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花守湖さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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41.  麦の穂をゆらす風
アイルランドの自然に囲まれた風景が、あまりにも美しいせいで、そこでドンパチと銃撃戦が行われている様子が、不謹慎にも、美しいと感じました。印象に残ったのは、アイルランド共和国議会の民事裁判で、金持ちの地主が裁かれるシーンです。あれは裁判というよりも、裁判ごっこでした。そのシーンが、アイルランドと英国との力の違いを、兵力の違い以上に、表現していたように感じます。私の浅はかなアイルランドの知識といえば、アイルランド=IRA=テロリスト、という偏見があったことですが、この映画は、テロ集団「IRA」の前身となるアイルランド義勇軍の話のようです。ところで、テロリスト、と一方的に我々は言いますが、アイルランド人にとっては、テロをしているつもりはなく、英国と戦争をしていると思っている。しかし両者の力の差があまりにもかけ離れているために、英国では戦争とは受取っていない。アイルランド人に無差別殺人をされていると思い込んでいる。本作では、英国側の兵士が非常に残酷に描かれているために、客観性が損なわれていますが、本当は英国兵士も政府に命令されて、国に家族を置いて、このアイルランドにやって来ただけなのです。そして異国の地で、アイルランド人のテロ行為に、気が狂うほど怯えていたのだと思う。アイルランドからの撤退を心から喜んだのは、英国兵も同じなはずです。この撤退で英国にいる兵士たちの家族も泣いて喜んだでしょう。それが本作からはあまり伝わってこなかった。もう少し英国側の苦悩も描いてくれれば、深みが増したかと思いますし、そういう意味では少し一方的な見方をした映画だと思います。この映画はイラク情勢を、連合国側の視点ではなくて、イラクの武装勢力側の視点で見たようなものと似ている。戦争は、どちら側の視点で見るかによって、真実が変わってくることがよく実感できました。
[映画館(字幕)] 8点(2006-12-25 18:55:26)(良:1票)
42.  戦場のアリア 《ネタバレ》 
今日は特別の日だから殺し合いはやめて一緒にお酒でも飲みませんか? しかし明日になったら殺し合いを再開しましょう。 この話は本当に美談なのか? 戦争には決められたルールがあります。人質に暴行してはいけません、奇襲攻撃をしていけません、など。しかしルールどおりに割り切って行えないのが戦争だ。なぜなら戦争はスポーツではないからです。それがクリスマスの日だけ戦争をやめようと提案して、休戦できてしまう事実に私は感動するよりも、空恐ろしさを感じた。 スポーツ競技のようにフェアに戦争を休止できるならば、戦争もサッカーのように前半と後半にわけて戦えば良いのだ。こいつらのように戦争をゲーム化している感覚が恐いのです。クリスマスの日に戦争がしたくないなら、バレンタインデーも戦争をやるな。睡眠不足になるから夜8時過ぎも休戦しろ。クリスマスという言葉の美しさに誤魔化されがちですが、もし私が司令官でも、こんな感傷的な休戦をしている偽善を見せられたら、懲罰をしてやりたくなる。そもそも戦争という名目で、大量虐殺を一生懸命やっている連中が、アーメン、なんて祈って、泣きながらオペラなど聴いてどうする。
[DVD(字幕)] 3点(2006-11-25 18:39:38)
43.  ホテル・ルワンダ
