなります。   中々レアな「初代よりも続編の方が面白かった」例の一つとして、オススメしたい映画です。
[DVD(吹替)] 7点(2017-08-06 22:18:34)
243.  ジョーズ 恐怖の12日間 《ネタバレ》 
 「JAWS/ジョーズ」の元ネタになったという、実際に起きた事件を映画化した一品。   監督は傑作映画「ヒドゥン」を手掛けたジャック・ショルダーという事もあり、期待を込めて観賞したのですが……ちょっと微妙な出来栄えでした。  大きな欠点は見つからないし「古き良きアメリカ」を感じさせる1916年当時の雰囲気も心地良かったしで、決して嫌いな映画ではないのですけどね。  ビーチで監視員をやっている主人公も好青年であり、仲の良かった少年や親友の仇討ちに燃える姿を、素直に応援出来たように思えます。   じゃあ、どこが微妙なのかといえば、まず「主人公達の三角関係」が原因として挙げられそうですね。  主人公と、その親友の男性との友情描写は中々良かったと思うのですが、とにかくヒロインの出番が少なくて、彼女の魅力が伝わって来ない。  しかも、数少ない登場シーンでは「主人公の親友との結婚を控えているのに、未だに主人公に未練たらたら」という描写だったりするものだから、正直言って、彼女に好感を抱くのは難しいです。  ラストにて、婚約者が死んだばかりなのに主人公に乗りかえるかのように寄り添って終わりというのも、少々幻滅。   あとは、肝心のサメの造形がイマイチなのも困り物。  前半部分は、それを上手く誤魔化して撮っていたのですが、後半にて全長が明らかになると、如何にも迫力不足。  観ているこっちは(なぁんだ、精々3メートルくらいか。意外と小さいサメだったんだな……)と思っているのに、劇中の人物は「あんなデカい奴なんて!」と驚いているもんだから、チグハグに感じてしまいました。  実話ネタなのだし、冷静に考えれば十分大きいって事は分かるんですが、この辺りは他のサメ映画を色々観過ぎているがゆえの「映画の嘘」に慣れてしまった弊害なのでしょうね。  恐らく、監督さんとしてはそれら諸々を承知の上で「前半はサメの大きさが分からないように、誤魔化して撮る」という手法を選択されたのでしょうが、それが結果的に、終盤にて全長が明かされた際の落胆に繋がってしまった気がします。  もうちょっと早い段階でサメの全長を明らかにし「小さいけど、充分に人を食い殺す力がある」と思わせる演出にしていたら良かったんじゃないかと思うんですが……まぁ、これは欲張りというものでしょうか。   そんな本作の白眉としては、サメに手足を食い千切られた後の、事後描写とも言うべき恐ろしさや悍ましさが挙げられそうですね。  主人公の同僚であるダニーを海中から引き上げたら、両足が失われていたと分かる件なんて、特にショッキング。  変な話、サメの特撮は稚拙だったのに、人間の特殊メイクは結構レベル高いなぁ、なんて感心してしまったくらいです。   現代ではなく、百年近く前のアメリカが舞台のサメ映画というだけでも目新しいし、真面目に作られているのは伝わってくるので、後味も悪くない。  良い映画だった……というのは言い過ぎかも知れませんが、まずまずの満足感は得られた一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-08-06 22:09:38)(良:1票)
244.  ジョーズ'87/復讐篇 《ネタバレ》 
 初代「JAWS/ジョーズ」では夫であるマーティン・ブロディにスポットが当たり、二作目では次男であるショーンに、三作目では長男であるマイクに、そして四作目では妻であるエレンにスポットが当たっている。  即ち、このシリーズは巨大鮫とブロディ一家との戦いの歴史を描いた一大抒情詩なのである……と言いたいところなのですが、ちょっと無理がある気がしますね(主に次男)  いずれにしても、過去作においてさほど存在感を発揮していなかったエレンなので、四作目にて主人公に抜擢されても「消去法で、仕方なく」という理由にしか思えないのが、寂しいところです。   前作で水中遊園地を舞台にし、娯楽色を強めていたのと比べると、海を舞台にしたシリアスな作りとし、原点回帰を目指したのが窺える本作品。  でも、それにしてはジョン・ウィリアムズの音楽を使用していなかったりして、何だか片手落ちな印象が強いですね。  エレンの恋愛要素にスポットを当てたのは原作小説からの引用とも考えられるのですが、それならそれで、原作通りのリアルなサメの描き方も再現して欲しかったなぁ……なんて、つい思っちゃいます。   サメの造形も、シリーズ中で一番酷いんじゃなかろうかと思える出来栄えだし、おまけに模型をプカプカと水に浮かべているだけなシーンまである始末。  終盤にエレンが襲われる件でも、口の開け方が同じままガーっと斜めに突き出しているだけって感じの描き方であり、これにはガッカリしちゃいました。  何というか「チャチな作りを誤魔化そう」とか「なるべく本物っぽく見えるようにしよう」とか、そういう意思が伝わってこないんですよね。  たとえ特撮技術のレベルが低くとも、作り手の熱意が感じられたら「愛嬌」として笑って楽しむ事も出来るんですが、本作に関しては「手抜き」「やる気が無い」という印象だけが残りました。   それと、本作はシリーズ中で最も恋愛色が濃い作品なのですが、それが未亡人エレンの老いらくの恋というのも(何だかなぁ……)とゲンナリしちゃいましたね。  中年や老人をテーマとした恋愛映画も悪くないとは思うんですが、本作に限っては「初代の主人公であるブロディ署長が、心臓麻痺で死んだ事にされている」「未亡人のエレンがポッと出の中年男にアプローチをかけられ、嬉しそうにしている」って図式の為、どうしても二人の恋を応援する気持ちになれなかったです。   また、本作には二通りのエンディングが存在しており、DVDに収録されていた使い回し爆発エンドに比べると、劇場公開版(自分が観たのは、そちらを地上波で放送したバージョン)は多少は現実的な倒し方になっているのですが、いずれにしてもカタルシスを得られるとは言い難い内容。  劇場公開版に点数を付けるとしても、DVD版と同じ点数になってしまいそうです。   長所としては、舞台となるバハマの海が綺麗であった事。  そして、サメは歴代でも一番大きいと思われるサイズの為、迫力を感じるシーンも幾つかはあったと、その辺りが挙げられそうですね。   何にも増して、シリーズ最終作がハッピーエンドを迎えてくれた事に関しては、素直に喜びたいところです。
[DVD(字幕)] 3点(2017-08-03 23:55:46)(良:1票)
245.  ジョーズ3 《ネタバレ》 
