Menu
 > レビュワー
 > tottoko さんの口コミ一覧。15ページ目
tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2013
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
616263646566676869707172
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
616263646566676869707172
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
616263646566676869707172
>> カレンダー表示
>> 通常表示
281.  16ブロック
まず、わーブルース・ウィリス老けたなあ。役作りもあるんだろうけど、目周りの疲れ具合とか身体全体のくたびれ&下がり感がはんぱなくて、ぱっと見ブルースとは分かんないくらい。 でもね、ちょっとこの作品はB・ウィリス当たり役かもしんない。観終わってそう思いました。ブルース・ウィリスといえばダイ・ハードのジョン・マクレーンが強すぎて、その後実にたくさんの作品に出演してますけど正直どの役も「彼でなければ」というのが無い(個人の感想です)。そこへこの16ブロック。バディ・ムービーの変化形のような作品ですが即席で作られた相方との呼吸がうまいこと合わせられており、ブルースは余裕すら感じられるベテランの演技を見せます。人に説教などできぬ過去を持つ男の苦悩と、決断した時の腹の括りぶり。ロートル警官の哀切すら感じさせるブルースの新境地ぶりにほう、と感じ入りました。 ところで、バリー・ホワイトってタイヤ泥棒だったんすか。エンドロールと共に流れる彼の歌声に聞き入りつつ、「ええ声してる泥棒」というシュールな画を思ったのはワタシだけですか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-02-07 23:43:17)
282.  ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男
わたしもこの映画を観て思ったことは「戦争に勝った国はいいなあ」でした。 イギリス人監督があの戦争を描くとしたらチャーチルを傑物扱いするのは当然でしょうね。言葉の魔術師だけあって、国民を鼓舞する言葉の数々は強く確信に満ち、蛮勇を奮い起こさせるに十分な力を持っています。イギリス国民が喝采するのもむべなるかな。 講和に応じず、本土決戦をも辞さずに徹底抗戦の構えであの大戦に挑んだ。それは我が国とて同じだったのです。結果が真逆で、英国は70年後に時の宰相万歳映画を作れるけれど日本はそうではない。 アメリカが参戦しなければ、世界情勢はどうなっていたか分からない。戦争続行に突き進んだチャーチルは結果ラッキーに思えてならないのです。上院議員の推すドイツとの交渉案が現実となっていれば、犠牲者数ももっと少なかったかもなのです。まあ歴史にIFは無いのですが。 チャーチルさん、「戦って負けてもその国は立ち上がれる」って仰いましたね。でもそれって、本当に本当に切なくきつく、やりきれないほど残酷な苦闘を意味するのですよ。敗戦の苦しみをくぐりぬけた先人を偲ぶ一国民の想いです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-02-05 23:21:27)
283.  トゥルー・クライム(1999)
だから世の中のどれほどの人がじーさんイーストウッドの濡れ場を見たがっているというの。女好きなのはいいとしてもこの人の作品の私物化ぶり、本作は特に目に余るわあ。えん罪晴らしの本筋そっちのけで主人公のキャラ描写ばっか丹念に時間割いてる。まさに「俺様」の映画。 もっとも、クリントイーストウッドという役者は「いつでもどの作品でもクリントイーストウッド」なのですが、熱心なファンに向けてのみ映画作られてもね。 劇中の奥さんと子どもの、妻子に見えない感がすごい。どう見たって孫をあやす爺ちゃんではないですか。なんで無理やりこんなキャスティングするの、と思ったらえっ実子?!それはそれで作品私物化度が上がるなあ。 とまあイーストウッドファンでもないわたしはストーリーを脇に除けるほどに存在を主張してくる主人公に少なからずイラっとしました。話もたいがいご都合良すぎですし。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-02-02 00:05:44)
