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41.  無法松の一生(1943) 《ネタバレ》 
初っ端のカメラが凄いですね。2階の部屋から屋根瓦に行き、街灯ナメながらおっ母さんにフォーカス。最後腰の辺りから見上げる位置で固定。きっと子供が親を見上げる目線でしょうね。乗車拒否して喧嘩したり、芝居小屋の迷惑行為から、ブッ飛んだ主人公だなぁとは思ったけど、人の話をシッカリ聞いて、反省するところは反省できる男。徐々に松五郎が義理人情に厚く一本筋の通った魅力的な男に観えてくる。  字は読めないけど配られるビラを貰い、さぁ自分の出番だと本気の全力疾走。学生のケンカを見守るだけでなく、手まで出してしまう気の入り様。これこそ背中を見せて子供を育てる、まさに理想の父親像。ぼんぼんとの親子のようにほのぼのした関係から、成長したぼんぼんを「吉岡さん」と呼ぶことへの戸惑いなんて、この時代の映画で良くこのシーンに時間を割いたなって感心する。  クライマックスの祇園太鼓。太鼓を叩く松五郎に、路上を埋め尽くす観客、海の波しぶきに湧き上がる雲。“無法松”というタイトル通り、松五郎の生き様を表すような勢いが感じられた。そして走馬灯のように駆け巡る思い出。『あぁ、一生とある通り、太く短い生涯の幕を閉じるのだな』と感じさせるに充分な映像。最後止まる車輪と降雪で死を表現。唐突だけど見事。  検閲。そんな時代だったんだ。所々のブツ切り展開に“??”となったけど、納得。こち亀両さんのようなホロリとさせる人情話と思いきや、寅さんのような未亡人への想いを丸々切除されていたとは…これね、完全版を観ることが出来たら9~10点かも知れない。そんな嘆かわしい時代があった事に私が出来る抵抗として、8点にさせて頂きます。 ただ吉岡大尉のいきなりの死は、あの繋がりで正解というのは意外。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2022-10-17 19:10:00)(良:1票)
42.  悪い種子 《ネタバレ》 
-The Bad Seed-邦題まま。“ワルいシュシ”って読んでたけど“ワルいタネ”が正しいそうな。Seedは“子孫”って意味もあるみたい。 どこかで聞いたことがある『月の光に』ってフランス民謡が、とってもとっても印象的に使われている。楽しげに、悲しげに、不気味に。1956年の映画なのに、8歳にしては大人びた少女ローダ(といっても演じたパティ・マコーミックは11歳)。この時代だとまだまだ嘘くさくても、わーい!わーい!と“子供は子供らしく”描かれてる時代だとばかり思ってた。 けどローダは生意気でその辺に居そうで、とてもリアル。特にリロイに対する受け答えとか、8歳にして人を見下した態度なんか、ホントよく表現できてると思うし、犯行を追求されて一気に感情を爆発させるところなんて、とても11歳の子役の演技とは思えない。  殺されたクロードの母ホーテンスの演技がまた迫力があって圧巻。理不尽な怒りをぶつけるのではなく、子供を失った悲しみと怒りがズシンとのしかかるような、観てるだけで重たくなる演技。静かな夫の演技がまたホーテンスを光らせる。 リロイの死をペンマーク婦人の目線で伝える演出も素晴らしい。モトはミュージカルだそうだけど、この“目線だけ”っていうのがとても映画らしい表現。それでいて安直な人が焼ける状況を見せるのを避けたのも上手い。こんな状況だからこそ、テンポよく弾かれるピアノが狂気を感じさせる。  娘に睡眠薬を飲ませるため瓶を移し替える母も怖いし、母を疑って瓶を確認するローダも怖い。 観客に口外を禁じた最後のオチって、ミュージカルとの違い全部のことだろうか?カミナリと復活は意外性というより唐突で、何の解決にもなってないような気がしたけど、ほのぼのとしたカーテンコールとお尻ペンペンはとても大好き。ズウゥゥ~~ンとした重たい空気をいっぺんに軽くしてくれた。冗談みたいなカミナリのシーンまでが、とても緊迫してて丁寧に熱演されていたから活きてくるエンディング。こんな終わり方なら、友達と観終わって「怖かったねー!!」って笑って帰路に着けるわ。  『何だかんだ言っても、あなたはまだ子供なのよ』ってお尻ペンペン。アカデミー助演女優賞にノミネートされながらも、受賞はさせなかったの、まだまだハリウッドも子役の将来を考えられる、大人の余裕な対応をしたのかもしれない。こんな小さな子に、悪女役で賞を与えてしまうと、パティのその後の人生が狂ってしまうだろう。って。 子役スターとして持ち上げられすぎて、その後の人生を駄目にした子って、たくさんいたからね。 …それでも、あの圧巻の演技には、子役賞とかあれば良かったのにって思ってしまうかな。すごかったです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-12-06 13:13:37)(良:1票)
43.  ミザリー 《ネタバレ》 
