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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2598
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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【製作国 : ドイツ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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41.  トロピック・サンダー/史上最低の作戦 《ネタバレ》 
とても悲しいことがあって、こういう時だからこそ敢えて理屈抜きに大笑いできる映画を観ようと思った。 普段は積極的にこの類いの“コテコテ”のコメディ映画は観ない。だからベン・スティラーの映画を観るのも本当に久しぶりだった。  どのジャンルの映画においても同じことが言えようが、コメディ映画というジャンルは特に観る者によって好き嫌いが大別される。故に笑いどころのポイントが合わなければ、その人にとっては駄作以外の何ものでもなくなってしまう。 それはもう丁半博打のようなものだけれど、幸運にもこの映画は大笑いできる映画だった。サイコーである。  ある程度あらゆる映画を見続けている人であれば、映画の冒頭から本当に可笑しくて仕方なくなってくるのではないかと思う。 戦争映画のパロディというよりも、ハリウッドの映画産業自体を風刺しパロディ化した映画世界は、凄まじいほどにきちんと作り込まれていて、笑いと同時に大いに感心してしまう。 数多の戦争映画で描かれてきた戦場における狂気の様と、ハリウッドのメインストリートの住人たちの滲み出る狂気が絶妙にリンクしていく描写は、ストーリーとしてもとても優れていた。  世界中にコメディ映画は溢れているが、本当に優れた可笑しさは、ストーリー的にも映像的にも徹底したクオリティーの高さの中にこそ生まれるということを、この映画の作り手は熟知しているのだと思った。  ブラックで時にどギツイシーンも連発されるが、豪華な出演陣のパフォーマンスをはじめ、常に“中途半端”であることを避け、すべてにおいて“振り切っている”ことが、決して居心地の悪さを感じさせない理由だろう。  鬼畜豪腕プロデューサーの意味不明な“ラストダンス”も含め、問答無用にテンションを上げてくれる“今の自分”に相応しい映画だったと思う。   個人的に惜しむらくは、鬼畜豪腕プロデューサー役のキャスティングに最後のクレジットまで気付かないでいられたなら、最終的なテンションの上がり方はもっと劇的になっただろうなと思ったこと。 某スパイ映画の最新作を含め、「彼」の映画を最近立て続けに観たばかりだったので、“眼”と“動き方”から気付かずにはいられなかった……。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2012-01-14 16:25:55)
42.  リトル・ランボーズ
“なにか”に触れ、自分のその先の人生をかけるくらいに熱狂する。それは、すべての“男の子”に与えられた「権利」だ。 その熱狂が、たとえ盲目的で何かしらの弊害を生んだとしても、熱狂したその瞬間こそが彼らにとっての「宝物」であり、生きていく中でその価値はきっと揺るがない。  生活環境が全く異なった11歳の少年二人が、「ランボー」で共鳴する。 主人公二人の共通項が詩人のアルチュール・ランボーのことであればひどく退屈な映画に思えるが、シルベスター・スタローンの「ランボー」であることが映画の面白さを引き立てる。  厳格な信仰の元で育ちあらゆる娯楽を禁じられた少年が、悪たれだが映画が好きな少年に引き込まれ、嗜好を爆発させていく様が愉快で解放感に溢れている。 個人的に、かつて映画製作を志していた時期があるので、少年たちが喜びを爆発させるように映画づくりに没頭する様を観ているだけで、この映画を否定することなどできなくなる。  少々意味不明な交換留学生のフランス人の存在感や、主人公たちそれぞれの境遇の中途半端さに対して、この映画が求める抑揚に乗り切れない部分もあった。 ただそういう難点を補ってあまりある“輝き”がある映画であることは間違いない。
[DVD(字幕)] 7点(2011-12-23 10:12:08)
43.  ワイルド・スピード
