21. タイタニック(1997)
《ネタバレ》 私は大デブと言う訳ではないが、まあ言ってみれば「プチでぶ」ってとこだろうと思う。「スポーツやってらっしゃるの?」と聞かれることが多いが、実はかなり肉弛んでます(苦笑)まあそんな私がケイト・ウィンスレットに共感を抱くのはご想像いただけるかと。ハリウッドもスレンダーな女優が多くなってきて、そこに現れた二の腕のぶっとい彼女に、ドレスなのに斧を持った姿があまりに様になりすぎるその体格に、「頑張れ・・・君はデブの希望の光だ!」と勝手に希望を託していたんである。その希望は打ち砕かれ、太りやすい体質の彼女はその後体質がアダとなって作品に恵まれなかったが・・・やはりこの映画は「ターミネーター」のキャメロンらしいと言うか、男が死んで女は愛を胸に生きていく・・・なんてまるっきりそのままやんか。と今になっては冷めた見方もできるのだが、当時の勢いで行けばやはり9点は堅いと思う。 9点(2004-12-18 23:06:01)(笑:3票) (良:1票) |
22. ダイヤルM
私が0点をつけるのって大抵、「シベ超」なんかの「ある意味最高傑作」っていえる作品だ。すなわち、その作品に敬意を表しての0点なんである。しかし、例外的に「この作品には1点もやれない」と思って0点をつけた作品が2つある。そして、この「ダイヤルM」は3作品目の「1点もやれない」0点作品になってしまった。私はこの作品に大きな疑問を抱いている。グウィネス・パルトロウをユダヤ人にした意味は?刑事に対しヘブライ語で話し掛けたとき、一体何が起こったのかと思った。どうやら彼女(と刑事)がユダヤ人であるということを伝えたかったようだが、その後の展開は「だから何?」としか言えないものだった。ユダヤの律法やラビがが出てくるわけでもなく、ユダヤ人の刑事がユダヤ人ならではの救いの手を差し伸べる訳でもなく、襲撃犯のアパートに向かった時にもまたヘブライ語が出てくるが、グウィネスに話し掛けた彼がユダヤ人である必要性も全くない。しかも今の時代、富豪なんてユダヤ人でなくてもたくさんいるだろうに、「ベニスの商人」のシェイクスピアの時代から考え方がちっとも進んでいない。物語には全く関係ないのにことさらにユダヤを強調する意味は一体何なのか?分からない。映画はグウィネスを善人に仕立てたかったようだが、最初の不倫、「夫は私を自由にさせてくれない」とは言うけどそれを理解させるにはあまりに説明不足で、マイケル・ダグラスだってただのぶっきらぼうなだけの夫にしか見えないし、グウィネスも腹に一物ある女と思われても不思議はない(ラストの刑事の言葉もそれを助長している)。ことさら「ユダヤ人」という政治的にナーバスにならざるを得ない民族を出しているにも関わらず、下手に悪意を植付けかねない。長文、しかも政治的な話でレビューページを汚して恐縮だが、全く意味のない、しかもいい加減な設定に怒りを覚えた。 ちなみに、ヒチコック版は未見である。 0点(2004-12-14 00:54:06) |
23. コンタクト
《ネタバレ》 人は誰もが手を伸ばしている、その孤独から抜け出したいがために。それは皆同じなのに、手を伸ばす方向が違うばかりに対立し、時には殺しあう。そのバラバラに伸ばされた手と手がつながった瞬間、私たちは「コンタクト」できるのだと。外惑星と地球、科学と宗教、政府と民間、タカ派とハト派、そして男と女、そのすべてが本当は同じ方向を向きたくて、手をとりたいと願い、叶わずにいる。地上で一組の男女が手をつないだラストシーン(厳密にはラストではないが)は、そのすべてが凝縮された、これまで腐るほど見てきたキスやセックスシーンよりも確かな手ごたえを持つシーンであったと思う。 とはいえ、時にツッコミを入れたいところもある。特にあのムキ歯君、君はテロリストには向かんよ、顔が目立ちすぎるから(だって出てきた瞬間、「スターシップトゥルーパーズ」のヤツだ!ってすぐ分かっちゃったし)。しかしこれもまた、映画は公式や科学論文ではなく、心によって生み出される産物であることのあかしであり、そうしたほころびが時に魅力となる、まさにスクリーン上の絵空事たる映画の真骨頂だろう。科学と空想、これもまた、人を豊かにすることができることで共通している(豊かにする部分は違っていても)。映画で語られたことばかりでなく、この作品を持ってして科学と空想が手をとり合った、というのはいささか考えすぎだろうか? 10点(2004-12-12 14:18:08) |
