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プロフィール
コメント数 102
性別 男性
自己紹介 DVDで昔の作品が出て、入手しやすくなったのは嬉しいですが
チャプター分け4つ以下っていうのは勘弁して下さい。

特に、チャプターなしっていうのは犯罪に近いですよ。

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21.  フレンチ・コネクション
「古いと一蹴せず、歴史的意義を加味しなければいけない」というレビューを見かけますが、これには違和感を覚えます。作品というのは常に時代の風化にさらされており、その中で古くなっていくものは確実にあるんです。レンタルビデオ店には、古典も現行作品も並列に置かれています。従って『フレンチ・コネクション』も、ひとつのソフトとして、あらゆる後続の作品や、21世紀のCG技術と戦わなければいけません。その上で観てどうか。ストーリーはどうか。カーチェイスはどうか。「ショボい」「迫力は負けてない」「現在のものとは違った魅力がある」いろんな意見があるはず。それを正直に書き込むのは、立派なレビュー方法です。断っておきますが、映画史の知識が無意味だと言ってるわけじゃありませんよ。むしろ、そういう視点から評価することは非常に重要です。そうじゃなくて、「歴史的に意義深い作品には、みんなが高い点をつけるべきだ」という意見に反対しているのです。そして私は今日、ひとつのソフトとして『フレンチ・コネクション』を観ました。つけた点数は5点です。生々しい暴力描写が好きでない私にとっては「可も不可もなくってとこ。ビデオでも良い感じ」(採点基準表より)だったからです。皆さんはいかがでしょうか。
5点(2004-09-18 19:01:57)(笑:1票) (良:1票)
22.  タワーリング・インフェルノ
『ポセイドン・アドベンチャー』の成功を受けて作られた本作は、いわば「続編」と呼べると思います。『ポセイドン~』は、逆さになった部屋というギミックが効いていましたが、火災ビルではそれは使えない。ただ火を避けて、一階に下りていくだけではつまらないな、と思っていました。すいません、浅はかでした。迷宮脱出ものだった『ポセイドン~』とは構図を変え、集団作業によるレスキューが大胆に取り入れられています。主人公は建築士ダグ(ポール・ニューマン)。ビル内に恋人がおり、観客が感情移入できる存在です。対する消防隊長オハラハン(スティーブ・マックイーン)の出番はずっと少ない。プライベートのことも判らない。なのに印象に残るのは、もちろんマックイーンの上手さもありますが、敢えて「通りすがりのプロのおやじに過ぎない」、そのかっこよさを徹底させたからでしょう。いやいや満喫しました。ただ、主人公二人のビジュアルがかぶってるのが気にかかりましたが。そしたらどっちが髪型を変えるかでまた大もめするんでしょうね(メイン主役をどちらにするかは、当時深刻な問題だったらしいです)。
8点(2004-09-11 21:28:35)(良:1票)
23.  黄金(1948)
映像技術の進歩は、昔の映画を相対的に色あせたものにしてしまいます。しかしこの『黄金』のような、緊迫感溢れる人間ドラマは別。白黒映像は、砂金の輝きを表現することは出来ませんが、溶岩のように湧き上がる人間の欲望を、余計に生々しく表現しています。「金は人を変える」というテーマが、ドブズ個人的な問題になってしまっているのはちょっと残念(このシナリオもかなり好きですが)。余談ながら、作中で出てくる「バカの黄金」は黄鉄鉱。英語ではそのままfool's goldといって、金と勘違いして喜んだ鉱夫たちの逸話が語源になっています。
7点(2004-02-17 01:59:03)(良:1票)
24.  U.M.A レイク・プラシッド
4人のキャラクターが意外にしっかりしているし、動物のCGも自然、物語も破状しておらず、特に悪い映画ではないと思いますが、逆にこじんまりしていて「これぞ」という面白さがありません。それを考えると、クリーチャーの恐ろしさに期待させるような邦題はやはり問題ですね。個人的にしばらく見なかったビル・プルマンが心配でしたが、最初の保安官が彼じゃなくてよかった・・・。