 サメの造形については、前二作よりも明らかにレベルアップしています。   それに伴い、ストーリーの方も進化している……と言いたいところなのですが、ちょっと厳しかったですね。  主人公はブロディ署長の長男マイクであり、可愛い恋人もいたりして、前二作を観賞済みの身としては「立派な大人になったねぇ」と、ほのぼのさせられるのですが、正直マイクである必然性は薄かったように思えます。  父親からサメ退治のコツを教わっているとか、前作で負ったトラウマを今回乗り越える事になるとか、そういう要素が無いんですよね。  弟のショーンも登場するのですが、兄弟らしく絡んだのなんて最初の二十分程であり、以降は全く出番無しというのだから「何の為に出てきたの?」と呆れちゃいます。   水中にある遊園地がサメに襲撃され、客達が園内に閉じ込められてしまうというプロットは、決して悪くなかったと思うんですけどね。  いざ観てみると、どうもバランスが悪いというか、展開がチグハグに思えて「う~む」と首を傾げてしまう感じ。   例えば、中盤にてシー・ワールドに客が訪れるシーンでの、楽し気な雰囲気なんかは良かったと思うんです。  でも、事前にサメとの対決(=生け捕り)が描かれた後なので、その落差で今一つ楽しめないし、どうせ再びサメに襲われるのは分かっているんだから、どうしても「中弛み」に感じられてしまう。  ベタな考えかも知れませんが、こういった「楽しい遊園地」という日常的なシーンは、やはり序盤で描いておくべきだったのではないでしょうか。  そして、中盤にサメの襲来によって日常が崩壊し、後はクライマックスまで一直線……という作りにした方が、良かったのではないかと。   それと、これは恐らくサメの模型を素早く動かす事が出来なかったという技術上の問題なのでしょうが、とにかく襲撃シーンのテンポが悪いんです。  水中のガラス越しにサメが体当たりを行い、中の人々が悲鳴を上げるという、本作最大の見せ場においても「サメの動きが遅いので、仕方なくスローモーション演出にしました」という感じがして、観ていて興醒め。  その後、五分程でサメを爆殺して終わりを迎えるというのも、こちらは逆に早過ぎるというか、アッサリ倒し過ぎに思えちゃいましたね。  緩急のある演出と褒める事も出来そうですが、自分としては戸惑いが大きかったです。   そんな本作で癒しとなるのは、イルカのサンディとシンディの存在。  ただ単に可愛らしいというだけでなく、サメに体当たりして主人公達を助けたりと、しっかり活躍してくれるのが良かったですね。  主人公とヒロインは生き残るも、イルカ達は死んでしまったかと思われたところで、水中から飛び跳ね、元気な姿を見せてくれて、ハッピーエンドに華を添える形になっているのも嬉しい。  本作のMVPには、このイルカ達を選びたいところです。
[DVD(字幕)] 4点(2017-08-03 20:28:02)(良:1票)
246.  JAWS/ジョーズ2 《ネタバレ》 
 ブロディ署長の次男であるショーンくん、随分可愛らしく成長したんだなぁ……と、そんな事に感心。  見た目だけでなく、中身も良い子なもんだから、彼が「主人公の救出を待つ、囚われのヒロイン」的な立ち位置に収まるのも納得でしたね。  この子なら(何としても無事に助け出したい)という気持ちになれるし、主人公を応援し、感情移入する事が出来ます。   前作の一件によって、すっかりサメがトラウマとなり、ビーチで誤解から銃を発砲してしまったブロディ署長。  そんな彼に、周りの皆が呆れて立ち去る中で、ショーンくんだけが寄り添い、一緒に薬莢を拾ってくれる場面なんかも良かったです。  子役だから、長台詞を言わせたりすると、どうしても不自然になってしまうでしょうし、こういう「無言の動き」で優しさを伝えてくれる演出というのは、非常に効果的だったと思います。   サメの倒し方も「感電死」という形で、中々迫力があって良かったですし「無事に息子を助け出してハッピーエンド」という予定調和な結末を迎えるのも、実に気持ち良い。  ブロディ署長が解雇される際に、前作からの知り合いである市長だけは残念そうにしていたというのも、ファンとしては嬉しくなる描写でありました。   そんな具合に、色々と長所がある映画なのですが、短所も同じくらい目に付いてしまいましたね。  まず、サメの造形が初代以上に拙いです。  ヘリに食らい付いて破壊するシーンなど、演出自体は悪くないと思うんですけど、サメの目に全然迫力が無くて、怖くなるどころか「このサメ可愛いなぁ」なんて和んでしまう始末。  サメと心を通い合わせる映画という訳でもなく、作中では純粋な悪役に過ぎないんだから、もうちょっと怖いデザインに仕上げて欲しかったところです。   あと、水上スキーに興じる女性を襲う場面や、ボート上のカップルを襲う場面なんかが、今観ると妙に古臭い。  初代の「JAWS/ジョーズ」だって古さを感じさせる作りではありますが、続編であるはずの本作の方が、更に十年くらい昔の映画に思えちゃったんですよね。  変な話、初代の方が後に作られたと言われても納得しそうになるくらいです。   ティーンエイジャーに成長した長男のマイクにスポットが当たっている為、若者達の青春映画としてのテイストが強いんだけど、主人公はあくまでもブロディ署長というのも、ちょっと歪なバランス。  結局、マイクは最終決戦の直前でアッサリ救助されている為「囚われのお姫様」ポジションとしては、次男のショーンだけで充分だった……という形になっているんですよね。  それならば一緒に弟を助ける為、父親に協力させるなど、もうちょっとマイクに見せ場を与えてやっても良かったんじゃないでしょうか。  スポットの当て方が中途半端で、大した活躍もせず退場という形になっていたのが残念です。   それでも、本作には初代「JAWS/ジョーズ」の雰囲気が色濃く残っている為、正統派な続編として、まず満足出来るクオリティでしたね。  流石にシリーズ四作品もあるとなると、全部まとめて観る事は難しいのですが、本作は初代を観賞した際に、つい一緒に観てしまう事が多いです。
[DVD(吹替)] 6点(2017-08-02 04:29:27)(良:1票)
247.  JAWS/ジョーズ 《ネタバレ》 