24. マルコムX
《ネタバレ》 私はこの映画を、ある特定の目的があって見た訳だけど、予想以上の収穫がありましたね。というのも、私はこれを見るに際して「人種差別」よりは「宗教」という視点でセレクトしたのですが、今の情勢を考えるとこの2つは双子の関係のようにリンクしていることを実感しました。信教の自由がありながら、事実上キリスト教国になっているアメリカで、同じキリストを敬いながら同じクリスチャンに罵られ、襲撃され、牧師であった父親を奪われた。さらに白人に生まれてレイプされた母。教会に飾られるキリストは白人であり、白人牧師が教えをたれて冗談でありながらも黒人を「サタン」と呼ぶ。キリストの愛を説く白人が一方で非道な仕打ちを行い、あらゆる場面でそれが降りかかってきたマルコムの半生を思うと、独房で牧師にうそぶいた「おれのケツでもなめやがれ!」というセリフがすごく重く響いてきます。晩年訪れたメッカでイスラムの真実を知り、博愛思想に目覚めてから暗殺されたのも皮肉だと思いますが、清教徒によって生まれたアメリカは今ではなくその頃から、いやそれ以前からイスラムを苦々しく思っていたのでしょうか。時間が経てばまた、私自身の中からいろいろな言葉が生まれてきそうです。 9点(2004-12-12 08:26:12) |
25. ブラックホーク・ダウン
これほど時間が経つのが遅く感じ、見ながら時計を気にした映画も他にない。もっとも長尺ではあるんだけども、4時間くらい見ているような気分。眠さよりもイライラの方で「早く終わってくれないかな」と願っていた。私の場合音楽はメロディライン重視で、映画で言えばそれは「ストーリー」だと勝手に思っていますけど、これにはストーリーもなく、この戦争が正義なのか悪なのかメッセージもはっきりしない、私にとってはこれは類まれなる苦痛でした。ただ、ソマリア少年がアメリカ兵を撃とうとして同じソマリア人の大人(父親?)を撃ってしまったシーンを見て、事態をこじれさせているのはアメリカだよねってことはすごく感じた。そういう自覚がないから「仲間のために戦う」なんて言えるんだろう。アメリカが介入する意味もなくてただ仲間のためになんて言われても、死んだソマリアの人たちはいい迷惑だろう。仲間と団結するならだだっ広い野っぱらで、フットボールでもやっててくれ。表立って戦争の善悪は言わないけれど、その端々にアメリカの「自覚のなさ」は感じた。 4点(2004-12-11 17:43:50)(良:1票) |
26. スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー
微妙・・・確かにこの監督、「すごいオタクだなあ」っていうのは感じるのですが、元ネタが今ひとつ思い出せないようなそういうのばっかりで、特に後半部分のトータルな雰囲気としてはFF(PS以降)でラストダンジョンに乗り込むときに飛空挺艦隊が援護してるムービーを見ているようなそんな雰囲気でした。パイロットなのにクライマックスは戦闘機が使えないし、思い切り大風呂敷を広げた割には本筋の方でショボーンとしてしまいました。ただし、映像は素晴らしい。特に前半のNY襲撃の雰囲気とか、グウィネスがタイプ打ってるときに書いてる記事の内容がバックに映し出される時の見せ方とか。前半のノリでいければよかったのに。 5点(2004-11-28 21:22:05) |
27. 砂と霧の家