5点(2004-03-08 18:23:56)(良:1票)
25.  オーロラの彼方へ
観賞しながら『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズを連想していました。前半の1時間は、さながら「ミステリー・ゾーン」の1エピソード。ここで終わった方が整合性が高いのですが、さらに後半に突入していきます。残りの1時間も実は面白い。けれども方向性の違いから、全体として見た場合、バランスが悪くなってしまってるんです。「完成度の高い短編に、続編を追加して長篇にしました」というような構成が、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の「シリーズ全体」を思わせるのですね(3作目なんか西部劇ですから)。さて本作、私も大変楽しみました。父子二人、両方に花を持たせる構成、あのクライマックス、脚本も見事です。テーマを絞り込むより、とにかく面白くしようとした、製作者の姿勢も評価したい。しかし「もう少しうまくやれば、使い捨ての娯楽映画を越えた、歴史に残る傑作になったんじゃないか」どうしてもそんな気がしてなりません。本作を彩るのは、父と子、野球、サスペンス。整合性より娯楽性。こう見ていくと、非常にアメリカらしい、ハリウッドらしい作品なんですね――よくも悪くも。
7点(2004-09-28 01:24:06)(良:1票)
26.  ディープ・ブルー(1999)
レニー・ハーリン監督は『ダイ・ハード2』『カットスロート・アイランド』『クリフハンガー』など、アクションの佳作を撮ってきた人で、よくも悪くも定型通りの作品を作るという印象がありました。本作もそう、と言いたいのですけど、それが少し違う。深みも余韻もないところはこれまでと同じものの、展開がどうなるか全く読めないのです。例えば、誰かに命がけで助けてもらった人物が、次の瞬間にあっさりサメに食われたりする。物語展開の常識を基本的に無視してます。観客の意表を衝いているので、本作ではぎりぎり成功していると思うのですが、厄介なのは、これが天然なのか、周到な計算によるものなのか判断しがたいところ。うーん。とりあえず本作によって、私の中では、レニー・ハーリンへの評価は保留になりました。
6点(2004-10-10 17:58:58)(良:1票)
27.  D-TOX
雪山の奥に建つ警官更生施設、という舞台は面白いのですけれど、それが生きていません。マロイがD-TOXに入るまでに映画の4分の1を使ってしまっているのが痛い(閉鎖空間劇である『ダイ・ハード』『シャイニング』『死霊のはらわた』などが、さっさと舞台へ移動していることを思い出して下さい)。これで時間が足りなくなってしまい、施設や人物をじっくり説明することはおろか、「誰が犯人なのだろう?」と観客に考えさせる余裕すらなくしてしまいました。落ち目とはいえ結構豪華な施設内の顔ぶれは、本来なら推理劇にうってつけの筈だったのですが・・・。映画全体の低調ぶりで、よけいに落ち目を強調することになってしまいました。D-TOX、警官のみならず、俳優の更生にも失敗したようです。
4点(2004-03-06 17:49:25)(笑:1票)
28.  まぼろしの市街戦
檻から逃げ出した動物、自転車に乗ったサル、着飾った人々。これらの断片から、街はサーカスを模したものであることがわかります。精神病患者は道化師であり、祝祭への水先案内人と言えましょう。ところで日本大百科全書の「道化」の項目には、祝祭は日常を暗転させた「さかさまの世界」の現出を意図する、という意味のことが書かれています。この言葉が、本作を端的に表現してはいないでしょうか。本作を観賞するとき、我々は擬似的なサーカス、祭典の空間に遊んでいるのです。だからこそ患者たちは、祭典が長く続かないことを自覚しているし、彼らが帰っていくところを見守る我々も、寂しさを禁じ得ないのです。物語のラストにおいて、価値観は再びもとに戻ります。主人公の取った行動はなるほど滑稽でしょう。しかし我々は誰も、腹の底から彼を笑えないに違いない。まぼろしの日々が教えてくれたからです――「戦争をする奴らこそ狂人ではないか」。素晴らしい作品です。ぜひ多くの人に『まぼろしの市街戦』を体験してほしいと思います。 【041209】日本大百科全書からの引用転載を修正しました。
