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プロフィール
コメント数 646
性別 女性
自己紹介 2006年のレビュー本数4本ってあんまりですわね。
2005年には「姑獲鳥の夏」まで見ていたクセに。
ってこういう使い方やっぱ邪道ですよね。来年こそは。

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101.  イングリッシュ・ペイシェント 《ネタバレ》 
これだけ長々と果てしないストーリーを展開されて、最後の最後に単なる昼メロ不倫映画だったと気づかされることの驚き。顔もわからないほどに負傷した男性が従軍看護婦に語る身の上話の中に、戦争の愚かしさや虚しさを痛烈に告発する力強いメッセージを期待してしまった身としては、強烈な脱力感は残るものの驚きも感動も未来への希望も失わせるには充分な映画。こういう男をカラダを張って助けてしまったのがジュリエット・ビノシュだから別にいいけど、昼メロなら昼メロと最初に言ってよね、という感じ。唯一、ウィレム・デフォーだけが痛い個性を充分に発揮してくれたので3点。彼が出ていなかったら0点でもお釣りの来る映画。テーマは無限の退屈。
3点(2003-11-29 12:33:50)(良:1票)
102.  ニュー・シネマ・パラダイス 《ネタバレ》 
映画を愛する人としての良心が試される映画。あざとさでなく、お涙頂戴でなく、自分を育てた人、街、時代に愛情と感謝の気持ちを持てる人がいったいどれだけいるだろう。映像としてエピソードを語る手法の巧みさにかけては、この時代、この人の右に出る者はほとんどいない。たとえば広場の建物の壁に映し出される映画。たとえば切り取られ、フィルム缶に封印されるキスシーン。少年トートはこの街で映画を愛することを学び、映画の作り手となることを選ぶ。遠い街、遠い日々、決して続きの語られることのない未完の恋、少年を取り巻く暖かい人々の笑い声、すべての思い出がアルフレードの残したフィルム缶の中から甦って来るラストシーンは、私がこれまで観て来た映画の中で唯一、声を出して号泣することを止められなかった瞬間である。この映画を観る時、人はトートと少年時代を共に歩く。この世に映画があることを喜び、笑い、そして泣く。映画を愛する全ての人々のために、誰よりも映画を愛する作り手から贈られた、これは大いなる贈り物である。
10点(2003-11-30 22:35:01)(良:1票)
103.  プラトーン 《ネタバレ》 
映画として本当に良く出来ているのか?と言われればちょっと苦しいところなんだけど、やっぱりキャラクター作りの上手さには脱帽せざるを得ないので。たぶんオリバー・ストーンはこの映画を作りたくて映画界に入ったんだと思うし、後の人生はほとんど余生なわけですよ。ベトナム帰還兵たちが唯一認めるベトナム戦争映画と言われているけど、キレイ事でもお涙頂戴でもなくキチンと正面から、狂って行くというのが実際にどういうことなのかを描いている非常に正しい映画。エリアスは何故殺されなきゃならなかったのか?という問題こそがこの映画の提起する戦争の不条理。戦場で、戦争以外の理由でアメリカ人同士が殺し合ってる姿を見て、この戦争の何がそんなにイケナかったのかよくわからないままに反戦を唱えていたアメリカ人たちは驚いたでしょうね。さすがに最近の戦争映画に比べて戦闘シーンのウソっぽさは否定できないものの、当時としてはそれなりに頑張った作品ではあるでしょう。エリアスの最期は人々の心に永遠に残るでしょう。しかしまあ、いくらなんでも当時、あれだけの美青年だったチャーリー・シーンに自分の役をやらせようとしたオリバー・ストーンってかなりの神経の持ち主だとは思うけど。その図太さに打たれました。ご本人も終盤近くで登場。これはもう、ほとんど遺作のつもりで撮ってますね。バカも一線を越えると天才になるということで。
8点(2003-11-29 23:42:53)(良:1票)
104.  ダンサー・イン・ザ・ダーク
