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61.  血と骨
冒頭のシーンから、これは、日本版『ゴッドファーザーPART2』なのかなと思った。主人公は、ドン・コルレオーネよりもぶっとんだ<怪物>だったけど、「血と骨」というタイトルが象徴する「家族」という関係の重さは十分に伝わってきた。一人の怪物とその家族の物語から、大阪の朝鮮人集落の物語、日本現代史(いや、東アジア現代史か)への広がりを感じるストーリーも、大河ドラマの定番だけどやっぱりよい。ビートたけしの起用は最初疑問符だったけど、あの原作を、よくここまで映像化したものだと思う。花子の葬式での俊平と英姫が対峙するシーンはゾクっときた。 ただ、とくに前半のエピソードがブツ切り気味で、金俊平の暴力エピソード集みたいになってしまったのは、少し残念。
[DVD(字幕)] 7点(2005-08-24 01:41:26)(良:2票)
62.  ウォーターボーイズ
さわやかで面白かった。テレビで見たけど、小ネタの多さなんかを含めても、2時間ドラマにちょうどいいかも。演技や演出はまだまだな感じだったから、映画館で見たらどうだったかなあ? まあ、演技力に難ありな感じも初々しくていいのかもしれないけど。しかし、火事にならなかったら、(女子校も同じ日に学園祭だから)ほとんど男子生徒ばかりの会場で、パフィーダンスをやるつもりだったのだろうか・・・。
7点(2004-09-26 22:26:19)
63.  スチームボーイ STEAM BOY
映画館で見てる間は「面白~い」とワクワクしながら楽しめた。僕も「AKIRA」の世代(当時中学生)ですが、時間が経ちすぎたおかげで、妙な思い入れをもたずに見れたのがよかったのかもしれない。けど、映画館を出ると、他の方のレビューにもあるような疑問が次々とわいてきてしまう・・・。数日後にレビューしたら、すごい辛くなっちゃいそうなんで、さっさと採点しておきます。あまりメカに関心がない観客としては、最後のスチーム城の変形はくどかったけど、その分、レイとスカーレットの脱出シーンは、とにかく爽快で気持ちよかった! あの爽快感を味わえただけでも、映画館で見た甲斐があったなあと思います。
7点(2004-08-24 11:40:15)
64.  DISTANCE/ディスタンス
うーん。新興宗教とか加害者家族とか、けっこう社会派ど真ん中なテーマを是枝監督がどんなふうに扱うのか楽しみに見ましたが、正直期待外れだったかな。いつもの技法(自然光、アドリブなど)が、いまいち重めのテーマ性と絡んでなくて、ちぐはぐな印象がありました。あんまりそういうテーマ性みたいなのを念頭におかずに「是枝映画」としてみれば、それなりに世界観が存在していて満足できました。
7点(2004-03-20 03:55:23)
65.  月光の囁き
なんというか、「良識」とか「モラル」めいたものを吹き飛ばすパワーを感じました。ほとんど予備知識なしに見たんですが、最後、スピッツの「運命の人」で、完全にやられてしまい、泣きそうになりました。ま、他人に薦められるかどうかは別問題ですが。
7点(2004-03-12 18:47:46)
66.  シティーハンター(2024) 《ネタバレ》 
本作品については、コミックス原理主義者です。アニメも若干の違和感もって見てたタイプ(アニメでは再現できない絵もあったのでしょうがないのですが)。そんな私にとっても、鈴木亮平さんの遼と森田望智さんの香のコンビはこれ以上ありえないくらいベストな実写化だったと思います。どう考えてもリスクのほうが大きい実写化プロジェクトだったと思いますが、期待以上のクオリティでやり切ったと思います。現在の新宿を背景に動きまわる遼と香の姿を見ることができただけで、大成功といえるでしょう。とくに、本作の最後の最後に、遼と香が互いをはじめて「リョウ」「カオリ」と呼んだところでのあの曲という流れは感涙もの。これを成し遂げた俳優陣・制作陣に最大限のリスペクト!  