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プロフィール
コメント数 1879
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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181.  ダークレイン 《ネタバレ》 
1968年10月2日午前0時37分、世界が滅びそうなくらいの強い雨が降りしきる真夜中のとあるバス待合室――。さまざまな事情を抱えた客たちがバスの到着を心待ちにしている。出産を控えた妻の元へと一刻も早く駆け付けたい炭鉱夫、暴力夫から決死の思いで逃れてきた妊婦、変な呪文を延々と呟く頭のイカレタ老婆、そしてもうすぐ定年を迎えるバス停留所職員…。だが、いつまで経ってもバスは辿り着かず、それどころか雨はますます強くなるばかりだった。そこへ雨に降りこめられた新たな客がやってくる。病弱な子供を連れた若い母親や、学生運動の集会へと駆け付けたい学生。待合室は異常な熱気に支配され、一触即発の張り詰めた空気が漂い始める。なのに、ラジオから流れてくるアナウンサーの声は「世界各地で謎の伝染病が猛威を振るっている!」と連呼するばかりで、バスは一向にやってくる気配はない。すると彼らのうちの誰かがおかしな行動を取り始め、やがて何かの感染症のように一人また一人とおかしくなっていく…。明らかに低予算で撮られただろうそんなB級映画なんだけど、1950~60年代に大量生産された怪奇ホラー映画みたいなこのおどろおどろしい雰囲気、けっこう嫌いじゃないですね~。例えるなら、ちゃんと練って創られたエド・ウッド映画のような感じ?途中から待合室の客がみんな、どんどんと髭面のおっさん顔になっていくのはなかなか笑える。超趣味悪いけど(笑)。と、途中まではこの独特の世界観と変てこなストーリーを素直に楽しんで観てたんだけど、惜しいのは後半の展開。ことの真相がいまいち腑に落ちないし、オチも弱い。ちょっと話を拡げすぎたんじゃないかな。でもまあこの唯一無二の独特の世界観はやはりいい。この監督さん、もしかしたら将来ばけるかも?!要注目ですね。
[DVD(字幕)] 6点(2018-01-01 23:16:28)(良:1票)
182.  ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界 《ネタバレ》 
ねえ、聞いて。あたし、世界がこのまま終わってしまうなんて絶対に嫌。だから、あのキューバの核ミサイルのこと、なんとかしよう。あたしたちに出来る精一杯のことを――。1945年、広島に原爆が投下された年に、ロンドンの同じ病院で生を受けたジンジャーとローザ。それから17年後の1962年、以来ずっと共に過ごしてきた2人はいつも一緒に居る大の親友同士となっていた。それぞれに問題を抱えた家庭環境から逃れるかのように、彼女たちの関係はますます親密になってゆく。だが、感受性豊かなジンジャーが、キューバ危機によってもたらされた「世界はこのまま終わってしまうのかも…」という強迫観念に捉われると、そんな2人の関係に少しずつ罅が入ってゆくのだった…。17歳の2人の少女の、文字通り今にも壊れてしまいそうな危うげな日々をリリカルな映像でもって淡々と綴る青春物語。うーん、なんだかこれまで大量に創られてきた思春期少女の青春を雰囲気重視で描き出した過去の色んな作品(ソフィア・コッポラとかガス・ヴァン・サントとかの)の影響をモロに受けちゃってますね~、これ。ただ、そんな過去作に比べるとちょっと(いや、かなり?笑)センスが不足しているせいで、こちらはまったく新味のない平凡な作品となってしまってます。唯一新しいと思えるのは「核戦争勃発の危機により、もしかしたら世界は明日にも終わってしまうのかもしれない」という、当時の社会に漂っていた現実的な閉塞感を背景にしているところなんだけど、残念ながら巧く機能しているとは到底言い難かったです。それに、後半のジンジャーの父親に惹かれていくローザという展開もあまりにも単調過ぎるうえに、いまいち心理描写が希薄なせいで一向に感情移入できず、終始睡魔が…。主役を演じた2人がなかなかのかわい子ちゃん(エル・ファニング、いつの間にかなかなかの美少女に育っててびっくり!)で、前半のそんな彼女たちのちょっぴりレズっぽい淫靡な雰囲気がけっこう良かっただけに残念っす!