面白くない、とは言えないところが微妙なんですが。完成度は限りなく高いですが、こういう不幸さを正面から受け止めるには、自分自身がよっぽど幸福でないと辛いんじゃないですか。 カトリーヌ・ドヌーブが相変わらずとんでもなく美しいとか、楽しめる要素はいっぱいあると思うんですけど。人の不幸話を観て泣くのって偽善的な感じがして好きじゃないです。何かプラスになるようなメッセージが感じられるわけでもなくて、ただ辛いぞ、っていう話。ああ私ってこの人よりは幸せなんだな、って下を見るほど惨めな気持ちにお金払ってなるなんてナンセンスですよ。試みとしては面白いと思うし、出来栄えも非常に良いんですけど、観た後の気分はサイテーでした。アナタの思うシアワセって何よ?と監督をつかまえて聞いてやりたい。
5点(2003-11-22 17:43:56)(良:1票)
105.  哀しみのトリスターナ
女と不幸と足に執着するルイス・ブニュエルの作風の中でも、カトリーヌ・ドヌーブの美貌が異常なまでに輝きを見せる最高傑作。男性の従属物として養われることでしか生きて行けない古い時代の圧倒的な価値観の中で、あくまでも尊厳を保ち続ける一人の孤児の生涯。受動的でありながら精神的に隷属せず、自嘲的になりながらも自棄にはならない、孤高の美女トリスターナの姿に人は究極の女性の強さとしたたかさを見る。誇り高き貴族として社会から尊敬を集める紳士ロペは、養女トリスターナに対しても理想的な養父でありながら同時に彼女の美貌に翻弄される弱さをあわせ持ち、その老醜を嫌悪して一度は若き画家と駆け落ちしながらも片足を失うという無残な姿で戻って来た彼女に対し、地にひれ伏してその愛を乞うのである。権威の失墜、愛の呪縛に翻弄される老人、美醜と相反して力関係の逆転する支配者対被支配者の関係の中に、人間の感情の持つ様々な矛盾、執着が人間に負わせる従属の悲しさ、ひいては人間という存在そのものの惨めさを、美と富の密室で展開される男と女の「生活」というミニマムな環境に凝縮させて描き切り、なおかつ彼らに象徴される背後にあるものの存在の大きさを様々な比喩や余韻で雄弁に語らせることにも成功している。「女の一生」的な興味本位での見方でも充分楽しめる仕立てになっており、映像としての美しさ、ドヌーブの美貌の鑑賞的価値の高さも幅広い層に満足の行くものであると思われ、1から10まで幅広い尺度から楽しめる作品として、この時代のヨーロッパ映画の中では個人的に特に好きな作品でもある。
10点(2004-01-24 11:58:50)(良:1票)
106.  女優フランシス
神は死んだ、と作文に書いて良識ある父兄たちを仰天させた少女時代から、華々しくデビューを飾りながらも精神障害を理由にハリウッドから追放される女優フランシス・ファーマーの数奇な生涯をジェシカ・ラングが狂演。ラングの奮闘ぶりは若干暑苦しくもあるが、「キングコング」でモデルから女優へ転進のチャンスを掴んだラングが演技派への道を突き進むためには必要な挑戦であったかも知れない。ラングは同じ82年、「トッツィー」でアカデミー賞を受賞しているが、本人の思惑からすればむしろこちらの方が本命であったような気もする。とにかくこの頃のラングには、「私はもうキングコングのオモチャじゃないのよ」的オーラがぷんぷん漂っていたし、この役はオスカーへの最短コースを思わせる実録モノ、悲劇モノ、精神障害モノ。まあこの時代の流行りだったのね、と思わないこともないが、陰謀渦巻くハリウッドの楽屋裏モノとしても見ごたえは充分。実在のフランシス・ファーマーがロボトミー手術を受けながら芸能界に復帰し、6年間に渡って自身のTVショーを勤めたというのもちょっと驚嘆に値する話ではある。
8点(2004-01-25 03:04:05)(良:1票)
107.  ソウ
