221. ダンサー・イン・ザ・ダーク
あくまでも徹底的な悲劇に私の心は揺らぎっぱなしだった。基本的に悲劇は苦手だし好きではないのだけれど、この映画が描くものはもはや好きとか嫌いとかそういうレベルではない。辛い現実を覆い隠そうとするかのような濃厚な幻想でのダンスシーン。哀しいまでに躍動的に歌い踊るその姿は、誰が何と言おうとも私は「幸福」そのものだと言いたい。幻想であろうと何であろうと、彼女が生きぬいたその様は、「悲劇」さえも越えた深い深い「幸福」だったに違いない。 [映画館(字幕)] 10点(2003-12-12 01:34:50)(良:1票) |
222. 戦場のメリークリスマス
若年層の間では、大島渚というとどうしてもタレント監督という印象を強く持ちがちだが、今作などを観ると彼が物凄い映画監督だということを認識させられる。鮮烈で美しい調にのって織り成される人間の悲哀は、痛いほどに深くその本質をえぐり出している。ビートたけしの怪演も手伝って紛れもない傑作だ。 8点(2003-12-10 17:20:33) |
223. グラディエーター
物語のスケール、映像的な怒涛の迫力は大作の名にふさわしく、壮大な映画であることは間違いないのだけれど、それほどの印象深さがない。面白かったし、もう一度観ても面白いという感想は変わらないだろうけど、あまり心に残ることはないだろうと思う。 7点(2003-12-03 13:19:33) |
224. エリザベス
映像的、展開的に映画としての盛り上がりにはやや欠ける感があったが、エリザベス一世の人物像を映像として見る上でケイト・ブランシェットの演技は極めて素晴らしく、その生き様に感慨深さを覚えた。愛を振り切り、女王としての宿命についに身をゆだねるラストシーンの彼女の姿はまさに衝撃的で、ある種の神々しささえ感じた。演技的にはブランシェットに尽きるが、脇を固めるジェフリー・ラッシュ、ジョセフ・ファインズ、ファニー・アルダンらの存在感も秀逸だった。ヴァンサン・カッセルのかぶきものぶりも印象的。 8点(2003-12-01 13:59:22) |
225. ストレイト・ストーリー
数多くの映画を観てくると、何十本かに一本自分の中で何かが目覚めるほどの感慨深さが生まれる作品にめぐり合う。今作はまさにその類の一本で、見終わったあとのとてつもない味わい深さに大きな幸福感を覚えた。今作が遺作となったリチャード・ファーンズワースの演技が何よりも素晴らしい。これはもはや演技ではなく、彼自身の生き様に違いないと錯覚したほどである。彼のたどった道筋、言葉、物腰を私はこれからも何度となく観ることであろう。 10点(2003-11-30 13:05:59) |
226. フェイス
ロバート・カーライルの哀愁たっぷりの演技が印象的だった。ストーリー的にも一辺倒ではないドラマ性が充満してして感慨深さが残るものだった。単純なカッコ良さではない男の気概が魅力的だ。 [ビデオ(字幕)] 6点(2003-11-29 16:56:11) |
227. 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
チープに見える映像とストーリーの中に、人間に対する本質的なブラックユーモアを巧妙に仕掛けている。ナンセンスな演出の中に潜む絶対的な問題意識が素晴らしい。鬼才の名にふさわしいスタンリー・キューブリックの傑作。 8点(2003-11-28 17:57:33) |
228. 時計じかけのオレンジ
初見時はただ意味が分からず、その心地悪さに辟易したが、再度見ると決して好きとは言えないけど何か引きつけられるものを感じた。この映画の真のテーマは何なのか、そんなものがあるのか、自分はどれくらい理解できているのかは明確ではないでど、説明のつかないパワーがあることは確かだ。 [ビデオ(字幕)] 8点(2003-11-26 00:29:56)(笑:1票) (良:1票) |
229. シンプル・プラン
主人公のダメ兄貴役を演じたビリー・ボブ・ソーントンが素晴らしい。彼がこの役を演じたからこそ、この映画は一見地味なストーリーではあるが相当に濃厚なサスペンスに仕上がっている。大金を前に少しずつ狂っていく登場人物たちがたどり着く切な過ぎるラストシーンには言葉が出ない。圧倒的な緊張感と映像美にサム・ライミ監督の手腕が光る。 [映画館(字幕)] 9点(2003-11-25 18:07:42) |
230. マイケル・コリンズ
マイケル・コリンズ役で主役を務めたリーアム・ニーソンは、実にこういう史劇的な役柄に多大な存在感を見せる俳優である。マイケル・コリンズという人物の知名度が低いせいか、映画自体にそれほど迫力はないが、混乱の歴史を生きた一人の人間の物語として見応えはあった。 7点(2003-11-18 13:51:56) |