この映画をみて国連の批判や、国益重視の先進諸国の批判はできるが、だからといって自分たちだったら何ができるのか??寄付ならできる。しかしある1人のアメリカ人はお金を3万円だけ日本人に渡してこう言う。「お金は僕が出すから君がかわりに戦場に行ってくれよ」と。ルワンダの現状はわかった。我々日本人はクーラーのきいた映画館で、馬鹿な国連に腹をたて、この虐殺に無関心だった人間たちを軽蔑し、そして殺されたルワンダの国民に涙を流す。しかし頭の片隅には明日の仕事の段取りを考えている。せめて寄付でもして良心を満足させたいが、そういえば、家族とディズニーランドへ行く予定なのであまりお金を使いたくない。しかしこんな大虐殺が実際に起こっていたなんて信じられない。本当に素晴らしい映画だった・・と思っていたら友人から「今日は焼肉でも食いに行こう」と誘われる。ルワンダの事件は確かに深刻だったが焼肉は食べよう。多少良心は痛むが最初のうちだけだ。ルワンダの惨状に涙は流すが食欲はなくならないのだ。そして今日の夜もビールを飲み続ける。酔い加減も気持ちよくなってきたらさっそく、この素晴らしい映画のレビューをつけよう。もちろん10点をつけて、ルワンダに無関心な人間を哀れんでみせよう。私だけはこの映画をみて目が覚めた、この事件に強い関心を持つようになったのだ。そういう自分に満足をしながら温かい布団の中にはいってぐっすりと眠る。さあ来週はディズニーランドだ。なんとか今年のクリスマスまではこの事件のことを忘れないようにしよう。そうやって今日という日が過ぎていく。この映画を知って無関心だった事件に関心を持つようになった・・しかしそれだけである。 
[DVD(字幕)] 10点(2006-09-12 17:58:54)(良:2票)
44.  ノー・マンズ・ランド(2001) 《ネタバレ》 
国連が悪者あつかいされて皮肉られていたがそれはちがうと思う。「殺し合いが行われているのに、なにもしないことは戦争に加担しているのと同じことだ」と自分の組織を痛烈に批判した軍曹だけが善人のようにみえるが、よく考えてみるとアメリカの今やっていることと軍曹の行動は似ている。本人は良かれと思って積極的に行動しているが混乱は増すばかり。最後はごらんとおりの結末で3人を助けようとした軍曹の理想はあっけなく崩壊することになる。それではどうすれば良いのか?と言われそうなものだけど解決策があったら戦争などとっくの昔になくなっていたでしょう。戦争は理不尽だ。戦争を目の前にして行動しなければ批判され、行動を起せば軍事介入と色眼鏡で見られることになる。 ひじょうに印象にのこったのはラストシーン。2人が一瞬のうちに殺されたとき、それを目の前にした報道陣が「今の瞬間をカメラに撮ったか?」と嬉しそうに話していたこと。 それをみると「戦争映画」すらも反戦のメッセージを伝える意義と同時に、金儲けや出世のための手段であるという事実を思い知らされる。さいごは音楽を流さず無音のままエンドロールを迎えたらもっと良かった。
[DVD(字幕)] 6点(2006-04-29 11:33:32)
45.  未来世紀ブラジル
「分かりにくい映画」がしばしば名作だと言われる理由は想像力を養うことが映画の本来の目的だからです。しかしこの映画は「未来世紀」という邦題1つとってみても舞台を未来だと断言してしまっている点が観客から自由な想像力を奪っている。「奇抜」であるということも直接観客の想像力の刺激につながっているとは言えない。しかも奇抜で独創的な映像だと偉い評論家たちからいくら言われようが本当の映画ファンならばこの映像が学芸会レベルであることは一目で分かるし、あの翼の生えた主人公が夢のなかを飛び回る様子も、欽ちゃんの仮装大賞を観たものならば似たようなものを何度も見かけているはずです。つまりその程度の映像なのです。もっともらしくこれを評すれば「実存主義的な映画である」と言う事もできるし、裸の王様のような映画だと言う事もできる。 圧倒的なイマジネーションと褒められた作品ですが「ガダカ」の未来に対するイマジネーションと比較すると明らかに希薄だ。 未来を予言しているなんていう評価に至ってはそんな予想はその当時の近所の中学生やおばちゃんにでもできると言いたい。原題は「ブラジル」。 余計な言葉をいれず、こちらのほうがよっぽど観客の想像力を刺激できたはず。これを名作と銘打った映画界の意向のほうが興味深い。
