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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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81.  大人は判ってくれない 《ネタバレ》 
俺は「アメリカの夜」の方が好きだが、彼の最高傑作はやはりこの作品になるのだろう。 トリュフォーの自伝的内容のこの映画は、「野性の少年」で描かれた内面的な自伝要素とはかなり違う。生々しい、外に向かって放たれる痛々しさ。 彼の師であるアンドレ・バザンに捧げられた言葉と共に映画は始まる。教室でテストを受ける生徒たち。彼等は教師の目を盗んでポスターを回し、不運にも先生に見つかった生徒は人身御供として差し出される。 アントワーヌは日頃からチョークを投げつける教師に目を付けられ問題児扱いされ、家に帰っても母親に「成績が悪いのも当然ね」などと平然と言い放つ厳しさ、片身の狭さ。父親と同級生が心の支えになっていたが、そんな父も母親の顔色を伺い、母も共働きで不仲。アントワーヌも無理に家事を手伝わされ宿題も手につかないという有様。 寝る場所も裏口という寒い場所。アントワーヌはタバコやワインまで飲んでしまう不良小学生となっていく。教師が彼を目の敵にすればするほど、アントワーヌの心は益々荒んでいく。円筒形のアトラクションで遊ぶアントワーヌ。遠心力で動きがままならなく様子は、人々に振り回され閉所に押し込められていくアントワーヌのその後を暗示するよう。 アントワーヌが見てしまった母の情事。アントワーヌの怒りと失望に満ちた表情。アントワーヌは父を気遣いその事を中々言い出せない。彼にとっても信じがたい、嘘であってくれという現実。 勢いで飛び出す家、路上で人に見つからぬように牛乳を盗んで飲む、証拠隠滅まで図る。それでも一応心配して彼を抱きしめ母親、体を洗ってくれる愛情の欠片。 ヒビの入った家族をどうにか繋ぎ止める映画。疲れた父親すらハッスル(嫁の胸を乳揉み)させるエネルギー、母の言葉、本との出合い。せっかくやる気になってがむしゃらに頑張っても報われない虚しさ。だからといって丸写しで停学とはいくら何でも酷い。 一度付いた嘘は延々と足を引っ張る鎖になっていく。 売れなかったとはいえ盗み出したタイプライターを一人で戻しにいく健気さ。だが子供でも罪は罪、親友すら赤の他人という素振り、親にすら半ば見捨てられ彼の心は死んでいく。子も子なら親も親。夜の市街を見つめる眼差し。 脱走し走って走って走っても見えない出口。ようやく辿り付いた浜辺で、彼は何を思うのだろうか。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-01 21:11:46)
82.  太陽(2005)
これは、まず日本じゃ撮れない。日本は主観で天皇像をやたら特別視しすぎるきらいがある。天皇もせっかく「私も人間だ」といったのだから、日本人はもっと砕いて描いても良い筈だ。 その点、ソクーロフは客観的で、あくまで一人の人間として天皇を描いた。 口ももごもごし、まるで子供のように植物の研究に明け暮れ、「人間て良いな~」と謳歌していそうな、何処にでもいそうな感じに。これほどユーモアと気品を両方感じさせる天皇、中々いない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-30 19:12:36)
83.  ラ・スクムーン
ベルモンドファンにも、フィルム・ノワールファンにも、とにかく総ての“漢”にオススメする傑作。 ジャン=ピエール・メルヴィルとは一味違う“仁義”を描くジョゼ・ジョヴァン懇親のフレンチ・ノワール。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-12 01:05:21)
84.  シルビアのいる街で
一体シルビアは“何者”だったのだろうか。やりすぎとも言える演出が暴き立てる彼女の虚構性。映画そのものもストーリーらしいものは無かったが、後に残る心地良い余韻は何なのだろうか。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-11 00:01:12)
85.  大列車作戦 《ネタバレ》 
バート・ランカスター&ジョン・フランケンハイマー最高の1本となる戦争アクション。 ナチスVSレジスタンスの壮絶な列車アクションがスリル満点で楽しい。連合軍の無理難題と亡きレジスタンスの亡霊たちをかかえるレジスタンス達、意地でも勝利の可能性を逃すまいとするナチス。 走行中の列車に飛び乗るシークエンスの見事なこと。ドラマも熱い。果たして戦争が無ければ例の大佐も、石炭で顔が真っ黒になるレジスタンスも平和でいられたのだろうか。戦争アクションの醍醐味、ここにあり。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-10 23:56:38)
86.  アデュー・フィリピーヌ 《ネタバレ》 
兵役につく運命が待ち受ける男。そんな男にとって、二人の魅惑的な女性は最高の「現実逃避」だった。繰り返される他愛ない日々は、劇中で永遠に続くかのように続く。だが、運命はやがて男に訪れる。男にとっての「最後の晩餐」・・・それほどの輝き、それほどに儚く過ぎ去る一瞬の青春。男を送り出す彼女たちも、何処か寂しそうな表情を見せる。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-10 21:53:35)
87.  インディア・ソング 《ネタバレ》 
マルグリット・デュラスは、自身が描く小説よりも官能的で狂気に満ち溢れた作品を作り挙げた。架空のインドを舞台に、フランス大使夫人とそれを取り巻く男たちの官能的な交わりを描いたこの作品は、太陽が昇りはじめたばかりの空から物語は始まる。暗い部屋、郊外の屋敷、湖、森・・・。そこに横たわる黒衣の女。何かを語る彼女の横に服をはだけた白シャツの男が座り込む。仰向けになった女の胸元もはだけ、白い乳房が熱く脈打つ。傍らの男もまた、一緒に寝そべる。女の語りは続き、そこにまた上半身裸で白いズボンを履いた男が座り込む。女の乳房は、より荒々しく脈打つのだ。まるで誰かがその肌に触れるのを待つように。もの凄くエロいです。  彼女たちは、画面ではほとんど口を開かず、スクリーンの外で大いに語らい合う。それは我々が小説の文体から彼女たちの姿を想像するのと同じ様に、我々の心を掻き毟るのだ。 人によってはその難解な映像を退屈に捉えると思うが、少なくとも映像の美しさだけは見て損はしないだろう。 2時間を包み込む独特の倦怠感は、大使夫人の中に眠る暴力的な欲求を揺り動かしていくのである。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-10 21:46:48)
88.  ナポレオン(1927) 《ネタバレ》 
こりゃ驚いた。 サッシャ・ギトリの「ナポレオン」とタメを張れる・・・いやそれ以上の傑作だ。カーマインの音楽も素晴らしい。 フランス革命後の波に載って皇帝にまで上り詰めたナポレオン。 前半部分のナポレオンは差別や嫉妬、上司とのトラブル等に耐え、自己研鑽を続ける若き士官として描かれる。 この頃は野心に満ち好機を待ち続けた“兵士”だった。  嵐を乗り越え、議会の混乱を乗り越え、ギロチンに消える貴族たちを眼に焼き付けて・・・。  それが後半になると、様々な政治的困難に直面する“政治家”としての側面も見せてくる。革命で暴徒と化し自由を求めて歩む民衆を見て、ナポレオンは嬉しそうに笑みを浮かべる。 下積み時代の自分と民衆を何処か重ねてみているようだ。  そんな男が民衆の頂点に立ったと思ったら、最終的には民衆から命を狙われるようになってしまう・・・皮肉なものだ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-09 20:16:44)
89.  仁義 《ネタバレ》 
メルヴィルの映画で描かれるギャングたちは、ゴロツキである前にその道の“プロフェッショナル”だ。 本作はメルヴィル作品の中で最も寡黙であり、静かであり、鮮やかな一篇だろう。  銀行を襲うまでのシークエンスには一切無粋なセリフが無く、彼らは練られた計画によって緻密な機械の如く「仕事」を完遂させる。しくじればブタ箱、或るいわ死刑台・・・ミスは許されない。  その様子は余りに淡々とした描写だが、丁寧かつ持続された緊張は我々を画面に釘付けにする。そしてポツリとつぶやかれる「仁義」の一言。たった一言にこれほど重みがあり、これほどの意味が込められた作品は滅多にお目にかかれない。 「モラン神父」や「海の沈黙」で常に会話を重視した作風のメルヴィルだからこそ、“寡黙”な仕事人たちが心の中で交わす“以心伝心”を描けたと俺は思う。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-04 18:33:40)
90.  追想(1975) 《ネタバレ》 
これは、甘ったるい幻想をを打ち砕くような映画だ。 第二次大戦中に実際に起きた虐殺事件をモデルにしているが、現実は誰一人「殺人者」を裁こうともしなかった。 それに対するロベール・アンリコの憂さ晴らしと見るか、戦争の悲惨さを物語として語る純粋なドラマと見るか。  疎開させ、安全だと信じていた場所で惨たらしく殺された妻子。 男は「命を救う」という医者の義務を捨ててまで、復讐心で胸を埋め尽くす。妻子の亡骸が男を復讐へと動かす。  古城はかつて男が「庭」として遊んでいたいわば「遊び場」。奴らを逃せば地の利もなくなる。  「死んだ命はもう戻って来ない。せめてアイツらだけは殺してやりたい!!」 男は淡々と「殺人者」たちを城に閉じ込める。 水に沈めて皆殺しだ。火炎放射器でドロドロに溶ける鏡、女を焼いた火で自分が焼かれる感じはどうなのだろうか。 絶えず男の脳裏によぎる過去の美しき記憶。死んだ者はもう戻らない・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-02 19:31:09)
91.  十字路の夜 《ネタバレ》 
フィルム・ノワールは「マルタの鷹」以前に誕生していた。 フリッツ・ラングの「M」の影響をダイレクトに受けたヨーロッパ。そのフランスのジャン・ルノワールは「十字路の夜」を完成させた。 冒頭の“遺体発見”のシーンの見事さ、煙草の煙が構築する退廃的な空間、男を破滅に導く女(ファム・ファタール)の登場・・・加えてルノワール特有の“水の音”が、作品を更に幻想的なものにしている。これをフィルム・ノワールと言わないでどうする。 終盤で胸元の傷の痕を見せるシーンがエロチックだこと。刑事の後ろで着替える時の太もものエロさ。やはりルノワールに“巨匠”だなんて面倒なレッテルはいらない。偉大なる“むっつりスケベ”だ(尊敬ゼロだろ俺)。  暗闇から突然発砲して来る狙撃手、終盤の畳み掛けるような事件、銃撃戦、車上と夜景のカメラワークの迫力! 助監督のジャック・ベッケル、既に「現金に体を張れ」で見せた暗闇の迫力をとことん見せてくれる。 派手な銃声はいらない。淡々とした音の方が、夜の静寂を切り裂くのに相応しい。  最後の最後まで息を抜けない演出だ。“狙撃者”のやり取り、ラストシーンの別れ際・・・見事、見事である。傑作だ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-30 19:53:55)(良:1票)
92.  ピクニック(1936) 《ネタバレ》 
ジャン・ルノワールはこの「ピクニック」が初めてだった。これは俺が一番好きなルノワール作品。ルノワールは「ゲームの規則」や「大いなる幻影」よりもこういう小品の方がメチャクチャ面白い。 とても優しく切ない映画だが、ルノワール特有の水、水、水の描写が最も際立った映画だと思う。40分の短い時間にとても楽しく、とてつもなく悲しい恋の話が描かれていく。   短編映画の魅力が何なのかというと、時間に追われるスリル、時間と格闘するような緊張を味わえるところ。 それは中篇の犯罪映画「十字路の夜」における高密度のスリルにも言える。   この映画は川の流れの美しさで癒されるが、同時に許されぬ想いに身を焦がす男女の愛をサスペンスフルに描いている部分もある。「大いなる幻影」で銃に狙われる一瞬の緊張よりも、男女が一線を超えてしまう一瞬の方が緊張する。   緩やかな流れる川は、結ばれない男女を冷めた眼で見守る傍観者(監督のルノワール自身)でもあるようだ。 皆さんもポイ捨てだけは絶対しないように。物も女性も。   この映画では傍観者の川も、「南部の人」や「スワンプウォーター」では容赦なく人々に牙を向ける。  この作品の後に「ゲームの規則」とかを見るのがいつも楽しみです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-27 00:47:24)(良:1票)
93.  世にも怪奇な物語 《ネタバレ》 
未だと「世にも奇妙な物語」と言われそうなタイトルだ。  ロジェ・ヴァディム、ルイ・マル、フェデリコ・フェリーニ・・・変態ばっかじゃねえか(笑) 内容もエロっぽい。  この作品、総合的には★4つの80点。 ただ、個々の作品の評価は以下の通り。  ●黒馬の哭く館:ロジェ・ヴァディム 個人的評価:★★★(ヘンリー・フォンダがいないので不満) フォンダ兄弟を拝むためだけにあるような作品。ヴァディムの嫁自慢。弟がそんな変態野郎にブチ切れたのか「だったら俺にくれ」と姉と近親相姦をしようとする話(大嘘)。 父親のヘンリー・フォンダも揃っていたら★+1になったかも(何じゃそりゃ)  ●影を殺した男:ルイ・マル 個人的評価:★★★(ドロンパのファン向け) アラン・ドロンがドッペルゲンガーに悩まされるだけの話。 黒髪ブロンドのブリジット・バルドーが最高にキレイなのとドロンパファンだけ見ればok。  ●悪魔の首飾り:フェリーニ 個人的評価:★★★★★(大満足) これが大当たり。 三作目。 これもエドガー・アラン・ポーの原作の映画化なのだが、フェリーニは見事に別の作品に作り変えてしまった。  フェリーニでは珍しいホラー映画、そして最高のホラー映画。 フェリーニのこの映画を怖がる目的で見ようとする奴は何も解っていない。 ただ純粋にフェリーニの不気味で繊細な演出を味わうのが醍醐味だろう。  舞台は現代のローマ。  麻薬と酒に溺れたかつての名優。 彼が見た少女は酒や麻薬の幻覚?それとも・・・というお話。  昼は賑やかなローマも、夜になると静まりかえる不気味さ、 誰もいない街でフェラーリを猛スピードでぶっ飛ばす。真夜中に一人って怖いよな。 そんな孤独への恐怖があるからか、主人公の顔の白さがまた不気味だ。 「コイツもとっくに幽霊なんじゃねえか?」ってくらい。  ニーノ・ロータの生気を感じられない不気味な音楽が雰囲気を盛り上げる・・・ラストも衝撃だった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-23 20:45:56)(良:1票)
94.  ロシュフォールの恋人たち
鮮やかなカラーリングを身に纏った女性が二人、カトリーヌ・ドヌーヴとフランソワーズ・ドルレアック。 ともにフランス映画を代表する魅力的な女性たちだ。  可愛らしげなドヌーヴに対し、ドルレアックは普通の顔立ちだが彼女の魅力は仕草や台詞回しといった色気。  そんな魅力的な女性二人が広場で踊ったりデュエットをしたり、とても心地良い2時間だった。  ダンスにはジーン・ケリーのようなキレはあまり無いが、その分独特な色彩とお洒落な感覚で我々の目を愉しませてくれる。  ありふれた日常をまるで“御伽噺”のように映画の中に閉じ込めた映画です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-21 14:21:03)
95.  映画に愛をこめて/アメリカの夜 《ネタバレ》 
この映画は映画の製作現場を主題にした作品で、監督が映画造りで悩むというのはフェリーニの「8 1/2」に共通している。 しかし、フェリーニほどカオスで意味不明で変態地味て(大絶賛)はいない。 どこまでも無邪気で、純粋に映画に熱を注ぐトリュフォーの愛情に溢れている。 ティム・バートンの「エド・ウッド」のように映画について悩み、笑い、こだわり続けた男が送る心暖かいコメディ映画だ。  冒頭、地下鉄が人々が地上へと出、一人の男が歩いてくる。しばらくすると、そこに「カットッ!」と声がかかり画面の空気は一変する。 最初は何の映画かと思いきや、なんとなんと映画を撮る過程を追った映画だという事が明かされる。  トリュフォーは自ら役者として映画に出る事はよくあるが、監督そのものに扮するのは今回が初めて。 真剣な顔で声をかけ、苛立ち、俳優たちと楽しく語らいあう。 俳優達も真剣に葛藤する者もいれば、肉体関係に発展したり鬱病になったり浮気したりヒステリーになったり色んな意味で事故が多発してと波乱に次ぐ波乱。 トリュフォーの助手をする女性スタッフまで若い燕とナニをしだ(ry 監督は益々うなされて眠れず、やっと寝れたと思えば幼い頃「市民ケーン」のポスターを宝物のように取って行く姿を第三者の視点から見たり(トリュフォー自信の記憶なら、視点はポスターだけが映る筈)。 そういや「大人は判ってくれない」でも映画のポスター盗んでたな・・・。 撮影をしようとしたら妊娠が発覚して体系が変わっているみたいな話はビックリ。トリュフォーの場合本当に妊娠させそ(ry 車が崖に落ちるシークエンスは妙なこだわりを感じる。  この映画に刻まれた文句も素晴らしい。 “リリアン&ドロシー・ギッシュに捧ぐ”だそうだ。  劇中のジャクリーン・ビセットは、言葉を捧げられた女性たち以上に可憐に、悩ましく振舞う。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-21 14:19:32)
96.  歴史は女で作られる
マンキーウィッツの「イヴの総て」にちょっと雰囲気が似ている。アクション好きには退屈な映画だそうだが、私はとても面白く見させてもらった。 伝説の娼婦ローラ・モンテスの壮絶な生き様を描く。ブルーレイは長らくカットされていた部分がすべて収められ、解りづらかった点も補完されたそうだ。 ブルーレイで蘇る映像の美しさも素晴らしい。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-18 16:41:29)
97.  若者のすべて
ヴィスコンティの貴族趣味が嫌いな俺は、当然初期のこういう映画の方が好きだ。 何故こっちの点が低いのか大いに疑問である。 他のヴィスコンティ作品は貴族趣味とホモ描写が気持ち悪くてダメなんだが、これはまだその様子も成りを潜めているしよくまとまっていると思う。ヴィスコンティが苦手だという人にもススメたいもんだ。 アラン・ドワンの最高傑作はコレとメルヴィルの「サムライ」だと思う。いや「太陽がいっぱい」も傑作だけどさ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-17 08:15:11)
98.  カビリアの夜 《ネタバレ》 
フェデリコ・フェリーニは「道」も良い映画だと思うけど、俺はこの映画の方が希望があって好きだ。何よりファーストシーンから一気に引き込まれた。 川原で走る男女の姿をロングショットで捉えた場面。 男がいきなり女を突き落とし、女のカバンを持って逃げていく。 女は男の名前を怒りと絶望の混じる声で叫ぶ。 それを近くで泳いでいた子供と教師たちが助け出す。 逆さにして水を吐かせ、気付いたかと思うとガバッと起きて再び男の名前を叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ。歩いて走って歩いて。まだ回復しきれていないのか、倒れ込み抱きかかえられる。 これがカビリアの物語のはじまり。 水に濡れた時のすっぴん姿の方がキレイなのに、何で厚化粧をするのやら。 普段は羽織とダボダボのズボンを着てオバサンのように過ごすカビリア。だが本当はズボンをまくりその脚で男を誘惑する夜の女である。 夢見る女性のカビリアは何度男に騙されようと、何度仲間達に馬鹿にされようともめげない。過去の男を“火葬”してはまた果敢に挑んでいくタフな女性。何度泣かされようが諦めねえ。 音楽を聞いただけでつい踊りだしてしまう陽気さ。 人が集まる祭りよりも、男の心を掴めるか掴めないかが彼女にとっての祭りである。 そんな彼女もイケメン俳優に目の前で“仲直り”するシーンを見せられちゃヘコむか。 哀しげな影、影、影。彼にとって、カビリアも可愛がる犬のようなものだったのだろうか。 ヴァンダの姉さんは本当に良い姉さんだ。 教会に行き神にすがるくらいだ。日本で言えば神社のお参りみたいなもんかな。 だが「道」を見た者なら解る通り、神様とやらが助けてくれるワケが無え。 フェリーの映画には手品師や芸人といった観客を愉しませる人間がよく出てくるが、さしずめカビリアは哀しき道化師なのだろうか。 涙でかすんだメイクが、道化師の涙のように滲む。 催眠が、魔法が溶けた瞬間の彼女の視点。 湖の圧倒的な美しさ、その目の前で怪しい眼光を向けて本性を出す人間の醜さ。 俺がカビリアを好きな理由は、何度フラれてもまた「次はモノにしたる」と笑ってみせる表情をしてくれるからだ。とっても元気の貰える映画です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-17 08:05:12)(良:1票)
