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プロフィール
コメント数 2001
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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321.  シベリア超特急
予備知識なしに見たのは十数年前 鑑賞後は言葉も浮かばず変な耳鳴りがして体調が悪かったのを覚えている。時流れてここのレビューで同じく衝撃波をくらった人たちがたくさんいるのを知って心が慰められました。
[地上波(邦画)] 0点(2011-07-05 13:57:53)(笑:1票)
322.  グリーンブック 《ネタバレ》 
良いですねえ。大好きです。もうヴィゴ・Mのトニー・リップが良いですもん。単純かつ腕っぷし(のみ)が取り柄の、よくしゃべりよく食べるイタリア系アメリカ人のおっさん。この映画がよくある‶被差別黒人と白人との友情話”より一段精彩を放っているのは、信頼に値するメタボ腹のトニーがいるから。 トニーは精神の根っこに差別意識の無い奴。周囲の人間が黒人蔑視のノリなので、特に考え無しに同調していたのでしょう。だからギャラをもらえるなら黒人がボスでもさほど抵抗は無いのだった。 なにしろシンプルで腹の底まで透けて見えるトニー相手だからこそ、ドクは(怒りに任せてだけど)内なる心情を吐露したのですね。おそらくトリオの二人にも内面の最も深い面をさらしたことなどなかっただろうと思います。状況に対して脊髄反射するトニーは、教養のある連中のように感情を包み込んで体の良いことを言わないから。 出番は少ないけど奥様のドロレスも素敵。お見通しの手紙の一件にはふふっとなりますね。わたしはトニーオリジナルの手紙も好きでしたが。 ヴィゴ・モーテンセンにアラルゴンの面影など限りなく残っていないことに初めこそ衝撃を受けましたけど、別人トニー・リップも彼の見事な仕事のひとつに数えられることになるでしょう。イタリア訛りとか言葉遣いの悪さを聞き取れたらなあ、と自分が残念でした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2021-06-18 23:47:12)(良:1票)
323.  ヒューゴの不思議な発明 《ネタバレ》 
私の中に、ほんのちょっとだけ残っていた11才の少女の感性がこの映画にすっかり魅せられた。眼が嬉しい嬉しいと言っている。秘密の隠れ家を求める心が、駅の裏側という歯車と仕掛けで織り成された狭い空間に喜んでいる。時計盤の裏から見下ろすパリの夜景!素敵な外国の絵本を観ているよう。からくりを修理するというのはそのプロセスすら楽しい。部品をひとつひとつ探して、直ったら何が出てくるのか、わくわくする気持ち。そのわくわく感が、映画創世記のメリエス氏のわくわくとリンクする。大人が夢を取り戻した、その一助を担った子供心の誇らしさ。11才からだいぶ遠くへ来てしまったけれど、私はヒューゴとイザベルのすぐ隣にいられた。三人組の気分で。コメディパート担当の鉄道公安官と相棒マキシミリアン、彼らも良かった。なんだかキレイなんですよね。立ち姿も濃紺の制服も。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-08-19 00:03:20)(良:1票)
324.  ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える 《ネタバレ》 
うん、やってることは前作といっしょ。一緒なんだけど、それなりに整合性のとれた脚本の丁寧な作りも前作に劣らないので、例の三人~イケメン不良教師のフィル、飲酒で別人格表出のステュ、ど変人のアランを気に入っている向き(つまりワタクシ)には楽しめる出来になっています。場所をバンコクに移したのでアジア的な猥雑さもてんこ盛り。 続編では前作のバイプレイヤーは無視されがちなんだけど(今作でもヘザー・グラハムは消去されてますしね)、まさかのミスター・チャウがこんなにも出張ってくるとは(笑)。しかもけっこうな親近感をも持たせてくるとは。 いやはや、おかげで3作目(世間の評価は低いな)にも興味が湧いてしまうではありませんか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-11-06 23:52:44)(良:1票)