[DVD(字幕)] 1点(2006-03-29 20:30:09)(良:1票)
46.  ティム・バートンのコープスブライド 《ネタバレ》 
たかがアニメ、されどアニメ。この映画はエミリーにハマルかどうかで評価が違ってくると思います。その主役のエミリーは眼球が飛び出るし体の中にへんなムシはいるし、とんでもない女性(死体)なのですが、どこか間の抜けたところがあって愛らしかった。無垢な女性の美しさを実感できました。死者のエミリーと生きている男は夫婦になれるのか?その答えは誰もが最初から想像がついていたはずです。それなのに報われない恋愛と分かっていながら必死に頑張っているエミリーがとても切なくてもうこの時点で私は彼女の応援団の1人になっていました。 生きている世界は覇気がなく、死者の世界はジャズ音楽で溢れかえっているのですが、あれをみると1回ぐらい死んでみようかなと考えてたくなるほど死の世界は楽しそうですね。 私が一番エミリーが美しいと感じたシーンは、彼女が地上で月を見て踊りだしたときです。あのシーンの音楽も非常に切なくて秀逸だと思います。まるでエミリーのあたたかな体温が伝わってくるような踊りでした(でも死体だから実際は冷たいでしょうが・・)このあたたかさの感覚は最近の機械的なCG映像じゃ作り出せないと思います。想像力を無限に刺激させてくれた愛すべき死体、それがエミリー、大好きです!
[DVD(字幕)] 9点(2006-03-25 18:22:42)(良:1票)
47.  チャーリーとチョコレート工場 《ネタバレ》 
子供が観ても幼稚だと思わせるようなお馬鹿映画になっているのはわざとなのでしょうか? ティムバートンは奇譚であることを金科玉条にしてきたような監督ですが、ここまで行き過ぎると狂気の沙汰としか思えない。 それから子供が悲惨な目にあったときに始まる嬉しそうな小人の踊りには嫌悪感すら覚えます。 愉快というよりも不快。 あの小人も人間嫌いのウォンカが作り出したアンドロイドに見えてきたし、別な意味で色々想像してひたすら恐かったのです。 つーか、ウォンカが透明の壁に何度か激突するシーンはあれで良いの?? 演技派のジョニーデップともあろうお方が「ドジな私」を表現するためにドリフスターズ並み演技を行う様子に心が痛くなりました。それにウォンカがトラウマを持っていることを表現する方法も「両親」と言葉に出して言えないだけじゃないですか!これじゃジョニーデップを使う意味がなく、これだったら深田恭子にウォンカをやらせたほうがまだ予算を節約できましたよ、まったく。 従って期待されたバートン・ジョニーの黄金コンビはまるで投打のかみ合わないジャイアンツのように破綻していたし! 挙句の果てには、とってつけたような父子の和解、でもって、道に落ちているお金をネコババしたチャーリーの家族にチョコレート工場を譲り渡してめでたし、めでたし・・と思いたいけどあの家族が工場なんて管理できるわけがないんだつーの!もういい加減にしてください、チョコレートなんて大嫌いです。この映画は偽物。
[DVD(字幕)] 1点(2006-02-27 23:52:28)(良:1票)
48.  ゴーストワールド