ただ、「エンジェル・ダスト」と「ユニオン・テオーペ」の話は原作でも物語全体を貫くストーリーではあるのだけれど、終盤の合理性を感じない殺戮ぶりなど、リアリティ・ラインのバランスがさすがにおかしい。そして、国際配信を意識してのことだとは思うのですが、新宿歌舞伎町の描写はBGMも含めて、HBOの『TOKYO VICE』風の「異世界」っぽさが目立ち、北条司先生の世界観にはあまり合ってないような気がする。遼の「ホーム」である新宿は、本作のもう一つの主役なわけで、そっちの再現度のほうはいまひとつ残念。  あと、舞台設定が現代になっているのでしょうがないのですが、槇村が私よりはるかに年下だったことにショック・・・。
[インターネット(邦画)] 6点(2024-05-25 09:00:01)(良:1票)
67.  Arc アーク 《ネタバレ》 
これはなんとも評価に困る作品。そもそも、題材というかテーマが難しすぎたのかもしれない。ケン・リュウ原作で不老不死を扱っているとはいえ石川慶監督の作品でもあるので主体は人間ドラマなのだろうなと思ってたのですが、ドラマ主体にするには時間が足りず、個々のエピソードがどうしても描き込み不足だったのかも。内容的には1時間×5話くらいのミニシリーズ向けだったのかもしれません。ストーリーも、石川監督の『愚行録』や『ある男』を思いおこせば、もっともっと不穏な話を予想しました(とくに序盤)が、思った以上にシンプルかつさわやか風味に仕上がってて、そっちはちょっと思ってたのと違ってたかな、という感じ。でも、考えようによっては、終盤の展開、とくに小林薫さんの最期は、実はめちゃくちゃ残酷な話でもあって、それをさらっとナレーションですましてしまう監督の非情さにちょっと感心しました(だって、あれってリナに言われたからでしょ。最後まで最低の母親だったということでもある)。  外見は変わらないのにどんどん歳を取ってるはずのリナ役の芳根京子さんはがんばっていたのでは。もっと技巧的な俳優さんなら、老齢感みたいなのを入れてこようとすると思うけど、今作のように非現実的な浮遊感で表現するのもアリでしょう。むしろ難点は、そのほかのキャスティング。「怪しいスゴイ人」枠の寺島しのぶさんと岡田将生さん、「(過去になにかあるっぽい)いい人枠」に風吹ジュンさんと小林薫さんなどは、全員キャラがステレオタイプ過ぎてどれも掘り下げ不足。そして、ストーリーの肝になるリナの「過去」の話は、老人ホームの話が出てきた時点で先が読めてしまうので物語的なカタルシスも弱い。ドラマ的な見所も、芳根さんが浮遊する周りで、ステレオタイプなキャラたちがいつもの話を繰り返しているだけなので、どうしても物足りなさが残ってしまう。ただ、全体のパッケージとしては、石川監督らしい奥行きと質感のある映像(ただ90歳パートをモノクロにした意図はちょっとわかりにくかった)、終盤の瀬戸内と思われるロケーションの素晴らしさ、邪魔にならないけどちゃんとドラマをつくる音楽、オリジナリティのある美術など、ちゃんとワンランク上の映画を感じさせてくれる出来でした。結論としては、この話を2時間におさめるにはこのくらいが落とし所だったのかな、けどもう少し人間関係を描き込んだものも見たかったかな、というところ。
[インターネット(邦画)] 6点(2023-10-30 07:11:51)
68.  騙し絵の牙 《ネタバレ》 