-Misery- 架空の小説の主人公。意味は“惨めさ”だって。嫌な意味だな。ミゼラブル(miserable)で“惨め”。 キング原作の映画で、原作の持ち味そのままに上手に映画化されてて、原作も映画も両方とも大ヒットした初めてのキング作品かもしれない。 アニーを演じたキャシー・ベイツ。ミザリーの一番のファンだという喜びの笑顔。豚のマネをする可愛らしさ。ライターオイルを足元に掛ける静かな怖さ。怒りをぶちまけるガチな怖さ。そんな喜怒哀楽に振り回されての投げキッスの怖さ。アニーの怖さを引き出す演出が見事。  ほとんど動けない主人公、変化の少ない舞台にも関わらず、希望と絶望、恐怖が交互に起きる展開が素晴らしい。役に立たなそうでいて、徐々に真相に近づいていく、実は凄腕の保安官。策を練って仕込んだワインが偶然こぼれてしまう絶望感。静かで手に汗握る展開、ストレスが沸々と沸く展開が続き、それらが最後の反撃にドカンと結びつく。 軟禁生活で書いたミザリーの続編が出版されるのはしたたかで良いと結末だと思う。事件が解決してからもアニーのトラウマに悩まされるのも納得。それくらいキャシー・ベイツは怖かった。  小説の方の話をチラッと。あとがきでヒヤッとさせられます。 古本屋に行く度、カバーの下に遊び心がある単行本版を探してるんだけど、見つからないんだよね。
[ビデオ(字幕)] 8点(2022-06-18 18:07:00)(良:1票)
44.  俺たちに明日はない 《ネタバレ》 
-BONNIE AND CLYDE- “ボニーとクライド” 普通に名前を並べただけだけど、これだけで通じる辺り、ロミオとジュリエット並みに神格化されてたんだと思う。ボニー(女)が先に来ているのは、語呂の良さだろうか? 邦題の“俺たちに明日はない”は、かなり魅力的なタイトル。明日など無い。今日、いま、この瞬間を刹那的に生きた2人の生き様を見事に表現していると思う。  2人きりの犯罪者カップルだと思ったら、バロウ・ギャングというある意味身内で固めた犯罪者集団だったのは意外。 貧乏人からは金は取らないと、義賊的な活躍が神格化された原因かと思ったら、案外あっさり銀行員を撃ち殺したモンだから、これにもビックリ。ネットの時代なら盛大に手のひら返しをされてた可能性大。 新聞がメディアの中心だった時代、社会も彼らを過剰に持ち上げていたんだろう。実際の犯罪もあれば、疑わしい犯罪を彼らのせいにしたものもあったろう。  OPから斬新。無音にシャッター音(?)だけが響き、サブリミナル並みの速さで映されるモノクロ写真。フェイ・ダナウェイのセクシーな唇。見えそうで見えない裸。退屈な毎日から抜け出させてくれそうな運命的な出会い。銃を撫でる手のエロさ。突然始まる非日常。強盗してから名乗り合う2人。場違いにも思える陽気な音楽…この新しさは、当時相当ショッキングだったんじゃないかな。 ユージンを乗せてからの変な空気も面白い。本当にその日その場を楽しんでるというか、後先考えてないというか…  あの有名な射殺シーンから、無音の THE END の流れ。あそこでブツリと終わるのも“俺たちに明日はない”感がとても良く出ている。 ボニーとクライドが出会ってから、死ぬまでを描いた映画、それ以上でも以下でもないと言う意味で、-BONNIE AND CLYDE-も魅力的なタイトルだと思う。 撃たれる瞬間の、お互いの表情を交互に映すカメラも良い。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-07-07 22:58:07)(良:1票)
45.  女子ーズ 《ネタバレ》 
テレ東とかの30分の深夜ドラマ枠でやってそうな番組を、3~4本繋げて映画にしたような作品。 コントなので最後まで見るのは苦じゃないけど、スーッと始まってあと味なくスーッと終わった感じ。だけどテレビドラマやお笑い番組の1コーナーじゃないんだから、もう少し映画なら映画らしく面白く出来たんじゃないか?  みんなデッカいヘルメット被ってるけど、顔小さいし脚も長くてシュッとしてカッコイイ。 桐谷美玲、レッド対メタルゴードンの部下戦、顔が出てるぶん、アクション頑張ってるな~。あと高畑充希と並んで走るところ、延々と走ってるな~。みんなでウンコと叫んだり、有村架純はヤスケン相手にキレたり、みんな頑張ってるわ~。演者がこれだけ頑張ってるけど監督の設定したハードルが低いから、なんかモッタイナイ使い方な気がしてしまう。佐藤二朗のいつものネタ。なっがい歩道橋ネタ。全体の雰囲気がユルユルなために活きてない。  主人公だからか、他のメンバーより赤木のプライベートを細かく描いている。同期との恋愛要素、設計担当の同僚との人間関係なんかだけど、97分の短い映画にソレを入れた効果がイマイチ解らない。 5人それぞれのプライベート、それぞれのヒーローとしての個性・技。シリアスな戦闘や命に関わるピンチ。感動。お色気要素。そういったものを敢えて排除したんだろうから、それに変わる映画らしい満足感を用意したほうが良かったんじゃないかなぁ。 でも、この作品がテレビシリーズだったら、毎回喜んで観てたと思う。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2021-10-23 23:10:37)(良:1票)
46.  キネマの神様 《ネタバレ》 