 サメ映画の原点にして頂点……と断言してしまうのは、後続の映画群が可哀想になりますが、思わずそう言いたくなるくらいの傑作ですね。   正直、サメ本体の造形に関しては現代の目からすると稚拙であったりするのですが、ジョン・ウィリアムズの音楽と、スピルバーグの冴え渡った演出とが、それを忘れさせてくれます。  桟橋を破壊するシーンで、敵となるサメが如何に怪力かを知らしめてくれるのも良いし、今ではお約束となっている「巨大な歯を拾い、そこからサメの全長を推測する」流れも、実に効果的。  特に印象深いのは「樽を三つも背負っているんだ、潜れっこない」という台詞の後に、サメが海に沈み、水音が止んで静寂に包まれる演出ですね。  劇中の人物だけでなく、観客にも(潜れっこないはずなのに、潜りやがった!)という衝撃を与えてくれて、本当に痺れちゃいます。   サメを発見したかと思いきや、実は子供の悪戯だったと分かり、気が緩んだところで、本物が襲来するという緩急のある展開も良かったですね。  ここで主人公の息子が標的となる訳ですが、事前に子供が殺されているので(子供といえど、無事に済むとは限らない)という危機感を煽ってくれる形。  グッタリした息子を地上へと引き上げる際に、死体かとドキドキさせておいて、無事な下半身を映し出し(良かった……食べられていない)とホッとさせるのも上手かったです。   ちょっと気になったのは、終盤に主人公達三人が、酒を飲みながら語り合うシーン。  ここ、再観賞する前の自分の認識では「それまで喧嘩してばかりだった三人が打ち解け、一致団結してサメに戦いを挑む事になる名場面」というものだったです。  でも、いざ実物を観てみると、仲良くなったのは一時的で、翌朝には再び喧嘩してばかりの関係に戻ってしまっているんですね。  あくまで猟師のクイントの過去を描き、人物像を掘り下げるのが目的の場面であったみたい。  どうも都合良く美化した上で記憶していたようで、何だか寂しかったです。   それに対し、終盤のサメとの対決シーンは記憶に残っていた通りの素晴らしさであり、嬉しかったですね。  そもそも「海に浮かぶ小さな船」というだけでも孤立感が強いのに、その船の中にまでサメが襲い掛かって来て、沈みゆく船の中で戦うという、二重の意味で「追い詰められた」緊迫感が凄まじい。  派手な爆発と共にサメを倒すも、生き残ったのは主人公のブロディ唯一人……という寂寥感の中で、実はフーパーも生きていたと判明し、ホッとさせてくれるエンディングも良かったです。   後に無数のサメ映画を生み出す事に繋がり、それと同時に(結局、原点である「JAWS/ジョーズ」が一番面白い)という認識さえも生み出してしまった、恐るべき傑作。  でも、自分は後続のサメ映画の数々も好きですし、他のジャンルにおいては「元祖を越えてみせた名作」を幾つか知っているだけに、希望を失いたくはないですね。  (これは「JAWS/ジョーズ」より面白い!)と思えるようなサメ映画と、何時かは出会ってみたいものです。
[DVD(吹替)] 9点(2017-08-01 21:09:50)(良:3票)
248.  シャーク・ナイト 《ネタバレ》 
 傑作映画「セルラー」(2004年)の監督が撮ったサメ映画という事で、非常に楽しみにしていた一本。   序盤の段階から「Aと思わせておいて、実はB」(鮫に襲われたかと思いきや、実は人間による悪戯だったと判明する、など)という展開が何度もあって、ゲンナリさせられたりと、欠点も目立ってしまうのですが、総合的には面白い映画でしたね。  「何故こんな湖にサメがいる?」「それは人喰いシーンを撮影して金儲けする為、意図的に放流した悪人がいるから」って形で、スナッフ要素をサメ映画に取り入れたのも斬新であり、そう来たかという感じ。  この手の映画では嫌な奴として描かれがちなアメフト部員が、凄く良い奴として描かれているんだけど、結局死んじゃったりとか、愛嬌のある保安官が実は悪人だったとか、適度に意外性を盛り込んでいるのも良かったです。   それと、個人的に本作の白眉は、サメが出て来てからの展開ではなく、その前の段階にあるようにも思えましたね。  「若者達が湖畔の別荘に出掛ける」→「そこでサメに襲われる」というお約束な流れなんですが、前半のパートの方が面白かったんです。  狭っ苦しい車に皆で乗り込み、夜を徹して走り続けるシーンなんかも、早回しや音楽によってスタイリッシュに決めているし、湖をボートで移動しながら皆で乾杯するシーンも、本当に楽しそうで良い。  91分の内、実に20分以上も尺を取って「皆でバカンスを満喫する」様を描いているので、この手の「モンスターが出てくる前の、皆で楽しく騒いでいる場面」が好きな自分としては、もう大満足。  サメ映画って「肝心のサメが出てくるまでが退屈」な作りの品が多い印象があるのですが、本作に関しては「このままサメに襲われないで、普通の青春映画として終わって欲しい」と思わされたくらいです。   勿論、サメ映画としても一定以上のクオリティはあるので安心。  怪我人をボートで運ぶ際に、水面に落ちる血液を映し出すカットなんかは、特に印象深いですね。  (あぁ、サメ来ちゃう! サメ来ちゃうよ!)とドキドキ出来るのが楽しい。  正直、ちょっと中盤はダレ気味だったりもするのですが、要所要所でそういった見せ場が用意されている為、退屈さにまでは至らなかったです。   主人公のニックが、医者志望でガリ勉と揶揄われる割には鍛えられた身体をしており、ミスキャストじゃないかと思っていたら、終盤で筋肉に見合った大活躍をしてくれるのも良いですね。  特に、椅子に縛られた状態からの逆転劇は痛快であり「死に際に聴きたい曲はあるか?」「ガンズ・アンド・ローゼズ」というやり取りなんて、もう痺れちゃいました。  そこで、ヘヴィメタ好きの敵が機嫌を良くし、曲を変える為に背を向けた一瞬の隙を突いて反撃というのが、凄く恰好良い。   終わってみれば、主人公とヒロインだけが生き残る王道エンドであった本作。  でも観賞中は、重苦しく陰鬱な「殺されエンド」も有り得るんじゃないかと身構えていた為、あの終わり方には、ホッとさせられましたね。  最後にサメのアップで終わる為「まだ惨劇は終わっていない」とも解釈出来そうなんですが、主人公達の乗っている船とは距離があったし、まぁ大丈夫だろうなと思えます。   正統派なサメ映画ではなく「人喰いザメを利用する悪人達との対決を描いた映画」という側面が強い為「サメ映画を観たい!」という欲求を叶えるには不適切かも知れませんが……  自分としては満足度の高い一品でした。
[DVD(吹替)] 7点(2017-07-28 09:34:08)(良:2票)
249.  ブルークラッシュ 《ネタバレ》 
 この監督さんは、海を美しく撮るのが上手いなぁ……と、改めて実感。   海と、水着美女、爽快感のあるサーフィンの映像。  それらが画面に映っているだけでも満足しそうになるのですが、内容については、正直疑問符が付く代物でしたね。  同監督作の「イントゥ ザ ブルー」は結構楽しめたのに、本作を微妙に感じたのは何故だろうと、自分でも不思議。   理由を分析してみるに、主人公が女性である事が大きかったように思えますね。  ある日突然、理想の王子様が現れてくれる。  でも、それに溺れる事は無く、スポーツの分野でも成功してみせて、仲の良い女友達が沢山いて、陰口を叩くセレブ女には強気に対応してみせてと、如何にも女性が憧れそうな人物像。  それだけに、ちょっと距離を感じてしまったというか(あぁ、女性が観たらこのシーンは痛快かも知れないな)なんて思いながら、他人事気分で観賞する形になった気がします。   主人公がNFLの選手達にサーフィン指導を行うという形で「初めてサーフィンに挑戦した時の喜び」を劇中で描いている辺りは、凄く良かったのですけどね。  こういう初心者に配慮した作りって、とてもありがたい。  ……ただ、それなら劇中の大会ルールについても「彼氏に質問させて、主人公に簡潔に答えさせる」という形で、観客に教えてくれても良かったんじゃないかと思えるのですが、これは我儘というものでしょうか。   後は、主人公が大して努力しているようには見えなかった辺りも難点。  冒頭にてトレーニングしているし「これまでアンタがどれほど努力してきたか」という台詞もあるんだけど、映画を観る限りでは「男とイチャついてばかりで、殆ど練習していなかった」としか思えないし、あんまり彼女を応援する気になれなかったです。  「優勝を逃す」というオチについても、普通なら(あれだけ頑張ったのに……)と涙腺を刺激されそうなものなのに、本作に限っては(まぁ、練習してなかったんだから当たり前か)と納得してしまい、感情を揺さ振られず仕舞い。   一応、優勝したのと変わらないくらい皆に祝福されて「雑誌の表紙を飾る」という夢も叶えて終わる形の為、ハッピーエンドではあるんですが(それなら、もうちょっと贅沢に、あれもこれも手に入れる終わり方でも良かったんじゃない?)なんて、つい思っちゃいましたね。  「王子様のマットは一時の休暇で訪れただけなので、その内に別れる時が来る」「妹のペニーがマリファナをやっているので、止めさせなければいけない」「家出したママも帰って来ていない」と、まだまだ問題が山積みなので、今一つスッキリしないんです。  「何もかも上手くいく訳ではない」「それでも、サーフィンの楽しさを思い出した主人公なら、きっと大丈夫」という、ほろ苦さの中に希望を見出すような終わり方なら、それでも納得なんですが、本作の終わり方は、そうじゃない。  底抜けに明るくて、何もかも上手くいったと言わんばかりの空気の為(えっ、今までに描かれていたマイナス要素の数々は何だったの? 無かった事になったの?)と、戸惑っちゃうんですよね。  ここの部分を、もうちょっと上手く着地させてくれていたら、好きな映画になっていた気がします。   音楽や演出は決して嫌いじゃないし、大人も子供もサーフィンに興じるエンドロールの映像は素晴らしいと思うだけに、何だか勿体無いですね。  自分としては、好きになれそうというか……好きになりたかったタイプの作風なだけに、ノリ切れなかった事が残念な映画でありました。
[DVD(吹替)] 4点(2017-07-20 16:02:36)(良:1票)
250.  トリプルヘッド・ジョーズ<OV> 《ネタバレ》 
 前作と同様、冒頭から出し惜しみせず鮫の姿を見せてくれるサービス精神がありがたい。   ただ、作風としてはかなり違う方向性というか、緊迫感と悲壮感を重視した作りになっていた気がしますね。  スローモーション演出や音楽に、自己犠牲展開が多い点などからしても、あたかも観客を感動させようとしているかのよう。  それが完全に失敗していたという訳では無いのですが……正直「三つ首の鮫が人を襲いまくる」という馬鹿々々しい設定とは、食い合わせが悪かったように思います。  もっと真面目な、普通の巨大鮫が出てくる映画でやった方が自然だったんじゃないかな、と。   海上にある研究施設という設定。  そして、救世主の如く颯爽と現れ、鮫を殺すのに成功したかと思われたダニー・トレホが、アッサリ食い殺されるシーンなどは「ディープ・ブルー」(1999年)を彷彿とさせてくれるし、所謂「馬鹿映画」としての愛嬌も有るには有るんですが、上述の通り「真面目さ」の比重が大きいので、ちょっと歪なんですよね。  下品な物言いになりますが、水着姿の巨乳お姉さん達が全然画面に映らない辺りも、前作に比べると如何にも寂しい。   「大量の餌を与えれば、首同士で共食いを始めるはず」という作戦にも無理があったと思いますし、それがアッサリ成功しちゃうオチに関しては、唖然茫然。  男女二人が何とか生き残るハッピーエンドという意味では前作と同じなのですが、本作では(倒し方に無理があるんじゃないかなぁ)と思えてしまい、素直に彼らの生還を喜べなかったです。   鮫の首を斬り落とすと、そこから新たな首が三つも生えてくるという設定やビジュアルなんかは、中々グロテスクで良かったと思いますし「沈みゆく観光船の中で、人々が襲われていくシーン」なんかは、手に汗握るものがあったのですけどね。  自分の場合「前作と同じ、明るくお馬鹿な鮫映画」を予想していたから、それが外れちゃった形だし「わりと真面目な鮫映画」を期待して観た人がいたとしても、終盤の強引な展開には落胆しちゃいそうだしで、どっちつかずな映画という印象が強いです。   観ていて退屈もしなかったし、ある程度の満足感は得られたのですが……  ちょっと期待していた内容とは違った一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-07-19 12:11:16)(良:1票)
251.  ダブルヘッド・ジョーズ<OV> 《ネタバレ》 
 双頭の鮫が二人の美女を同時に食い殺すショッキングな導入部で「掴みはOK」といった感じ。   こうして文章にしてみると残酷な印象も受けますが、実際に観てみれば「双頭」という非現実性が程好く作用している為か、あまり血生臭い映画ではありませんでしたね。  勿論、海が血で赤く染まる表現なんかは中々ドキドキさせられましたが、目を背けたくなるような人体破壊の描写は控えめという、程好いバランス。  どこかコミカルな雰囲気が漂っており、笑いに繋がってしまう場面もあったくらいです。   その最たるものが終盤の「ヒロインが双頭の間に挟まっているお蔭で食われずに済んだシーン」で、これにはテンションが上がりましたね。  (あぁ、確かに鮫からすると盲点だなぁ……)という感じで、説得力と意外性、可笑しさと馬鹿々々しさを備え持った展開であったと思います。   この手の映画だと「中々姿を見せようとしない鮫」に苛々させられたりもするのですが、ほぼ全編に亘って出ずっぱりで、その双頭フォルムを見せ付けてくれる辺りも気持ち良い。  籠城する舞台となるのが無人島(=正確には環礁)というのも新鮮でしたね。  何も考えず、画面に映る水着姿のお姉さん達を眺めているだけでも眼福であり、楽しい気分に浸れました。   勿論、ツッコミどころは多いです。  お約束の「俺達の事は良いから先に行け!」展開の際には(いや、確かに道にヒビは入っているけど……普通に通れるのでは?)と困惑しちゃったし「皆とはぐれて二人きりになる」→「二人同時に食い殺されてしまう」という展開を、終盤に立て続けに行ったのは、流石にやり過ぎだったと思います。  でも、そういう部分にツッコむ楽しさも含めて、自分としては満足度は高めでしたね。  ラストに生き残った二人も「一番頭が良く、優しい感じの兄ちゃん」「卑怯者でも見捨てず助けようとするような、気丈な金髪美女」という組み合わせで、ハッピーエンド色を高めてくれます。   あえて言うなら、折角の「ダブルヘッド・ジョーズ」な訳だから、鮫を左右真っ二つに両断するなどの、独特の倒し方で決着を付けても良かったかも。  とはいえ「最後は爆発させて倒す」というのが鮫映画のお約束でもある為、本作もそれに倣ったのは、致し方無いところなんでしょうか。   観賞前のハードルが低めだったからかも知れないけど、とりあえずそれは飛び越えてくれた一品でした。