10点(2004-10-06 20:21:03)(良:1票)
29.  8 1/2
ミステリ(推理小説)の世界に、メタミステリというジャンルがあります。作中作などを利用した、ミステリそのものを対象にしたミステリのことです。その文脈で言いますと、本作などはさしずめ「メタ映画」と呼ぶことが出来ましょう。メタ的な視点でジャンルそのものを対象にする場合、構造や様式のあり方に自覚的にならざるを得ないわけで、本作もグイド(≒フェリーニ)の結論に向かって、一本筋の通った構造をしています。その意味では幻想はむしろ枝葉なのです。私はこの枝葉を全く楽しめなかったので、点数は低いですけど、難解すぎるということはないと思います。2回目以降はよく判るという現象は、フェリーニの結論を踏まえて見直すから起こるんじゃないでしょうか。
3点(2004-09-14 00:45:23)(良:1票)
30.  シャンプー台のむこうに
死と、家族の和解という深刻な問題を、ユーモアでコーティングした素晴らしい作品です。フィル(アラン・リックマン)とシェリー(ナターシャ・リチャードソン)の和解が主題になっていて、ヘアカット選手権はむしろ脇道なのですが、クライマックスでしっかり本筋となる辺り、脚本が本当に上手い。死体へのカラーリングや、悪ノリしていく市長など、嫌味にならない笑いどころもたっぷり。久しぶりによい映画を観させて貰いました。10点はよほどのことがない限りつけないのですが、謹んで贈呈させて頂きます。
10点(2004-10-10 01:48:52)(笑:1票)
31.  素晴らしき哉、人生!(1946) 《ネタバレ》 
いい作品ですが、2時間は長すぎます。ハートフルな寓話テイストの物語なら、まず100分以内に収めたいところ。その点で脚本は今ひとつですね。長さの要因となっている一例を挙げましょう。ジョージ(ジェームズ・スチュワート)が娘の担任教師をなじって、その夫に殴られるエピソード【A】。これによってジョージは神を見限り【B】、唇を切ります。唇の傷は、別世界に連れて行かれたときのオン・オフ表現に使われます【C】。「Aからの因果関係によってBとCがもたらされる」わけですが、これは脚本的に言うと「BとCを導くためにAという伏線をしいている」ということなんです。しかし一方で、ジョージが車で木に激突する場面が別に存在します。BとCにはここから繋げることもできる。つまり、車の事故で悪態をつき、血を流したことにしてしまえば、わざわざAのエピソードを入れる必要がなくなるんです。しかも担任教師と夫はこの一連の流れでしか登場しないんですから、まるまるカットしても特に問題ありません。本作は、その場その場の楽しいアイデア(2ドルの夫婦など)が冴え渡っていますが、こうした伏線が全体的にうまくない。カットしても作品の質が損なわれない部分が多いとしたら、やはり脚本の詰めが弱いのです。にもかかわらず後味さわやかなのは、物語自体の温かみもありますが、最後の最後になって、本作では随一ともいえる最高の伏線――「天使のベルの音」が鮮やかに決まるせいでしょう。
6点(2004-12-23 18:19:22)(良:1票)
32.  東京物語
小津監督は欧州で高く評価されてるそうです。彼に魅せられた監督が来日したものの、「現在の東京には『東京物語』がない」と言って帰ったと聞きます。しかし、おそらく53年当時もなかったのではないでしょうか。この映画の東京は、当時の生活が仔細に描かれていながら、生活臭が薄い。画づらの美しさが生々しさを消しているんです。それは欠点ではなくて、小津監督が、日本的な風景を切り貼りして、普遍的な世界をいかに巧みに作り上げていたか、の証明です。そのある意味人工的な世界から、日常の悲しみが浮かび上がる。名作といわれるだけのことはあります。俗に「小津調」と呼ばれる、独特のカメラワークにもご注目。長男の嫁が家の中を歩き回るシーンがあるのですが、切り替わり方が『バイオハザード』(ゲーム)を連想させました。
7点(2004-01-27 02:24:05)(良:1票)
33.  穴(1960)
