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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2597
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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141.  スラムドッグ$ミリオネア
クイズ番組が好きだ。  問題に答えるための「知識」は、自分がこれまでの人生の中で生み出した結晶で、クイズ番組はそれを確認できる一つの方法だからだ。  「知識」は、積極的な勉学の果てに得たものだろうが、偶然知り得たものであろうが、その価値は変わらないと思う。  自分だけのオリジナルの人生を経て、結果として“知っていた”ということ、それが最も重要なことだ。  そういう概念を根底に敷いて、スラム街に生まれ育った青年の一つの「運命」を、巧みな映画術で描き出した良い映画だったと思う。  前面的に描かれる“クイズショー”は、インドのスラム街の現状とそこに生きる子供たちの現実を如実に表現するための「縮図」で、出題される問題の一つ一つが、主人公の青年の人生にリンクしていく構成が見事だった。  当たり前の様にゴミ山の中を裸足で走り回り、当たり前の様に孤児になり、当たり前の様に物乞いをし、当たり前の様に犯罪に手を染めていく少年たちには、不思議なくらい陰惨さを感じない。 それは、彼らが自分たちが生きるその環境を「当たり前のこと」として受け入れ、生きる覚悟をしているから。  欺瞞に満ちたクイズショーで大金を手に入れることも「運命」。 銃弾を浴び札束で溢れたバスタブで果てることも「運命」。  そのさじ加減を一体誰が決められるというのだろうか。 
[映画館(字幕)] 7点(2009-04-28 23:58:40)(良:1票)
142.  ウォッチメン 《ネタバレ》 
アメリカン・コミック映画は好きである。 スーパーヒーローや悪役たちの独特の「大味」さや、良い意味での設定の大雑把さは、“クオリティー”という円周を一周して、物凄く完成された“文化”だと思う。  ただ、日本の「漫画」がそうであるように、「アメコミ」も踏み込めば踏み込むほど、“マニア趣向”になっていき、価値観は多岐に広がり、必ずしも万人受けする類いのものではなくなってくると思う。  そう、スーパーヒーローたちの「陰」を徹底的に描いた今作、その異質さは素晴らしいと言えるが、必ずしも面白くはない。  一言で言うと、あまりに「スマートでない」ということを感じた。  さらに平たく表現するならば、“スーパーヒーロー”という宿命を持った者たちの、心の闇と葛藤をベースに、ウジウジウジウジと悩み、崩れ落ちていく様を描いた映画だ。  詰まるところ、爽快感とは程遠く、3時間近い長尺が進むにつれ、観ている方もどんどん滅入ってくる。  先に言ったように、アメコミ映画の本流に反するその異質さは良いと思う。 「正義」と「平和」を体現するスーパーヒーローたちが、その本質に疑問符を持ち、迷い、堕ちる様など、崇高な哲学性をも備えるテーマ性だと思う。  ただし、その描き方があまりにクドい。 主体となるキャラクターがあやふやなので、それぞれの俳優たちに華もないので、今ひとつ感情移入ができない。 そして、ウジウジ、クドクドと引っ張った挙げ句、それほど大した結論は得られない   この無情さ、邪道さが好きな人もいると思うし、ほんの少し映画の作り方が違っていれば、大好きな映画になっていたかもしれない。 ただ現実としては、オープニングだけでジューブンな映画だった。
[映画館(字幕)] 2点(2009-04-10 15:14:26)
143.  僕らのミライへ逆回転 《ネタバレ》 
「映画」が好きな人間にとって、「映画を観るということ」の価値は計り知れない。 それは理屈ではなくて、ただただシンプルに「好き」ということになると思う。  レンタルビデオの中身が消えてしまった。じゃあ自分たちで勝手にリメイクしてしまおう。予想外に面白かったから、また観たい! ストーリーの設定自体は強引すぎるほど強引で、リアリティなんてまるでない。 でも、その根本的な願望は、とてもシンプルで理解できる。  映画が好きだから、街が好きだから、店が好きだから、そうして作られた映画を、みんなで観て、共に泣き笑う。  そのささやか「幸福感」に感動する。
