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コメント数 885
性別 女性

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21.  グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち
マット・デイモンとベン・アフレックが20代で書いた共同脚本は、二組の世代のちがう男性の友情を描いてなかなかの出来。 天才ウィルの造形は今ひとつのような気がするんですけど、チャッキーがウィルは自分の世界にいるべき人間じゃないと見定めて、彼との関係にしがみつかないのが潔い。(天才を宝くじのアタリ券にたとえるのは確率が低いってことをいいたいのだろうけど、才能=お金に聞こえるのがアメリカ的) 最初はウィルの能力に惹かれたスカイラーもお飾りじゃない。 大学構内の清掃をしていたウィルの才気を見出すランボー教授役のスウェーデン俳優ステラン・スカルスガルドが巧かった。 自分も秀才だから誰よりもウィルの天才の価値がわかって、本当は死ぬほど羨ましいんだけれど必死に妬むまいとして自分の気持ちを彼の育成に振り向ける。 「アマデウス」のサリエリに近い役どころ、あれほどドロドロはしておらず、その采配が旧交を復活させる契機にもなり。 彼とショーン(ロビン・ウィリアムズ)の長年の確執も、お互いの思いをぶつけあった翌日に「昨日は」「ああ俺もだ」の二言で和解してしまうのが男らしくサッパリとして気持ちがいい。(教授が常に身につけるロングスカーフで2人の地位の違いをだした衣装も巧み) ガス・ヴァン・サントは自分で脚本も書くことが多いけれどこれは例外で、それが功を奏した? 力をあわせた脚本でオスカーを受けとったマットとベンは本当に嬉しそうだった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-06-06 07:00:04)(良:2票)
22.  グリーン・カード
ブロンティがジョージ(フランス人だから本当はジョルジュ?)との偽装結婚で手に入れたミニ植物園のようなグリーンハウス(温室)を美しく見せるのは最初だけで、後は背景となってなかなかうまくいかない二人を見守ります。 グリーン好きの自然派なのに気むずかしいブロンティ(兄弟がロレンスやオースティンなど英国作家の名前をつけられていて、彼女はブロンテ(Brontë)姉妹からですね)がどうにも難物ですが、ジョージが見ていないところでアドバイスどおり髪をおろしたり、引っこ抜いた野菜の名札を元に戻したりするのが憎めない。 ジョージが彼女の言葉を織り込んだ詩をお国言葉でピアノ弾き語り~♪は、ちょっとだけドパルデューに「シラノ」やってもらいたかったんでしょうか? ポラロイドカメラでの「嘘の思い出写真」のシーンが楽しい。 いろいろあっても終始ストイックなので想いがあふれてこぼれるラストは胸がいっぱいに。 あの後どうなるのか気になりますね。 無国籍的でプラトニックな雰囲気は同じピーター・ウィアーの「刑事ジョン・ブック/目撃者」と共通で、舞台も人種のるつぼニューヨーク、自らも故郷をはなれて仕事をするオーストラリア人のウィアーは「生まれた国や境遇がちがっても心はそう変わらない」といっているようです。 最初に会う店の名がアフリカ、ジョージの偽の経歴にもアフリカとエンヤの「ストーム・イン・アフリカ」にひっかけたり、緑あざやかなセントラルパークを二人で駆け抜けたり、さりげなく自然をとりいれてのオーガニックな空気も心地よい。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-02-08 06:52:11)(良:2票)
23.  グッドモーニング,ベトナム 《ネタバレ》 
戦場ぬきのベトナム戦争映画。 アメリカのコテコテな感動作はしらけてしまうことが多いんだけれど、提示するだけで感動させようとはせず、押しつけがましさはない。 ロビン・ウィリアムズのハイテンションな演技が生かされ、スタンダップ・コメディアンから出発した彼の資質が遺憾なく発揮されたDJはハマリ役。 全てのネタが理解できなくても、彼がサイゴンで戦闘に疲弊した兵士たちを励ます特別な存在だってわかれば。 よかったのは、意気消沈したクロンナウアーが往来で自分のリスナーたちに遭遇し、即席トークライブを敢行して自分を取り戻す場面。 あの時初めてマイクのむこうにいる彼らの体温を感じ、自分が不毛な存在でないことを肌で実感できたのだと思う。 好んで戦地に来ているのではない彼らのつながりは、戦争が生んだものの中でも有意義なものに思える。 DJの目をとおして当時のサイゴンを見せ、彼が口説こうとする美少女からその兄との関係にシフトし、ある事実が明るみにでて静かにこの地を去るクロンナウアーの心は、ガーリックが受け継ぐ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-05-07 07:00:02)(良:2票)
24.  日の名残り 《ネタバレ》 
スティーブンスの一人称で語られるカズオ・イシグロの小説の滑稽味を抑え、シリアスに徹したジェームズ・アイヴォリーの静かなる傑作。なじみの薄い大英帝国時代のサーヴァントの世界を描きながらその中に引き込む力はきわめて強い。「ゴスフォード・パーク」のような俗悪な描写ではなしに、あくまでプロに徹した精錬な仕事ぶりには清々しさ、崇高さが漂う。その中でともに重要な立場にある執事と女中頭は、屋敷の雑事一切を取り仕切る上で同志でありライヴァルであり信頼感と緊張感を併せもつ関係。彼らに好意以上のものが生まれても不思議はなく、そう感じながらも今一歩踏み出せないのが切なく痛ましくもあるが悲劇とは呼べないし、ホプキンスとトンプソンは最高と思われる演技を見せてくれる。(アンソニー・ホプキンスの一番有名な役がこれでないのは残念なことだ)ラブシーンや愛の言葉などなくとも、彼がひそかに愉しんでいた恋愛小説をミス・ケントンが手にとろうとする場面は作品のハイライトとして、酔わせる。とどかなかった愛は色褪せることもなく胸にしまわれ、一抹の悔恨を含みながらも人生は過ぎ行く。ダーリントン・ホールの新しい主人(クリストファー・リーブはノーブルなアメリカ人として選ばれたのだろうか?)の元、過去から身をふりほどき一人の執事に立ち戻るスティーブンスの姿には、仕事に人生を捧げた男の信念を感じる。
[映画館(字幕)] 9点(2010-03-30 06:00:43)(良:2票)
25.  評決 《ネタバレ》 
フランク(ポール・ニューマン)が行きつけのバーに行くと、シャーロット・ランプリングのような美女が当たり前のようにいて、さすが映画!と思ったら……映画でしたよ。 ミッキーがバッグの中から「ブツ」を見つけるのも自然な流れで、その後フランクに告げる場面がロングショットなのもいいネ。 正義の色の青い目のニューマンはくたびれていても品のいい二枚目だから、最初の方で卑しいことしてるのが似合わない気もして、顔がいいと損なこともある。 でもイーストウッドの「ザ・シークレット・サービス」にも通じるような、汚名を着せられた男の意地と信念への情熱がほとばしる、ルメットの法廷劇。 評決ではジャスティスで強引に持っていった感のある若干の甘さが、最後の渋さでカバーされてるんじゃないかな。 ローラは彼が出ないだろうとはわかっている。 フランクも彼女がそう思っているのは承知していて、「出ないからな」って伝えているような、大人の「会話」。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-07-09 07:00:08)(良:2票)
26.  青い珊瑚礁(1980)
「プリティ・ベビー」で魅了されたブルッキーに2度目に会えた青い海に浮かぶ島。濃い化粧に彩られた幼い娼婦は消え、小麦色の肌をさらし日に焼けた髪をなびかせる、すらりとした少女がいた。対照的なこの2作、彼女の代表作としてどちらも好きだ。呪術的な暗い闇が眩しい陽光を引き立て、時おり挿入される自然の産物が南の島の情緒を生み、パディの口からこぼれる蟹が幼い二人に死を教える。夏になるとこの島に思いを馳せるひともいるだろう。エムとリチャードの島に。(エメラインのヌードはブルッキー本人のものではありませんので念のため) 
[映画館(字幕)] 8点(2007-07-14 09:18:23)(良:2票)
27.  天使とデート
アナログでは史上最高の翼を得たアンジェ、エマニュエル・ベアール。これに比肩するのは「未来世紀ブラジル」くらいしかなく、すごくよくできてる。フランス女優なことも鳩のような声も「天上より来たりし美女」のムード漂わすにプラス。フォギーフィルターでさらに美しいフォーリン・エンジェルはいつまでも見ていたい。ショートカットのフィービー・ケイツはかわいそうな役ですが、役をえらべない時期だったのかも。主役兼監督のジムが水浴びするエンジェルをついつい覗き見してしまうのも、人間になるまでは保護者で手をださないのもいい。映画としては「スプラッシュ」よりギクシャクしてますが、好きな作品。  
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-02-08 20:01:28)(良:2票)
28.  ラブ・ダイアリーズ 《ネタバレ》 
これもアビゲイル・ブレスリンめあてで見てモチロン彼女も可愛かったんですが、アイラ・フィッシャーの役がよかったな。 娘マーヤがパパの3人の女性遍歴の中から誰がママかあてるゲームっていう着想が変わっていて、正解=この映画のヒロインではなく、一番有名な女優さんがヒロインってわけでもないのも変則的。 監督さんが脚本も書いていて、なかなか先が読めない展開にくわえ、ウィル(ライアン・レイノルズ)の仕事(クリントンの選挙事務所)もからんで歳月が流れていく。 ウィルの相手がくるくる変わってもイーカゲンな人に見えないのは、3人とつきあう時期が重ならないのと、彼が基本的にマジメな人だからか。 最初コピー係として登場するエイプリルは服装も質素なのだけど、キラッと光る言動がおもしろい女の子。(ニルヴァーナのカート・コバーンが話題になるのも時代が出てました) 「ジェーン・エア」の本がたくさんある彼女の部屋、その理由は自分も思いあたり(オー・ヘンリーの本が何冊もあり、なくした本を20数年ぶりにようやく手にいれたのは去年)、ちょうど「ジェーン・エア」を再読していた時でもあったし、監督は古書店主として出演もしていて、きっと本好きな人。 今はネットでたいていの本は見つけられますが、こういう見つけ方の方が夢があります。 ウィルが後ろ髪ならぬ「後ろ足」引かれるのも繊細な描写で、レイチェル・ワイズ(サマー)やその年上の恋人の教授(ケヴィン・クライン)もよかった。 邦題はアレですが、原題は「もちろん、多分」ヒロインのセリフから。
[DVD(字幕)] 7点(2013-09-04 07:00:02)(良:2票)
29.  シザーハンズ 《ネタバレ》 
アメリカの住宅地のそばにヨーロッパ風の古城を頂く山が隣接する不思議。 人造人間エドワードが住む館、彼はジョニー・デップの名演技であると同時に、子供の頃から他人とうまくコミュニケーションがとれないと意識していた若きティム・バートン自身でもあるらしく。 やさしい老発明家(ヴィンセント・プライス、バートンの怪奇映画へのオマージュ)に野菜刻みロボットからハートを持つ擬似人間に作り変えられていった彼は不完全なまま城に残され、ペグ(ダイアン・ウィースト)に連れ出されるまでは孤独。 カラフルに塗られたサバービア(郊外住宅地)の中で、唯一モノクロな存在のエドワードが際立つ。 スタン・ウィンストン特製のハサミの手をつけたデップは子供のように無垢で頼りなげですが、あの手が生かされるあたりは楽しく、ここや城の回想シーンはアートな感覚をちりばめ、バートンの極上のセンスが光ります。 それだけに後半の切り返しは残酷だけれど、それでも失われない彼の純粋さに救われる。 ペグや夫のビル(アラン・アーキン)のようにオットリな人ばかりではない住人たち、エドワードに拒絶され逆恨みするジョイス(キャシー・ベイカー)が彼の町での浮き沈みを導く役を担い、彼女が後ろ髪を引かれつつ立ち去る姿に移ろいやすい人の心の弱さが見えて。 トム・ジョーンズが歌い上げる"WITH THESE HANDS"は皮肉味をおびて聴こえ、ダニー・エルフマンの音楽が哀切を奏でる。 キム(ウィノナ・ライダー)の愛情に限界があるのが哀しくもあるけれど、エドワードはそれを理解し満足している、自分にはこれで十分と。 キムと過ごした短い時間が永遠となり、変わらぬ愛となって降りそそぐ。 新たな雪のイメージを生み出した、おかしくも切なく美しいお伽話。
[映画館(字幕)] 10点(2011-12-10 07:00:01)(良:2票)
30.  リバー・ランズ・スルー・イット 《ネタバレ》 
この映画はよくブラピ演じるポールとフライ・フィッシングのことを語られて、そこがこの映画および原作の骨子だとは思うんですが、私は原作者であるポールの兄のノーマンの方に興味がありました。 両親が自分より出来のいい弟のことを気にかけているのを知っていて、それも仕方ないと思っているノーマンは、監督レッドフォードの処女作「普通の人々」の主人公にも似た人物です。 ポールは天才かもしれないけれど単純そうであまり興味がもてなかった、生まれつき恵まれている人にありがちなことですけど。 それとノーマンと恋人の兄ニールとの別れのシーンがハッとするほどよくて、そこが読みたくて本を買ったらその場面は丸々なかったのが意外でした。 レッドフォードはノーマン・マクリーンの小説にほれこんで映画化したのに、作者ほどシニカルな人ではないのでここは物足りなくて追加したんですね。 ニールは本でも映画でもノーマンを困らせるダメ兄として描かれるわけですが、「楽しかったよ」というように動き出した列車の最後部から好意を伝えるニールと、それに応えるノーマンを入れたことで血のかようエピソードになり、子供っぽいニールは可愛いがっていた妹ジェシーの彼氏であるノーマンに素直になれなかったのだ、との印象になったと思います。 原作にないシーンが一番好きな映画というのはあまりありません。
[DVD(字幕)] 8点(2010-05-06 06:00:06)(良:2票)
31.  英国王のスピーチ
能力があれば誰でも王になれるわけではなく、またなりたくもないのに王にさせられる人もいる。 エリザベス女王の父ジョージ6世は「悲運の代理王」のイメージだったけれども、それを大きく覆す作品。 自分に不相応と思える場を与えられた人誰もが感じるであろう戸惑いと陰の努力を描いて衒いなく、洒脱なユーモアをまぶして踏み外さない。 インディーズでそれほど豪勢に金がかけられていないのも「しょせん王族の話」との冷ややかな見方もされにくいだろう。 父ジョージ5世がいみじくものたまうように王室という場所で仕事をする人の話。 コリン・ファースはどちらかといえば寡黙な役が多かったように思え、それゆえバーティが必死に言葉をつぎしゃべろうとする姿は新鮮に映り、最後のスピーチは感動的で新たな代表作に。 ともすれば自虐に陥りやすい王を友人として理解し導くライオネル(彼も舞台俳優として挫折を味わっている)のジェフリー・ラッシュは見せびらかすことなく巧み、始めは王が平民の自分に歩み寄ることを求め、最後には自ら一歩退くライオネルには引き際を知る人の清しさがある。 クレジットではファースとラッシュの名が横に並び、この二人三脚の映画にふさわしい。 芸暦長いヘレナ・ボナム=カーターは近年のバートン作品とは違う顔を見せ、愛情深く聡明な王妃。 王と療法士が親しく呼び合うのを内心快く思わぬ彼女が最後にライオネルを名前で呼ぶのは、深い感謝の表れ。 「高慢と偏見」でファースの相手役をつとめたジェニファー・イーリーが、ライオネルの妻として姿を見せるのも嬉しい。 映画の中で幼い王女として登場するエリザベス女王も鑑賞され、愛する父がこのように描かれたことに懐かしさと共に誇らしく思されたのではないかと思う。
[映画館(字幕)] 8点(2011-03-10 02:01:46)(良:2票)
32.  ミクロの決死圏 《ネタバレ》 
元祖ミクロ映画。 作中で外的宇宙(アウター・スペース)・内的宇宙(インナー・スペース)という表現があり、アウター・スペースの「2001年宇宙の旅」は2年後。 あの洗練された感じとはまたちがったカラフルな視覚効果とアートな美術(ともにアカデミー賞受賞)に味があリ、「ファンタスティック・ヴォヤージュ」のタイトルにふさわしい幻想美。 ゆったりとした作りながらもタイムリミットがあることでテンションが保たれ、「大脱走」の錠前屋ドナルド・プレザンスが「エイリアン」のアッシュのような危険分子としてサスペンスを盛り上げますが、彼の正体が明らかにされるまでには至らず(東側だろうけど)。 体内組織にからみつかれたラクウェル・ウェルチのナイスバディに男3人でベタベタさわんのは、内心「うひょひょ♪」とか思ってない? 66年の作品ですが、翌年の「ウルトラセブン」の31話「悪魔のすむ花」(ダリーの回ね)の元ネタでもあるんだろうと思われます。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2006-10-22 17:48:00)(良:2票)
33.  ミス・ポター
「恋は邪魔者」コンビで綴るポターの半生。「優良映画」らしい素直なつくり。ピーターはじめキャラクター達がぴょこぴょこ動くのも、安直で邪道かもしれなけどやはり胸躍るし、美しいまま保存された湖水地方や本物のヒルトップ農場を見られるだけでもタメ息。この時代ビジネスマンは商売人と言われていたのですね。ビアトリクスの家も家柄は良くても貴族ではないのに気位が高くて、この時代の冷厳な階級(クラス)意識も垣間見られる。よどみなく物語はスルスルと進んで、ラストはちょっと物足りない気もするけれど、湖上を流れる空気の感触が残って悪くない。
[映画館(字幕)] 7点(2007-09-19 06:57:31)(良:2票)
34.  ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア 《ネタバレ》 
タランティーノやガイ・リッチーの簡単に人殺すチンピラ映画より、こういうのが好き。  監督は英国のエドガー・ライトのようにアメリカ映画に心酔しているらしくそれっぽいところもあるけれど、同時にドイツらしい真面目さ、律儀さが感じられまする。 銃撃戦で誰もケガしないのはズルイけど安堵、銀行から盗った分は後でちゃんと返したりして。 ママへのプレゼントもじんとくる。 女性をだしてもお行儀わるくならず、何といっても野郎ふたりの友情! マーティンの発作の演技が迫真、ルディはダウニーJrに似てるな~(笑) シリアスとコメディの切り替えがスカッとしてて、1時間半とコンパクトなのもいい。 貫禄ルトガー・ハウアーもいいところでBRのように詩的な台詞をキメてくれるぅ。 ラスト、「ショーシャンク」のようにきれいな海ではなくて荒れた海なのが、また彼らに合ってた。 あの赤錆びた色合い。 思いを遂げて一足先に逝った友を見やる相棒の心も、もはや半分地上を離れているよう。 今時あまりないような「青くさい純粋さ」が愛され好まれる理由?
[DVD(字幕)] 8点(2010-12-03 00:00:04)(良:2票)
35.  ティム・バートンのコープスブライド 《ネタバレ》 
「シザーハンズ」の妹、まさにそういう作品だ。 不運な花嫁の破れたヴェールを透して、実写ではアーティスティックな職人となりつつあるティム・バートンの本質が仄見える。 朽ちかけておよそ不気味な存在であるエミリーが観る者の心を惹きつける様は見事というしかない。 それも彼女が欲しくてたまらなかったものを手放すほどに大人になったからだろう。 名前のように似た、愚直な親の影響を受けていない「2人のヴィク」も魅力的で罪はないせいでいっそう切ない。 口下手のヴィクターが自分を表現し、2人の女性の心に触れるピアノも素敵だ。 月の光を受けて呪縛から解き放たれるエミリー。 青白い腕からは骨がのぞいていても、見惚れるほど美しい脚をした彼女はバートンの人魚姫かもしれない。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2006-11-25 10:41:56)(良:2票)
36.  スミス都へ行く
「素晴らしき哉、人生!」とならぶフランク・キャプラの傑作は、シンプルな構成ながら白のスミスと黒のテイラーの間に灰色のペインを置いたのが効果的。 クロード・レインズは「カサブランカ」では署長さんになるイギリスの俳優さんですが、まだ良心が残っているペインの苦しむ姿が印象的で、悪辣なテイラーは憎めてもペインを憎むことはむずかしい。 無論ジェームズ・スチュワートの熱演をひきたてるためのものでもあるのですが。 世間知らずのスミスを最初は小バカにしながら、彼の純粋さと熱意に動かされる秘書サンダース(ジーン・アーサー)の「一生皮肉言ってるのも不幸だわね」もいい言葉で、30年代のヒロインとしては古くささのない女性像。 彼女とスミスの野球のサインのような連携プレイが堅苦しくなりがちな議会のアクセントになり、彼女に求婚する記者ムーアは世間とのパイプ役をはたし、必死に応戦するスミスをニマニマしながら見守る議長は「初(うい)奴じゃ」とカワイく思ってるんですよね。 テレビやネットのない時代にはラジオや新聞の影響力がとても大きかったのが感じられ、そういう時代性の中にタイムレスな価値のある作品。
[DVD(字幕)] 8点(2011-06-10 07:00:01)(良:2票)
37.  スーパーマン(1978)
グレン・フォードが亡くなった。彼が演じるスモールヴィルの農夫ジョナサン・ケントは、音と映像で素晴らしい別れの場面が用意されたマーサ・ケントに比べかすみがちだが、わずかな出演時間の中で息子に告げた「お前がこの星に送られた理由はしらねぇが、タッチダウンするためじゃねえ」。「人生、小さなことは気にするな」ということをこんなに説教くさくなく軽妙に語った言葉を他に知らない。ミス・テシュマーカーの「アタシって善い人とはすぐに別れるのよね」とともに、M・プーゾの脚本はただ一言でその人物を忘れがたいものにさせる。情緒ある前半部を受けてメトロポリス・パートは小気味よい。最初から完璧だったC・リーブの二役、オティスとテシュマーカーを従えたJ・ハックマン版ルーサーの絶妙な間の取り方。人を食ったようなラストも誰も予想しないという点ではMUST BE SUPER.
[映画館(字幕)] 8点(2006-09-02 20:24:15)(良:2票)
38.  スター・ウォーズ
ジョージ・ルーカスが自分の名を与えたルーク・スカイウォーカーの物語は、長大なストーリーを三つに分けその最初の部分をまず映画化したわけですが、これだけで完結してもおかしくない完成度。 資金や技術で苦労していながらそれを感じさせず、またサーガのバックグラウンドを匂わせても表面化しておらず、活劇と世界観が楽しめるスペース・ファンタジー。 ジョン・ウィリアムズのクラシックで雄大なスコアがその世界に心地よく響く。 理想主義のルークと現実的なハン・ソロは対照的で、ジョディ・フォスターもオーディションを受けたレイア役に抜擢されたキャリー・フィッシャーは気丈なプリンセスがはまり、表彰式でのローブ姿は美しい。 無名のトリオをデヴィッド・リーン作品常連の名優アレック・ギネスが支え、ベン・ケノービが使う光剣(ライトセイバー)はアーサー王伝説の騎士を意識しての洗練された武器で、フォースの概念も独特なもの。 黒衣の悪役ダース・ベイダーの威圧感をユーモラスなR2-D2とC-3POのコンビが和らげ、白を基調とした衣装はシンプルで砂漠の惑星タトゥイーンの風景も異世界らしい。 この映画のためにルーカスが作ったILMにはデニス・ミューレンら優秀な人材がそろい、冒頭のスター・デストロイヤーの威容など斬新な映像を生み出してその後の特殊(視覚)効果への道を拓くことに。 20年後の「特別篇」では修正・追加も多く、モス・アイズリー宇宙港での場面は力を入れて手直しされていましたが、そういったリタッチがなくても十分素晴らしかったと思います。
[映画館(字幕)] 8点(2012-03-04 07:00:02)(良:2票)
39.  オリバー! 《ネタバレ》 
ミュージカルの映画化。 そのままだと暗くなりがちなディケンズの「オリバー・ツイスト」を楽しく見られるのがいいところで、3年後に「小さな恋のメロディ」で再共演するマーク・レスターとジャック・ワイルドがオリバーとドジャーに扮しています。 同じく舞台からの映画化の「マイ・フェア・レディ」のように、大英帝国時代の下層・労働者階級の人々の描写が生き生きとしてダンスもすばらしい。 歌は聴くほどに味わいの出るもの、歪みや崩れのあるセットがリアルな景観を生む。 マークは「メロディ」とそれほどイメージは変わりませんが、青い上着にシルクハットのジャックはまだ声変わり前のキュートさで芸達者。(かわい~♪) オリバー・リードのビル・サイクスには野生的な色気があり、彼の情婦ナンシー(シャニ・ウォリス)が彼を思って歌う"AS LONG AS HE NEEDS ME"は、「レ・ミゼラブル」の"ON MY OWN"のように女の一途で哀しい愛をうたった佳曲。 しかし何といってもロン・ムーディ演じる少年盗賊団の親分フェイギンの存在感が一番かもしれません。 ピカレスク小説の性質もおびた原作のキャラクターを悪党ながら生きたものにし、忘れがたい印象を残します。 ブラウンロー氏とオリバーの血縁関係は残されているものの、異母兄モンクスや叔母ローズは登場せず、救貧院(ワークハウス)の教区吏バンブル夫妻を小悪党として再登場させるにとどまり、自分が見た映画化のうちでモンクスの出番があるのは48年のデヴィッド・リーン版だけになります。 原作ではそれぞれ刑に処せられる運命のフェイギンとドジャーが落ちのびるアレンジは、ミュージカルならではの明るさがあります。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-04-06 07:00:03)(良:1票)
40.  エイリアン2 《ネタバレ》 
「超A級ホラーを超B級バイオレンス・アクションに!」 ジェームズ・キャメロンの「ターミネーター」の次の監督作だが、脚本を書いた「ランボー2」の影響が感じられる戦争物になり、ラスト30分の怒涛の展開はサービス精神旺盛で、「1」では女ヒーローと呼ばれたシガーニー・ウィーバーも女ランボー的。 会社が実体を現したことで得体のしれない恐怖は半減したが、57年の漂流で人生を失ったリプリーが因縁の星アチェロンで力強く変貌する様を見せ、「1」とは違う魅力を出した。 宇宙海兵隊(マリーン)の多彩なキャラクターや、リプリーと孤児ニュート、人造人間ビショップ、ヒックスらとの関係、女戦士バスケスとゴーマン中尉の逸話など充実しており、バークのような会社側の人間も配置されて隙のない構成。 それは認めつつも軍隊式にスマート・ガンなどの重火器を大量に投入しての派手な銃撃は節操なく思え、ギーガーは直接関わらずヘッドカバーのない頭部が剥き出しになったエイリアンが昆虫のように群がるのも神秘性が減じた。 スタン・ウィンストンがデザインしたエイリアン・クイーンとリプリーが装着するパワー・ローダーとのマザー対決(ミニチュアも使用、「ランボー2」のヘリ戦を思わせる)などハイライトが多く、32才のキャメロンとゲイル・アン・ハードが心血を注いで作ったSFアクションの傑作。 常に「1」と比較され優劣が争われるが(ここの平均点も拮抗、IMDbでも同点)、タイプが違うので、どちらを上位に挙げるかは本人の嗜好が反映された結果に過ぎないと思う。 シリーズの半分を外国人が監督する中で、よくもわるくも一番アメリカンな「エイリアンズ」。
[映画館(字幕)] 8点(2012-03-09 07:00:00)(良:1票)

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