801. 最高のルームメイト
《ネタバレ》 両親を亡くした幼児マイケルを引き取った祖父ロッキー75歳。以後30余年に亘る二人の成長物語。毒舌家だけどここ一番の時に孫を正しく導く慈愛深い姿が沁み入ります。「ママが死んだのは熱を出した私のせいなの」ポツンと呟く娘に見失った自分を取り戻したマイケルに泣けてしようがなかったです。コロンボ役以外でも味わい深い演技を見せてくれるピーター・フォークの名優ぶりを堪能しました。瑞々しいジュリアン・ムーアも印象的。本邦未公開が信じ難い秀作。 [DVD(字幕)] 8点(2019-07-17 01:01:06) |
802. らせん階段(1945)
《ネタバレ》 陰影深いモノクロ映像の上品な美しさに感じ入りました。犯人に気づいたドロシー・マクガイヤの表情演技が素晴らしい。彼氏不在で勝ち目が無くハラハラした中での意外な決着に感心しきり。監督がナチスの所業を意識したのか知りませんが、犯行動機のお粗末さが何とも惜しい所です。 [DVD(字幕)] 7点(2019-07-12 01:51:06) |
803. ウェディング・バトル アウトな男たち
《ネタバレ》 客寄目的が客離れを招いているかのような邦題のお粗末さに失笑。 愛娘がよりにもよってこんな奴と付き合ってる父親の狼狽ぶりをブライアン・クランストンが好演。こんな奴を演ずるジェームズ・フランコの憎めないキャラに好感。弟役のグリフィン・グラックがなかなかの美少年でなかなかの芸達者で印象的。イーロン・マスク登場にビックリ。長くてダレたけれどそこそこ楽しませてもらった物語メデタシメデタシで終るのだろうと思った矢先に登場したポール・スタンレー&ジーン・シモンズに、ご本人なのだろうか! いつぞやの『オールスター爆笑ものまね紅白歌合戦!!』でのシンディ・ローパー登場シーンと同じく大興奮。+2点 [DVD(字幕)] 7点(2019-07-09 01:27:25)(良:1票) |
804. ザーレンからの脱出
《ネタバレ》 政治犯シャリフ、彼の信奉者アーメド、横領犯ヒューストン、妻殺し、極悪人、ザーレン石油会社看護師ライラが乗り合わせる救急車での国外脱出の逃走劇。砂漠に於ける飲み水不足、ガス欠、呉越同舟の内輪もめ、迫りくる追手といった冒険活劇としての要素はあるのものの、追手の顔が見えなくて緊迫感に欠ける。ユル・ブリンナーは流石の存在感だけど、ターバンのせいなのか精悍さが薄く感じられて残念。突然のベルベットボイスに「エッ?」と思ったらジェームズ・メイソンその人でキチンと座り直したのに3分ぐらいでワクワクする間も無くご退場。嬉し悲し。盛り上がりに欠けた展開で都合よくまとめられた結末に物足りなさが募る作品。 [DVD(字幕)] 6点(2019-07-06 22:18:45) |
805. ホワイト・ドッグ
《ネタバレ》 「殺すのは簡単だが、それでは解決にならない」一念での奮闘が報われたかと胸熱になった途端の狂気の顔つきに、子供時分に大人達が口にしていた「所詮は畜生やからなぁ・・・」が浮かびました。ポール・ウィンフィールドの遣る瀬無さ極まる姿にもらい泣きしそうに。作品に格調をもたらす音楽はモリコーネ流石の仕事ぶり。孫を連れた見た目温厚な好々爺のレイシストが、幼犬時から黒人使用人に命じて虐待させて黒人への憎悪を植え付け黒人殺人犬に仕立て上げる。洗脳のおぞましさは犬のみならず人間にも当てはまるホラーの枠を超えた考えさせられる秀作です。本作はNAACPの猛抗議によってパラマウントが公開に尻込みして上映禁止となり、サミュエル・フラーがフランスに移住したといういわくつきの作品でもあります。 [DVD(字幕)] 8点(2019-06-29 23:35:04) |
806. 泥棒貴族
《ネタバレ》 掘り出し物の傑作。脚本、キャスティング、音楽、舞台セット、全てが絶妙の小粋なクライムコメディ。最後の最後まで騙されてしまったのが心地良く余韻に浸ります。本作のMVPと言えるハーバート・ロムが絶品でありました。余談ながら、本作のリメイクがモネゲームと知り心底仰天。傑作を超絶愚作に貶めた罪深さにあの時の煮えくり返る思いが甦ります。 [DVD(字幕)] 8点(2019-06-24 00:16:18)(良:1票) |
807. 無謀な瞬間
《ネタバレ》 ジェームズ・メイソン スクリーン初体験。登場した時に手を振っちゃいました(恥ずかし) 強請屋というのに、期待に血圧急上昇。 女性映画の巨匠作品ならではの主役に見えたジョーン・ベネットの堂々とした振舞に圧倒され恋心を抱き守り抜いて死んでゆく。 灰汁の少なさが物足りなくてクールダウン。 どのシーンが無謀な瞬間だったのか、いくつか浮かんだものの釈然としない。 ま、それでも、お姿を拝めてベルベットボイスを堪能できたのだから満足であります。 [映画館(字幕)] 7点(2019-06-22 14:25:00) |
808. ヘンリー/ある連続殺人鬼の記録
《ネタバレ》 実在人物でレクター博士のモデルとなったと言われるヘンリーの殺人記録が描かれています。彼の生い立ち、被害者の人となり、警察捜査模様は一切描かれておらず、殺人模様及び遺体をこれでもかと見せられて、私がこれまでに殺した蚊の数を覚えていないのと同じレベルで人を殺す人物の恐ろしさを味わいました。おどろおどろしい音楽も怖さを後押ししておりました。 [DVD(字幕)] 6点(2019-06-17 16:43:16) |
809. ファンキーランド
笑えるところ、しんみりするところ、胸熱になるところ、何も無く、ひたすら喋り倒す持ち味全開のジェシー・アイゼンバーグお疲れさんと肩をたたいてあげたい作品。 [DVD(字幕)] 4点(2019-06-16 23:50:18)(良:1票) |
810. ソリタリー・マン
口から吐かれるご高説とは裏腹にやってる事は、そこらへんのサカリがついた犬猫と変わらない。マイケル・ダグラスなればこそ観るに耐えるシロモノだったが、孤高の「こ」の字もないソリタリーマンの与太話。とっとと忘れたい愚作。 [DVD(字幕)] 2点(2019-06-15 14:39:08) |
811. ハイ・シエラ
《ネタバレ》 ハンフリー・ボガートがハイシエラに立て籠もるシーンに「死の谷」が浮かびました。鑑賞後、本作をラオール・ウォルシュ監督がセルフリメイクしたのが「死の谷」なのを知る事に。出世作となったボガートの魅力は感じたものの、起承転結は元旦早々から涙したリメイク作には遠く及ばない。崖から転げ落ちる最期のスタントマンの仕事ぶり(あれで生きてられるのが凄い!)に+1点。 [DVD(字幕)] 7点(2019-06-12 01:30:21) |
812. 決断の3時10分
終始物静かなベンは西部劇悪漢キャラらしからぬ存在。ダンの心を見透かすように金で釣ろうとするネチネチぶりに血圧が上がる。甲斐性なしを突かれて金に転びそうになるダンを応援し続けて血圧が上がる「踏ん張れ!」 グレン・フォード、ヴァン・ヘフリンのキャスティングが絶妙 力が入りっ放しの展開を経た結末に釈然としないものを感じていたものがラストショットに消し飛んでしまった。乾いた心にまで沁み入ってくる雨模様が絶品。 異色であり上質の西部劇を堪能しました。 [DVD(字幕)] 8点(2019-06-10 22:04:53) |
813. 激怒(1936)
《ネタバレ》 拘置所前の群衆に集団心理の恐ろしさに息を呑むものの、その先の暴挙は現実離れにも程があるものでかえって白けてしまい、あそこから生還できたというのも無理筋で興に乗れません。犯人が特定されないと高をくくっていたゲス共の顔が防犯カメラ以上に鮮明に映っているのに胸のすく思いに。この演出は見事。この先建設的に生きようとする決断は納得させられるが、監督らしからぬものを感じモヤモヤが残る事に。 [DVD(字幕)] 7点(2019-05-31 23:58:25) |
814. ララミーから来た男
キャストは豪華なのだけど、何の為に出てきたのか分からないキャシー・オドネルを始めとして、お目当てフィリップ・ヨーダンらしからぬ深みの無い脚本で、退屈さだけ味わった残念な作品。 [DVD(字幕)] 4点(2019-05-28 16:37:27) |