284.  アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル 《ネタバレ》 
トーニャ・ハーディング、世界一お騒がせなフィギュア・スケーターの名を知ってはいても彼女の生育の荒れようは初耳なことばかりで、衝撃的な作品ではありました。 親は選べない。運がもっとも試される事象だと思うのですが、あんな鬼母のもとに生まれたのはハズレもハズレ、大外れと言わざるを得ませんな。その後の人生でDV男と何度もつかず離れずを繰り返してしまうのも典型的な暴力被害者の行動で、トーニャのプライベートは愛を乞うばかりの人生で切なくなりました。 それにしてもあの襲撃事件を起こした者たちの馬鹿さ加減には呆れを通り越して笑ってしまいます。世界のトップアスリートの周辺の人間がこんなレベルだとは。才能も努力も備わった人にふさわしい処遇のある人生であるべきだったのに。どうして。 母親役のA・ジャネイの毒親ぶりは鬼気迫るほどでオスカーも順当です。マーゴット・ロビーはスケーティングもきっとかなり上手なのでしょう。吹き替えのつなぎが分からないほどに見事な再現力です。ただやっぱり本人よりはるかに美形なので、あまり‶はすっぱ”な感じになり切れずかな、というのが個人的な感想です。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-01-28 23:10:31)
285.  少年は残酷な弓を射る 《ネタバレ》 
色んな記事を見るに、衝撃的なこの作品を‶誰の立場で”観るかで感想がずいぶん違うものですね。わたしは子どもを育てた母親であるので、エヴァの身になって観ました。ケヴィンのように難易度の極めて高い子を育てるのは生半可なことじゃあありません。彼女は良くやったと思います。自分のキャリアを続けたい、こんな手のかかる子はしんどい。誰でも抱く辛さです。育児あるあるです。彼女なりに精一杯子に向き合ってるのに、キャパ以上の愛を要求されたってどうすりゃいいのでしょう。 なにせケヴィンはおっそろしく知的レベルが高い。そのうえマザーコンプレックスが強い。彼の母に対する想いは思慕というより執着で、立派なサイコパスといえると思います。あの「時計じかけのオレンジ」アレックス以来の大型物件です。(そういや年齢も同じだ) ケヴィンの狡猾さは幼少時から現れています。母親の失点(骨折事件)は他に漏らさず、秘密を共有しようとする。また、相手によって態度を変える。そんな子は集団の中にはしばしばいますが、たいていの場合大人には見透かされることがほとんど。でもケヴィンは天才的というか悪魔的というか最後まで父親をだまし通すことに成功しています。彼が生来の残酷な性質を見せるのは母親にだけ。捨てずにとってある幼い頃の絵本。求めていたのは母の愛、関心、承認。 ケヴィンの破壊願望がついに臨界点を超えたのは両親が離婚、親権は父親にと聞いたとき。とうとう母に見捨てられるのだと感じたのでは、と推測します。父親のことなどちょろい奴、と軽蔑していたでしょうし妹も憎らしいだけ。世界の全てを破壊してパトカーの中から母を見据える視線は「これでも俺を愛せるかい?」 子育てする全ての親を震撼させる展開でしたけど、エヴァが息子の悪魔性を凌駕するほどの強固な母性を見せるのがこの陰惨な話の唯一の光です。生き地獄に落とされようと、彼女の母性は枯渇することは無かった。かつての若き冒険家は、粛々と息子との運命を受け入れるやつれた母となりました。「分からなくなった」と憑き物が落ちたようなラストのケヴィンの表情が印象的です。 エズラ・ミラーの美貌がケヴィンのキャラクターにぴったりで、同じくどことなく俗人離れした顔つきのティルダ・スウィントンを母親にしたキャスティングの妙が光ります。よく似ているので、ああ親子なんだ、とすっと納得できます。全く別人種顔のJ・C・ライリーが父親というのもまた上手い。彼は最後まで「理解せず」の人でしたからね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-01-23 16:54:21)
