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風小僧さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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自己紹介 現在の技術で作られた映画を観る目線で過去の映画を見下すようなことは邪道と思っている。できるだけ製作当時の目線で鑑賞するよう心掛けている。

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1.  ワンダー・ボーイズ
 人生の迷路に迷い込んだかつての神童が、現代の神童に出会い人生の意義を見出す。好みの俳優はいないがR・トーマスが気になって観賞。ちょっとしたいざこざや拳銃絡みの刃傷沙汰があっても、心底悪い奴が出てこないせいか観続けた後に心地よさが残った。  フリーランスの生き方を通して「酸いも甘いも」という人生の機微を味わい、良くも悪くも自由を満喫するアメリカ社会の空気を感じた。
[CS・衛星(吹替)] 5点(2024-06-02 20:04:40)《新規》
2.  張込み(1958) 《ネタバレ》 
 駅のホームで始まり駅のホームで終わる社会派サスペンス。日本版「裸の町」と言いたくなるようなセミ・ドキュメンタリー・タッチが冴える。強盗殺人事件の犯人を追うベテランと若手の刑事による地道な捜査過程を描き、犯人の元恋人や若手刑事の心情も描き込んで人間味豊かな作品となった。  家庭では感情を押し殺し、かつての恋人との再会では抑えた感情を爆発させる、従順と情念の二面性をみせる女を高峰秀子が好演。  旅情を交えながら庶民の営みをリアルに捉えた映像はローカル色豊かで、人々の息遣いが感じられる。また、捜査の進展に合わせた俯瞰撮影が随所に見られ、上空からのカメラワークは見事である。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2024-05-07 21:58:25)
3.  永遠の人 《ネタバレ》 
 帰還兵の帰郷で始まり、物語に戦争の影が終始つきまとう。全編にわたって人間の業と哀しみに彩られ、感情を掻き立てるようなフラメンコギターの音色が印象深い。音楽に合わせて奏でられる言葉が情景や心情を表して心に突き刺さる。  愛しながらも結ばれなかったふたりだが、孫同士結ばれることで願いが成就するという、最後に訪れる希望の光が救いになる。芯の強い女性像は木下恵介アワー「女と刀」に通じるものがあった。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2024-03-31 17:20:36)
4.  小早川家の秋 《ネタバレ》 
 造り酒屋当主の人生と重ねて“小早川家の晩秋”を描いた人間模様。“家”に焦点を当てているせいか主要キャストの人物像が散漫で、強いて言えば家父長的な万兵衛の生きざまが中心と言えるだろう。  店を繁盛させた老舗の主人が陰では愛人にせっせと通い続ける。「英雄色を好む」的で、典型的な人物像が古い。もっと娘たちに焦点を当ててもよかった。また、東宝作品にもかかわらず森繁と宝田にあまり存在感がないのは残念。  死の象徴たるカラスがその後の小早川家を暗示しており、作品全体に人生の儚さ・死生観が感じられた。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2024-03-19 14:55:05)
5.  宇宙大怪獣ギララ
 松竹の珍品怪獣映画。わが“風の神”和崎俊也、軽妙洒脱な柳沢真一、昼メロで名を馳せた園井啓介、“レ・ガールズ”原田糸子のキャストに加え、歌もボニー・ジャックスや倍賞千恵子を動員する豪華さ、というよりバラバラ感いっぱい。おまけに、いずみたくの音楽はテレビアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」予告を想起させる。  ギララの登場シーンは、ゴジラやガメラの初登場場面に比べ緊迫感が不足で見劣りする。造形は割と好きな方だが動きに重量感がないのは惜しい。女性隊員2人の活躍は時代の先取りを感じさせて良かったが・・・
[インターネット(邦画)] 4点(2024-01-15 13:55:20)
6.  樺太1945年夏 氷雪の門
 南に「ひめゆりの塔」あれば北に「氷雪の門」あり、か。  1945年8月、日ソ中立条約を無視しソ連軍が樺太を侵攻。ソ連の攻撃を受けた住民たちの逃避行と、最後まで通信を守ろうとした女性電話交換手たちの悲劇を描く。  旧満州では、ソ連軍によって悲惨な境遇を送った日本人たちの話がよく知られている。当時の苦難は宝田明など映画人の証言でも見聞きした。それに比べると樺太での苦難はあまり知られていないように思える。  概ね史実に沿った演出であり、樺太が地理的に戦地から離れているため当初は住民が楽観視していたことがよくわかる。次第に戦火が近づく中で葛藤する交換手を演じる女優陣の演技は当時の緊迫感を漂わせている。交換手たちも早く逃げれば済むことであるが、いざという時に使命感をみせる人はいつの世にもいる。たとえば天災の時など。  海上の戦闘シーンは特撮がしょぼくて残念。ラストの平和へのメッセージはとってつけたような印象で心に響かない。
[映画館(邦画)] 5点(2023-09-24 19:41:16)
7.  キネマの神様
 映画づくりを通して描いた人生賛歌。映画界の内幕話をさりげなく散りばめている。女優のトイレ難は福本清三氏の著書にも書かれており、世間一般でも似たような話を聞いたことがある。  飲んだくれでギャンブル好きの主人公はステレオタイプだが、沢田研二はハチャメチャぶりが足りない印象。逆に寺島しのぶは演技を少し抑えた方がよかった。宮本信子は二人の思いを受け止める夫人役を手堅く演じた。全体的に、家族愛の物語としてはちょっと弱いかな。  コロナという時事も絡めながらいかにも山田洋次らしい演出。スクリーンから抜け出した園子とゴウのシーンはF・キャプラのテイストだね。映画のスタッフが映画を観ながら死ぬ展開は、かつてテレビ「相棒」で同じようなシークエンスがあったことを思い出す。  腹を壊しピーゴロゴロでゲーリー・クーパー・・・懐かしい。かなり前に職場で先輩が話していたネタだね。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-04-16 19:31:49)
8.  ナイト・オン・ザ・プラネット 《ネタバレ》 
人生の交差点ともいえるタクシー内での一期一会。  【ロサンゼルス】 全く異なる世界の住人である女性同士の出会いがもたらす運命の行く先は…微かに残るアメリカンドリームだが、それを断るタクシー運転手の誇りに現代性をみる。 【ニューヨーク】 黒人と移民の出会いを通じて彼らに暖かな視線を送る。黒人のお節介なアメリカ人気質が良い雰囲気で、犯罪志向に走らない描写が良い。 【パリ】 アフリカ人同士の差別意識や、アフリカ移民と盲人というマイノリティ同士の出会いを描く。立場の違いで「ああ言えばこう言う」やり取りが秀逸。意見は違っても大きなトラブルに発展せず、敵意は見せないコミュニケーションが心地よい。盲人といえど対等な立場で皮肉も交える自然な会話が印象的。 【ローマ】 イタリア艶笑喜劇の悪い面を見せられているようで面白くない、マシンガントークも上滑り気味で全然乗れない、乗客の神父のように具合悪い気分で笑えない・・・・・以上の“ない”3連発。 【ヘルシンキ】 市井に生きる人々の不幸自慢(?)を赤裸々に描く。人生の悲哀を感じさせるがもうひと捻りほしかった。さりげなく”夜明けもある”ということが示されたのは好ましい。    総じて人生賛歌である。が、登場人物の喫煙シーン見せ過ぎには辟易。意図はわからなくもないが、(製作年を考慮しても)過剰なタバコ演出には違和感が残る。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2023-03-05 15:58:30)
9.  陸軍 《ネタバレ》 
 幕末から日中戦争に至るまで、愛国的な家族が戦争と向き合う姿を描いた作品。  穏やかな役柄の似合う笠智衆と上原謙が強硬な軍国主義を語る場面など、国策映画として後援した陸軍省の要請に応じたと思われるシーンが随所にみられる。だが、戦意高揚を意識しながらも庶民の悲哀を織り込み、戦争に対する心情(あえて反戦とは言わないが)を巧みに忍ばせている。  ラストのシークエンスは、出征する兵士と田中絹代の演技を対比した長回しの撮影が光る。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2023-02-19 13:29:07)
10.  ラヂオの時間
 コメディー・タッチの会話劇として、ユーモアあふれるセリフの応酬を楽しんだ。誇張とはいえ三谷幸喜の体験と重なるような、製作現場のドタバタぶりがいいね。突拍子もないアイディアが続出する展開は魅力だが、少々飽きてくるのが難点。  ドタバタが続く中、アナウンサー役並樹史朗の落ち着いた語りが滑稽味を醸しながら画面を引き締めており、心に残る。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2023-02-09 10:15:04)
11.  舟を編む
 辞書を作る過程を通して言葉の奥深さを語り、一風変わった青年と周囲の人々の交流を温かみのある視線で描いている。  言葉は生き物で常に変化するもの。ゆえに「大渡海」のようなものはいつの世にも必要だろう。たとえそれがデジタルであろうとなかろうと…。1995年(ウィンドウズ95発売年)というIT化初期の時代設定が絶妙。何度も何度も校正を重ねる様はプロとして当然であるが、何といっても言葉に対する愛着が深い。  岸辺みどりが登場してから展開が一変してちょっとがっかり。古風な顔立ちとギャル風の役柄がミスマッチ。   映画の象徴的な話題、「右」とはどういう言葉で説明するか問われれば“〇〇から見て△△の方角”と答えるのはごく自然な反応だね。子どもの頃、「右」を答えるなぞなぞで“石の上に頭を出した子ども”の解答を思い出した。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-01-22 17:15:55)
12.  蒲田行進曲
 カツドウ屋魂あふれる展開でテンポが良く、銀四郎とヤスのはじけっぷりが楽しい。小夏の愛しさ・一途な女心も花を添える。騒々しいのが玉にキズ。   人生においては一瞬であれ長期間であれ誰でも場の主役になる時がある。その意味ではひとつの人生讃歌と言える。階段落ちは見ごたえがあり劇中劇の面白さも味わった。ラストの大団円は爽快で後味が良い。主題歌もいいね。
[映画館(邦画)] 7点(2022-12-31 22:07:55)
13.  生きる 《ネタバレ》 
 かつては「遅れず休まず働かず」、これ小役人の鉄則。プラス「大過なく過ごして定年退職」。「デカンショ役人」「○○一暇な役所」なんて言葉もあったな。  公務員の仕事は文書のひと文字ひと文字、数字のひとつひとつがその証となる(だから改ざんなんかいけねえよ)。こつこつ働いて課長になり、稟議で「ハンコ押すだけ」の役割も仕事の一つ。生活のためもあり割り切れるかどうかだが、役人は組織で仕事をするものだから、主人公の無気力は一面的であり説得力をあまり感じない。とはいえ通夜の席での同僚たちによる会話は、勤め人の本質を突く優れた展開。  余命宣告を受けた後、主人公のはじけっぷりが尋常でない。「それほど変わるか?」が素直な感想。役所の部下だった女性の若さを吸収するがごとき行動は面白いが、このシークエンスは少々違和感がある。彼女の“おもちゃを作る”仕事に衝撃を受け、それまでの無気力から一転、“公園をつくる”(=生きた証を残す)行動に出る。その奮闘ぶりから、人生において「何かを成し遂げる価値」は十分伝わる。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2022-12-31 22:07:50)
14.  万引き家族
 寓話性のある「本当の家族より絆の深い疑似家族」による、現代社会への問題提起。社会問題の象徴たる万引きを通して真の家族とは何かを問いかける。貧困、DV、犯罪、家族の崩壊、高齢者問題etc.多くの問題提起を通じて家族の在り方を問うことが主眼とはいえ、散らかしっぱなしの印象。   主題に合わせた暗いトーンと囁くようなセリフは自然体の表現だと思うが鬱陶しい。特にリリー・フランキーの呟き声が気に障る。  4番さんを亜紀がいたわるシーンで流れる音楽が出色。心理の綾を表現しており、この映画で一番心に残った。取り調べ中のやり取りは、一つの物事を多様な視点で見る“羅生門的な藪の中”と言えるだろう。だが、硬直的な警察官像はバイアスがかかっている。  ラスト、葛藤しながらも成長する少年の内面に微かな救いを見出した。   寸感:「本物より本物らしい疑似家族の織り成す映画」より、かつて某ドラマで語られたセリフ「本物よりずーっと本物らしい偽物」の方がずーっと心にしみる私である。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2022-12-31 22:07:46)
15.  忠臣蔵(1958)
 親子・夫婦・主従等の人間関係を描き分け、よく知られたエピソードを散りばめたオーソドックスな作り。豪華な出演陣を観るのも一興で、遊興で舞い踊る大石は通俗的だが雪中の討ち入りは見ごたえがあった。史実どおりにリアリズムで描くのはどだい無理なんだから、ある程度講談調になるのはやむを得ない。   別れの場で大石を抱きしめる母。主君の仇を討つとともに、幕府の理不尽な処分に対する異議申し立てという一大プロジェクトを成し遂げる大石とてひとりの人間、普遍的な母親の情愛は心にしみる。  赤穂藩の四十七士に加え、その家族・協力者(理解者)・市井の人々、さらに吉良方と上杉藩の動き等、多くの物語を取捨選択して一定の時間(166分)に手堅くまとめた。  憎々しい吉良、毅然とした態度の多門伝八郎が印象深い。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2022-12-31 22:07:42)
16.  女系家族 《ネタバレ》 
 大阪・船場の老舗商店を舞台に、娘婿の死をきっかけにした“遺産争続”の悲喜劇を描く。ドロドロした人間模様が展開する愛憎劇ながら、そこはかとないユーモアが感じられる。加えて、妊娠を確かめるえげつなさも盛り込み人間の本性に食い込む。  終盤、勝ち誇ったような文乃が、遺言状の日付が決め手になることを指摘され動揺する表情がいい。一見文乃が大逆転で爽快にも思えるが、最後に愛人が得するのもなんだかなあ……という感じ。  3姉妹だけでなく大番頭や叔母含め欲深なキツネとタヌキの化かし合いの末、吹っ切れてサバサバした表情を見せる雛子に唯一救いがあった。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2022-11-03 12:44:35)
17.  御法度
 幕末の京都を舞台に、むくつけき男どもの世界に入り込んだひとりの若者をめぐる物語。その妖しい魅力に波紋が広がる。新選組における男色を題材にした着眼点がよい。  耽美的な映像は素晴らしいが、出演者の演技が画面に融合していない。各々バラバラに演じて調和を欠く印象。俳優陣は力演ながら浮いている場面も。芸人はテレビで見るまんま。何よりも作品の核となる松田龍平の演技に難がある。周囲を惑わす中性的な佇まいを見せるためにはセリフを極力減らし、目力を活かして神秘性を強調した方が効果的な演出と感じる。好例として「ベニスに死す」のB・アンドレセンの存在感が思い出される。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2022-08-21 17:00:00)
18.  青春デンデケデケデケ
 団塊の世代を主人公に、全編通じて淡々と60年代の青春を描いたという印象。高校生の活き活きとした日常生活が描かれ、何よりローカル色満載が良い。  地方に住む若者たちが高校入学後ロックバンドを結成し、演奏に明け暮れる毎日を送る。その過程で彼らは友情を育み、地域社会にもまれ着実に成長する。大学受験を控えながらも音楽に熱中できる主人公、当時としては経済的に恵まれた方だろう。ちっくん役の林泰文は自然体の演技で好演。  この映画を自身の体験と重ね合わせて観られる人がちょっと羨ましい。自分の場合、クラシックギターを数年間練習したことがあるが、指先が少々変形した。その経験から「お前の手、フリッツ・フォン・エリックの手みたいだな」のセリフには敏感に反応した。ギター練習でエリックほどのスパンにはならんだろうがね…。セリフの上での特別出演、鉄の爪に乾杯!
[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-12-31 21:18:26)
19.  はじまりのみち
 木下恵介への尊敬が随所にみられる作品だが、一番心に残ったのが「陸軍」のラストシーンで、田中絹代が出征兵士を見送る場面というのは皮肉な結果だ。  節々で見られる雲の移ろいは主人公や家族の心象風景を感じさせる。木下恵介役の加瀬亮は涙を流す場面で鼻水も垂らしているが、そこまでしなくてもいいよ。また、いろいろな映画で儲け役を見かけることがあり、本作では便利屋役(濱田岳)がそれにあたる。特に「エア食事」とでも言いたくなる、食べるふりのシーンは戦争中だけに印象深い。  ラストの木下作品の引用は作品数・時間ともに多すぎで、もっと数を絞って短時間にまとめ、その分(時間)を自作の表現に充てた方がよかった。それだけに作品の独自色が薄まったように思う。  全体の印象として、木下映画にも通じる戦争に翻弄される庶民の姿、その中で貫かれる家族愛を見つめることができた。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2021-12-31 21:18:22)
20.  海街diary 《ネタバレ》 
 「そして、家族になり世代は移りゆく」・・・松竹大船調を思わせる家族再生物語。海、山、坂道、江の島、江ノ電、桜のトンネル、花火etc,と、湘南の息吹を感じる舞台装置は完璧。  平穏な日常に訪れた「父の死」をきっかけに起こる波紋。それを通して、家族や周囲の人達と交わる四姉妹の心の機微を描く。父の不倫に批判的ながら、自身も妻帯者と交際するという矛盾を抱えるしっかり者の長女。次女はがらっぱちで、あるある感満載だが長女との対比を意識して役柄を作り過ぎの印象。三女は目立たず程々のマイペース。四女は父親の娘達に対する謝罪の念を体現する役柄で、見かけ上の繊細さと裏腹にサッカー上手の落差が面白く、内に秘めた強さを感じる。  親子を基本とする家庭の崩壊によって、各々の居場所を求める四姉妹。「居場所」「赦し」「再生」がキーワードとなり、長女と四女に焦点が合わされる。すずが母の行動を「よくない」と否定する言葉は幸の胸に突き刺さり、椎名との別れにつながる。自分の存在意義を問うかのようなセリフだが、すずという「命の誕生」こそが親と子、三姉妹との結びつきや風太達との出会い・交流という強い結びつきを生む。父母との葛藤を抱えた幸だが、すずとの暮らしや祖母の法要を機に「赦し」の念に傾き、ラストは残された四姉妹による家族の「再生」に昇華される。  父親の視覚化は物語に水を差すと思われ、回想シーンに頼らない手法は悪くない。会話で成り立つ父親像は「桐島、……」同様の効果を狙ったのだろう。   俳優の演技が良くも悪くも自然体で終始しただけに、多彩な表情を見せる“鎌倉”という名優が一番印象に残った。 
[地上波(邦画)] 5点(2021-12-31 21:18:12)
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