[DVD(字幕)] 4点(2014-10-12 23:15:56)(良:1票)
183.  ウォーム・ボディーズ 《ネタバレ》 
俺、どうしちゃったんだ?顔色も悪いし、身体も調子よくないし、姿勢だって猫背になっちゃってるし。それに、俺はもっと人と繋がりたいのに、どうしてまともに接せられないんだろう?あ、そっか、俺って死んだんだ…。ここに居る連中も皆死んでしまってるんだ。あいつもそいつも皆よれよれ。そう、もう気付いていると思うけど、俺ゾンビなんだ。自己紹介したいところだけど、名前も思い出せないんだよ。Rから始まった気がするけど、忘れた――。謎の病原菌の蔓延により、人類の大半がゾンビと化した近未来。人間が主な主食のゾンビたちは、巨大な壁の中に閉じこもって自衛している人間たちが物資調達のためにたまに外に出てくることを涎を垂らしながら待っている。ゾンビと化して間もない青年“R”も、腹が減ったらそんな自衛コロニーまでとろとろ歩き〝食事〟にありつくのだった。ところがその日、いつものように人間たちを襲おうと仲間のゾンビたちと一緒に部屋へと雪崩れ込んだRだったが、そこで彼はその人と出会ってしまったのだった。そう、動かなくなって久しい彼の心臓がもう一度ドクンと脈打つほどの最高に可愛い女の子、ジュリーに…。ゾンビと化した青年ととってもキュートな人間の女の子のそんな禁断の愛をコミカルに描くヘンテコ・ラブストーリー。いやー、まさにアイデア一発勝負な映画でしたな~、これ。ゾンビ男と人間女の恋愛と聞いて、もっとキワモノ系の悪ノリ映画だと思って観始めたのですが、中身は意外にも『ロミオとジュリエット』的プラトニックラブストーリーでありました。最初こそ、主人公が人間の脳ミソ喰うシーンがあるものの、それ以降は「こいつ、ホントにゾンビなんかい!!」と突っ込みたくなるほどフツ~の青春ラブコメなんで、誰でも安心して観ていられると思います。って、これって主人公がゾンビという特異な設定を取り除いたら、後には大して面白くない青春ラブコメしか残らないんじゃ?という疑問が最後まで拭いきれないんですけどね(笑)。個人的には、もっと挑戦的なネタ――たとえばゾンビが人間の女の子と思わずセックスしてみたら、思わずテンション上がって彼女の肉を文字通り食べちゃった!!みたいな(笑)――が欲しかったけど、それは好みの問題。主人公の恋が世界を救うという脚本もそこそこ練られていたし、ゾンビと骸骨と人間の三つ巴の戦いが繰り広げられるクライマックスもけっこう盛り上がったし、ベタではあるけれどぼちぼち面白かったんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2015-08-21 19:25:06)(良:1票)
184.  アップグレード 《ネタバレ》 
科学技術が高度に発達した近未来。アンティークな車を専門に扱う整備士グレイは、キャリアウーマンの美しい妻とともに充実した日々を送っていた。そんな彼をある日、悲劇が襲う。謎の暴漢に襲撃され、愛する妻を無残にも殺されたばかりか、グレイ本人も一生車椅子を手離せない後遺症を負わされてしまったのだ。突然のことに自暴自棄になるグレイ。そんな彼を救ってくれたのは、旧友でハイテク技術を専門に扱う大企業のオーナー、エロンだった。エロンは、彼に驚くべき朗報を告げる。「社で開発したばかりの最先端AIチップである、この〝ステム〟を使えば、君は再び歩けるようになるだろう」。半信半疑でグレイは、チップを自らの体内に埋め込む手術を受けることに。無事に成功し、自分の足で歩けるようになったグレイだったが、しばらくすると今度は謎の声が脳内に直接聞こえてくるのだった。どうやらこのステムは自らの意思を持ち、彼の承認があれば、グレイの身体を自由にアップグレードすることが出来るらしい。ステムの力で驚異的な身体能力を手に入れたグレイは、妻を殺した犯人を求めて危険な夜の街へと繰り出してゆく……。アイデア一発勝負の明らかにB級なそんな本作、これがキレのいい演出とそこそこよく出来た脚本の力で最後まで楽しんで観ることが出来ました。とにかくこのダークでグロテスクな世界観が素晴らしい。一向に晴れ間が見えない陰鬱な街の情景、体内に直接武器を埋め込んでいる犯罪者集団、荒廃した雑居ビルのそこかしこでは現実から逃れ仮想世界で生きることを選んだ世捨て人たち…。いやー、見事なまでに退廃的で大変グッド。肝心のアップグレードされた主人公もその徐々に強くなっていく描写が丁寧で、荒唐無稽ながらなかなか楽しい。ステムに操られた主人公がカクカク動きながら敵を倒してゆくとこは、映像的にもけっこう斬新だったんじゃないでしょうか。後半、開発者や犯罪集団の追跡を逃れ、ハッカーの元へと駆け付けようとするシーンは緊迫感抜群!まあ設定に突っ込みどころ満載なのはご愛敬ですけど(笑)。さすがに未来社会とはいえ、事件を捜査するのが黒人の女性刑事一人だけと言うのはおかしいんじゃないですかね。ラストは捻りが効いていて良かった。だって客観的に見れば主人公はバットエンドですが、本人は幸せな夢の世界で生きていけるんですから。うん、なかなか面白かった!7点!