325.  はじまりのうた 《ネタバレ》 
これは、素敵。挿入される楽曲が素敵ですもんアルバムが1ドルだなんて即買いしますねわたしも。 キーラ・ナイトレイも素敵。声に艶があって歌も上手い。べたつかないさっぱり気配り女子を好演です。 脚本もいいなあ。状況が好転していく時のわくわくがよく伝わります。必要以上に落ち込まないし、成功を欲張り過ぎない引きどころの品の良さ。良いなあステキだなあ。 グレタとダンが音楽を二人で分かち合いながら夜の街を歩く場面、「音楽は魔法」の雄弁なこと。音楽へのリスペクトがベースに常にあるので、マーク・ラファロのむさ苦しさも完全に払拭されました。 物語の序盤のうちは、グレタとダン二人でスターダムへと駆け上がるのかなと頭の悪い想像をしてたのだけど、そんな凡庸さを蹴飛ばす爽やかさ。グレタは音楽作りの喜びを一段高いレベルで手にしたし、ダンは家庭の修復に成功。身の丈の幸せに着地させた脚本が心地よい一本です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2023-12-16 23:26:41)(良:1票)
326.  ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密 《ネタバレ》 
これは素敵な映画です。巷間言われているように、クリスティーへのオマージュ全開なプロット。豪邸の中での相続争いと殺人の疑いそして名探偵、と嬉しさのあまりぞくぞくしました。早めのネタばらしがあるのですが、それによってもたらされる先入観を二度三度とひっくり返す展開はお見事。何本か張ってある伏線の回収も鮮やかで、これが映画のためのオリジナルミステリーとは喜ばしいかぎり。 ずらっと顔を揃えたベテラン俳優らの重厚感はミステリーには必須要素。屋敷の中の調度品やからくり仕掛けも格調高い画の演出に欠かせません。 この作品が素敵なのは美麗な画構えにもかかわらず、ユーモアがあって雰囲気が軽快なことです。その真骨頂ともいうべきダニエル・クレイグ扮する紳士探偵ブノワ・ブラン。切れ者なのかそうでもないのか、微妙にとぼけた名探偵役はまさしく「ボンド後」の新しいD・クレイグを見る思いがしました。 素敵要素は小物にも。目を引くナイフのオブジェはその前に座る人物の語りへの集中線のようにも見えて効果的ですし、クリス・エヴァンスの瞳の色と合わせたニットのブルーも素敵なのでした。 クラシカルでいて新しい推理ミステリー、心ゆくまで堪能できて満足です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2021-10-28 23:46:55)(良:1票)
327.  フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 《ネタバレ》 
フロリダのディズニーワールドの近隣に暮らすムーニーは6才の女の子。パープル色の大きなアパートの一室にママと二人暮らし。いろんな棟に友だちがいる。引っ越していってしまう子も多いけど、また新しい友だちが越してくる。管理人のおじさんはいつも小言が多いけど良い人で好き。毎日友だちと遊びに行くんだ。近所にはイタズラし放題の空き家があったり、本物の牛が放牧されてたり冒険がいっぱい。近くの大人に頼めば、アイスも手に入る。友だちみんなで一個を分けっこだけど。友だちのママが食べ物をくれるし週に一度は赤い車がパンを持ってきてくれる。ママのことは大好き。若くて髪の色がキレイなママ。 。。ムーニーは幸せだ。だってまだ6才だから。6才の目から見るフロリダは陽の降り注ぐ中にパステルカラーの建物の並ぶファンタジックな街。でも私たちは知っている。ムーニーの無邪気な日々、それはぎりぎりの綱渡りの生活の上にあることを。ムーニーたちの家はアパートじゃなくモーテルで、住んではいけないのだけどボビーが黙認してくれているのだということを。住処も、食料も他者の温情で繋いでいるということを。そしてヘイリーもムーニーも教育が足りていないということも。 ムーニーは勘の鋭い子。