若者からみた大人はいつだってペコペコ頭を下げていて、何かを諦めていて、妥協していて、ダサい存在だとは思うけどイーニドさん、あなたは他人ばかり批判しているけど自分はどうなのと聞くと彼女は「あたしとあんなダサイ連中と一緒にしないでくれる?私はただ韜晦しているだけなのよ」という言葉が返ってくると思う。 あたしは他人とは違うんだという自負心。 しかし自分らしく個性的でありたいと思っていてもイーニドの強烈な自意識は虚栄心に変化しそれが本当の自分を殺しているという事実を実はイーニドは知っていて、ダサい他人を小馬鹿にすることしかできない彼女が一番嫌いな人間はたぶん自分自身。 この痛みをどうやって切り抜けていくかというと、平凡である自分を受け入れることなんだと思う。 ただし難しいのは「受け入れる」ということと「諦める」ということはとても似ていること。 イーニドがシーモアに興味を持った理由は「弱さ」に対する共感だと考えましたが、それだけではなくて彼は人間的な弱さや欠陥を隠そうとはせずにそれを受け入れてしまっている所に自分には無いもの感じましたのではないでしょうか。若い者にとって一番苦しいのはいつの時代も過剰な自意識だと思います。 
[DVD(字幕)] 9点(2006-02-12 00:18:16)(良:2票)
49.  理想の女
この映画は魅せてくれます。舞台は南イタリアの避暑地アマルフィ。原作はたしかに有名な作家のものですが、あまりそれにこだわらないで観てくれたほうが楽しめるはずです。これは映画です。紛れも無く正真正銘「これぞ映画だ!」と叫び、視覚に訴えかけてくる映像に酔いしれました。 特に妻が夫の行動を疑問に思いはじめたシーンでは、日が没する瞬間の燃えるような夕焼けの美しさが、疑惑の炎と交錯して見事でした。海辺の街が舞台ではありますが、澄み渡った真っ青なブルーのイメージよりは、むしろ「バグダット・カフェ」のように、「赤」という色が印象に残りました。 私は「赤」が基調の映画だと思います。 それにこの当時の上流貴族の絢爛たる身装を、スカーレットヨハンソンという女優を通して思う存分に堪能することができるのが素晴らしい。 すごい!耽美な世界観を終始一貫して魅せつけられましたね。 そして「理想の女」は、「りそうのおんな」と読むのではなく「理想のひと」と読みます。ここがこの映画の1つの謎かけとなっているのですが、「理想の女」の謎が分かった瞬間やっぱり泣きそうになりました。「いい女は2種類しかいない。全てを知り尽くした女と何も知らない女」という触れ込みがありますが、女が好きでたまらない野郎も、美しさを愛する女性も、親に深い悩みを抱えている若者も是非この映画を見てください。これはそういう映画でした。
[映画館(字幕)] 9点(2006-01-22 17:41:49)
50.  野生のエルザ 《ネタバレ》 
はじめて「ライオン」という動物に興味を持ちました。百獣の王と呼ばれ、動物の中でも最強だと言われるライオン、しかし子供の頃は子犬と見分けがつかないくらいに本当に可愛かったです。その子供ライオンが成長して無敵のライオンに変貌する様子は圧巻としか言いようがありません。ライオンが人間と共生できない理由は、ライオンがあまりにも強すぎるからだと思います。犬とは違うのですね。 だたし、この映画では、野生を失ったライオンのエルザの「ひ弱さ」を遠くから心配そうに見守る人間夫婦の姿があまりにも印象的で、涙腺を刺激します。 この夫婦は子供がいないのに、エルザの前では、妻が夫のことを「パパ」と呼んでいるのですよ(笑) ライオンを、わが子同様に思っており、終始、エルザに対するこの夫婦の視線は愛情に溢れていて温かさを感じました。 そして一番の見所は、海を一度も見たことが無いエルザをはじめて海へ連れて行ったシーン。私はライオンが泳ぐのをはじめて見ましたよ。 ライオンは泳げないと思いましたが、しっかりと犬かきで泳ぐではありませんか! いや犬ではないので、ライオンかきかもしれません。泰然自若としたエルザの泳ぎっぷりに、私はどうしてこのライオンが主演男優賞を取れなかったのか不思議でなりませんでした。エルザと夫婦が一緒に泳ぐシーンは幸せの絶頂だと感じましたが、逆にそれがラストの暗雲を予想せずにはいられませんでした。心配性の私としては、最近キングコングを観た影響もあって、実は野生のエルザがラストで悲運の最期を遂げるのではないかと嫌な予感を抱きながら見ていたのです。人間社会は自分勝手ですからね。 しかしその暗雲も一瞬に吹き飛ばす文句のつけようが無い完全無欠のハッピーエンド!やはり哀しい涙を流して感動する映画よりも、嬉しい涙を流して感動する映画を私は愛します。「実話と違う」なんて考えずに、ファンタジー映画としてみると本気で号泣できます。最近、インパクトだけを重視したよく意味の分からない邦題をつけた映画が多いですが、「野生のエルザ」というタイトルのなんと素晴らしいことでしょうか! いやはや、久しぶりに夢を見させて貰いました。