[DVD(字幕)] 7点(2020-08-24 02:48:02)(良:1票)
185.  メアリーの総て 《ネタバレ》 
暗い墓場から誕生した醜いモンスターの悲劇を描き、いまや怪奇小説の古典的名作としてその名を残す『フランケンシュタイン』――。そんな暗くおどろおどろしい世界を描いた著者は、まだ18歳になったばかりのうら若き女性だった。彼女の名は、メアリー・シェリー。本作は、そのメアリーがいかにしてこの古典的名作を生みだしたのか、彼女の創作の裏に隠された真実を描いた伝記映画だ。過酷な運命に翻弄されるメアリーを演じるのは、人気若手女優エル・ファニング。監督は前作『少女は自転車に乗って』でアカデミー賞にノミネートされた、サウジアラビアの新鋭ハイファ・アル=マンスール。19世紀のイギリスを再現した映像は終始美しく、どのシーンを切り取ってみてもまるで中世の絵画の世界に入り込んだかのようなクオリティは見事としか言いようがない。そこで描かれる当時の社会的弱者の過酷な生活もリアリティがあり、この監督らしいフェミニズムな視点も抑制が効いていて良かった。ただ、本作はあくまで『フランケンシュタイン』の作者の半生を描いた作品である。なのに、主人公メアリーが肝心の創作を始めるのが映画も四分の三を過ぎたあたりからというのはさすがにバランスが悪い。私の個人的な考えだが、こういう名作創作の舞台裏を描いた作品は、主人公の半生四割、創作過程三割、その作品の内容三割くらいがちょうどいい配合だと思うのだが、本作はこのバランスが非常に悪いように感じてしまった。作品全体がほぼこのメアリー・シェリーと女癖の悪いダメ夫との破綻した結婚生活を描くことに割かれてしまっており、創作過程は後半にほんの少し出てくる程度、『フランケンシュタイン』の内容にいたってはほぼ皆無という状態だった。これでは、彼女がこの名作に託した思いというのが感じられなくて当然だろう。当時の女性の虐げられた思い、彼女が生後すぐに失くしてしまった娘の存在、愛も金もない結婚生活、これらがいかにしてこの名作を誕生させたのかにいまいち説得力が感じられないのだ。美術は文句なしに素晴らしく、一流どころを配した役者陣の演技も華があって大変良いのだが、映画のテーマ性という観点で言うとどうしても物足りない。フランケンシュタインの怪物を映像としてその片鱗すら見せなかったのは、映画として致命的だろう。期待していた分だけ、残念な出来栄えだった。
[DVD(字幕)] 5点(2019-10-01 01:42:50)(良:1票)
186.  マリッジ・ストーリー 《ネタバレ》 
情熱的な恋の果てに結ばれたはずの夫婦が迎えた離婚の危機を、ほろ苦いユーモアを交えて描いたヒューマン・ドラマ。監督は僕とはどうにも相性のよくないノア・バームバックだったのだけど、アダム・ドライバー&スカーレット・ヨハンソンという今ノリにノッてる人気俳優が豪華共演ということで今回鑑賞してみました。先に結論を述べさせてもらうと、やはり今回も僕の好みとはどうにも合わなかったですね。確かに、全編に散りばめられたユーモアはどれもセンスがあって大変良いし、ときおり見せる機智と警句に富んだセリフにもハッとさせられるし(特に、キリスト教圏の女性は常に聖母マリアと比べられるというセリフには唸らされました)、役者陣のナチュラルな演技も素晴らしいしで、完成度はむちゃくちゃ高いのは僕も認めるところなんですけども。離婚どころか一度も結婚すらしたことのない自分としては、この離婚あるあるにいまいち嵌まれなかったのも要因の一つかな。まあでも最終的には、好みの問題。僕は本作のいい観客にはなれなかったようです。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-11-24 00:30:59)(良:1票)
187.  シャイニング(1980) 《ネタバレ》 
人間の狂気を圧倒的な映像美で描き続けたキューブリック作品のなかでも、とりわけ大好きな作品。世間とは孤立した雪深い山頂のホテルで一冬を越すことになった家族に、しだいに忍び寄る人智を超えた者たち。そしてそれに捕らわれた父親は……。彼が妄想とも幻覚ともしれない社会を漂い始め、そこで見る圧倒的なイメージの奔流。誰も居ないはずのパーティー会場には居るはずのないバーテンダーが居て、そしてあるはずのない禁じていたはずの酒があり、踏み込んではいけない客室には謎の全裸の美女が居たかと思いきや……。他にも、エレベータから迸る大量の血液や殺された双子の少女など、一度見たら忘れられないイマジネーションの極地のような映像美と音楽。何度観てもおしっこ漏らしそうになるくらい、ぞくぞくさせてくれる大傑作!
[DVD(字幕)] 10点(2013-04-10 13:24:20)(良:1票)
188.  めぐりあう時間たち 《ネタバレ》 
