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ESPERANZAさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2254
性別 男性
年齢 77歳
自己紹介 団塊の世代 映画鑑賞歴50年以上 見た映画はおよそ3000本?

1960年~1985年頃はよく映画を見に行きました。その後2000年頃までは忙しくほとんど映画を見なかったのですが、DVD登場とともにまた見るようになりました。最近はメモと記憶を頼りに昔見た映画のDVDを探して懐かしんでいます。

ESPERANZAとはスペイン語で、「希望」の意味です。夢や希望、感動を与えてくれる映画は好きですが、むごたらしい映画や命を粗末にする映画は嫌いです。

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741.  野菊の如き君なりき(1955)
夏目漱石が絶賛したという伊藤左千夫の「野菊の墓」その小説の持つ美しさ、悲しさを見事に映し出した映画だと思う。もし伊藤左千夫が生きていてこの映画を見たとしたら、自分の思いが十分伝えられていると感謝したのではなかろうか。(私の勝手な想像) この映画のすばらしさは、飾らない、作らない、自然にそのままの形で美しさを表現していることだと思う。映画は淡々に、まさに水が流れるかのように淡々と進んでいる。笠智衆のぶっきら棒の表情や歌詠みも、主演の二人が名もない新人だということも、すべてが良い方向に・・・。 したがって何の説明もいらず、何の演技もすることなく、主役の二人の純粋な思いも周囲のやっかみもすべてが伝わってくる。 この時代は女子に学問は不要と考えられ、二十歳前で嫁に行ってそれが女の幸せと信じられていた時代であり、「男女七歳にして席を同じうせず」が尊ばれ、幼な馴染みと言えど、年若い男女がいつまでも仲がよいことがねたまれ、世間体が優先されていた時代でもある。そういう時代の中で、好きな者同士、女が男より年上ということがそんなにいけないことなのだろうか。とても寂しくとても悲しく胸を打つ。 良くできた映画の中でただ一つ気になるのは、政夫の回想シーンを丸く囲んだこと、作らない、飾らないことに逆らっているように感じられて惜しい。 
[DVD(邦画)] 9点(2011-06-04 06:27:34)
742.  遠き落日 《ネタバレ》 
偉人としての野口英世を描いた本やアニメは多いし、私も少年時代の野口英世を描いたモノクロ映画を子どもの頃見た記憶がある。左手やけどの不自由な身体と貧しい生活の中で、ひたすら努力精進することによって後の成功を収める、いわゆる偉人伝中の偉人としての野口英世であった。 しかし、この映画は単に偉人としてだけでなく、挫折や失恋も含めた「人間としての野口英世」を描いている。そして彼が世界で名を馳せたのも、実に多くの人の支えがあったことがよくわかる。 少年の多分な才能を見抜き、私財を擲って高等科の進学を勧めた恩師や手術の費用を集めた友人たち、医学の道を志すにあたって経済援助を惜しまなかった人たち・・・。 しかし、何と言っても母親の愛情だろう。我が子を慈しみ、叱り励まし育てる姿はまさに日本の母親像そのものである。なかでも、後半の息子に送った手紙のシーンは、涙なしに見ることはできない。 この母親野口シカを演じた三田佳子は何とすばらしい女優であろう。いままでにも、この人の映画やドラマを数多く見てきたが、どれも大変すばらしかった。 この映画に欲を言えば、なぜ清作が英世と名前を変えたのかという疑問にも答えてほしかったし、浪費癖と揶揄される実生活にももっとふれてほしかった。 「清作、左手をポケットから出せ」と母親が言ったように、映画も醜いと思われている部分にも・・・。  
[DVD(邦画)] 8点(2011-06-03 18:24:06)
743.  伊豆の踊子(1974)