素直にめっちゃ面白かったです。『セブン』だ『CUBE』だという宣伝文句に却って身構えてしまい、この手の宣伝文句ではまず大したことはなかろう、と予告編ではそれほど期待してなかったんですけど、何しろ配給がLION'S GATEなわけで・・・これは微妙ですよね。登場人物2人の密室劇を想像してましたが、かなり掟破りのカットバック大乱用、これは新しかった。一見だらだらとまとまりのない回想談に見えて個々のモチーフがそれぞれに緊張感溢れるホラーの手法で撮られているのでいちいち緊張できましたし、それぞれにメリハリがありました。パズルに特化した奥行きもな~んにもない作品ですが、何にもない上にパズルにもなってない作品が山のようにあることを思えば、これは頭一つ抜きん出ていると思います。「オマエ、なんで○○せんのや~」と内心叫んでしまうツッコミどころはそれなりにありますが、パズルのためには必要な展開なのでやむなし。この図太いワタシが思わず目を覆ってしまうショックシーンあり、ズシン!と客席が揺れる仰天シーンあり、少々行き過ぎたきらいはありますが、今どきやるならココまでやらないと。というわけで大判振る舞いの10点です。どうも私の10点は乱発しすぎて値打ちが下がっているように思いますが、少なくともポスト『セブン』を宣言したあまたの作品の中ではこれまでに一番面白コワかったです。まあそもそも私はパズルとしての『セブン』は1ミリも評価していないので(笑)そういう意味ではこっちの方が上じゃないですか。ありがちな映画でないことだけは確かです。久しぶりにいいものを見ました。
10点(2004-11-01 01:41:50)(良:1票)
108.  ジャイアンツ 《ネタバレ》 
伝説のスター、ジェームス・ディーンの遺作として余りにも有名な作品だが、個人的には初の本格的映画として評価したい。この作品で見せたジェームス・ディーンの素晴らしい演技力は、単なるアイドルにとどまらず、彼が無限の可能性を秘めた演技者であったことをうかがわせるには充分である。正直なところ、この人がこの若さで急逝しなければ、あの人やこの人や、何人もの「大物」が現在の地位を保っていたかどうかは怪しい。死ぬことによって伝説となったスターは多いが、死ななくても伝説となり得たのではないかと想像できる数少ないスターである。アメリカン・ドリームの体現者として富を掴んだ貧しい牧童は、ついにその人生で手に入れることのできなかった愛だけをいつまでも望み続ける。努力や勇気こそが報われる道であると説き続けて来たアメリカの正論を、踏みにじるのがこの映画だ。愛こそが人生で手に入る唯一にして最高のものであるという少々使い古された感はあるが、富や名声だけが人を幸福にするわけではないと歌ったこの作品の精神はやがて次なる世代のアメリカン・ニューシネマに受け継がれて行くことになる。ジェームス・ディーンの前にジェームス・ディーンはなく、ジェームス・ディーンの後にもまたジェームス・ディーンはいない。どんな役者も成し得なかったこの小柄で貧相な演技者の足跡として、忘れることのできない作品である。
10点(2003-12-03 01:44:14)(良:1票)
109.  メイド・イン・アメリカ(1993)
精子バンクって当時としてはかなりインなネタだったんだろうな~、とか思いながら普通に楽しく見ました。普通に楽しい映画として、文句のつけようのない出来だと思います。あくまでも普通ですが、安直でわかりやすく、観客の期待に応えられるストーリーにこそ普通のカタルシスがあるのだということを見事に実証しています。実はこのプロットを思いっきり退屈でどこかで見たような映画にする方がずっと簡単だと思うので、そういう意味ではひそかな傑作と言えるのではないでしょうか。細かいエピソードが意外と自然に良く練り込まれていると思います。ウィル・スミスやニア・ロングといった後のスター俳優の駆け出し時代が見られるのも楽しいですね。人種を超えた恋愛や結婚というヘヴィなテーマを扱いながら、それこそが「メイド・イン・アメリカ」なのだとコメディ・スタンスで白人社会に突きつけた意義は大きいと思います。ブラック・ムービーの一つの転換期とも言えたこの時代、「1つになろうよ」と敢えてベタに呼びかけたこの映画の肯定的な世界観は、アメリカの人種問題の次なるステージを示唆していると感じます。
[DVD(字幕)] 8点(2007-03-31 03:04:54)(良:1票)
110.  俺たちに明日はない