1923年、英国、精神の病を患う人妻ヴァージニア・ウルフは閉塞感漂う田舎で「ダロウェイ夫人」という小説を執筆していた。1951年、ロサンゼルス、郊外の一軒家で一見幸せそうな生活を送る一児の母ローラは何もかも捨てて逃れてしまいたいという抑えきれない欲求に苦しんでいた。2001年、ニューヨーク、長年出版社で編集の仕事をしているクラリッサはエイズを患う初老の作家であり自らの私生活でも因縁浅からぬ関係があるリチャードの文学賞受賞記念のパーティーを開こうと奮闘していた。そんな時間も空間も超えた全く関連性のなさそうな3人の女たちの、人生の転機となったとある苦悩の一日を重層的に描く文芸作品。かつて文学青年だった時代に、世界の有名な文学はだいたい読んだつもりになってましたが、この「ダロウェイ夫人」はその名前はもちろん知っていたのだけど恥ずかしながら未読のままでした。確かに、そんな原作を読んだことのない僕のような人間でも、この綿密に考え抜かれた編集や、実力派の役者陣が織り成す熱演、全編に漂う上品で静謐な雰囲気とで、ちゃんとこの暗鬱な世界へと惹き込む監督のセンスはなかなか秀逸だと思います。ただ、この女を家庭という牢獄へと縛り付ける男社会の論理に必死に抗おうとする三者三様の女たちという、この全編を覆ういかにもなフェミニズム臭には若干辟易させられましたけどね。20世紀初頭のウルフは入水自殺し、近代を生きるローラはなんとか死なずに逃げ出し、そして現代を生きるクラリッサは逆に男を自殺に追い込む…。この、時代の変遷と共に強くなる女たちという、フェミニズムの戦いとそれがもたらした功罪を充分勉強させてもらいました。だからといって、映画として良かったかというと、まあ6点かなってのが正直な感想ですけどね。取り敢えず、こういう映画を観るとやっぱり結婚は人生の墓場だって思い知らされるんだよね~。うーん、やっぱ、いつの時代も女って面倒臭い(笑)。ただ、結婚しない人生はもっと墓場だったかもって、最近思い知らされることが多くなった独身生活38年目の僕なのでありました(泣)。
[DVD(字幕)] 6点(2014-06-03 00:29:20)(良:1票)
189.  search サーチ 《ネタバレ》 
娘の身にいったい何が起こったのか――。最愛の妻をガンで亡くし、年頃の一人娘とともに父一人子一人の生活を送っているデビッド。だが、ある日突然、その遺された一人娘が失踪してしまうのだった。理由は皆目分からない。当然納得いかないデビッドは、警察の捜査とは別に独自の調査を開始する。娘のPCに残された情報やSNS、ネット上に拡がる様々な情報を駆使し、なんとしても娘の消息を探ろうとするデビッド。浮かび上がってきたのは、自分の知らなかった娘の隠された真実の姿だった……。失踪してしまった娘の消息を追う父親の執念の捜査を、PCの画面上の映像だけで展開させるという独自の手法で描いたサスペンス・ミステリー。この制約を巧く活かし、最後まで緊張感を途切れさせることなく魅せきった監督の手腕は大したものだと思います。絵的に単調になりそうだけど、クローズアップや画面の切り替えをタイミングよく使うことで物語にいいリズム感を与えているので最後まで飽きることなく観ることが出来ました。インターネットが発達し、生活の大半をネット上で完結させることが出来る現代社会の光と闇を風刺するその視線の鋭さもなかなかいい。ただ、そこまで面白かったかと問われたら、正直自分的にはちょっと微妙。やはりPCの画面上の二次元世界だけでしか物語が展開されないので、僕的には世界に奥行きが感じられず少し物足りなく感じてしまいました。でもまあそこらへんは好みの問題でしょうね。今までにない新しいタイプの作品なので、嵌まるかどうかはその人次第。興味のある方は是非ご覧になって自らの感性で判断しちゃってください。
[DVD(字幕)] 6点(2019-10-01 23:07:17)(良:1票)
190.  ジャージー・ボーイズ 《ネタバレ》 
1950年代から60年代にかけて、全米ヒットチャートを彗星のごとく駆け抜けた4人組のポップコーラスグループ、“フォー・シーズンズ”。もはやハリウッドの生ける伝説と言ってもいいクリント・イーストウッド監督が新たな代表作ともいえる重厚な政治ドラマ『アメリカン・スナイパー』の前に撮ったという本作は、それとは全く正反対の煌びやかな芸能界で夢をかなえる彼らの姿をゴージャスに描いた青春群像でした。そんな実在したスーパースターの栄光と挫折を赤裸々に見つめたもうびっくりするくらい王道のオーソドックスな伝記映画なのですが、これがイーストウッドのフィルモグラフィの中に収めてみると逆に異色作となるのが面白いですね。『ミスティック・リバー』や『ミリオン・ダラー・ベイビー』といった現実の理不尽さや人間の愚かさを極めて冷徹に見つめてきた老映画監督がいまさらこんなシンプルな青春映画を撮ったということにまずはびっくりです。さて、肝心の内容なのですが、この手の作品は主人公であるアーティストたちにいかに興味を持てるかが重要になると思うのですが、正直に言って僕はこの“フォー・シーズンズ”というグループにほとんど思い入れもないうえに、その全編にわたって使われた彼らの楽曲の数々もいまいちピンとこず、残念ながら僕はそこまで作品世界に入り込むことが出来なかったです。確かに面白いとは思うんですよ。登場人物たちが要所要所でカメラ目線になり観客へと語りかけるという映画では〝禁じ手〟とも言うべき手法を使っているのにそれがアクセントとして小気味よく効いてるところだとか、最後に登場人物たちが全員集まって歌い踊るミュージカル風の気の利いたエンドロールだとか、長年のキャリアに裏打ちされただろうもはや余裕さえ感じさせるその演出手法の数々なんて「さすがだなぁ」と素直に認めるのだけど、僕としてはちょっと物足りなかったです。それは何なのかと自分なりに考えてみたのですが、やっぱりビートルズ出現以前の音楽シーンってこういう誰かに惚れたフラれたというまあ見事なまでに軽い世界をみんなして歌い続けていたのですね。なんだか僕はこのいかにも作られた軽薄な歌の数々にどうにも馴染めなくて、そこが僕が本作にいまいちのめり込めなかった原因のようです。でも、これはもう完全に好みの問題。老境に差し掛かり、イーストウッドもこういう「昔は良かった」的なノスタルジックな作品も撮ってみたくなったのでしょう。フォー・シーズンズのファンはもちろん、あのころのかつてよき華やかな50年代を懐かしみたいという人にはたまらん作品に仕上がっていたと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2015-11-24 22:37:35)(良:1票)