或る知り合いの女性と話をしていると、普段の大人し気な印象に反して「クルマが好きだ」ということを初めて知った。 なんとF1観戦に国内のサーキットまで行ったこともあるという。 まさかと思い聞いた。「じゃあ『ワイルド・スピード』っていう映画も好きなんじゃない?」 彼女は「大好きだ」と即答し、シリーズ全作観ていると言った。  僕自身が自身の趣向を人生における最優先事項に考えているので、他人が何かしらを「好きだ」とテンションを上げて表現する様を見ると、自分がそのこと自体に対してそれ程興味の無いことであっても、涙が出る程嬉しくなる。  ちょうどシリーズ最終作が公開されており、ことのほか評価が高いようで気になっていたこともあったが、ふと触れた他人の「趣向」に大いに影響されて、その帰り道に寄ったTSUTAYAで即座にシリーズ第一作目の今作をレンタルした。  充分すぎる程に想定していたことで、「大好きだ」と言った女性も断言していたことだが、観終わった後には見事に“何も”残らない。 本当に何か映画を観たのかと疑心を覚える程に、頭の中がすっきりと空っぽになっていることに気づいた。  賢明な映画ファンなら即座に納得するだろうが、それはこの映画の存在性に対する「正解」である。 観賞後に何か思いを巡らせる必要など微塵も持ち合わせていない。映画を観ているその瞬間だけ楽しんでいられれば良い。それ以上もそれ以下も、この映画は求めていない。  こりゃあもうシリーズ全作観て、公開中の最新作まで突っ走ってみるしか無い。  ただ一つ注意すべきは、観賞後の「安全運転」、ただそれだけ。
[DVD(字幕)] 7点(2011-10-04 14:58:26)(良:1票)
44.  ワイルド・スピードX2
こういう映画の場合、「感想」なんて本当に不必要だと思う。 目まぐるしいカーアクションを頭を空っぽにして見始めて、見終わるそれが正しい“観方”だろう。  話の流れで目も向けていなかった第一作目を観てしまったので、勢いに乗ってシリーズ全作を観てみようと思い至ったシリーズ第2作目。 「X2」って何だ?と思い、もしかしたら「X」があるのかと不安になったが、原題はまったく別物の「2 FAST 2 FURIOUS」なので、お決まりの意味をなさない邦題なのだろう。  なぜかヴィン・ディーゼルが出演しておらず、舞台はマイアミということで、映画全体がよりライトな雰囲気に包まれている。 ノリに乗ったまま、運転技術を武器にした主人公らが地元のマフィアと対決するという話。 はっきり言ってストーリーなんてあってないようなもので、良い意味でどうでもいいと思わせる。  ほとんど前作の二番煎じという範疇を出ないが、おとり捜査官役のエヴァ・メンデスがセクシー過ぎるので、「もうこの映画はそれだけでいいや」と思いたくなる。  クルマ好きと女好きだけが観れば良い映画であることは間違いない。僕は必ずしもそうではないけれど……。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2011-10-03 17:47:46)
45.  レボリューション6
破壊活動やら革命運動なんてものは、平和ボケした日本で普通の人生を送っている自分にはあまりに縁遠いことだけれど、それらのことは突き詰めれば、先行きが見えない若い日々の抑えられない熱情の表現なのだろうと思う。  だから、そういった過激な行動が伴わなくても、誰しも「あの頃は良かった」だとか「若い日々に戻りたい」と思うのだろう。  きっとそれは、何かしらの思いを携えて“若い日々”を過ごしたすべての人に当てはまることだろうと思うし、すなわちこの映画に登場する6人の仲間たちに共鳴してしまう部分が誰しもあるということだと思う。  破壊的で過激な青春時代を過ごした6人の仲間。彼らがかつてしかけた爆弾が十数年の月日を経て爆発したことをきっかけに再会する。  彼らの言動のすべてに共感出来るはずはない。基本的には愚かな犯罪者だと思う。 でも、彼らがかつて過ごした日々の彼らにとっての価値や、失った時間とその代償に得た人生の価値、仲間と再会したことで生じた喜びや悲しみは、よく分かる。  繊細な光と音楽の中で、軽快感と共にビターで儚い人間模様を描いた良いドイツ映画だったと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2011-08-06 11:21:59)
46.  イーグル・アイ