吉永小百合主演の「伊豆の踊子」に較べ、ずいぶん良い。同じ西河克己監督とは思えないほど、数段の進歩と言わざるを得ない。 山口百恵は美空ひばりや吉永小百合と較べ、出演時の年齢が一番若く、原作のイメージ に近い。それもそのはず、映画初出演で初々しい。次に演出不十分だったところを宇野重吉のナレーターで補ったこと、これもプラス材料。 ラストの別れのシーンは印象的であり、この映画が成功したからこそ友和百恵のコンビが続くことになったのだと思う。
[映画館(邦画)] 7点(2011-06-02 23:42:40)
744.  伊豆の踊子(1963) 《ネタバレ》 
リメイク映画である以上、前作の美空ひばりとの比較になってしまうが、明らかにこっちの方が劣る。 原作の小説にはむしろこの映画の方が近いのかもしれない。学生と踊り子の身分の違い、結ばれるはずはない当時の気風を引き立たせるため、現代の若者(ここで浜田光男が登場)の自由な恋愛との違いを出している。この点はプラス評価。 しかし何といってもミスキャストに近い布陣、大坂志郎と吉永小百合の兄妹では年齢の差がありすぎるし、学生役が高橋英樹では元気がありすぎる。浪花千枝子も栄吉、千代子らをさしおいて出しゃばりすぎに見える。 また一番の問題点は、踊り子吉永小百合が明るく健康的すぎることか。ただし終盤の踊りは踊り子らしく良かった。 ラストの岸壁のシーンはまさに文芸作品がメロドラマになったようだ。
[DVD(邦画)] 4点(2011-06-02 22:27:20)
745.  伊豆の踊子(1954) 《ネタバレ》 
川端康成の「伊豆の踊子」は小説といっても短いものであり、一気に読むことができる。しかもストーリーも断片的で会話の部分も少ない。したがって映画化するにしても、踊り子と学生が惹かれあう様を上手に演出しなければならないし、原作にないエピソードも、雰囲気を阻害しないようにしてうまく入れ込む必要があると思う。 その点この映画は良くできている。冒頭の馬車と自動車の競争は、明治初めの時代風景描写として見事である。また学生がなぜ旅に出たのか、大島まで一緒に行くと言っていたのをどうして下田で別れてしまったのかも、よくわかるような気がする。 ただ私は「十七、八に見えていたけど、やっぱり子どもだったのだ」という学生の思い違いの部分が、原作の一つのポイントと思うのだが、美空ひばりは逆に大人びて見えて違和感を覚えた。 忘れていたが、音楽と歌は雰囲気にあっていて、すばらしいと思う。 
[DVD(邦画)] 7点(2011-06-02 22:17:10)
746.  事件
この映画が作成された頃の野村芳太郎監督といえば最高だった。「砂の器」「八つ墓村」と続き、この映画を挟んで「鬼畜」と次々と日本映画史上に残る名作を生み出していった。 事件の裁判を正面から堂々と描いた映画で、検察と弁護側の駆け引きもさることながら、証人の思い込みや捜査の見込み違いなどが公判を通して明らかになっていく。そしてその真相は?と映画のラストシーンまでまったく目が離せない。 また一人の男を姉妹で争う心理描写も実に見事であり、男女の愛が理屈通りの単純なものではないことがよくわかる。大岡昇平の原作が野村監督個人の力だけでなく、新藤兼人の名脚本と芥川也寸志の素晴らしい音楽とも結びついて生まれた名作だろうと思う。日本アカデミー賞に輝いたのも当然といえば当然だが、松坂慶子や渡瀬恒彦の汚れぶりも遺憾なく発揮されているし、大竹しのぶも「青春の門」での清純派デビューから、演技で見せる女優へと生まれ変わる一歩であったと思う。
[映画館(邦画)] 8点(2011-05-28 10:43:46)
747.  ゴジラ(1954)
怪獣映画と日本の特撮技術の原点となる映画で、歴史に残る貴重なものであろう。だから評価が高くなるのは当然だが、私にすればいくら何でも点数が高すぎるのではなかろうかと思う。 ゴジラの出現は水爆実験に起因していて、自然災害とは異なり、人間が生み出した恐怖の象徴として描かれていたはずだ。いわば人間の愚かさに対する警鐘である。それが次々と続編や類字映画が出現するにつれ、子ども向けの怪獣映画、こわかった、おそろしかった、でもやっつけてよかったという娯楽映画になってしまった。 私が言いたいのは、その誤った方向へ導く要素が、この映画にすでにあったのではないだろうかということである。
