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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1885
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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【製作国 : オーストラリア 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  ナイチンゲール 《ネタバレ》 
イギリスによる植民地支配が本格化した時代のオーストラリア、タスマニア地方。些細な罪を犯し、この地に流刑となったアイルランド人クレアは、生まれたばかりの赤ん坊と優しい夫だけを頼りに懸命に生きていた。だが彼女の身元引受人でこの地を管轄するイギリス軍中尉によって、クレアはどん底へと追い詰められてゆく。中尉に夜毎何度もレイプされ、あろうことか酷い暴力まで受けていたのだ。そのことを知った夫は逆上し、中尉へと抗議するも逆に返り討ちに遭い、クレアは夫の目の前でレイプされてしまう。さらには夫ばかりか生まれたばかりの赤ん坊まで自らの目の前で殺されてしまうのだった――。「絶対に許さない!地の果てまで追い詰めてやる!」。絶望のどん底で、そう固く復讐を誓ったクレア。だが、中尉とその仲間たちは急用で森を抜けた街へと旅立ってしまった後だった。自分一人ではすぐに道に迷い、野垂れ死んでしまうのは明らか。仕方なく彼女は、現地のアボリジニを案内役として雇い、深く険しい森の奥へと分け入ってゆくのだが……。苦難に満ちた時代に、男たちの暴力によって人生を無茶苦茶にされたある一人の女性の復讐の旅路を描いたバイオレンス・スリラー。ナイチンゲールというタイトルとは似ても似つかぬ、非常にエグいシーン満載のなかなかハードな映画でありました。とにかく男たちの暴力シーンのえげつなさは群を抜いてます。女とみればとにかくレイプ、用が済むと無残にも殺しそこらに放置、家族が狂乱してやってきたらそれも殺し、泣いてる赤ん坊はうるさいからと壁に叩きつけて殺します。いや、さすがにやり過ぎやろ……(笑)。でも、なんだか妙に説得力があるのはこの監督の演出力の高さなのでしょうね。ストーリーはその後、極めてシンプルに進みます。家族を殺されたこの主人公が、同じく白人に家族を皆殺しにされたアボリジニの青年とともに森の中をただひたすら復讐のために歩き続ける。たったこれだけのお話なのに、最後まで緊張感をもって描き切ったところは素直に評価されるべきでしょう。何も悪いことしていないのに侵略され弾圧された、アボリジニの怒りや悲しみにも静かに目を向けるこの監督の目線の鋭さにも感嘆させられます。ただ、さすがに二時間越えは長い。もう少しコンパクトに出来たのでは。あと、最後の復讐劇も意外にあっさりしていて、そこまでカタルシスが得られなかったのもちょっと残念でした。まあそれがリアルだと言ってしまえばそうなんでしょうけど、さすがにこの中尉のやってることが鬼畜過ぎてもっと悶え苦しんで死んでほしかったですな。とは言え、この全編に漲る圧倒的な緊張感には素直にやられました。主人公を演じた女優の鬼気迫るような表情も素晴らしい。ちょっと甘めの8点!
[DVD(字幕)] 8点(2021-03-16 02:08:46)(良:1票)
2.  ピーターラビット 《ネタバレ》 
舞台は自然豊かな田園風景が拡がるイギリスののどかな田舎町。そこでは祖先より代々受け継いだ庭を巡り、性悪じじいと熾烈な闘いを繰り広げる小さな動物たちがいた。青いジャケットを羽織った動物たちのリーダーの名は、ピーターラビット。彼の指揮の下、うさぎたちは性悪じじいに対していつ果てるとも知れぬゲリラ戦を展開していた。そんなある日、唐突にじじいが心臓発作で死亡する。闘いは彼とその仲間たちの勝利で終わったかに思われた。だが、庭を相続したじじいの甥が新たにやって来たことから、長い闘いの第二幕が切って落とされるのだった。