99.  奇跡の丘 《ネタバレ》 
パゾリーニはフェリーニの「カビリアの夜」で素晴らしいシナリオを残しているが、コイツの映画だけは無理です。 ゲドゲドとかクソミソとかそんなレベルじゃない。もう吐くものが無えよ。俺を殺す気か。 が、そんなパゾリーニも物凄くまともな映画を残していたようだ。 「奇跡の丘」はキリストの受難を描いた典型的な聖書ものらしいが、パゾリーニ特有と言える謎の神々しさ。 「ソドムの市」まで行くと禍々しというか、おぞましいオーラになってしまうがこの「奇跡の丘」はイエス=キリストという神に近い人間の物語だ。 神に近いと言っても、神じゃない。普通に血を流す人間なのだ。 かといって、その教えは同じ人間から邪道視察され抹殺されようとする。そんな男の苦悩、地面を歩み続ける姿が出す眩しさというべきか。 案外このキリストはパゾリーニ本人なのかもな。 他者とは違う境地を見出し、それが受け入れられず抹殺されようとする・・・パゾリーニの人生を思うとちょっと切なくな・・・いやなるようでなんねえな。だってパゾリーニだし。 パゾリーニのクソ野郎は大嫌いだが、「奇跡の丘」は別だ。オススメです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-17 07:58:14)
100.  霧の中の風景 《ネタバレ》 
「旅芸人の記録」より好きな作品。一切退屈しなかった。 初期の短編「放送」を思わせる軽快な部分も多いし、同時に地平線の彼方に消えてしまいそうな儚さも肌身に感じさせる。ロングショットとクローズアップの構成もほど良い。 冒頭、幼い姉弟が濡れたアスファルトの夜道を駆けて来る。 どうやら二人は先を急ぐらしく、電車に向かって駆けていく。電車の前で人々が通り中々向こうに行けず、ようやく行けると思ったらドアは無情にも閉じられる。 姉のヴーラは、しょんぼりして駅を後にする電車を見つめている。 ヴーラ1人ならともかく、弟のアレクサンドロスの事を思うと無理に人の群れを掻き分けるのは危険に思えたのだろう。実に弟想いな姉ちゃんだ。 二人は、顔も知らない父を探しにあてのない旅に出ようとしている。 2度目は電車に乗る事に成功するが、切符を買う金も満足にない二人は無賃乗車で列車から降ろされてしまう。 バスの兄ちゃんが凄く良い兄貴でさ。ヴーラは、その優しさと疲れた弟を思ってバスに乗り込む。 浜辺での360度パンが美しい。旅芸人の人々と交流し、バイク青年とヴーラたちは一旦別れる。 その次に出会うトラックの運転手の野郎がロリコンクソ野郎で。 布一枚でしきられた荷台、ヴーラの髪は乱れ、手に付いた血が情事を物語る。ヴーラは、女の子から“女”になってしまう。それでも、彼女は静かに涙を流し黙って耐えるのみ。髪は下ろしたままだが、以前のように髪を結ぶのは止め、帽子を被って“隠す”事を選ぶ。どれほどの苦痛が彼女にあった事だろう。 誰にも頼らず、誰にも訴えず。いや、少なくともアレクを守ろうとしているのと同時に、アレク、そしてバイク青年を心の支えにして彼女は耐えたのだろう。 劇的な再会、そしてヴーラが心を開き、青年の胸の中で声を出して泣きじゃくる場面、バイク青年からの想いを断りハイウェイで別れるシーンは何度見ても切ない。 ヴーラも覚悟を決め、弟のために切符代を盗んでまで再び電車へと乗り込む。 夜の川辺で、サーチライトが照らす中を潜り抜ける二人。一瞬響く銃声が、緊張を奔らせる。 霧がたち込める朝方。霧の晴れた先に待つものは・・・本当に素晴らしい映画だった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-17 07:55:23)(良:1票)
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