何やら意味深な予告編だけでは、今ひとつストーリーのテイストが分からなかった本作だった。 が、観て納得。これは予備知識を入れずにフラットな状態で観るほど楽しめる映画だと思う。  そういうわけで、ストーリーの詳細は避けたいと思うが、言うなれば物語の本質は異なるが、超現代版「北北西に進路を取れ」的な印象を受けた。  とても面白かったと思う。  このところ大作映画への出演が続いているシャイア・ラブーフのパフォーマンスを初めて観たが、良い意味でスター性が薄い存在感が、エンターテイメント大作においてバランス良いのだと思う。スピルバーグが好んで起用している理由が分かる気がする。  個人的には、ビリー・ボブ・ソーントンの演技を久しぶりに見られたのも嬉しかった。テロに対して信念を持って対峙するFBI捜査官を、相変わらずの曲っ気たっぷりに演じてみせている。  下手をすればもっとコケている作品なのかもしれないという危惧もあっただけに、高いアクション性と、終始緊迫感溢れる展開に満足度は殊更に高い。
[映画館(字幕)] 8点(2010-10-21 22:33:48)(良:1票)
47.  ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝
「ハムナプトラ」シリーズは、好きなアクション娯楽映画で、7年ぶりの続編は本来なら映画館で観ようと思っていたのだけれど、理由があり躊躇してしまった。  躊躇した理由は、二つある。  一つは、監督がスティーブン・ソマーズからロブ・コーエンに変わってしまったこと。  製作資金さえ豊富ならアクション映画の監督なんて誰がやっても大差ないなんて思われがちだが、娯楽センスというものは確実にあって、作り手の性質によって作品の出来不出来は大きく左右される。 今作のロブ・コーエン監督がそれほど悪いとは思わない。そこそこバランスのとれた娯楽性を展開してくれたと思うが、やはりこのシリーズではスティーブン・ソマーズ監督の大胆さと小気味良さが見たかったと思う。  二つ目は、過去二作でヒロインを演じたレイチェル・ワイズが出演しなかったこと。  もはや彼女も大女優の一人なので、出演交渉は簡単ではなかっただろう。 が、個人的にはこのシリーズの出演からレイチェル・ワイズという女優を知り、その後の出演映画を見てファンになった経緯があるので、是非今作にも出てほしかったものだ。 彼女が出演していれば、映画としての質が格段に上がっていたことは間違いないと思う。  という二つの大きなマイナス要素はあるものの、それなりに楽しめた映画ではあった。 これはこのシリーズ自体が持つ独特の娯楽性の高さと、ブレンダン・フレイザーの良い意味で「大味」な存在感がマッチしているからだろう。  「インディ・ジョーンズ」シリーズと比べたりすると怒られるかもしれないが、どこまでお金をかけても“B級映画”的なノリが抜けないこの「ハムナプトラ」シリーズの方が、個人的には好きだったりする。
[DVD(字幕)] 6点(2010-09-21 11:13:37)(良:2票)
48.  グッバイ、レーニン!
有史以来、人類が積み重ね経てきた数々の歴史的分岐点。一つの政治判断に伴う変化により、人々の生活が一変したということは、世界中でそれこそ星の数ほどもある。 そのすべてに共通して言えることは、影響下にあるすべての人々が何の不満もなく受け入れた「変化」などただの一つもないということだと思う。  「東西ドイツの統一」にしてもまさにそうだったのだろうと思う。 分断された国が一つになるなんてことは、表面的な聞こえの良さの反面、非常に根深く絡み合った数々の問題が渦巻いていたはずだ。  そんな歴史の過渡期に生じた大渦の中で、或る一つの小さな家族の「愛情」と、家族を想うからこそ生じたあまりに無謀な「嘘」を、とてもユニークに描き出した映画だった。  東西ドイツの分断と統一の歴史的実情をもう少し詳しく知っていれば、おそらくもっとこの映画が描き出す複雑な心模様を掴めたのだろうと思い、自分の無知が少し悔しい。 ただし、そういう知識が無くとも、息子が最愛の母親を想う気持ちはひしひしと伝わるし、またそれを受け止める母親の気持ちにも最上の感慨深さが残る。  取り巻く社会の劇的な変化の中で生きる若者の心情。ただでさ多感な思いは、大きく揺れ、動き、一つに定まらなかったろうと思う。 それが、母親のための無謀な嘘を貫き通そうとすることで、ある意味クリアになり、また定まらなかった自分自身の意志自体が統一されていった。  その息子の成長を見て、母親は「素晴らしいわ」と遺したのだと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2010-08-30 23:37:34)
49.  戦場でワルツを