この映画を観てから、ジョゼ・ジョヴァンニの原作を読んでみました。そしたら敗北感にうちひしがれた、ずいぶんうじうじした文章なんですね。映画では、囚人たちを粗暴に扱うことのない、ヒューマンな刑務所という印象が強かったので、正直意外でした。ジャック・ベッケルはサスペンスを前面に押し出すことで、この作品を、エンターテイメント性の強い脱獄映画に仕上げています。囚人たちの感情は、サスペンス性の下に抑圧されていて、最後の最後で大爆発します。傑作です。レンタル屋でベッケル監督の作品はあまり見つかりませんが、可能なかぎり探して観てみようと思います。
10点(2004-02-08 18:17:07)(良:1票)
34.  勝手にしやがれ
本作で監督は頻繁にカットつなぎを入れます。とにかく画面を切る。それも変な切り方です。男がエレベーターに入ったり、女がベッドに倒れたり、という説明に必要な場面を省略する。男が女の頬を挟む瞬間、その直前の零コンマ何秒かを切る。構図はそっくり同じまま、ずっと後頭部を映してるのに、4回も5回も画面を切る。結局これは何なんだというと、リズムでしょうね。作家が意図的に変な改行をするように、観賞する側のリズムをコントロールしているのです。本作でゴダールは「既存の映画文法を解体した」と言われるのですが、彼はちゃんと彼なりの新しい文法で再構築しているのです。軸になっているのはリズム。BGMのモダンジャズが象徴的なように、新しいリズム感には新しい音楽、新しい文法が必要だったのでしょう。ファッションは垢抜けてて、セリフはとっ散らかってるが意味深で、その辺りを掘り下げていったらいくらでも発見が出てきそうです。まあ好きな作品かと言われればそうでもないので、点は低めなんですが・・・。最後に。冒頭の警官に追われて、白バイ隊員を撃ち殺すシーンは凄い。たとえ理屈で考えてても、いくら何でもこんなふうには作れるものじゃありません。
5点(2004-09-08 00:08:44)(良:1票)
35.  ジャッカルの日
本作が変わっているのは、カメラが登場人物の内側に全然入っていかないところですね。主人公はジャッカルなんですが、遠巻きに彼の行動を撮っているだけで、何を考えているのか、何を感じているのか描き出そうとしていない。代わりに、彼の暗殺準備を執拗に追うのです(なぜつまらない品物を買ったのか、後にさりげなく解明される趣向は面白いです)。それでも観ているうちに何となくジャッカルに感情移入してしまうわけですが、監督は絶妙のタイミングで、観客に「ああこいつ、悪者だったっけ」と思い知らせ、事件の推移だけに集中させるのです。この辺りのコントロールは実に見事です。ところで、そういうわりには点が低いと怒られそうですが、自分が好きか嫌いかを考えた場合、特に好きというわけでもないので、こういう採点になっています。平均点を下げてしまって申し訳ないですが、評価の内容はコメントだけで勘弁して下さい。
6点(2004-09-08 00:34:57)(良:1票)
36.  死の棘
本作には独特の間合いがあります。間じゃなくて間合い。カメラのアップはほとんどありません。基本的に引いた位置で、美しい構図の絵を切り取っていきます。その中にトシオとミホがいますので、彼らと観客の間には距離が、空間が出来ているわけです。彼らが「ワアアアア」と叫ぶとき、私たちはそれに付き合わなくてすむ。観客は傍観者の立場をキープできるのです。端から見る夫婦喧嘩は、悲しく、苛立たしく、深刻なのに、時に滑稽で笑ってしまう。この間合いは味わったことがあるぞ、とつらつら考えていましたら、どうもつげ義春の漫画にそっくりなのでした。不思議な余韻の残る作品です。娯楽としてはお勧めしませんけれど・・・。
5点(2004-09-12 01:06:48)(良:1票)
37.  アフリカの女王 《ネタバレ》 
主人公は復讐のために河を下ります。その過程において、最初はいがみ合っていた男女が、互いに惹かれあっていく。本作はシンプルでわかりやすい構成を取っています。しかしあまりにもあっさりしすぎてはいないでしょうか。主人公二人の場面がずっと続くにもかかわらず、心理の葛藤にはほとんど触れられていません。例えば、標的がどれだけ強力であるかを思い知ったときの絶望。男との幸せを手に入れた女が、兄の復讐のためとはいえ、死地に向かうことに対して覚えるためらい。信仰の影響。そして男の方にも、おんぼろとはいえ、愛船を失う悲しみがあるはず。しかし、こういう感情を伺うことはできず、不可能と思われていた急流下りや、爆撃にも比較的あっさり成功してしまう。そのためカタルシスが薄くなってしまってます。アフリカの環境はうまく表現できていますが、ドイツ軍をもうちょっと力強く描かなければ・・・。