286.  ニノチカ 《ネタバレ》 
80年も前の作品なのに古臭さを感じさせない、卓越したセンス。台詞も笑わせ方もおしゃれです。脚本にビリー・ワイルダーが入ってるのか・・納得です。 クールな美貌のグレタ・ガルボは初めのうちの共産党の申し子みたいなカッチコチのキャラがハマってて、ここら辺が一番面白かったな。恋をしてどんどん柔らかくなってゆく彼女を見るのも楽しかったけど。 旧ソ連への批判も、笑いを削がないよう絶妙な匙加減に留めていて上手いですね。みんなとパリの歌を歌ってたら、つかつかと他人が横切って行ってしーん、となる場面とか。本来ならおっかないシチュエーションなのかもですが、笑っちゃいますよね。 ラストシーン、名前の電飾切れに抗議するやり方が共産圏のデモそのもの。最後までくすっとさせてくれました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-01-02 16:27:24)(良:1票)
287.  ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 《ネタバレ》 
んー、シリーズものの谷間の位置にあるのでやや説明的だし、人物いっぱい出てくるけど「その人重要?」と見極める前に話が終わってしまいました。急に全員墓地に集合しているあたり、尺に収める脚本家の苦労が目に見えるようです。 でもまあ、2作目以降も律義についてくるのはファンが大方でありましょうから一定数の数字を取れることは間違いなし。実際、映像技術に手抜きは無く、圧倒的な魔法世界が展開されます。 なじみのキャラクターに会えるという安心感もシリーズものの強みです。わたしは二フラーが相変わらず可愛かったので満足です。年齢のせいかメイクのせいか、女性陣が前作より器量が落ちたように感じるのが気がかりです。 重要どころのジョニデが降板となるのは痛手だなあ、顔を白塗りして片目にカラコン入れときゃグリンデルバルドの出来上がりというモンでもないでしょうからねえ・・と思っていたところ代役が発表されましたね。マッツ・ミケルソンとはナイスな選択、いやベストじゃないかなとテンションが上がった今日この頃でありました。
[地上波(字幕)] 6点(2020-12-27 23:14:15)
288.  ハリケーンアワー 《ネタバレ》 
タイトルから連想されるような、暴風雨吹きすさぶ賑々しい(?)ディザスターものとはちょっと違います。ポール扮する新米パパは突然の災難に見舞われるのですが、これが本当に現実的な闘いなので観てる側の‶他人事ではない”共感度が高い設定となっています。 街中に突然出現した異生物が暴れるとか巨大宇宙船が現れるとかだと、それは想像の域を出ないパニックですが、天災となると我々もこの国土で何十年も体験しているわけで。停電となった病院に新生児と取り残されるシチュエーションは普通に起こりうることです。自分ならどうしよう?と途方に暮れました。 生命維持装置のバッテリーの持ち時間をわずか3分弱にしたのが状況困難設定として効いています。「一階まで往復できるだろうか」と心配し、看護婦さんまだかなあっとじりじりします。 いやはやアメリカってオソロシイなと思うのは災害時に乗じて現れる武装強盗とも対峙しなきゃならんのか、ということ。こんなケースは経験の蓄積が無いよ・・。天災も人災も恐ろしい。両方を赤子ともども生き延びたポールパパの必死の演技が光る遺作であります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-26 23:29:45)
289.  追いつめられて(1987) 《ネタバレ》 
