41. シンドラーのリスト
《ネタバレ》 シンドラーという人の真実の姿は誰にも分からないが、単なる享楽主義の商売人だった主人公が、我が身の富と自由を謳歌する以上の生き甲斐を、無為に死んでいく人々を救うことに見いだしていくという、その経過がいかにもスピルバーグ的な演出でうまく描かれていたように思う。ホラきたうまいなぁと若干目が覚めるような気がするシーンもチラホラあるが、監督自身の出自を踏まえればいつかは撮ったであろうこのテーマを、世界中の映画ファンの期待を裏切ることのない完成度にきっちり仕上げたのはさすが。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-09-13 14:11:40) |
42. グリーン・カード
《ネタバレ》 人生は目的達成のためにあると考えるアメリカ女と、人生は愉しむためにあると考えるフランス男。どちらも異性ウケという点ではかなり癖があるけれどギリギリ憎めないキャラ設定なのが心憎い。かくいう自分も冒頭はイケメンでもないのに悪気のない鈍感さで女をいらつかせるドバルデューにいいかげん愛想が尽きかけるものの、ラストシーンに至っては「いやいや、こういう男に愛され抱かれてこそ、女の幸せが分かるのかも…」と思ってしまう悔しさよ。切なく小粋なエンディングがまた良くて、フランス男の恋愛妙技に脱帽。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-08-14 00:15:57) |
43. ジュマンジ
こういう作品にはやっぱりロビンが欠かせない。キラキラお目々のロビン、大好きです。確かにCGは若干ちゃっちいが、ボードゲームから出てきたんだから玩具っぽくていいんだと思う。我が家は輸入物のボードゲームが好きでよく家族で遊ぶので、子ども達も物語の進行にすんなりはまっていたようだ。でも、どんだけサイコロふっても良いことが全然ないなんて、こんなボードゲームは嫌だ!と子供同士でやいやい言っていた(笑)最後まで太鼓の音に臨場感があって耳から離れない。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-08-14 00:04:59) |
44. サボテンの花
《ネタバレ》 堅物女の開花をサボテンの花に重ねるという、まるで和歌のような奥ゆかしい人生賛歌が愛おしい。ゴールディは確かにキュートだが、実際身近にいたら相当面倒くさいお騒がせ女。そんな落ち着かない小娘キャラが引き起こすドタバタから展開する話でも、あくまで後味良く上品にまとめられるこの時代の名作を観るに付け、当時の映画人のリアルな生き様も今よりずっとお洒落だったんだろうなぁと思わせる。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-08-09 16:42:13)(良:1票) |
45. 私がクマにキレた理由
《ネタバレ》 退屈な原題と比べてイカした邦題にまず5点。キャラ設定といいストーリーといい、少女マンガっぽさ全開でティーンエイジャーにお勧めの一作。ラストは崩壊しかけた家庭はいっそぶっ壊れるがよろし、というアメリカ的鬼ポジティブな家庭観がやや大味な印象。ガキも結局成長しとらんし、それで良いんか?!と思うが、これは自分大好き病のアメリカ映画、主人公さえハッピーなら万々歳、という割り切りが必要。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-07-11 00:03:25) |
46. ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
原作で一番好きな巻の映画化なので期待半分&期待ハズレ覚悟半分で観た。結果、原作との比較を抜きにすれば、こちらはこちらで映画化作品の中で一番好き。シリウスをG.オールドマンが演じると聞いただけでもうワクワク。ディズニー映画のような明るい夢と魔法の世界とはかけ離れた重厚なイギリス児童文学の雰囲気が醸し出されていた。かと言って原作未読だとエピソードぶつ切り感が辛かったかもと予想。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-05-22 01:36:25) |
47. ウォーリー
《ネタバレ》 オートメーションの恩恵にどっぶり浸かり、自力では歩行すら覚束ないという情けない未来の人類の姿は、昔読んだ「銀河鉄道999」の某エピを思い起こさせました。でも、そんな画一的な描かれ方をしている人間とは逆に、ロボット達はそれぞれに個性も愛嬌もあるキャラが光っていて、さすが夢と魔法の国らしい演出だと感心。ウォーリーの起動音もツボでした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-04-02 15:33:05) |