[DVD(字幕)] 6点(2009-03-29 11:09:27)(良:2票)
144.  タロットカード殺人事件 《ネタバレ》 
永遠の“女好き”ウッディ・アレンが、新たなディーバとしてスカーレット・ヨハンソンを迎えた第二作。  連続殺人事件を追うという主題に反してコメディ要素たっぷりのストーリーテリングの中で、いかにヨハンソンを魅力的に映し撮るか、その部分に徹底的に心血を注いだウッディ・アレンは流石だ。 他の作品ではクールな役柄が多いスカーレット・ヨハンソンだが、そのセクシーさを保ちつつ、見事にコメディエンヌぶりを発揮していて、終始ニヤニヤしながら観てしまった。  邦題がいかになミステリ調なので、サスペンスフルな展開を期待していると肩すかしをくってしまうだろうが、ウッディ・アレンという監督を知っている人であれば、相変わらずの調子に安心感を覚えつつ、良い意味で終始“のんき”に楽しめる作品だった。  ヨハンソン演じる主人公に終始振り回されながら、大事なところであっさりあの世いきしていしまう道化的な役割を自らに当て込むあたりにも、ウッディ・アレン独特のらしさと、コメディ作家としてのある意味でのプライドを感じられた。 もう80歳近い高齢のはずだが、これからも楽しい映画をつくり続けてほしいものだ。  スカーレット・ヨハンソンの魅力に酔い、ウッディ・アレンのユーモアを心ゆくまで堪能する。そういう愛すべき映画だと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2009-02-22 13:07:16)
145.  007/慰めの報酬
ダニエル・クレイグが“ジェームズ・ボンド”に扮する新007シリーズの第二作目。 前作「カジノ・ロワイヤル」の完成度がとても高かったので、必然的に続編への期待は高まっていた。 そしてもって、今作「慰めの報酬」も極めて完成度の高いエンターテイメントだった。「賞賛」に値する。  やはり、ダニエル・クレイグが良い。 ショーン・コネリーやロジャー・ムーアが演じた往年の「007シリーズ」に愛着がある世代にとっては、無骨でスマートさがないクレイブのボンド像は、お気に召さないという評価も聞く。 が、敢えて「未完成」のジェームズ・ボンドを描き直し、そこにダニエル・クレイグというワイルドさと危うさを秘めた俳優を配したことは、一つの趣向として圧倒的に正しい。  そして、そこにはこれまでのシリーズにはなかったシリアスさとリアリティがある。  「殺しのライセンス」というものが実際にあったとして、それを与えられる者に絶対的に必要なことは、「自らの感情をひたすらに抑えつける」ということだろう。 ただし、そんなことが端から出来る人間などいるわけがない。たとえいたとしても、そんな人間は“ヒーロー”として決して魅力的でないと思う。  “ライセンス”を与えられ、そこに求められる“絶対性”を極限の状態で徐々に越えていくプロセスこそ、クレイブが演じるこの“007”シリーズの醍醐味であり、これまでのシリーズにはない魅力だと思う。
[映画館(字幕)] 9点(2009-01-25 02:49:03)
146.  フローズン・タイム
失恋による傷心から不眠生活が続く青年。そんな彼が、深夜バイトをしながらふと手に入れた能力は、「時間を止める」というものだった。  いわゆるミニシアター系の作品なので、卓越したストーリーでぐいぐい見せるというよりは、美しい映像と雰囲気で見せる映画である。 こういう映画は元来嫌いではない。  フォトグラファー出身の監督らしく、一つ一つのカットがとてつもなく美しい。 時間が止まっているシーンよりも、他の何気ないシーンのそれぞれがとてもアーティスティックで、惹き付けられた。  最も興味深かったのは、主人公が新たに恋に落ちる相手の女性が、主人公の気持ちの深まりと共に、どんどん魅力的になっていく様だ。 まさに主人公の想いと同じように、観ている者の想いも深まっていく。  ある意味、非常にナイーヴでウジウジとした「男の子」映画なので、女性にはあまり勧められないかもしれない。(作中の小ネタなども、いかにも“男子”が喜びそうなネタが多い)  しかし、誰しも「眠れぬ夜」を過ごした経験はあるはず。 眠れない夜の主観的な感覚を、「時間が止まる」ということで表現したアイデアは、映画的にとても良いと思う。 
[DVD(字幕)] 8点(2008-12-27 08:06:30)(良:1票)
147.  バルカン超特急(1938) 《ネタバレ》 
サスペンス映画好きのくせに、実はヒッチコック映画を観ていない。 過去に見た作品は、「サイコ」と「北北西に進路を取れ!」くらいである。 久しぶりに物凄く古い映画を観たくなって、70年前に製作された今作を手に取った。  特急列車の中で突如姿を消した中年女性。主人公は彼女の行方を同乗者に聞いてまわるが、誰もが「そんな女性はいなかった」と彼女の存在を認めない。 という「奇妙」から端を発し、コトの真相が、列車に乗り合わせた群像と人間心理の中で徐々に描き出されていく。  おや、どこかで観たことがあるストーリー展開だなと思えば、まるっきりジョディ・フォスターが主演した「フライトプラン」ではないか。 当然、「フライトプラン」の元ネタが今作というわけなのだろう。  とにもかくにも、70年も前に製作されたサスペンス映画が、今も変わらず映画としての“面白味”という輝きを放ち続けていることに、アルフレッド・ヒッチコックという映画史の巨人の言うまでもない巨大さを感じずにはいられない。  ただ単に、謎とそれに対する真相を追い求めるだけでなく、登場する人物の性格や、言動、心理描写に映画としての核心があり、そのことがこの作品が劣化しない最大の要因だと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2008-12-23 10:02:20)(良:2票)
148.  エリザベス:ゴールデン・エイジ
前作「エリザベス」から実に10年ぶりの続編。 まず驚かされるのは、10年経ってもまったく劣化のないケイト・ブランシェットの神々しいまでの麗しさと、10年を経たからこそ更に強まった彼女の存在感の大きさだ。  世界史に対してあまり明るくないので、実際の時代背景だとか人物像について無知な部分が多いのだけれど、ブランシェットが演じるエリザベス一世の姿には、問答無用の説得力があり、現在に繋がる英国史を築いた女王の姿にくるいないと確信せずにはいられない。  前作を遥かに凌駕する映像世界の絢爛豪華さも、申し分なく、重厚な宮廷内の描写や迫力の海戦シーンにも圧倒させられる。 しかし、ケイト・ブランシェットのもはや「大女優」としての威厳が、そういうビジュアル的な力強さを抑えつけ、あくまで映画を彩る一つの要素に至らしめている。  スペインの無敵艦隊を退け、大英帝国の礎を確固たるもとしたエリザベスの文字通り威風堂々とした姿には、神に選ばれた者の「運命」を感じた。  ただ、やはりもう少し当時のヨーロッパ史の勉強をしてから見るべきだとは思った。そうすれば、更にこの映画の深みを堪能できたと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2008-09-23 11:56:04)
149.  転々
「人生」なんてものは、まさに“転々”としていくもので、悲しい事も、嬉しい事も、順繰りにめぐるものだと思う。 ただ、幸せは、はっきりと目に見えるものではないし、これがそうだと実感できるものではないから、見逃してしまいがちで、辛い事ばかりに目がいってしまうのだと思う。  そういう人生の中での、ささやかな幸せを、淡々と、とぼとぼと、踏みしめるように映し出した映画だった。  三木聡監督らしいゆる~い可笑しさと、ふいに垣間見せる温かさの中で、オダギリジョーと三浦友和がさらにゆる~く息づく。  冒頭では、ただの借金を抱えた大学生とそれを追う取立屋だった二人の関係が、東京の可笑しさに溢れた“散歩”を通じて、次第に“疑似親子”のそれになっていく様に、人と人が触れ合うことによってはじめて生じる滑稽さと、その素晴らしさを感じる。  むさくるしい風貌の男二人の掛け合いがメインの映画なので、上野樹里と蒼井優が出演した「亀は意外と速く泳ぐ」ほどの華やかさはなく全体的に地味な感じはあるが、その分、じんわりと暖かみが染み渡る作品だったと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2008-06-21 10:46:14)(良:1票)
150.  ルネッサンス
モノクロームの「白と黒」というよりも、はっきりと「光と影」によって織りなされるスタイリッシュな映像世界に、先ず面食らう。 アニメーションの新たな表現方法としての衝撃性は高く、元来こういうビビットな世界観は嫌いではないので、充分に惹き込まれた。  ただアニメーション映画として、面白かったかというと、「もうひとつ……」という感は拭えない。  「近未来」「巨大企業」「人類存続に関わる陰謀」「謎の美女」……、もうこういうエッセンスは、近年のSF映画では使い回され過ぎていて、少しも新しさを感じない。 その結果、映像世界自体は革新的なものなのだろうけど、終始どこかで観たような感覚から抜け切ることができず、悪く言えば、大味なSF娯楽大作をちょっとセンス良くアニメチックに仕上げたくらいの印象しか残らない。  せっかく、映像的にあれほど冒険したのだから、ストーリー自体にももっと意外性のある新しい感覚を用意してほしかったと思う。
[DVD(字幕)] 5点(2008-06-21 10:36:55)
151.  スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師
暗黒のロンドンで暗躍する理髪師の殺人鬼“スウィーニー・トッド”を、ティム・バートン+ジョニー・デップの盟友コンビで、「ミュージカル」というスパイスをドギツク加えて相変わらずの“特異世界”の中に息づかせた。   鑑賞後まで“スウィーニー・トッド”というキャラクターを知らず、今作はティム・バートンの完全オリジナル作品かと思っていた。 実は創作の殺人鬼キャラクターとしてかなり有名で幾度も舞台化、映画化されていることを知り、ティム・バートンらしからぬ最後まで深い闇を秘めたラストにも頷けた。   全編通して悪趣味かつクオリティの高いビジュアルは、ティム・バートン監督ならではで、そこで惜しげもなく歌声を披露しながら、またもやアクの強いキャラクターを体現してみせたジョニー・デップと合わせて、作品から醸し出される雰囲気に反して安心して観られた。 ティム・バートン監督のパートナーでもあるヘレナ・ボナム・カーターも内にまがまがしい狂気を秘めたパイ屋の女主人を、妖しい魅力で表現してみせたと思う。   狂気に溢れた殺人鬼の物語をミュージカル調で映像化してみせたティム・バートンの力量にはもはや隙はなく、ジョニー・デップの魅力も合わせて概ね満足度は高い映画であると言える。 ただ、今作で6作目の監督&主演コンビとなる彼らの化学反応に、安心感を覚えつつもそろそろ新たな“爆発”を見せてほしいというのも映画ファンとしては正直な心情だったりする。   そういう意味では、題材の強烈さに反して今ひとつ“驚き”はない映画だったかもしれない。   
[映画館(字幕)] 7点(2008-01-19 21:25:42)(良:1票)
152.  カプリコン・1 《ネタバレ》 
アメリカ合衆国という国家と、アメリカ航空宇宙局(NASA)が、それぞれの威信と保身をかけて立ち上げた人類初の火星着陸プロジェクト。失敗が許されない状況下で、当局は地球上からの「偽装火星中継」を画策する……。  アポロの月面着陸偽装説をまざまざと彷彿とさせるリアルなサスペンス要素を多分に踏まえた設定には、ゾクゾクするほどの緊張感が溢れている。 「偽装」と「現実」の狭間で揺れ動く宇宙飛行士たちの葛藤と、計画失敗により当局から命を狙われるというアクション性とサスペンス性が殊更に映画としての面白味を膨らませていく。  と、導入から中盤の展開までは、申し分ない魅力に溢れたストーリー展開を見せてくれていたのだが、中盤以降徐々に失速していく。  計画の失敗により事実を隠蔽するために飛行士たちは命を狙われることになるのだが、その後の展開はただ飛行士たちが砂漠を彷徨う逃避行に終始し、非常に淡白だ。別の側面から事実を究明しようとする記者の存在は効果的だったのだが、キャラクター性と彼に降り掛かる状況があまりに中途半端だったと思う。  クライマックスにかけての爽快感の無さが、最大の問題点で、もっと陰謀の黒幕に対する逆襲性を克明に描き出して欲しかった。 設定や物語としてのテーマの深さには魅力が大きい作品なので、是非最新の技術、キャスト、そしてもう少し膨らみを持たせた脚本でのリメイクを期待したい。 
[DVD(字幕)] 6点(2008-01-14 14:13:26)
153.  アース
2008年一発目の鑑賞作品は、“地球”そのものをストレートに映し出したネイチャー・ドキュメンタリー。 昨年末から公開された予告編の圧倒的な映像を見て、「これはスクリーンで見なければならない」と心に決めていた。  今、立っているこの地球の美しさと壮大さ。それは、地球上に生きる誰もが、知るべき、“知られざる世界”だと思った。 すべての人間が、この実態を知れば、きっとこの惑星はもっと豊かさに溢れるのではないか。  この惑星に生存する幾多の生物、その誰のためでもなく、人類自らのために、この惑星の豊かさを保っていかなければならないと思う。
[映画館(吹替)] 7点(2008-01-14 14:00:47)
154.  バイオハザードIII 《ネタバレ》 
ゲームの「バイオハザード」を知らないので、実際のところこの作品のシリーズ性に整合性があるのかどうかは不明だが、個人的な“結論”としてはやはり「もういいね……」というところだろう。  パート1は、ゲーム的な要素を存分に盛り込んだホラー性とスタイリッシュなアクション性、そしてスーパーヒロインの地位を確立したミラ・ジョヴォヴィッチの魅力が見事に融合した秀作だった。 パート2ではさらに“進化”したヒロインの超絶ぶりに対して、ホラー性は衰退したが、アクション映画としては充分なパワーを含んだ作品に仕上がっていたと思う。 そんなわけで、今回のパート3に対しても、ここ数年の駄作揃いの“スーパーヒロイン映画”の醜態を踏まえても、「期待」の方が大きかったと言える。  しかし、ものの見事に「脱線」してしまったようだ。  まず、「エイリアン」シリーズなどでも戸惑う部分ではあるが、前作で必死に守り抜こうとしたものを、のっけから「消失」させてしまうのはやめてほしい。 あれほどまで地球規模で「滅亡」してしまっていては、一体前作までの苦労はなんだったのだ?そもそも首謀者の思惑自体もはやどこかにいってしまっているのではないか? そういうストーリー自体の不合理性によって、「マトリックス」のネオ並みに益々進化するヒロインと反比例するかのように、映画はどんどん退化していってしまった印象を受ける。  予定調和たっぷりのアクション映画に眠気が耐えられたのは、短い前髪が可愛い主演女優の麗しさという唯一の売りがあったからだろうか。 
[映画館(字幕)] 5点(2007-11-04 18:17:24)(良:1票)
155.  ダイ・ハード4.0
十数年ぶりにまたもや巻き込まれてしまった全米一“不運”な男、ジョン・マクレーン。結論、この男、衰え知らず。 いや、正確に言うと、だいぶ衰えてはいる。第一作目の彼などと比べると、老け込んでいることはもはや明らかであり、もう風貌的には初老という印象さえ覚える。 が、その「不完全さ」こそ、ブルース・ウィリスという映画俳優を一躍スターダムに押し上げたジョン・マクレーンというキャラクターに他ならない。 ちょっとおかしな話だが、スマートで血みどろにならないマクレーン刑事など誰も見たくはないのだ。  おまけに今回の敵は、サイバーテロ。全米を揺るがすほどのバリバリのデジタル集団VS全米一のアナログ刑事という構図は、彼のキャラクター性を際立たせると共に、とてもユニークな対比を見せる。 「ダイ・ハード」シリーズでは、マクレーン刑事の奮闘ぶりと同時に、彼をサポートする「相棒」のやりとりも重要なファクターだと思う。今作では青年ハッカーとコンビを組むわけだが、アナログ豪腕刑事とデジタル貧弱オタクの間で生じるギャップの中でのかけあいは、娯楽性に溢れ、絶妙なバランスを生んでいた。  久しぶりに文句なく楽しめるアクション映画を観たという感じがする。 無味乾燥的な映像美の中で、アニメの「ルパン三世」ばりに何でもありのアクションシーンが連続して、息をつかせない。  「ダイ・ハード」といえば、「主人公VSテロリスト」という構図のアクション映画の金字塔的映画なわけだが(まあ正確にはこのシリーズに出てくる敵はテロリストではないのだが)、そのシリーズの最新作にふさわしい優れたアクション映画だったと思う。  そして、その第一作「ダイ・ハード」で大スターにのし上がり、以降20年間にわたってエンターテイメント映画の主人公で体を張り続けているブルース・ウィリスという男は、実のところかなりスゴイ俳優なのではないかと思ったりした。
