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プロフィール
コメント数 225
性別 男性
自己紹介 当方のレビューは全て独断と偏向に満ちております。
「公平・公正なレビュー」などというつもりは金輪際毛頭まったくありませんので、どうぞご安心ください 。

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61.  2300年未来への旅
金をかけたわりにチープ感が漂うのはパルプマガジン感覚を取り入れた絵作りを指向しているからだろう。おかげでセンス・オブ・ワンダーはそこそこ感じられ悪くない。スタッフに光学合成のスペシャリストがいないところがイタイが素朴なミニチュアワークには熱意が感じられ好感が持てる。設定的にもSFならではの悪夢のような未来観があり、同趣向の“ザルドス”のように哲学系に行っても不思議はないのだが、全体に漂う場末感のせいか何が起こるか見当がつかない(いいことだ)。中盤、箱に人が入っただけのパルプマガジン感覚だとしてもあんまりなデザインのロボットが出てきたあたりから壮大な設定はどうでもいいことが分かってきてこちらの精神も安定する。というのは・・ストーリー的必然を無視して清純派ぽいヒロインが尻を出したりし始める。また、彼女がずぶ濡れになるのだが、その濡れっぷりがあまりにも堂に入っているので感心していると、やっと乾いたところでまたまた意味無くずぶ濡れになったりするじゃありませんか。終始行動を共にしている主人公の男に比べてヒロインのドレスはいやにボロボロなど、[泥レスちょこっとだけ]で我慢していた前記の“ザルドス”とは違い、監督が本当に自分のやりたいこと(セクハラ)をのびのびやっているのを観るのは案外さわやかだ。後半いきなりエリオットの詩を引用したりして知性のあるふりをするため面食らうが、オヤジ(監督)の正体は見切っているので優しい気分で観ていられる。そういうわけでキッチュSFとウエット・アンド・メッシーもの両方を中途半端に楽しめる佳作と言えるのではないだろうか。
[DVD(字幕)] 6点(2004-02-18 00:46:40)(良:1票)
62.  昼下りの情事 《ネタバレ》 
彼女は病的な嘘つきではないですか。あらゆる関係者に嘘をつきまくっている。若くて美人ならウソも可愛いってか? 女とか若いとか、表面的な属性をとっぱらってみると、この人品性・品格最低の部類だと思うけど、そんなことはどうでもいいの? その手の人物に気を許すといずれとんでもないめにあうぞ。上昇志向と虚言癖がくっついてそのうち「 なんとか細胞はあります!」とか言い出しそう。そんなやばい人が大金持ちと結婚してハッピーエンドなんて映画作ってアタマ大丈夫? ワイルダーさん!
[DVD(字幕)] 0点(2015-01-12 00:26:08)(笑:1票)
63.  世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す 《ネタバレ》 
円盤はいつもヌッと現れる。はるか彼方からやってくるのではなく、気が付いたときにはすぐ背後に迫っていて犬のようにまとわりつくのだ。小型の探査機も装備しているというのになんでそんなに近寄ってくるのか。この時代の侵略モノには共産主義者に対する漠然とした不安がその心理的背景あるというのはよく語られる視点だ。同年にはドン・シーゲル版[ボディ・スナッチャー]も公開されている。その文脈でいうと“アカはあなたのすぐそばにいるかもしれません”ということを直接的に表現したようにも見える。まぁ単に監督及びハリーハウゼンの空間把握がヘタクソなだけなのかもしれないが、円盤がまるごと近寄ってくるのはいくらなんでもリアリティを損なうこと甚だしい。いつも地上すれすれを飛ぶのは、地球製即席音波砲に打ち落とされなくては噺が終わらないという都合もあるのだろうが・・。しかしこの作品の魅力は“眼前の円盤”という扇情的な絵そのものにある。よっていいかげんさのみを問題にして斬り捨てるわけにもいかないのがやっかいなところだ。かように思いは多少乱れるのだが、それとは別にどうしても許せない点があった。エピローグは主人公の科学者が“軍に協力”し宇宙人を撃退した功績により表彰されるということを知らされにんまりして終わるのだ。ビーチで美人の女房と“これからお楽しみ”でエンドマークなのだ。宇宙の秘密の解明にはなーんの興味もないのだ。ヤツは名誉と女にしか感心がないのだ(私と同じだ)。アカの暗喩だろうがなんだろうが脚本にもうちょっとばかし深みがあっても誰も困らないと思うんだがね!