191.  オキシジェン 《ネタバレ》 
人一人がなんとか横たわることが出来るような狭い密室である日、目覚めた一人の女。まるで棺桶のようなここには、高度な医療技術を備えた設備が整えられ、「ミロ」と名乗るAIが全てのシステムを管理していた。どうやら完全隔離された医療ポッドらしい。目覚めた女は断片的な記憶はあるものの、自分がなぜここに居るのか、なぜこのような事態に陥ってしまったのか、さらには自分の名前すら思い出せなくなっていた。「すぐにここから出して!」――。ミロにそう訴えるものの、ミロは「今はその時ではありません」と事務的に告げるだけで外部へのドアは固く閉ざされたまま。しかもポッド内の酸素残量はあと僅かしかなく、このままでは一時間もすれば窒息死すると冷徹に告げるのだった。あまりの事態に半狂乱になる女。酸素が底をつく前になんとか脱出しようと、微かな記憶だけを頼りに必死で解決法を探るのだったが……。手足を僅かばかり動かせるような狭い密室で目覚めた女の極限の恐怖を描いたサスペンス。一時期大量生産された、いわゆる密室系ソリッド・シチュエーション・スリラーの一種と言ってもいい本作、そんな期待せずに今回鑑賞してみました。だって『リミット』をはじめとするこのジャンルの映画にはさんざん苦い思いをさせられてきましたから。なのですが、僕のそんな先入観は良い意味で裏切られました。いや、なかなかの良作ですよ、これ。何が良いってまずはセンス溢れる美しい映像。ずっとこの医療ポッドの中だけで最後まで進むので物語としては単調になりがちなのだけど、青を基調としたスタイリッシュな映像がとにかくキレイでずっと見ていられます。時折挿入される回想シーンもノスタルジックで、現在の危機的状況との対比が巧く効いている。と、油断していたら、急に大量のネズミがポッド内に出現して、これがなかなか衝撃的でひえーっと思わず声に出しちゃいましたわ。この緩急のつけ方は見事というしかないですね。もう一つは、練られた脚本の力。主人公がポッド内の電話で警察と連絡を取るところから、「あー、これはきっと何処かのイカれた病院かサイコパスに地中に埋められたかだろうな」と思っていたら、途中でまさかの急展開!いや、そうくるかって感じです。そしてその真相はあまりに切ないもので、僕は思わず泣きそうになっちゃいましたわ。外の世界の映像があまりに美しく、より悲しみを倍増させます。自分だったらこんなの絶対耐えられないよ…。監督は『ピラニア3D』などのバカ映画を撮っていたかと思えば、急に『ルイの9番目の人生』というセンス溢れる良作を撮ったアレクサンドル・アジャ。この人のふり幅は相変わらず激しい。今回は良い方のアジャでした。最後の映像は個人的にはいらんかったと思うけど、低予算ながらなかなかの逸品でございました。
[インターネット(字幕)] 9点(2021-11-07 03:31:09)(良:1票)
192.  エスター 《ネタバレ》 
三度目の妊娠で子供を死産してしまったショックから、アルコール依存症となってしまったケイト。だが、愛する二人の子供たちと夫の支えによりなんとか立ち直れた彼女は、生きて産まれることが出来なかった子供へと罪滅ぼしするかの如く、孤児院からエスターという名の9歳の女の子を引き取ることに。家族も増え、更なる幸せへと向かうかと思われたケイトだったが、徐々にそんなエスターの奇行が目立ち始めるのだった。彼女のことをイジメていた女の子が滑り台から転落し、怪しんでいた孤児院のシスターが謎の死を遂げ、そして耳に障害のあるケイトの娘マックスにまで…。謎の少女エスターに追い詰められ、どんどんと崩壊していくケイトの幸せな生活をねちっこく描いた異色のスリラー作品。いやー、胸糞悪かったっすね~。観ながら、こんな理不尽なことが許されていいのか!と叫びだしそうになっちゃったし。でも、そんな胸糞悪い感じもけっこう嫌いじゃない僕としては、この全編を覆う常に何かいや~なことが起こりそうな雰囲気、なかなか楽しめました。とにかくエスター怖すぎっす!単純なサイコキラーとしてだけじゃなく、ちゃんと女の子らしい心理描写も随所に差し挟んでくるところとかも、いや~な感じをますます増幅させてましたね。それにエスターの描く、蛍光色を多用したグロテスクな絵の描写とかにもけっこうセンスを感じました。うん、なかなか面白かったっす(後味めっちゃ悪いですけどね笑)。あと、自他共に認めるロリコンの僕ですが父親を誘惑しようとするエスターの妖艶なドレス姿には何故か全然グッときませんでした。その後に明かされる、エスターの驚愕の真実を知って、僕のロリコンレーダーはやっぱり間違っていなかったんだと納得(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2014-03-13 00:22:24)(笑:1票)
193.  羊たちの沈黙 《ネタバレ》 
もう映画の神様が現場に舞い降りてきたんじゃないかってくらい、奇跡の完成度を誇るサイコ・サスペンスの古典的名作。それまでシュワちゃんやスタローンやインディジョーンズとかのアクションエンタメ、あるいはゾンビ系のホラー映画しか観てこなかった当時の僕に、ガツンと強烈な衝撃を与えてくれたことを今でも鮮烈に覚えています。主人公は、まだ幼さが残りながらもその心に抱えたトラウマから強い正義感を持ったFBI訓練生、クラリス。そんな彼女に、女性を次々とさらってきてはその皮を剥ぎ、死体を河に捨てるという残虐な猟奇殺人犯バッファロウビルの捜査の過程でとある指令が廻ってきます。それは、かつて自分の患者7人を無残にも殺しその肉を喰らったとして獄中にあるかつての天才精神科医レクター博士の意識調査をしてほしいというもの。軽い気持ちで引き受けたクラリスでしたが、暗鬱な地下牢の奥深くに待ち受けていたのは、社会のちっぽけなモラルや常識など一切通用しない恐るべきモンスターだった…。画面の端々にまで横溢する不穏な空気感がとにかく素晴らしく、おどろおどろしいそんなストーリーを見事に盛り上げてくれています。そして、何より特筆すべきは、やはり“クラリス=ジョディ・フォスター”“レクター博士=アンソニー・ホプキンス”という奇跡とも呼べる見事なキャスティングでしょう。特に、レクター博士という強烈な〝悪〟を体現してみせた、希代の殺人鬼を見事に演じきったホプキンスは映画史上屈指の名演!これ以降、似たようなサイコ・サスペンスが量産されるのですが、いまだレクター博士を超えるようなキャラクターは一向に出てきていません。この世の中には、世間では常識と信じられているモラルなど一切通用しない暗い世界が隠されていて、そこには必ずといっていいほど男の歪んだ性欲が絡んでくる。もしかしたらこの社会を形作る源泉なのかも知れないそんな男たちの性欲に決然と立ち向かうクラリス、彼女を父のように見守りながら勝利へと導く社会から超越した存在であるレクター博士…。正義と悪の定義を根底から覆してみせるその深いストーリーは、混迷する現代社会にあっても一向に色褪せることはありません。映画史に残る唯一無二の名作として語り継がれるのも納得の素晴らしい出来だとあらためて思います。
[DVD(字幕)] 9点(2013-03-29 14:39:31)(良:1票)
194.  ターミネーター2/特別編 《ネタバレ》 
初めて観たのは映画の魅力に取り付かれはじめた中学生のころ。この作品で完璧に映画中毒者にさせられてしまいました。CGなんてまだほとんど普及していなかった時代に、あの新たなターミネーター・リキッドメタルがドロドロと登場したシーンで、「えぇぇぇ!」と思いっ切り度肝を抜かされたことを今でも鮮明に覚えています。そして、そこから青を基調としたスタイリッシュな映像を背景に、冷酷無比なリキッドメタルが今までの映画の常識を覆すような迫力で暴れまくるころには、もう完全にノックアウト。それに、シュワもカッコいいし、ファーロングも男前だし、リンダ・ハミルトンのムキムキ具合もナイスだし、どれもこれもばっちりはまっちまったよ~。ストーリーの深みとしては、やっぱり一作目には劣るものの、映画の面白さを教えてくれた思い出の一作。
[DVD(字幕)] 9点(2013-03-25 12:48:01)(良:1票)
195.  ニューヨーク 冬物語 《ネタバレ》 
コリン・ファレル&ラッセル・クロウ&ジェニファー・コネリー(地味にウィル・スミスも!)という人気と実力を兼ね備えた豪華キャストを起用し、ノーベル賞作家が著した代表作を基に、過酷な運命に翻弄される男女の100年にわたる愛の軌跡を重厚に描き出す文藝大作。と、いうことで、「なのにどうしてこんなに話題にならなかったのだろう?」という疑問はさておき、僕はけっこう期待に胸を高鳴らせながら今回鑑賞してみました。なんですが…、冒頭10分でもう意味不明なあり得ないシーンがいきなり描き出されたうえに、「そんな観客の疑問なんか知ったことか!」と言わんばかりの訳の分からない唯我独尊的ストーリーが延々と繰り広げられて僕はもう最後までお口ポカーン状態でした。「こ、これはなんだ?」と自分の感性がおかしくなったのだろうかと、思わずネットで調べてみたのだけど、実はこれって公開当初から『近年稀にみるトンデモ映画』として話題になってた作品だったのですね(自分の常識が狂ってなかったとひとまず安心しました~笑)。もう全編にわたって突っ込みどころや設定のおかしなところや失笑を禁じえないお馬鹿シーンの雨あられ(笑)。久し振りに、こんなにも映画本編よりネットのレビューやブログを読んでる方が遥かに面白いという映画に出会ってしまいました。以下、自分なりに纏めた突っ込みどころ。①税関で止められアメリカに入国出来なかった主人公の両親はまだ赤ちゃんだった彼を模型の船に乗せて海に浮かべる(陸地に辿り着けない可能性の方が遥かに高いやん!)②大人になった主人公(コリン・ファレル)が悪者に追いかけられ絶体絶命のピンチに陥ったら、いきなり白馬が現れ何の疑問も抱かずに跨る(この馬、10メートルもジャンプして敵をかわします。しかも後半では背中から透明な翼が生えて大空を自由に飛び回るペガサスになっちゃいます笑)③ヒロインの女の子は結核を患って余命半年です。