[DVD(字幕)] 9点(2006-01-21 20:57:34)(良:1票)
51.  オペラ座の怪人(2004) 《ネタバレ》 
この映画は、不幸な人殺しのファントム様に感情移入できるかどうかで評価は分かれると思います。 このファントム様は、自分にとって都合の悪い人間を簡単に殺すオペラ座の逆ギレストーカーでした。 しかも無職のくせに、給料まで要求する図々しさは、オペラ座の怪人というよりは、オペラ座のニートです。 しかも地下にこもって、人形遊びをしている姿をみると、ただのひきこもり野郎にしか見えませんでした。いったいどういう女性がこのような気色の悪い男を好きになるのでしょうか? しかし、クリスティーヌは、まるで聖母のように、この陰険な悲劇のヒーロー気取りの男を哀れみました。私は彼女の神々しいまでの美しさに感動致しました。 彼女は、人殺しのファントム様の罪のすべてを受け入れて彼を癒したのでしょう! さて、ラストシーンでは、クリスティーヌの墓前に花と指輪が添えられていましたね。 この場面から、ファントム様がここにやってきたことが、瞬時に理解できました。 なんと、逆切れストーカー男は、クリスティーヌよりも長生きしていたのですね!! ファントム、てめーが真っ先に死ねや!と、素直に感じました。
[DVD(字幕)] 1点(2005-10-09 21:55:44)(良:1票)
52.  マグダレンの祈り 《ネタバレ》 
激しい怒りが・・・。 レイプされた女性の「罪」は、男を誘惑させるような態度をとったからだとさっ! だから長くて美しい髪の女性は、娼婦扱いされ、修道女に、はさみでばっさり切られる。まるで悪夢。 美しいというだけで、 「あなたが、わざと男を誘っているのです」と言われてしまう。 レイプされた少女、恋人と交際中に、気が付いたら妊娠していた女性、また父親に犯された娘などが、娼婦と認定されて、修道院に監禁されてしまう異常さに目のくらむ怒りを覚えます。 彼女達は、そこで洗濯をさせられます。 「娼婦は己の汚れきった心を、自分で洗濯しなさい」という意味があるようです。 修道女は、修道服に身を包んだ虐待者の集団でしょう。 正義を信じて実行する人間の恐さは、過ちを犯した人に対する冷酷さだと思います。弱さに対する哀れみはまったく見られませんでした。 しかし、この修道女よりも、アイルランドの「社会」そのものに問題があることがこの映画から分かりました。カトリックの教えでは、避妊が許されないので、恋人とつきあっていて妊娠するケースが多かった。そのせいで未婚の母親となると、町の噂になる。それを嫌った家族が、修道院に自分の娘を捨てるのです。 「預ける」のではなく、「捨てる」のですよ! この映画では、1人の女性が施設を脱走して実家に帰ったとき、父親が娘を血が出るまで殴りつけて、「一生戻ってくるな」と追い返すという場面がそれを実証しています。 自立こそが支配から逃れる手段だということを、痛切に感じました。 孤児院で育ったバーナデットも幼くて自立できず、支配され続けた女性でした。しかし脱走し、自分で仕事をもち、見事に自立しました。あの雨の印象的なラストシーン。 彼女の強い目が「もう私は、誰にも支配されていないから逃げる必要がない」と言っているようでした。女性の経済的自立が、支配の壁を打ち破った瞬間だと思います。 まさに女たちのジハード! 怒りの10点です。