世に「アメリカン・ニューシネマ」という言葉を登場させたという意味では文字通り歴史に残る作品。ケチな小悪党のクライドに飛び着いて行かざるを得ないほど、退屈し切ったボニーのけだるい眼差しが良い。独立小資本による低予算、スター不在、アンチ・ハッピーエンドの作品がハリウッドの大作志向に一石を投じたという点は評価できるが、残念ながらこの映画により突破口を開かれたニューシネマの後続作品からこれを上回る傑作が続出したために作品そのものの価値は埋もれてしまった。この作品がアメリカン・ニューシネマという一つのムーヴメントに果たした役割はあまりにも大きいが、アンチ・ハッピーエンドがそれほど衝撃的な珍しさを誇らなくなった現代においては、いささかストーリーの陳腐さは否定できない。実際には大女優シャーリー・マクレーンを姉に持つウォーレン・ビーティが道楽で撮ったままアメリカ国内ではほとんど葬り去られようとしていたところが、ヌーベル・バーグの下地を持つヨーロッパの観客の目にたまたま止まったにすぎないのがこの作品。初めの一歩、という意味では確かにエライが、実は不運にも埋もれてしまっただけでこの作品の代わりになる物はいくらでもあったんじゃないだろうか、と思う時がよくある。たとえばロジャー・コーマン&フレンズの当時の作品など。そうやって考えると、「普通に面白い」という以上の価値をこの作品に見出すことは案外難しく思えて来たりする。かの有名な「死のダンス」は、女優フェイ・ダナウェイの底力を見せつけられるという意味で一見の価値があるとは言えるのだが。
7点(2003-12-05 01:50:03)(良:1票)
111.  カラーパープル(1985)
背景と作品は別のものと考える立場から、スピルバーグが全身からオスカーちょうだいオーラを発し始めたという点を意図的に無視して考えれば、なかなか良くできた佳作であるとは言えるのだが、この映画でトップスターの座に踊り出たその後のウーピー・ゴールドバーグの見苦しいはしゃぎぶりや、スピルバーグのその後の優等生化にうんざりさせられたことを思うにつけ、作品そのものよりもむしろ前後の経緯から否定的な見方しか出来なくなって来ている自分に気づく。原作となったアリス・ウォーカーの小説はまごうことなき傑作であり、映画はそれを完璧とまでは言えないまでも非常に原作に対して誠実に、きちんと一生懸命作られている。アメリカ社会の底辺に暮らし続けて来た黒人たちの生活が実際にはどうだったか、真摯な態度で作られた映画としては周囲の状況がいくらなんでもヒドすぎませんか。この映画で主人公の義理の嫁を演じたオプラ・ウィンフリーは今やアメリカワイドショー界のゴッドマザーだ。ウーピー・ゴールドバーグはハリウッド版女武田鉄也と化してお涙頂戴映画からキツいコメディまで来た役は一つも断らない活躍ぶり。スピルバーグは一作毎にオスカーくれくれと叫び続け、今やオスカー像を増やすためなら家族さえ売り出しかねない勢い。これだけボロクソにけなしておいて8点献上する私も相当イカれているが、映画自体はとにかく非常に良い映画だったし人類にとって必要な映画。実の父親から子供を生まされ、さらに父親ほど年齢の違う見ず知らずの男と無理矢理結婚させられるセリーが、夫の愛人シャグとはぐくんで行く不思議な感情、そこから芽生える自立への希望。こういう時代から100年も経たない現在に生きる全ての女性たちにとって、一度は観ておく価値があると私は考える。いい映画なんだけどなあ。既成概念を捨てないとキツいですね。
8点(2003-12-13 00:00:19)(良:1票)
112.  サイダーハウス・ルール 《ネタバレ》 
ジョン・アーヴィング節炸裂!のウィーンでクマな映画なのかと思ったら、実にこなれた良い話でした。要するに必要悪としての堕胎をテーマにした話なんだけど、もしかして堕胎されていたかも知れない孤児がいかにして堕胎を必要悪と認めて行くか、その過程をわりと淡々と、押しつけがましくなく素直に描いていて好感が持てますね。娘を妊娠させていて恥じない、ミスター無教養代表みたいなデルロイ・リンドーが非常にインパクトありました。あくまでも無表情に、目の前で起きている出来事を受け止めている主人公のトビー・マグワイヤも実に上手な役者さんだと思います。アヘン中毒の聖人、物語のカギとなっているミスター必要悪代表のマイケル・ケインといい、上手い役者をこれだけ集めて、暑苦しくも、居丈高でもなく強いメッセージをきちんと伝えた、こういう作品がもっと出て来てくれると面白いですね。こなれた映画、この一言に尽きます。