231. ウィンター・ゲスト
タイトルにふさわしい雪景色を舞台にした映像美が秀逸。そこで繰り広げられる人間ドラマにも卓越したものがあり、監督を務めた名優アラン・リックマンの映画人として力量が伺える。 [ビデオ(字幕)] 6点(2003-11-18 13:47:43) |
232. レ・ミゼラブル(1998)
あまりこの映画は知られていないが、名作である原作をとても巧みに映画化した秀作である。暗く不穏な空気感が見事で、原作の濃厚さが映像から伝わってくる。配役も実によく、主役のリーアム・ニーソンはこういう大河的なドラマの主役をやらしたら右に出る者はいないと思う。敵対役のジェフリー・ラッシュの演技も素晴らしく、ラストの果て方は非常に鮮烈で印象的だった。 [映画館(字幕)] 8点(2003-11-18 11:40:48) |
233. 第三の男
個人的には古き名作サスペンス映画には、あまり感動を覚えることがない。今作もその例にもれず、いまひとつインパクトに欠けたまま終わってしまった。感覚的に濃厚さはあるにはあるのだが、ストーリーには淡白さを感じずにはいられない。ただ超有名なラストシーンを見られただけでよしとする。 4点(2003-11-18 01:04:20) |
234. ロスト・イン・スペース
未知なる宇宙を舞台にした漂流記で、ストーリーにしてもヴィジュアルにしても非常に娯楽性が高い映画に仕上がっている。宇宙で迷子になる家族に襲いかかる危機は絶望的であるが、ノリとテンポの良さで回避していく展開には爽快感と痛快感に溢れている。ラストも実に心地よく、是非続編を作ってほしいと思う。 8点(2003-11-16 18:09:04) |
235. ジャッカルの日
意識的に感情を廃した演出は分かるが、盛り上がりに欠ける感は拭えなかった。個人的には、やはりジャッカルにもう少しキャラクター性を与えてほしかったと思う。リメイク作の「ジャッカル」にがっかりして、オリジナルの今作を観たのだけれど、気分的には同じような結果になってしまった。 3点(2003-11-12 15:31:28) |
236. フラッド
純粋な災害パニック映画を想像していたが、焦点は洪水という環境の中でのクリスチャン・スレーターと悪漢どもとの対決となっており、全体的に中途半端な仕上がりになってしまっている。洪水に襲われた街の作りもセット感が拭えず、とても完成度が高いとは言えないものだった。 4点(2003-11-12 12:23:17) |
237. 仮面の男(1998/ランドール・ウォレス監督)
レオナルド・ディカプリオのスター映画として公開時は宣伝されていたが、今作はディカプリオ演じる2人の王をめぐる四銃士の物語で、演じた4人の名優たちの演技が絶品だった。文芸的かつ娯楽性に優れた仕上がりは、とても見応えのあるものだったと思う。脇役に徹したディカプリオも映画に華を添える意味で、効果的だった。 8点(2003-11-12 12:06:19) |
238. ジャッカル
予告を観てアクション映画のリチャード・ギアに期待したが、あまりに陳腐な仕上がりに拍子抜けした。リチャード・ギアは良くも無く悪くも無いという感じだったが、主役級の悪役であるはずのブルース・ウィリス演じるジャッカルのキャラクターに面白味がまったくなかった。全体的なテンポも悪く、期待した分落胆が大きかった。 3点(2003-11-11 15:34:50) |
239. ハリー・ポッターと秘密の部屋
馬鹿にしていたわりには意外に見れた前作同様、今作も意外と楽しんで見れた。2作目ということで、前作を見ていない人やシリーズのファンでない人には何のことかピンとこない固有名詞がチラホラするけど、全体的には気軽に楽しむことができると思う。主演のダニエル・ラドクリフが身体的に成長しているのには若干違和感があったが、ハーマイオニー役のエマ・ワトソンは前作よりも可愛く魅力的だった。個人的には毛嫌いしている映画だけど、主演俳優のあざとさと、あまりに勧善懲悪な設定のあざとささえ気にしなければ、もしかしたら好きな映画なのかもしれない。まあ気にしないわけにはいかないけど…。 [ビデオ(字幕)] 5点(2003-11-09 13:43:25)(笑:1票) |
240. フル・モンティ
失業中という状態からまさに裸一貫で起死回生を試みる中年オヤジたちの生き様が清々しい。小気味いいダンスミュージックと台詞回しが、センス良く映画全体を包んでいて愉快で爽快感のある作品に仕上がっている。もはやイギリス映画を代表する秀作の一つではあるまいか。 [映画館(字幕)] 8点(2003-11-08 23:03:34) |