[DVD(吹替)] 6点(2017-07-19 09:56:08)(良:1票)
252.  アラクノフォビア 《ネタバレ》 
 冒頭の南米でのパートが、ちょっと長過ぎた気がしますね。  巨大な滝など、壮大なスケールの自然を拝ませてもらってテンションは上がりましたが、そこを舞台に二十分近くも引っ張ったのは、バランスが悪かったんじゃないかと。  (そうか、これは秘境を舞台にした冒険物だったのだな……)と感じ始めた矢先に、都市部の物語に移行する形なので、観ていて(えっ、そっちだったの?)と戸惑っちゃいましたからね。  物語の導入部に過ぎないなら、南米の件は十分以内に収めた方が良かったのではないかな、と思います。   そんな具合に、序盤で作品への不信感が芽生えてしまったせいか、以降も殆ど楽しむ事は出来ず仕舞い。  丁寧に作られた、真面目な映画だとは思うのですけど、その真面目さが「面白みに欠ける」「退屈」という印象に繋がってしまった気がします。  日常生活の中で、知らぬ間に小さな毒蜘蛛が脅威として迫っている……という描写にしても、子供が本を落とし、その上に足を乗せるだけで踏み潰せちゃう程度の脅威な訳だから「怖い」とは思えなかったりしたんですよね。  主人公家族が都会の生活に戻り、田舎を馬鹿にした台詞を口にして終わりっていうのも、ちょっと後味悪い。   蜘蛛の巣が我が家にあると気が付き、主人公が戦いを挑む終盤の展開は中々に面白かったですし、観賞中ずっと退屈だったという訳では無いのですが、正直「良かった」と思える部分が少ないですね。  そもそもタイトルからして「アラクノフォビア」=「蜘蛛恐怖症」なのだから、蜘蛛に対して怖いというイメージを全く持っていない自分が観たのが間違いだったのかも知れません。  肌に合わなかったのが残念な一品でした。
[DVD(吹替)] 4点(2017-07-12 04:51:32)
253.  ドッジボール 《ネタバレ》 
 「時には一人で二人ゲットする事だってある」という台詞が伏線であった事に吃驚。  主人公が二人の美女と同時に付き合う事になったと見るべきか、あるいはヒロインが男女の恋人を両方ゲットしたと見るべきか、いずれにしても予想外な形のハッピーエンドで楽しかったです。   基本的にはコメディなのですが、努力→成長→勝利というスポーツ物の王道の魅力も押さえている為「ドッジボール大会で優勝する」という約束された結末まで、安心して観賞する事が出来ましたね。  途中「コーチの死」「決勝戦の前日に主人公が戦意を喪失してしまう」などの、やや暗い展開が挟まれたとしても、最後は笑顔で終わるんだろうなと予測出来る形。   「ウルトラアメリカン教育映像」の悪趣味さとか、日本人チームが小馬鹿にされている感じ、ラストの「爆乳ダンス」披露なんかは観ていて鼻白むものがありましたけど、不愉快になるという程じゃなかったです。  それより一番悲しかったのは、ランス・アームストロングが「逆境にぶつかり挫折しかけた主人公に、勇気を与える者」として出演している事ですね。  偶然なのか皮肉なのかは不明だけど、作中で「選手のドーピングが発覚し、敵チームが失格になる」なんて展開まであったものだから、本当にやりきれない。  映画自体に罪は無いんですけど、ここだけは観ていて憂鬱になっちゃいました。    でも、基本的には「観ていて笑顔になる」要素の方が、ずっと大きかったと思いますね。  ヒロインが剛速球を投げられる理由を「ソフトボールやってたの」と一言で片付けちゃう大雑把さなんかは、実に気持ち良いです。  主人公がスポーツジムの経営破綻を受け入れて「一晩中飲み明かそう」と皆にビール缶を投げ配るシーンなんかも、妙にお気に入り。  気弱なオーウェンと、濃過ぎる顔のビッチスキーとのロマンスも良かったし、ジャスティンが片想いのチアリーダーにキスするシーンなんかも好きですね。  作中で結ばれたカップルが三組もいて、ドッジボールの大会を通し、多くの人が幸せになっているという、優しい雰囲気が伝わってきました。   大好きな俳優であるベン・スティラーも、憎たらしい悪役を楽し気に演じてくれていましたね。  彼が敗者となる結末に関しても、あんまり可哀想にはならないというか「こいつなら一度は挫折しても再起出来るんじゃないか」と思わせるようなパワーがあった為、ハッピーエンドにも水を差していない。   海賊ことスティーブも「とうとう宝物を見つけた」という形で、優勝の喜びに華を添えてくれているのですが……彼の扱いに関しては、ちょっと中途半端な印象も受けました。  決勝戦を欠場するなら「スティーブの活躍のお蔭で勝てた」という試合が、途中に一つくらいはあっても良かったかも。   あと、サドンデスで主人公が目隠しする展開に関しては、伏線が弱かった気もします。  特訓シーンでも一応目隠しはしているんだけど、さらっと流されていたし、目隠しする姿を見てチームメイトも「何をやっているんだ?」と言い出すしで、観客の自分としても、少し戸惑っちゃいました。  あそこは「目隠しして踊れるようになる事だ」などの、亡きコーチの台詞をオーバーラップさせてくれていたら、もっと感動出来ていた気がします。   こうして文章にしてみると「良かった部分」と同じくらい「気になった部分」も多くなっちゃう訳ですが、後者を「悪かった部分」と感じさせない愛嬌を備えているのが、この作品の特長なのでしょうね。  定期的に何度も観返したくなるような、親しみが湧いてくる映画でありました。
[DVD(吹替)] 7点(2017-07-11 19:51:01)(良:2票)
254.  12ラウンド 《ネタバレ》 
 良くも悪くも古風でオーソドックスな作りの為 (これが八十年代の作品だったら「スピード」の元ネタとして評価されたんだろうなぁ……)  なんて、つい考えてしまいましたね。  バスにエレベーターにヘリコプターと、様々な舞台装置を駆使して楽しませてくれるし、基本的には好みな作風のはずなのですが、この「既視感」は如何ともし難いものがありました。   主演にレスリングのスター選手であるジョン・シナを迎えており、身体を張ったアクションを見せてくれるのも嬉しいんだけど、基本的には「高所からの飛び降り」「飛び移り」という形であり、対人戦の要素が薄いというのも、何だか寂しい。  (こういうの好きだよ。好きなんだけど……もうちょっと、ココをこうして欲しかったなぁ)っていう、そんな歯痒さがあるんですよね。   この手の作品ではお約束の「実は目的は復讐ではなく金だった」オチに関しても(結局金だったのかよ!)と、落胆する気持ちが大きかったです。  一応、犯人としては「愛する女の仇を取りたいという想いは本物。でも、それはそれとして金も欲しい」という考えだった可能性もあるんですが、どっちにしても恰好悪いって話ですからね。  殆ど全編に亘って、主人公と犯人との戦いを描いた話である訳だから、もう少し犯人側にも魅力を感じさせてもらいたかったところ。   監督はレニー・ハーリンという大物ですし、演出には安定感があって、決して退屈はしなかったのですけどね。  序盤にてラブラブだった主人公とヒロインが、一年後には喧嘩しがちになっており、それがラストにて再び強く結ばれるというストーリーラインも、娯楽映画の王道を踏襲していたと思います。   それでも、あと一歩、自分が「好き」だと言える領域まで踏み込んできてくれなかった……そんな、もどかしくなる映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-07-06 19:21:45)(良:1票)