さらにはうさぎたちと同盟関係にあると信じられていた画家のお姉さんがその甥と恋に落ちてしまったことから、争いはますます混迷の度を深めてゆく。不毛な闘いの果てに人間と動物たちは何を見るのか?イギリスの有名な児童文学を原作に、うさぎたちと人間との小さなお庭を巡るバトルをスラップスティックに描いたファンタジー。原作のことはよく知らないまま、さして期待せずに今回鑑賞してみたのですが、これがなかなかブラックな内容でいい意味で期待を裏切られました。なんたって冒頭から、ピーター・ラビットのお父さんは敵のおじいさんにパイにして食べられたと説明されるんですから!そして心臓発作で死んだおじいさんが〝アイス販売車〟で運び去られると、動物たちが家の中で狂喜乱舞のパーティーを開くというハチャメチャぶり。いや、いくら敵とは言え、おじいさん死んでますから(笑)。そしてやって来る甥の潔癖症男との闘いも狩猟用の罠やら電気網やら果ては爆薬まで使ってのもはや殺し合い。『パディントン』も裸足で逃げ出すようなそんな不謹慎な内容に僕はかなりテンション上がっちゃいましたわ~。甥が電気ショックでいちいち吹き飛ばされたり、ニワトリが朝一で鳴く理由が実は昨日の不満を爆発させていたり、ミュージカル担当の鳥たちが毎回酷い目に遭わされたりと、細かなネタの数々もいちいち笑えます。何も知らない画家のお姉さんの目の前では仲良くしてるうさぎと甥が、彼女が居なくなった瞬間にボコボコに殴り合うというのはベタですけど、やぱ面白いっすね~。何気におじいさんが死んだことを最後まで誰も悲しまなかったのもけっこうツボでした。んで、最後は無理やりなハッピー・エンドで気分爽快!いやー、内容のブラックさとうさぎたちのもふもふ可愛さのギャップに萌えました。8点!
[DVD(字幕)] 8点(2020-03-23 02:51:41)
3.  ハクソー・リッジ 《ネタバレ》 
良心的兵役拒否者としての信念から銃を手にすることを一切拒否、しかしながら衛生兵として多くの負傷兵の命を救った一人の男の姿を実話を基にして描いた戦争ドラマ。舞台となるのは第二次大戦中、日本国内では唯一大規模な地上戦が行われた激戦地・沖縄。監督は、私生活でいろいろと問題行動の多いメル・ギブソン。この人の思想信条や考え方、そして宗教観は個人的には嫌いなのですが、それでも映画監督としての才能はやっぱりピカイチなんですよねー。完成度は抜群に高いです、これ。前半、誰に何と言われようと銃を手にすることを一切拒否し、周りに迷惑をかけまくる主人公には同僚でもなんでもない観客の僕たちまでイライラさせるとこなんてホント巧い。「じゃあ兵隊に志願なんてするなよ!」と誰もが思うことでしょう。アンドリュー・ガーフィールドの頑固で変わり者キャラがばっちり嵌まっててなかなかナイスなキャスティングじゃないでしょうか。後半、壮絶な沖縄戦に突入してそんな頑固者の主人公が一転して英雄となり周りからの信頼を勝ち取ってゆくとこもカタルシスがヤバいです。なかなかよく出来た脚本と言えるでしょう。凄惨を極めた戦場描写も容赦がなく、地面にごろごろと転がっている無残な死体の中を自らの命を顧みずに走り抜けてゆく兵士たちからは一秒たりとも目が離せません。皮膚の焼けただれる臭いが今にも漂ってきそうな火炎放射器の炎、そこらへんに容赦なく散らかった剥き出しの内臓や千切れた手足、我先にと餌にありつく巨大なネズミたち…、リアリティに満ち溢れたそれらの描写には日本人としてとても胸に迫るものがあります。まあこの監督らしい一面的な描き方――例えば、襲ってくる日本兵が全員野蛮な狂信者として描かれているとことか、これを観たアメリカ人にまた原爆投下肯定論者が増えそう――は、相変わらずですけれども。それでも悔しいかな、日本人としてそんな微妙な部分も作品としての質が大幅にカバーしちゃってます。全編に貫かれるキリスト教礼賛描写も鼻につきますが、総合的な完成度はすこぶる高い戦争ドラマの秀作と言わざるを得ません。
[DVD(字幕)] 8点(2018-04-05 03:25:32)
4.  キングコング: 髑髏島の巨神 《ネタバレ》 
でっかい猿とでっかいトカゲ(あとクモやら鳥やらバッタやら笑)がひたすら戦ってるだけなんですけど、単純明快でめっちゃ面白かったっす!!
