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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2524
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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61.  のぼる小寺さん 《ネタバレ》 
 系列的には『横道世之介』とか『町田くんの世界』みたいな。主人公の存在が周囲に少し変化をもたらす、というお話。   小寺さんの周囲の人々は、それぞれに孤立感や孤独感、違和感を抱いて暮らしていて、でも周囲を気にせず我が道を行く小寺さんに触れることで影響されてちょっと自分を変えてゆく、それが独特のテンポで流れてゆくのね。  みんなそれぞれにあまり周囲が見えていなくて、それぞれの関係というかコミュニケーションのカタチがやたらギクシャクしていて、コミュ障のカタマリみたいな世界なのだけれども、その抜けてる感じ、真面目なようでいて、なんとなくテンポが崩れた滑稽な状態(それぞれのキャラクターだけでなく、映画全体を支配してるような)が心地良かったわ。そして、その心地良さをもたらす小寺さんの存在、工藤遥の飾り気のなさとまっすぐな視線が魅力的ね。  ちょっと伊藤健太郎の役は偏執的っていうかストーカー気質を見せてる感があったけど。女の子をあんなにひたすら凝視し続けてたらねぇ・・・  総じて男の子よりも女の子の方が魅力的に描けていたような気がするのは、吉田玲子脚本ゆえかしら?   若い頃のひととき、1つ1つがとても大切な時間なのだけれども、その大切さってその時の真っただ中ではなかなか実感できないものなのよね。それをこういう映画というカタチにして提供するのも大事なコト。それが遠い遠い昔な人間にとってはただのノスタルジーにしかならないのかもしれないケドね・・・キリンレモンでも買ってきましょうかね・・・
[映画館(邦画)] 7点(2020-08-30 19:56:26)
62.  今日から俺は!!劇場版 《ネタバレ》 
 ドラマ版から大きく何かが変わるとかいうのはなくて、きっといつもの福田雄一作品なんでしょうねぇ、ってそのまんま。ハナから期待も不安も不要ってカンジ。   ただね、この映画、軸になる物語が開久高校と北根壊高校の抗争で、メインな軟葉高校の三橋と伊藤はその抗争に巻き込まれるカタチなのね。ビミョーに主役からハズレてるカンジで、目立ってるのは開久の片桐と相良だったり、北根壊の大嶽と柳(柳楽優弥が好演)だったり、そして紅羽高校の今井だったり(今井つーか仲野太賀、多分福田監督が大好きなんでしょうねぇ・・・)。ハシカン早川なんか少ししか出てこないわ(つーか同一ロケーションでしか出てこないので、彼女の撮影一日だけ?)。  特に三橋は超省エネバトル状態で、それだけ?みたいな感じ。伊藤もやられてる場面の方が多いんじゃない?みたいな感じだし、なんか今ひとつノレないのよね。メイン二人がそんなには活躍しないって脚本、映画版としてはどうなのかしら?  良かったのは三橋を追っかけるスケバンな森川ね。アタシ、ああいうビジュアル好きだから。   先生達のウザさは相変わらずの福田組だし、佐藤二朗のウザさも相変わらずだし(それでも今回は幾分短かった?)、でもそれでこそで楽しんでる人も多いのでしょうから、まあ、それはそれで、ってとこ。
[映画館(邦画)] 5点(2020-08-30 17:31:14)
63.  思い、思われ、ふり、ふられ(実写映画版) 《ネタバレ》 
 三木孝浩監督の青春映画は毎回期待して見るのだけど、前回ガッカリしちゃった『フォルトゥナの瞳』と違って今回は満足ね。   青春映画で毎度お馴染みのベタな記号はいっぱい出てくるの。タイトル縦書きだったり、新学期に桜満開だったり、夏祭りが物語の重要な転換点だったり、モノローグ多重方式状態だったり。  設定も親同士の再婚でお互いに魅かれながら姉弟になってしまった二人、その弟に片想いのコ、そのコの幼なじみってラブストーリーものにありがちなベタな四角関係。  でもこれは決してセオリー通りではない結末に向って丁寧に心の流れを描いている映画。『アオハライド』と同じ原作者、そして『アオハライド』の映画版の(そして『くちびるに歌を』の)監督なだけあって、恋愛模様だけに注力せず、若いコ達の未来への不安や諦め、そして可能性、希望を眩しく描いているわ。  『アバウト・タイム』は若い頃の未来の可能性を描いた映画なので、この映画の題材にピッタリね。まあ『怒りのデスロード』はやっぱりそうですか、ってカンジだけど。   浜辺美波、北村匠海っていう『キミスイ』な安全牌を配置している時点で、ある程度作品として約束されてる面はあると思うの。でもそれを更に十分に活かした作品であると言えるのね。自然光と補助光でヒロインをキレイに撮るテクニックは見事に復活してるし、王子様な北村匠海をイヤミなく描けるなんて相当なモノよ? 福本莉子、赤楚衛二もピュアな存在感だし。  シネスコの画角にキレイにハマった映像、ロケーションの空気感。やっぱり三木孝浩監督はこういうの、上手いわ。
[映画館(邦画)] 8点(2020-08-30 13:45:24)
64.  事故物件 恐い間取り 《ネタバレ》 