[映画館(字幕)] 8点(2007-07-14 09:13:42)(良:4票)
156.  プレステージ(2006)
「奇術」に取り付かれた二人のマジシャンの“騙し合い”を、クリストファー・ノーランお得意のダークなミステリアスの中で雰囲気よく描いている。 “騙し合い”という言葉がかわいく思える程、繰り広げられるのは、「謎」と「秘密」にとりつかれた男たちの「狂気」までに発展していく。  クリスチャン・ベイルは相変わらず見るからに怪しいし、ヒュー・ジャックマンは“脱ヒーロー俳優”路線を着々と進めていると思う。そこにマイケル・ケインの渋みと、スカーレット・ヨハンソンの華やぎが加わって、キャスト陣もとても充実している。  こういう映画は、とりあえずラストを迎えるまではあれこれ考えずに「素直に騙されるべき」というのが、もっとも“幸福な方法”だと思うので、二人のマジシャンの文字通り狂ったような騙し合いを堪能することはできた。 ただ、中盤から終盤にかけてなんとなく“オチ”を感じ取れてしまったことは否めない。 そして、映画の雰囲気自体は良質なので誤魔化せてはいるが、よくよく考えれば、あまりに強引過ぎる展開であることも無視できないだろう。  映画の中でも散々語られているが、やはりマジックの“タネあかし”は、するべきではないということかもしれない。
[映画館(字幕)] 5点(2007-06-09 19:42:20)(良:1票)
157.  007/カジノ・ロワイヤル(2006) 《ネタバレ》 
「007」シリーズにそれほど愛着があるわけではないので、賛否両論の“新ボンド”ダニエル・クレイグが「ジェームズ・ボンドにふさわしい」かどうかは実際定かではないが、個人的な感想としてはかなり良かったんじゃないかと思う。  ジェームズ・ボンドが“007”になるまでの物語というだけあって、今作のジェームズ・ボンドはあらゆる意味で“未成熟”である。「殺しのライセンス」を貰ったばかりであるが故、任務に対する繊細さに欠け、過去のシリーズ作品でのボンドが常に携える絶対的な“余裕”が無い。いろいろな意味で不器用で、非常に“感情的”である。 そこにダニエル・クレイグという俳優の無骨でワイルドな風貌も加味され、今作のジェームズ・ボンドはまるで“ジェームズ・ボンドらくしない”。 冒頭のシーン、ターゲットを問答無用に追いかけ回す様に、英国諜報員007の紳士的なスタイルは微塵も無い。 たぶん多くの人が「こんなので007としてやっていけるのか?」と不安を感じずにはいられなかったことだろう。  が、そういう“未熟さ”とそこからの“成熟”こそ、今作が描く“ジェームズ・ボンド”であり、そのボンドを演じる俳優としてダニエル・クレイグという俳優はとてもふさわしかったと思う。 数々の名優が演じてきた映画史に残るスーパースターを演じることは、非常に困難なことだろうが、この俳優独特の「憂い」を携えた存在感は、新たなジェームズ・ボンド像としてふさわしく、今後の期待を存分に感じさせる。  「007」としての資質を問われ、敵の策にまんまとハマッて死にかけ、騙され、ボンドにとっては一種の「悲劇」とも言える結末を迎える。 が、ラストカット、「Bond,James Bond.」という言い放ったその姿は、まさに“ジェームズ・ボンド”そのものだった。 文字通り“新たに始まった”007シリーズに期待していきたい。
[DVD(字幕)] 8点(2007-05-27 18:48:18)
158.  サンシャイン 2057 《ネタバレ》 