[DVD(字幕)] 8点(2018-01-01 22:06:22)
5.  マッドマックス 怒りのデス・ロード 《ネタバレ》 
「凄い!!ぶっ飛んでる!!でも、サイコーに面白い!!」この一言に尽きるんじゃないでしょうか。もうね、映画としては反則と言ってもいいくらい直球勝負の超バカ映画なんですけど、余分なものを一切排除してストーリーを徹底的にシンプルにしたおかげか、なんだか人間本来の生存本能をまざまざと見せ付けられたようなそんな凄みさえ感じさせる作品に仕上がってるんですよ、これ。そう、人間なんて所詮は動物!性欲、食欲、この二つこそが男の生きるエネルギー源!!それがあってこそ社会は繫栄する!そんな男社会の源泉とも呼ぶべき本能に徹底的に抗う女たち……。なんて、深い――、のか(笑)。でも、人間の歴史ってこんなことの繰り返しだったのかもしれないですね。とにかく凄い映画でありました。「女は子供を産む機械」とでも思っている男どもに徹底的に反抗するシャーリーズ・セロン、かっこ良すぎ!!
[DVD(字幕)] 8点(2016-05-25 23:09:50)
6.  華麗なるギャツビー(2013) 《ネタバレ》 
村上春樹に、もし無人島に一冊だけしか本を持っていけないとしたらまず間違いなくこの本を選ぶとまで言わしめた有名な小説(僕はそこまでではないですけど、間違いなく10冊のなかには入る)を、なんとあのバズ・ラーマンが映画化、そしてギャツビー役はまさにはまり役としか思えないディカプリオと聞いたとき、もうそれだけで7点付けちゃうくらいテンションあがっちゃいました(笑)。そして期待に胸を高鳴らせながらこの度鑑賞。おい!いつまで経ってもギャツビー(ディカプリオ)出てこねーぞ!と思っていたら、もう焦らしに焦らせて30分近く経過したころ、満を持して不適な笑みを湛えたギャツビーがこちらに振り返ったときに、もう思わずテレビ画面に向かって拍手しそうになっちゃいました!いやー、やっぱカッコいいっすね、ディカプリオ。まかり間違えてニコラス・ケイジがキャスティングされなくてホント良かった(笑)。そして肝心の内容のほうも、異常なまでの情熱でもってたった一人の女性を愛し、彼女が結婚しようが子供を作ろうが「いや、デイジーはおれの事を絶対に愛して待っているはずだ!」と戦場で武勲をあげ、ビジネスで成功し時には違法な行為にまで手を染め、彼女の家の対岸に大豪邸を建てて帰ってきて、そして夜な夜な人も羨むパーティーを彼女の気を惹くためだけに開くという、まさに全ての男の敵にして全ての男の憧れでもある、愛情と情熱と狂気がせめぎ合うギャツビーの類稀なる魅力が見事に描けていたと思います。特に、デイジーが夫に別れを切り出すシーンの、居合わせた4人の四者四様の思惑がぶつかり合う心理戦の息を呑むような緊迫感といったら凄かったです。欲を言えば、バズ・ラーマンらしいどこか下品で猥雑だけど最高にエネルギッシュな歌唱シーンをもっと見たかったかな。でも、女性はこれをどう見るんだろ?一度はここまで男に愛されたいと思うんだろーか。やっぱりひく?でも、ディカプリオだったらアリなのか?などと、クリスマス(投稿日付注目↓笑)だというのに、たった一人でそんなこと考えてる自分という現実にいま気付いた…(泣)。
[DVD(字幕)] 8点(2013-12-24 18:07:41)(良:1票)
7.  マトリックス 《ネタバレ》 
思えばこの映画から、ただ最新のCG技術と撮影法を駆使してただただ格好良いアクションシーンだけを撮りたかった映画という新ジャンルが始まったのではないだろうか。もう矛盾だらけのストーリーや設定なんか刺身のつまのようなもの。いかにグラサン主人公たちが派手にスタイリッシュに暴れまくるかだけをひたすら追求したその姿勢は、良くも悪くも賞賛に値します。もう、ネオたちが飛び交う銃弾の嵐のなかをスローモーションで駆け巡る映像なんか、初めて見たときはほんと身体の芯から痺れました。ストーリー(特にヒロインのキス一つで主人公が無敵になるラストとか)は、まぁ失笑でしたけど。
[DVD(字幕)] 8点(2013-05-08 16:52:37)(良:1票)
8.  ロミオ&ジュリエット 《ネタバレ》 
シェイクスピアの古典的名作(あまりにも古典的過ぎて今さら普通に映画化するにはかなり勇気を要する)を、大胆にも徹底的にお下品で猥雑で野暮ったく、それでいてとってもエネルギッシュに映画化。もう、この濃ゆい世界観、好きです!ピストル片手にアロハシャツ姿で愛を語るロミオとか格好良すぎ!!今作のディカプリオは、びっくりするぐらい若いエネルギーが迸ってます。対するクレア・デーンズも恐らくこのころがピークだと思えるくらい可愛くてキュート!!そして脇を固める、これまたアクの強い脇役たちも痺れるくらい格好良い。そして、何よりシィクスピアが何世紀も前に描いた純愛をこうやって現代に(お下品に)甦らせた監督の手腕に拍手!何度、観てもテンション上がるっす!!
[DVD(字幕)] 8点(2013-04-24 22:07:33)
9.  ピアノ・レッスン 《ネタバレ》 
もう、もろ17世紀のヨーロッパの小説だとか絵画だとか音楽だとかの持つ雰囲気を奇跡なまでに二時間の映画に纏め上げた秀作。それでいて画面には一向に古さが感じられない。それが監督のセンスなんだろう。特に、指を切られたあと、一人森に佇む主人公の姿は印象派の絵画のように素晴らしい。あと、マイケル・ナイマンの繊細で美しいサントラも忘れられない。
[DVD(字幕)] 8点(2013-03-27 13:41:56)
10.  デイブレイカー 《ネタバレ》 
なかなか監督のセンスを感じる映画だった。吸血鬼を主人公にして人間と戦うという逆転の設定が存分に活かされて、何よりちゃんとした社会が形成されているところが良い。そして徐々に血液が枯渇していくという、社会の崩壊の恐怖がじわじわと不安感を煽っていき、ラストも巧くまとまっていた。完全太陽光遮断の車でのカーチェイスでは、従来のそれに弾痕からの日光も避けなければいけなくなるところなど、緊迫感も増していて監督の才能を存分に感じさせた。いまから次回作が楽しみだ。
[DVD(字幕)] 8点(2012-04-25 11:44:12)(良:1票)
11.  レリック -遺物- 《ネタバレ》 
都会で自立した生活を送っている中年女性ケイの元にある日、警察から急な連絡が来る。田舎の森の中で独り暮らしをしている80代の母親が数日前から行方不明になっているというのだ。母は少し前から認知症の傾向があり、何とかしなければいけないと心配していた矢先の出来事だった。すぐさま娘のサムとともに実家へと向かうケイ。地元警察と協力し森の中を何度も探すものの一向に母親の姿は見つからない。だが、一週間後、何の前触れもなく母親が帰ってくるのだった――。「お母さん、いったい今までどこで何をしていたの?」。そんなケイの当然の質問にも、母親は話をはぐらかすばかりで一向に答えてくれない。とにかく見つかってよかったとしばらく実家で暮らすことになったケイとサムだが、しばらくすると母親の不穏な行動が目につくようになる。放心したように虚空を見つめていたかと思うと急に激昂して怒り出したり、夜中に誰ともわからない存在と一人喋っていたり……。これは普通に認知症の症状なのか、それともほかの何かが原因なのか。森の中の一軒家を舞台に、認知症に苦しむ母親とその娘と孫の葛藤を終始不穏に描いたサスペンス・ドラマ。とにかくこの作品の全編に漂う、じっとりとしたいや~~~な空気にやられちゃいました。ずっと暗い画面にひたすら暗い会話を交わし続ける登場人物たち、そしてその雰囲気をさらに助長するような不快な音楽。これらの合わせ技がひたすら観客の神経を逆なでしてきます。でも自分はこのいやな感じ、けっこう嫌いじゃない。特に何考えてるか分からないお祖母ちゃん(まあ認知症なんで当然なのですが)、裸でボーっと突っ立っていたり、笑顔で話していたかと思うと急に怒り出したりと、次に何するか分からない不気味さがすんごく恐ろしい。そこに認知症という病気の怖さも絶妙にブレンドしてくるところなんか、この監督けっこういいセンスしてるんじゃないですかね。まあアリ・アスター監督のヒット作『ヘレディタリー/継承』にだいぶ引っ張られてる感も否めないですけど(笑)。最後、がっつりオカルト要素を出してきちゃったのは自分はちょっと否の立場。現実的ともどっちとも取れるようなオチにしてくれた方が、より不愉快な余韻を残してくれたような気がします。とはいえ監督はこれが長編デビュー作ということなので、次作も期待して待ちたいと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2022-03-28 07:33:33)
12.  プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵 《ネタバレ》 
1970年代、アパルトヘイトの嵐が吹き荒れていた時代の南アフリカ。政府のそんな理不尽な人種隔離政策に反発し、非合法な活動を続けていたある二人の白人青年が逮捕される。彼らの名は、ティム・ジェンキンとスティーブン・リー。裁判の結果は、それぞれ懲役12年と8年の実刑だった。判決は瞬く間に確定し、彼らは速やかに当時地獄と恐れられていた白人専用のプレトリア刑務所へと収監されるのだった――。だが、彼らはまだ諦めたわけではなかった。愛する者のためになんとしても脱獄しようと目論むティムが考えた驚きの方法。それは、刑務官が常に腰にぶら下げている鍵の形を暗記し、それを木で彫って複製しようというものだった。少しでも力を加えればすぐ折れるうえに、刑務所のドアを開けるためには外から差し込まなければならない。しかもそんな鍵が外に出るまでに10もあるのだった。無謀とも言える彼らの計画だったが、それでもティムとスティーブンは持ち前の執念と正義への情熱でもって少しずつ鍵を彫り続けてゆくのだが……。実話を基に、難攻不落とも言われた刑務所から決死の脱獄を図った二人の青年を描いたプリズン・サスペンス。主演を務めるのは、髭もじゃ顔がすっかりトレードマークとなったダニエル・ラドクリフ君。まぁいわゆる古典的な脱獄ものなのですが、本作の特徴はその脱獄の方法が木材で鍵のコピーを作ろうとするところ。しかも目で見ただけでその鍵の形を覚えようと言うのですからまさに無謀。そんな馬鹿な…と思わなくもないですが、この時代のしかも南アフリカですからこれくらいセキュリティが甘々だったのでしょうかね。これが実話じゃなかったら、「脚本家、テキトーに書きすぎ!」と途中で冷めていたところでしょう。とはいえ、脱獄のドラマだけに特化した本作は、その手のツボは押さえられていたのでけっこう楽しんで見れました。冷酷非道な刑務官にいつ見つかるか、彼らの計画がいつか露見するんじゃないのかと最後までハラハラドキドキの連続で目が離せなかったです。ただ、全体的な感想としては正直薄味。もう少し政治的な背景も描かれていればより深みが増しただろうけど、そこは敢えてバッサリ切っちゃったのは良かったのか悪かったのか。シンプルな脱獄ものとしては普通に面白かったんですけどね。
[DVD(字幕)] 7点(2021-12-28 03:30:23)
13.  魂のゆくえ 《ネタバレ》 
この狂った世界に、子供を生まれさせるのは間違っている――。ニューヨーク郊外に佇む、今年で創建250年を迎えた歴史ある教会「第一改革派教会」。責任者であるトラー牧師は、かつて一人息子をイラク戦争で失くし、以来神の教えに目覚めた敬虔な信者だ。孤独を愛し、ただ神の教えだけを心の糧に生きる彼は、ある日、妊娠中の女性メアリーからとある相談を受ける。環境保護活動に熱心な夫が、自分の子供を堕ろすことを強要してくるというのだ。世界はいま急速に破滅へと向かっている、この世界に子供を送り出すのは悲劇しか生まない、と。実際にトラー牧師が会ってみると、夫はただひたすら利益優先の大企業がいかに地球環境を破壊し続けているかを語り始めるのだった。また会うことを約束しその場は別れたものの、のちにトラー牧師はメアリーから更なる相談を受ける。なんと彼はガレージに自爆ベストを隠し持っているらしい。最悪の事態を想定し、ベストを持ち帰ったトラー牧師。だが、彼自身もまた、この世界に絶望を感じている自分を否定出来ないのだった……。神を信じつつもこの世界に希望を見失いはじめた、ある孤独な牧師の魂の遍歴を淡々と描いた哲学的なヒューマン・ドラマ。そんな信念の危機を迎え孤立を深めていく男を演じるのは人気俳優、イーサン・ホーク。監督は、70年代を代表する問題作『タクシー・ドライバー』の脚本を書いた、ポール・シュレイダー。ドラマティックなストーリー展開とは終始無縁、音楽もほぼ流れず、最後までただ淡々と続く暗い作品ながら、最後まで緊張感を途切れさせずに見せた監督の手腕は大したものだと思います。俳優たちの静かな熱演も素晴らしく、特に愛する者を失いながらそれでも懸命に生きようとする妻を演じたアマンダ・セイフライトは特筆に値します。この狂った世界に生きる価値などないのか――。病的な思考へと傾倒し、やがて過激な行動へと駆り立てられるこの主人公は現代の『タクシー・ドライバー』そのもの。それは間違っていると思いながらも、自爆ベルトへと袖を通す主人公にいつしか共感している自分が居ました。神なき時代を生きる現代人の苦悩に鋭く迫った、社会派の問題作と言っていいでしょう。ただ、残念だったのは後半の展開が幾分か腰砕けになってしまったところ。ここまで主人公の魂の苦悩を深く描いてきたのに、この結論はちょっと物足りない。なんなら絶望のどん底へと観客を徹底的に叩き堕とすくらいの覚悟が欲しかった。この現代に、安易な希望などいらない。
[DVD(字幕)] 7点(2020-03-02 00:12:14)
14.  トライアングル(2009) 《ネタバレ》 
障害のある一人息子を抱え、困窮した生活を送るシングルマザー、ジェイ。追い詰められた彼女は少しでも気分転換を図るため、息子を特別支援学校へと預けると、約束していた友人たちとともにヨットセーリングへと旅立つことに。「トライアングル号」という名の立派なヨットに乗り込み、美しい大海原へと繰り出したジェイは、日頃のストレスを忘れしばしのバカンスを楽しむのだった。だが、そんな彼女たちを悲劇が襲う。急な大嵐に遭遇し、ヨットは呆気なく転覆してしまったのだ。横転したヨットで途方に暮れていたジェイたち。すると神の恵みか、大きな豪華客船が彼らの前を通りかかる。急いで乗り込んだものの、何故かどこをどう探しても船客はおろか乗組員すら誰一人として見出すことが出来なかった。戸惑う彼女たちに突然、今度は銃を持ったマスク姿の人物が襲い掛かってくる。「いったいどうなってるの?」――。パニックへと陥ったジェイに、理屈では到底説明できないような更なる不条理が訪れる…。いったいここは何処なのか?何故、ジェイは初めて訪れるはずのこの豪華客船に見覚えがあるのか?そして、マスク姿の襲撃犯の驚きの正体とは?低予算で撮られたワンシュチュエーションのスリラーでありながら、練られた脚本の力とエッジの効いた映像センスで魅せるなかなかの佳品でしたね、これ。猛烈にネタバレしてしまうと、前半まではよくあるソリッド・シュチュエーション・スリラーのように思わせながら、途中でもう一人のジェイが登場し、ここからまさかのループ物へ!いやー、見事に気持ちよく騙されましたわ~。自分たちが全員死ぬとまた次の自分たちがやって来る――。この悪夢の無限ループから抜け出すために孤軍奮闘する主人公の姿が小気味よく(タンクトップ&ホットパンツ最高!笑)、ときおりハッとするような映像が差し挟まれるのも大変グッド。特に、山と積まれた何十人もの自分の死体へと新たに横たわる主人公の仲間の女性。いやー、シュールで絶望的でグロテスクで大変良い画ですね~。最後のオチも力技ながらうまく纏めていて満足度は高い。なるほど、シーシュポスの神話ってそういう意味だったのか。そんな絶望的なお話を良い感じで緩和する大海原の映像も涼しげで、真夏の熱帯夜にビールでも飲みながら楽しむのにうってつけの映画でありました。うん、7点!
[DVD(字幕)] 7点(2019-08-12 22:33:02)
15.  プリデスティネーション 《ネタバレ》 
1970年代、連続爆弾魔の恐怖に怯えるニューヨーク。場末の小さなバーに一人の〝男〟が酒を求めてやってくる。相手をするのは、何処か影のあるバーテンダー。だが、どうやらこのバーテンダー、政府の特殊工作員として未来からやって来た時空エージェントらしい。〝不完全な爆弾魔〟と呼ばれるテロリストの犯行を阻止するというのが、この工作員の最後の任務のようだ。「僕はかつて孤児だった。そして、君が信じるかどうか知らないけど僕はかつて女だったんだ」。バーテンダーに、かつて〝女〟だったころの話を始める客の〝男〟。性別だけではない。彼が歩んできた人生は、まさに事実は小説より奇なりと呼ぶに相応しい特異なものだった…。いったい彼は何者なのか?連続爆弾魔とはどんな関係なのか?そして、彼がしきりに繰り返す「鶏が先か、卵が先か…」という言葉の本当の意味とは?『デイブレイカー』という、ヴァンパイアが多数派となり絶滅寸前の人類の生き血を求めてドラマが展開されるというかなり特異な設定のホラー・アクションを撮ったスピエリッグ兄弟。彼らが、再びイーサン・ホークを主役にして挑んだのはそんなタイム・パラドックスをテーマにしたSF作品でした。前作のその他の追随を許さない独創的でスタイリッシュな作風がかなり気に入っていた自分としては、その世界観をさらに進化させたような本作ももちろん期待して鑑賞してみました。なんだけど、ちょっと予告編に騙されましたかね。もっとアクション寄りのエンタメ映画を期待していたのに、まさかこんな脳みそフル活用しないと理解できないような複雑怪奇なお話だったとは(笑)。でも、これはこれで面白かったです。観終わった後に誰もが深く考えさせられる優れた脚本と、随所にセンスを感じさせる格好良い映像(バイオリン型のタイムワープ装置とかナイス!)、それにイーサン・ホークをはじめとする男臭い役者陣の競演(特に、男と女を見事なまでに演じ分けたジェーン役のサラ・スヌークは素晴らしかった!)などなど、充分に見応えのある深い作品でございました。次はもっと『デイブレイカー』のようなアクション寄りのエンタメ映画を期待しつつ、この監督の次作を待ちたいと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2016-04-12 22:52:45)
16.  レイルウェイ 運命の旅路 《ネタバレ》 
「長い年月、僕はずっと想像してきた。奴を見つけ出し、その舌骨を折り、眼球には箸を突き刺す。悲鳴を上げさせ、そして赦しを乞わせることを。その声を子守唄に眠った…。だが、時代は変わったんだ。我々はもう兵士じゃない。今の僕は単なる〝夫〟だ。妻は僕の全てだ。もう奴の事を掘り返さないでくれ」――。1980年、英国。一年前に結婚した妻と平凡ながらも幸せな日々を過ごしている初老の男性エリック。だが彼は、時々精神的に錯乱して妻を困らせてしまう。次第に私生活に支障を来たし始める夫に、妻は真実を知ろうと詰め寄るのだが彼は一向に理由を明かそうとしない。やがて、実はエリックは第二次大戦中のシンガポールで旧日本軍によって言語を絶する壮絶な体験を強いられたことが明らかとなる。そんな彼に追い討ちをかけるように、旧友からかつての敵であった〝彼〟が実は今も生きていて、のうのうと生活していることを知らされるのだった……。物語は、そんなトラウマに苦しむ現代のエリックと彼が日本軍の捕虜となって地獄のような鉄道建設に従事させられた日々を交互に行き交いながら、罪と赦しを巡るドラマを濃厚に炙り出してゆく。実話を基にして描かれたというそんな本作を複雑な思いを抱きながら、この度鑑賞いたしました。戦争という非日常に追い込まれたとき、人は誰もが各々の正義を振りかざし、時には取り返しのつかない過ちを犯してしまうという真実を、実力派の役者陣をそろえ、冷徹に見つめたその視線はなかなか鋭い。やはり戦争は悲劇しか生まないということを改めて実感させられました。戦争を知る世代がもはや殆ど居なくなろうとしている現代の日本において、この事実は忘れてはいけない。ただ、純粋に映画としてみれば、演出として拙い面がちらほら散見されるのが惜しい(特に、過去パートでの日本軍に隠れてラジオを造るエピソードや自死を選ぶ主人公の友人。もっと巧い見せ方があったはず)。とはいえ、この事実を多くの人に伝えなければという製作陣の思いには、一日本人として素直に好感持てました。最後に提示される本人たちの写真からは、やはり事実の重みがずっしりと心に響きますね。うん、久々に観て良かったと思える作品に出会えました。
[DVD(字幕)] 7点(2015-03-20 05:29:31)
17.  ダーク・フェアリー 《ネタバレ》 