吉田大八監督×原作塩田武士×主演大泉洋なんて、そりゃ期待するなというのが無理な話で、映画館で観たかったけれどかなわなかったものが配信開始されたので、さっそく拝見しました。面白かった、のだけれど、期待が大きすぎたかもしれない。物語の終盤まで、敵味方というよりも登場人物の目的がよくわからず、宙ぶらりんな状態で進んでいくサスペンスは出色だったと思う。ネタについても、完全に隠し切ってラストにドカンではなく、(とくにイケメン作家をめぐるアレコレなどは)あえてネタばらしを小出しにしながら、物語への居心地を悪くするあたりは、とても巧いなあと感じた。  ただ、そこに絡んでくるオールスターなキャストが自分的にはマイナス。佐藤浩市、佐野史郎、木村佳乃、中村倫也、斎藤工あたりの皆さんは、それぞれワンパターンに得意そうなキャラクターを演じてるだけで、ぜんぜん「面白くない!」のだ。そして、「あて書き」だからしょうがないのかも知れないが、もはや日本映画の救世主と個人的には思ってる大泉洋すら、物語の中盤くらいには「もう、大泉洋成分にお腹いっぱい」になっていた。劇中の台詞にもあるように、類型的なキャラへの批評的な視線が欲しかった。とくに、佐藤浩市さんは物語上も重要な役だっただけに、「ザ・佐藤浩市」に批評的に突っ込むような演出や展開があったらよかったなあと感じます。まあ、このあたりは、吉田監督自身が「桐島」の時代とは違って、日本映画を代表する「次作を待望される」監督になってしまったがゆえに、作品づくりのうえで調整しなきゃいけないことが増えた結果だろうなあと余計な推測までしてしまいます。とはいえ、小気味よい展開と松岡茉優さんのキャラに感情移入させるつくりに、吉田大八監督らしい良品感を楽しむことはできました。そして、主題歌なしの音楽とか、TRINITY編集部の面々のアンサンブルとか、スター抜きでも(抜きだからこそ)楽しめる要素もあって、オールスター映画ゆえの食傷気味な感覚がもったいないなあ、と感じた次第です。
[インターネット(邦画)] 6点(2021-11-28 17:44:46)
69.  響 HIBIKI 《ネタバレ》 
言葉を綴ることが仕事の小説家が、人が相手になると言葉より先に暴力っていう設定自体、「天才」の表現とはいえいかがなものかという気はするが、この映画でそれを言ってはおしまいだと思うので、それはそれとして受け入れれば、地味でドロドロした文学と文学賞の世界をこれだけエンターテインメントで見せてくれれば、ちゃんと面白い映画と言えるのではないか。主人公の響を演じる平手さんにはあまり興味はなく、いつもしんどそうな女の子だなあと思っていたくらいなので、そのパブリック・イメージを活かしつつ、ときどき笑顔を見せてファンを喜ばせるという意味では、なかなかよくできた「アイドル映画」ではあるけど、多くの人は彼女よりも彼女を取り巻く人たちのほうに感情移入して、その振り回されっぷりを楽しむのが楽しい鑑賞法なのだと思う。個人的には、響が小栗旬演じる山本の作品を読んでいる途中で買い物に出かけるシーン(もし山本の作品が受賞するほどのものであれば、響はあんな簡単に途中で読むのをやめないだろう)がとても切なくてよかった。キャラ推し映画のようでいて、そうゆう丁寧な描写が各所にあるのもこの作品の魅力だった。  ただ、自分もいちおう文章を生業の一部としている人間なのでどうしても気になったのは、響と彼女の作品『御伽の庭』を表現する語彙の乏しさ。冒頭の北川景子が表現する部分が唯一、具体的に「どうすごいのか」を説明した部分だと思うのだが、そういう表現だったら今時の作家さんの多くが志している部分だと思うし、自分もそういう作品も多く読んできたように思う。肝心の作品自体を表に見せる必要はないが、もっといろんな人がいろんな言葉で表現することは必要だったんじゃないかなーと思う。たくさんの違った角度、違った顔を持つ作品こそ、「傑作」と呼ぶにふさわしいと思うので。あと、芥川賞と直木賞の基準とかに全く触れないのも、「文学賞」を題材にした作品としてはやっぱり残念。ただ、終わらせ方はとてもよかったと思う。そして続編はないと思うけど、いらないと思います。
[インターネット(邦画)] 6点(2021-08-09 08:42:38)(良:1票)
70.  孤狼の血 《ネタバレ》 