4点(2005-03-16 17:50:14)(良:1票)
64.  夢のチョコレート工場
チョコレート工場へ行くはずが着いた先は泥人形系見世物小屋!どうにもうすぎたない色彩設計。こんなところで作られた食品は絶対に喰いたくないぞ。この手の制作側の思いがまるはずれの異形の作品はちんまりまとまった作品より結果的には面白い場合が多かったりする。しかし本作はミュージカル仕立てでありながら肝心の唄がスコア、歌詞ともにまったくつまらないという致命的な欠陥を持っている。特に歌詞はあまりに説明的に過ぎて想像力のかけらも感じられない。んなばかな。楽曲の良さがあってこそ‘演者がいきなり歌い出す’なんていうおぞましいフォーマットをやっと許容できるというのに。歌パートに入るとそれまでの昂揚感がいちいちしゅるしゅるしぼんでしまうなんていうミュージカルは初めて見た。アリス式の不条理譚に勧善懲悪を持ち込んだ点もいただけない。意味なしはすっぱりきっぱり意味なしでないとイカーン。
[DVD(字幕)] 3点(2005-09-10 15:06:31)(良:1票)
65.  海底大戦争
いや超弩級クラスの駄作だとは思いますよ。しかし出会い方が幸せだったので個人的にはどうしても捨て置けないものがある。小学生の時、田舎の我が校では年に1,2度学校での映画上演会というイベントが行われていた。どんな作品がかかるのか事前に知らされない、作品を観ながらじわじわ全貌がわかっていく映画体験というのがそもそもたいへん刺激的だ。で、担当教諭が何も考えなかったのかそこでこれがかかってしまった。本作には人間を半漁人に改造する手術のシーンがあるのだが、田舎のガキにはあまりにも強烈な残酷描写に視聴覚室は阿鼻叫喚の嵐。エログロナンセンスの世界に不意打ちをくらって泣き出す女子までいる始末で、しばらくはそのシーンの話題でクラス中がもちきりだった。他クラスではちびった奴もいたらしい。あの観客同士の一体感は、その後遭遇した文芸座地下の怪獣大会でのそれさえも超える素晴らしいものだった。しかしある意ベストともいえる映画体験が、このような駄作によってもたらされたというのだから人生分からないものだ。
[映画館(邦画)] 6点(2009-12-30 15:44:25)(笑:1票)
66.  刑事コロンボ/二枚のドガの絵<TVM>
この作品は生涯出会った全ドラマの中でも一二を争う傑作だ。本作の最大の美点は、作り手が視聴者に対し極めてフェアな姿勢で臨んでいるところだ。よほど注意深く見ていればラスト直前にはコロンボのやり口を見抜くことが出来るように作ってある。相当の眼力がなければまず無理だろうが、そのぎりぎりの匙加減が実に絶妙できっちり「やられた!」感を味わうことができる。数ある推理物にはアンフェアな作品や、フェアでも「やられた」感の無い作品も多い。私はできれば上手く引っかけられたいので積極的にネタを突き止めないようにしている(必死こいて考えても結局分からないことがほとんどだが)。しかしこの作品に限っては、見終わってから「ああ、もっと真剣に推理すれば良かった」と心底後悔した。そのような感興をここまで強く感じさせてくれた作品は当のコロンボシリーズに於いても他には無い。事件が解決した瞬間にドラマが終わるのもシリーズ中これが初めてらしいが、呆然とした視聴者を見透かすような鮮やかなエンディングでこれも見事としか言いようがない。
[地上波(吹替)] 10点(2009-12-18 18:01:46)(良:1票)
67.  インターステラー 《ネタバレ》 
冒頭で語られる植物の疫病のため人類窒息というプロット。なのに重要な酸素供給源であるはずの海藻類がどうなっているのか全く語られないのでこれは怪しいと思ったら、案の定ハードSF風味のトンデモ映画でした。アポロ計画風の原始的な打ち上げのブースターと、未知の惑星を縦横に飛び回るスタートレック並の高性能探査機が同居する世界観が、図らずもその科学考証のいい加減さを視覚化してしまっている。相対性理論と不確定性原理の統合とか特異点とかそれらしい科学用語が沢山出てくるが、ただの雰囲気とご都合主義に利用されるだけで、それらがどういう理屈でどう話に絡んでいるのか観客にきちんと理解させる気はないように見えるし実際よくわからない。パーみたいな単なる悪人が出てきたり陰謀論が語られたり自己犠牲によるお涙頂戴と、重苦しい文学性のありそうな雰囲気もSF的プロット同様のお安さに溢れている。更にとってつけたようなサスペンスもテキトー。ブラックホールに落ち込むというえらい難儀な事態のはずなのに何が起こったか不明のままハッピーエンド方向に収束。ここらへんディズニーのバカSF「ブラックホール」と一緒。そういえば子分のロボットもビンセントみたいだ。ぶっ壊れたのが出てくるし。一事が万事この調子のラフさで、誠実さに於いて同じマコノヒー氏出演の傑作ハードSF「コンタクト」の足元にも及ばない。「ソラリス」に影響を受けたとか監督が言ってるらしいが笑わせるにも程がある。
[ブルーレイ(字幕)] 2点(2017-09-25 06:49:29)(良:1票)
68.  黒い画集 第二話 寒流
素晴らしい点が3つ。1:主要登場人物みんながいやな奴であること。主役の池部良も悪人というほどではないがつまらない仕返しを企んだりする。2:終盤になっても新たな登場人物、新たな場面が展開すること。丹波哲郎のやくざ、宮口精二の探偵などおっ、と思う意外な人物が良いタイミングで登場し退屈させない。特に丹波哲郎の存在感は圧倒的だ。少ない出番にもかかわらず思わず背筋が伸びてしまった。3:テルミンを多用した音楽。無機質なテルミンの音色は余計な情緒誘導を感じさせず、この物語がどっちに転ぶかわからないという点に大いに貢献している
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-02-13 17:54:49)(良:1票)
69.  真夜中のカーボーイ
“東京へ行けば刺激的な出会い(要はやらせてくれる女)が待っているんだ”と信じて上京し、あてもなく深夜の歌舞伎町を彷徨った山出しのバカ者(オレのことだよ)にとっては身につまされる作品。そんなことをしていても寄ってくるのは、同性愛者の方々と宗教の勧誘というところまで一緒。よくこんな地味な題材を退屈させずに描けるものだ。しかし田舎者が都会に持つ幻想は毛唐も変わらないのだなぁ・・シミジミ
9点(2004-02-23 23:54:17)(良:1票)
70.  007/スペクター 《ネタバレ》 
「知り合い同士のいざこざ」的ストーリー。またあんたか、ってトムとジェリーじゃないんだからさ〜。そのスケール感の無さと反比例するようにやたらと世界中をうろうろするボンドだが、核となる舞台の印象がなくてどうにも座りが悪い。秘密兵器等のガジェットに頼りすぎないのはいい。しかしあの飛行機がらみのアクションシーンの冗談みたいな展開はどうなんだ?あの手のマンガ的アクションはロジャー・ムーアあたりに任せておけばいいのであってダニエルボンドにはいかにも不似合いだ。それでいて列車内での殴り合いなんかにはまた渋好みの光るものがあったりする。一体リアリティラインはどこらへんに設定されているのよ?スペクターの目的は情報インフラを牛耳ることで、そこから何をしたいってわけでもないのがこれまた拍子抜け。もっと頭を使えよブロフェルド!珍奇でばかばかしい計画立てろよ!俺はあんたのアホみたいな犯罪計画を楽しみにしてるんだよ!拷問椅子もゴールドフィンガーのゴージャスさを少しは見習えよ!あれじゃ歯医者の椅子だろうが。それやこれやで全体に統合失調症的な印象。なんか過去の資産を食いつぶすばかりで新たな驚きが無いのがヒジョーに残念でした。
[ブルーレイ(字幕)] 5点(2016-04-11 10:44:58)(良:1票)
71.  スター・トレック/BEYOND
ご都合主義もワンパターンもひとりよがりもここまで来ると、さすがに観ているこちらも無感覚になる。なにか終始せわしなくやっているようだが、考える甲斐も無いし考えたくもない。きっとこれはかつて「2001年」や「ソラリス」のようなSF映画を作るほど高い知性を誇った人類が退化していくさまを、その身をもって体現したメタ映画なのだ。確かにこんな作品は安〇やトラ〇プが大物になるようなバカっぽい世界にお似合いだ。回を重ねる毎にどんどんひどくなっていく本シリーズ。メタ映画として次回作ではもっと頭の悪い感じにならないといけないね。しかしいくらなんでも限界ではないか。もう充分人類未到のアホくささまで達したのではないか。
[ブルーレイ(字幕)] 0点(2017-03-30 21:35:24)(良:1票)
72.  ドニー・ダーコ
ストーリーは楳図かずお“イアラ”あたりのよくできた短編のよう。登場人物みなが安易なステロタイプに陥っていないので小ネタひとつとっても落ち着く先がどこなのか予測できない。すばらしい。転校生のヒロインに対し女教師が「好きな子のとなりに座りなさい」と、恋愛に対しオープンなところを見せつけるので、心底うらやましいと思ったらカトリック系(?)のマインドコントロールセミナーのような講義があったりと、アメ公ならではのくだらない心労も感じられ青春風俗ものとしても大変興味深かった。娯楽性は以上の点で充分押さえられていて、更に意識の混濁を誘うドラッグ・ムービーとしての側面も申し分ない。ややこしい心理ものなのでちりばめられた謎の部分をきっちり解釈しきることは出来ないだろうが、単なる思わせぶりではない何かを感じさせる傑作でした。音楽がまたいい!
[DVD(字幕)] 9点(2005-04-27 16:43:54)(良:1票)
73.  話の話
これほどの深みをもって心象風景を視覚的に再構築出来る作家がいるとは・・。語られるエピソードすべてについて解読できる能力を持ち合わせていないが、心の奥底にずしーんと響いてくる奇跡のような映像と音楽に内省を迫られる感じ。他人の夢の中に入り込んだ結果、彼のあまりのナイーブさに打ちのめされたとでも言えばいいのでしょうか。これを観て「宮澤賢治の世界を視覚化できるのはこの人しかいない!」と強く感じました。・・・・・・その後、絵柄を真似したとおぼしき“注文の多い料理店”を見て、あまりのダサさに衝撃を受けました。浅い。 なんなんでしょうね?この違いは。
8点(2004-02-25 00:12:02)(良:1票)
74.  テロ,ライブ 《ネタバレ》 
スラプスティックといえば昔はコメディと相場が決まっていたものだが、今はドタバタシリアスというジャンルが存在する。そう考えるしかないくらい次々に起こる危機的状況の天丼状態。主人公を追い込むのだけが目的の穴だらけで無茶苦茶なシナリオ。いちいち穴に突っ込むのもめんどくさいがキートンみたいなドタバタがやりたいのだと思えば納得できるような気もする。中盤、橋が傾いて人がずり落ちそうになっているシーンあたりでこれは「8時だよ!全員集合」ではないかと気が付いた。そして終盤の高層ビルが隣のビルに寄りかかるシーンに及んでそれは確信に変わった。あれ完全にドリフお得意の屋台崩しでしょう。そう思って笑っていれば、安易なお涙頂戴に腹を立てることもないのかもしれない。
[映画館(字幕)] 4点(2017-03-31 08:49:26)(良:1票)
75.  ハウス/HOUSE(1977)
珍奇で楽しい映画だねー。バカなせりふ回しも背景を背景画として見せちゃうメタなノリもチープな特撮も適度のグロさも活きのいい女優陣も~すべてがうまくかみ合ってる感じ。これほどポップに明るさとグロさが共存している邦画は他に類例をみないのではないか。その後作られた同監督の漂流教室なんかの失敗をみるとこれがいかに奇跡的な作品か良くわかる。ラストに近づくと女の戦い的テーマが思わせぶりぽく立ち現れるが、到底そんなこと本気で描きたかったとは思えないので無視!大林氏はバカになりきることに罪悪感でもあるのかな?いいじゃん変態で!
[映画館(字幕)] 8点(2005-01-17 17:57:55)(良:1票)
76.  禁断の惑星
直訳でも高い完成度の「禁断の惑星」というタイトルと宣材のイメージイラストの醸し出す雰囲気が作品の魅力を表現しきっています。実際にはこんなシーンは無いし、ロビーの目(というかアンテナ)がつり上がっているのも恣意的で反則ぎりぎりなのに全てを許せる気分です。これぞセンス・オブ・ワンダー!感情を誘導するための、おしつけがましい音楽が一切使われていないのも素晴らしい。唯一残念なのはディズニープロに協力を仰いだアニメ部分でしょうか。長い物(この場合MGM)に巻かれるとろくなことがない好例と言えましょう。それでも50年代SFの金字塔であることは疑う余地がありません。
8点(2004-02-24 20:23:02)(良:1票)
77.  東京ゴッドファーザーズ 《ネタバレ》 
とにかく偶然の起こる回数が多すぎる。離ればなれになった人々が次々と都合良く目の前に現れる様はまるで出演者全員がGPSでも装備しているようだ。親探しの大テーマから相棒をちょっと見失った小ネタまで問題はほとんどそれで解決。ありえなーい。それこそが赤ん坊のもたらした奇跡だというのなら登場人物にはそれなりのリアクションが求められるはずだがみんなあっさりやりすごしている。このように、どんな偶然も起こりうる世界観の中で人捜しの話がドラマとして成り立つ訳がない。誰と誰がどう会えても有り難みも驚きもないのだから。それも天才バカボンのようなノリと絵柄ならご都合主義そのものをギャグとして理解することもできるのだが絵柄のリアリズム指向と地味な脚本がそれを許さない。宝クジが当たってメデタシメデタシというところを見ると、ありそうななさそうな精神性も「一杯のかけそば」レベルと思われる。確かに書き割りとしての東京は良く描けている。しかし絵ヅラだけの雑踏が実質をともなわないのでかえってしらじらしく見えてしまう。勿体ない。絵柄の精緻さは職人的努力によって向上なり進化が望めるものだが優れた物語というのはそう簡単に作れるものではないということを再確認した。「PERFECT BLUE」がそうだったように得意分野に限定すれば実に説得力のある世界を描けるのに、普遍的なテーマに迫ろうとすると根が幼いことを露呈してしまうのではあまりにも策がない。宮崎アニメなどにも言えることだが“自分達がすべてを作り出せる”といういかにもな勘違いから脱却して、数ある古典の中からアニメという手法に合った物語を発掘するというようなことを考えてもらいたいと切に願う。
3点(2004-07-15 17:16:55)(良:1票)
78.  宇宙人ポール
基本プロットは異界からの客との友情譚。ET、スターマン、ナビゲイター、と、同工の作品は枚挙にいとまがない。そういう作品に対するオマージュを集めて出来上がったような本作。であればこそ、それらの旧作を下敷きにしたうえでのプラスアルファが欲しかった。交流の深さ、冒険のスケール共に物足りなく、ずしんとくるものがない。ポールのオヤジっぽいノリも単なる置き換えにすぎず工夫が無い。序盤のオタクをめぐる諸現象が面白いので、よほど珍しいものを見せてくれるのかと思ったら定型内で終わってしまった。そりゃないよ!敬愛する町山智浩氏が“年間ベスト"くらいの発言をしていたので「アイアン・ジャイアント」クラスの感動を期待したのもまずかった。
[映画館(字幕)] 5点(2012-01-18 12:12:41)(良:1票)
79.  大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン
子供が出てこないというだけで大人の鑑賞に耐えるという評価をされる傾向にある本作だがホントにそうか? バルゴンはトカゲなのに水に溶けるんだぞ。そんでもって熱帯産なのに舌の先っぽから冷凍ガスを吐くんだぞ。そこはカメがジェットで空を飛ぶ世の中だからまあいいか!と目をつむるとしても得体の知れない土人女の提案を自衛隊はウラも取らずにどんどん採用するんだぞ。それって「ギャオーって鳴くからギャオスっていうんだ」ていうガキの言い分が通っちゃう皆さん大嫌いな例の世界観と同じじゃん!いいかげんあほらしくないすか? でも主役をはじめとして(あなたや私のような)しょうもない人しか出てこないっていうのはまことにリアルで良いですね♥このどす黒い雰囲気はアダルトと言えるのかも。あとテーマ曲のAパートは不気味に粘っこくて心に残る。
[映画館(邦画)] 3点(2016-05-24 14:44:06)(笑:1票)
80.  新幹線大爆破 《ネタバレ》 
宇津井健ら捜査側からの視点は名作“ジャガー・ノート”高倉健ら犯人側からの視点はセルジオ・レオーネのこれまた超名作“夕日のギャングたち”といった趣の作品ですね。特に回想シーンでの音楽の使い方は“夕日の~”のパクりでしょう。しかし本作全体を覆う‘安~い’感じは当方の我慢の限度を超えていてまるでテレビ版“ワイルド7”でも観ているようだ。豪華キャストがみんなおそろしく大根に見えてしまうのは演出がいいかげんだからなのだろうか。変な客が色々乗り込んでいるのにちっともサスペンスを盛り上げることに貢献していないし、喫茶店が重要アイテムとともにタイミング良く焼けるのはご都合主義と言われても仕方あるまい。そのようなことを許容する世界観ならばそれこそワイルド7なみにぶっとんだクライマックスを期待してしまうじゃないですか。こんなチープなノリで「最後は渋めにまとめてみました」なんて許されると思っているのか!犯人側に移入できるように作ってある等、一部とはいえ政治的に正しいことが救いと言えるでしょうか。
[DVD(字幕)] 4点(2005-05-20 14:08:00)(笑:1票)

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