《ネタバレ》 この映画の本質は、「孤独」ではないかと思う。登場するメインの登場人物は、みんな孤独だ。ジェニファー・コネリーのキャシー然り、バードン保安官然り。ベン・キングスレーのベラーニ大佐がイラン人という設定は、そういう意味でもうまい設定だ。「イラン」という国名は「アーリア人の国」という意味で、だからかイラン人は他のアラブといわれる中東諸国とは違うんだという自負みたいなものがあり、(「アラブ人呼ばわりされるためにアメリカに来たんじゃない」という言葉が象徴的)しかもイラン革命で国を追われ、祖国のアイデンティティーを持ちながら祖国に受け入れられず、流れ着いたアメリカ社会も彼を温かく迎え入れてはいない。そんな彼が彼にとってかけがえのないものを失った時、皮肉なことに「あなたはもうすぐ自由の身だ」というセリフとともに初めてアメリカに受け入れられたように思う。しかし、もう遅すぎた。生きるよすがを、希望を失っては・・・彼だけでなく、キャシーもバードンもみんな不幸になってこの映画は終わる。それなのに、なぜか私は癒されたような感覚を覚えた。彼らは皆孤独という、彼らのある意味であるがままの姿に戻っていった。彼らが上辺で求めていたものも、本当に求めていたものも、何もかも失って、生まれたときのように何も持たない身になって。そしてその前に少しだけ、彼らがそれぞれ頑なにこだわっていたものが少しだけほどけて、人としての輝きを垣間見たように思ったからだと思う。人として、何か心に重たいものを感じながら、映画館を後にした。 10点(2004-11-21 08:59:53)(良:1票) |
28. ウォー・ゲーム(1983)
今になって初めて見たのだけど、もう20年前の作品なのに、ちっとも色あせてはいない。確かに冷戦だとか音楽のセンスが古いとかマシューブロデリックの髪型がダサい(笑)とか時代を感じさせることはいろいろあるけれど、それでも映画の内容そのものには古さを感じなかった。多分、機械に国を任せることやひとりの天才少年が国家最高機密に入り込む恐怖といったことだけではこの映画は語れない気がする。私にはこの映画、子供同士の遊びに大人(政府や軍)が振り回されているように見えた。思えば現実の戦争も、子供じみた為政者が国を引っ掻き回しているだけ(だけ、というのは語弊があるだろうが真実を徹底的に突き詰めれば所詮そんな程度の心理なのかもしれない気がする)のようにも思うし、そういう視点で見ればシミュレーションゲームのスパコンもあくまでも「比喩」であって、そこにいるのはコンピュータの姿をしていても、戦争を仕掛けようとしている為政者=人間であるように思う。イラク戦争があり、華氏911も見たし、アレを真に受けているわけではないがやはりあの戦争に意味があるとは思えない私には、あのスパコンが某B氏に見えたくらいだ。戦争というのはいつになっても、振り回されるのは為政者ではなく国民だから、時が過ぎてもこの映画には普遍的なパワーがあるように思う。この時期にこの映画を見てよかった。 8点(2004-11-13 07:28:57) |
29. ゾンビ/ディレクターズカット完全版
ホラーに免疫がない私の、初めての本格的?ホラー。先に「レイダース/失われたゾンビ」というヘンな映画を見てしまっていたのだが、身も蓋もない言い方をすれば、そのテーマソングの「ゾンビが俺を追ってくる~」ってのを2時間半やってるようなものだった。出血や内臓もキライだしグロい。なのに7点。自分でもよく分からない。ただひとつ言えるのは、途中で眠くなることなく、それなりにハラハラもしながら、最後まで見てしまったということ。内容は非常にシンプル、悪く言えば単純であるのだが、なぜ最後まで見ることができ、しかも7点という合格点をつけることができたのか。私にとっては恐らく永遠に謎だが、それでいいかもしれない。謎が解けてしまえば、もう謎解きをする面白さもないから。こんな訳の分からないままの高め評価も、たまにはいいかも知れない。 7点(2004-10-24 20:35:30) |
30. ヘルボーイ
《ネタバレ》 あまり宣伝されていなかったこの作品、某シネコンでポスターを見たときビビビっとくるものを感じた・・・「何かこれ、ダメっぽい!」私のレビューを読んでいらっしゃる人ならば、どんな感情でそれを思ったのかピンとくるかもしれない。で、今日それにワクワクしながら見に行ったのだけど・・・あれ?意外によくできてんじゃんこれ。まあノリが好きか嫌いかが大きな分かれ目だと思いますが、乗り込むときのハードロックは悪趣味系大好きな私としては高ポイント。さらに東スポ的ノリ大好き人間としては「こういう写真って、何でいつもピンぼけなんですか?」ってセリフがダイレクトにツボ直撃して大ウケ!新入り君の前任者がやられた時、その無念さがひしひしと伝わってきた。