ついに6才の幸せな時が終わることを大人のうそ笑顔の裏に見抜いて、友と逃げ出す。逃げる先はシンデレラ城。夢の世界の本丸だもの、ここを目指せば幸福の中に居続けることができそうだものね・・。 映画はここでエンディング。しかし我々はまた容易に想像がつく。ムーニー、無理なんだよ。そこはお金のある人にしか夢を見せてくれない。なんてことだろう。欺瞞の夢世界は6才の子の望みを打ち砕く。 そもそも、ヘイリーたちのような生活困窮者らを生んだのが、ディズニーワールドのフロリダ建設計画「フロリダプロジェクト」。土地や賃料が高騰し、まともな住居の保証料を払えなくなった人々が発生したのだとか。 貧困のすぐそばで永遠の夢の国を謳うディズニーランド。このグロテスクなこと。 真正面から問題提起するという形でなく、最弱者である子どもの目線が交じることでこの社会問題の残酷さがよりはっきりあぶり出されています。 ブルックリン・キンバリー・プリンスの天才的な演技、W・デフォーの情感溢れる存在が心に残ります。強烈な一撃のような作品ですが、これがアメリカの「現在」なのですね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-06-09 21:04:07)(良:1票)
328.  ホリデイ 《ネタバレ》 
数十年前の少女マンガのレベルだってこんなに安くはなかった。とことんヒロイン(特にキャメロン)の良き方へとご都合主義にドラマが展開。たまたま出会ったのがJ・ロウだってのはまあいいとして、ジュードが女っ気無しのイクメンてあり得るか。幼い子2人いるのに急遽外泊とかパブ通いとか細部もうそっぽい。詰めが甘々。この程度のラブロマンスしか思いつかないのかなあっ。LAサイドのケイトなんかのっけからJ・ブラックに目のゴミ取ってもらってる。これも間違ってる。こんなベタ、ジュードなら導入部としてありだけどジャックがアップになったところでときめくか。どの科白も陳腐、ヒール役の元彼元カノの造形も手抜きが過ぎる。課題ひとつもクリアしてないのに何やら爽やかに「やっと泣けたねアマンダ おめでとう」って何がだ!馬鹿馬鹿しくて泣きたいのはこっちだよ。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2013-06-27 01:21:08)(良:1票)
329.  ミッドサマー 《ネタバレ》 
これまでのホラーの文法がことごとくハマらない演出が目を引きます。暗さは必須。なので夜に何かが起きることが定番でしたが、本作はほとんど昼間に事が起き、というか白夜の北欧が舞台なのでそもそも「夜の暗さ」をハナから排除しています。 廃墟とか不潔感が一切なくて、明るく清潔。色とりどりの花も木々の緑も人の笑顔も(一見)美しい。この白さ、光源の多さが暗がりよりもいっそう鮮血を禍々しく見せてしまうアンビバレンツ。 ヒロインも絶叫しません。恐怖で声が出るのは、‶それが怖いものだ”と「瞬時に」悟るからなのですね。今作ではF・ピュー演じるダニーは冒頭からじわじわと精神を追い詰められてゆきます。彼氏が信頼に足る人間ではないのではないか、参加者が減っている、変だな変だなと思いながら叫ぶ機会を逸しているのです。 そう、叫ぶというより慟哭する場面が終盤にあります。彼女の嘆きに共鳴する女たち。この芝居がかった正常とは思えない共感反応。親切そうな彼女らが実はガチでヤバイ、と気づいたときはすでに我々もダニーも時遅し。ラスト、完全に精神がぷっつりと逝ってしまったダニーの表情をなすすべなく見つめるしかありません。 監督はかの「ヘレディタリー」で趣味の悪さを明らかにしていますが、今作ではさらに見せ方が洗練されました。美術も一級です。 F・ピューは素朴な顔立ちで下半身がしっかり体型の、ぱっと見骨太健康女子です。それが北欧の白く華奢な腺病質ぽい連中に取り巻かれて、さしもの健康な肉体がじわじわと殺されるように見えました。フローレンスの起用は残酷さを際立たせるのに上手く機能したように思います。 アリ・アスターはもちろん「観なきゃ良かった」系の映画監督ではあるけど、テーマは抽象的ではなく分かり易いホラーです。観る者にやな思いをさせたあげく、自己満足のみの哲学系作品よりはよほど親切と言えるでしょう。現代ホラーの最高点に置くことのできる監督と思います。嫌だけど。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-09-10 23:58:50)(良:1票)