これはまさにオールスターヤクザ映画。とくに江口洋介、竹野内豊が対立する組の幹部に扮して暴れているあたりが、今の「日本映画」という感じ。この2人はほかの役者に比べれば、ちょっと無理してる感じもあるし、そもそも2人とも役名ではなく、「江口洋介」「竹野内豊」にしか見えないが(実際、2人の役名は覚えていない)、それはそれでいいのだ。それこそが、日本の娯楽映画だったわけで。一方の物語の主軸は、役所広司と松坂桃李のバディもの。「悪徳警官」に振り回される松坂桃李視線で物語は展開し、最後に彼の「成長」(or転落)を描いて終わるあたりも定型通りだが、それもそれでいい。もちろん、暴力・グロいシーンでも痛い絵は最小限に、濡れ場でも男女の裸も見せず、テレビで流せない卑猥な言葉もサラリと流れていくところに、「メジャー娯楽映画」としてヤクザ映画を再構築しようという白石監督の狙いも感じる。ただ、そうした試みの数々がうまくいっているのかどうかは、うーん、どうだろう。豚糞や真珠などの悪趣味なアイデアに喜べる人たちは、有名俳優の名前で映画館に通う人たちとは違う気がするし、そんな人たちが裸を見せない絡みに満足するとも思えない。結局、雰囲気だけは劇画調ながらあっさり風味のヤクザ映画が、結果的に誰にとってもストライクを外した作品になってしまったように思える。ただ、続編も公開間近ということで、客観的にはその試みはそれなりに成功してるのかもしれない。
[インターネット(邦画)] 6点(2021-06-20 10:09:22)
71.  パンとバスと2度目のハツコイ 《ネタバレ》 
今泉監督作品は、『愛がなんだ』に続いて2作目。『愛がなんだ』で印象的だった深川麻衣さんの主演作ということで見てみたが、『愛がなんだ』とは正反対の若干不思議系・真面目系キャラが面白いし、演技の幅も垣間見えてますます気になる俳優さんになりました。今泉監督は、ちょっとした日常の場面でそのキャラクターの心情を丁寧に掘り下げるのがうまい。この作品の面白いのは、恋愛とそのほかの関係のあいだの境界線を引かないというか、主人公のふみの恋愛観は友人・家族・仕事、そしてかつて志した美術との彼女の向き合い方と地続きになっていて、そのどれにも宙ぶらりんな彼女の現在地がそのまますくい取られている。見ていて、ああ20代の半ばってこんな感じだったなあというのも、じんわりと思い出させてくれた。難点は、相手男性役の演技か(あと元彼役の人の演技も残念だった)。深川さんと伊藤沙莉さんがちょっとした視線の置き方や呼吸の間などでうまく感情を表してくるのに対して、山下さんの演技はいかにもワークショップ的というか演劇的というか、うまくかみ合っておらず、2人(or3人)のシーンのアンサンブルが残念だった。あと、これは低予算だからしょうがないのだけれど音楽の「いかにも」感。そして、パンがいまいちおいしそうに見えないこと。パンがそこまでおいしそうにみえないことも含めての、ほろ苦さの演出なのかもしれないが、シンプルなパンをおいしそうに見せてこその、この映画の味のような気もする。
[インターネット(邦画)] 6点(2021-06-19 09:56:27)
72.  止められるか、俺たちを 《ネタバレ》 
若松孝二監督の作品は、1990年代以降の数本見ただけなので、ここで描かれるエッジが効きまくったピンク時代の作品は未見。ただ、本作が描く若松監督は、その映像イメージから浮かび上がる絶対的な天才・鬼才というよりは、「アート」と「ビジネス」の隙間を、多彩なメンバーをうまくコントロールしながら絶妙なチームプレーで駆け抜ける「リーダー」の姿であったように思います。それは、まさに白石和彌監督の視線から見た若松孝二の姿だったのかもしれません。無給で働くことが常態化していた「若松プロ」の製作現場の姿を、ノスタルジーで居直るのでも、現代目線からハラスメントと断罪するのでもなく、女性助監督を主人公に置くことであくまでフラットに切り取った白石監督のバランス感覚には感心します。門脇麦演じるめぐみと、師匠である若松監督、思いを寄せる足立、若松プロを去って行く人たち、関係を持ってしまうカメラマンとのそれぞれの関係は、「恋」とか「愛」という言葉で表現できないような人間関係のさまざまなあり方を表現しています。だからこそ、「チーム」の美しさと儚さに説得力があり、めぐみが「チーム」の一員であると同時に異質な存在であることを痛感させられることが、最後の悲劇へとつながったのだと思います。ただ、最後の悲劇が歴史的事実としてある以上、本作はどこか宙ぶらりんにならざるをえなかったのも仕方がないのでしょう。「俺たち」の多面的な描き方に比べると、主人公であるはずの「1人の女性」がなぜそこへ向かってしまったのかはぼんやりとしかつかむことができず、気持ちの置き所に困ってしまう結末でした。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-06-12 09:04:27)
73.  花束みたいな恋をした 《ネタバレ》 
なんとなく、この映画は映画館で見た方がいい、という思いに駆られ、本当に久々(ほぼ1年ぶり)の映画館での鑑賞。休日午前の映画館は、若い女性2人組、カップル、そして4〜5人くらいの若者グループがメインで、その隙間に中年くらいの男性や女性が1人で見に来ていて(私もその1人)、まずまずの入りでした。上映前、普段まず見に来ないタイプの映画の予告編(すべて邦画と韓国映画)が立て続けに流れ、少しアウェイ感を感じる。  映画の序盤、目立たないタイプの麦と絹が、文化系ネタでの共通点を次々と見つけていく過程は(実際に登場する作家やアーティストはわからないものも多いながら)とても楽しい。あの長い一晩を2人とともに過ごし、互いに相手を「運命だ」と感じていくプロセスをすぐ隣でみているような気分になる(この流れは同じ坂元脚本のドラマ『最高の離婚』を思い出します。あっちはむしろ「違った」2人の遭遇でしたが・・・)。しかも、そのきっかけに世代関係なく2人の共振ぶりを実感できる押井守を持ってきた絶妙な設定! しかし、就職活動あたりから2人のバランスは崩れはじめ、麦の夢が行き詰まったあたりから大きな溝が生まれ、そうなればお互いの小さな努力やがんばりも空しく、決定的に瓦解していく。もともと『アニー・ホール』から『(500)日のサマー』『マリッジ・ストーリー』までこの手の恋愛プロセス映画が好きな私は、とくに中盤以降はどこか冷めた視点でみてしまい、いずれ来るであろう「修羅場な口論」シーンを期待(?)して待っていただけに、自分の感情をぶつけるよりも先に状況を「読み」、自分で結論を出してしまう2人に、やや消化不良な印象が否めませんでした。そして、物語の顛末も、鮮やか過ぎるラストも相まってさわやかな後味が先に来てしまい、もっと苦みを・・・と思ってしまいました。  ただ、映画上映後、クレジットが終わり会場が明るくなっても、みな席を立とうとしない。いつも映画館を最後のほうに去る私が、なんと一番最初に席を立っていた。それだけ、当日映画館にいた若い人たちには「刺さっていた」模様。やっぱり映画館で観たのは正解でした。そうか、彼らにとっては、この描写や台詞が「リアル」であり、「切実」だったのだ。残念ながら、この作品は「私の映画」ではなかったけれど、ここにいた人たちにとっては、この後もしばらく引きずりつづける1本になったのだろうな。そういう現場に立ち会えるのも映画館の醍醐味だったことも思い出しました。
[映画館(邦画)] 6点(2021-02-25 22:12:47)
74.  夢売るふたり 《ネタバレ》 
西川美和監督らしい緻密な構成と、豪華キャストが脇役で続々登場する「西川映画オールスター」的な緩さが混在する不思議な作品でした。個人的には、後者が完全なノイズになってしまい、ちょっと物語に入り込めませんでした。序盤の香川照之あたりの登場はへんなカツラもあってクスッと笑える程度でよかったのだが、終盤、伊勢谷友介や笑福亭鶴瓶あたりが重要人物で出てくると、それぞれキャラも強いため作品内のバランス感覚を狂わせてしまったようでした。それでも、松たか子と阿部サダヲの演技は見応えあり。阿部サダヲは詐欺師としていろんな人と関わるうちにどんどん人間味を増していくし、それとは対照的にどんどん沼にはまって狂気を孕んでいく松さんのそれぞれの変化とすれ違いは見所。そうやってみれば、この夫婦、最初からすれ違っていたようにも見えるし、この二人を見ていると、そもそも「すれ違わない」夫婦なんてないよなあという感覚に気づかされていく。また、この手のコメディとしてはアンバランスなほど、「セックス」の妙に生々しいシーンが挿入されたり、自慰や生理に関わるシーンまで登場するなど、この「すれ違い」の原点としての「性」にまで洞察を深めていくあたりはさすがの西川作品。安易で一面的な解釈を拒否するような松さんのラストの複雑な表情は必見。それだけの魅力が詰まった一作だっただけに、最初に挙げたノイズ部分が本当に残念でした。
[インターネット(邦画)] 6点(2021-02-23 09:09:32)
75.  あゝ、荒野 後篇 《ネタバレ》 
前篇では支離滅裂に感じた群像劇的エピソードは、結局うまく回収されないままだったけれど、信次と健二の二人のドラマに焦点が絞られた分、映画としては見やすくなった。死にそうで死なない健二の父とか、中途半端な3・11の挿入とか、自衛隊がらみの話とか、まだ続いている何かの反対デモ(大半がエキストラだと思うけど、このデモシーンの陳腐さには悪意を感じた)の描き方とかは、前篇同様、物語にとってはノイズの部分のほうが大きかった。これまた中途半端なセックス要員のようなかたちでしか絡んでこない女性たちの描き方もまた、2010年代のドラマとしては気になった。そう考えると、「死」をもって「生」を描くようなラストも、前篇の自殺防止サークルの陳腐な顛末と大して違わないような気もしてくる。要するに、「性」と「死」を描けば「新しい」「革新的」とされた寺山修司の時代とは違ってるわけで、中途半端な政治描写じゃなくて、アップデートすべきはそこだったんじゃないかと思える。そういう気になる要素は山ほどあるのだけれど、菅田将暉とヤン・イクチュンは、前篇よりも、さらに素晴らしい演技を体を張って見せてくれた。とくに、ヤン・イクチュン。この物語の主役は、原作どおり健二だったことが、この後篇を見るとよくわかる。二人のドラマ部分は本当に語りたくなる部分がたくさんあっただけに、ノイズになってしまったその他の部分が本当にもったいない作品でした。
[インターネット(邦画)] 6点(2020-04-13 09:08:30)(良:1票)
76.  映画ドラえもん のび太の月面探査記 《ネタバレ》 
前作で映画ドラえもんにはすっかり関心を失っていたのだけれど、子どもがやっぱり行きたいというのと、脚本が辻村深月さんだということで今年も映画館へ。辻村さんといえば、藤子F不二雄先生とドラえもん(&大長編ドラえもん)への愛と尊敬を込めた小説『凍りのくじら』の作者。各章をひみつ道具に絡めて描いた『凍りのくじら』と同様、旧作への愛情をたっぷりと感じる展開はとても面白く感じました。とくに、のび太たちがちゃんと「小学生」している日常の学級シーンを序盤に丁寧に描いたのは素晴らしい。そして、「日常」からの「異説クラブメンバーズバッヂ」からの大冒険という展開には、ドラえもんがずっと描いてきた日常世界と夢の世界を繋ぐ「想像力」の大切さというメッセージにもしっかりつながっていてグッときた。月にいく宇宙船が、科学的には無駄にしか思えない「気球」型、というのもそれっぽくていい。このあたりの辻村テイストの丁寧な積み重ねゆえに、この映画はじわじわと感動が積み重なるつくりになっていて、ルカとの友情にもしっかり感情移入できる。ただ、最近の「映画ドラえもん」らしい部分が、その辻村テイストとどこまで合っていたかには疑問も。まず、ルカやルナの絵柄。いかにも最近のアニメっぽい外見なのだけれど、正直のび太たちと画が合っていない。ゴダートも衣装や外見は相当微妙だった。それから、俳優さんのゲスト声優出演。最近は主要ゲストキャラは有名俳優さんたちが演じることが多いけれど、ルナ役の広瀬アリスさん、ゴダート役の柳楽優弥君は明らかに浮いていた(これは俳優さんが悪いのではない。あくまでキャスト側の問題だ)。