「せっかく植毛したのに・・・」もっとも、ストーリーには一本筋が通っている印象を受けました。対決の構図が分かりやすい分なおさらそう感じたのかもしれませんが、前半だけなら破綻している部分はありません。それが後半に入ると急に失速。ストーリーが破綻していないのに、設定が破綻している、不思議なんですがそんな印象なのです。ジョン・ハートが末期ガンだったという設定は一体なんだったんだ・・・?半魚人のエイブは恋のアドバイスだけで終わり?いつの間に、みんなラスプーチンに捕まったんだろう?ラストのハッピーエンドもご都合主義が満載で、ストーリーそのものは破綻していない分そう言った詰めの甘さが非常に惜しまれます。ハードロックなノリも、後半に入ると普通にオケになってしまって普通にまとまってしまいそれも残念さを助長してしまいました。私としては、よくできている部分もあるだけに後半の完成度が落ちなければ8点はつけられたかもしれないと思い、「惜しい!!!」という意味で6点献上いたします。 6点(2004-10-03 21:33:39) |
31. ヴァン・ヘルシング
映画というのは2時間のイリュージョンだと私は思う。目の前を流れる映像はたちまち消えていく儚さがある。その中で、何度も心の中で(例えワンシーンでも)再生してしまうほど、いつまでも心に残る作品に高評価をつける傾向が私にはある。そういう意味では、この映画は逆に位置するもののように思う。とにかく2時間ずっと打ち上げ花火を一番いいところで眺めているような、メリハリの「ハリ」ばかりが立て続けに起こるような息をつかせぬ映像の数々。私は昨日見たばっかりだ。しかし正直に告白すると、あまりに派手な映像が多すぎたためか、一つ一つのシーンはあまりよく思い出せないでいる。それでも私の中では、久々に時間を気にせずに、純粋に映画を見て楽しむことができた満足感が残っている。打ち上げ花火は上がって爆発すればたちまち夜空に消えるけど、「きれいだったなあ」という記憶がいつまでも残るように。もしかすると人は、そんな儚いけれど夢のように楽しく鮮やかで密度の濃い時間を求めて、映画というものを見るのかもしれない・・・そんなことを考えてしまった。 それにしても、まともに映画撮れるんじゃんソマーズ!前からのファンの人には申し訳ないが、「ハムナプトラ」があまりに大味で真剣さを感じられなかったんである。今回忘れられないのがアナ王女がフランケンに「ありがとう」と言ったとき、フランケンがはっとした表情を見せるシーン。ありのままの自分と対等に接する人を求めていたフランケンには、さりげない一言がどんな言葉より重く、だけど純粋に心に響いたんだろう。「理知の光を持つ」と紹介されたフランケンだけど、このシーンでソマーズの映画にこそ「理知の光」が与えられたように思う。 追記:上映が始まった時スクリーンが広がらないのであれっと思っていたが、最後までビスタサイズのままで終わってしまった。でも最近は必要もないのにシネスコを使う映画が多くてうんざりするが(横に長すぎて見ててつらいんですよね)、シネスコを使わなくても楽しめる映像は作れるということを証明する作品だと思う。 8点(2004-09-21 17:45:04) |
32. 女子高生チェーンソー
「邦題のチカラ」。ここにレビューをするようになって以来、魅惑的な邦題の持つ悪魔的な破壊力を何度感じたことか。「死霊の盆踊り」、映画が本来持っていたいかがわしさに満ちた怪作の持つ腰砕け感をこれほど的確に表した邦題があっただろうか。そして昨夜、新作レビュー一覧を覗くと・・・そこに燦然と輝く、ハッタリとドグマに満ち溢れた邦題。私はホラーは滅多に見ない。怖いと言うより引くんである。ツ○ヤのホラーのコーナーから手に取ったことは一度もない。そんな私を初めてホラーの棚に手を伸ばさせたのが何を隠そう「女子高生チェーンソー」である。この作品を手に取った唯一無二の理由がこの邦題であることは想像に難くないだろう。片や「女子高生」、こなた「チェーンソー」、片方だけでも見世物的ないかがわしさがプンプンするのにそれが合体してしまうとは一体どんな映画なのか。・・・・・・・・・今私が言えるのは「名は体を表す」ということである。