僕のこよなく愛する『パンズ・ラビリンス』の監督が製作した、怪しげな妖精たちが乱舞する巨大な洋館を舞台に、今回も大人世界に翻弄される小さな女の子を主人公にして繰り広げられるダーク・ファンタジー。パンズ・ラビリンスに比べると確かに小粒感が否めないけど、それでもやはり独特のモダンで怪しげで時には淫靡ささえ感じられる世界観は秀逸。特に、小さな妖精の群れがハサミや剃刀といった現代的な凶器を手に襲い掛かってくる場面は、子供が観たらしばらくトラウマになりそうなほど怖い。そして、一番善人だった奥さんが最後に奈落へと引き摺りこまれる後味の悪いラストもいい感じ。ただ、残念なのは主人公の女の子。演技力を優先したのか、この子がどうも可愛くない。もっと魅力的な女の子をキャスティング出来ていたら+1点だったのに。
[DVD(字幕)] 7点(2013-04-30 14:51:53)
18.  ムーラン・ルージュ(2001) 《ネタバレ》 
パリを舞台に男と女の金と嫉妬と愛にまみれたドロドロの愛憎劇を、豪華絢爛な舞台とバラエティ溢れる楽曲に乗せて、そして華のある俳優たちを使って、なんともエネルギッシュで猥雑でゴージャスに魅せるいかにもこの監督らしい映画。もう見ているだけで単純で楽しい!ちょっと濃ゆ過ぎて疲れる部分もありますけど……(笑)。個人的には、筋肉ムキムキなマッチョメンが椅子を片手に〝男の燃えるような嫉妬心〟を濃ゆく歌い上げるシーンが好きです(マジで!?笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2013-04-24 20:55:40)
19.  ニトラム/NITRAM 《ネタバレ》 
90年代、オーストラリアのタスマニア島で実際に起きた無差別銃乱射事件。多くの死傷者を出したそんな凄惨な事件を基に、犯行へと至るまでの犯人の心情を終始淡々と見つめたクライム・ドラマ。ほとんど音楽も使われず、ドラマティックな展開なども皆無、ただひたすらこの精神に重大な問題を抱え、恐らくは軽度な知的障碍もあったであろう主人公の次第に追い詰められてゆくさまが冷徹に描き出されてゆく。主人公を演じたケイレブ・ランドリー・ジョーンズの真に迫った熱演もあり、この最後まで緊張感を途切れさせない展開は見応え充分だった。社会から疎外され孤立してゆく息子をただ見守ることしか出来ない両親の葛藤もリアル。そんな青年を何故か受け入れる大富豪の老女の存在も違和感がなく、ともに社会から疎外された者同士で通じ合う部分があったのだろうという説得力も感じさせる。この老女が大金持ちで、彼女の善意がのちに大きな悲劇を生んだと思うとなんともやるせない。彼と事件の被害者を救う術はなかったのか――。周りに何人も「おかしい」と思う大人がいたのに母親も息子を常に気にかけていたのに誰も事件を防げなかったことを思うと、やはり社会の無関心も事件の原因の一つだと改めて痛感させられる。これは決して遠い国のお話ではなく、日本でも自分事として捉えるべき問題なのだろう。ただ、そのように深く考えさせるところは確かに良かったのだが、一本の映画として観ると残念な点もちらほら。一つ言えるのは、とにかく演出のキレがすこぶる悪い!果たしてこのシーンは必要であったのかと思えるような無駄な場面が余りにも多く、かと思えば父親の自殺などもっとそこを掘り下げて描くべきではと思えるところは意外にあっさり流したりする。もっと脚本を練るべきだった。見るべき部分も多い作品だっただけに残念だ。
[DVD(字幕)] 6点(2023-07-07 09:32:06)
20.  ベイビーティース 《ネタバレ》 
難病を患い過酷な闘病生活を送る16歳の少女と孤独な不良少年の青春の日々を瑞々しく描いたラブストーリー。監督が、長編デビュー作となる本作で幾つもの賞を受賞したということで今回鑑賞してみました。とにかくこの監督のセンスの良さに尽きると思います。ほとんど音楽も使わず映像も終始ブレブレな手持ち撮影、そして登場人物もごく限られているのに最後まで観客の心を捉えて離さないこの品の良いセンスは大変グッド。それぞれのエピソードを小さな章のように見せる演出や等身大の登場人物たちが織りなす繊細な心理描写もなかなかに素晴らしい。ただ、本作の評価の分かれ目となりそうなのが、この余りにもベタすぎる脚本でしょう。これまで何百本と撮られてきた難病ものラブストーリーをなぞっただけで、正直、捻りがなさすぎる。最後もお涙頂戴の悲恋で終わってしまいます。抜群にセンスの良い映像だとか、抒情性溢れる語り口など、この監督の才能は確かだと思うので次作に期待ってところですね。
[DVD(字幕)] 6点(2022-08-11 02:11:57)
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