80年代の作品で、ケビン・コスナー主演でこの邦題、どうせ女絡みの泥沼愛憎劇だろうと思ってずっとスルーしてきました。こちらのサイトの高得点につられて観てみたら、あらけっこうしっかりした構成のサスペンスだったのね。公開当時観ておけば前半のいかにも80年代ぽい、軽いちゃらちゃらした空気も鼻につかなかったろうになあ。 まったくセットにしか見えない艦と大嵐、真っ赤なオープンカーと豪華ヨットで船遊び、場所構わずすぐ発情するアメリカ人、という画もこの頃多かったよね。 なんせ軽薄な前半の中にも、数々伏線を仕込んでおいてあったとは天晴れです。時間の経過とともにどんどん袋小路に追いやられるコスナーは逃げの一手なれどいろんな手段で身をかわすギリギリ具合に手汗倍増ですし、長官付きのゲイ補佐官の意外過ぎる恋情にはぶったまげますし、ラストの大オチはそれまでの仕込みを全て回収する見事なものでした。久々に頭まで巻き戻して見直したくなる一本でありました。 ・・にしても証人としてやってきたホテルのボーイさんはあの恰好のままペンタゴンまで連れてこられたんだねえ(笑)着替える時間くらいあったでしょ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-22 23:28:04)
290.  ビリー・リンの永遠の一日
はて、アン・リーもメガホンの誤り、というべきかこの監督にしてはずいぶん手ごたえの無い映画でした。彼の作品は人物の心情描写が繊細で、ストレートに気持ちが乗るものが多いのですが。 本作は任地から帰国した兵士のPTSDを扱っていますけど、数ある同テーマの多作品と比べても主人公の内なる矛盾やそれに伴う苦悩がずっと伝わってきません。 平時の祖国のから騒ぎに感じる空疎感とか、花火音でフラッシュバックして暴れる同僚とか描き方があまりにもベタです。家族であるクリステン・スチュワートとの気持ちのすれ違いぶりも通り一遍で、全くぐっときません。何が悪いのでしょう。主人公の演技力の無さか脚本のせいか。 そういやヴィン・ディーゼルも出てたな。戦地での温情型リーダーというおいしい役どころではありますけど、彼の使われ方もずいぶんと雑でしたねえ。 アメリカでの興行成績がサッパリだったとか。「アメリカ人は米国万歳調じゃないと受け入れないから」という評も聞きますが単に話が面白くないからじゃないですかね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-12-21 23:33:05)
291.  チャーリーズ・エンジェル(2000)
いや、まあ女の子のお色気アクションというコンセプトは理解できるのでウルサイことは言いたくないですけど。にしてもこの3人で正解だったのですかね?本国ではヒットしたそうだから、「もう少し若い方が」「もう少し動けそうな体型の方が」と思っちゃうのはわたしが日本人だからだろう。 お尻を突き出したり、おっぱいをチラ見させたり三人とも制作の要求に健気に応えています。どのくらいまでが吹き替えなのか分からないけど、キャメロンもルーシーもアクションシーンの身体のキレに頑張りが見られます。ここで問題なのがドリューで、脚本からしてあまり彼女を動かさないというか、身体能力を試されるシーンが二人に比べてとても少ない。終盤にやっと両手を固定された上でのアクションがありますが、ここも映像加工がふんだんな割に彼女の動きがピシッと決まりません。 プロデューサー業と二足のわらじなのだから、きついアクショントレーニングなんかやらないわよ、って感じだったのかな。でもさあ、いかんよそれでは。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2020-12-13 23:23:34)
292.  プリズナーズ 《ネタバレ》 