戦争を描いた映画や小説の評において、「戦争の狂気」なんて言葉は、もはや常套句で、自分自身も何度も使ってきたように思う。 だが、実際問題、自分を含め多くの人々は、その言葉の意味をどれほど理解出来ているのだろうか。甚だ疑問だ。  「パレスチナ問題」は、ほとんどすべての日本人にとって、“対岸の火事”である。 重要なことは、先ずその自分たちの認識の低さを認めることだと思う。知ったかぶりでは、何も生まれない。  そういう「無知」な状態で観た映画であり、そうである以上、その視点からの映画の感想を述べるべきだと思った。  感じたことは、あの遠い国で繰り広げられ、今尚くすぶり続ける戦争において、人々の心を蝕むものは、もはや「狂気」などではないように感じた。 長い歴史の中で、繰り返される憎しみの螺旋、それを断ち切れない人間そのものの「業」だと思う。  だから、敢えて言わせてもらうならば、映画の主人公が抱えていた”心の傷”に対して、今更何を言ってるんだというような不自然さを拭えなかった。 問題は今この瞬間も決して解決していなくて、血を血で洗っている。そんな中で、この映画の表現は、本質的に非常に浅いように感じてならない。  特徴的なアニメーションは、映像表現としては素晴らしかったと思う。 ただし、最終的に「実状」を現実的な映像で見せてしまうのは、メッセージ性は別として、表現方法としてフェアではないと思った。
[DVD(字幕)] 3点(2010-08-28 13:45:34)(良:1票)
50.  アース
2008年一発目の鑑賞作品は、“地球”そのものをストレートに映し出したネイチャー・ドキュメンタリー。 昨年末から公開された予告編の圧倒的な映像を見て、「これはスクリーンで見なければならない」と心に決めていた。  今、立っているこの地球の美しさと壮大さ。それは、地球上に生きる誰もが、知るべき、“知られざる世界”だと思った。 すべての人間が、この実態を知れば、きっとこの惑星はもっと豊かさに溢れるのではないか。  この惑星に生存する幾多の生物、その誰のためでもなく、人類自らのために、この惑星の豊かさを保っていかなければならないと思う。
[映画館(吹替)] 7点(2010-08-28 01:18:34)
51.  アイム・ノット・ゼア
ボブ・ディランというアメリカを、現代を、代表するアーティストの様々な存在性を、人種、性別を越えた6人の俳優が演じるという、奇抜な伝記的映画だった。  正直、ボブ・ディラン自体のことをよく知っているか、知っていないかでは、この映画の“面白味”には大いに差が生じるだろうと思う。 かく言う自分も、色々な映画や漫画などで彼の名前を認知している程度に過ぎず、どれほどこの作品の真髄を捉えられたかというと、首を傾げるしかない。  しかし、それでも巧みな演出と6人の俳優たちの個性的な表現力、そして全編に流れるボブ・ディランの楽曲によって、生ける伝説である希代のアーティストの類い稀な存在性は、大いに感じることができたと思う。  まあ何と言っても、ケイト・ブランシェットが凄い。 女優が、実在する男性を演じるなど、それは流石に無理があるんじゃないかと思っていたが、その表現力は圧倒的だったと思う。 実際、ボブ・ディランの言動を見聞きした経験はないが、ブランシェットが全身から発する繊細さと危うさは、まさに彼のそれなのだろうと疑わなかった。 同じくより現実に近いボブ・ディランを演じたヒース・レジャーとケイト・ブランシェットの目つきや佇まいが、根幹的な部分で同じだったことも驚いた。  これから、ボブ・ディランのことを少しずつ知っていこうと思う。
[DVD(字幕)] 6点(2010-08-28 00:31:20)
52.  ナイト・オン・ザ・プラネット
自分自身もすっかり大人になってしまい、深夜のタクシーに乗る機会も度々あるようになった。  大概の場合酔っ払っていて、繁華街から自宅までのせいぜい20分間程度の道のりなので、特に何があるということはないけれど、タクシーの中というものには独特の雰囲気があると思う。  その雰囲気は、全く見ず知らずの運転手と客との間に生じるその場限りの「空気感」によるものだと思う。  地球という惑星のあちこちで、全く同時刻にひっそりと織りなされたタクシー運転手と客らによる5つのショートストーリー。 ジム・ジャームッシュらしい淡々とした語り口で繰り広げられるこのオムニバス作品には、本当に何気ない人間同士の関わり合いにおける素晴らしさが溢れている。  それぞれのストーリーの登場人物たちが、その束の間の出会いによって、何かが変わったということは決してない。 ただそれでも、その一つ一つの出会いが、次の瞬間の人生を築いていくということを、この映画は、深夜の静寂の中でしっとりと伝えてくる。  とても良い映画だと思った。
[DVD(字幕)] 8点(2010-08-13 13:02:33)