Wikiを見たところ、原作は映画の現代パートの方なんでしょうか?で、過去パートは映画オリジナルってこと?原作ではコロナも出てこないだろうから、作品の6~7割の部分がオリジナルなのかな?松竹映画100周年記念作品とのことで、キネマの天地でも描かれていた往年の輝かしき日本映画界に再びスポットを当てた映画となっている。 志村けんさんの突然の訃報から、どれだけ脚本が変わったか気になるところだけど、沢田研二さんが志村さんの代役に徹しているのが凄い。当時音楽活動中心で、映画やテレビと言った映像の仕事には出ていなかった沢田研二が、志村のために用意されたゴウという登場人物を淡々と演じている。その代役の徹底ぶりは素晴らしいと思った。  過去パートの甘酸っぱい三角関係、忙しいけどワイワイ楽しげな撮影現場から、歩の失業、ゴウの借金、病気、コロナと暗い話題ばかりのクタクタな現代パートの繋がりの段差が大きすぎて、このジイさんが本当にあのゴウか?って思ってしまったり… コロナの影響で閉館する劇場。実現しなかった斬新なアイデアを、人生の終わりに体感するゴウ。ソーシャルディスタンスの空いた席に、スクリーンから飛び出した桂園子が座るなんて、かなり素敵なアイデアだと思う。でもソーシャル関係なしにガラガラの劇場なのと、モト映画界の人なのに上映中に孫にべらべら喋るゴウ。このクライマックス、もっと丁寧に創っていれば、更に良いシーンになったかなって思った。 『古き良き映画業界と、その後の映画人たち』が本来の骨格だったところ、映画を創っている途中で『衰退していく映画産業と新型コロナによる社会の変化』に枝分かれして、そっちに進んでしまったような印象を持ちました。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-05-22 23:34:01)(良:1票)
47.  伊豆の踊子(1963) 《ネタバレ》 
しばらく前に百恵ちゃん版を観ている。なのでいきなり現代パートから始まるのに驚いたけど、モノクロ現代からカラーの回想に繋がるところは、単純に綺麗だなぁって思えた。 当時、吉永小百合は17歳くらいだろうか?整った顔立ちに大人っぽさを感じさせつつ、彼女の内面の“まだ子供っぽさ”を表現するんだけど、囲碁勝負だと思ったら五目並べだったところとかとても可愛く、お座敷で踊る大人びた表情はとても綺麗だった。 全裸の薫が外湯で無邪気に手を振るシーンは、きっとこの映画で無くてはならないシーンだろう。うん、よく観えない。万が一にも本人の体当たり演技だったら驚くけど、まさかね。でもビデオもない当時だと、このシーン観たさに劇場に通うお父さんたちも多かったのかもしれない。文豪・川端康成の映画だもの、何回観たって、良いのさ。  舞台になったのは湯ヶ島温泉というのか。'63年当時はまだあんな古い温泉宿が現存していたのかな?ぜひ行ってみたい。 原作未読で、主人公の川崎が抱える“孤児意識”というものは、いまいち解らなかった。でも旅芸人たちが身分の卑しいものとして、遠巻きに距離を置かれる存在な点の理不尽さ、薫の将来を暗示させるような温泉街の女たち。死の床についている17歳が、死の直前に客の相手をさせられるのは、今の時代の人間として恐ろしいものを感じる。ホンの100年前の日本の話だ。 活動を観に行けない時に延々と続くお経が、川崎に対する憧れと、身分による違い、持って生まれた薫の運命を受け入れる分岐点としてとても印象深い演出。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-10-11 09:13:55)(良:1票)
48.  タンポポ 《ネタバレ》 
『死』のハウツー映画の後に『生』の根幹にある『食』をテーマにしてるところが見事。ショートコントみたいなサブストーリーを散りばめてますが、本作のメインテーマがラーメン。ラーメン歴40年の老人が伝授するラーメンの食べ方。いきなり口に運ぶのでなく、見て、箸で撫でて、心のなかでつぶやく…「何が『後でね』だよ~」って、私までラーメンを食べたくなってしまう。 この、口に運ぶ前に食べ物の情報を味わう事こそが、'80年代半ばから今でも続くグルメ・ブームの基本だと思います。そしてこのブームの最大の火付け役が、漫画『美味しんぼ』と、映画『タンポポ』だったと思ってます。 この2作品がキッカケとなり、「あの店の◯◯が美味い」なんて飲食店の情報がメディアで取り上げられるようになり、単に『美味い・不味い』だけだった味の追求に『何がどう美味いのか?』って理由・根拠が求められるようになり、一億総グルメ評論家となって、誰でも楽しめる娯楽として、お店に点数やランクを付けるようになっていきました。  さて、令和の時代に小説の老人が食べるラーメンを観ると、まるで社員食堂のラーメンだ。あれ?こんなだったっけ?当時は美味そうに観えたんだけどなぁ…このおよそ40年の間に、ラーメンってとんでもなく進化してしまったんだなって思う。言い換えると、この映画が発端のラーメンブームがあったからこそ、今のラーメンがあるんだろう。余談だけど40年前に大人気だった札幌のラーメン屋で、今でも人気なお店って少ないです。当時大人気だった玄咲は閉店。時計台は様変わり。味の三平や純連は頑張ってます。  ラーメンの次に出てくるのが、タンポポが作る朝食。おひつのごはん、豆腐の味噌汁、たまご納豆、ぬか漬けに鯵の開き。これがまた実に美味しそう。この40年で進化したものもあれば、変わらないものもある。食ってとっても面白い。 ここでターボーが言う「母ちゃんの作った料理は美味いからねぇ~。ラーメンも日本一だよね!」ここがもう、この映画の答え。伊丹監督が創った食ブームの答えなんです。 たとえ他人にはどんなに不味くても、母親が自分のために作った料理こそが、最高のご馳走なんだ。って。 やれ、あそこのラーメン屋が美味いだ不味いだなんてのは、お金が動く情報の世界の話だよね。って。  数あるサブストーリーの中で、きっと一番印象に残るのが、死に際にチャーハンを作るお母さんじゃないでしょうか? チャーハンをガツガツ食べる家族。それを見て微笑み、死んでいくお母さん。こんな短時間の物語から、食べることは、生きていくことなんだなって、改めて思わせてくれました。 そして“お母さんの母乳を吸う赤ん坊”で映画は終わる。どれだけお金を掛けたグルメも母親の味は超えられない。 余談だけど伊丹監督の次の作品は“看護婦の乳首を吸う死にかけの老人”から始まるマルサの女。人間の『欲』を扱った映画。 神がかってる。