プロットの全容、登場人物のキャラ立ち度、散りばめられた実に多くのレッドへリングをキレイに回収して一点に着地させる脚本力。こんなに完成度の高いサスペンスに出会うのは「羊」の後「セブン」以来。久々に唸りました。2時間半あっという間です。 娘の誘拐犯と対峙したらどうするか。犯人と思しき男に関わる三名の被害者家族の心情に少しづつ温度差があって考えさせられます。娘のために行き過ぎの暴行も辞さないと腹をくくったヒュー父。ヒュー父のやり方に懐疑的ながら、消極的に手を貸す友人。そしてヒュー父に暴行をさせるに任せて、実利は得ようとする友人妻。それぞれの気持ちが正直全部分かるんですよ・・。ほんと困ってしまいました。アレックスが受けているのは酷い暴力に違いないのだけど、こいつが本当に小児性愛者だったら?と思うとヒュー父を咎める気持ちも揺らいでしまうしで。 タイトルのプリズナーズは複数形。攫われたたくさんの子どもらのことでもありましょうし、別の視点では宗教に囚われた者たち、とも考えられます。劇中何度も語られる聖書の一節。主にヒュー父が暴力を行う際に神に許しを請う時ですね。犯人は信仰心をねじ曲がった方へこじらせて事件を起こします。神が介在するために極端に走る人らの一方で、比較的冷静に事件と向き合い理屈と証拠を元に解決へ向かう刑事が非キリスト教徒(ぽい)のは何かの象徴なのでしょうか。 役者全員の仕事がもうすんばらしいの一言です。熱量の高さときたら口角泡飛ばすその唾までこちらに届きそうです。直情型アメリカン親父のヒュー・ジャックマンとプロフェッショナルの姿勢を崩さないジェイク・ギレンホール。この二人のキャスティング、逆にしてもうまく行くと思うんですよ。ジェイク・ギレンホールが目を剥いてキレる様子も、困惑顔で困難に立ち向かうヒュー・ジャックマンも容易に想像つくでしょ?見てみたいなあ。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2020-12-09 00:46:38)(良:1票)
293.  アンダーカヴァー(2007) 《ネタバレ》 
男子一生の仕事と言いますが、ホアキン演じるボビーは家業か商売か選択を迫られてしまいます。それが警察orクラブ経営かという両極端、水と油のような選択肢。わたしなら自分で選んで頑張って実績も上げてきた方を取りますけどね。でもボビーは父や兄の側に行く。自分の「今」を裏切ることになるボビーの苦悶はホアキンがそれは上手く演技で表現しているのですが、お話の中でもう少し彼と兄の関係を描写してても良かったと思います。むしろ現マネージャーを務める店のオーナーとの円満な関係の方が印象強いので、ワタシなんかはそっちの人間関係が壊れる方に心痛む気持ちになりました。 作品全体の雰囲気は真面目に作られてて良いんですけどね。警察のパーティってクラブのそれと比べるとリアルに地味だなあとか(そりゃ水商売になじんだ彼女は出ていくわ)、クラブマネージャーであっても犯罪者ではないホアキンが潜入する場面の迫真のビビり演技とか雨のカーチェイスとか、引きの強いシーンがたくさんありました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-12-06 23:08:21)
294.  ダンケルク(2017) 《ネタバレ》 
ノーランに1940年のダンケルクに連れて行かれました。 押せ押せのドイツ軍の猛攻から、とにかく逃げの一手のダンケルク。袋小路に追い詰められた鼠のごとく海岸に集まったイギリス兵。 彼らと一緒に息をし、なんとか故国に帰ろうとする自分がいました。物凄い臨場感です。陸にあっては爆撃に怯えて砂に伏せ、海にあっては魚雷によって開けられた横穴からなだれ込む海水に首まで浸かり、あるいは墜落した機体の脱出口が開かず猛烈に焦る自分がいました。106分間もう恐ろしくて恐ろしくて。海原に無数の民間船が見えた時は泣きそうになったもんね。 今作においてノーラン監督は主人公を設けず、柱となる人間ドラマもほとんどありません。出ている人物は皆モブシーンの群像のようです。ドイツ兵すら姿を見せません。雨あられと銃弾が降ってくる描写のみです。このことこそが監督の意図するところなのでしょう。エンドロールに流れる「ダンケルクに人生を左右されたすべての人々へ捧ぐ」が胸に刺さります。 あの場にいた全員が主人公であるけれど、でもその無意味なことに戦争の不条理で非道なことを思い知ります。 映像は美しく、大空や水平線の広がりに目を奪われます。紺碧に輝くドーバー海峡、そこに真っ黒に広がる重油のシミ。かぶさるハンス・ジマーの不吉な音楽。キューブリックの‶フルメタルジャケット”以来の、画と音で迫りくる不条理の極みでありました。 帰投する選択を捨て、同胞らのために燃料を使い切り捕虜となった英国空軍パイロットの立ち姿。お気に入りのトム・ハーディとあってはいっそう涙無くして見られません。 銃口交える戦闘シーンは無し、ただ逃げ惑う戦争映画ですがこれもまたあの戦争のリアルなのでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2020-12-01 00:00:48)(良:2票)