330.  ラスト・ショー 《ネタバレ》 
50年代のテキサスが舞台。舞う砂埃。プールバーと映画館だけが娯楽という田舎。そして若者はやっぱり閉塞している。狭い共同体の中でせっせと恋情をもよおし、だけど色恋沙汰では未来は拓けない。お金持ちで美人の女の子は都会へ行くし、友人は軍隊へ。頼れる先人は死んでゆき、澄んだ魂の知的障害の子は無残な最期を迎える。膠着した現実を打破できぬまま、一人取り残されたソニーが向かうのはかつて不倫してたコーチの妻であるオバサン。なんてこった。こんなにやり切れないものか青春て。苦い苦いどこまでも。 この後アメリカはベトナム戦争を経験し、80'バブルもやってくる。ソニーはその頃どうしていただろう。 21世紀の今格差は広がり、アメリカの田舎の若者は車も持てなくなっている。繰り返す時代の流れ。71年当時に20年前の世相を描いたこの作品は全く不変の青春を見事に切り取ってみせ、少しも色褪せていない。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-02-16 17:57:25)(良:1票)
331.  キック・アス 《ネタバレ》 
初めのうちはなんてダルい映画かと思った。デイヴのオタク描写が甘くって我が愛するナポレオン・ダイナマイトに比べてキレが無いんだ。この子ダサくないもん。顔も中途半端に可愛いし。ところが、忽然と現われたヒット・ガールことクロエ・グレース・モレッツの眩いこと!おお、誰だこの娘は。←だからクロエだって。弱冠11才にして、この表情の深みと菩薩の如き笑み。ニコラス父をからかう時の顔、見てみ?30才のような母性すら感じる。 もう中盤から“キックアス”どころじゃないよ“ヒット・ガール”でしょ。次々鮮やかに殺しまくる菩薩なんて初めて見た。女児にこんなことをさせるなんて・・という意見もあろうが、これはクロエ菩薩による悪者成敗のカリカチュアなので血生臭さが無いのだ。「カット!」で起き上がりそうだもん組織の連中。 全体的に、タランティーノと比べればだいぶ洗練度は劣るけどクライマックス、ヒット・ガールの父のリードで暗闇孤軍奮闘場面はかっこいい演出だった。C・G・モレッツ、いやあ凄い子がハリウッドにはいるもんだ。その後の仕事の充実ぶりも納得だ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-01-27 00:12:06)(良:1票)
332.  アニー・ホール 《ネタバレ》 
あーあ、W・アレン。理屈屋で神経質で自虐に走るわりにはインテリのプライド高く、N・Yから一歩も出られないオトコの脳内だだ漏れ映画といいましょうか。甚だセックス・アピールに欠ける容姿のくせに女好きを公言しちゃうんだもんなー。女子の失笑を買いそうなアレン君にはやっぱりD・キートンだ。この二人、私はどっちも苦手だけどあなたたちベストカップルだと思うよ。お互い他にいないって。でもうまくいかないのが恋愛なんだよなあ。そこらへんの機微がうまいこと伝わってきて意外と楽しく観れたのはアレンの術中にはまったからなのか。
[ビデオ(字幕)] 8点(2012-06-18 00:10:02)(良:1票)
333.  インセプション 《ネタバレ》 
これは大好き。何がいいって、驚愕にして緻密なアイディアと、それを美しく視覚化した映像の素晴らしさ。音楽も良いし、キャスティングが100%はまった、その心地よさ。こうまでハマった!と感激なのは”L.Aコンフィデンシャル”以来。主演クラスからM・ケインやP・ポスルスウェイトに至るまで良い。 「夢」を扱ったものはファンタジーテイストで独り浸りな感性のものが多いように感じて、あまり合わないなあと思っていた。けれど本作はそれこそ夢中になった。理屈についていくのが精一杯で、148分阿呆ヅラで観賞したけれど、もうわくわくでいっぱい。無重力映像の摩訶不思議なこと、予期せぬピンチがいい具合に訪れて話を締める脚本の良さ、役者の好演。 