 ただでさえ新型コロナで見る本数減ってるんだから、本来ならスルーしちゃう、あ~んまり興味ないタイプの映画なのだけど、メールで友達(大阪人、今は埼玉住まい、お寺の跡取り)がコロナで映画なんか見に行けないから代わりに見てきてくれ~、って。当然貯めたポイント使ってタダ見だわね。   冒頭、とてもホラーとは思えない青春映画ノリで始まって、そこはなんか雰囲気良かったわ。なのでこのままの調子で続いてくれないかしら?って思ったのだけど、そうはいかない、怖がらせてナンボな映画だものね。  ところがいざ本題に入ると、これが全然怖くないの。出てくるのがCGCGしたモヤモヤしたモノと、無名の俳優さんが幽霊メイクして頑張って怖いカオ演技してまーす、って状態で、いや、なんか具体的な、即物的な映像過ぎちゃってむしろ笑えてしまうんですが?みたいな。あんなハッキリクッキリした幽霊を見せられたらお化け屋敷みたいな作り物感が出ちゃうわよねぇ。  で、ボスキャラみたいなのが大体CGなのだけど、『ハリー・ポッター』のディメンターだわね、アレ。クライマックスでコミカルな(いや、映画上では一応シリアスな)バトルになるのだけど、弱いのよ、『来る』のぼぎわんさんの百万分の1程度の弱さ。っていうかアイツ、果たして題材に合った存在だったかしら?   だけどアタシがこの映画で最も不満に思ったのは、事故物件に現れる幽霊が、ただのバケモノとして扱われていた点ね。殺人事件の加害者も被害者もバケモノ。自殺や無理心中した人もバケモノ。その背景にあった、人として生きていた部分というのは死に至る映像以外は描かれず、そこにあったハズの悲劇は全くのスルー。多くのゾンビ映画のゾンビと同じような扱いね。だけど幽霊を扱う以上、アタシとしてはそこに目を向けて欲しかったな。   余計なコトかもしれないけれど、舞台の大半が大阪で、大阪のテレビ局の姿が描かれて、あのノリは独特よねぇ、って。たまに関西に行ってホテルで見るテレビ番組のあの空気は東京の人間にはちょっとついてゆけないカンジがあって。府民性、みたいなモノ? 維新はそういうところにつけ込んだのかしらねぇ?とか映画見ながら考えちゃった。   で、映画見終って友達に感想メールしたら、これから見に行くからあんまりネタバレしないで、って。なんやそれ。
[映画館(邦画)] 4点(2020-08-30 11:25:54)(良:1票)
65.  一度死んでみた 《ネタバレ》 
 豪華なチョイ役の人々、ペラペラな内容、尺もテレビの2時間枠にぴったり収まるように作られた典型的なフジテレビ映画。   冒頭からしばしはテンポ良く進むので、あ、コレは無駄なくスッキリと作られて好感持てるかも、と思ったものの中盤以降はダラダラ。元々、大して容量のある物語ではないので、90分ちょっとでも尺を持て余してるカンジがするわ。クライマックスの棺桶争奪からのチェイスなんか構成からしたら無駄な展開よね。あの歌がクライマックスでいいハズなのだから。火葬場まで到達しないとせっかくの伏線がキモチ良く回収できないってコトなのでしょうけど(回収した伏線をわざわざセリフで説明しちゃうのマジ不粋)。  チェイス以降はその後の遺言のやりとり部分も含めて展開が弛緩しちゃったわ。   ただ、そういうバカっぽい、バラエティノリの映画で広瀬すずがバカっぽい演技をしている、って状況の面白さはあるのね。  それに冒頭の(予告編でもさんざん聴かされた)「デスデスデスデス!」ってアレは正直なところ聴いてらんないレベルの酷さで、だから彼女に歌わせるのって酷じゃね?とか思ってたんだけど、クライマックスでの歌でしっかと聴かせるところまで持っていってるので、ああ、なんだ、そんな実力もあったんだ、ってキッチリ納得させてくれて。   映画を堪能した、って感覚は全く薄いけれど、広瀬すず主演のバラエティドラマをなんとなく楽しんじゃったって程度の感じね。   ところでエンディング後の1シーンはあれ、余計だったんじゃない? そこまでになってたかしら?
[映画館(邦画)] 6点(2020-06-25 21:12:12)
66.  ヲタクに恋は難しい 《ネタバレ》 
 驚くほどミュージカルだったわ。少なくとも『ダンス・ウィズ・ミー』なんかよりずっとミュージカル。ヘタすると『キャッツ』よりもうちょっとだけミュージカル。ただ、だから優れてるとかいうハナシでは全く無くて。   映画としてはハリボテね。特にココ!って見るべきところはなんにもなくて。毎度の福田雄一作品のテイストの羅列で、映画としてのまとまりはとっても悪い方のパターン。オリジナルな物語の面白さは無いし、それで終わり?みたいな浅い浅い展開で終わっちゃうし。   キャラの面白さがキモなんでしょうけれど。  高畑充希は良かったわ。可愛かったし、喋りは面白いし、元々ミュージカル出身なだけあってダンスも歌もちゃんと出来てて。でも、それをちゃんと活かせてない見せ方が残念。深夜・早朝ロケ早撮り丸出しな単調なカット割、雑なカメラ、地味なライティング。もっと事前の設計なりポストプロダクションなりで飾ってあげればいいのに。  対して山﨑賢人は斉木楠雄と演技一緒。つまんないキャラをつまんなさそーに演じてる印象しかないわ。あの固まった表情でオタ芸披露するのは良かったけど。  賀来賢人も毎度のアレだし、佐藤二朗に至ってはもう飽き飽き。あの毎度のネットリしたしつこいアレ、なんかどっか面白いワケ?  斎藤工は笑っちゃったけど、でもアレはアドリブの面白さなワケで映画の面白さとは別ね。  あと菜々緒が良かったわね。ベヨネッタか『監獄学園』の裏生徒会副会長?と思ったけど原作からああいうデザインなのね。   でもね、見ていて泣けて仕方なかったのよ。高畑充希が縛りから解放されて語りまくるシーン、あそこで涙ダラダラ。以降もコミケ会場で買い子や同担と盛り上がるシーンや酒場でレイヤーと盛り上がるシーンや・・・とにかく泣けるの。  それはね、感動したとか楽しいとかいうポジティブなキモチとはちょっと違うのよね。どちらかというと切なかったり辛かったり。判る、とっても判るのだけど、それは業のようなものだから。  長いことオタクとして生きてきて思うのは、オタクって、なるものじゃなくて、堕ちるものだと思うのね。その楽しさの背景にある色々なモノを想うと、ツラくって仕方ネーや、って。  オタク(ヲタクって表記の方が少しだけ自嘲・侮蔑の意味がある気がするわ)にはシンドい映画だったわ。