815. 復讐鬼(1950)
《ネタバレ》 1950年にこのような作品をよくもまあ世に送り出せたものです。見下げ果てた悪党を演じさせたら右に出る者無しであるリチャード・ウィドマーク持ち味全開であるところに加えてのレイシストっぷりは「演じ切る」役者魂を感じました。エキストラの女性がブルックス医師(シドニー・ポワチエ 22歳)に「黒い手で触らないで」と唾を吐きかけるワンシーンにウィドマークの罵詈雑言を上回る当時の世相を見ました。製作者は「黒人だろうが白人だろうが医師として優秀な者を求めている」というウォートン医師の存在を黒人白人皆に観てもらいたかったのだろうと思います。凄い作品を観ました。 [DVD(字幕)] 9点(2019-05-25 01:18:47) |
816. 魔術の恋
《ネタバレ》 今でもアメリカではマジシャンと言えば第一人者と呼ばれるハリー・フーディーニの伝記ドラマ。存在を初めて知りました。ベスとのなれ初めから成功を収めて亡くなるまで、脚色が加えられているようですが、実に丹念に描かれて見応え十二分。流石にフィリップ・ヨーダンの脚本は見事です。ベス同様にもう余生は穏やかに過ごせばいいのにと思うのですが、命を懸けて観客を喜ばせたい「脱出王」の性が何とも悲しい。実生活でも夫婦の二人の華やかさも、これぞ映画スターの華やかさで見惚れました。 [DVD(字幕)] 8点(2019-05-23 01:41:30) |
817. ピンクパンサー2(2009)
2006年版未見。時おりいい人になるスティーヴ・マーチンはピーター・セラーズほどのアクが無いものの、豪華キャストに引き立てられてのドタバタコメディが楽しい。「このまま終わるわけないやん」と言わんばかりのラストに爆笑。僅かな出番でも超カッコよかったジェレミー・アイアンズに+1点。 [DVD(字幕)] 7点(2019-05-21 18:34:47) |
818. ダンケルク(2017)
《ネタバレ》 監督十八番の映像表現によるダンケルクの戦いを描いた本作。立っているだけのケネス・プラナーを始めとして33万人救出の感動が何一つとして湧き上がらなかった。凝った絵柄(+1点)のニュース映像であって映画としての面白味が皆無の作品。 [DVD(字幕)] 3点(2019-05-16 16:15:26) |
819. アブノーマル・ウォッチャー
《ネタバレ》 大家のオッチャン。変態だけど見た目は上品・善良・普通の人間、ではなく、見た目そのものがこれ以上ない程気色悪い変態。やる事もこれまた気色悪さマックスの変態。ハズレ作品かと思ったけれど、変態が暴走するだけ、ではなく、出産間近の若夫婦の不倫ドラマが上手く絡まり合ってなかなかの見応え。旦那の浮気現場(そもそも自宅に引っ張り込むのはアカンでしょ)を覗き見するオッチャンの表情が何とも言えない気色悪さ。怒っているのかそそられているのか。迷宮入りしてしまうっぽい展開に無理筋を感じた矢先のラストショット。オッチャンの満面の笑みに驚愕。この結末も無理筋そのものだけど記憶に留まりそう。 [DVD(字幕)] 7点(2019-05-15 20:35:04) |
820. ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ
《ネタバレ》 13歳で初めて食べたチーズバーガーに大感激「この世にこんな美味しいものがあるのか」現在に至るまでマクドで食べるのはチーズバーガー。レイ・クロックのお蔭なのでしょうが出会った数々の恩人に対する仕打ちにおける人間性に幻滅。糟糠の妻を捨て、ビジネスパートナーの妻を略奪し、兄弟から企業を乗っ取り、会計士と袂を分かつ。紳士協定の件で「この男は口だけだろうなぁ」と思った通りだったのがやりきれない。「それすら守れんのか!」 現在、関税のかけあい合戦に精を出す大統領同様に、人間性と行動力は別物なのを思わされる。 [DVD(字幕)] 7点(2019-05-15 20:07:13) |