「三階層」「潜在意識の武装化」「キックまでの時間」と初めて触れる概念に圧倒されつつ、仕事に集中するJ・G・レヴィットの手際の良さに見惚れ、T・ハーディの軽い伊達男っぷりにくらくらし、いつになくしくじるディカプリオには突っ込みを入れ、「謙さんがんばって!」と手に汗握って、と大変忙しくそして楽しい。 悩める大富豪の御曹司役のC・マーフィも良かったな。”他者から植え付けられた”偽自意識ではあるけれど、彼の場合これで良かったのだと感じる。一生父親への確執を抱えてうじうじすることにならず、自分の足でちゃんと前に進めそうだもの。依頼者の希望は叶うし、ターゲットも結果良い方向へ向かいそうだし、コブも家に帰れたしで、商売で言うところの「三方ヨシ」みたいでストーリーもすごく好き。私はあのコマは当然倒れると信じて疑ってません。
[DVD(字幕)] 10点(2016-12-16 17:04:49)(良:1票)
334.  ブギーナイツ 《ネタバレ》 
ポルノという、いかがわしさではトップレベルな業界の内部事情をちょっと離れた視点から、でも愛を込めて描いています。売れれば天下、かりそめのスポットライトと咲き乱れる徒花。しかし一歩外に出てみれば、“表”社会の風当たりの厳しいこと。銀行融資は受けられず、子供との面会も認められない。肩を震わせて泣くJ・ムーアの姿には胸が詰まる。 後ろ指を差される者同士、業界内部に入ってみればみんな互いに優しい。表世界に痛めつけれてしゅんとなって戻ってきたエディを、慈父の如く迎え入れる監督。想像だけど、彼が実家に戻ったならば、あの実母は完膚なく拒否しただろう。 モラルの危うい世界に人生を破壊されたW・H・メイシー扮するスタッフの写真が監督邸に掲げてあった。彼の作品への貢献を皆忘れない。かくも愛のある社会、何がそんなに悪いのか、“表”社会がそんなにエライのかと、このシーンで思わず憤激。子供に会わせてやってくれよお。
[DVD(字幕)] 7点(2013-12-10 00:20:53)(良:1票)
335.  8月の家族たち 《ネタバレ》 
よそんちの生々しい諍いを延々見せられて大変疲れる。これブラックコメディなの?うそお、これで笑えるなんてアメリカ人の体力ってどれほどタフなの。肉食DNAの人たちのケンカって、和の人の許容量を超えている。耳を塞ぎたくなったよ。M・ストリープ扮するあの母親、あれはね、ダメですよ。みんな距離を置いた方がいい。言葉を攻撃のみに使っているもの。C・クーパーならずとも辟易するわ。 楽しくもなんともないお話だけど、眼を見張るのは役者たちの演技合戦。御大M・ストリープなんか、こんな定型役はおちゃのこさいさい、といった感じ。もやっと崩れたジュリエット・ルイスも奇妙な引力がある。世間の好感度もすっかり下がったJ・ロバーツはもう怖いもの無し、なためか恐ろしいまでの闘犬演技だ。ちょっと一本調子に過ぎたかな。 はなっから白旗上げ気味の男たちも巧い。やり切れない表情のいぶし銀C・クーパー、徹底して地味な婿役に徹したE・マクレガー、そして今や旬のB・カンバーバッチ。本音を言うとベネさん見たさの観賞でしたから、いつ出てくるのかなあと。母親に苛められて育った気弱で優しい青年役で、みごとなまでにシャーロックではなく、全然かっこよくない(笑)。長い手足を心なしか縮こまらせておどおどしてました。うわあ上手い。ワタシはベネさんが演じたキャラクターはすべからく愛してしまうので、今作のリトル・チャールズのことも大変心配だ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-07-04 00:48:33)(笑:1票)
336.  家族の庭 《ネタバレ》 
激苦な映画。人間の心の、「それを言っちゃあおしまいよ」な部分を映画にしているので覚悟が必要だ。メインの夫婦トムとジェリー夫妻は、非の打ち所の無い「良い人」たちなので、非難がしづらい。そしてそこが巧妙でいやらしいと思うのだ。全く良くできた夫婦だ。互いに自立し、尊重しあって菜園作りに精を出し、友人を招いてホームパーティだ。ジェリーの葬儀にはおそらくたくさんの人が集まることだろう。義兄の妻のリンダの時とは正反対の様子になるだろう。口々に皆「良い人だった」と言うことだろう。だけど本当にそんなにいい人か?普通の人だと私は思ったな。この夫婦に絡んでくるのがメアリー、見事なまでにイタさあふれる中年女で、彼女の造形が上手すぎる。