[映画館(邦画)] 4点(2020-02-09 15:06:32)
67.  ラストレター(2020) 《ネタバレ》 
 福山雅治がトヨエツに語りかける疑問「あんたは一体何者なんだ?」。  アタシ、トヨエツは「時の悪魔」みたいな存在だと思ったのね。   「この瞬間が永遠に続けばいい」って想い、それを容赦なく奪い、破壊する時の流れ、その残酷さ。トヨエツは変化をもたらすこと=時間を動かすことで総てを変えてしまって。  それに抗えるのは書くこと。時の流れは止められなくても、この世界に記憶を残し、心を残すことで、その瞬間を留めることはできて。  写真も同じ。そして映画も同じ。   映画に永遠の一瞬を刻む岩井俊二ならでは、なのだと思うわ。ビニール傘を差して立つ二人の夏の少女の写真、あそこに岩井俊二という作家と、広瀬すずと森七菜という女優と、この映画の描くテーマと、この映画の在り様そのものと、そして過去と現在と未来を結ぶ「永遠の一瞬」が収まっているのね。
[映画館(邦画)] 9点(2020-01-20 21:34:03)(良:1票)
68.  さよならテレビ 《ネタバレ》 
 東海テレビ局内の人々の姿を追った、ドキュメンタリー・・・?   あの「セシウムさん騒動」を起こした局が、視聴率とスポンサーに縛られる中でジャーナリズムの在り方を問い、理想と現実の狭間で苦悶し・・・という世界かと思いきや、ああ、こいつらちっとも懲りてないわ、テレビ屋って本当にダメな連中のカタマリね、でもそんな中にも希望が持てる存在がいたりするのね、と思ってるそばから更にひっくり返されて、もう本当に絶望的な気分にしてくれる映画ね。  でもそれを当の東海テレビ自体が作っているのだから、それは露悪的で、そして偽悪的で。   わりと最初に提示される「カメラが介在した状態でのドキュメンタリーは本当に現実と言えるの?」ってところから、映画はドキュメンタリーとヤラセの間を漂いながらテレビ局の「リアルな虚像」を見せてゆくのね。そこにはテレビ屋の取材対象に対する思いなんてのはスッポリと欠落しちゃってるし、仕方なさに支配された状態を披露してゆくのはひたすら言い訳がましいわ。そしてテレビなんてそんなモンだと披露するところまでがセットになっていて。   映画は最後にこれがそこまで描かれた以上にヤラセでした、と告白してみせるのね。なによ結局は全てが虚飾なの?って思うのだけど、そんな虚飾だらけのテレビって世界の中にチラリチラリと垣間見える真実と本音、それをどう拾って受け止めて、そしてテレビジャーナリズムってものに何を問えるのか、問うべきなのかを考えることになる、そう、これはあえて悪役を買って出たようなモノ。自分達も出来てない、そして他も出来てない、それが浮き彫りになる現実。テレビジャーナリズムはそのままどんどん駄目になって終わるのか。   この映画の他に、ここのところハマってた『チャンネルはそのまま!』のドラマ版や、テレビ朝日の『報道ステーション』大量派遣切りのニュースなど、自分の中でネタが重なってるのだけれど、中でも最も大きなイガイガになっているのが映画にも描かれた「権力の監視」についてね。現在もうテレビジャーナリズムがその点においてほぼ機能していない状態で、既にテレビジャーナリズムは死を迎えているんじゃないか、っていう状態で。それでいいの? あんたたちはそんなクズとして生きていたいの? ってそれは結局市民の側が黙っていちゃダメなのよね。ダメな連中が自分達から良くなる事はないのでしょうから。
[映画館(邦画)] 8点(2020-01-19 11:18:34)
69.  男はつらいよ お帰り 寅さん 《ネタバレ》 
 アタシにはこれ、ひたすらツラい映画だったわ。   元々寅さんってスクリーンでは一度も見た事がなくて、今回が初めて。父親がテレビで放送されるたびにチャンネルを合わせるのを仕方なく眺めてた程度。あとバス旅行の時にバスのテレビで見たとか、BSでなんとなく途中から見て途中でやめたりとか、特に思い入れは無くて。  でも、映画を見始めた頃からずっと近くに存在していて(松竹系の映画館に行けば予告編は見るワケだし、日テレ年末の恒例番組だった『お正月映画全部見せます』ではお目当ての洋画枠はごくごく短くて、多くを大手邦画会社の目玉映画の紹介に割いてて、そこで毎回寅さんの撮影現場が映し出されていたワケで)、だから寅さんと言えば昭和の映画の記憶、みたいな存在だったのね。   これは、そんな寅さんが久しぶりにスクリーンに帰ってくる映画、だったのかしらねぇ? むしろ本当のタイトルは『さよなら 寅さん』だったんじゃないかしら。寅さんが生きた時代、輝いた時代がかつてあって、満男はそんな過去を回想してゆくけれど、満男の現在、社会の現在、世の中の現実は、寅さんが生きた時代とは遠く離れてしまっていて、それが遠い記憶、思い出として描かれているようなカンジ。映画は、もう寅さんが居ない世界で、今のこのリアルを生きるしかないんだよ、みたいなことを言っているみたいに思えたのよね。  すっかり歳を重ねた人々、回想の中に登場するキラキラ輝いたヒロイン達の、でも多くの、もうこの世に居ない人々。過ぎ去って戻らない時間の、その残酷さ。   