48. ブリジット・ジョーンズの日記
イギリス物の笑いは自分にとって当たり外れが大きいのであまり期待せずに見たが、面白かった。主人公に共感こそしないものの、こんな人が友達だったらすごく愛せると思う。男優二人はハマリ役で、ヒュー・グラントが嫌いな自分は思うさま罵れてスッキリした。もはやレネーに関しては言及不要か?このまま女デニーロの道を邁進していただきたい。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-01-27 14:57:12) |
49. 理想の女
ヘレン・ハントはミスキャストでは?と思ったが、話が進むうちに引き込まれ、ラストにはああ、これはやっぱりヘレンだわーと納得。金持ちの演出が嫌みじゃなくて品があるところが、単純な米国映画とは一線を画す。登場人物のそれぞれが人間らしいエゴを見せても卑しく見えないのは、分を弁えるルールが暗黙の了解で守られているからか。大人の粋が小気味よい物語。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-12-23 19:40:01) |
50. イン・ハー・シューズ
《ネタバレ》 長らくキャメロン・ディアスという女優の魅力が解せなくて、前半は役柄まんまに「あー、やっぱりこの女ヤダ!」とイライラしながら観た。でも、だからこそ後半の展開に素直に引き込まれ、最後にはマギーのキャラごとディアスの実力を見直した。詩の朗読シーンが特に印象的で、「頭の良い子だ」と教授にA+をもらった時のマギーの表情がすごく良かった。ジャマイカレストランでの手作り結婚式も、そのゴチャゴチャなんだけどHAPPYな感じが姉妹の新しい門出を象徴しているようで微笑ましくて、映画の中の挙式シーンのベスト10入りしそう(マギーが選んだドレスも本当にローズによく似合ってた)。思いがけず掘り出し物の一作でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-11-30 00:07:44) |
51. きみに読む物語
若者には若者の、老人には老人の思い描くファンタジーがあるとしたら、こちらは後者の傑作。最初から展開が読めるからこそ、老人も安心して観れるのだからこれでいいのだ。全ての老人ホームに常備すべし!白鳥の湖ならぬアヒルの湖のシーンがなんとも可愛くて良かった。端正な美女というよりちょっとファニーフェイスのアリーには白鳥よりアヒルがお似合いかと。正直言ってあのエンディングは余計だったなーと思ったが、もし自分が老齢となってこの作品を見たら、たった数分しか取り戻せない愛情に繰り返し打ちのめされるノアの姿が切なすぎて、本当の終わりを見届けるまで安堵できないような気がする。自分は今30代だが、もう30年ぐらい生きて今の自分の未熟さ傲慢さを微笑ましく思えるぐらい成長したら、あのエンディングにも素直に泣けるんじゃないかと思う。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-10-09 12:01:17) |
52. ナイアガラ
シンプルでゴージャスでキラキラしてるハリウッド映画らしい映画。ナイアガラの観光映画としてはもちろん満点の出来だと思う。当時はスペクタクル眺望ありお色気ありサスペンスありの娯楽超大作だったのだろうが、ハラハラドキドキする感じではない。むしろ登場人物達の言動一つ一つに品がある古き良きアメリカ文化を懐かしみつつ、心穏やかに鑑賞できる。動くバービー人形みたいなモンローはもちろん、美しい女優たちを眺めているだけで楽しい。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-10-09 10:20:45) |
53. レナードの朝
二人の名優の神演技を堪能できます。激しく痙攣しながら鬼気迫る形相で「学べ!学べ!」と叫ぶパーキンソン病患者。R.デニーロにしかできません。とことん不器用でシャイな医師が、嬉しいときにちっちゃな目をキラキラさせてはにかむ様子。R.ウィリアムスにしかできません。展開に無理のない抑えたエンディングも良かった。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-07-22 14:18:57) |
54. ダーウィン・アワード