295.  小悪魔はなぜモテる?! 《ネタバレ》 
コメディなのは重々承知しているのだけど、ほとんど笑えるトコはなかったな。十代の子が観たら面白いのかな。 いや分かりますよ。自意識で潰れそうな高校生の頃って‶悪ぶって”周囲から一目置かれることに心地よさを感じてしまうよね。・・けど女子の場合、やり過ぎてビッチ認定されてしまうと、注目されているようでその実ドン引きされてるわけで。ましてや金銭まで受け取って、となると「軽蔑」レベルまで評価が下がります。なんでフェイクなのにそんな不名誉なマネしてるのか、オリーブの気持ちがさっぱり分かんなかったです。 賢い子なのに友人が離れていくことが予想できないとはちょっと考えづらいですし、そもそもエマが地味で目立たないという設定が無理です。 現代の緋文字のヒロインはタフで打ち負かされないのよ、というメッセージなのかな?でもオリーブは何もしてないんだけどなー。緋文字と被ってるようで被ってないよね。 ヒロイン、わりとヒドイ境遇に次々見舞われる展開なんですが、徹頭徹尾軽くて明るい。可愛いエマが見たい人は楽しめるかも。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-11-28 23:32:08)
296.  イコライザー 《ネタバレ》 
ヒーローが悪者をやっつけるB級モノってあまりタイプじゃなくて、これもさほど期待していなかったのだけどいやいやとても良かった。高得点につられて良かったです。レビュワーの皆さんありがとう。 まず人物造形が丁寧で良いです。D・ワシントン演じるロバートがどういう人間か。出勤前にしてすでに整えられた寝室、きちんと作られる朝食。スニーカーにブラシをかけて時計をチェック。冒頭2分で彼の人となりを説明し尽くす、これら無言のシーンがスマートです。 何かにつけ、行動に要した時間を計る習慣のロバート。彼が世直し的に悪い連中を成敗していくときのカタルシスったらハンパなく、今作の大きな見どころです。 もうすっかりオジサンのD・ワシントン。もっさりした立ち姿で決してK・リーヴスやT・クルーズのようなカッコ良さはないのですが、とにかく頭が切れて攻撃の要点を押さえた無駄の無い仕事をします。説教も殺しもなんという手際の良さ。いぶし銀という言葉がよぎります。時々笑顔を見せるのですが、これがいかにも善人そうで温かい表情なんですよ。傷ついた娼婦も心惹かれるってもんです。 その娼婦役のクロエ・G・モレッツ、人生いっぱいいっぱいの痛々しい演技が見事です。 敵となるロシアンマフィアの刺客の徹底した残酷ぶりも相手として不足なしでした。 思えば、一度も銃を使わなかったロバート。なるほど、彼自身が‶イコライザー(=致命的な武器)”ですもんね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-11-28 00:09:20)
297.  コーチ・カーター 《ネタバレ》 