映画としては物語がほぼ流れてない(状況と回想ばかりが羅列される状態)のと、満男役の吉岡秀隆が何故かいちいち目をひんむくのでなんかびっくりしてるの?ってのが気になったわ。   泉の存在は今の現実世界を映す鏡のようで、その仕事は国連の難民支援、疎遠な父母は未来の無い状態。寅さんの居ない世界では、そこに奇跡は存在しなくて。まるで寅さんは今や記憶の中のファンタジーでしかないと言っているみたいで、寅さんと共に生きた人々はそろそろ思い出をまとめて、そうでない(もう少し若い)人々はこれから先の厳しい現実を生きてね、みたいに受け取ってしまって。   1974年の大晦日に映画好きになったアタシは45年後の大晦日にこの映画を見たのだけれど、45年前のその日をハッキリ思い出せるだけに(日比谷で映画を見たあと、今はもういないおばあちゃんの、今はもう無い目黒・三田の実家に行って出前ののびたラーメンを食べて)、その時間の重さ、残酷さをこの映画に思い知らされて、結構ショックが大きかったわ。
[映画館(邦画)] 6点(2020-01-04 15:02:01)
70.  屍人荘の殺人 《ネタバレ》 
 浜辺美波が可愛い以外の感想が出てこないわ。原作知らないけど、つまんない映画。   ここからはネタバレ注意ね。   まず、予告編やCMから受ける情報と実際の映画とは大きな違いが2つあって、もはや詐欺みたいなモノね。  1つは3人の探偵&助手がペンションで起こる殺人事件に立ち向かうって印象だけど、実際には1人は早々に退場しちゃうわ。なんていうの、『エグゼクティブ・デシジョン』のセガールっていうか『ディープブルー』のサミュエルみたいなモンね。  もう1つはゾンビものだってこと。ゾンビが跋扈する世界での閉ざされた空間での殺人ミステリーなのよね。ゾンビと何かをブレンドしてみたのはいけれど大して面白くない、って『アナと世界の終わり』みたいね。   で、ゾンビ化してしまうのは誰かが野外フェス会場でウィルスを注射しまくるテロによるものなのだけれど、そこは具体的な説明をしないのよね。犯人の目的とか動機とか一切描写ナシ。解決すらしてないの。つまりゾンビが存在する理由付けのためだけの設定なの。ならば人の手によってゾンビが生まれました、なんて説明も要らないんじゃない? ハンパね。  コメディタッチでワリと寒めなお笑い描写が頻出するのだけれど、根は陰惨だったり悲劇的だったりして、それをお笑いが緩和するというよりもアンバランスな印象を与えてるわ。ラストシーンからエンドロールへ至る部分なんか、お客さんみんな呆然ってカンジよ。なんかそこに救いがあるのかと思ったら、そんな終わり方?みたいな。  ミステリーとしてはそれ成立するの?ってレベルで(何しろゾンビものなので)、なるほど!みたいな推理が見られるワケでもなくて。ハンパに金田一耕助モノのパロディ入れたりするのも意味不明ね。   極端に短いカットの連続やここが見せ場ですよ的なスローモーションも煩わしいばかりで、なんだかしょーもないモノを見せられてる、って口あんぐり。   それでも浜辺美波は可愛かったわ。それだけ。
[映画館(邦画)] 3点(2019-12-24 21:31:05)
71.  映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ 《ネタバレ》 
 ツイッターで大々的に話題になっているのだけど、ネットでの大騒ぎがこの映画にとって幸福なコトだとは思えないのね。作品への感想・評価が大袈裟過ぎて、ここに登場するキャラたちが持つココロと乖離しまくっちゃってる状態じゃない。「何気ない佳作」くらいがちょうどいいポジションだとは思わない?   映画を見るに当たって身構えてしまったけれど、幼い子供向けだけにワリとシンプルね。前半、絵本の中に入ってバリエーション豊かな展開をする割にはどうにも単調で見てるのが結構キツいわ。キャラ1人1人のドラマを深読みしようと試みたけど、それぞれの成り立ちに背景はありつつも基本みんな仲良し良いコ状態なので特に深い闇を見せてくれるとかいう訳ではなくて(当たり前)。ナレーションで全部説明してくれちゃう映画だし。   後半の展開は感動的に描けていたわ。ただ、こういうほのぼのシンプルなデザインのキャラで怒涛の泣かせの展開に走る点に意外性があるわけで、その設定そのものはありがちと言えばありがちね。   ネットで取り沙汰されてる『攻殻機動隊』とか『ジョーカー』とかって、真面目に受け止めない方がいいわ。アタシ個人の印象として近かったのは『学校の怪談』シリーズね。  尺も短いし、何か凄いモノを期待して見るのは間違いかしらね。っていうか平日昼間の新宿ピカデリー、子供はちょぼちょぼ、大きいお友達で溢れかえってたわよ・・・
[映画館(邦画)] 7点(2019-11-14 19:38:24)(良:1票)
72.  ドラゴンクエスト ユア・ストーリー 《ネタバレ》 