53.  TOKYO!
「TOKYO」という都市は、世界から見ても(世界から見ると特に)奇異な場所なんだと思う。 僕自身、あの街に数年間住んでみて、そういうことは常々感じた。 もちろん、日本の首都だし、何でもあるし、決して住みにくいところではない。 ただ、曲がりなりにも世界を代表する「国際都市」というにしては、あまりに完成されていないというか、一つの“スタイル”に定まることがない。  このオムニバス作品で、3人の世界の映画監督が描き出したものは、まさにそういった変化し続けるTOKYOという“モノ”の姿だったと思う。  オムニバス映画というものが、割と好きな方だ。なので、こういう企画を聞く度に、期待は膨らむ。ただ、それに相反して、結果的に一つの「映画」として面白い作品は少ない。  しかし、この「映画」はとてもよく出来ていたと思う。 TOKYOという奇異な都市を、世界が誇る3人の奇異な映画監督に撮らせるという企画自体が、そもそも奇異で面白い。 それぞれが物凄く個性的な世界観を描き出すので、フツーなら各作品を繋ぎ止めることは難しく、オムニバス映画としてまとめることは不可能に近いことだったと思う。  それを繋ぎ止めた要因こそが、TOKYOという都市であった。  ミシェル・ゴンドリーの哲学性に溢れたファンタジーも、レオス・カラックスの文字通り爆発的な変態映画も、ポン・ジュノの情感と根本的な力強さに満ちた精神世界も、すべてを「許容」する。 それこそが、TOKYO。
[DVD(邦画)] 7点(2010-08-11 00:29:52)
54.  ナイロビの蜂 《ネタバレ》 
アフリカという広大な大地で繰り広げられる陰謀に対する追求と、妻の死によってさらに深まる夫婦愛の探求。  リアルな世界情勢に裏づけされた重く重要な社会的なテーマと、ロマンティックな夫婦愛を絡ませ、サスペンスフルに描いた構図は巧みだと思う。 現地の空気感をそのままに描き出した美しい映像世界も、観客を引き込むには申し分なくそれだけで価値がある。  ただどうしても合点がいかないのは、主人公の最終的な行動。もちろんその態度は潔く、ある意味における力強さには溢れているが、果たしてそれは最愛の妻が望むことだろうか。「運命」として悟るにはいささか早すぎやしないか。  「美学」と言えば聞こえはいいが、描かれるテーマが現実的であるが故に映画としてのリアリティが無いように思う。  なんだか、結局夫婦としてどれだけのことをこの二人は分かり合えたのだろう?と、核心である二人の関係性にまで疑問が生まれてくる。  それは生前の妻の行動にしてもそうで、いくら夫のことを思うが故にということでも、あれだけ惑わせる要素たっぷりな言動を見せられては、夫とすればそりゃ疑ってしまうというもの。 もう少し夫婦としての関係性について深く描く必要があったのではないか。  まあだけれども、この映画の監督が何よりも訴えたかっであろう世界におけるアフリカの“リアリティ”というものはひしひしと伝わってくる。 ぎらつような美しい映画世界の残酷な現実は、そのままこの窓の外につながっている。そのことを認識したとき、また新たな感情が生まれる。 
[DVD(字幕)] 5点(2010-07-25 10:32:25)
55.  イングロリアス・バスターズ 《ネタバレ》 
「キル・ビルVol.2」以来のタランティーノの新作鑑賞。「キル・ビル~」ってもう6年前の映画なのかと、少々唖然とした。  そしてこの新作にも、大いに唖然とさせられた。 タランティーノ作品において、「唖然」という表現が“好評”なのか“不評”なのか、その単語のみでは正直判断がつかないだろう。 そして、「唖然」と発した自分自身も、実際のところ好不評の判断がつけづらい。  独特の台詞回しによる“タランティーノ節”に限って言えば、とてもタランティーノらしい台詞の掛け合いに溢れていた。 冒頭のナチスの大佐と農夫の対峙から、ナチス将校に扮したバスターズのメンバーが本物のナチス将校と酒を酌み交わすシーンまで、「タランティーノ!」という賞賛を思わず発したくなるような独特のユーモアと緊張感溢れる掛け合い震えた。  これは久しぶりに、評価に違わないタランティーノの傑作が誕生したんだな。とほぼ確信していた。  が、しかし、クライマックス近くまで非常に大きなエネルギーを感じたまま堪能できのだけれど、最終的な印象として「映画」としての魅力が無い、と感じてしまった。  