[DVD(字幕)] 10点(2005-09-24 20:18:41)(良:1票)
53.  ひかりのまち
わたしは学生時代に東京でアパート暮らしをしていたことがあるのですが、その当時の「東京の夜」を思い出しました。大都市の夜の溢れんばかりの光ってなにか寂しくなってきます。 1人で誰もいない道を歩いていても、あまり寂しさを感じることはないかと思います。 しかし誰も知らない人ごみの中をかき分けて歩いているとき、すごく孤独を感じることはないでしょうか? 私にはありました。 タイトルは「ひかりのまち」しかし賑やかで人ごみ溢れる都会の夜の街という意味とは対極のものがここにはあると考えます。 それを言葉ではなく、映像で表現していることころが素晴らしい。 日常的な人々を描くことで、観客はよりいっそう感情移入することができ、私たちもそれぞれの「ひかりのまち」を歩いていた時のことを思い出すのではないでしょうか
[DVD(字幕)] 6点(2005-09-10 20:03:29)
54.  列車に乗った男 《ネタバレ》 
「殺人の追憶」は、セピア色の映像で独特の世界観を作り上げましたが、この映画はまさにブルー。とても心地いいブルーです。 この映画を観てふっと「乞食と王様」を思い出しました。 アウトローの生き方に憧れる平凡な元学校の先生は乞食に憧れる王様のように見えました。 しかしそれも仕方ないかもしれない。 彼は自分があと数日で死ぬかもしれないと思い始めたとき、今までの自分の人生に疑問を持ち始めたのだと思う。それが手術を控えたジャン・ロシュフォールの演技から切実に伝わってきました。 たぶん死を前にしたときの人間は自分の過去を振り返り、疑問や後悔やいろいろな思いがあふれてくるのだと思う。姉に対しての行動もその1つだと思う。 みっともないようにも思えるがそれが人間の本当の姿のようにも思える。 「列車」というのはもちろん「人生」の比喩のことを指しています。 ラストは「生まれ変わった」ということを言いたかったのでしょう。 生まれ変わってこれからあの死んだ男のような人生を送るということを暗示しているように見えました。その是非はともかく、後悔のない人生を送りたいものですね。 印象に残ったのはこのカッコいい2人の男は1人ぼっちで死にました(1人は生き返りましたが)。それをみて、どんな人生を送るにせよ、1人ぼっちで死にたくはないな、と・・・それだけは強く思いましたね。 面白い映画ですよ、これは。いったい自分はどういう最後を迎えるのか久しぶりに深く考えてしまいました。 
[DVD(字幕)] 8点(2005-08-29 21:29:04)
55.  穴(2001)
フランス映画で人気の高い「穴」と間違って観てしまいました。痛恨の失敗。 この映画も、たしかに「穴」でしたが、ストーリーに穴がありました。
[DVD(字幕)] 3点(2005-04-03 00:07:22)(笑:1票)
56.  イン・アメリカ 三つの小さな願いごと
母親はサマンサモートンが演じました。これがまたしっかりしている母親なだけに、父親の情けなさがよけいに目立ちました。 国を捨て、必死の思いでアメリカにやってきたのに、俳優という夢を追いかけている父親のために、幽霊屋敷に住まされ、クーラーもない。 私はこの母親が子供と一緒に、いつ家を飛び出すのかと思ってみていたら、じつは非常に結束力の強い家族でした。 それと、子供を失ったことを、いつまでも引きずって生きている夫婦に違和感を覚える人が多いようです。しかし実際にそれを永遠に忘れずにその悲しみを背負って生きていく人も大勢います。 うちのおばあちゃんは、何人も子供を生んだ人ですが1人だけ子供を病気で亡くしました。 そのおばあちゃんは、自分が亡くなる瞬間まで、失った子供のことで泣いている姿を何度か見たことがあります。この映画の夫婦は、子供を失ったことを認めたくなかった。しかし最後でようやく「死んだ」という事実を認めました。だからといって、これから楽しく生きていけるという意味ではなく、一生年老いて死ぬまで、死んだ子供のことで涙を流して生きていくのだと思います。 家族とは楽しみだけを共有しあうのではなく、悲しみも共有しあう。そういうことが分かった映画でした。