弱小チームを鍛えて優勝へ導く名コーチのありがち感動スポ根モノとはちょっと違いました。序盤こそ反抗的な荒れる部員と有無を言わせぬ強権的指導者、とステレオタイプでしたけど、S・L・ジャクソン演じるカーターコーチはバスケの技術だけでなく、人生全般をどう生きるかを説くのでした。 「勝ったからって調子に乗るな」「相手に敬意を払え」「奨学金に届く一定水準の成績を取れ」等々と、黒人ラッパーの如き忖度ナシのストレートな物言いでガツガツ来るのです。声も大きい。 まあ文化の違いを感じるというか父兄らにも「教育」の部分が浸透していないため、なんと彼らは「バスケをやらせろ」と猛抗議。やっぱり声が大きくて体もデカい。かの国で生きるには「自己主張」が強くないと押されてぺしゃんこになりそうですな。 お話はめでたくもコーチの熱き教えは部員らにちゃんと通じ、地区優勝は逃すも進学を果たす者もいたりで爽やかです。 にしても黒人である彼らの身体能力ね。ロッカールームでちょっとリズムをとるだけの上半身の動きのキレ、あれを見るだけでアジア人がバスケで敵うことなどとても無理な気持ちになりますね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-11-23 23:22:44)
298.  TAG タグ
素材が素晴らしいので映画化したくなるのも分かります。でもしょせんはプレイヤーだけが楽しい鬼ごっこですから、外部の人間を面白がらせようとして盛らざるを得ず、結果「まあ映画だからねえ」という感想に落ち着く程度のありがちなドタバタ劇になっちゃってます。シナリオライターの限界を感じる痛い一本です。 だって映画の中で一番面白かったのはエンドロール直前に流れる元ネタのご本人たちの映像なんですもん。真面目に馬鹿をやっててすごく楽しそう。ウォールストリートジャーナルの記者もよく見つけたものですね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-11-21 00:15:17)
299.  ビリーブ 未来への大逆転 《ネタバレ》 
いわゆる‶有名人の伝記”的な作りで、映画作品としての面白みに欠けると感じました。事実を盛れとは言いませんが、ルース・ギンズバーグという人となりをもう少し丹念に描くことはできなかったもんでしょうか。頑張り屋で性差別に憤り、超優秀な弁護士。それはwikiでも読めば皆分かっているのです。 例えば夫が病に倒れた時、真っ暗な絶望からどう心を立て直したのか。猛烈に仕事にまい進する日々の中で、一度でもちゃんと子どもを見れてやれていない、家庭という生活を回せていない、と落ち込むことはなかったのか。長女の反抗などは唯一「おっ」と思わせる場面でしたが、さらっと過ぎてしまいました。 夫にしてもあんなパーフェクトな聖人のような描き方では逆に嘘くさいですよ。一つ二つ彼のボヤキが入ってもよかった。 フェリシティ・ジョーンズの情感乏しい演技も相まって、キキの人柄に響くところを感じなかったのは物足りないし、残念です。RBGを語る上であまり成功していない作品と思います。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-11-16 23:53:08)(良:1票)
300.  search サーチ
これは凄い。新しい。PC画面だけで展開するパターンの作品は‶アンフレンデッド”を観たことがありますが、かの作品が「画面上だけという制約」から抜けられなかったのと反対に、画に奥行きもありますし、時系を(過去のLINE画面という形で)戻ったりしながら徐々に緊張を高めてゆく脚本力の高さはかなりのものです。 俳優の演技に頼れない分を、ゆっくり考えながら打ち込むあるいは勢いに乗せて一気に、といった書き込みのスピードで表現したり、やっぱり消去したりといった行為で逡巡が伝わってくるのは巧いなあ。 現在はコンピュータの中に個人の嗜好、考え、行動履歴が詰まってますから、PC一台のデータから映画も一本作れてしまうのですね。事件化した途端現れる自称親友や、上から目線の意見屋、心無い書き込み等、ネット社会の闇も織り込んでいてリアルです。  ‶見せ方”ばかりが斬新かというと、そうではなくストーリーも大いに起伏ありで、こちらの読みをあちこちに振られた末に驚きの展開を見せました。ネタバレしないように頑張って書いております。‶気づき”の鮮やかさ、search力、まさに一気呵成。お見事でした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2020-11-14 23:33:07)(良:1票)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS