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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1885
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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21.  僕たちのラストステージ 《ネタバレ》 
1930年代、その飄々としたキャラクターとナンセンスなギャグの数々で人気を博したお笑いコンビ、ローレル&ハーディ。何本もの映画に出演し、舞台は軒並み大盛況、チャップリンやキートンと並び称された彼らも時代の流れには逆らえず、1950年代にはすっかり落ち目になっていた……。これは、そんな彼らの「ラスト・ステージ」を哀愁たっぷりに描いたヒューマン・ドラマ。実在した彼らを演じるのは、実力派のスティーブ・クーガンとジョン・C・ライリー。この二人の芸達者ぶりはさすがで、良い時も悪い時も含めてずっと一緒に頑張ってきたであろうこのコンビを伸び伸びと演じていて非常に好印象。ホテルの受付であろうが駅の雑踏であろうが常に人を笑かそうとするところなんて、もはやお笑い芸人の性なんでしょうね。この二人の相性がばっちり嵌まっていて、最後まで好ましく観ることが出来ました。ただ、お話の方は余りにもオーソドックス過ぎて、若干物足りなく感じたのも事実。実話を基にしたとは言え、もう少しドラマティックな見せ方をしても良かったのでは。最後まで安心して観ていられるけど、特に心に残るものはないという、なんだか良くも悪くも吉本新喜劇のような作品でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2020-09-07 23:10:42)
22.  マレフィセント2 《ネタバレ》 
もはや元ネタの「眠れる森の美女」とは何の関係もなくなってしまったディズニー名作アニメ実写化シリーズ最新作。その映像のクオリティは抜群の安定感で、妖精たちのカラフルな造形は見ているだけでワクワクしちゃいますね。まあ肝心の内容の方は恐ろしくつまんなかったですけど。だいたいオーロラ姫もマレフィセントも最後まで何がしたかったのかいまいちよく分からない。明確な目的をもって動いていたのは、新悪役のあのミシェル・ファイファー演じる女王様だけなんじゃないでしょうか。オーロラ姫をかばって死んだマレフィセントがそのすぐ後には復活し、その理由も実は不死鳥の末裔だからと言う超テキトーなものだったのには思わず失笑しちゃいましたわ。映像のクオリティとオーロラ姫を演じたエル・ファニングちゃんの可愛さに5点!
[DVD(字幕)] 5点(2020-08-31 17:31:09)(良:1票)
23.  ゴーストランドの惨劇 《ネタバレ》 
惨劇は16年前に終わったはずだった――。叔母の遺した古い洋館へと越してきたシングルマザーの母親とその双子の娘たち。常に不機嫌な反抗期真っ盛りの姉ヴェラと、ラブクラフトをこよなく愛し自身もホラー小説を書いているという内向的な妹ベス。変わり者だったという叔母の趣味なのか、家中に気味の悪い人形が溢れ返っている新居で、彼女たちはひとまず最初の夜を過ごすことに。だが、そんな彼女たちを悲劇が襲う。突然押し入ってきた二人組の暴漢に、姉妹はなすすべもなく酷い暴行を受けてしまうのだった。しかし、隙を突いて反撃に出た母親の決死の行動により、二人は何とか無事逃げ出すことに成功する――。16年後、ホラー作家として大成した妹ベスの元に一本の電話が掛かってくる。それは惨劇以来、神経を病んでしまった姉からの悲痛なSOSだった。居てもたってもいられなくなったベスは、すぐさま、今も母親と姉が暮らしているというかつての叔母の家へと向かう。久しぶりに再会した二人は、ベスに衝撃の事実を告げるのだった……。監督は、その容赦のない残虐描写で世界に衝撃を与えたカルト映画『マーターズ』の鬼才、パスカル・ロジェ。彼の6年ぶりとなる待望の新作ということで今回鑑賞してみたのですが、いやー、これが期待に違わぬ素晴らしい出来でした。この監督お得意の全編に渡って展開される暴力シーンの容赦のなさは、もはや完全に振り切れてます。だって、逆さづりにされ恐怖のあまりおしっこを漏らしちゃったローティーンの少女が、その尿塗れとなった全身の臭いを変態男に嗅がれるという、そこらの鬼畜系AVも真っ青なほどの残虐シーンが出てきますから。いや、この監督、ホントに頭大丈夫なんですかね(笑)。まあ肝心のお話の方は完全に破綻してましたけど。例えば、物語の三分の一が主人公の少女の〇〇オチだとか、警察が相変わらず無能すぎだとか、物語の重要なモチーフとなっているラブクラフトの扱いがほぼ添え物でしかないとか(せめて彼の小説に出てくるクリーチャーは登場させてほしかった!)。でも、そんな欠点を補って余りある魅力がこの作品にはあります。それは、少女の〝妄想力〟。とにかくこの全編を彩る少女趣味の禍々しさに、僕は完全にやられちゃいましたわ。家中に溢れ返る可愛さ全開なのに何処か不気味なフランス人形たち、お菓子やキラキラのおもちゃがたくさん吊り下げられたキャンディ・トレーラー、主人公が無理やり着せられるロリータファッション、そして絶え間ない暴行のせいで顔面ボコボコになった少女たちが泣きながら食べるマシュマロ…。悪趣味極まりないこの世界観は見事に完成されています。男たちの酷い暴力や醜い性欲に立ち向かうために、少女が手に取った武器は夢見る妄想力。こんな残酷な世界で大人になんかなってやらない。『不思議の国のアリス』や『アンネの日記』にも通じるテーマがここにはある。非常に退廃的なので、かなり観る者を選ぶ映画ですが、僕は大好きです。
[DVD(字幕)] 9点(2020-08-17 23:44:04)(良:1票)
24.  ガール・イン・ザ・ミラー 《ネタバレ》 
自己主張が苦手で大人しく、クラスでも浮いた存在である17歳の女の子、マリア。その内気な性格が災いしていじめっ子の格好のターゲットにもなっていた。保守的で厳しい両親とも折り合いが悪く、家庭にも居場所がないという鬱屈した毎日。やり場のない気持ちを持て余し、バスルームで密かに自慰行為にふけっていた彼女は、急に誰かの声を聞く。「マリア、あなたを救ってあげるわ」――。何と鏡の向こうに居るもう一人の自分がそう話し掛けてきたのだ。戸惑いつつも、鏡の向こうに居る自分へと日々の悩みや夢を語り始めるマリア。いつしか鏡の向こうの自分が現実の自分を支配するようになり、やがて悲劇が訪れるのだった…。孤独な少女が鏡の中で出会ったもう一人の自分、そんな〝彼女たち〟がプロムの夜を境に豹変し、自分を貶めた人間へと復讐してゆくさまをエロティック&ダークに綴った青春ホラー。まあやりたいことは分かるし、主役を演じた女子高生がロリロリでかなり可愛いし、じっとりとした不穏な世界観も良いとは思うのですが、いかんせん物語の構築の仕方が恐ろしく下手な作品でしたね、これ。まず、この主人公が激しいいじめに遭う理由にいまいち説得力がない。こんなに可愛いのにここまで激しくイジメられるようになるには、それ相応の説得力が必要となるはず。例えば、クラスの人気者の顔に致命的なほどの泥を塗ってしまっただとか。そういうのもなく、ただ根暗だからこんなにクラス中からイジメられてますって言われても、ねえ。両親もそんな彼女に「この子は出来損ないだ」なんて平気で言うのも、なんで?って感じで腑に落ちない。そういう設定の詰めの甘さが最後までいっぱい出てきて、僕はさっぱり物語に入り込めませんでした。彼女といつも一緒に居る親友も彼女を助けたいのか実は内心嫌ってるのか、まったくもって意味不明。後半、鏡の中の自分に支配されたマリアはどんどんと犯罪行為に手を染めてゆくのですが、その描写も中途半端。だいたい頭を一回打った程度であっさり死んじゃうって、この世界の人間はどれだけやわなんですか(笑)。警察もこんなにこいつを疑ってるならとっとと拘束しろっちゅーの!挙句、最後は変にアートな感じにしてお茶を濁して終わり…。主人公を演じたロリロリダークな女の子のおっぱいに+1点!
[DVD(字幕)] 4点(2020-07-22 04:20:37)
25.  イン・ザ・トール・グラス 狂気の迷路 《ネタバレ》 
うだるような熱気に包まれたアメリカ南部のとある町外れ。そこでは大人の背丈ほどもある草むらが、見渡す限り何処までも鬱蒼と茂っていた。兄の運転で偶然その地を通りかかった妊娠中の女性ベッキーは、不意に酷いつわりに襲われる。兄に頼んでいったん車を停めてもらい、草むらの陰で水分補給を図るベッキー。すると生い茂る草の向こうから、その声が聞こえてくるのだった――。「誰か、助けて!迷子になっちゃって、僕はもう何日もここで過ごしてるんだ!」。明らかに切迫したそんな少年の悲痛な叫びに、ベッキーはすぐさま兄とともに助けに向かうのだった。だが、何処をどう探しても少年の姿はない。そればかりか、一緒に入った兄ともはぐれてしまう。不安に駆られ、取り敢えず車まで戻ろうと走り出すベッキー。だが、同じようなところをぐるぐると巡るばかりで、いつまで経っても草むらの外へと出ることは出来なかった。パニックに襲われる彼女に、更なる異常事態が訪れる……。鬱蒼と茂る草むらが作り出した、そんな狂気の迷路へと迷い込んでしまった男女を描く不条理系サスペンス・スリラー。監督はかつて『キューブ』と言う作品で、不条理な立方体の迷宮に捕らえられた男女を描き、シュチュエーション・スリラーと言うジャンルを確立したヴィンチェンゾ・ナタリ。数々の罠が仕掛けられた立方体から、何処までも生い茂る草むらへと舞台を変えたそんな本作、まあいかにも彼らしいアイデア一発勝負な内容でしたね、これ。でも、いくら低予算でも独自のアイデアとセンス溢れる演出力さえあればいくらでも面白い映画を創れると証明した『キューブ』とは違い、こちらはどうにも……。草むらの中というずっと同じような絵面の舞台で、数人の登場人物たちがずっと同じような押し問答を繰り返すだけなので、僕は開始30分ほどで早々に飽きちゃいました。原作はスティーヴン・キングの短編らしいですけど、とにかくこの全編を覆う無理やりな引き延ばし感が半端ないです。魅力に乏しい登場人物たちの禅問答のようなやり取りが延々と続いて、最後までさっぱり面白くない。急に出てくるあの謎の植物怪人たちも意味不明で、さして怖くありませんし。ナタリ監督もさすがに歳なのか、あの頃のようなソリッドなセンスはもう枯渇しちゃったってことですかね。うーん、なんとも残念な作品でありました。
[インターネット(字幕)] 4点(2020-05-11 23:05:24)
26.  ターボキッド 《ネタバレ》 
核戦争後の荒廃した近未来を舞台に、チャリンコで荒野を駆ける世紀末ヒーロー〝ターボキッド〟の活躍をやり過ぎゴア描写満載で送る低予算B級SFムービー。まあ一言で表すとチャリンコ版『マッドマックス』なんですが、さすがにいくら何でもチープすぎちゃいまっか、これ。セットや衣装や小道具なんか全て近所のリサイクルショップで揃えたんちゃうのってレベル。撮影場所も完全に近所の裏山と潰れた工場だし、主人公のコスチュームもガムテープで継ぎ接ぎしたような感じでデパートでよくやってるヒーローショーより劣ってます(笑)。ターボキッドの腕から出る必殺技のビームなんて、一昔前のテレビのバラエティレベルのCGで思わず失笑しちゃいました。その割には、グロ描写には過剰に力を入れております。まあノリと勢いだけで最後まで観れちゃいましたけど、チープ&馬鹿々々し過ぎてさすがに面白かったとは言えないかな~。ただ、ヒロインとなるロボットのアップルちゃんはけっこう可愛かったので、おまけの6点!!
[DVD(字幕)] 6点(2020-03-19 22:00:23)
27.  バグダッド・スキャンダル 《ネタバレ》 
『石油・食糧交換プログラム』――。それはイラク戦争開戦前夜、欧米の経済制裁によって苦しむイラク国民を救うために国連主導で行われた人道援助だ。当時まだ独裁者として同国に君臨していたサダム・フセインによる大量破壊兵器開発を防ぐため、国連が窓口となって豊富な石油資源を市場価格で売却し食料や医薬品と交換してイラクへと還元させる。多くの人命を救うための人道的プログラムのはずだった。だが実際は、フセイン政権による横領や横流しが相次ぎ、さらには先進国の大手企業がその利権を巡って多くの不正行為に手を染めていた。驚くべきことに、監視者であった国連職員にまで汚職が蔓延していたのだ。若き職員マイケル・サリバンはその事実に気付き、すぐさま上司に報告するも実態は公にされることなく握りつぶされてしまう。だが、様々な国の思惑が複雑に交錯する国際情勢の中、やがてそれは国連を大きく揺るがす一大スキャンダルへと繋がっていくのだった……。本作は、200億円にも及ぶ大金が闇に消えたという実話を基にして描かれた硬派なポリティカル・サスペンスだ。主演を務めるのは若手俳優テオ・ジェームズ、他に制作も務めたというベテラン、ベン・キングズレーが名を連ねている。確かな取材や時代考証に基づいたであろう骨太な物語はなかなか見応えがあった。ニューヨークの国連本部から当時混乱を極めたイラクの首都バグダッドにまで拡がるそのスケールの大きさにも圧倒されるものがある。何より、この弱者を救うためのプログラムを利用し甘い蜜を吸い続けた、欧米各国の行き過ぎた資本の論理には戦慄させられる。人間とは、かくも欲深き生き物なのか――。「民主主義に汚職はつきものだ」と言うベン・キングズレーの言葉が重い。そんな醜い国際情勢によって翻弄される、主人公の国連職員とクルド人女性通訳との儚い恋物語は強く印象に残った。丁寧な手腕が光る政治サスペンスの逸品と言っていいだろう。ただ、こういう作品なので仕方ないのだろうが、お話として地味すぎるのが自分には少々退屈に感じてしまった。もう少しドラマティックに脚色しても良かったのではないか。世界の実態を知るという点では充分観る価値はあったが、人間ドラマとしては幾分か物足りなさの残る作品であった。
[DVD(字幕)] 6点(2020-02-17 23:10:59)
28.  サマー・オブ・84 《ネタバレ》 
連続殺人鬼も誰かの隣人だ――。1984年、6月。オレゴン州の小さな田舎町で暮らす15歳のデイビーは、何処にでも居るような平凡な男の子。仲の良いクラスメートとはくだらないエロ話で盛り上がってばかり、ジャーナリストの父との関係も普通、大した夢があるわけでもなく、憧れの幼馴染の女の子には声をかける勇気もない。そんな冴えない日々を過ごしていたある日、彼はとある重要な事実に気付いてしまうのだった。隣人で広い一軒家に一人暮らししている警察官。彼こそ、最近世間を騒がせている幼い少年ばかりを狙った連続殺人事件の真犯人なのではないか――。自分なりに観察すればするほど確信を深めていくデイビー。いてもたってもいられなくなった彼は、いつもつるんでいる仲間たちと本格的に調査を開始するのだった。果たして隣人は本当に連続殺人鬼なのか?デイビーたちの一生忘れられない夏が今、幕を開ける……。80年代を代表する数々の映画作品にオマージュを捧げた、そんなノスタルジックな雰囲気が横溢する青春スリラー。とまあ、ノリはもう完全に『スタンド・バイ・ミー』や『グーニーズ』で、他にも『グレムリン』や『E.T』などと言った有名映画への愛が溢れ出ている昔懐かしい雰囲気の作品でしたね、これ。主人公の仲間となる少年たちも、キザな不良、頭脳派の眼鏡、とろいおデブ、そして憧れの美少女と物凄くベタなんですけど、一周廻って逆に新鮮でした。それに全編を彩るテクノサウンドもホント懐かしい!肝心の隣人の警察官も最初は怪しさ爆発、でも中盤で実際は主人公の勘違いでしたと思わせといて、実は……、と言うのもベタながらアリ。警官宅に忍び込むシーンなど、不穏な音楽で「来るぞ、来るぞ」と観客の不安を煽っといて急に大きな音を出して驚かすという手法も懐かしい(若干腹立つけど!笑)。この古き良き80年代を懐かしむという点ではなかなか良かったと思います。ただちょっと残念だったのは、前半のストーリー展開が若干もたもたしてるうえにいまいち分かりづらいところかな。もう少し丁寧な演出を心掛けて欲しかったですね。そして、最後の驚きの展開は賛否が分かれるところ。でも僕はなんとなくスティーヴン・キングの『IT』っぽくてけっこう好きかも。ま、こういう作品なんで新しい部分は一切ありませんが、僕はぼちぼち楽しめました。
[DVD(字幕)] 6点(2020-02-10 12:32:19)
29.  レベル16 服従の少女たち 《ネタバレ》 
舞台は何処とも知れぬ場所にある、とある施設。そこでは何人もの少女たちが収容され、完全に外界と隔離された生活を送っていた。施設の責任者によって私生活は厳重に管理され、食事も就寝も決められた時間に取らされることを義務付けられた彼女たち。さらには一日に一回、ビタミン剤と称された謎の薬を呑むことを強要され、美容クリームで顔のスキンケアを怠らないことが最も重要な義務とされていた。もし怠ると、彼女たちは責任者によってきつい罰を受けることになるのだった――。幼いころからずっとこの施設で過ごしてきたヴィヴィアンは明日、晴れてレベル16に進むことが決まり、浮足立っていた。何故ならこのレベル16こそがこの施設での最後の段階であり、このレベルをクリアできれば、明日にも何処か裕福な家へと養子に貰ってくれることになるからだ。だが、同じクラスの女の子によってヴィヴィアンはこの施設に隠された衝撃の真実を知ってしまう……。謎の施設に隔離された少女たちの青春と葛藤を繊細に描き出す新感覚SFスリラー。明らかに低予算で撮られたであろうそんな本作、なんとなく気になったので今回鑑賞してみました。確かに、不穏な空気感に満ちたこの施設の怪しげな雰囲気はよく表現できていたと思います。レベル16まで進みながらも言いようのない違和感に苦しむ主人公ヴィヴィアンを演じた女の子もなかなかに魅力的で大変グッド。ただ、なんだか全体的に惜しいんですよね、これ。低予算だから仕方ないのは分かりますが、画面が全体的に小汚いんですよ。こういう設定の映画ってやはりこの施設の非日常感って物凄く大事だと思うんですけど、すごく所帯染みてると言いますか、完全に隔離されているという感じが全然しない。ここらへん、もう少し頑張って欲しかった。あと、脚本に突っ込みどころが多いのも如何なものか。完璧に管理されたというわりには、けっこう主人公自由に行動できてますし、何よりカードキーで厳重に管理された扉をネジ抜いて開けるというのはリアリティがなさ過ぎます。あと、これは個人的な感想なのですが、もう少しこの少女たちの百合的要素と言いますか、友情以上恋人未満な禁断の花園的な感じを醸し出しても良かったのでは?まあこれは完全に僕の趣味ですけど(笑)。うーん、雰囲気や世界観はけっこう好みだっただけに、なんとも惜しい作品でありました。
[DVD(字幕)] 5点(2020-01-24 02:19:26)
30.  アメリカン・サイコ 《ネタバレ》 
アメリカの金融街で充実した毎日を過ごすエリート・サラリーマンでありながら、その裏では心の奥底に暗い衝動を抱えた殺人鬼でもある男。彼の倒錯した狂気の日々を乾いたユーモアを交えて描いたサイコ・スリラー。なんだかんだでけっこう有名な本作を今さらながら鑑賞してみました。うーん、正直さっぱり面白くなかったんですけど!映像的にはときおり印象的なシーンがあるものの、肝心のストーリーの方がだらだらしててもう見られたもんじゃありません。肝心の殺人シーンも添え物程度にときおり出てくるだけで、それもストーリーにうまく絡んでこないですし。最後のオチにいたっては投げっ放しの酷い代物で、もはや怒りさえ感じてしまいました。本作がいまだに曲がりなりにもその名を残しているのは、きっとクリスチャン・ベールの選民意識丸出しのいけ好かないエリート・サラリーマン役が見事に嵌まっていたからでしょうね。そんな彼が血まみれ全裸でチェーンソー片手に女を追いかけまわすシーンは、良くも悪くも印象に残ります。でも、本作の価値はそこぐらいでしょう。この現代に、わざわざ時間を割いてまで観るべき価値は全くありません。
[DVD(字幕)] 4点(2019-12-07 23:05:44)
31.  蜘蛛の巣を払う女 《ネタバレ》 
女を暴力で支配しようとする男どもへの華麗なる復讐者、“ドラゴン・タトゥーの女”リスベットが帰ってきました!とは言っても、監督はおろか、主演二人もまさかの降板……(泣)。原作は世界的ベストセラーだけあって、お話自体はしっかりしていて普通に面白かったのですが、いかんせん前作のイメージが強烈過ぎて観ている間中、コレジャナイ感が半端ないんですよね、残念ながら。新リスベットを演じたクレア・フォイさんもプレッシャーに負けず頑張っていたとは思うし、こんなこと言っても詮無いことだと分かってはいるのですが、やはりルーニー・マーラのリスベットをもう一回見たかったです。ダニエル・クレイグが演じていたミカエル記者にいたっては、誰これ?って感じでした。まあ前述したとおり、お話自体はしっかりとよく描けていたし、北欧らしい乾いた空気感もスタイリッシュで大変良かったので、公正なジャッジを期して7点!にしても、あのラバー素材布団圧縮袋?に詰め込まれるのだけは死んでもヤですねー。
[DVD(字幕)] 7点(2019-10-30 21:01:08)(良:2票)
32.  ギヴァー 記憶を注ぐ者 《ネタバレ》 
ここでは誰も過去の記憶を持たない――。今から遠く離れた未来社会。荒廃した世界から立ち上がった人類は、平和を守るために厳密に管理された完璧な世界を創り上げていた。その名も、“コミュニティ”。ここでは誰もが同じ服を着て規則正しい生活を送り、毎朝同じ薬を呑み、毎晩同じ時間に眠りに就き、誰も嘘をつかず、そして誰も過去の歴史を知らない。誰もが平等のこの世界で、それまで何の疑問も抱かず平凡に暮らしていたティーンエイジャー、ジョナスは明日の儀式を前に緊張していた。そう、その儀式によってその人の一生の仕事が決まるからだ。緊張する彼に告げられた職業は、レシーヴァ―(記憶の器)。それは過去に起きた全ての歴史――良いことも悪いことも含め――を秘密裡に受け継ぐもの。前任者である“ギヴァー(記憶を注ぐ者)”から、さっそく指導を受けることになったジョナス。彼から受け取った記憶は驚くべきものだった。戦争、荒廃、憎しみ、苦痛、そして、愛…。徐々に記憶を受け入れていくジョナスは、次第にこの世界に疑問を抱くようになる…。徹底的に管理されたユートピアに暮らしていた若者の成長と闘いを独創的な映像で描いたSF・アクション。アメリカの児童文学を原作とした本作、ジェフ・ブリッジスとメリル・ストリープという二大オスカー俳優共演ということで今回鑑賞してみました。最初は白黒から始まった映像が、主人公が徐々に記憶を取り戻していくことにより少しずつカラーになってゆくという映像表現はなかなか独創的で大変いい。でも、本作の見どころはそこぐらいですかね。『ハンガー・ゲーム』や『ダイバージェント』といった一時期大流行りした設定勝負のヤングアダルトSFと同じく、今作もこの設定の詰めが非常に甘い!!まず、肝心のこのレシーヴァ―という職業の存在意義がよく分かりません。こんなリスクがあるなら別に人間に記憶を受け継がせなくてもいいのに、何故にわざわざ人にその役目を?また、ここまで管理が行き届いた社会なのに、どうして人にマイクロチップを埋め込むようなことはしないのでしょうか。おかげで主人公は簡単に逃げ隠れしまくっちゃってますやん。それにここまで大風呂敷を拡げておいて、後半はかなりこじんまりとした追跡劇がちまちま繰り広げられるだけというのもスケールが小っちゃ過ぎます。特に酷いのが最後のオチ。あまりに投げっ放しで、「え、これで終わるんかい!」とキレそうになっちゃいました。いくら二大オスカー俳優共演とはいえ、これでは凡作と言わざるを得ません。
[DVD(字幕)] 4点(2019-10-07 00:42:12)
33.  ダークサイド(2018) 《ネタバレ》 
自らの不注意により幼い娘を事故で亡くしてしまった、レイとマギー夫妻。深い哀しみから逃れるように、彼らは砂漠の片隅にある古びた安モーテルを買い取るのだった。知り合いなど誰も居ない片田舎で再スタートを図るレイとマギー。何もかもを捨てこの安モーテルに越してきた彼らは着々と準備を進め、記念すべき最初の宿泊客を受け入れることに。だが、しばらくすると夫レイはこのモーテルに隠された不穏な事実を知ってしまうのだった――。倉庫の片隅に秘密の通路があり、その先はある客室の鏡の裏へと通じていて、マジックミラーとなったその鏡から部屋の中が全て覗き見できるようになっていたのだ。偶然泊まっていた女性客二人組の淫らな姿態を覗いてしまったレイは、ギクシャクする妻との関係から逃れるように次第にその覗き見行為に嵌まり込んでゆく。だがある日、その女性のうちの一人が砂漠で死体となって発見されたことから、レイはどんどんと危険な罠に絡めとられてゆくのだった……。毎度おなじみニコラス・ケイジ主演で送る、そんな不穏な空気に満ちたエロティック・サスペンス・スリラー。正直、めっちゃつまんなかったんですけど、これ!全編を通して無駄なシーンが圧倒的に多く、終始ちんたらしててもう退屈で退屈で仕方なかったです。ニコケイ、しのごの言ってないでとっととレズカップルのSMプレイ覗きにいけや!!とキレそうになっちゃいました。また脚本のテキトー具合も最悪です。伏線を山ほど張っていながらそのほとんどを回収しないまま終わるというトホホぶり。あの風呂場に忍び込んだ蛇のエピソードとか何の意味があったのでしょう?一番怪しい保安官がやっぱり犯人でしたということの真相も正直、何の捻りもありません。肝心の覗き見シーンもトータル2、3分で終わるし、それも下着姿のおねーちゃんたちがお尻ぺんぺんするぐらいでおっぱいすら出てきません(怒)。ニコラス・ケイジも他の主演作と区別してもらうためなのか髭もじゃにしてる(見ていて暑苦しいったりゃありゃしない!)ぐらいで、やっつけ感が半端ありません。うん、3点!!
[DVD(字幕)] 3点(2019-09-26 23:37:58)
34.  アンダー・ハー・マウス 《ネタバレ》 
屈強な男たちに囲まれ大工として働くダラスは、心と身体の性が一致しないいわゆるトランス・ジェンダー。昼間は大工として力仕事に従事し、夜は女性専門のバーでその日の相手を物色するという刹那的な生き方をしているダラス。その夜、いつものようにバーへと出向いた彼女はその人に出会ってしまうのだった――。雑誌の編集者としてバリバリと働く彼女の名は、ジャスミン。一目見た瞬間から互いに惹かれ合ってゆく二人。だが、ジャスミンにはもうすぐ結婚する婚約者がいた。彼が遠方へと出張する数日の間に、二人は秘密の逢瀬を重ね、次第に愛欲の海へと溺れていく。お互いに期間限定の恋だと分かっているはずだった。だが、ダラスとジャスミンの関係はどんどんと深みに嵌まってゆき、やがて悲劇が彼女たちを襲う……。女同士の燃えるような情熱的な愛を濃密な夜の空気の中に描き出すラブ・ストーリー。映像はとてもキレイだし、全編を覆う退廃的な雰囲気も味があって良かったと思います。何よりダラス役をやった女性の男前ぶりが半端ない!本職はモデルらしいですけど、いやー、彼女を見ているだけで目の保養になりますね。ただ、お話として単純すぎるのが本作の弱点。女と女が出会ってやりまくって、それが婚約者にバレていったん別れたものの、やはり最後は困難を乗り越えて縒りを戻しましたってだけでは、さすがに一本の映画としてちょっと弱すぎます。軸となるエピソードがもう一つか二つ、欲しかったですね。ストーリーがこれだけ単純だと、必然的に二人の性描写が増えるわけですけど、これもちょっとしつこい。最初は官能的で情感に溢れたいいシーンだなぁとほれぼれしながら観ていたのですが、ここまで全編に渡ってやられるとちょっとしんどいですわ。同じく女性同士の官能的な愛を描いた傑作『キャロル』は、その部分が抑制が効いていて非常にバランスが良かったことを再認識してしまいました。うーん、なんだか全体的にあと一歩足りない印象。この退廃的でジャジーな雰囲気は良かっただけに惜しい。あと、これは映画本編と関係がないのですが、日本の配給会社さん、ちょっと画面にぼかし入れすぎです!別にこれはエロを目的としたAVじゃないんですから。
[DVD(字幕)] 6点(2019-09-10 02:08:00)
35.  ローマンという名の男-信念の行方- 《ネタバレ》 
人づきあいが苦手で世間から変わり者と目されている弁護士、ローマン・J・イズラエル。だが、その人並外れた記憶力を武器に彼はこれまで常に社会的弱者のために働いてきた。そんなある日、恩師である事務所の共同経営者が急な病によってこの世を去ってしまう。それまでぎりぎりの経営で成り立っていた事務所は突如として閉鎖されてしまうことに。残務整理のためにやって来た大手法律事務所の重役ジョージからの再雇用の申し出も自分の信念から一度は断るものの、経済的困窮から仕方なく彼の事務所で働き始めるローマン。すると、ジョージから自分の恩師が長年不正を行っていたことを告げられるのだった。「もう恩知らずの連中に尽くすのは疲れた…」。正義のためだと信じてきたこれまでの仕事に限界を感じていたローマンは、やがてごく普通の弁護士――正義の追及も金儲けもどちらも同じように大事なものだという割り切った考えを持った弁護士へと生まれ変わってゆく。そんな時、絶対にバレない違法すれすれの金儲けのチャンスを目の前にしたローマンは……。たった一人、社会的弱者のための正義を貫いてきた孤独な弁護士に訪れたそんな信念の危機を描く社会派ドラマ。自閉症気味の変わり者弁護士ローマンを演じるのは、これまでのこわもてイメージを一切感じさせない渋い演技でアカデミー主演男優賞にノミネートされたベテラン、デンゼル・ワシントン。拝金主義的な典型的エリート弁護士を演じたのは人気俳優コリン・ファレル。監督は違法すれすれのスクープを狙うパパラッチを描いた前作『ナイトクローラー』で強烈な印象を残したダン・ギルロイ。いかにもこの監督らしい、社会からはみ出してしまった孤独な男の自らの信念を巡るドラマは見応え充分。地味なお話ながら徹底的なリサーチに基づいたストーリーテリングの巧みさもあり、最後まで惹き込まれて観ることが出来ました。特に、D・ワシントンのさすがの演技力が素晴らしい。この一見とても友達にはなりたくない偏屈弁護士をリアリティたっぷりに演じていて、途中からは彼の行く末が気になって思わず感情移入。それは正義なのか偽善なのか――。法律の限界に鋭く迫るそのテーマ性はなかなか深い。ただ、惜しいのは後半の展開。彼の意志を継いでジョージがある行動を起こす心変わりにいまいち説得力が感じられず、そこらへんちょっと詰めが甘いです。また、このお話が全て3週間の間に起こった出来事というのもだいぶ無理があるような。40年も信じてきた自分の信念が、たった3週間の間に揺らいでしまうというのはさすがに説得力が欠けます。前半がすこぶる良かっただけに、後半の展開があまりにも惜しい。
[DVD(字幕)] 6点(2019-06-25 23:36:27)
36.  ルイの9番目の人生 《ネタバレ》 
今年で9歳になるルイ・ドラックス少年は、これまで普通の子供とは少し違う人生を歩んできた。逆子として緊急の帝王切開でこの世に生を受け、その16週間後にはベビーベッドの上から落ちてきたシャンデリアの直撃を受け小さな肋骨が粉々になったのだ。その後も毎年毒蜘蛛や蜂に刺されたり、感電死しかけたり、食中毒もしょっちゅう。そう、彼は年に一度は死にかける自称事故多発少年なのだ――。そして9歳の誕生日を迎えたその日、ルイはとうとう死の淵を彷徨うほどの大事故に遭遇する。ルイを愛していたはずの父親が何故か突然彼を崖から突き落とし、失踪してしまったのだ。昏睡状態へと陥ってしまったルイ少年の担当となったパスカル医師は、彼を何としても目覚めさせるため、ルイのこれまで歩んできた人生を辿り始める。すると、彼の周りで理屈では説明できない不可解な出来事が起こり始め…。数奇な運命に翻弄される9歳の少年ルイ・ドラックスの隠された真実を巡るファンタジー・ドラマ。どことなくティム・バートンを髣髴させる、このちょっぴり毒の効いた寓話的な世界観は個人的にかなり好みなので冒頭から惹き込まれました。とにかくこの何度も何度も死にかけるルイ・ドラックス少年が凄く魅力的で大変グッド。普通こんな目に遭い続けたら悲壮感が半端ないだろうけど、何故か彼は常に明るく前向きでしかも大人たちをかなり冷静に観察して非常に聡明なんですよね。そうして展開される物語もかなり独特で、海の怪物を描いたファンタジーなのか少年の事故の真相を巡るミステリーなのか夫婦の屈折した愛情を描いたラブストーリーなのかそれとも昏睡状態の少年の周りで起きる不可思議な現象を巡るホラーなのか、ジャンル分け不能で、でもその全ての要素が絶妙のバランス感覚で配合されていて、もう奇跡のような完成度の高さでした。昏睡状態の少年が迷い込む海の底の映像もとてもきれいでセンス抜群!そしてラストに明かされる驚愕の真実――。これまで張り巡らされた伏線が見事に回収されて、もう素晴らしいとしか言いようがありません。監督はなんと『ピラニア3D』などのバカ映画を何本も撮ってきた(特に前作の『ホーンズ』は酷かった!笑)、アレクサンドル・アジャ。いったい彼に何があったのでしょう(笑)。まるで雷にでも打たれたかのような変貌ぶりに、彼の身に何か奇跡でも起こったのかと勘繰りたくなりますね~。うん、いい映画でした。8点!
[DVD(字幕)] 8点(2019-06-20 22:42:42)
37.  ANON アノン 《ネタバレ》 
私は神にさえ忘れ去られたい――。網膜に埋め込まれた最新鋭のナノマシンによって、人が見た記憶を全て監視・検閲される未来社会。そこではもはやプライバシーというものは存在しないも同然だった。全市民の名前や顔写真、そして過去のデータも当局によって保存・更新され、常に監視されるこの社会においては、当然のように殺人などといった犯罪は存在しない。だがある日、そのあり得ないはずの殺人が何者かによって実行されてしまう。捜査に乗り出したサル・フリーランド一級刑事が調べてみると、被害者の網膜データはきれいに塗り替えられ、犯人の痕跡は一切残されていなかった。だが粘り強い捜査の結果、事件の陰には、高度な技術によって監視システムをハッキングし、自らを存在しないものとして自由にこの管理社会を暗躍する、ある一人の女性の存在がいることを突き止めるのだった。彼女はサイバー空間で様々な人々の暗い欲望を募り大金を稼いでいるらしい。浮気の証拠を消し去りたい裕福な株ブローカーという偽の経歴を作り出し、サル刑事は自ら囮捜査に乗り出す。だが、高度な知能を持つ彼女の巧妙な罠に逆に絡めとられてゆく…。哲学的なテーマをスタイリッシュな映像で描いたSF映画の佳品『ガタカ』を撮ったアンドリュー・ニコル監督の最新作は、いかにも彼らしいそんなサイバーパンクSF作品でした。この行き過ぎたテクノロジーが人々の人間性を奪った結果、退廃的で閉塞感に満ちた世界となってしまった未来社会という舞台設定はなかなか魅力的。網膜に次々と映し出される膨大な量のサイバー空間の扱いもシャープかつスタイリッシュで、こういう世界観が好きな人には堪らないと思います。ただ、僕はこういう知的で哲学的なテーマを扱った最後まで淡々と進むSF作品が昔からどうも苦手で、個人的にいまいち受け入れられませんでした。同じく苦手な押井守作品を観終わったときの感想に近いですかね。というか、彼の作品にかなりインスパイアされてるようにも感じました。ときおり挟まれるエロティックな描写もだいぶ本家に影響されているような?ただ、それらを抜きにしても最後に明かされる事件の真相がちょっとお粗末だと感じるのは自分だけなのかな。というわけで好みという部分も含めて総合的に、5点ってとこで。
[DVD(字幕)] 5点(2019-06-15 01:43:44)
38.  スターリンの葬送狂騒曲 《ネタバレ》 