で、熱を下げるために真冬でも屋上にテントを張ってそこで日々生活してます。ところがこのテントの幕が薄く、夜になるとそこは公開ストリップ場と化してしまうんです(男子諸君には朗報だ!)④ラッセル・クロウは悪魔でウィル・スミスは悪魔の王ルシファーだ(そのわりには人間と大して変わらない生活を送ってるんですけどー)⑤そして、最大の突っ込みどころ。ヒロインは結核で激しい運動は駄目だと言ってるのに、主人公は公開ストリップにムラムラして思わずHに突入。すると案の定、彼女は主人公が果てた瞬間に文字通り昇天しちゃうのでした(泣き崩れる主人公。ってあんたがHしちゃったからだろーー!)。…これだけでもほんの序の口です。皆さん、他にも突っ込みどころをいろいろ探しながらこの近年稀に見るトンデモ・ラブストーリーを存分に楽しんじゃってください~☆
[DVD(字幕)] 3点(2015-06-16 21:35:30)(笑:1票)
196.  ラン・オールナイト 《ネタバレ》 
かつて、マフィアの殺し屋として幾多の標的を抹殺してきたものの、いまや落ちぶれアル中となってしまったジミー。息子夫婦からも疎遠にされ孤独に生きる彼は、かつてのボスで若いころからの親友でもあるショーンのお情けで何とか食わせてもらっている。そんなある日、彼の息子で堅気の生活を送っていたマイクが、麻薬がらみのトラブルに巻き込まれたことを知るのだった。すぐに息子の家へと向かったジミーは、今にも息子を殺そうとしていた男を射殺してしまう。だが、彼は知らなかった。自分の息子を殺そうとしていたのは今も闇社会で絶大な力を持つかつてのボス、ショーンの息子だったことを。「何があろうと俺がお前を守ってやる」――。息子のためにそう決意したジミーは、かつて狂犬のように恐れられていた血を呼び覚まし、夜の街を疾走してゆく……。無実の息子のためにマフィアや殺し屋、それに長年自分を追い続けていた刑事の追跡を決死の覚悟で逃れようとする父親の一夜の逃走劇をノンストップで描いたエンタメ・アクション。リーアム・ニーソン主演&セラ監督作品を観るのはこれで何度目かですが、このコンビの作品ってけっこう当たりハズレが多い印象。本作は何だかハズレに近いような感想を僕は持ってしまいました。うーん、何だかエピソードを盛り込みすぎて全体的にごちゃごちゃし過ぎな感じですかね。たとえば、この主人公親子を追う人たちなのですが、①マフィアのボスのショーン、②彼を長年追ってきた刑事、③ショーンに雇われた凄腕の殺し屋、はっきり言って3つもいらんでしょ。だから最後はエド・ハリス演じるショーンと一騎打ちを果たしてそこで終わったらすっきりしたはずなのに、途中でいきなり出てきた殺し屋と森の中で銃撃戦を繰り拡げられても何だか蛇足感が強くていまいちカタルシスが得られなかったです。さらに、幾多のサブエピソードも、①親父がかつて息子のいとこを殺した過去、②入院中の母親に会いに病院へ向かう、③無実を証明するために目撃者の黒人の子供を捜す、と一夜の逃亡劇を描くにしてはいかんせん多い。少なくともこれらのエピソードのうち2、3個は削って、90分ぐらいで終わってくれたら小気味の良いエンタメ映画として面白かったって言えたはずなのにね。セラ監督、ちょっと欲張り過ぎたんじゃないですか?
[DVD(字幕)] 5点(2016-04-16 21:10:41)(良:1票)
197.  オールド 《ネタバレ》 
そこは一日で一生分の時間が過ぎる浜辺――。人里離れたリゾート地にバカンスへと訪れたとある家族。11歳と6歳になる子供たちは久々の家族水らずで過ごす休日にテンション上がりっぱなし。だが、両親は何処か浮かない表情。何故なら彼らは離婚を前提に別居することを決めたばかりだからだ。そんなキャパ一家に、チェックインしたばかりの高級ホテルの担当者がとある提案をしてくる。「このホテルの裏側に秘密のプライベート・ビーチがあるのですが、ご家族で訪れてみませんか?きっと素敵な体験が出来ますよ」――。深刻な問題から逃れるかのように、その秘密の浜辺へとやって来たキャパ一家。見渡す限りのきれいな光景に、一家はそれまでの悩みなど忘れ非日常を楽しむのだった。そこにさらに二組の家族がやってきて浜辺はにぎわい始める。だが、しばらくすると拭いようのない違和感が家族たちの間に拡がり始めるのだった。急に大人びた表情を見せる子供たち、知らぬ間に増え始めるしわ、怪我をしてもその傷はすぐに治ってしまう……。そう、この謎の浜辺では猛烈なスピードで人が成長し、そして老化してゆくのだ。6歳の少年だった子供は瞬く間に大人へと成長し、お祖母ちゃんはすぐに老衰で死んでしまう。しかも、この浜辺からホテルへと帰る道を通ろうとすると気絶し、そのまま浜辺へと舞い戻ってしまうのだった。パニックへと陥る家族たち。そうしている間にも身体は成長し、そして衰えてゆく……。急速に年老いてゆくという謎の現象に見舞われ、次第におかしくなってゆく家族を描いたサスペンス・スリラー。監督はデビュー以来、一貫してアイデア一発勝負の映画を撮り続けるM・ナイト・シャマラン。いかにも彼らしいアイデア一発勝負のお話でしたね、これ。彼の作品の特徴って、そんな普通の脚本家なら没にしそうな陳腐なアイデアを、ひたすら大真面目に真剣に一本の映画としてしまうところ。それがうまくいく場合もあるし、ものの見事に失敗しちゃう場合も多いんですけど、今回はわりかしうまくいった方なんじゃないでしょうか。まあ真面目に考えたら突っ込みどころ満載ですけど、彼の映画はそーゆ―ことを考えたら負け(笑)。そこらへんはもう潔く無視しちゃって、ただひたすらこの理不尽な状況を楽しむのがこの監督の作風なんですから。疑心暗鬼からどんどん険悪な雰囲気になる登場人物なんてベタですけど、けっこう面白かったですし。それに妻の急速に悪化した腫瘍を取り除くシーンや全身の骨が折れたまま固まっちゃうおばさんなど、どれも印象的。まぁ急に成長した子供たちがテントでもぞもぞしてたらすぐ妊娠発覚、20分後にはもう出産なんて余りにばかばかしすぎて思わず苦笑しちゃいましたけどけど。最後のオチはかなり無理やりですんごく強引。でも、何度も言うようにそーゆ―ことを気にしたら負け(笑)。ちゅうわけで、僕はぼちぼち楽しめましたです、はい。