255.  イントゥ ザ ブルー 《ネタバレ》 
 「夏らしく、海の映画が観たい」という理由でチョイスした一本。   以前に観た時は「演出も脚本も凡庸だけど、主演がポール・ウォーカーというだけで大体満足」という評価を下した記憶があったのですが、改めて観賞してみると、ヒロインのジェシカ・アルバの存在感にも驚かされましたね。  「貴方と一緒なら、ボロでも幸せよ」「貴方が幸せなら良いの」なんて優しい言葉を掛けて、主人公にキスしてくれる姿を、冒頭から繰り返し拝ませてくれるのだから、何だか観ているコッチまで気恥ずかしくなる。  ここまで堂々とされると「男にとって都合が良いヒロイン像」なんてツッコミを入れるのも野暮に思えてきました。   作中で描かれる海の風景が、記憶に残っていた以上に鮮やかで美しかったのも、嬉しい限り。  ストーリーに関しては、正直色々と「ユルいなぁ」と感じる部分もあるのですが、海を舞台とした程好いリゾート気分、アドベンチャー気分を味わっていると、あんまり気にならないようになってくるから不思議です。   やや既視感のある展開ですが、海に眠っていた財宝が金塊ではなくコカインだったという導入部もキャッチーでしたし、ヒロインが空気を口移しキスする場面なども印象深い。  銃では無く銛を武器にして戦ったり、敵を出血させてサメを誘き寄せて攻撃させたりするなど、水中ならではのアクションが盛り込まれていたのも良かったですね。   終盤にて明かされる黒幕が、最初から嫌味な態度で主人公に接している奴だったので、特にショッキングな展開でもないという辺りも、何やらこの映画を象徴しているように感じました。  何というか、全てが「観客を不快にさせない予定調和の中にある」という感じで、安心して楽しめるのですよね。  裏切りの快感を与えてくれる映画も良いけれど、こういう安心させてくれる映画も、自分は好きです。   ヒロインは最初から主人公にベタ惚れで仲も良好である以上「喧嘩していたカップルが、命の危機を乗り越えて再び強く結ばれる」などのカタルシスは望めない訳で(彼女が死んで盛り上げる可能性もあるんじゃないかな~)と予想していたのですが、しっかりと生存してくれた辺りも良いですね。  予想が外れたはずなのに(そうこなくっちゃ!)と思えたりして、嬉しかったです。   「宝物はココにある」なんて気障な台詞と共にヒロインにキスをして、金銀財宝なんかよりも、ずっと大切なものに気が付いた主人公というオチかなと思っていたら、ちゃっかり財宝は財宝として発見しちゃう欲張りなハッピーエンドを迎える辺りも、妙に憎めない。   物凄く良い映画ではないかも知れないけど、自分としては希望通り、期待通りの映画でありました。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2017-07-06 03:21:02)(良:2票)
256.  恋愛だけじゃダメかしら? 《ネタバレ》 
 妊娠を主題としている為か、序盤にて嘔吐ネタが繰り返される事には、少々ゲンナリ。  演出も冴えていないというか、正直ちょっと好みじゃないなと感じる部分もあったりしましたね。  でも、総合的には良い映画だったと思います。   養子を迎えようとする夫婦、流産を経験するカップルなど、群像劇ならではの個性が感じられましたし、それによって様々なエピソード、様々なメッセージを描く事に成功しているのですよね。  妊娠による体調不良を「体内で奇跡が起きてる証拠」と美化する一方で「妊娠は最悪」「ニキビも出来る。歩けばアソコが痛む。オナラも出ちゃう」と、生々しく表現したりもしている。  基本的には「子を産むことの素晴らしさ」を声高に主張している映画なのだけど、そういう現実的な側面もキチンと描いている為、あまり偏った印象は受けず、素直に楽しむ事が出来たように思えます。   くしゃみと同時に軽く出産しちゃう女性もいれば、激痛に叫びながら出産する女性もいるという対比も面白かったし「血の繋がらぬ子を養子として迎え入れる場面」を、出産に負けず劣らず感動的に描いていたのも、何だか嬉しかったです。  劇中の人物同様に、世の中には子供を産みたくても産めない女性が存在する訳で、そういった人々への優しさというか「出産を経ずとも人は母親になれる、父親になれる」というメッセージが伝わって来て、とても温かい気持ちに浸れました。   ラストにて、子育てパパ軍団が、冷たい缶ビールをベビーベッドの下から取り出し、仲間にパスするシーンなんかも、妙にお気に入り。  筋トレマニアで、常に公園を走って身体を鍛え上げ、派手に女遊びしていた独身男がパパになると同時に「もう走るな、歩くんだ」と男友達から諭される件も、色々と象徴的に思えて良かったです。  そんな彼が、当初はタッチを拒んでいた相手と、仲良くタッチを交わして「パパ」の仲間入りを果たして映画が終わるという構成も、凄く後味爽やか。   大人達が主役であり、子供にスポットが当てられていない為、肝心の「子供を持つ喜び」が伝わってこない点など、色々と気になる部分もあるのですが「あぁ、良いなぁ……」と思える場面の方が多くて、帳消しにしてくれたという感じですね。  こういう映画、嫌いじゃないです。
[DVD(字幕)] 6点(2017-07-04 13:52:03)(良:1票)
257.  デスバーガー 《ネタバレ》 