そして、なにより最近のテレビアニメの映画化作品がこぞって向かうアクション映画志向。終盤のかぐや星での戦いなど、大きな音と音楽でスケール感を出してるのだけれど、その勢いでせっかくのじわじわ重ねてきたドラマが突き放されてしまうというか、1本の映画のなかに二つのドラえもん映画が混在しているようで、うまく乗り切ることができなかった。ちなみに、子どもたちの感想は、面白かったけど笑えるシーンが少なかった・・・とのこと。ふむ。たしかに、「いい話」だったけど、子どもたちがゲラゲラ笑うシーンはそこまで多くなかったかな。子どもも大人も両方を満足させるのはなかなか難しいようです。
[映画館(邦画)] 6点(2019-03-22 09:41:37)
77.  ちはやふる 結び 《ネタバレ》 
太一に焦点を当てた「上の句」、千早を中心に描いた「下の句」を比べて、圧倒的に前者のクオリティが高かったのは確かだけれど、まさか「結び」を再び「太一の物語」にするとは思わなかった。軸を太一に置いたおかげで、登場人物が増えてゴチャゴチャした状況がすっきりオーガナイズされて、奇跡的といっていいバランスになった。見せ場は、新キャラにも旧キャラにもちゃんと用意されていて、ちゃんと「彼らにまた会えた!」感と「新しい仲間に会えた!」感が共存できてるのはすばらしい。ただ、その分、主役である千早自身の葛藤はあまり深掘りされず、新はふつうの脇役になってしまい、主人公のライバルのはずの若宮詩暢にいたっては完全にコメディキャラ扱い。「下の句」のラストからのつながりで言えば、あそこで高揚した気持ちの行き場がない感じは残念。監督はそれでも、これを「太一の物語」として、これを完結させたかったのでしょう。ただ、それが「結び」としてよかったのかどうか、もう少し違った『ちはやふる』がありえたのではないかなどと、素直に楽しめた「上の句」とは違って、あれこれ考えてしまった分、少し残念な幕引きとなりました。
[ブルーレイ(邦画)] 6点(2018-10-30 09:28:53)
78.  溺れるナイフ 《ネタバレ》 
原作未読。このちょっと寓話的な主人公カップルに説得力を持たせるには、これ以外ないという菅田将暉と小松菜奈の配役。この2人を「美しく」撮るというミッションについては十二分に達成できてる。それは、美しさを過剰に強調した前半だけでなく、物語が一気に展開する後半においても、アップでも引きでもこの2人がいかに美しいかが堪能できる作りになっている。あと、舞台となる「浮雲」の絵、海岸、旅館、森などもみんな印象的で、そこを「絵」として傑出した登場人物たちが生き生きと動く様を見るだけでも映画としての魅力は十分過ぎる。もう、この「絵」を見るためだけに映画館に行ってもいいと思ったくらい。一方で、物語のほうは、基本的には少女側の視線で、そして10代の少女側の「肥大する自意識」を描いているので、コウちゃんと大友君という、ある意味ステレオタイプというか現実離れした男性キャラ2人の描き方もこれでいいんだろう。2人ともその内面は限りなく空っぽ(に見える)ではあるけど、そこに少女側が読み込む「少年像」が過剰に描き込まれてる(ついでに「悪役」ストーカー男のヌルいベタさも)。当然、中年男性である私としては「わかる〜」などと感情移入できるわけがなく、「うわー、これはキツい」とさえ思える主人公の七転八倒ぶりは、いい意味で新鮮でした。一方、残念だったのは音楽。総じて鳴り過ぎでところどころ邪魔。絵の説得力を減じてるとしか思えない。それからラスト、一連のけっこう重たい事件を乗り越えて「女優」として成功した姿に「凄み」が足りず、最後の終幕で説得力不足だったのは残念。ここで「少女」の浮遊感から「女」への移行を表現できるようになれば、女優としても小松さん自身がワンステップ上がれるのだろうけれど。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2018-03-31 09:27:41)
79.  クリーピー 偽りの隣人 《ネタバレ》 