4点(2004-08-25 23:55:54)(良:1票)
38.  ドライビング Miss デイジー 《ネタバレ》 
舞台は南部アトランタ。50年代から70年代にかけて、ユダヤ人の老婦人と、黒人の運転手との交流を描いた作品です。ミス・デイジー役のジェシカ・タンディと、ホーク役のモーガン・フリーマンの素晴らしい演技で、忘れられない佳作となっています。それを評価した上で、私は敢えてシナリオに苦言を呈したい。頑固なデイジーが、徐々にホークを受け入れていき、かけがえのない親友となる、というのが物語の肝です。ラスト間際では、「キング牧師の夕食会」→「館でアルツハイマーにかかったデイジー」→「老人ホーム」とシークエンスが続きます。夕食会では、お互いの理解がすれ違っていました。一方老人ホームでは、人種という枠を越えて「老い」を共有した二人が、気持ちを通じ合わせます。この流れにおいて、館のシーンが特に重要なのは明らかです。ところが、錯乱状態にあるデイジーにかけるホークの言葉は、「金持ちで幸せ」「精神病院に入れられる」という月並みなもの。ここは、20年以上彼女と一緒にいた、ホークならではの言葉が欲しいところ。デイジーの身をおもんばかり、彼女が幸せであることを冷静に諭してこそ、「お前は一番の友達よ」という言葉が生きるのではないでしょうか。デイジーがその後に発する上のセリフは、錯乱状態がまだ継続しているようにも解釈されるので(興奮している老人は、感情表現がおおげさになりがちですから)、効果が薄れてしまっています。残念です。
5点(2004-02-13 20:57:26)(良:1票)
39.  真昼の決闘
アンチ・ヒロイズムを体現したような主人公。リアル志向のストーリー。もっと徹底し、生々しくした方がいいような気がします。新妻エミー(グレース・ケリー)は美しいのですが、掃き溜めに鶴のような美貌なので、保安官の妻にはちょっと見えません。彼女はこの映画で確かに成功しましたけれど、もっと庶民的な印象を持った、ケイン(ケーリー・グラント)に近い若さの女優の方がいいでしょう。またこの映画では、緊張感を出すために、上映時間と映画内時間を一致させています(壁掛け時計の進み方でこれがわかります)。しかしあまり効果をあげていません。というのは、ケインが時計を見上げるまでに、カメラの切り替えという映画文法が挟まるからです。カメラが切り替わるということは、物語の展開に応じて、時間や空間が省略されることを意味します。観客は本能的にこの約束ごとを理解しているので、実際の時間の感覚と、映画を観ているときの体感時間は、そもそも一致しないようになっています。ですからテンポのいい映画(省略のうまい映画)は短く、退屈な映画は長く感じるのです。本作での試みは、ヒッチコックの『ロープ』のように、徹底的な長回しを使用した、舞台劇のような作品でないと効果を発揮しません。アイデアは面白いけれども、それを売りにするほど結果が出ていないというところですね。
6点(2004-08-24 22:20:46)(良:1票)
40.  コーラスライン
構成に疑問があります。演出家ザック(マイケル・ダグラス)と恋人キャシーのエピソードは必要なのでしょうか。本作は前半がオーディション、後半が本番の舞台です。二人の話は本筋に絡んでいくどころか、必要以上に前面に出てきて、むしろ邪魔している印象があります。なぜオーディションが続いているのに、カメラは外へ出て行って、わざわざ振付師とキャシーの話を聞かすのでしょうか。追う価値のないエピソードはばっさり切ってしまって結構。レビューを読む限りでは、舞台版がそんな感じみたいですね。観たことないから無責任なことは言えないですけど。
3点(2004-09-22 21:15:09)(良:1票)

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