[DVD(邦画)] 6点(2011-05-24 07:45:33)
748.  張込み(1958) 《ネタバレ》 
この映画は途中までは本当に退屈である。張り込みを始めてから5日6日と日にちだけが過ぎていき、殺人の容疑者はいっこうに現れない。毎日が判で押したような後妻高峰秀子の生活、ここで私のように退屈だと感じる人は刑事にはまったく向かない人であろう。 刑事というのはとても地味な仕事で、テレビドラマのような格好いいことはまったくないのが普通である。こつこつと聞き込み足で稼ぐ、あるいは映画のようにじっと張り込んで待つ、これが刑事の仕事である。その張り込みですら、旅館で他の職業人に化けてというのは異常だろう。実際は建物の陰や空き地その他の吹きさらし、暑さ寒さや雨露を凌ぎながらということになる。そういう現実ではなく、非常に都合の良い映画である。 また昔は他人の家の中をのぞき込んでも、まったく問題にならなかった。警察権力すなわち国家権力イコール正義だったのである。だが今ではどうだろう、本当に問題にならないのだろうか。警察は正義という名の前に、何でもできるというのが未だに残ってはいないだろうか、またそれが捜査の行き過ぎや冤罪を生み出してはいないだろうか。 この映画は清張特有の人間の心理より、警察権力そのものが問われているように私には思えた。 話がそれたが、旅館で男(刑事)が二人何もせず昼の日中からごろころとしている。知らぬ者がみれば怪しむのは当然であり、地元の警察を呼ぶが、うまいこと言って切り抜ける。この辺にも警察どうしの馴れ合いを感じさせる。  容疑者役が田村高廣というのもまったく凶悪犯には見えないし、高峰秀子と二人きりの姿を見ると、心中の心配はまったくないし、大石先生と磯吉君を思い出す。 またラストの「若いんだ、やりなおせるさ」という言葉すら「刑事に何がわかるのか」という空々しささえも感じる。後に「砂の器」や「鬼畜」の名作を描いた野村芳太郎監督だが、ここではまだ松本清張映画の第1作目で力は十分出し切れなかったのだろう。 
[ビデオ(邦画)] 5点(2011-05-24 03:57:11)
749.  典子は、今 《ネタバレ》 
「こころに夢を抱いて たどった旅路に~」(主題歌の歌詞) なつかしいなあ、あれから30年も経ったのだ。DVD化されたことも今まで知らずようやく再鑑賞した。 映画が作られた頃、私はすでに教壇に立っていた。そして「障害者をかわいそうだと思ってはいけない。少し不自由なだけなのだ。だから君たちには進んでお手伝いをしてほしい」と熱く語っていた想い出がある。 典子さんが一人で広島まで旅をするが、その途中で何度「すみませんが、・・・していただけないでしょうか」を言ったことだろうか。これからの世の中は、この「すみません」が半分くらいですむようになってほしいと願わずにいられない。 それともう一つ、典子さんが映画出演を引き受けたいきさつについてだが、実は映画の前にもテレビドラマのドキュメンタリー出演依頼もあったそうである。しかし、彼女はテレビを断り映画を選んだ。 テレビが悪いというわけではないが、興味本位で見てほしくない。見るからにはお金を払ってでも見てくれる人、障害者をありのままに見て理解してくれる人に見てほしい。だから映画を引き受けたのです、というようなことを聞いたことがある。 彼女はみんなは私より余分に手が付いているだけ、とても便利そうに見えるが私はほしいと思ったことはないとも言っていたように思う。
[試写会(邦画)] 8点(2011-05-23 18:24:56)(良:1票)
750.  チャッカリ夫人とウッカリ夫人