[地上波(邦画)] 9点(2024-01-20 15:51:51)(良:1票)
49.  大魔神逆襲 《ネタバレ》 
前作と同年の冬に完成した第3作目。冬といえば雪山。本作は雪積もる高山が舞台です。 今作では神の使いで大鷹が出てくるし、土→水→…とくればエレメント的に“風(もしくは空)”かなぁ?と思ってたら、雪の魔神だそうで…日本には八百万の神が居るんだから、雪の神様が居てもおかしくないか。山々のロケーションがとても綺麗。  序盤に魔神が暴れたり、顔から血が出るのは、1作目の良かったところと、なかなか魔神が出ない2作目の反省からだろうか。戦国の戦いに、ヒロインの涙に導かれて魔神が介入するパターンから、本作は子供が主役に変更されたのは、マンネリ防止のテコ入れだろうか。色々想像は出来るけど、僅か1年に3作品。考える間もなく次の作品を作っていたのが現実かもしれない。  雪を被った魔神はリアリティが感じられる。そして面白いことに、武神像は身体だけでなくご尊顔にも雪が付いているのに、変身した魔神の顔に雪が付いていない。この表現は“雪をも溶かす魔神の怒り”とも取れるが、もしかしたら魔神の中身は“この世のもの”ではないのかもしれない。 大魔神は武神像が変身するのではなく、日本各地にある武神像に、実体のない魔神が憑依して動かせる。だけど武神像一体に付き、憑依できるのは一回こっきり…みたいな裏設定を想像してしまった。 怒りが静まったとき、モトの武神像のご尊顔には雪が付いていたので、あながち間違いじゃないのかな?なんて思ったり。  伝家の宝刀なんて言うけど、今回魔神が初めて刀を抜く。その使い方は…刺すだけ。この辺りがもったいない使い方にも思えるけど、極端に強い武器というのもイメージ崩れるから、魔神さんには、このくらいが丁度良かったのかも?(あ、2作目で湖を割ってるか) 4作目火の魔神編(仮)も観たかった気もするけど、善人に媚びたり、怪獣や悪い魔神と戦う事なくシリーズを終えたのは、良い判断だったと思う。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-03-30 22:38:55)(良:1票)
50.  オズの魔法使 《ネタバレ》 
Ozは、金属の単位のオンスから来てるとか… 白黒と言うか、セピア色のカンザスの風景から、ドアを開けると色の洪水…第二次世界大戦の直前に、こんな魔法のような映像が見られたなんて、当時の人々も驚いたに違いない。 ハンク/案山子男「アタマを使うんだよドロシー」 ジーク/ライオン「ガルチなんて勇気があれば怖くないさ」 ヒッコリー/ブリキ男「俺の銅像が立つぞ」 占い師マーヴェル/オズ「私と遠くに行くんだろう?」 前フリもきちんとして、二度目の鑑賞時にはクスリとさせられる。家庭用ビデオデッキのない1939年にだ。 たぶん映画全てがセット撮影で、ミニチュアと合成が使われているが、台風の表現はなかなかのもの。揺れる家、吹き飛ぶ扉、倒れる柵。 ドロシーは頭を打って夢の世界へ…つい先程体験した些細な出来事で世界が構築されている。人が覚えてる夢ってそんなものらしい。 いきなり死んでる強敵・東の魔女。直後もっと悪い西の魔女登場のサクサク展開。南の魔女が出ないのも想像を膨らませる。 マイケル・ジャクソンのゼロ・グラビティの原型がこんなところで。 威勢を張るライオンをペチン!からのギャン泣きの完璧なタイミング。 襲いかかるサル軍団の華麗なワイヤーアクション。 『グッドモーニング・ベトナム』で聞いた「オーイーオ・ホーーチミン!」の原型はコレだったか。 魔女の兵隊に背後から襲われたのに、絶対不利な状況でなぜか勝つ3人組。 殺すつもりがないのに悪い魔女2人も殺すドロシー強い。 Toto・・・・・・・・・・TOTO (※エンディングのCAST) 娯楽映画の醍醐味。そのほとんどが、こんな大昔の映画に詰まっていた。ほんとビックリした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2021-05-17 22:48:23)(良:1票)
51.  グラン・プリ(1966) 《ネタバレ》 
~Grand Prix~大賞。その年その国で一番権威あるモータースポーツに付けられる。4輪の最高峰がF-1ワールドチャンピオンシップだから、自国開催の時に(国名)+グランプリって呼ぶそうな。 とにかく、この時代にどうやって撮ったんだ?って迫力満点の映像が満載。80年代後半のF-1ブームの時、最先端技術としてオンボード(車載)カメラが登場したと思っていたけど、66年にこんな綺麗で滑らかな映像があったなんて。 それでいてレース中の空撮にはカメラ搭載車が写ってない(見分けがつかない)。87年のカメラでさえ、牛乳パックくらいの大きさだった事を考えると、レースの空撮と車載映像は別撮りということか。 車載映像だけでモンテカルロほぼ一周ノーカット撮りっぱなし。スパは雨のレース映像。空撮は空撮で上空からの俯瞰だけでなく、横からかなり寄りで撮ってるから迫力があり、観客席に人が溢れてるのも、あれ実際のレースシーンなのかな。映画の撮影だとしたらスゴイとしか言えない。 そして一番驚くのが主演俳優が本当に運転していること。こんな撮影、今だったら考えられない。  まだシートベルトが無い葉巻型のF-1の時代。写真でしか見たことがなかった当時のF-1の映像が資料価値満点。 