 これまでアタシちゃんは山崎貴って人を幾らか評価してたわ。いえ、擁護してた、ってカンジかしら? オンチな映画を作る人だけど、まあ、いいところもあるじゃない?大目に見てあげてもいいんじゃない?って。昨日見たばかりの『アルキメデスの大戦』だってオンチなところはあるけれど良かったし。  だけどこの映画を見て、本っ当にっ、心の底からっ!大嫌いになったわ。見終ってからずーっとイライラムカムカし続けよ。   冒頭からしばし続くヘンな演出とダイジェストっぷりに「なんてオンチな映画なのかしら?」って思ったら、そこは夢だったので、ああ、そういうコト、って思ったらそこから先もずっとダイジェスト。延々オンチ(ブツ切れな展開で感情移入もへったくれもあったモンじゃなくて)な状態で、だけど『ドラクエV』をプレイした事がある人ならば色々と脳内補完できますよ、って作りで、だからそういう志の低い映画なりの楽しみ方はできたのね。ビアンカ(アスティ似)とフローラのクダリなんかね。  音楽なんかもブツ切れだし、『V』の曲だけじゃなくて『VI』や『III』『IV』の曲も使っちゃうし。ブツ切れ展開には曲が合ってない状況が多いし。『序曲』の使い方酷過ぎだし。   だけどそんなオンチな酷さっぷりもクライマックスの馬鹿馬鹿しさには霞むわ。  これは『ドラゴンクエストV』の映画化ではなくて、『ドラゴンクエスト』の映画でもなくて、スーパーファミコンソフト『ドラゴンクエストV』についてのメタ映画。  そんなモン、『世界一受けたい授業』でヘラヘラと自慢しながら見せときゃいいのよ!ってモノを本編で見せちゃうワケ。  ゲームって所詮は作り物だけどイイもんですよね~、ってそんな誰もが判りきったコトを本編で語るなっての、バカ! ちなみにこの映画はCGで作られてるんですけどね、映画なんて全部作りモノなんですけどね、でもイイもんですよね~、って「山崎貴、お前如きに『ドラクエ』とCGアニメと映画を破壊する権利なんてあるのか?馬鹿野郎!!」って怒りに燃えながら新ピカを後にするハメになったわ。   山崎貴はクズでゲスな大馬鹿野郎、これからはその大前提でこの人の映画を見なくちゃならなくなったわ・・・  【追記】  ドラクエファンがこんなのドラクエじゃない!って感情的になってるレビュー、程度の話ではなくて(アタシ自身、実は『ドラクエV』はそんなに好きじゃない)、もっとずっと深刻な問題なので少し補足しとくわ。   クライマックスで突如、ここまで全部VRでした、ってのは夢オチの亜種、タブーよね。でも、問題は『ドラクエ』世界だけに留まってないの。   「今まで見てきたパパスの死やビアンカやフローラへの想いや冒険は、全部ニセモノですよ、作り物ですよ、だけど」っていう、その「だけど」の部分が全く上手く機能してない、上手く描けていないどころか、他の総ての創作までをも侵蝕して否定する状態になっちゃってる。    わざわざCGのコリジョン外してテクスチャ外して、ツルツルのポリゴン見せて、これが映像の真実でござい、ってモノを見せて、そこからそれでもこの世界は素晴らしい、ってモノまで復活させられてないの。キャラや作品世界を殺してしまったの。  それどころか世のゲーム、CGアニメーションは全部こういうモノなんですよ、って他作品まで全部(そう、ディズニーやピクサー、DWA、イルミネーションなんかね)巻き込んだ上で大失敗コイてるの。    それは映画やその他の映像作品総ての虚構性までをも内包しちゃってるワケね。つまり『ドラクエ』を軽視するだけじゃなく、ゲーム全体、CGアニメーション全体、映画というメディア全体、映像作品全体の虚構性を1つの作品の中で無責任に暴いた上で、その責任を取らないままで終わらせちゃってる。  もう山崎貴の稚気の成せる技、で済ませていいレベルじゃないのよね。   個人的には山崎貴=ROBOT=白組の積極的拒絶ってのをしてかないとダメだと思えてきたわ。  【追記2】  思ったんだけど、コレ『レゴ®ムービー』の出来損ないね。山崎貴にオリジナリティとか無いし。だけど愛のある無しの差は大きいわ。
[映画館(邦画)] 0点(2019-08-02 17:36:31)(良:4票)
73.  天気の子 《ネタバレ》 
 この虚無感はなに?   家出少年と親を亡くした未成年の姉弟。高校生を殴るチンピラ。銃をぶっ放す高校生。未成年だけで入るラブホテル。高校生に銃を向ける刑事と警官。国家権力に反抗して法を犯しまくる登場人物たち。  今のアタシはそういう刺激的な(あざとい)要素を、物語を楽しむためのドラマティックな題材として捉えられる気分じゃないのよね。   「繊細なフリして無神経」ってのはアタシが前から新海誠監督に抱いてる印象。相変わらずだけど今回はそれが腹立たしくもあって。  東京の西側に生まれ育った身からすれば見慣れた風景、それが「だから?」としか映らず。街が見せる「顔」はそこに住む人間からは必ずしも正しいとは思えず、上っ面のイメージとして提示されたモノに苛立ったりもして。   そう、上っ面。なんとなくそれらしい設定や映像やキャラや美術やエピソードや歌が並べられているけれど、その内側に一体何があったのかしら?いや、何かあったのかしら?  数々の類似した映像、エピソードを思い出しつつ(『時かけ』『バケモノ』な細田作品だの『聲の形』だの『サカサマのパテマ』だの『ペンギン・ハイウェイ』だの水没系なアレコレだの、いちいち挙げるのも面倒だわ、ってそうそう、でも忘れちゃいけない、愛という名のエゴが、リアルに描かれた東京を水没を含む壊滅のイメージの世界に誘う『X』も)、それ以上の何かがあった? それらが提示したモノの意味以上のものがあった? っていうか、それらがキチンと有機的に結合して1つの作品として意味を成してた?  『君の名は。』同様、ダラダラ流れる歌の数々と共に、アタシにはコレがなんとなく感覚的に雰囲気的に酔えればいいじゃない程度のものにしか映らなかったのよね。でも『君の名は。』ほどには娯楽映画として楽しいって作品だとは思えないし(かなり殺伐としてるわ)、かと言って、そんなに作家性なんてあったかしら?   愛にできることはまだあると信じたいけれど(特に今は京都アニメーションに対して)、でも、この映画の愛はそもそもなんだったのかしら? アタシ、それすら見失っちゃったわ。
[映画館(邦画)] 4点(2019-07-19 23:14:35)(良:5票)
74.  新聞記者 《ネタバレ》 
 新聞を読まなくなって10年近く経つわ。ヤクザみたいな勧誘員が洗剤持って売り付けにくる、紙ゴミがたっぷり挟まってくる、中身もゴミみたいな紙の塊にどれだけの価値があるのかしら? アレって必要なモノ?   コレは嘘つき64歳児、安倍晋三の内閣を元にした映画。語られる幾つものエピソードは実際の内閣のやらかしを引用してるのね。こんなん、大手メジャーが作れるワケもない、コレがメジャーな劇場で公開されたのが奇跡のようにも思えるあたりが今って時代ね。   ただ、この映画を見て「今の日本の内閣はクズよね!」って怒りを燃やしちゃうんだけど、ちょっと待った、この映画はあくまでフィクション。現行内閣の姿を模しているだけ。  現実はマスコミはもっとずっとクズだし(NHKとか読売新聞とか産経新聞とか、ただの政府の犬でしかないわ、ってでも受信料はBS込みで払ってるわよ、それは法で定められた義務だから)、この映画に出てくるような気骨ある人たちなんて今のマスコミには居ないわよ・・・ってところはともかくとして、映画はしょせん作り物。そこに真実がある訳じゃない。  何が本当なのか、何がこの国に起きているのか、それは自分の判断に頼るしかないわ。この映画で語られる「自分を信じ、疑え」こそは今の日本人に必要なスキルなのだと思うの。  この国の政府とマスコミはクズだけど、盲信するのも罪ならば、ただ黙って状況を受け入れているのもまた罪。国は国民が創るものなのだから。  映画はその自らの虚構性までをも利用して、現政権のいかがわしさを超越して、国家権力、マスコミが情報をコントロールし、世論を作り、個人の権利、生命を脅かすようなことがあってはならない、国民はそこをキチンと見ていないと国はどんどん悪い道を進む、と普遍的な警鐘を鳴らしているのね。   『サニー 永遠の仲間たち』や『怪しい彼女』でカワイイのにヘン、って独特な個性を見せていたシム・ウンギョン、正直なところ日本語はたどたどしくてツラめ。だけど力強い演技で存在感を示してるわ。日本で彼女に対抗できる目力の持ち主女優ったら杉咲花くらいかしら?   ラストの議事堂前の桃李とウンギョンのシーンは多くを語ってなくて、あれ、多分絶望的なカンジなのでしょうけど、アタシ的にはあえてあそこには希望が描かれてると捉えたいところね。この映画そのものがそれを信じたいと思っているように。  【追記】ツイッターの「♯新聞記者みた」タグに必死にクソリプ送りつけてるクズ達のせいで、逆にどんどんこの映画の意味が出てきちゃうっていう。日本大好きとか(自称)普通の日本人とか美しい日本を取り戻すとか言ってる連中のやってる事、逆効果。
[映画館(邦画)] 8点(2019-07-05 18:24:15)(良:2票)
75.  ダンスウィズミー(2019) 《ネタバレ》 
 『さよならくちびる』おバカバージョン、みたいな映画だったわ。   矢口監督の映画、『ひみつの花園』から『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』までは好きなんだけど『ハッピーフライト』『ロボジー』あたりからあまり楽しめなくなって。   矢口監督の映画につきものな「いい加減な人びと」、それが高校生ならば「おバカねぇ」って笑っていられるのだけど、オトナとして仕事をしている立場で「いい加減な人」だと、とても楽しんで見てはいられなくなって。  そのいい加減さが物語を動かしてゆくって、不安感、不穏な雰囲気を漂わせてしまってストレス抱いちゃう。  今回の映画もそうで。だからまごうことなき矢口監督作品ね。   その上、歌って踊る映画なのだけど、普通のミュージカルがキャラクターの心や気持ちをそのまま歌や踊りで表現しているのに対して、この映画の主人公は意思に反して、不本意ながら歌って踊ってしまうわけ。それって見ていてあまり気持ちイイとは思えないのよね。  その姿を見て笑うというのを意図しているのワケなんだけど、主人公にキモチを移して見ていると、苦痛に思えて。苦痛なミュージカルシーンって、そこまで意図してたのかしらねえ?   『レ・ミゼラブル』のファンティーヌや『アナと雪の女王』のエルサ、最近では実写版『アラジン』のジャスミンの熱唱は決して楽しいキモチを歌ってるワケじゃなくて、苦しみの中で心から湧き出る想いを歌ってる、でも、コレはそれとは意味が全然違うワケで。歌うのは昭和な既成曲ばっかりだしね。  不穏な雰囲気で進む苦痛なミュージカル、うーん・・・   ミュージカルに抵抗がある人こそ楽しめる作品ということなんだけど、ミュージカルに慣れている身からすると(ヅカ好きだし)、ミュージカルの良さってところからは遠く離れた作品、ミュージカルへの入門にはなりそうにないカンジ。  そこを体験したければ素直に現在絶賛上映中の『アラジン』を見なさい、みたいな。   主人公の姓が「鈴木」だとか、嘔吐シーンがあるとか、監督の作品の烙印は登場するけど、そういうのはワリとどうでもいいわ。伏線やエピソードの回収をちゃんとせずにほっぽりっぱなし、投げっぱなしの悪いクセも相変わらずよ。   『旅立ちの島唄』や『グッモーエビアン!』の頃は透明感のある少女だった三吉彩花はすっかり美しいオトナになって、存在感もあって、良い女優さんになったわね。でも監督はこの映画のオーディションまで彼女の存在を知らなかったそうで、他の人の作品って意外と見ないモノなの?   舞台では実績も人気も十分なのに、映画では何故か不毛な日本のミュージカル、残念ながらこれもそのジンクスを破れる映画ではなかったわ。っていうか、監督、ティーチインでは昔からミュージカル好きって言ってたけど、ホント? 群舞は俯瞰で、ダンスは全身を捉えてステップを見せてこそ、なのだけど、そこら辺、ちゃんとしてたって言えるかしら?