ヒトラーに打ち勝った国の英雄か、それとも国民を恐怖に陥れた稀代の独裁者か――。いまだ毀誉褒貶の激しい旧ソ連の指導者スターリン。彼が急死した直後の政治的混乱を実話を基にして描いたスラップスティックなブラック・コメディ。なんですけど、僕はいまいち嵌まらなかったですね、これ。やりたいことは分かるのですが、ちょっと僕はそこまで笑えませんでした。久しぶりに見たスティーブ・ブシェミは相変わらずの存在感でしたけど。
[DVD(字幕)] 4点(2019-06-10 22:34:46)
39.  ヒューマン・ハンター 《ネタバレ》 
地球温暖化の影響で極端に砂漠化が進んだ近未来のアメリカ。政府は人民省なる機関を作り、生産性のない人間を『ニューエデン』と呼ばれるユートピアへと強制的に移住させていた。そんな人民省で働く捜査官クロノスは、逃走を図ったある親子の捜査を担当することに。だが、その過程で彼はニューエデン計画の裏に隠された驚愕の真実を知るのだった…。毎度おなじみニコラス・ケイジ主演のそんなSF作品、あまり期待せずに今回鑑賞してみました。いやー、ニコラス・ケイジ主演とはいえ完全にB級の超低予算映画でしたね、これ。近未来の映画なのに、画面に近未来感が一切ないのはどうしたものか。申し訳程度にホログラフ携帯とドローンが出てきますが、あとは普通の砂漠に普通の木造建築の建物に普通の年代物のガソリン車がいっぱい出てきます。近未来なのに、むしろ技術退化してますやん(笑)。あと、脚本も演出もテキトー過ぎます!!予算の都合なんでしょうけど、主人公を追う彼の上司も連れてる部下は3、4人でしかも素人のシングルマザーにあっさり殺される始末。しかもその銃撃戦の舞台も、一昔前の戦隊ヒーローものみたいにどっかの倉庫みたいなチープな場所。最近の戦隊ものの方が絶対お金かかってますって!あと一緒に逃走する子供がニコラス・ケイジの本当の息子であることがいつの間にか判明してましたけど、そんな伏線ありましたっけ?多分眠気をこらえるのに必死で自分が見逃してただけなんでしょうけど、だからと言って見返すほどのもんでもないかな~。とまあ、正直な結論を述べさせてもらうと、観るだけ時間の無駄のクソ映画でありました。
[DVD(字幕)] 2点(2019-05-20 23:41:12)
40.  しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス 《ネタバレ》 
わたしたちって、履き古した一足の古い靴下みたいね――。カナダの田舎町で親戚の家に暮らす中年女性モードは、幼いころからリウマチを患い手足が若干不自由なため、ずっと親族の間でたらい回しされていた。「住み込みで働ける家政婦、急募」。自身の境遇を少しでも変えたい彼女は、そんな町の雑貨店に貼られていた広告を見て一大決心をする。自分の力で生きてみたい。チラシに書かれた住所を訪ねてみると、そこは町外れで長年独り暮らしをしているエベレットという男の古びた一軒家だった。粗野で偏屈、何かというと物にあたる彼に戸惑いつつも、行く先のなかったモードはそこで働き始める。給料はろくに支払われず、寝る場所もエベレットと同じ部屋で雑魚寝、何かあれば自分は犬以下だと絶えずなじられるような過酷な生活の中でのモードの唯一の慰めは、ただ絵を描くことだった。家の壁や窓、ポストカードや木の板に彼女の絵筆と想像力は、自由で素朴な生き物たちの姿を描き出す。すると彼女の絵は評判を呼ぶようになり、やがてテレビの取材まで訪れることに。数年後、夫婦となった二人の元にニクソン大統領から彼女の絵を買いたいとの知らせが…。障害を持つ孤独な女性と孤児院育ちの偏屈な男、社会のはみ出し者同士のそんな一組の夫婦のとある愛の形を実話を元に描いた大人のラブ・ストーリー。主演を務めるのは最近アカデミー賞に何度かノミネートされた実力派俳優のサリー・ホーキンスとイーサン・ホーク。とにかくこのベテラン二人の熟達の演技の掛け合いが見応え充分でした。社会のどこにも居場所のなかった二人が偶然一緒に暮らすようになり、やがて夫婦となって、最後はお互いの存在をかけがえのないものとして認めあうまでをとても自然に情感を込めて演じていて、観ていてもう切なくて堪らなかったですね。のどかな田舎の風景をバックに、手押し車に乗せられた妻をほんの少し笑顔を見せながら押していく夫。夫婦の深い愛情が伝わってきて思わず涙が出そうになりました。今にも潰れそうな二人のお家のあちこちに描かれたモードの絵も、二人の生活にほのぼのとした輝きを与えてくれている。そりゃみんな彼女の絵を買いたくなりますわ~。内容的にはあまりにも王道過ぎて若干物足りなく感じる部分もありますが、社会の片隅に人知れず咲いた一輪の花のような、そんな味わい深いラブストーリーの秀作でありました。
[DVD(字幕)] 7点(2019-05-14 22:19:45)(良:2票)
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