グラハム・ヒル発見!他にジャック・ブラバム、ヨッヘン・リント、ギ・リジェ…数枚の写真と文字資料でしか見たことがない伝説のドライバーたちが活躍…してるようだ。ウイングカーの時代(70年代後半)なら多少解るかもだけど、ここまで古いとデーモン・ヒルのお父さんしか解らなかった。 アロンが主役かと思ったら途中からサルティ中心になり、メインの4人にそれぞれ女性が絡んでと、どうもストーリー的には絞りきれていない感じがした。 世界で活躍するヤムラ・レーシングの扱いが大きくて嬉しいのと、三船の横に本田宗一郎っぽい、つなぎを着た眼鏡の日本人が居て、何か嬉しい。当時それだけインパクトが有ったんだろうな。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-06-14 23:20:46)(良:1票)
52.  ロスト・バケーション 《ネタバレ》 
スマホの画面が浮き出る演出。そういう機能を持ったスマホが出来た時代のSF映画かと思ってしまった。  ナンシーとサーファー男二人の格好いいサーフシーン。この辺で、序盤のサーフボードとカメラヘルメットの持ち主が解る。彼女たちに待ち受ける、良くない未来も。  「もうひと波」とサーファー達と別れるナンシー。でも波も少なくなり、荷物もちょっと心配になったり、寂しさと心細さを感じさせる演出が上手い。  そこからクジラの死骸…あれは、怖いわ。  サメとの闘いはスリリングで迫力もある。だけど決着は、あそこまでドラマチックじゃなくても良かったかも。  太ももの傷が痛い痛い痛い。見てるこっちも大口開けて「ア~~・・・アフッ!!」って思わず声が出る。  そしてカモメが可愛い。捕まえて食べるのか?ってミスリードからの治療→指かじり。可愛い。  サンゴ、クラゲのフラグもキッチリ回収。  タイトルのThe Shallows =『浅瀬』が充分に活かされた、もどかしいシチュエーションが見事。  なのに敢えてロストバケーションにした効果はイマイチ感じられない。原題ままで良かったかもしれない。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-11-26 00:31:36)(良:1票)
53.  ルパン三世 カリオストロの城 《ネタバレ》 
私の世代のルパンはピンクジャケットでしょうか。でも全然観てなくて、夕方の再放送の赤ジャケが一番馴染みがありました。 夏休みとかの午前中に放送されていた、もっと古いルパンが緑ジャケですね。チャーリー・コーセイの歌が格好良く(子供には可笑しかったけど)、インパクトが有りましたね。 ルパンのTVアニメは当初、ハードボイルドな怪盗&殺し屋という大人向けの作風でしたが、あまりの低視聴率から監督が自主降板。テコ入れで参加させられたのが宮崎監督。大人向けに完成しているルパンというキャラを、視聴率のために子供向けに軌道修正して創り変えられたそうです。健闘及ばず、緑ジャケのルパンは23話で番組打ち切りという結末を迎えました。 再放送で人気が出たルパン。本作公開当時、テレビでは赤ジャケのルパンが放送されていました。赤ジャケのルパンは155話もの長寿番組となり、以降映画やTVスペシャルでは、赤ジャケがルパンの代名詞となっています。  では何故、カリオストロでは緑ジャケに逆戻りしてたのか?宮崎監督はおそらく、自分が育てた(産んだわけではない)不遇な緑ジャケ・ルパンの、最後の大冒険・引退の物語として、本作を創ったんじゃないでしょうか?そうであれば、本作の優しいルパンが、モンキー・パンチ氏の創ったアダルトなルパンとも、コミカルな赤ジャケとも違うことが観えてきます。  最初のカジノでルパン一味は「ざっと50億」もの大金を手に入れます。モナコだから円ではなくフランかな?'79年あたりは1フラン=50円~60円。これはもう一生遊んで暮らせるお金です。泥棒稼業の“退職金”としては充分な金額だったハズ。 だけどルパンは偽札だからって捨ててしまいます。自分たちの“退職金”が偽札だったなんて恰好悪いコトが出来なかったんでしょう。 「次元、次の仕事は決まったぜ!!」カリオストロ公国のゴート札。ここを攻略したって偽札しか手に入らないはず。尻尾を巻いて逃げ出した、駆け出しのチンピラ時代の精算なのか。思い残しを無くすことが、今のルパンが考える“仕事”なのかもしれません。そう考えると、たまたま出会った少女を悪い奴から助ける事も、今のルパンには立派な“仕事”なんでしょう。 派手なベンツから安い大衆車フィアットに乗り換え、100円ライターを使ってシケモクを吸い、カップうどんを食べる。そして何より不二子を“追わなくなった”ルパン。不二子とは実に1年ぶりの再会。 豪勢なもの、精巧な偽札、不二子との縮まることのない男女の関係さえ、今のルパンには宝物では無くなっていたのかもしれません。  カリオストロのダム湖の秘密を暴き、無垢なお姫様と一緒に暮らす未来も掴めたのに、彼女を抱きしめることなく立ち去るルパン。 「ヤツはとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です」ルパン三世の長い歴史の中で、クラリスの心ほど価値のあるものがあっただろうか? 「おめえ、残っててもいいんだぜ?」返事をしないルパンが、不二子の収穫、偽札の原盤を見て元気を振り絞る。そして追いかけっこはいつまでも続く… 宮崎監督が育てた緑ジャケットのルパン三世は、宮崎監督の考える最も価値のあるものを盗んだからこそ、このカリオストロの城が最終回なんです。
[地上波(邦画)] 10点(2023-05-27 01:23:31)(良:1票)
54.  大魔神 《ネタバレ》 
映画自体は観たこと無いけど二次創作でよく知っていた大魔神。 誰もが知ってる変身シーンは、もしかしたら日本のヒーローの変身ポーズの元祖だろうか? ま、観るまでもなく、想像したそのまんまな内容だろうなって思ってたけど、それがまたどうして、予想以上に迫力があった。  額に杭が打ち込まれ、流れ出る真っ赤な血のおどろおどろしさは、観ていてゾッとした。 穏やかな顔の武神像が腕の動きに連動して怒りの表情になる、有名な変身シークエンス。あの目。眼力。アオリ気味に下から見上げる構図の素晴らしいこと。 最初に城下に現れたシーンで、物見櫓の横に立ち止まる大魔神。ここで約4秒、微動だにしない姿は息を呑む迫力。 逃げ遅れた兵を攻撃するシーンでは。屋根に隠れて胸から上が見えない。大魔神が腕を振り下ろすと、屋根が壊れて顔が出てくる完璧なカメラワーク。  城下町をメチャクチャにする大魔神、決して善人の味方ではなく、荒ぶる神として暴れるのも素晴らしい。己の額に杭を打ち込ませた領主への天誅。左馬之助を殺した後の、怒りの収まっていない目の迫力。抵抗するものはもちろん、無関係な村人も被害に合う無尽蔵さ。これぞ神の怒り。 巨石や巨木、滝なんかを神として崇拝した日本人。日本古来の自然信仰。暴れる武神像は、まさに自然災害と言える。 最後に土になって崩れ落ちるところも、大魔神が異世界の魔物や宇宙の神秘でなく、あくまで自然から産まれたものって感じで、味わい深い最後だったと思う。自然の力に対し、無力な人間は、ただ怒りが鎮まるよう祈るしかない。  ウルトラマンやゴジラは身長50mとかだけど、この大魔神は4.5mと小さい。その大きさだからこそ、魔神の表情、怒りに満ちた目が、肉眼でハッキリ見て取れる。踏み潰される人間の痛さ、睨まれる怖さが伝わる。 刀も鉄砲も効かない、大魔神の圧倒的な力。これも相手が戦車やミサイルだとどうなんだ?とかって思ってしまうから、戦国時代って設定も絶妙。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-03-08 22:58:39)(良:1票)
55.  ボディガード(1992) 《ネタバレ》 
ひたすら、ケビンの格好良さに見惚れる為の映画。  同時にホイットニーの歌唱力全開な映画だけど、そっちのイメージは彼女の急逝から付け加えられた印象があり、やはり公開当時はケビンの『俺カッコいいぜ』映画だったように思う。  劇中、レイチェルがフランクに惚れる(正しくはお互いに惹かれ合う)が、そのプロセス描写が薄味で急展開な感じがしてしまう。  でも当時を思い出せば、飛ぶ鳥を落とす格好良さのケビン様、「何で惚れたかって?俺の他の映画見てないのかい?」とでも言わんばかりに、クドクドとした理由など不要です。  …ただレイチェル、ポートマンとも簡単にチュッチュ始めるし、有名人で一児の母にしては、緩いというか安っぽさを感じてしまう。いつも近くにいるトニーがそんな彼女に一途な理由が分からない。  みなさんご指摘の通り、依頼主と簡単に寝てしまうフランクにプロ意識は感じられない。そんでヤルことヤったら「こんなんじゃ君を守れない」とかそれらしいこと言って捨てる。…無いわこの人。  そこからホイットニーはワガママ全開になるが、あんな仕打ちを受けたら誰だってプライドボロボロになると思う。悪いのはフランク。  最後、そんなに意外でも無い犯人が正体を現すが、彼は犯行前にフランクにすぐバレる嘘をつく。もし犯行が成功した場合、彼はどうやって逃げるつもりだったんだろう?  そして空港での別れ。ベタだけどグッと来るものがある。  先代依頼主を守るシーンから映画が始まり、次の依頼主を護衛する地味なシーンで終わる構成はとても良い。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-11-25 23:11:57)(笑:1票)
56.  大魔神怒る 《ネタバレ》 
前作と同年の夏に作られた第2作目。夏といえば水遊び、本作は湖の畔が舞台です。 で、知らなかったけど大魔神って1体だけじゃなかったのね。日本の各地に武神像があって、本作の魔神は湖の島に祀られている“水の魔神”。1作目のはさしずめ“土の魔神”だろうか?最後の去り際も、それぞれの属性に準じた消え方をしてる。 比較ばかりのレビューになってしまうけど、序盤から山をズンズン歩いていた(音だけ)前作に比べ、本作は魔神の活躍は終盤のみに集積されている。魔神登場まで、そのまんま、ただ時代劇を観てる気分になる。  武神像の顔が赤くなったのは、早百合を見て照れたのかと思ってしまった。破壊のために爆薬を使うのは、前作で有効かどうか気になった戦い方。あれだけの爆薬だったら、たとえ武神像でも粉微塵に破壊できるんだな。 早百合の涙で動きだし、悪を倒した後、早百合の涙で止まる大魔神は、2作目にして正義のヒーロー物になってしまった。止めようのない自然災害、荒ぶる神の怒りを魅せてくれた前作と比べ、同じ大魔神でも別人格の存在に思えた。もちろん2作品の魔神は別々の存在だから、問題はないんだけど、身近な神様になってしまった気がして、残念にも感じた。  ただ自分に害を与えた親玉が誰かを判断し、確実に惨殺(!)するところは、やっぱ大魔神さん怖ぇ…って思えた。 本作の武神像は、名越の殿さまが国の神様として永らく祀っていたものだから、民も武神を信仰していただろうし、村人に優しい魔神になったのかな?