私の子ども時代の人気ラジオ番組に「チャッカリ夫人とウッカリ夫人」というのがあり、13年も続く長寿番組となった。この映画はシリーズ化された最初のもので、DVD発売によって見ることができた。 柳家金語楼、横山エンタツという名喜劇俳優や後に社長シリーズで活躍する森繁久彌らが登場し、おもしろさ満載である。 これらの登場人物に混じって、香川京子がチャッカリ夫人の妹を演じ、姉に負けないチャッカリぶりを発揮する。
[DVD(邦画)] 7点(2011-05-22 15:11:33)
751.  上海帰りのリル 《ネタバレ》 
「船を見つめていーたー、ハマのキャバレにいーたー」で始まる歌を聞いたことがある人もおられよう、「上海帰りのリル」という歌である。私が生まれた頃はこの歌がラジオから流れ、それは知らない人がないというくらいに爆発的にヒットした曲である。 そしてこの爆発的なヒットを元に作られたのが、この映画なのである。私はようやくこの映画にたどり着くことができた。 しかし、お世辞にもこの映画は名画とは言い難い。監督を初め出演者陣も不出来である。しいて見所を探せば、社長シリーズで人気を得る前の、若き森繁が見られることだろうか。そして映画の中で歌っている歌手こそ、大ヒットをとばした津村謙その人である。 ところで今でこそ「上海帰りのリル」が有名だが、戦前には川畑文子、ディック・ミネ、江戸川蘭子らの歌手が歌った「上海リル」という歌があった。私個人は「上海帰りのリル」よりも、江戸川蘭子の哀愁を帯びた「上海リル」の方が好きである。
[DVD(邦画)] 4点(2011-05-22 08:54:11)
752.  うつせみ 《ネタバレ》 
不思議な映画だ。こういう映画を撮る監督はよほどの天才なのだろう。問題は視聴者がどうとらえるかだろうが、私は好きである。 役者には台詞が重要とされるが、もし台詞がなければどう表現する? 表情(特に目)、しぐさのひとつひとつだろう。この映画はそれで十分すぎるほどよくわかる。 ラストの体重計、二人で併せて0というのにはしびれたが、欲を言えばあの間違えて飛んでいったゴルフボール、けがを負った女性はどうなった? あのままほっといて良いのか?
[DVD(字幕)] 9点(2011-05-21 23:18:19)
753.  いつか来た道(1959)
子どもの頃に見たのだが、記憶にしっかり残っている映画である。山本富士子さんの美しさは当時から相当の評判であり、それは何にもたとえようがなかった。 映画は、ウィーン少年合唱団と若い(私と同年代)二人のヴァイオリニストとの交流を通し、家族のふれあいを描く、実に心温まる映画であった。 
[映画館(邦画)] 7点(2011-05-21 09:29:34)
754.  坊っちゃん(1977) 《ネタバレ》 
映画やTVドラマで数多く制作された「坊っちゃん」であるが、映画はこれしか見たことがない。当時中村雅俊といえば青春ドラマで大活躍中だったし、マドンナが松坂慶子であれば、ためらわず見るほかなかった。 イナゴ事件や風呂で泳ぐべからずなど、原作のエピソードを忠実に表現しているかと思うと、ヤマアラシとの出会い(人力車競争)のように、原作にない部分もある。それはそれで良いだろう、映画なのだから。 しかし肝心の、主人公がなぜ「坊っちゃん」と呼ばれていたかがはっきりしない。映画の初めに出てくる下女(今使うと差別用語だろう)の清が坊っちゃんと呼んでいたことに由来している。松山で先生をする前の、この清との関わりをもう少し膨らませてほしかったのだが・・・。(興味ある方はぜひ原作を) 次に、松山中のくせ者揃いの先生方、その性格描写は及第点、役柄がよく合っていたと思う。特に教頭赤シャツの米倉斎加年はテレビでも赤シャツを演じていたほど。 赤シャツといえば、この赤シャツを主人公にした青年座の演劇も見させてもらったが、実に興味深かった。 「ヴィオロンのため息」ヴェルレーヌの落葉の詩もこの映画で知った。ヴィオロンとはもちろんヴァイオリンのことだが、あの調子はずれの音はマドンナの演奏か?  