[試写会(邦画)] 5点(2019-06-21 20:34:29)
76.  町田くんの世界 《ネタバレ》 
 前田あっちゃんのキャラが最高ね。彼女が全編に渡って映画を引っ張ってくれたならば、どんなにか楽しい映画になっていたことか・・・   映画は、前半はとても楽しめたわ。町田くんと接した人びとに訪れる変化の物語は、なんだか心がほわほわして。  だけど、後半になって町田くん自身の物語に移行すると、歯切れの悪い、テンポの悪い状態になってしまって、映画に対する興味も半減してしまった感があって。町田くんってキャラ自体は必ずしもキモチのイイ存在じゃないもの。あくまで彼の行為によって影響を受ける人の姿、っていうのが気持ちいいワケで。  元々、それぞれのキャラの描写が弱い感じだったので、クライマックスのノリは盛り上がるよりもご都合主義的な、それってわざとらしくてちょっと恥ずかしいわ、ってカンジになっちゃって。あの記者というかライター、彼なんかはあそこまで必死になれるほど町田くんとのエピソード重ねてないし。   それに、安易にスマホを悪いモノとして記号的に描くのもどうなのよ?って。今時スマホを悪意の象徴として描くとか、無理あるのよ。今の時代にそこを避けたり排除したりしてそれで通用しないでしょ? そこら辺はちょっともう古い感覚になっちゃってるわよね。古びたシネフィル的思考よ。  モデル青年がプレゼントを棄てる件は最近実際に炎上した動画にピッタリ符合してて、時代を映してる感があったけれど。   オーディションで選ばれたメインの2人はとても良かったわ。脇をベテランな人びとに固めて貰って、初々しい爽やかさを放って。   あと、クライマックスでいきなり「え?」って展開になるんだけど、アタシはその展開そのものよりも、かなり微妙なデジタル合成っぷりにハラハラしちゃって。ぎこちない画が延々と続くので、ミョーな不安感に包まれるハメになっちゃって。観客が合成のクオリティの心配しちゃう、っていうのは邦画独特の残念な特徴よね。洋画だとそういうコトってあんまりないもの。   映画そのものは期待したほどじゃなくて、結論としてはあっちゃん最高!!というところが最大のポイントね。
[映画館(邦画)] 6点(2019-06-11 19:57:37)
77.  君は月夜に光り輝く 《ネタバレ》 
 明らかに『キミスイ』の柳の下のドジョウを狙ってるのが見え見えで(監督と主演が一緒だし)、だけどそれでも映画に酔えればいいのだけれど、『キミスイ』には及んでないわ。かなり劣るカンジ。   この映画の最大の欠点は永野芽郁を病院の外に出せないこと。その分、北村匠海が動いてゆくことになるのだけれども、彼の単独行動じゃどうしたって映画のキモチは永野芽郁から離れていっちゃう。永野芽郁も一緒に連れ出さないといけなかったハズなのね。それはもちろん病院から連れ出せないっていう基本設定は守った上で、彼女のキモチとか想いとかを連れてゆく、という。だけど、ソレをクライマックスの感動的な見せ場の仕掛けとして設定しちゃったものだから、そのテを使えず、永野芽郁はコマ切れで登場する状態になっちゃった。   その上、エピソードがいちいち単発状態で繋がりがちゃんとしてないので(もう娘に会わないで→間無し→会いに行っても平気、もう来ないで→間無し→会いたい)流れが生まれず、話が盛り上がってゆかないの。エピソードのコラージュ状態で描いてゆこうとするならば、もっともっとエピソードを重ねるべきだったのかもしれないわ。   架空の病気はあんまりな合成状態でヘンだし。っていうか、二度目の発光はアレ、匠海はもう彼女を逝かせてあげたいと思ったワケ? 屋上出るとヤバいってのを承知の上で光らせたみたいなカンジなんだけど。   それでも見られる映画だったのは北村匠海と永野芽郁って二人の実力、それ以外の何物でもないわ。北村クンは『キミスイ』とキャラカブり過ぎだろ!って状態ではあったのだけどさ。
[映画館(邦画)] 6点(2019-06-06 21:30:22)
78.  プロメア 《ネタバレ》 
 映像は良かったわ。  スクリーンいっぱいに色とカタチが乱舞する世界。炎側を三角、水(氷)側を四角でシンボライズして、三角と四角の戦いの世界にしてみせてるのが楽しくて。ちょっと『スパイダーバース』みもあって。  それに故・金田伊功氏の精神を受け継いだかのような、『幻魔大戦』クライマックスを思わせる炎の龍の乱舞も気持ち良く。  ハイテンションな映像の暴走ワールドを堪能させて貰ったわ。   だけど物語や設定はありがち(『バーニングレンジャー』で『ヴァレリアン』してみました、みたいなハナシよ)で楽しめたとは言い難いのよね。  なんと言っても設定が劇場用アニメのカサじゃないのよ。1クールとか2クールとかあるテレビアニメ用のソレみたいな状態で。キャラは多いし、メカいっぱいだし。それを無理矢理2時間弱の映画に詰め込んでる感じで、いっぱい出てくるクルーの殆どが描写不足。「こういうデザインでこういう喋り方なんで、これまでの既成作品の類型キャラから連想して察してくださいね」って状態になっちゃってるのよね。もう記号でアニメ作っちゃってるの。最近のアニメの悪癖そのまま出てるわけ。   あと声、松ケンは見事ね。もうそのまま洋画の吹替えとかアニメ声優とかで十分通用するわよ。一方、堺雅人は聴き取りづらくてちょっと困っちゃった。セリフの端々で発声せずに息だけで喋るのよ。それで良しとしちゃったのが意味不明だわ。   勢い、テンションだけで突っ切ってゆけると思ってる?ってカンジの映画で、実際、突っ切れてないこともないかなぁ?とは思うのだけれども、どうしてもひっかかるところは色々あるのよね。