9点(2003-11-22 20:04:05)(良:1票)
113.  モブスターズ/青春の群像
普通の青春マフィア映画(そんなジャンルあるのか?)なりに普通に面白かった。チャーリー・"ラッキー"・ルチアーノをクリスチャン・スレイターが演じること自体かなり不安に感じていたけど、さすがに彼は上手い。ただし残念ながらマフィア映画に期待する重厚感や、ガツンと来る感動にはもう一つ欠ける気がする。あくまでも普通の出来。題材的におもしろくできる要素はいっぱいあったと思うんだけど、まあこんなものでしょう。ちょっと大物と若手陣の間にギャップがありすぎる気がして観る人に不安感を与えたと思います。
7点(2004-01-04 12:12:57)(良:1票)
114.  イントルーダー/怒りの翼
どうも「プラトーン」のイメージから抜け切れず、ナニをやらせてもエリアス軍曹になってしまうウィレム・デフォーがここでもカッコよく決めている。個人的にデフォーの熱狂的ファンである私にはかなり満腹な作品であるが、デフォーなんか別にどうでもいいもん、という一般の方を満足させているのかどうかはちょっと想像するのが難しい。でもフライトシーンなどは楽しく観れるし、戦争映画好きな方ならそこそこ楽しめる作品なのではないかと思う。特に飛行機にも戦争にも興味のない女性の方だと残念ながら退屈してる時間の方が長いかも。
6点(2003-12-07 14:38:31)(良:1票)
115.  デュラス/愛の最終章
愛に生き、愛を描き続けた作家マルグリット・デュラスと、その最後の愛人であった38歳年下のヤン・アンドレアの16年間をドキュメンタリータッチで描いた異色作。生前のデュラスとも親交のあったジャンヌ・モローが、過激なまでの自我を貫く晩年のデュラスを鬼気迫る迫力で演じている。対するヤン・アンドレアを演じたのは新人のエーメリック・ドゥマリニー。生きながらにして既に伝説的存在ですらある大女優を相手に、力まず、怯まずの好演は若手ながらなかなかの芸達者ぶりを伺わせる。「名声も知性も美貌も、全部自分が持っている。男はただ、若さだけをくれればいい」というのはジャンヌ・モローの伝説的名台詞だが、5年に渡って熱心なファンレターを送り続け、ついに訪ねて来た青年をそのまま自宅に軟禁してしまうデュラスの姿にモローの影が重なる。デュラスの死後、沈黙を守り続けていたヤン・アンドレアが初めて自ら筆を取り、その日々を綴った手記が原作。はっきりと覗き見趣味ではあるが、本人監修の下、やんわりとではあるが彼自身の同性愛的傾向も告白されており、極端に美化されたものではないある程度事実に近い形で描かれているのではないかという想像もできる。私自身はデュラスの作品を1つも読んだことがなく、デュラスという女性よりむしろジャンヌ・モローの演技が目当てで劇場に足を運んだことをここに告白しておくが、デュラスにさほどの思い入れのない私でもそれなりに楽しめる作品にはなっていたように思う。老境にあって愛への情熱を失わずにこの世への別れを告げるデュラスの死に様には清々しささえ感じるし、特に露骨な泣かせどころのツボもないあたり、ともすれば三文昼メロレベルの物語でさえプライドを失わないフランス映画の心意気を見せられるようで心地よい。カロリー高めのハリウッド映画に疲れた時には、こういう作品がたまに良かったりする。
7点(2004-01-25 02:24:16)(良:1票)
116.  ブリジット・ジョーンズの日記 《ネタバレ》 
これはもう、素直に拍手喝采でしょう。レネー・ゼルヴィガーは体当たりの演技で光りまくり。この人は元々、体当たりで頑張るしかないってことを肌身に染みて知ってる人ですね。ダメダメなんだけど突き進んで行くしかない!っていう間抜けでひたむきなブリジット・ジョーンズ役を非常にひたむきに演じていました。ストーリー運びもテンポ良く、どう考えてもワルにしか見えないヒュー・グラントにメロメロになって行く下りなど、手に汗握ってハラハラさせられてしまいました。賞獲り合戦にコメディは弱いですが、これは是非彼女にオスカーを獲ってもらいたかったです。無念です。
9点(2003-11-22 17:18:00)(良:1票)