自分の人生にことごとく焦っている自分好きなメアリーを“二十年来の友人”と位置づけ、付き合いを続けてきた夫妻だけど、実はちょくちょく彼女を「上から」見る目線が露見するんである。身内の義兄にはメアリーの話などしないし、初登場の息子の彼女よりも下に位置づける。“良き友人”をやってきたけど、ついにその面をキープできなくなった終盤の冷たさには、メアリー嫌いの私でも冷やっとする。まあもちろん人間関係など、ある程度の距離や節度が無いと保てないものだ。この夫婦はごく普通の人たちなのだ。知らなくてもいいことをわざわざ描き出す監督の皮肉屋な目線にたじろぐ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-04-10 17:39:11)(良:1票)
337.  殺人の追憶
これぞ映画を観る醍醐味。サスペンスものとして欠かせない展開の意外性、畳み掛けるような演出。加えて各人物の抱えるドラマ描写も怠り無く、画面から発せられる熱量がはんぱない。一緒にぬかるみに足をとられそうになる湿度過多な映像もみごと。凄い。ああ翻ってわが邦画。「シュリ」「JSA」でお隣に抜き去られた、と思ったんだ。その間ホラーなんかでちょっとちやほやされてる間にもう韓国映画の背中すら見えなくなってしまってる。
[DVD(字幕)] 7点(2011-09-02 11:26:06)(良:1票)
338.  ジェサベル 《ネタバレ》 
ホラー百出の昨今、ちょっとのことでは”どれかにそっくり”となりがち。その点、今作はエポックメイキングとはならずとも、一生懸命「新しいこと」を考えた跡が伺えます。 まず、ヒロインは怪我をしていて避難能力を低く設定する。”ビデオ”というクラシックな装置もなんとなく怖がらせに一役買う。なんでいつも暗い中でそんなコワイ物を見るのか、とは思うが。 ビデオに洗脳されてヒロインは自死してしまうのか?と思わせておいて、魂が乗っ取られました、というオチ。なかなかオソロシイではありませんか。 ヒロインがいつも胸元の大きく開いたサマードレスを着ているのも、”これはいたいけな若い女性です”と常に客に意識させる狙いがあるのかな。単なるサービスですかね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2018-01-08 23:56:07)(良:1票)
339.  満月の夜 《ネタバレ》 
自由恋愛先進国のフランスにおいてさえ、でも最低限相手への敬意を忘れてはいけないよ、という教訓めいた一本であります。 ルイーズは美人で社交的、彼氏と同棲してても束縛されるのは嫌い。彼氏のことはもちろん好きだけど、恋ばかりで心が占められる人ではないのでしょう。まあ同棲には向いてないよね。それにちっとも他人の心が分かってないし。友人のオクターヴは下心丸出しじゃないですか。「友だち」と思っているのは彼女の方だけだよ。 「私の友だちは男性ばかりよ」と言っていたように、同性の友人が出てこないのもルイーズの自己中性格が見て取れるように感じます。ところがね困ったことにパスカル・オジェがとても魅力的にこの勝手女子を演じてしまっているんですよね。ぽわん、と憂い顔で細身、子猫を思わせるような声。わたしは女なのでスルーできますが男性ならばこのタイプに弱いのでは、と容易に想像できますなあ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-02-09 00:23:40)(良:1票)
340.  グランド・イリュージョン 《ネタバレ》 
てっきり主役はJ・アイゼンバーグかと思って観始めたら、あれれどんどんマーク・ラファロの露出の方が高くなっていってんの。マジック云々よりこっちの方が面食らった。主役を張る華、ありますかねえマークに。(ファンの方には申し訳ない) 仰々しいまでの仕掛けや、早い展開には映画の醍醐味がそこそこ味わえますが、お話自体がそんなに面白くない。オチを聞いてもふーん、となる。最後の、カード合わせるとぴかーっと輝きだすって、さすがに何のアニメかと思う。
[DVD(字幕)] 5点(2014-09-30 00:26:47)(良:1票)

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