[DVD(字幕)] 8点(2005-04-01 22:57:09)(良:2票)
57.  永遠のマリア・カラス
皆さんが言っているように、「カルメン劇」が素晴らしい。 私は息をするのも忘れてカルメンのシーンを見入ってしまった。 はっきり言って、あのオペラシーンを見るだけのためだけでも、この映画の観る価値はあると思う。それくらい圧巻の名シーンだった。カラスという人の人間性に関しては、決して都合の良いようには描かれておらず、それがかえって偽善さを感じないので良いのではないか?と思う。 天才にありがちな自我の強さと、闘牛並みの気性の激しさを兼ね備えた女性に感じた。 ただこのカラスという主人公以上に、ゲイのプロデューサーの男のほうが私としては見ていて面白かった。 カラスに振り回されるだけ振り回されて、色んなものを失ってしまう。カラスに対して「次は何が欲しい?私の腎臓か?」というジョークがせつない・・
[映画館(字幕)] 7点(2005-02-20 00:32:54)(良:1票)
58.  ラブ・アクチュアリー
「ドッグヴィル」を観て人間不信に陥り、その後にこの映画を観て再び人間が好きになった。
[DVD(字幕)] 7点(2005-01-30 01:02:12)
59.  しあわせ色のルビー 《ネタバレ》 
レニーはまるで結婚後にはじめて自分の夫の正体に気がついたように驚いているが、あれは見ている観客がもっと驚く。説明もないもない。 なんでこの2人が好きあって結婚したのか意味不明。 ただの見合い結婚の失敗に過ぎないと思う。 自由に生きる女性?が見所なのかと思うが、結婚とユダヤ文化から抜けだして仕事を始めたらそれで「自由な女」だというのも釈然としないものがある。 悪党の義兄と関係を持ったことで、優等生のお嬢様から抜け出し自由に行動できる女性になれたというのか?まさか。 まあいろんな見方ができるかもしれないけどレニーが今回演じた女性だけはあまり共感できなかった。 ユダヤ教に関しては、まったく知識がなかったので面白かった。 あの夫が真面目で勤勉なのも、みだらなセックスをしないのもすべて神を恐れるからだという。 神さまはいつも沈黙しているのによくあれだけ頑張って信じられるものだと思って呆れるより関心した。
3点(2005-01-16 13:33:00)
60.  モーヴァン 《ネタバレ》 
最初はトンデモ女だと思っていたけど、モーヴァンという女性にはリアリティがあるかもしれない。 恋人が自殺したのに驚きもせず、悲しみもせず死体を放置したまま夜遊びに出かけていくところなどは「異邦人」のムルソーを思い出させてそこで興味を持った。 また恋人が葬儀代金として残したお金を通帳から引き出してスペイン旅行に行くなど、一貫してモーヴァンにはモラルがないが、だからといってこの女性が良心というものが欠けている悪党にも思えない。 異常者にも見えない。  自分の心のままに行動しているように見える。 しかし多くの人間は神さまを信じないまでも何か見えない力というものを信じていて、それを恐れそれが良心を形成したり欲望の抑止力となる場合があるがモーヴァンにはそれがない。 だから彼女を見て虚無主義者だと感じる人もいるのかもしれない。 モーヴァンという女性の見方はさまざまだと思う。 ハリウッド映画のように娯楽的要素のまったくない映画だけど、感性に訴えかけてくるような作品。 それと主人公のモーヴァン役の女性はクールでタフネス、目が強く抜群の存在感だった。
8点(2004-11-21 19:18:03)
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