[DVD(字幕)] 7点(2022-05-08 04:36:36)(良:1票)
198.  マトリックス レザレクションズ 《ネタバレ》 
その革新的な映像でかつて一世を風靡したSFシリーズの約20年振りとなる続編。第1作目を観たときにその超絶カッコいいアクションにかなり衝撃を受けた自分としては、いまさら感を感じつつも今回鑑賞。まぁアカン映画でしたよね、これ。とにかくストーリーがさっぱり分からない。第1作目で何とか成立していたかなり無理やりな設定。2作目、3作目と回を重ねるたびにどんどん破綻していったそれが今回で壊滅しちゃった印象ですかね。最後まで独りよがりでとにかく強引の一言。これで肝心のアクションシーンのキレが良かったらいいんですけど、それも明らかにクオリティが下がってます。最後のカーチェイスなんて下手なゾンビ映画みたいで違和感ありまくり。キアヌ・リーヴスも体力的に仕方ないのかもしれませんがずっと手をかざしてあとはCGまかせって、さすがにちょっとアカンのちゃいまっか。ちゅうわけでかつてのファンの義務感で観ましたが、正直作らん方が良かったなぁという感想しか残りませんでした。
[DVD(字幕)] 4点(2022-11-18 09:07:35)(良:1票)
199.  メリダとおそろしの森 《ネタバレ》 
ふ、普通。まあまあ面白いけど、しかしこんなにこじんまりしたお話だったとは。これじゃよくある家族のいざこざレベルじゃん。予告編とかを見て、もっと王国の存亡を掛けた壮大な話だと思っていた自分は完全に肩透かし。でも、お母さんが熊になるってアイデアと、そんな熊になったお母さんがちょっと変に色っぽかったのが面白かったのでぎりぎり6点。
[DVD(字幕)] 6点(2013-05-04 19:06:22)(良:1票)
200.  ある女流作家の罪と罰 《ネタバレ》 
彼女の名は、リー・イスラエル。かつて一冊だけベストセラーを出したものの、その後はずっと鳴かず飛ばずの落ちぶれた毎日を過ごしている伝記作家だ。生来の酒癖の悪さから友達は一人もおらず、長年連れ添った恋人にも捨てられ、唯一心を許せるのは年老いた飼い猫のみ。お洒落もせず髪の毛だっていつもぼさぼさ、おまけに酒が原因で唯一の収入源だった仕事も首、家賃は何か月も滞納、愛猫の治療費すらままならない。そんな酒浸りで八方塞がりの彼女が、生活のために犯した犯罪――。それは、有名人の遺した手紙を捏造してコレクターに売りつけること。著名作家やハリウッド俳優の署名を偽造し、文面も自ら考えた彼女の手紙は、その道のプロにさえ見抜けない精巧なものだった。偶然再会したゲイの元作家を相棒に、ただひたすら生活費を稼ぐ彼女。だが、当然のようにそんな生活が長く続くはずもなく、信憑性に疑問を抱いた蒐集家の通報から、とうとうFBIが動き始めて……。有名人の遺した手紙を捏造し有罪判決を受けた、“ある女流作家の罪と罰”を実話を基に描いたヒューマン・ドラマ。何の予備知識もなく今回鑑賞してみたのですが、いやはや、これがなかなかの掘り出し物でした。冒頭から、この冴えない太ったおばさんのどうしようもないダメ日常が描かれるのですが、これがまあ自業自得としか言いようがなく、そんな彼女とバーで意気投合するゲイのおっさんもこれまたどうしようもないダメ男。この二人が手を染めることになるのが、手紙の偽装。正直、ちんけな犯罪で騙す方にも騙される方にも別段同情心は湧いてきません。だけど、この二人のどうしようもないトホホな感じ、見ていてなんか癒されるんですよね~。「人間どんな状況に陥っても意外と生きていけるもん」という彼らの開き直りっぷりが小気味いいのかも知れません。主役を演じた、メリッサ・マッカーシー&リチャード・E・グラントもそんなダメダメ男女を伸び伸びと演じていて見ていて清々しいくらい。二人そろってアカデミー賞ノミネートも納得です。特に、M・マッカーシーのどこにでもいるおばちゃん然とした佇まいは味があって大変いい。当初はジュリアン・ムーアがキャスティングされてたみたいだけど、断然こっちの方が正解ですね。愛猫が亡くなったと知って哀しみに暮れる彼女の涙には、思わず貰い泣きしそうになっちゃいました。全編を彩るジャジーで落ち着いた音楽も雰囲気があって大変よろしい。人間、なにがあろうと気の持ちようでどうとでも生きていける――。そんな勇気が湧いてくる、人生の深い哀感に満ちた人間ドラマの佳品でありました。お薦めです。
[DVD(字幕)] 8点(2019-12-01 23:32:00)(良:1票)

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