Menu
 > レビュワー
 > 鉄腕麗人 さんのレビュー一覧。37ページ目
鉄腕麗人さんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2598
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
>> 通常表示
721.  ミッション・トゥ・マーズ
宇宙への無限性という、宇宙哲学を語る上では王道的な主題をクオリティの高い映像と共に見せつけてくる秀作であった。宇宙空間の虚無とか未知を精神世界のそれとリンクさせる展開は非常に興味深く、一生命体としての感慨深さを感じた。ティム・ロビンスが早々に消えてしまうのには残念だったが、極めて完成度の高い映画だったと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2003-12-12 01:19:22)(良:1票)
722.  レオン(1994)
この映画がなければ私は今ほど映画が好きではなかったかもしれない。そう思うほど私にとって今作は衝撃的かつ感動的であった。脚本、演技、カメラワークとあらゆる面で私の映画における可能性を広げてくれた作品だった。
10点(2003-09-27 19:12:50)(良:1票)
723.  終戦のエンペラー
69回目の終戦記念日に、この映画を観たことには、意味があったと思える。 つくづく思うことは、やはりこの国の人々は、自国での「戦争」のことを知らな過ぎるんではないかということだ。 知らないというよりも、目を背け続けていると言う方が正しいかもしれない。 戦争体験者も、未経験者も、まるで持って生まれた「体質」が無意識にそうさせているように、言及し、追求することを避け続けているように思える。 それは、時間の経過と共に、より一層に“語り継ぐ”ということの重要性が叫ばれている今となってもだ。 体験としての悲劇が語られる場合はまだ多い。しかし、なぜあの戦争が起こったのか、なぜあの戦争が終わったのか。その核心的な部分については、まだまだひた隠しにされている「事実」が多過ぎるように思わざるを得ない。  それが、この映画の主題としても描かれる、日本人の性質に直結するものかどうかということも興味深いし、一つの可能性として描かれる「史実」もとても興味深かった。  昭和天皇とマッカーサー元帥並ぶあまりに有名な一枚の写真。 あの不穏さと互いの所在なさを感じる歴史的な写真の裏に隠された事実は何だったのだろうか。 日本という国にとって、マッカーサーとはどういう人間だったのか。 日本人という民にとって、天皇“裕仁”とはどういう人間だったのか。  この映画で描かれている物語が総て真実だとは思わない。 しかし、この国が守り続けた美徳も、それに伴う愚かさも、その描かれ方は、決して過剰なわけではなく、確かな一側面を描いていると思える。  そういう意味で、この映画の演出、俳優たち演技は、それぞれ真っ当だったと思う。 ストーリーテリングや編集に稚拙さを感じることは禁じ得ない。 でも、多くの人が“タブー”として目を背けがちである事実を、アメリカと日本の人々が供託して追求したことの価値は高いと思う。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-08-16 00:23:38)(良:1票)
724.  ハムナプトラ/失われた砂漠の都
娯楽映画はハリウッドを中心に毎年大量に量産されているが、近年においてはもっとも「娯楽映画」という名にふさわしい映画ではないかと思う。もちろん広く見れば、今作よりも優れたエンターテイメント映画は数多いが、あえて娯楽映画という言い方に限定すれば、そのノリの良さ、展開の小気味良さを考慮して今作は極めて秀逸である。
8点(2003-11-25 14:22:29)(良:1票)
725.  ベイビーわるきゅーれ
いつの時代も、“動ける”女優は魅力的で美しい。それは映画が「活動写真」と呼ばれた時代から娯楽的本質だと思う。 髙石あかりと伊澤彩織、主人公のJK殺し屋コンビを演じた二人の無名女優が、何をおいてもとても魅力的だった。  特に、圧倒的な体術を駆使して襲いくる男たちを凌駕する“まひろ”を演じた伊澤彩織は新時代の“アクション女優”として、この映画を観たすべての映画ファンの心を射抜いている。 「キングダム」「るろうに剣心」「G.I.ジョー」と日米の大作映画でメインキャストの“スタントダブル”を務めたという紛れもない一流スタントである経歴を踏まえたアクションの説得力と、朴訥としていてそれ故に瑞々しい存在感は唯一無二だった。 バイトの面接に落ちて、意気消沈のまま気だるそうにソファの背もたれ側からクルッと前回りして寝転がる。 そんなあまりにも何気ない1カットにこの女優の魅力が凝縮されていたように思う。  一方の髙石あかりも、特異なルックスと勘のいい動きや台詞回しに女優としての天賦の才の片鱗が溢れていた。 ビジュアル的にも、演じるキャラクター性としても正反対のアンバランスさが、逆説的に主人公コンビとして絶妙なバランス感を生んでいたと思える。  監督・脚本・編集を務める阪元裕吾の作品は、本作の前作の「ある用務員」を昨年観たけれど、映画作品としてのクオリティの低さに失笑を禁じ得なかった。 本作は、キャラクター設定こそ微妙に違えど、「ある用務員」にも登場したJK殺し屋コンビ主人公にしたスピンオフとも言える作品だが、クオリティと満足度は“爆上がり”している。 作品の世界観自体はほぼ同じユニバースと言え、雰囲気は共通していたが、演者のフィット感や、演出のディティールが段違いだったと思う。 主人公たちがバイト先に選んだメイドカフェのバイトリーダー的な先輩が貧乏で、コンビニのデカくて安いパンしか食べられない描写が秀逸だった。  めでたく続編製作が決定したようで、楽しみである。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-05-05 21:54:36)(良:1票)
726.  犬神家の一族(2006)
映画監督・市川崑、91歳。 はっきり言って、ただそれだけで、日本の映画界における至宝であり、伝説である。 その大々巨匠が、再びメガフォンをとる(この言い方ももはや年季を感じる)。しかも撮るのは「犬神家の一族」、主演は30年前と同じ石坂浩二、否が応にも驚きと期待が膨らむというもの。  実際、映画の内容がどうであれ、齢90を越える“生ける伝説”が撮る映画である。それがすべてだと思わざるを得ない。 そうして生み出された稀代のリメイクは、30年前のそれと同じく、衰えを全く感じさせない日本のミステリーの礎とも言える物語の見事な“再現”だったと思う。  ストーリー構成、キャラクター造形、シーン設定などそのほとんどが30年前のそれと、ほぼ狂いなく描き出されていることは、新しさには欠け、物語としての驚きはあまりない。  が、それでも観客を引き付けるのが、この物語の魅力であり、描き出した市川崑という映画人の絶対的な“力量”だと思う。
[映画館(邦画)] 7点(2006-12-24 02:28:53)(良:1票)
727.  オクジャ/okja 《ネタバレ》 
韓国が生んだ巨匠ポン・ジュノの最新作は、Netflixによる世界同時配信映画であるに相応しく、非常に触れやすく見やすいエンターテイメント性に富んだ楽しいアクション・アドベンチャーである……ように見えるが、勿論そんな映画ではない。 当然ながら、ポン・ジュノがそんな分かりやすく楽観的な映画を作るはずもない。 この作品は、おそらく、「食品」として肉を食べている地球上の人間総てにとって、居心地の悪い映画となることだろう。  この“居心地が悪い”とは、「気持ち悪い」とか「見ていられない」とかそういう類のものではない。 冒頭に記した通り、この映画はエンターテイメント性に溢れていて、愉快だし、高揚する。それは間違いない。 けれど、そういった映画としての「娯楽性」を感じた瞬間に、はたと気づく。 「あれ…、自分はこのシーンに対して楽しんでいい立場の人間ではないぞ……」 現実を突きつけられて、途端に居たたまれなくなる。 極めて「意地悪」な映画であり、だからこそ流石だと苦笑いをしつつ感嘆する。  不可思議な巨大生物と幼気な少女のハートウォーミングな交流シーンから、突如として、この世界の「食」が抱える闇と真理が、「肉採取機」のように容赦なく抉り出される。 その様は、あまりに残酷で無慈悲に見えるけれど、観客はそれを心の底から否定できない。 そして、映し出される描写が滑稽であるほどに、徐々に確実に笑えなくなってくる。  ティルダ・スウィントンが相変わらず演技派女優らしからぬぶっ飛んだ演技で「悪役」姉妹を一人二役で怪演している。 しかし、結果として、彼女たちは何も裁かれることはない。むしろきっちりと計画的に当初の目論見を成し遂げる。 何故ならば、彼女たちの悲願である“ビジネス”は決して悪事ではなく、現代社会の食文化の「理」そのものだからだ。  愛する“オクジャ”を救うために、身ひとつで巨大企業に挑んだ少女は、その「理」に跳ね返され、打ちのめされる。 彼女が唯一携えていた「現実」によって、すんでのところで“オクジャ”は救い出せたように見えるけれど、それは自分が愛する巨大な生物をついに「食品」として受け入れざるを得なかったことに他ならない。 そうして彼女は、おびただしい数の虚無と絶望に文字通りに覆い囲まれながら、暗い暗い帰路を辿る。   世界の食糧事情を解消するために「遺伝子操作」をすることは罪か? それでは、美味しい食肉を生産するために「品種改良」をすることは罪ではないのか?  その身勝手で曖昧なラインが明確にならない限り、この映画の「居心地」は益々悪くなり続けるだろう。 そういうことを感じながら、今日も僕は、この世界の何処かで“作られた”肉を食べている。
[インターネット(字幕)] 8点(2017-07-18 13:29:21)(良:1票)
728.  9<ナイン> ~9番目の奇妙な人形~ 《ネタバレ》 
タイトル通りに、“奇妙な人形”の「奇妙」な映画だった。ただし、その「奇妙」さが、決して映画としての“深み”に直結しているというわけではなく、想像以上に「淡白」な映画と言わざるを得ない。  ふと目覚めたつぎはぎの奇妙な人形、背中には意味深な「9」と文字。「荒涼」と化した世界に降り立ち、謎に溢れた冒険が始まる。 オリジナリティに溢れたクオリティーの高い映像は冒頭から圧巻で、印象的なイントロダクションに期待感は益々深まる。  しかし、そこから繰り広げられるストーリー展開は、王道的というよりもチープ。 破滅した世界に残された9体の人形と、世界を破滅させたマシンとの攻防は、アクション性が想像以上に高い反面、プロットに工夫が無い。  映画としては成立しないだろうが、台詞やモノローグ一切無しで、クオリティーの高い映像をひたすらに流しっぱなしにした方が、よっぽど「面白い」と思わさせるような、中身の無い勿体ない映画だったと思う。
[DVD(字幕)] 4点(2011-02-26 10:35:27)(良:1票)
729.  来る
結局、最も凶悪でおぞましい存在の極みは、お化けでも、妖怪でも、怨霊でもなく、「人間」であるということが、この物語の発端であり、着地でもあった。 その物語のテーマ性は、劇中の台詞の中にも登場するが、「ゲゲゲの鬼太郎」の時代から“ホラー”の中で延々と語られているものだろう。 ただし、そのある種普遍的なテーマ性を孕んだストーリーを、中島哲也監督が盤石のキャスト陣で映画化したならば、そりゃあ例によって“劇薬”的な映画になるに決まっている。  「下妻物語」以来のこの監督の作品のファンだ。特に直近の2作品「告白」、「渇き。」は、ただでさえ過激な原作世界に、中島監督ならではの悪意とインスピレーションを盛り込んだ映画づくりにより、クラクラしっぱなしの映画体験を食らわされた。 ビビットな映画的色彩の中で、醜く、滑稽な、人間の本質的な闇を浮き彫りにすることにこの監督は長けている。 そして、その人間描写をジメジメと陰鬱に描き出すのではなく、まるで悪魔が高笑いをしているかのような豪胆さ、即ち“エンターテイメント”を全面に打ち出してくる作風に、毎回ノックアウトを食らうのだ。  今作では、“ほぎわん”という恐怖の対象をある種のマクガフィン的にストーリーの主軸に据え、それに対峙する人間たちがそもそも抱えていたドロドロとした闇を、おぞましく、破滅的に描きつけている。 章立てされた群像劇的なストーリーテリングの中で、主要キャラクターを演じた俳優たちはみな素晴らしかったと思う。  妻夫木聡は、前作「渇き。」に引き続き、実に愚かなクソ野郎ぶりを見事に見せつけてくれる。 黒木華は、「リップヴァンウィンクルの花嫁」と似たようなキャラクターを演じているな〜と思わせておいて、一転、心の闇を爆発させる女性像を痛々しく体現する。 岡田准一は、もはや貫禄を帯びてきた俳優力で、途中登場ながら主人公としての存在感を放っていた。 松たか子、小松菜奈による中島映画歴代ダークヒロインコンビは、あまりにも魅力的な霊能者姉妹を演じ、彼女たちが再登場する続編を観たい!と思わせた。 青木崇高、柴田理恵をはじめとする脇役、端役の面々も、それぞれがキャラクターの存在感を放ち、映画世界をより重層的に彩っていたと思う。  と、総じて満足度の高い期待通りの映画であったことは間違いはない。 ただし、前述の過去2作と比べると、何か一抹の物足りなさが残っていることも否めない。 思うに、この監督と、このキャスト、そしてこのストーリーであれば、もっともっと弾け飛ばせれたのではないかと思える。 ラストの「対決」に至るまでの盛り上がり方は最高だったが、肝心の対決そのものの描写、そして映画の締め方が、この作り手にしては大人しく萎んでしまったように見えた。  いかにもなジャパニーズホラー的な起点から、自らそれを嘲笑うかのような終着へ導いているのだから、もっと爆発的で破壊的な顛末を見せて欲しかったと思うのだ。 この一抹のフラストレーションを、あの夥しい血流の中できっと生き抜いているであろう霊能者(姉)が祓ってくれることを望む。
[映画館(邦画)] 8点(2018-12-23 20:44:40)(良:1票)
730.  お引越し
このタイトルゆえにこの映画があまり知られていないということは多分にあると思う。なぜこんなタイトルにしてしまったのかは不明だが、映画自体はとてもよく出来た家族ドラマだった。何と言っても子役として主演している田畑智子の演技が素晴らしい。子供らしいエネルギーと複雑な心理状況を見事に演じていた。相米監督ならではの淡々としたカメラワークと映像美も印象深い秀作である。
8点(2003-12-21 17:44:19)(良:1票)
731.  ゾンビランド 《ネタバレ》 
基本的にタイトルに“ゾンビ”というワードが入った映画は観ない。理由はただ単に、「怖いから」だ。 何歳になってもホラーは苦手で、故にゾンビ映画も避けてきた。 ただし本作は、もろに「ゾンビランド」と銘打ってはいるけれど、他のゾンビ映画に対して随分と“毛色”が違う感じがありありとしたので、意を決して観てみた。  言うなれば、「ゾンビ映画」というジャンルを冠したロードムービーといったところか。もしくは、ゾンビ映画そのものをパロディ化したコメディ映画とも言える。  ゾンビが蔓延る世界で何とか生き延びている元ひきこもりの青年と息子を亡くした無頼漢と美人詐欺師姉妹が出会い、道中を共にしながら、結束を強め無くしていたものを取り戻していくという、想像以上にドストレートなストーリー展開だった。  正直なところ、もっと破天荒でエスプリが効いた映画世界を期待していた部分もあったので、物足りなさは否めない。 全編に点在するコメディ要素も少々ローカルネタすぎるというか、アメリカではウケるのだろうなというものが多くて、入り込めなかった。(「トゥインキー」って結局どんなものなのかいまいち分からずじまい……)  展開はもうひとつパンチが足りなかったけれど、主要キャストはそれぞれ良い味を出していた。  特に、「ソーシャル・ネットワーク」でフェイスブックの創始者を演じてアカデミー賞にノミネートされたジェシー・アイゼンバーグは、神経質な主人公を好演していた。 「ソーシャル~」の時とほとんど同じ風貌で登場し、今作での役どころも引きこもりのパソコンオタクという設定なので、キャラクター性に面白い類似性があった。まったく関係のない映画だが、「ソーシャル・ネットワーク」の“パラレルワールド”という位置づけで観ると、また違った面白味が生まれてきそうだ。  ところどころで脱線したり、無意味に思える演出も多い映画だったが、そういう“粗”自体がこの映画の面白さだろう。 僕のように、「ゾンビ映画」が苦手な人のための「ゾンビ映画」だとも言えると思う。   あー、あとこれは言っておかなければ。  ビル・マーレイは流石だ。
[DVD(字幕)] 6点(2011-04-03 01:54:15)(良:1票)
732.  愛してるって言っておくね
自分自身が、「親」という存在になって9年半。 この12分の短編アニメに登場する「娘」は、愛娘とほぼ同じ年頃だ。  無論、悲しくてやりきれないし、理不尽さに対する憤りに心が張り裂けそうになる。 映し出される両親の虚無感は、極めてシンプルだけれど情感的なアニメーションによって、静かに、ゆっくりと、鑑賞者の心をも覆い尽くした。  この20年あまり、同様の悲劇のニュースが、かの国から絶えることはない。 自分の子が生まれてからも、幾度となく、無差別な銃乱射によって理不尽に奪われた子供たちの命を知る度に、とても他人事とは思えず身につまされてきた。  この短いアニメーションの中では、「惨劇」そのものが映し出されることはない。 ただ、大きな“星条旗”の下で、凶弾と子供たちの叫び声が響き渡る。その「意図」は明らかだろう。  「If Anything Happens I Love You(愛してるって言っておくね)」  この短いメッセージを、誰が、誰に対して、どのような状況で伝えたのか。 それが明らかになったとき、堪えてきた涙腺は一気に決壊した。   12分という短い時間は、必然的に“悲しみ”の感情でほぼ埋め尽くされている。 でもこのアニメは、ただ悲しいだけ、ただ辛いだけの作品では決して無い。  彼らにとって何よりも大切な娘を失ってしまった喪失感は、絶望と共に深まると同時に、彼女が確かに存在したことも確実に浮き彫りにしていく。  転がったミートボール、おかしな壁の修繕跡、Tシャツの残り香、思い出の写真や音楽、そして、彼女と過ごした記憶そのもの。  彼女の短い人生の中の無数の思い出は決して無くならず、思い出すことがまた思い出となっていく。 悲しみが消えて無くなることはないけれど、それでも生きていく。 人間は、そういうふうにできている。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-12-19 22:10:49)(良:1票)
733.  アナコンダ
ジャングルの大蛇という、モンスター映画としても非常に単純な題材ではあるけど、CG等にある程度のクオリティを保ちつつB級テイストの仕上がりは味わいがあった。アナコンダから吐き出され、半分溶けている悪役ジョン・ヴォイトのウインクが印象深い。
[映画館(字幕)] 7点(2003-10-25 14:54:31)(良:1票)
734.  劇場版 鬼滅の刃 無限列車編 《ネタバレ》 
封切り3日間で46億円超の興収に至ったとか、映画館のタイムスケジュールが埋め尽くされているとか、あいも変わらずこの国の“ブーム”というものは節操がない。 とかなんとか思いつつも、公開されたその週末に自分自身子供二人を連れ立って、3,800円支払って、46億円の一端を担っているんだからざまあない。   ポップカルチャーに傾倒する者の一人として、社会現象まで巻き起こすような“ブーム”にはとりあえず乗ってみる主義なので、コロナ禍の最中、暇に乗じて手は出してみた。 ただし、ファーストインプレッションでは正直ピンと来ず、某配信サービスでアニメ版の第一話を観たきりしばらく放置してしまっていた。 これは今となっても変わらないが、正直なところもっと面白い漫画やアニメは山程あると思うし、週刊少年ジャンプの作品に限っても、「鬼滅の刃」に至る系譜の上には忘れがたき名作がひしめいている。  とはいえ、この作品が巻き起こすムーブメントはやはり大したものであり、それは子供と暮らしていると本当によく分かる。 小学三年生の長女と、幼稚園年長の長男が、揃って“鬼滅”にハマっていく様を目の当たりにして、一つのエンターテイメントとして「これは大したものだ」と率直に感じた。 そして、その子供たちが突き進む“沼”に引き込まれるように、僕自身も再びアニメシリーズを見進め、妻が借りてきた原作にも手を付けた。  そうして、いささかの抵抗もなく、封切りのタイミングでこの劇場版を鑑賞した次第。  結論から言うと、泣いた。そりゃあ、泣く。 週刊少年ジャンプ全盛期に、そこで連載されてきた数多くの漫画作品と共に育った者として、この漫画雑誌のテーマである「友情」「努力」「勝利」をどストレートに反映したこの漫画世界が織り成す物語に熱くならないわけはなく、二人の子を傍らに置いて鑑賞しつつも、涙は溢れた。  アニメシリーズを通じて今作を成功に至らしめたものは、アニメーションとしてのクオリティの高さだったと思う。 原作漫画も魅力的な作品であることは間違いないが、作画力は決して「上手」な部類ではないだろう。 アニメ作品では、その作画のクオリティを補完し、ハイスペックなビジュアルに昇華させている。そのことが、老若男女問わず幅広い層を熱狂させた要因となっているのは間違いない。  文字も読めない幼児から、中年世代に至るまで、「全集中 水の呼吸!」なんて嬉々として真似をしてしまうのは、ひとえにこのアニメーションのアニメーターや声優たちの功績だろうと思う。  ただその一方で感じた決して小さくないマイナス要因も今作は孕んでいる。 それは、ストーリーテリングにおける“フリ”の弱さと、“説明ゼリフ”の多さだ。 クライマックスに向けたキャラクターたちの対決や葛藤が大きくなればなるほど、本来そこで生じるべき大きなエモーションのための“前フリ”が欠如してしまっていることを感じずにはいられないし、重要な感情表現においてキャラクターたちに心情を語らせすぎるのは、原作漫画自体が持つウィークポイントだと思う。  一人ひとりのキャラクターは味方も敵方も含めてやはり非常に魅力的だと思う。が、しかし、その魅力的なキャラクターたちの熱い言動に対して、前フリやバックグラウンドの描き方がやや希薄に思え、彼らの決断や行為が極めて唐突に感じてしまうことは否めない。  例えば、この劇場版“無限列車編”では、本来の主人公・竈門炭治郎以上に、柱の剣士・煉獄杏寿郎が絶大な存在感を示すわけだが、彼の人生模様と、新たに共闘する炭治郎ら若き剣士たちとの関係性を深める描写がやはり希薄過ぎたと思う。 もちろん煉獄本人の回想シーンによって彼の過去は断片的に伝えられはするけれど、そこに炭治郎や伊之助らが介在することはなく、実際彼らの関係性が深まるようなくだりも無い。 よくよく考えてみれば、この映画の中で描かれるストーリーは、炭治郎らと煉獄杏寿郎がほぼ初対面の状態から突如として死闘に至る極めて短い時間を描いているわけで、絆が深まる余裕などそもそもない。 そうなると、ラストのあの文字通りに“熱い”顛末も、どうしてもエモーショナルに欠け、鼻白んでしまう。  そういう弱点を感じつつも、それでも泣いてしまったことは事実だし、このエンターテイメントに理屈ではない魅力が溢れていることは否定しない。 この“無限列車編”、そして“煉獄の死”そのものが、この漫画世界全体の“前フリ”であることを期待しつつ、この先の展開も子どもたちと一緒に楽しみたいと思う。
[映画館(邦画)] 7点(2020-10-18 23:03:57)(良:1票)
735.  トランスフォーマー/リベンジ
冒頭からいきなり繰り広げられる“トランスフォーマー”たちの怒濤の攻防。 人類の軍隊も加わって、もうどれが味方でどれが敵方なのか訳が分からなくなる程、爆発的で目まぐるしいCGシーンに興奮を通り越して、笑ってしまう。 その時点で、この映画の目的は達成されていると言っていい。  だから、その後に展開されるストーリーがどんなに稚拙だろうが、登場人物たちの安いドラマがちょくちょく挟み込まれようが、さらなる続編のための強引な伏線を見せられようが、非難するべきではない。 そういった容易に想像できるマイナス要素を安直に非難することこそ、浅はかだとさえ思う。  大の大人たちが、子供時代の「想像」を莫大な資金をもってして大真面目に具現化したこの"勢い”だけの映画を、その瞬間だけ単純に楽しめるかどうかで、人生の充実は変わってくると思ったり、思わなかったり。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2010-09-26 20:29:04)(良:1票)
736.  バーフバリ 伝説誕生
話題の超大作インド映画をようやく鑑賞。評判に違わぬ豪華さ、熱さ、美しさを堪能できる「流石、インド映画!」という仕上がり。 物凄い映像的物量を目の当たりにしながら、感覚としては、超豪華絢爛な舞台劇を観ているような特殊な娯楽的迫力が、この作品のパワーであり、あらゆる文化圏を飛び越えて観客を魅了する理由だろう。 インド映画の愛すべきところは、その「躊躇」のなさだと思う。 この国の映画は、描き出そうとする娯楽性に対して、てらいもためらいもない。  当然、今作も冒頭から躊躇はない。 ファーストシーン、祖国を追われた瀕死の女王が、激流に呑み込まれながら命をかけて赤子を守り切るのだが、その描写がいきなりぶっ飛んでいる。過酷な運命を強いる神に対して啖呵を切ったかと思えば、赤子を片手で水面から掲げて、なんとその姿勢のまま溺死する。「なんじゃそりゃ!」と思ってしまうが、この冒頭のシーンなどは文字通りの序の口なので、気にしてなどいられない。 その後も全編通して、主人公“バーフバリ”の3世代に渡る熾烈な宿命が、豪胆に、破天荒に描き連ねられる。  ストーリー展開においては、手塚治虫の「火の鳥」のようなダイナミズムと世代を渡って展開される運命模様も感じる。特に序盤の大滝を登っていくくだりは、「火の鳥 黎明編」のラストに着想得ているのではないかと思わせた。  アドベンチャーシーンから大合戦シーンまでアクション描写は多様で勿論迫力満点だが、今作で個人的に最も白眉だったのはロマンスシーンだ。 大滝を登りきり、見たこともない愛しき君にようやくめぐり逢えた主人公が、戦士であり激情的なヒロインの警戒心を華麗にかわし、包み込むように、美しき女性に導いていくシーンが何とも「素敵」だった。  躊躇なくあらゆる娯楽性を増し増しで盛り込んでいるからこそ、この映画は老若男女が様々な側面から楽しむことが出来得るのだろうと思う。 今作だけでも、物凄いエネルギーを見せつけてくれるが、それでもまだ二部作構成の続編に向けて「本領」を抑えていることは明らか。 俄然、完結編の鑑賞が楽しみになった。
[CS・衛星(吹替)] 8点(2018-11-04 11:19:08)(良:1票)
737.  SURVIVE STYLE5+
怒涛のごとく押し寄せてくる奇怪な人生の“スタイル”。冒頭の浅野忠信のモノローグの通り、彼らのスタイルは、この映画を呑気に映画館で観ている僕たちにはあまりにかけ離れた世界のように思う。しかし、彼ら自身は決して自分たちが奇妙な世界に生きているとは微塵も感じていない。奇奇怪怪な生活を送りながら、もちろん苦悩はするが、彼らの息遣いは実に普遍的なものだ。だから、そんな特異な人生であっても、彼らが日々に感じ取る事は、僕たちのそれと何も変わらない。家族愛、夫婦愛、同性愛…、ひたすらにその中心にあるものは“愛”なのだ。その至極シンプルなテーマをCMプランナーらしいアイデアの羅列の中に描き出す、その画期的な趣向に引き込まれる。 豪華すぎるキャスト陣が揃わなければ成立しなかったであろうこの映画。個人的には、大陸を越えてやってきたヴィニー・ジョーンズの怪演、そして橋本麗香の可愛すぎる“狂気”にぐうの音も出なかった。
[映画館(邦画)] 8点(2004-10-25 18:31:24)(良:1票)
738.  キング・オブ・コメディ(1982) 《ネタバレ》 
男がようやくたどり着いた“檜舞台”の直接的な描写を、この映画は一旦すっ飛ばす。 「え、ここを見せないのか」と一寸大いに不満に思ってしまったが、それも含めて巨匠と名優の手腕に踊らされていたようだ。 常軌を逸した行動を繰り広げる男が、コメディアンとして本当に成し遂げたかったことは何だったのか。 “ブラウン管”を通じてようやく映し出されたスタンダップコメディを目の当たりにして、彼の悲哀に溢れた「過去」と「真意」が見え隠れする。  想像の範疇を出ないけれど、何らかの「性質」を抱えて生まれた主人公は、早々に親からの教育を放棄され、学校では苛め抜かれ、それでも必死に自分自身の精神を守って生き抜いてきたのだろう。 そんな中で、唯一彼に優しく接してくれたのが、ヒロインの女性だったのかもしれない。  主人公のそういうあまりにもヘビーな青春時代の風景が、ラストのスタンダップコメディによって、映画の観客のみに投影される。そして、劇中の観客たちの「爆笑」が、その悲哀を更に深く、深く、増幅させる。  主人公の言動は終始一貫決して肯定できるものではない。“痛々しい”をとっくに通り越して、明確な犯罪行為の連続であるし、主人公も含め、あらゆる登場人物が「悲劇」を迎えていても何らおかしくない。 ただ、彼の必死さは火を見るよりも明らかに伝わってくる。そして、それが単なる虚栄心や功名心によるものではないことも。  果たして主人公は、このクソみたいな社会において、「自分」の存在が唯一“認識”される手段を強行し、成し遂げる。 そうして迎えたのは、個人的にはあまりにも想定外だったハッピーエンド。 しかし、ラストカットの彼の表情はどこか晴れない。そして、劇中でもっとも冷ややかで諦観的な視線を観客に向けている。 傍若無人のサクセスストリーの果てに、遂に“キング”と成った男は、何を得て、何を失ったのか。 マーティン・スコセッシと、ロバート・デ・ニーロは、「時代」を超えて、難しい問いを大衆に投げつける。脱帽。
[インターネット(字幕)] 9点(2019-10-02 22:56:11)(良:1票)
739.  ゆきゆきて、神軍
奥崎謙三氏の圧倒的なまでの言動力にはある種の凄さがあるが、彼の行動はどんな理由をつけようとも決して正当化されるべきものではない。個人的には彼に対して相当の嫌悪感しか感じることはなかった。よってこの作品自体も評価されるべきものではないと思う。もちろんあくまで私的な意見にすぎないが。
[ビデオ(邦画)] 0点(2003-12-18 17:01:37)(良:1票)
740.  ミッドナイトクロス
ヒロインの「悲鳴」に気づき、ジョン・トラヴォルタ演じる音響効果マンの主人公が彼女の危機を救うべく走る。  このクライマックスまで冴え渡るブライアン・デ・パルマのカメラワークを観ながら感心しつつ、一方で「意外とオーソドックスな映画だったな」と、その後に訪れるであろうエンディングを予想して思った。  そして、同時にジョン・リスゴーが扮する殺人者の存在性や解消されていない物語設定に若干の整合性の欠如を感じ、「不満」が顔を見せ始めた。    しかし、その直後、「不満」は速やかに叩き伏せられた。  安直な予想を覆す圧倒的に印象的なエンディングに言葉が無かった。  時に軽妙ささえ巧みに醸し出しながら展開してきたサスペンス色豊かな映画世界が、一転して上質な「悲劇」へと帰結する。    過去に傷を持つ男が、或る事件の遭遇によってかつての正義感を揺り起こす。それは、不遇を極めている人生からの起死回生の脱却を図った一人の男の姿だったと思う。  しかし、人生の無慈悲は、ふいに生まれたその転機のきっかけさえも、無情過ぎる悲劇をもって消し去る……。    大いなる失意の中で音響効果の仕事に戻る男。  試写を観ながら「いい悲鳴だ」と繰り返し呟くその様は、男が静かに精神の闇に沈み込んでいく様子が如実に表れており、胸が詰まるラストカットだった。     本編への重要な伏線となる劇中映画を用いたオープニングからはじまり、ラストの美し過ぎ悲し過ぎる花火シーンに至るまで、全編に渡ってブライアン・デ・パルマの卓越した映画術が冴え渡っている。  おそらく、一度観ただけでは気付かないような細かな映画的工夫も随所に散りばめられていることだろう。   そして、ジョン・トラヴォルタは、映画世界の展開とそれに伴うテンションに混じり合うように呼応し、音響効果マンの主人公を演じ切ってみせている。    群衆の賑わいに掻き消される悲鳴。誰にも届く筈の無い悲鳴が、主人公にのみ届くという映画的な巧さと絶望感。  鑑賞前に予想していたものとは全く違う感情を覚えたが、それこそが映画の醍醐味だと思う。  良い監督と良い俳優による文句なしに良い映画だった。
[DVD(字幕)] 9点(2012-02-02 13:47:26)(良:1票)

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS