1. ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬
前作のように爆笑に次ぐ爆笑ではなかったものの、スパイものとして見応え十二分の展開とアクションに笑いを織り交ぜ、尚且つ007のパロディも効かせてくれる、考え抜かれた実に見事な作品に大満足。サイドヘッドロックからのお盆攻撃のラストはアッパレ。そのユーモア精神及び英国の度量の大きさに脱帽。ブラボー。 [DVD(字幕)] 9点(2012-06-01 20:11:37) |
2. シーザーとクレオパトラ
戦闘模様で血湧き肉躍るクロード・レインズの雄姿を拝む事は叶わず。規模の小さい戦闘シーンは戦時中に於いて精一杯の撮影だったのでしょう。しかし、衣装・セット装飾の豪華さは目を奪われるものがありました。どちらかと言うとコミカルな味わいがする舞台劇と言える本作で、初の100万㌦(当時で!)actor となったクロード・レインズはバーナード・ショーが彼をイメージして書き上げた脚本の一言一句を風格漂う演技で魅せてくれます。 「貴方を裏切ってません」クレオパトラに「お前を信頼した事は一度も無い」百万の罵詈雑言に上回る刺し殺すかのような一言。 何時もながらの瞬間芸に「クロード!!!」かけ声かけたお姿でした。 ヴィヴィアン・リーは幼さ漂う姿はまずまずといったところですが、シーザーに見守られて女王に成長するなかでその風格が皆無で、ひたすら「無礼者が」「首を刎ねるぞ」を連呼するのに白けてしまうのが残念。撮影中ローレンス・オリヴィエの子を宿し医師の助言を聞かず流産し精神不安定で5ヶ月間撮影中断したという、空襲下と併せて作品以上にドラマチックな舞台裏に驚きます。 制作費1,278,000ポンドに見合う秀作を堪能しました。 [DVD(字幕)] 8点(2021-05-10 15:52:06) |
3. 10番街の殺人
ロケ地は事件現場、台詞は忠実に再現。実録再現フィルムを見せられる。凄いの一語に尽きるリチャード・アッテンボローとジョン・ハートの演技が事件の陰惨さを生々しく際立たせている。日本劇場未公開も納得の恐ろしい作品。 [DVD(字幕)] 8点(2016-09-27 00:46:34) |
4. ジョニー・イングリッシュ
いやぁ、もう、声を上げて笑い通しでありました。勘違い→気づく→取り繕う 部下の存在も相まってこのサイクルがサイコー。それにしっかりとしたストーリーがあり、アクションシーンもなかなかなもの。そして嫌味で大層な悪巧みを企むジョン・マルコビッチ演ずる悪役が何ともいえない味わいがありサイコー。これぞコメディと言える快作です。 [DVD(字幕)] 8点(2012-03-11 03:34:05) |
5. ジャッカルの日
原作は、海外の作家で私が最も尊敬するフレデリック・フォーサイスの最高傑作で、中学生の時に初めて出会って以来の永遠の愛読書です。映画化において、原作における心理描写の深い味わいはさすがに表現しきれていませんが、狙う側、守る側の攻防はキャスティングの絶妙さと共に忠実に再現されていて見事な仕上がりです。 2022.4.26追記 ジャッカル=エドワード・フォックス=山本圭 奇跡のキャスティング 吹き替えの最高傑作 山本圭さん、安らかにお眠り下さい。合掌 [DVD(字幕)] 8点(2004-02-14 20:00:35)(良:1票) |
6. 死者にかかってきた電話
《ネタバレ》 ジョン・ル・カレ長編小説デビュー作。事情によりジョージ・スマイリーを使えずジェームズ・メイソンがチャールズ・ドブスを演じます。「これから自殺しようとする者が翌朝のモーニングコールを頼むのか」真相に迫る展開はなかなかのものでした。ドブスは冴えない諜報員でメイソンファンとして歯痒くて身悶えですが声は素敵で耳福であります。 黒幕との対決シーンはボブ・オートン・ジュニアは本作を観たのだろうかと思えた驚きのアクションでした。 顔の迫力が凄いシモーヌ・シニョレ、結構目立ってたハリー・アンドリュースの好演も光る地味~~な小品佳作。 [DVD(字幕)] 7点(2023-03-30 01:54:00) |
7. 女王陛下の007
初見。雪崩シーンを筆頭にスキー追跡シーン、テレサ奪還突入シーンの超ド迫力、並びに、呆然状態のラストシーンにスパイ活劇として秀作。ジョージ・レーゼンビーに矜持を持って粋で洗練されたボンド像が見られないのがマイナス。序盤のモタついた展開も白けるところ。ホロリとなったマネペニーの涙以降の結末にシリーズ異色作として記憶に留まる評価に迷う作品です。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-11-30 12:22:59) |
8. 情熱の友
《ネタバレ》 デヴィッド・リーンお得意の不倫モノ。ロンドン屈指の銀行家ハワード(クロード・レインズ)、年の離れた妻メアリー(監督夫人アン・トッド)、将来を嘱望されている妻子持ちの青年科学者スティーヴン(トレヴァー・ハワード)による丹念に描かれた三つ巴の愛憎劇はハワード貫禄の完勝で幕。他愛ないメロドラマであっても「愛して欲しいと願った事はない」言葉とは裏腹な煮えたぎる嫉妬心を静かに見せるクロード・レインズに魅入りました。 余談ながらヘンリー8世を超える結婚7回というクロード・レインズの愛憎模様も波瀾万丈だったのでしょう。 [DVD(字幕)] 7点(2021-03-29 06:01:16) |
9. 人生はシネマティック!
戦時下でのプロパガンダ映画製作と脚本担当カトリンの生き様が描かれています。私的に映画は脚本命なので、プロパガンダ作であるのを割り引いても、ご都合主義的にコロコロ変わってゆくのに萎えます。劇中劇と共に作品全体が「パンチに欠ける」もので物足りません。その中にあってビル・ナイの主役と見紛うばかりの存在感が光ります。喪失感に押し潰されそうなカトリンを諭すシーンでの超男前な姿はリプレイタイム。彼に点数の全てを捧げます。 [DVD(字幕)] 7点(2019-09-04 08:47:50) |
10. ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲
シリアスなストーリー及びキレのあるアクションと笑いの塩梅が絶妙な2作目>爆笑に次ぐ爆笑の1作目>深みの足りないストーリーとクスクス笑い止まりの本作。かなり豪華な俳優陣だっただけにちょっぴり残念。それを差し引いても、63歳ローワン・アトキンソンはハイテク機器に翻弄されて市井の人々に狼藉の限りを尽くす本領発揮のシーンを始めとして衰えを感じさせず、寄席の様に笑い声で包まれる楽しい鑑賞が心地良かった。 [映画館(字幕)] 7点(2018-11-11 01:00:24) |
11. 真珠の耳飾りの少女
「真珠の耳飾りの少女」製作に纏わる物語。美術・衣装・音楽・撮影の方々の舞台作成への真摯な思いを感じさせられる仕事ぶりに喝采。スカーレット・ヨハンソンは額縁から抜け出して来たかのような特筆ものの存在感。コリン・ファースは子沢山で家長失格の天才画家を絶妙に表現している。憎まれ役で嫁とパトロンはともかく娘は余計だったかと。大胆な仮説も違和感が無かった秋の夜長に相応しい良作。 [DVD(字幕)] 7点(2018-09-25 01:10:23) |
12. 死にゆく者への祈り
墓場での暗殺行為に「場所もわきまえずに、この、腐れ外道が・・・(以下、罵詈雑言)」腸が煮えくり返る。ミッキー・ロークにしてもアラン・ベイツにしても人情は持ち合わせているのに遣る瀬無い思いが。神父とは対極のイメージのボブ・ホスキンスが一番興味深かったけれど今一つ中途半端なキャラクターであるのが歯痒い。リーアム・ニーソンが活かしきれていないのが更に歯痒い。 [DVD(字幕)] 7点(2018-08-07 03:23:34) |
13. 銃撃犯
発見された多数の射殺体の中で唯一の生存者であるアランが、身代金目的の誘拐事件被害者ウィリアムスの行方を追う警察の聴取に答える形で進む物語。 8年ぶりに会いに来た腹部に銃弾を受けている息子ダニーからの、自分が死んで妹の心臓移植のドナーになる。代わりに誤って殺してしまったウィリアムスの替え玉になってくれ。金を受け取ったらボスは人質は殺すだろうからその時は死んでくれとの申し出を、愛する娘の為に、そして過去のダニーへの非道な仕打ちの罪滅ぼしにと受け入れる。 ダニーのコロコロ変わる作り話に何が真実なのか分からずにたどり着いた結末に、どんな親でも親に違いなく、どんな子供でも子供に違いない血の繋がりを思わされる。 こういう父親像を何度か演じてはまり役であるジョン・ハートは今作でも今になってそんなに苦しむという事を当時は分からんかったんやねというアランを好演して存在感を示している。 キャリー=アン・モス演じるリーが中途半端な悪役で盛り上がらなかったのが駄目な邦題と共に残念なところ。 [DVD(字幕)] 7点(2018-06-15 00:33:09) |
14. ジョージー・ガール
《ネタバレ》 「自分の気に入らない役は絶対に引き受けない」と公言していたというジェームズ・メイソンが本作に出演したのが不思議。自分のお屋敷の使用人の娘ジョージーに恋をして愛人契約を迫りキスをし、奥さんがあっさりと亡くなって、挙句の果てに結婚までしちゃう。「ロリータ」の仇を本作で討ったかのようだけど大きく違うのはジョージーがおとぼけキャラですごいブサイクであること。唇を奪う前・最中・後の欲望が滲み出た生々しい目をこの娘に向けるのはアカンわ。何処にどう惹かれたのかさっぱり分からん。アラン・ベイツとシャーロット・ランプリングのどうしようもなく鬱陶しいアホバカカップルとは絡みなくコメディ劇の中で浮いた存在だった。笑うところも殆どなく主題歌もなんだかなぁ。「意外と面白くない」4点だけど、惚れ惚れする美貌で他人を切り捨てる姿を見せてくれたシャーロット・ランプリング20歳のデビュー作に「他人様に薦められなくもない」7点に。 [インターネット(字幕)] 7点(2018-05-08 00:59:44) |
15. 将軍たちの夜
《ネタバレ》 クリストファー・プラマー目当ての鑑賞。「待ってました~、オトコマエ~」と座り直した途端に・・・流れ星のような存在でした。 1942年ナチスドイツ占領下のワルシャワで起きた娼婦猟奇惨殺事件。目撃者の証言をもとに絞られた容疑者はガプラー大将、タンツ中将、カーレンベルク少将。上官であっても犯罪は許さないという執念で捜査にあたる情報部少佐グラウ。1944年ヴィシー政権下のパリに舞台は移り異動してきた容疑者たちとグラウが顔を揃え第二の事件が起きる。1964年ハンブルグに舞台は移り第三の事件が起きる。 ワルシャワロケにおける実際の火炎放射器、戦車の砲弾を使用したど迫力の戦闘シーン、ハルトマン伍長とガプラー大将の娘の純愛、グラウとモラン警部の友情、ワルキューレ作戦。詰め込み過ぎのエピソードのせいで冗長になったのは惜しい。 謎解きの面白味は皆無でありながら、大量殺人が行われている戦時下に於いては一人の娼婦殺人の罪を問うグラウは変わり者だと錯覚する事を考えさせられる。 本作を支配するタンツ中将の空前絶後の怪異なキャラクターは特筆もので演ずるピーター・オトゥールに拍手喝采。 [DVD(字幕)] 7点(2017-11-03 21:09:48) |
16. 終着駅 トルストイ最後の旅
秘書ワレンチンの目を通して語られるトルストイ夫妻の愛憎劇。深い絆で結ばれているのに、互いの価値観を振りかざして折り合えない姿がもどかしい。激情の根底に愛情があるソフィアを演ずるヘレン・ミレンの名演に釘付けでした。 [DVD(字幕)] 7点(2017-07-30 22:07:02) |
17. 銃殺(1964・英)
《ネタバレ》 家族への戦死通知。「戦死」の一部始終を観た者としては不条理な組織で果たす義務のやり切れなさに鬱々とさせられます。銃殺隊は義務を果たさなかったのか? あの演出は無理のあるやり過ぎなもので減点です。 [DVD(吹替)] 7点(2015-03-21 01:05:33) |
18. ジャガーノート
《ネタバレ》 曇天の荒海へ降下の際の臨場感、爆弾解体の緊迫感は特筆ものの素晴らしさ。一方、登場人物の掘り下げの浅さに比例した物語の深みのなさが残念。数ある突っ込みどころで目を瞑れないのがクライマックスの切断シーン。あれが判断違いであれば部下達も揃って吹き飛ぶことになります。余談ながら「マクレオド警視は誰かに似ている、誰に?」の答えを知り「若いっ、ふさふさしてる」仰天しています。 [DVD(字幕)] 7点(2012-10-07 23:28:24) |
19. 邪魔者は殺せ
安易に通報出来ない市民と恋は盲目状態の彼女が醸し出す緊迫感を単に役立たずでヨタヨタしているのみの主役がかき消しています。虚無感漂う良質な映像や音楽に生煮えなストーリーが応えていない所が非常に残念です。 2018.10.15再見 ジェームズ・メイソンに対して大それた物言いをしていた自分に驚きます。言い方は改めるとしても感じた事は前回同様でした。ただ、ジョニーのする事をも含めて一途に愛したキャスリーン最期のシーンの切なさ極まる演出にプラス1点。 [DVD(字幕)] 7点(2009-08-23 03:48:54) |
20. しあわせはどこにある
豊かな毎日を送っている精神科医ヘクターが、幸せとは何かが分からないと患者のカウンセリングが出来ないと痛感し幸せ探しの旅に出る物語。中国:ステラン・スカルスガルド、アフリカ:ジャン・レノ、LA:クリストファー・プラマー。この3人目当ての鑑賞でしたが、顔見せゲスト出演で何一つ響いてこないキャラクターでガックリもいいところ。それぞれの地での体験から得た幸せに異議はありませんが、沁み入る事も、よりどころになる事も無く。製作意欲は窺えるものの平板な作品です。 私的には幸せだと思った瞬間が不幸の始まり、逆も然り、であります。 [DVD(字幕)] 6点(2021-04-03 02:40:02)(良:1票) |