いわゆる「SF超大作」という娯楽大作にここのところ“当たり”が少なく、もはやネタ切れ状態なのか、“よくあるパターン”の作品が多い。 この「サンシャイン2057」にも、そういう不安はあった。真田広之が宇宙船の船長役で出演していることはとても興味深かったが。観ようか観まいかウロウロと悩みつつ、ふとポスターを見ると重要な要素を見落としていた。 「監督 ダニー・ボイル」。 さすがに一筋縄ではいかない作品に仕上がっていると思う。  脆弱化した太陽を再活性化するための決死のミッションに臨む多国籍編成の8人のクルー。ストーリーとしては何となくよくある感じもするが、出演陣の誰もが“主人公面”していないことが、この映画に用意されている“混沌”を暗示していた。 日本人としてはどうしても船長役の真田広之に注視してしまう。が、存在感と責任感のある日系船長に用意されるプロットはわりと容易に想像できるだろう。  「アルマゲドン」系の地球セービング映画でないことは、冒頭から地球でのシーンを廃し、密室の宇宙船内のみで展開されることからも明らか。映画はふとすればミッションの内容すら忘れてしまうほどに、クルーたちの“精神的”なサバイバルへと突入する。「使命」と「希望」、「生」と「死」の間で混乱していく人間模様に、主題である「太陽」に対する観念的な要素も入り混じり、殊更に映画は混沌としていく。  SF娯楽超大作を期待して観に行くと面食らってしまうことは間違いないが、宇宙での極限状態における人間たちのインサイドをさらけ出そうとした試みは面白かったと思う。 タイトルが示すとおり、ひたすらに太陽の熱に“焼かれる”映画である。
[映画館(字幕)] 7点(2007-04-15 17:33:51)(良:4票)
159.  ローズ・イン・タイドランド
鬼才テリー・ギリアムが新たに描き出した“超”リアルでダークな「不思議の国のアリス」。 どこまでも幻想的で空想的でありながら、決して“ファンタジー”には踏み込まないという「異様」な映画世界が、観る者をあざ笑うかのように、どもまでも広がっていく。 正直なところ、「ついていけないよ」という印象も所々で生まれるが、やはりもうここまで突っ切っちゃうと、安直には否定も肯定もできない。 良い映画とも悪い映画とも断言できず、強いて言うなら「変な映画だ」。これが精一杯。  それにしても、この映画で絶対的に“スゴイ”のは、弱冠10歳の“主演女優”ジョデル・フェルランドの「天才」ぶりである。 この果てしなくディープな映画世界において、すべてを掌握して支配している存在感と表現力は、圧倒的である。 目線の動き、発声の振動にまで「魅力」を感じさせ、引き込んでいく。 これはまた、とんでもない「宝石」が誕生したものだと思う。今後の活躍に注目である。  このいたいけな少女をこれほどまでにディープフルな世界に引き込むとは、さすがテリー・ギリアム、その精神は尋常ではない。
[DVD(字幕)] 7点(2007-02-18 01:31:25)(良:1票)
160.  ナイロビの蜂 《ネタバレ》 
アフリカという広大な大地で繰り広げられる陰謀に対する追求と、妻の死によってさらに深まる夫婦愛の探求。  リアルな世界情勢に裏づけされた重く重要な社会的なテーマと、ロマンティックな夫婦愛を絡ませ、サスペンスフルに描いた構図は巧みだと思う。 現地の空気感をそのままに描き出した美しい映像世界も、観客を引き込むには申し分なくそれだけで価値がある。  ただどうしても合点がいかないのは、主人公の最終的な行動。もちろんその態度は潔く、ある意味における力強さには溢れているが、果たしてそれは最愛の妻が望むことだろうか。「運命」として悟るにはいささか早すぎやしないか。  「美学」と言えば聞こえはいいが、描かれるテーマが現実的であるが故に映画としてのリアリティが無いように思う。  なんだか、結局夫婦としてどれだけのことをこの二人は分かり合えたのだろう?と、核心である二人の関係性にまで疑問が生まれてくる。  それは生前の妻の行動にしてもそうで、いくら夫のことを思うが故にということでも、あれだけ惑わせる要素たっぷりな言動を見せられては、夫とすればそりゃ疑ってしまうというもの。 もう少し夫婦としての関係性について深く描く必要があったのではないか。  まあだけれども、この映画の監督が何よりも訴えたかっであろう世界におけるアフリカの“リアリティ”というものはひしひしと伝わってくる。 ぎらつような美しい映画世界の残酷な現実は、そのままこの窓の外につながっている。そのことを認識したとき、また新たな感情が生まれる。 
[DVD(字幕)] 5点(2007-01-14 18:27:38)
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