かみ合わない会話、とくに社交辞令に絡むあたりから、するするっと隣人が心の奥に入っていく過程は、同じ黒沢清監督のCUREを思い出す。そういえば、本作の展開もよく似てた。ただ、CUREが「あんたは誰だ」というわかりやすい問いで絡んできたのに対し、本作は、どこで入り込まれたのかよく分からないままに気づいたら支配されてしまうというのが怖い。そのプロセスについては、いろんなメタファーが劇中に用意されている。たとえば、西島さんの演技が終始下手くそに見えるのだけれど、「刑事」「犯罪心理学者」「大学教授」のベタな役柄を演じている人という設定なんだろう(とくにあのわざととしか思えない棒読みの大学講義シーン・・・)。冒頭の刺されるシーンでの、それは「致命的だ」という教訓から結局学ばず、事件に首を突っ込んで、刑事ごっこ、犯罪心理学者ごっこに夢中になる。そして当然ながら「夫」としての演技も基本に忠実すぎて、まったく中身がない。妻はそれに気づいているからこそ、役割や社交辞令を逸脱して踏み込んでくる西野に、なんだかんだで近づいていってしまう・・・。あと「隣人」ではあるのだけれど、家と家のあいだにある「空き地」も象徴的。これは6年前の事件とも共通しているのだけれど、人と人の「距離」を象徴するようなあの場所は、西島さん演じる主人公、そして役割演技に忠実な現代人の対人距離でもあり、西野はその向こう側からいつもこちらを眺めつつ、いったんそこを越えれば、いきなりつけ込んでくる。そう考えれば、アイデンティティっていうものの自体を問うたCUREよりも、より現代的な問題設定であり、2010年代の黒沢映画らしい一作でした。ただ、後半のバランス崩れるところも同じ。前半の緊張感、妻が取り込まれるまでの恐怖はどこへやら、結局はサイコパスvs間抜けな警察、薬と銃をめぐるドタバタ劇で終わってしまう。最後の絶叫シーンで救われる部分はあるけど、もはやこのがっかり感、チープ感こそが黒沢印の様式美となっているようにも思えます。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2017-12-16 09:30:51)
80.  バクマン。 《ネタバレ》 
原作未読。内容的には「好きなものは好き!」というど真ん中の青春映画だけれど、大根監督らしい一筋縄ではいかない映像表現や役者さん達の好演もあって楽しめた。とくにプロジェクトマッピングのようにマンガの絵が映り込む執筆シーンは出色。こうゆう工夫で、「マンガを書く」という行為が躍動感にあふれててとても魅力的だった。あと、小松菜奈さんがまさに「少年マンガのヒロイン」的魅力全開で、大根監督が「モテキ」でも見せた演出力がうまく働いていたと思う。ただ、少年ジャンプ的な「友情、努力、勝利」をあくまで大肯定するストーリーには乗り切れず。その「犠牲者」となったおじさんと同じことをしようとする主人公にはちょっとがっかりした。もちろん、おじさんとの違いは「仲間がいた」ってことなんだろうけど、命を危険にさらしてもマンガを書き続けることを、「狂気」としてではなく「友情、努力、勝利」の美しい象徴として描いてしまうのは、やっぱり恐ろしいセンスだと思ってしまう。せっかく「少年ジャンプ文化」のメタ批評にもなりうる題材だったのに、結局はベタな賞賛としてまとめてしまったのはちょっと残念。エンドロールが、「少年ジャンプ文化」に対するとっても優れたオマージュでもあったことは、自分もジャンプ最盛期に夢中で読んでた世代なのでよくわかる。だけど、この物語が描く「少年ジャンプ」的なものを「懐かしい」の一言で表現できない程度には、自分はつまんねー大人になってしまっということなのだろう。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2017-01-25 16:54:00)(良:1票)
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