[映画館(邦画)] 6点(2011-05-21 07:30:51)
755.  雨あがる
脚本は黒澤明だし、キャストからスタッフまで黒沢劇場という感が強い。さすがに主役は三船俊郎ではなく寺尾聰だが、三船の息子史郎まで出ている。これでは監督もさぞやりにくかっただろう。 映画は黒沢映画らしいコミカル調で、おもしろいと言えばおもしろい。しかしどうしても作りすぎ、作為的感が強い。その中で剣の達人ながら人情家の主人公を演じる寺尾聰が光る。ミュージシャンに転向かと思っていたら、さすが宇野重吉の息子である。 宮崎美子はさておき、原田美枝子にはもう少し活躍してほしかった。
[DVD(邦画)] 5点(2011-05-20 19:21:37)
756.  金田一少年の事件簿 雪夜叉伝説殺人事件<TVM>
息子が子どもの時、一緒に見た。原作は漫画だが、見てる側を引きつける力はなかなかである。十分楽しめた。 トリックについてはよく考えたなと感心できる。しかし動機はとなると・・・。
[地上波(邦画)] 5点(2011-05-20 04:57:46)
757.  五瓣の椿 《ネタバレ》 
学生の頃見た日本映画、時代劇の中で一番印象に残っている映画である。この映画の岩下志麻は非常に美しい、いや本当に飾る言葉を見つけるのが困難なくらい美しい。私はぞっこん参ってしまった。 彼女は当時23歳だったと思うが、清純派女優のイメージは一変してしまった、大人の演技力、怖いほどの迫力、松本清張「鬼畜」のあのすさまじさは、すでにここに始まっていた。 貞淑なお嬢さんから悪女まで、有りとあらゆる女性を演じられる演技派女優は、今現在彼女をおいてどれだけいることだろう。 次々と殺されていった男たちの側には、一輪のまっ赤な五瓣の椿。これが実に絵になっていた。 この映画は単なる復讐劇でも捕り物劇でもない。それは加藤剛扮する奉行所与力とのやりとりとなって現れる。そして一番肝心なのが、岩下志麻が捕らえられてから、逆に日に日にすがすがしくなっていくことである。 この映画は決して長くない。そのすがすがしい岩下志摩を見届けるためには、絶対に必要な長さだと思う。
[映画館(邦画)] 9点(2011-05-19 23:42:05)(良:1票)
758.  古都(1963) 《ネタバレ》 
古くは小林千登勢、そして沢口靖子、新しいところでは上戸彩主演のTVドラマ「古都」を見ながら、肝心の原作を読まず、オリジナル映画すらも見ていなかった。 女性は化粧で化ける、女優は演技で化けると言うが、岩下志麻は呉服問屋の娘千重子と杉の山で働く苗子の二役を見事に演じていたと思う。もともと双子なのだから、TVドラマも映画もすべて一人二役である。しかし育った環境が違うのだから似すぎても困るし、周りの人たちが見間違えるのだから違いすぎても困る、実に微妙なところである。 その違いを化粧や服装で表していたと思うが、映画の岩下志麻はそれらの上にオーラとも言うべき、独特な雰囲気で違いを表していたように思う。 映画はさらに二人の違いだけでなく、呉服問屋と織り職人という身分の違いも容赦なく表現している。問屋の主人が尼寺にこもって、娘のために斬新な帯の図案を考え職人に示す。そのときそこで職人の息子秀男を殴るシーンにはびっくりさせらた。(たしか百恵主演の市川映画では、秀男の父がなぐったと思う) その身分の違いが、秀男がお嬢さんをあきらめ、双子の妹苗子に結婚を申し込むのかと・・・。 京都の街や岩下志麻の美しさが称えられるだけではなく、身分の違いを痛いほど感じさせられる映画であった。