 テンポが良くて、音楽もキマっていて、楽しく観賞出来る映画です。   この手のティーンズホラーだと、リアリティレベルというか「主人公達が見舞われる災難は、どれくらい非現実的な物なのか」が途中で気になってしまう事が多いのですけど、本作は早い段階で、それに対する答えを示しているのですよね。  始まって十分程で「この殺人鬼は超常的な力を持っている。何でもありのタイプだよ」と教えてくれるので、観ている側としても受け入れやすいし、何でもこいという気分になれる。  この辺りのバランスが、結構絶妙でした。  例えば、もう十分遅れるだけでも「えぇ……現実的な殺人鬼かと思ったのに、何でもありのタイプだったのかよ」と落胆していた可能性がありますからね。   殺害シーンをスタイリッシュに編集して、素早く流し、死に様をしつこく見せず、サラッと済ませる辺りも好印象。  ディープな方には物足りなく思えるかも知れませんが、自分のように「怖いのは好きだけど、残酷なのは苦手」というタイプにとっては、程好い感じでした。   日本の怪獣映画風のヘラバーガーのCMも、実に馬鹿々々しくて良い。  「さぁ、行こう」と「最高」を掛けたと思しき「へら~ば~が~だ、さ~いこ~う」というCM音声も、作中で何度も流されるせいか、クセになっちゃうものがありました。  子供が遊ぶ為のプレイスペースにて、ゴムボールの海の中から、ピエロ顔の殺人鬼がゆっくりと起き上がり、店内の壁に描かれたピエロの絵とシルエットが重なるシーンなんかも(上手いなぁ)と素直に感心。   ヒロインが「ヴァージンを捨てる」という死亡フラグを立てた上で、ちゃっかり生き残る結末なのも面白かったですね。  一種の定石破りであり、それと察した観客に対して、シンプルな結末で煙に巻いてくれるという形。  この辺り(ホラー映画好きなら、説明しなくても分かるよね?)と作り手は思っていたのかも知れませんが……  もうちょっと分かり易く、作中の人物に「こういう場合って、生き残るのは処女だけのはず」くらい言わせてみても良かったかも。   その他、不満点としては「蝋燭を持った殺人鬼にアルコールを噴き掛けて、火達磨にする」というクライマックスにて、炎のエフェクトが微妙に感じられたくらいでしょうか。  元々期待せずに「楽しい暇潰し」とも言うべき時間を求めて観賞したせいか、満足度は高かったですね。   スラッシャー映画ではあんまり見かけない「NG集」が収録されているのも嬉しい。  劇中で無残に殺された女性が、死体メイクのままで元気に笑っていたりするのを見ると、ほのぼのしちゃいました。   こういう映画を好きって言うのは、ちょっと勇気が要りますけど、やっぱり好きです。
[DVD(吹替)] 6点(2017-06-19 05:09:52)(良:1票)
258.  スーパーサイズ・ミー 《ネタバレ》 
 「この実験は明らかにおかしい」「条件が偏り過ぎている」「監督側は意図的に身体を壊す為、無茶をしているとしか思えない」等々、書きたい事は沢山あります。  でも、どうやら実験に対する批判というか、検証については既にやり尽くされた感があるようですね。  「一ヶ月マクドナルドのメニューだけを食べ続けても、必ず身体を壊す訳ではない」「むしろ健康になる事もある」「ダイエットだって出来る」という事が世界各地で実証されており、作中の実験結果に文句を付けるのは、遅きに失するように思えます。   なので以下は、なるべく純粋に映画としての評価を。   場面転換などで多少ぎこちなさを感じる部分もありますが、音楽やアニメーションを駆使して、観客を飽きさせないような作りとなっているのは嬉しいですね。  S、M、L、スーパーサイズのポテトの袋や、ジュースの紙コップを並べる事によって、視覚的に大きさを分からせる演出なども、テンポ良く行ってくれています。  作中で繰り返される主張は酷く歪んでいるように思えるのですが、一応「アメリカ人の健康に対する危機意識を高める為」という大義名分が掲げられている為、嫌悪感を和らげてくれるのもありがたい。  「ビッグマックを毎日食べているけど、全然太っていない」「運動をして鍛えているので平気」というタイプの人達を登場させているのも、一応の公平性を感じられました。  「病院にもマクドナルドがある」「大統領やキリストを知らない子供達も、ドナルドは知っている」「小学校で、生徒がコーラとスナック菓子の昼食を取っている」という場面が挟まれるのもショッキングであり、問題提起に成功しているかと。  エンディング曲も、何だかクセになる魅力があったと思います。  これらの点は、長所と呼べそうですね。   で、短所というか、気になる点なのですが……これは、ちょっと多過ぎて挙げ切れないです。  あえて一言で表すなら「悪趣味」な作りである事でしょうか。  わざわざ吐瀉物を映し出すという視覚的な悪趣味なんかは、まだまだ可愛い範疇。  ちゃんと医者から「脂質の摂り過ぎには注意してね」と言われて、笑顔で握手した上で始めたはずなのに、全然注意していなかったり「摂取カロリーを減らして」と助言を受けているのに、それでも減らさなかったりしたのには、流石に呆れましたね。  ここの場面は「マクドナルドのメニューは脂質が多い」「カロリーが高い」という印象を与える為には外せなかったのでしょうが「医者の忠告に反して意図的に暴飲暴食している主人公が卑怯なだけ」としか思えませんでした。  食品業界側の言い分を提示する際にも、その直前に「彼らは圧力団体」「非難の矛先を他の物に向けようと努力する」というナレーションを行い、たっぷりと偏見を植え付けた上で弁明する人を映し出しているのだから、やり切れない。  極め付けはラストの演出で「スーパーサイズは、もう止めにしないか?」→「サンダンス映画祭での上映から六週間後、マクドナルドはスーパーサイズの中止を発表」→「マクドナルドでは、この映画との関連は無いとしている」って流れには(うへぇ)と声が出そうになりました。  観客に「映画の影響でスーパーサイズが販売中止になったんだ。この監督は凄い!」と思わせたいのでしょうけど、あからさま過ぎてゲンナリです。  ただでさえ胡散臭くて偏向的な内容だったのに、これでトドメを刺されちゃった気分。  ここで「現在、スーパーサイズの販売は中止されている」くらいのテロップ表示で済ませてくれていたら、もう少し本作に対する信頼度も回復出来ていたかも知れません。   ちなみに、本作の主演と監督を務めているモーガン・スパーロック氏は「デスバーガー」というスラッシャー映画にもカメオ出演しているのですが、本当にチョイ役といった感じで、印象に残りませんでしたね。  そちらの映画を先に観賞済みの自分でも、全く憶えていない役柄でした。  こういった品を作った人だからこそ、マクドナルドを連想させるスラッシャー映画にカメオ出演させたのでしょうし、それなら作中で無残に殺されてしまう役の方がオイシかったんじゃないかなぁ、と思います。  いっそ犯人役にしても良かったかも知れませんね。
[DVD(吹替)] 2点(2017-06-18 11:57:20)(良:1票)
259.  ディアボロス/悪魔の扉 《ネタバレ》 