ミニスカにルーズではないがハイソックスでキメた中に、全員ではないが明らかに推定三十路目前がいる「女子高生軍団」の、実年齢なんてまるで考えてない乱痴気騒ぎの後に待っている驚愕のラスト---このラストの破壊力はあの「シベ超」以上かもしれない---「何でやねん?!!」・・・「・・・つーか、何それ???」・・・しまいには「・・・そんなこと言われても・・・」唖然呆然として数分の間に溜息さえ出尽くした私はまるで「ちびまる子ちゃん」の1コマのようにタテ線を背負い謎の小さな渦巻に取り巻かれたまる子のように、ただ小さくうつむいたまま激しい鬱状態に陥った・・・ああーもういいや。寝る。寝るったら寝る。追記:あまりネタバレしたくないので詳しくは避けるが、監督は「映画とはいかがわしい見世物である」ということを理解している節がある。シベ超、盆踊り、北京原人等に心動かされる方なら、この映画の「良さ」を理解できると思う。実際私は(ある意味)感動しました。「21世紀0点伝説」と呼ぶにふさわしいこの映画に、20世紀末の伝説となったTVアニメのテーマソングの一節を捧げて締めくくりたい。 「女子チェーン(略称)よ、神話になれ」 0点(2004-09-19 23:58:53)(笑:3票) |
33. リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い
《ネタバレ》 ついついこの前見た「ハムナ○トラ」シリーズと比べてしまうけど、私としてはこっちの方が断然いけますね。やっぱり役者が違う。文学少年(?)ではなかったのでキャラについては知らないのですが、日本で言えばウル○ラマンと仮面ラ○ダーとゴ○ンジャーと月光○面とエイト○ンと宇○刑事とガ○ラが一緒になるみたいな、そんな感じ?(多分違う)元ネタ知っていればもっと楽しめたろうに、それだけは残念。「ハム○プトラ」での欲求不満(軽薄短小ならぬ「軽薄長大」、とにかく薄っぺらくてガックシ。特に人物!)はこちらで見事に解消されました。登場人物のことは知らなくても、彼らはそれぞれに悩みやトラウマがあって、ストーリーの中でそれを乗り越えていく構成がいいです。リーグの中のグレイとその他のメンバーの対比がしっかりしていて、戦いの中でトラウマを乗り越えた6人が勝ち、悪にすがることでトラウマから目を背けたグレイが敗れた。グレイが、避けつづけた自分の本当の姿を見せ付けられた瞬間に、たちまちミイラ化していくのは自分自身を直視する強さがなかったことのように思いますね。それにしてもラストシーンは意味深だ・・・続編希望!だけどもし続編でコネリーが現れたら、怒るかも知んない自分も否定できない・・・(苦笑) 7点(2004-09-18 00:38:14) |
34. アバウト・シュミット
《ネタバレ》 人というのは所詮ひとりでは生きられない。いつになっても、いくつになっても自分の役割と居場所を求め、誰かの役に立ちたいと思い、その実誰かに必要とされたいと密かに願う。それをエゴとか依存と決め付けるのは簡単だが、実際買い物だって誰かがお店を開いてなければモノを買うことすら出来ない(まあ、極端な例なんだけども)。知らず知らずのうちに、誰かにすがっている、それが当たり前なのだと思う。振り返ると、家族を愛していたつもりでいても、結局は仕事にしか満足を得られなかった。家族との関係は空疎なものになっており、またこれまで仕えてきた会社は、定年過ぎるともはやお払い箱で自分のことなどどうでもいい(ゴミ捨て場の書類が象徴的だった)ということを思い知らされ、自分を必要としている人がいないことに愕然として最後家にたどり着いた。ラストまでの時間の長さは、そのまま彼が失った時のような気がする。暗く荒れ放題の家の中は、そのまま彼の心象風景だった。頼りたい人に相手にされず、自分自身の無力さを痛感した彼の心中は如何ばかりか。必要とし、必要とされることを今ごろになって気づいた、もう遅かったのか。その絶望感がひしひしと感じられたから、最後のあの絵には涙が止まらなかった。しっかりつながれた手、大きく輝く太陽が、大丈夫だよと語りかけている気がして。気付くのは遅かったけれど、気付くことが出来たのが大切なのだと。神様がいるとすれば、遠いアフリカの天使にそれをたくしてシュミットに伝えたような、そんな気がする。今でも思い出すたび、涙が止まらない。 9点(2004-09-17 18:52:30) |