[映画館(邦画)] 6点(2019-06-06 20:25:47)
79.  さよならくちびる 《ネタバレ》 
 門脇麦と小松菜奈の百合映画なんて、それだけで満点じゃなくて?  なんていう汚れた心にパンチ食らわせながらじんわり癒してくれるような映画だったわ。   険悪なムードで解散へと至るインディーズデュオのハルレオと付き人シマ。ロードムービーのカタチを取りつつ、過去に戻ったり、ファンの姿、ローカルテレビのインタビュー、書きかけの詞なんかをコラージュして、出会いからそこに至るまでのハルレオの姿を浮かび上がらせてゆくのだけれど、この映画、幾つもの矛盾をぶつけてくるの。  全く違うようでよく似ているハルとレオ。儚げだけど強くて、だけどやっぱり弱い二人。頼りないけど頼れるシマ。それぞれがそれぞれを大好きなのに、だからって上手くはいかない、好きなのにどんどん壊れていっちゃう。キビシいようでいて優しい映画。切なくつらいのに、何故か幸せな気持ちになれる映画。   この映画、色々と物語るワリに物語になろうとしないのよね。ハルとレオが出会って間もない頃にハルの家でカレーを食べるシーンでの長回し、その1カットで色んな事が語られるのね。カレーを食べながら泣き出すレオ、頭をハルの肩にもたげ、そのレオの頭にそっと口付けるハル。そこにはふたりのいろんな背景が描かれているわ。でも、それを物語として結実させようとはしないの。3人の最後の晩餐もカレー、そして出発点に戻る、行きて帰りし展開が、だけどそれがきっちり物語として閉じているとは言えないのよね。  ※ここからラストについてのネタバレ※   その、閉じなかったラストシーンについては結構否定的な評価を見かけるのね。台無しって。でも、アタシ的にはアレ、つまり物語としての区切りを付けてないだけだと思うわけ。見た人それぞれに想像するでしょうけれど、アタシはあの後やっぱり解散すると思うのね。でも、少しだけ先送り、もう少しだけ3人の時間があってもいいかな?みたいなキモチ、って。まだ3人にはそうしてもいいだけの時間があるんだもの。何かをハッキリ決めなくちゃならないようなトシになるには、まだもう少し時間がある、そういうコトよね。それが青春、青春映画。
[映画館(邦画)] 9点(2019-06-03 22:17:28)(良:1票)
80.  ゴジラ キング・オブ・モンスターズ 《ネタバレ》 
 ベースが明らかに『三大怪獣 地球最大の決戦』と『怪獣大戦争』でチャンピオンまつり世代歓喜ワールド、だけど初代原理主義もしくはシン・ゴジラ原理主義の人には向いてなさそうよね、コレ。アタシは怪獣映画なんてテーマだのメッセージだのメタファーだのなんてさして重要じゃなくて、怪獣が出てきてドタバタ暴れてナンボだと思ってるんで、まあまあ面白かったわ。   ただ、人間側のドラマは前作に引き続き退屈。怪獣と人間のドラマは水と油、って何度も書いてきてるけれど、今回も混ぜようと無理してて、でも全然なのよね。いちいち怪獣に近づき過ぎだっての。潰されても仕方ないわよ?みたいな状態になってんの、っていうか実際にそうなっちゃうあの人はアレで良かったのかしら? それなりに名前のある役者さんのあの退場っぷり、『ディープブルー』のサミュエル思い出しちゃったわよ。   悪役の中二病全開な怪獣復活テロの理由とか、核の扱い雑過ぎで被曝しまくりでしょ!って状態とか、怪獣による被害描かれなさ過ぎとか、まあ、ツッコミどころだらけで、だけど良くも悪くもそういういい加減さもまた怪獣映画らしい、っちゃらしいのよね。   地球の守護神的な描き方は平成ガメラみたいだし、傷付いて海の底で休んでるところに潜水艇で助けに行っちゃうあたりは昭和ガメラの世界だしで、ガメラファンも満足?   でもやっぱり今の技術で巨大な怪獣がスクリーンいっぱいに暴れてる姿を見るのは気持ちいいのよね。巨大感を意識し過ぎて見辛くなっちゃってはいるのだけど(っていうか一体何が映ってるのかわかんないカットが結構あったわ)、人の力では到底太刀打ちできない畏怖すべき怪獣って存在を迫力いっぱいで見せてくれるのは単純に嬉しいわ。  モスラの美しさ、その役割なんか、よーく判っていらっしゃる、って描き方で(予告編時点ではバトラみたいになっちゃったよー、って嘆いたケド)、それぞれの怪獣のイメージをきっちり守ってみせたレジェンダリーチャンピオンまつりだったわ。  アタシ的にはもっとくだけちゃっても良かったんじゃない?とは思ったけどね。
[映画館(字幕)] 7点(2019-06-03 21:19:39)
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