[インターネット(邦画)] 5点(2022-03-24 01:30:26)(良:1票)
57.  ターミネーター 《ネタバレ》 
~The Terminator~信号回路の終端抵抗。無機質でカッコいいネーミングだ。 レンタルビデオ屋に並ぶシュワルツェネッガーのポスターたち。コマンドー、ゴリラ、近くプレデターってのもやるらしい。そして人気急上昇の彼を、一躍ヒーローに押し上げた作品こそ、このターミネーターだ。 …という認識だったが、詳しい友人の話を聞くと、このターミネーターは悪者ロボットらしい。そして主人公は別の人で、シュワと戦って死んでしまうそうな…なんかイメージと違う。 初見は日曜洋画劇場だったと思う。そんなにお金の掛かっていない映画なんだけど、とにかく衝撃だった。 主人公カイル・リース。未来からただ1人、援軍も武器もなく、無敵のサイボーグから1人の女性を守るためだけに、身一つで過去に来た男。どこか影があり、疲れ切った表情を見せつつも、絶対不利な状況でも諦めずに戦うカイルは、今までのヒーローとは違う魅力を見せてくれた。 当初はシュワの活躍に期待していたが、物語が進むうちに、カイルとサラの逃避行が成功するように、祈るような気持ちで観てしまった。皮膚が破損し、焼かれ、骨だけになっても襲ってくるターミネーター。最後自分の身を呈してサラを守るカイル。自己犠牲。こんな悲しい結末ってあるだろうか?スカッとするSFアクションを観るつもりだったのに、私には最高に悲しい恋愛映画に映った。 同姓同名殺人事件に巻き込まれ、友達まで殺され、一方的な被害者だったサラ。当然ながらカイルの突飛な話は信じられない。一番安全なハズの警察署さえ襲う殺人鬼から自分を守ってくれるカイル。信頼関係と愛情の芽生え。終盤ボロボロになったカイルを鼓舞、最後は自らターミネーターにとどめを刺す。最初ドン臭い普通の女子大生で、守られるだけの存在だったサラが、最後は銃を手に嵐が来る未来へと旅立つ。こんな絶望的な結末ってあるだろうか? …余談だけど最後サラが南米に行ったのは、唯一生き残った(ハズの)家族、イグアナのパグちゃんを安全に逃がすためだろうと推測。 ノストラダムス、マッドマックス、北斗の拳…当時小学生だった私たちにとって、数年後の世紀末に核戦争とかで地球が滅びるのは当然の出来事で、避けられない確実な未来だった(半分本当にそう思ってた)。 核戦争が起きるキッカケは諸説あったけど、米ソの対立ではなく、コンピューターが人類に対し戦争を始めるという、ターミネーターの設定はリアリティーがあった。2029年にもなれば、人間そっくりなサイボーグはもちろん、タイムマシンの一つも出来て当然だろう。って。 カイルは死に、世界は近い未来滅びる事は変えられない。だけど小さな希望(ジョン・コナー)は守りきった。 悲しい結末なのに何度も見直してしまうこの作品の魅力。何十回、何百回と観ているうちに、そのうちカイルが生還する結末(タイムパラドックスだ)にならないかな?って、気持ちで観てたこともあったな。  いつまでも大好きな映画。
[地上波(吹替)] 10点(2021-07-31 23:38:20)(良:1票)
58.  ガメラ2  レギオン襲来 《ネタバレ》 
前作から僅か1年で、しかもこれほどの進化を遂げての映画化が凄い。 前作の丸々したガメラに対し、クワッと凛々しい本作のガメラ。同じガメラとは思えない造形から醸し出される雰囲気は、もう子供の味方という愛嬌は感じられない。しかも本作は、血が飛び散るなどのスプラッタ描写、巨大昆虫が群がってくる気持ち悪さ、水野美紀の健康的な太ももを撮り倒すカメラワークと、前作以上に対象年齢が高め。前作の大迫刑事がチョコっと出てくるのも面白い。浅黄は結構重要なポジションで出てくるけど、相変わらず、どこか遥か遠くを見つめてるような目。頑張って演技してるんだなって、ある意味可愛く思える。  さて、はい。もう札幌市民としては嬉しさと懐かしさがギュッと凝縮された映画ですよ。四半世紀前の札幌の空気が感じられる映画。不謹慎に思われるかもしれないけど、自分の街が怪獣に壊される嬉しさ、怪獣が地元に来るって、こんなにワクワクするんだって、この作品でようやく私も実感できました。 初っ端からラジオの周波数が1440と来た。青少年科学館の学芸員って、当時あんな制服だったっけ?今は廃墟のパーラー・マコマナイ、真駒内駐屯地があるからって南区ばっかりズルい。あミスターだ、ヤスケン痩せてる。…って、札幌市民は大興奮ですよ。むしろ当時当たり前だった光景が無くなってたりで、当時観たとき以上に興奮してました。 そして改めてミニチュアの街の再現度の凄さを実感。つい数年前に解体されたロビンソン百貨店、当然ながら4号エレベーターまで造ってある。レギオンに巣食われるロビンソンは、ちょうど真下が地下鉄すすきの駅で、当時の飲み会の待ち合わせスポットだったから、札幌で一番、携帯の電波とかが飛んでいた場所かもしれない。  クローバーフィールドの10年以上前に、ゴジラUSAより数年前に、大怪獣とミニ怪獣のコンビネーションを出していたのには、さすが怪獣映画大国日本!って思った。CG技術はハリウッドに劣るけど、アイデアと特撮の味わいは決して負けてないぞ。その自覚があるから、CGは味付け程度にして、得意分野の特撮技術を全面に押し出す心意気が素晴らしい。 本作で地元が舞台だったのも大きいけど、ガメラと日本人、自衛隊員と勇気ある民間人(アメリカ軍のチカラ借りてないんだから人類とは言わない)が、お互い意志疎通出来ないながら、共同で宇宙怪獣を倒す。エンディングのウルフルズを聞いていて、ガメラという存在がとても愛おしく感じられた。