35. ハムナプトラ2/黄金のピラミッド
駄目だぁ・・・相変わらずモロばれのCG、モノが変わっただけのドミノ倒し、前作まんま流用の回想シーン、代わり映えしないイムホテップの攻撃方法、相変わらず身勝手な物言いの主人公、FF(ゲームの方)の飛空艇をちゃちにしたような飛行船、「これは実は○○だった」ってな安直なピンチの切り抜け方・・・・・挙げればきりがないです。「恐怖!サソリ怪人」のところでは、もう乾いた笑いしかでて来ませんわ。それとあんたたちいくら夫婦だからって、無駄なキスシーン多すぎ。息子がいいこと言ってたね、「家でやれ」って。同感。ここまできたら、超C級作品と同レベルで点数つけるしかないですね。 どうもソマーズ作品とは相性が悪いらしい。今度「ヴァン・ヘルシング」見に行くけど・・・心配になってきた。 1点(2004-09-15 22:58:43) |
36. ユージュアル・サスペクツ
ポスルスウェイトのオフィスの「成功 力 財産」が気になってしょうがない。ガラスに透かしまで入れてまるで何かのセミナーじゃんか。部屋の表札も日本人にしてみればすごく違和感あるしね。何で気になるかって?織り目の粗い布のほころびは見た目はそんなに気にならないけど、細かく織られた布のほころびは目に付きやすいってこと。いくら「小林さん」も作り話だったとしても、あんな怪しい日本語の使い方されちゃ作り手は日本人みんなオウムって思ってるんじゃないかって思うぞ。オウムも1995年だったしなあ・・・もうオチなんてどうでもいいや。すぐ分かるやん。結構いろんなところから「気付いて光線」発射されてるよ(苦笑)ついでに言うと、ケビン・スペイシーが助演男優賞なら、主演は誰なのよ??クレジットじゃマクナマス役の人がトップだったけど主演にしちゃガブリエル・バーンに負けてるし、出番の少ないポスルスウェイトよりインパクトないし。騙すことにばかりこだわってて細部はしょぼいところが多すぎてダメ。まさに3点、ショボ映画。 3点(2004-09-15 18:37:21) |
37. キング・アーサー(2004)
子供のブラッカイマー少年が古い自宅の物置から「アーサー王」のオモチャ箱を引っ張り出して、思い切りひっくり返したような、良くも悪くもそんな感じです。私は「原作は 忘れてしまえ ホトトギス」っていうのがスタンスなんですが、はっきり言って知ってる人は見ないほうがいいと思います。円卓の騎士たちはガラ悪いゴロツキだし、アーサーがエクスカリバーを抜いた理由やシチュエーションも違うし、そして、ランスロット、ランスロットが・・・あああああ・・・マジかよ・・・・・それでいてメインキャラ(名前)は伝説どおりだし円卓もちゃんとあるんで(しかしでかいなあ円卓・・・)忘れようにも忘れられない。見終わってプログラム思わず買っちゃいました(800円)・・・面白かったから記念に取っときたいというより、ブラッカイマーの意図が知りたかったんですよ。こんなにオリジナルとかけ離れたアーサーの物語にしたのは意図的でした。新たなるアーサー王を構築したかった、確かに今までにないアーサー王「伝説」。って言うか、ローマの属国みたいな感じの妙なリアリティだけがある。伝説を解釈すればこういう「事実」が出てくるんだろうけど、伝説というのはそれこそ「ありえねぇ!!」って感じのファンタスティックな味付けがあるから魅力的だと思うんです。先の剣を抜いたエピソードにしても妙に人間的な動機付けがされ、「神聖で正統なる王」としてのアーサーはない。そういうの嫌いな人もいるでしょうが、神聖だからこそ神がかり的なきらびやかなエピソードに溢れていて、そういうのが面白い。やっぱり「アーサー王」って言われれば、多くの人は「伝説」を見たいと思う。でもスクリーン上にあるのは、妙にリアリティだけがある「歴史物語」だった。あんなに「ありえねぇ」アルマゲドンを作ったのに何で・・・製作国が米・アイルランドってなってるけど、本家イギリスが製作に加わらなかったのも肯ける・・・ 4点(2004-09-15 18:36:12)(良:1票) |
38. ハムナプトラ/失われた砂漠の都