何だろう?詰まるところ、クエンティン・タランティーノが「ナチス」を描く価値って何なのかが見出せなかったような気がする。 安直過ぎるほどにナチスを悪役として描き、それに残虐なまでの復讐を果たすバスターズの面々と、家族を殺された一人の娘。 結局、登場する全員が残虐なので、誰にも感情移入できない。 もちろん、これがタランティーノの映画である以上、感情移入なんて必要ないのかもしれない。 ただ、部分部分の台詞まわしやシーンは魅力的なのに、それぞれがバラバラで噛み合ない。  まあ“シュール”と言ってしまえばそれで済むのかもしれないけれど、やはりそれでは映画としてのカタルシスは得られない。  あ、そうそう。予想に反して見せ場の無いブラッド・ピットにも、唖然とする。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2010-06-22 00:03:03)(良:1票)
56.  ボーン・アルティメイタム
“ジェイソン・ボーン”シリーズ最終作(一応)。昨日、6年越しに第二作目を観て、いてもたってもいられなくなって、今作のレンタルに走った。  このスパイ・アクション映画シリーズの変わった特徴は、“ストーリーに面白味はそれほどない”ということだ。 記憶を無くした主人公が謎に包まれた自らの“アイデンティティ”を取り戻そうとするというのが、このシリーズの根本的なプロットで、この手の映画の場合、出来る限りストーリー展開に凝って、ドンデン返し的なラストを用意するというのが常だ。 が、この映画においては、そういうストーリー的に機知に富んだ工夫はほとんどない。  用意された一つの「謎」。即ち、「ジェイソン・ボーンとは何者なのか?」ということを、主人公自らがひたすらに追い求めるということが、この映画シリーズの揺るがないスタンスで、その中で生じる「逃亡」と「追走」それらのみで構成される。 それは、アクション映画として、非常に潔く、故にとても洗練された作品へと消化した要因だと思う。  仰々しい爆発シーンや、劇的なストーリーテリングに頼らず、生身の人間が体現出来得るリアリティを前提としたアクションシーンを繰り広げることにより、このシリーズは独特の緊迫感と疾走感を併せ持った迫力に溢れたアクション映画として確立することが出来たのだと思う。   ただし、もう続編は必要ない。それはこの三部作を評価するからこそ生まれる大多数の意見だろう。
[DVD(字幕)] 7点(2010-04-09 01:16:25)(良:1票)
57.  ボーン・スプレマシー
前作「ボーン・アイデンティティ」は、演技派のマット・デイモンがリアルなアクションシーンをこなし、ヨーロッパを舞台にしたスタイリッシュな映像が秀でたアクション映画だった。悪くない映画だったけど、スパイ映画としては“展開力”に今ひとつパンチがなくて、それほど印象が強い作品ではなかった。 なので、続けて製作された続編に対しても、興味は薄く、公開から6年が経過してようやく観た。ようやく観た理由は、ある雑誌の企画上のランキングで、このシリーズの続編2作品が揃ってランクインされていたからだ。  アクション映画において6年という年月は“劣化”を覚悟しなければならない期間だと思う。 しかし、今作にはそういった安直な劣化は微塵も感じなかった。むしろ作品の隅々までが洗練されていて、新しいと感じた。  主人公に対する追走劇が世界を股にかけて展開される様は、前作から引き継がれた魅力だが、その各国での各シーンがより研ぎすまされ、それぞれの場面が完成されている。 映画の展開によって変わっていく雰囲気が、各都市のシーンでマッチし、ロケーションそのものが主人公の心情を表しているかのようだった。 世界各国各都市での撮影を売りにしたアクション映画は多々あるが、各シーンにおいて、その都市で撮影を行う”意味”を持たせ、それを如実に表現する映画は少ない。  そういった映画作りに対するきめ細かさが、用意されたプロット以上にこの作品の面白味を高めていると思う。  すぐに続編が観たい。第三作目を一緒にレンタルしなかったことを悔やんだ。
[DVD(字幕)] 8点(2010-04-07 16:37:21)(良:1票)
58.  愛を読むひと 《ネタバレ》 
戦後の西ドイツ、ふとしたきっかけで出会った15歳の少年と36歳の女。欲望のままに惹かれ合い、たった一夏の関係を過ごした二人。彼らの中ではじまった「朗読」という儀式は、一体何だったのだろう。  その意味は、決して単純に美しいものではないように思う。  過去の“業”を秘め無学をひたすらに隠そうとするアラウンド40の女と、目覚めた”性”を抑えきれず彼女に対する無意識下の蔑みを「愛」と盲目する少年、それぞれの脆さと愚かさを、「朗読」という行為で正当化しているような、そんな屈折した心証が見え隠れする。 キャッチコピーにもある通り、そこには、「愛」と呼ぶにはあまりに切ない二人の男女の関係性があったと思う。  時を経て、再び「朗読」という行為で繋がる二人の関係性は、20年前のそれとはまったく異なる。かつての感情の高ぶりを思い起こすと同時に、決して取り戻すことは出来ない過ぎ去った時間を感じ、二人の関係の本当の意味での“終幕”を迎える。  結局、この男と女は、一度たりとも心が通じ合ったことは無かったのではないかと思える。お互いが、無知と無学の狭間で盲目的に惹かれてはすれ違うということを繰り返し続けたのではないか。  それはやはり「愛」ではなかった。ただ、その関係性がイコール「悲劇」かというとそうではない。それぞれの人生において、「朗読」という行為は、“始める”意味でも、“終わらせる”意味でも不可欠なことだった。 それはおそらく当人たちでさえ説明がつかない心と心の“交じり合い”だったのだろう。  この物語の真意を100%理解出来たとは思えないし、完全に理解することなどは不可能だと思う。 なぜなら、主人公の女が死を覚悟してまで文盲であることを隠し続けたことが如実にあわらすように、人間の心理は千差万別であり、一つとして完璧に重なり合うものはないからだ。 そういう人間の複雑さを映画として情感たっぷりに描き出した優れた作品だと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2010-03-22 09:49:26)(良:1票)
59.  スピード・レーサー
自宅で、ブルーレイディスクが見られるようになって、初めて見る映画を何にするか? それは、映画好き&家電好きにとってかなり重要な問題だったりする。  レンタルショップのブルーレイコーナーに集められた作品群を前に、暫し思案した結果、見る機会を失っていた今作を手に取った。  流石にスゴイ。映像に度肝を抜かれたのは久しぶりだ。しかもそれが自宅のテレビで味わえるのだから、スゴイ時代になったものだと思う。  ウォシャウスキー兄弟が持ち前の“オタク魂”を、良い意味で好き勝手に発揮した快作だと思う。 こういう映画は「中途半端」な部分があった時点で“負け”である。 ただそこは、「マトリックス」で映画自体の常識をひっくり返した同兄弟だけあって、そう文字通りとことん“突っ走っている”。  原作は往年の日本のテレビアニメ「マッハGoGoGo」である。 日本で生まれたアニメや漫画が海を渡り、ハリウッドで映画化されるという構図は、最近続発されているが、その中ではかなりレベルの高い仕上がりを見せているとも思う。  やはりこれくらい問答無用に突っ走れるだけの、原作に対するこだわりと愛着がなければ、映画化は成功しない。  人生初のブルーレイ鑑賞にふさわしい映画だったと思う。  P.S.ただ、真田広之の役どころはもう少しおいしくしてあげて欲しかった……。 
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2009-11-05 00:58:19)(良:1票)
60.  シカゴ(2002)
決して悪い映画ではなく良く出来た映画だと言えるかもしれないが、今作が真の好評を得るのは米国でしかあり得ないという印象を持った。特に主演女優2人が白いマシンガンを持って歌い踊るラストシーン、賛否はあろうが、個人的にはあのシーンこそアメリカ社会を象徴するものに他ならないと思う。今作はオスカー作品である。アカデミー賞がアメリカのものである以上、至極当然のことなのだろう。
[映画館(字幕)] 6点(2009-06-25 15:40:20)
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