117.  トゥルーマン・ショー 《ネタバレ》 
90年代で最も美しい映画。人間の嫌らしさをとことん暴き出しながら、最後に人間の善意を全面的に肯定してくれる手腕は見事。ジム・キャリーの浮世離れした個性が、生まれた時からセットの中で暮らしているトゥルーマンに見事にマッチした。彼を支配しながら屈折した愛情を見せるエド・ハリスの快演も素晴らしい。ちょっと風変わりなホーム・コメディの様相を呈しながら、ラストで突然号泣の嵐をもたらす不思議な映画。でもこのオチが良い。人間ってみんなが思うほど悪いものではないよ、っていうポジティブなメッセージを、イヤミなく伝えることのできた数少ない映画だと思う。
9点(2003-11-29 17:29:44)(良:1票)
118.  イブラヒムおじさんとコーランの花たち
60年代初頭のパリの裏町を舞台に、家庭に恵まれない孤独な少年と、彼に愛情を注ぐイブラヒムおじさんとの心の交流を描く・・・というといかにもありがちな話ではあるのだが、込められたメッセージはあまりにも深く、重い。最後の肉親であった父親に裏切られたユダヤ人の少年は、異教徒であるイブラヒムおじさんの養子になりたいと願い出る。彼にとってユダヤ人としてのアイデンティティは家族の裏切りによって完全に否定され、イブラヒムおじさんこそが彼の欲していた全てを与えてくれる存在であったことになる。だが人生に必要なものは全てコーランの中にあると言い切るイブラヒムおじさんの孤独な半生が明らかになるにつれて、実は少年モモの存在こそが、おじさんの人生にコーランだけでは決して与えられなかった最後の一片であったことがわかってしまう。二人の旅するおじさんの故郷、そこは赤茶けた大地の中にわずか4、50軒の家が肩を寄せあう貧しい村だ。その村からフランスに渡り、何十年もの歳月を黙々と働き続けて来たおじさんにとって、モモはその長い人生が決して無駄ではなかったことを証明する一つの光明でもある。底辺で生きる人々のささやかな幸福を描いた作品はいつも、心の中に一筋のやるせない翳りを残し続ける。パリの裏町でひっそりと数十年間に渡る地味な人生を歩き続けたイブラヒムおじさんの孤独は、オマー・シャリフの名演技と共に永く記憶に残り続けるだろう。
9点(2004-11-30 01:12:01)(良:1票)
119.  処刑人 《ネタバレ》 
わりと観た映画のことを忘れやすい私ですが、この映画のことは生涯忘れないでしょう。映画としての出来は、正直ダメダメだと思います。ストーリーはいい加減だし、終わり方は唐突だし、ロッコの死なんかオイオイ本当にそれでいいの?って感じだし、各キャラクターの描かれ方の配分とストーリーに占める重要度がイマイチ合ってない感じがする。そういうムチャクチャさを含めて、「すげー!」と思わせてくれるのはやっぱり手腕なんだと思うし、仮に単なる計算違いというか素人の仕事なんだとしても、この当たり度はセオリー通りにキチンとやろうとしてる人にはなかなか出せないものですよね。ウィレム・デフォーは一人で勝手に楽しんじゃっているし、これでいいのかと言われたら答えはノーなんだけどとにかくこれは好き。続編が作られるっていう噂を聞いたけどヘタに欲を出しちゃったらこういう映画はたぶんダメでしょうね。大手製作会社がシルベスター・スタローンとブラピで作ろうとしたって聞いたけど、これ本当にウィレム・デフォー無しで成立できたんだろうか。
10点(2003-11-22 17:58:45)(良:1票)
120.  レオン/完全版 《ネタバレ》 
ごめんなさい。このへんまでは素直に騙されていたんですけど、「フィフス・エレメント」を観て確信しました。リュック・ベッソンって、細くて小さな女のコが、おかっぱ頭で足を出してるのが好きなんだと思います。いつもながらゲイリー・オールドマンの犯罪者ぶりは似合いすぎです。老婆心ながら、最後にナタリー・ポートマンが地植えにしているアグラオネマは、熱帯植物なのであのへんでは冬を越せないと思います。ちょっとあのオチ、安直すぎませんか。
6点(2003-11-30 02:24:49)(笑:1票)

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