 「都会に引っ越すと、周りの人が悪魔のように見える」という寓意的な御話なのかと思いきや、さにあらず。  本当に悪魔が出てきて、しかもそれが主人公の父親だったというオチには驚きました。   「何時かは負ける日が来る。人間ならね」「父の事は知りません」などの台詞によって、序盤から伏線が張られていたとはいえ、非現実的過ぎる展開なのですが、それでもさほど戸惑わず観賞出来たのは、やはりアル・パチーノの存在感ゆえなのでしょうね。  ジョン・ミルトンという名前、天国で仕えるより地獄を制した方がマシという行動理念からするに、その正体は恐らくルシフェルなのだと思われますが、それだけの大物を演じていても、まるで違和感が無いのだから凄い。  息子相手に熱弁を振るうシーンなんて、凄く楽しそうに演じているのが伝わってきました。   「彼女を看病してやれって言っただろう?」などの台詞により、あくまでも選択したのは自分、悪いのは自分と相手に思い込ませるやり口なんかは、正に悪魔的。  近親相姦で子を作るようにと薦める辺りも「悪魔とは、人を堕落させる存在である」と実感させられるものがあり、印象深かったです。  それでいて、息子の事は彼なりに愛しているのではと思わされる一面もあり、そんな人間的(?)な部分も含めて、魅力あるキャラクターに仕上がっていたと思います。   冒頭で無罪を勝ち取ってみせた数学教師が、殺人犯として逮捕されたと知らされる件。  そして妻が実の父親にレイプされた後、自殺する展開など、主人公にとっては悲惨な展開が続く訳ですが、最終的には「夢オチ」「もう一度最初の場面からやり直し」という着地をする為か、後味も悪くなかったですね。   夢オチっていうと、何だかそれだけで拍子抜けというか、評価が下がりそうになってしまうものですが、本作は最後にもう一捻り加える事で、夢オチならぬ現実オチとして成立させている。  「悪魔が存在するのも、そいつが父親であった事も、全て事実だった」という形で終わらせているのですよね。  今度こそ善良な道を選び、上手くやってみせるという主人公の決意を嘲笑うような悪魔の笑みが、非常に印象的でした。   もしかしたら、本作で描かれたのは「初めての父子の出会い」ではなく、こんな風に何度か出会いと別れを繰り返しているのかも知れないな……と思わされる辺りも、面白かったですね。   父と子、どちらかが完全な勝利を収めるまで、無限に続く輪となっているのかも知れません。
[DVD(吹替)] 6点(2017-06-16 11:05:56)(良:1票)
260.  ゾンビスクール! 《ネタバレ》 
 子供が大人を殺しまくる映画といえば「ザ・チャイルド」などの先例があります。  でも、子供がゾンビになるというパターンは初見の為、新鮮な気持ちで観賞する事が出来ましたね。   中盤以降は、お約束の籠城展開になる訳だけど、その場所が小学校というだけで、もう面白い。  「携帯電話の持ち込みは禁止」という校則+「ゾンビによる電話線の切断」という展開によって、入念に外部との連絡を遮断し、何とか脱出に成功したと思ったら、実は学校の外も地獄と化していた……というオチも、お約束だけど良かったと思います。   そんなベタな展開の一方で「主人公とヒロインが結ばれない」「序盤に腕を引っ掻かれたので、絶対に主人公もゾンビ化すると思っていたら、大丈夫だった」などのセオリー外しも、意図的に行っているのですよね。  主演のイライジャ・ウッドが「ホビット」と言われて意味深な反応をしたり、車にされた落書きの「しゃぶれ」というワードが伏線で、その犯人である子供を「しゃぶれ」と言ってから轢き殺すシーンがあったりと、脚本も色々と凝っています。  子供ゾンビが死体で遊ぶ残酷描写、そして彼らをピッチングマシンやカンフーを駆使して薙ぎ倒す大人達の描写なども、それぞれ「観客が見たいもの」を分かっているというか、サービス精神が感じられて、嫌いじゃないです。   ……っと、ここまで書いて気付いてしまったのですが、どうも本作って、ちょっと素直に褒め切れないような、微妙に感じる部分が多かったのも確かなんですね。  基本的にはゾンビ映画というだけで好みだし「主人公達は教師」「舞台は小学校」「ゾンビとなるのは子供達」というキーワードだけで(これは絶対に面白いはず!)と期待し過ぎたのかも知れませんが、それを差し引いても、観賞後の満足度は高くなかったです。   理由の一つとしては、根本的に敵が弱い事が挙げられそう。  序盤こそ(引っ掻かれるだけで感染するタイプか、こりゃあ子供ゾンビといえども油断出来ないな……)と緊張感も味わえたのですが、結局「大人は感染しない」という事実が中盤にて明らかになり、それ以降は死亡者すら出なくなりますからね。  これは流石に落差が激し過ぎるというか、何だか敵が勝手に弱体化したようにも感じられ、ノリ切れなかったです。  なんせ本当にゾンビ達が「凶暴な子供」というだけなので、一対一では「武装した大人」が圧倒的有利なんですよね。  じゃあ数の暴力で攻められるんだろうなと思ったら、一対多数でも結構余裕だったりして、全く危機感が無い。   その「敵が弱い」「主人公側が負けそうにない」という画面作りなせいで、ヒロインの彼氏による自己犠牲シーンでも(無理して残って戦わず、一緒に逃げれば良かったのでは?)と思えてしまうし、その後に「皆の為に犠牲になったアイツが、実は生きていた」展開をやられても、全然興奮しなかったです。  作り手側としては「実は生きていた」展開に説得力を持たせる為、敵に囲まれた状況から脱出しても不自然ではないような設定したのかも知れませんが(そりゃあ、あのくらいの強さの相手なら死なずに済んでも不思議じゃないよな……)と思えてしまったし、本末転倒ですよね。   最後に火を点けてゾンビ達を燃やすクライマックスに関しても、劇中人物はグラサンで格好付けて決めているのに、観ているこっちはといえば、完全に白けモード。  (貴重な液体燃料を使わなくても、そのまま逃げれば良いじゃん……しかも、ついさっき車がガス欠になるって展開やった後にコレかよ)なんて、意地悪な考えが浮かんできたくらいです。   一番不満だったのは、主人公グループに付き従う二人の子供達。  本当にもう「子供は全員悪役ってのも気分が悪いので、一応味方側にも付けておきましたよ。しかも男女の黒人と白人でバランスが良いですよ」くらいの存在価値しか見出せなくて、終盤に至っては台詞すら皆無で、実に勿体無かったです。  黒人少年の方なんかは、授業の際に主人公の書いた小説を読み上げるシーンがあったんだから、その後に「先生の書いた御話、面白かったよ。続きが読みたい」くらい言わせても良かったじゃないか、と思えましたね。  そうすれば「主人公にとっての、初めての読者」という関係性が生まれ、両者に絆が育まれるし、彼が糖尿病で倒れた際に、危険を承知で主人公がキャンディー菓子を調達しに行くシーンも、更に劇的になったんじゃないかと。   何て言うか、個々のパーツは決して悪くないんだけど、それらを乱雑に繋いでしまった……という印象ですね。  もうちょっと丁寧に作ってくれていたら「好きな映画」と断言出来そうだっただけに、勿体無い映画でありました。
[DVD(字幕)] 5点(2017-06-09 12:23:23)(良:2票)
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