[DVD(邦画)] 7点(2011-05-19 09:10:41)
759.  八日目の蝉 《ネタバレ》 
数年ぶりに映画館で映画を見た。前回はポニョ(何という落差) 最近映画館を避けるようになったのは、前評判が良くてもはずれが多いことと、映画館でのめり込んで泣いてしまうのが恥ずかしいから、それで無難なものだけを選んでいたのだったが・・・。 この映画は正解だった。永作博美と井上真央という大好きな女優が出演していたこともあるが、まさに心を揺さぶられる映画であった。 原作、TVドラマ、映画にはそれぞれの良さがあり、較べることは無意味だとも思う。インタビューで原作者の角田さんが、「小説は私の手を離れた時点でひとり歩きをしていくと私は思っています」と言っていたのが印象的だった。 映画はいきなり裁判のシーンから始まり、親の永作博美と子の井上真央の物語が平行しながら進められていく。最後の最後までこの二人がスクリーンに同時に登場することはなかった。いかにも映画らしい効果的な演出だったと思う。 印象的なシーンも多かった。泣いていた赤ん坊が永作博美に抱きかかえられ、笑うシーン(私にはそう見えた)出るはずのないおっぱいを飲ませようとするシーン、4歳の女の子が駆け下りてくるシーン(家出?)など、もちろん大詰めのフェリー発着所のシーンは私だけでなく周り中が号泣だった。 さて「八日目の蝉」という題だが、理解力に乏しい私には、八日目の世界がまだ見えてこない。これからもたくさんの人が書くであろうレビューをぜひ参考にしたいと思う。
[映画館(邦画)] 9点(2011-05-18 23:26:15)(良:1票)
760.  配達されない三通の手紙 《ネタバレ》 
さすがエラリー・クイーン、さすが野村芳太郎と言わざるを得ない。この映画は米国屈指の推理小説家と日本の社会派を代表する監督の二人の出会いから生まれた。 サスペンス要素とともに、愛する男性を巡っての二人の女性の心理描写が見事である。結婚を目前に男に逃げられたにも関わらず、3年経ってもなお愛し続ける女性栗原小巻、男を追いかけ妹になりすました女性松坂慶子、どちらも大変好演である。しかし、私は栗原小巻を褒めたい、彼女が演じた女性の妻紀子は、大詰めで解き明かされるように命をかけた大芝居をうったわけだが、それを彼女は見事なまでにやってのけたと思っている。 この映画では小川真由美や松坂慶子が日本アカデミー賞の候補にあがったらしいが、私は栗原小巻の名前がなぜ候補にもあがらなかったのか、不思議でならない。 不思議といえばもうひとつ、私はアガサ・クリスティの推理小説にはまる前に、エラリー・クイーンにはまったのだが、アガサのの小説がいくつも映画化されているのに、エラリー・クイーンの小説が映画化されないのも不思議でたまらない。 この映画はエラリー・クイーンの小説で、日本で映画化された唯一のもの、それだけに貴重である。 この映画は、映画館、ビデオ、DVDと3回目の鑑賞だったが、何度見てもすばらしい。初めて映画を見たときは、唐突に神崎愛がフルートを演奏したことにびっくりしたが、あとで聞いてみたら本職のフルート演奏家だったとのこと、今だから言える初心者の恥。ついでにもう一つ、この邦題もすばらしい。この邦題ゆえにこの映画がある。
[映画館(邦画)] 8点(2011-05-17 23:14:56)
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