《ネタバレ》 見終わった時点(昨日)では6点にするつもりでしたが、翌朝目が覚めて3点にがた落ち。まさかこんなに金かけてCGに手間かけて、出来上がったのがドリフのコントとはねー。あの棺が落ちてくるシーンなんてほとんどタライ扱いじゃないですか。タライに失礼だろっっ!!(違)3点つけておいてなんですが、けっこう笑わせてもらいました。でもどのシーンで笑ったのか、棺のシーン以外思い出せない・・・昨日見たばっかりなのに。 以下、箇条書き。 ●人の死が軽すぎる。せめて図書館のボスは悼んで欲しかったなあ・・・ ●CGがCGと分かりすぎ。夜の市場は妙にセットくさい。 ●何より主演がミスキャスト。大根。無礼者なのに無礼者に見えない。こういう役こそ、ベン・ア○○ックが適役でしょう(笑)他の役者が割とよかっただけにねえ・・・ あ・・・思い出した。図書館ドミノ。何も映画の予算で「世界一ドミノ倒しに挑戦!」しなくてもいいじゃんねえ。大きさだけなら多分世界一だよね。 3点(2004-09-13 22:48:40)(笑:1票) |
39. パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち
《ネタバレ》 ああ・・・またかよ・・・「実は幽霊でした」って、すごく冷めるんだよな~。しかも何となく読めるし。主演の3人はいいんだよ。特にデップ。「頭がいいのかバカなのか・・・その2つは区別つきにくい」って、まさにジョニー・デップのためのセリフ。デップ自身、その美貌に喧嘩を売るようなおかしな役ばかりやってる。まあ、普通の二枚目じゃ盛りが過ぎればまた次のいい男が現れる。それだったら・・・ってな訳で、なんだかジョニー・デップ論になっちまったな(苦笑) 5点(2004-09-08 22:01:54)(笑:1票) |
40. 華氏911
マイケル・ムーアは寿司職人だ。ネタを見抜く目利きのよさは断然優れている。銃社会をにぎりにして差し出した「ボウリング~」で一躍日本でも知名度がアップしたが、どうもサビを効かせすぎる嫌いがあって、それが賛否両論を巻き起こすもとになるのは想像に難くない。そしてまた、世界でおそらくもっとも関心を持たれているあろうこと---世界中の人間が食べたがるネタから、まるでヒラメからエンガワを切り取るように、あまり知られていない美味しいところを切り取って、また例によってサビ(編集・モンタージュ)をたっぷり効かせ「へい、お待ち」---だが今回のネタはどうも脂が乗りすぎているのか、見終わった後どうも胃がもたれてしまう気がする。アメリカの「岸壁の母」はホワイトハウスで叫ぶ。しかしこれもまた、この寿司の単なるネタでしかない。シャリ。ネタの風味を殺すことなく、しかしそれ自体もまた味と食感が損なわれては寿司の完成度を下げてしまう。だが、ネタは変わることもあるが、シャリを替えるということはまずないと思う。ムーア映画3本、その都度用意された客の飛びつくネタに隠れ、替わることのないシャリがしっかりとある---ムーアは自分自身を愛国者と語るが、それ以上に生まれ故郷のミシガン州フリントを愛しているのだと。「ロジャー~」で始まったフリントの不遇に対する義憤。大義なき戦争へと駆り出される若者たちにも、GM工場閉鎖による失業の影が付きまとう。ブッシュとサウジのつながりという陰謀論的な話やアメリカ版岸壁の母の陰で、ムーアの映画作品の中で常に変わらず描かれているのは、屋台骨を失った生まれ故郷の叫びである。だからこの「華氏911」も、ムーアが今まで作りつづけていた映画のシリーズ作品として見るべきものではないだろうか。戦争、陰謀、犠牲---それらに憤りを感じることも人間として大切だ。しかし、そればかりに囚われるとムーアが伝えようとしている本質を見失ってしまうと思う。「書を読みてとごとくそれを信ずれば書は無きに如かず」ムーアは確信犯的に、映画を作ることによって情報を鵜呑みにすることの危うさを問うている。前作で語られた「恐怖の文化」は、ムーア作品を見る上でも観客側が忘れてはならない戒めであろうから。人は考えることを忘れてはいけない---それは奇しくも、タイトルのネタ元である華氏451のテーマにも繋がるものである。 9点(2004-09-05 11:40:42)(良:1票) |