馬鹿な人間を笑うというより、主人公を含め、人間のどうしようもない愚かさを笑って許そうという趣旨の映画だと思う。一人で大恥をかいた時、周りの人間に見なかったふりをされるよりいっそ爆笑してもらった方が救われることもある。不幸にも愚かな死に様でこの世を去った人々の存在意義を証明するダーウィン賞の発想は、実は人間愛に満ちているのでは(笑)。「実際のところ、勇気と愚かさはほぼ同義」ってシーンについ爆笑したが、話が進むにつれて、過剰な警戒心も愚かさとほぼ同義ということが分かる仕組み。すごく面白かった。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-07-22 13:48:21) |
55. 潜水服は蝶の夢を見る
身内が同様の奇病にかかって入院したことがあり、当時の本人の気持ちを思って妙に感情移入してしまい、突然画面が曇ったと思ったら見ている自分も泣いていたりして、客観的に鑑賞するのが難しかった。 でも、10万人に一人か二人という珍しい病気の患者に際して、相手の身になって考えることなどに到底出来ないと思っていたのに、こんな美しい映像でそれを理解する手がかりをもらえたことに素直に感動した。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-05-29 13:36:13)(良:1票) |
56. おしゃれ泥棒
「おしゃれ泥棒」の邦題が秀逸。本当に洒脱で品が良くて楽しい映画でした。ヒロイン着せ替え映画としては、映画の中でしか見られないファッションを楽しめるので、SATCよりこっちの方が自分にとっては貴重。ストーリー展開のテンポも良くて退屈しません。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-05-22 09:13:42) |
57. ブラック・スネーク・モーン
《ネタバレ》 一歩間違えば猟奇変態もののシチュエーションなのに、激シブな演出でしっかり骨のあるドラマとして成り立ってるのが面白かった。これまであまり聴いてなかったブルースも、映画という料理の味付けとなってその魅力がじんわりと伝わってきた。画としてはラザラスとレイの身体を張った人間綱引きのシーンが最高。変に甘ったるいエンディングにしなかったのも正解だと思う。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-05-14 21:46:44) |
58. セックス・アンド・ザ・シティ
ドラマ未見で特に登場人物に思い入れ無く観た者としては、序盤ではあからさまに物欲至上主義で生きる女性達に今ひとつ共感できず、「アメリカ人のイヤなところ満載だ・・」と思いつつ、純粋にキャスト達の着せ替えショーを楽しむつもりで観ていた。が、この短い時間でもだんだんとそんな彼女達の憎めない面に情がわき、引き込まれて最後は泣き笑い。見始めと鑑賞後でこんなに評価が変わる映画も珍しい。これから改めてドラマを見ようかなという気になった。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-05-14 09:25:41) |
59. 魔法にかけられて
ミュージカルシーンはディズニーの王道を行く感じで素晴らしかった。全体的に夢と魔法の王国テイスト100%で、アホになって楽しむが良いという映画。追っかけてきた悪い女王の小林幸子な登場の仕方に大爆笑。ラストの安直なカップリング交換もお子様映画だから大目に見ましょう。ただ、王子様もお姫様も日本人の目から見ると若干老け気味に見えて残念。TDRのパレードで、憧れのキャストを間近で見たらシワシワでがっかり、の気分です。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-05-04 13:38:33) |
60. シッコ
アメリカかぶれのティーンエイジャーに見せたい映画。 政府の方向性では間違いなくアメリカを追随していると思われる日本にあって、ここで描かれている悲惨な医療問題は決して他人事ではないと思う。ただ、日本にはアメリカ社会の根底にある狂信的なまでの社会主義アレルギーがなく、むしろそういったイデオロギーを何ら持たずに生活する人が大半であるから、船頭次第でどっちに転ぶか分からない。例えばこの映画で描かれているような他国の現状に関心を持ち、さらに自国の現状を顧みる人が増えれば、同じ轍を踏まない道を選べるはずだと思いたい。 それにしてもアメリカ人の肥満率はひどいものだ。一目瞭然の自分たちの無秩序な生活習慣を棚に上げ、平然と体制を糾弾する身勝手さもまた、この国らしい。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-05-04 12:11:32) |