[ビデオ(邦画)] 7点(2022-06-13 23:18:45)(良:1票)
59.  リトル・ダンサー 《ネタバレ》 
-Billy Elliot- 主人公の少年の名前。イギリスの炭鉱町を舞台にした映画って数本あるけど、結構みんな出来が良い印象。 才能のある人が必ずしも才能を伸ばせる環境に居るとは限らない。ビリーもそうで、如何にも頭の硬そうな父親と、話の通じ無さそうな兄。徘徊する祖母。毎日の組合のストライキと、働くものへのバッシング。どう見たって将来に向かって希望を見出だせない環境で、突如ビリーに開花したのは“バレエ”という特殊な才能。もともとビリーにボクシングを習わせていたのは、単に男らしさを身に付けさせるためでしか無かったんだろう。 父親として、息子の将来にレールを敷いてやれない現状。  そんな父の決断、覚悟が凄い。自分の信念、置かれている環境、それを全部捨ててでもビリーのバレエの才能に全部賭け、炭坑行きのバスに乗る覚悟の重さ。 『息子がバレエが好きだから』とか、そんなレベルでする覚悟じゃない。炭坑の仕事は遅かれ早かれ無くなる。自分もトニー(兄)も失業して別な仕事を探さなきゃいけない。だけどビリーだけは将来バレエで食べていける。息子に自分と違う人生を歩ませる為、偏見を捨て、自分の価値観を捨て、父親として出来る限りの、なりふり構わない手助け。この姿勢こそが本当の男らしさ。父親らしさじゃないだろうか。  女の子との関係。親友との関係と、男女の性に対するビリーの苦悩とかがもっと描かれるかとも思ったけど、ビリーは一本筋の通った男らしい少年だったかな。それでいて親友の性に対する悩みにも理解を示せるあたり、あの父親の子供なんだなぁって、微笑ましくも思えた。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-09-25 18:21:14)(良:1票)
60.  バニー・レークは行方不明 《ネタバレ》 
~Bunny Lake is Missing~邦題ズバリ。 ダフネ先生は見つからない、見守りを頼んだドイツ人の料理人は辞めてしまう、目撃者はゼロ。バニーちゃん行方不明からの描写が丁寧なぶん、アンと共に不安になり、スティーブンと共に苛立ってしまう、丁寧で上手な観せ方。 園長室の異世界っぷり。マイペースなフォードお婆ちゃんといい、軽快な音楽といい、まるで別な映画、千と千尋の湯婆婆の部屋みたいだ。 アンの家も異世界になっていた。ネチネチとアンに絡んでくるホレイチョ・ウィルソンの気持ち悪さは鳥肌モノ。なぜあの家主の家を選んだか。 ジャンケット(フルーチェみたいなものだろうか?)食べながら、一見、回りくどい捜査をしているけど、ズバズバ核心をついてくるニューハウス警視。この人が主要登場人物の中で唯一(?)の一貫した良心の持ち主だと後々気がつく。 スティーブンの豹変ぶりに驚き、それを受け入れてるアンにもっと驚く。何だこの兄妹?この映画の“時代の先取り感”は何だ?モノクロだけど'65年作品だから、カラーの時代のモノクロ作品。 “初日の部屋”“人形の病院”耳に残る名前。「みんみ~~」人形の声可愛い。 バニーちゃんは4歳だから、5年前にアンがちょっと付き合ってた学校の友達が父親。って事だけど、やっぱスティーブンが怪しい。近親相姦的な…そうなると一番不幸なのはバニーちゃんか。 最初から成立しようのない“バニーちゃん=架空の友達”説。でも観ているとバニーちゃんの存在が怪しく見えるから不思議だ。一度も登場してない、都合よく写真もない。 ガラスを割ってバニーちゃんを助けに入るアン…と思いきや、保育園からバレずに誘拐したスティーブンを褒めてる。いきなり飛び込んできたアンに驚かないスティーブン。もしかしてこの事件全体が兄妹の遊び、行方不明ゲームなのか? しかし何故、アンがブランコでスティーブンの気を引いてるとき、バニーちゃんは人形を抱いて寝たふりをしたのか?そしてどうしてそれを劇中丁寧に流したのか?4歳児の気持ちになって考えてみなくては…
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-07-09 23:34:56)(良:1票)

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