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121.  イリュージョニスト(2010)
ジャック・タチが娘に捧げた遺稿を「ベルヴィル・ランデブー」のシルヴァン・ショメがアニメ化。 「ベルヴィル」の強烈な個性は影を潜め、タチの思いを形にすることに神経が注がれているよう。 台詞少なく、僅かに呟かれる言葉も真っ当な英語や仏語ではなく、おのずと画に集中する。 美しい背景画はソフトを使ってのものだろうけれどペンと水彩の微細なタッチで、CGを加工した乗り物ともども作画と違和感なくなじみ、50年前の失われた時代がレトロに魅せる。 破れた古靴が赤い靴になり白いハイヒールになるように、少女は手品師に磨かれていくのだが、ただ一枚のポスターを懐に巡業する手品師が(しばしばピンハネの憂き目に会いながら)アリスの望みを叶えるのは、父性愛からであると仄めかす一枚の写真。 ホテルに同宿する芸人たちも時代を映す存在、一杯のシチューで救われる命もある。 旅立つに及んでパートナーの白兎を野に放つのは「仕立て屋の恋」を思わせるが、その新たな世界の広がり。 繊細な情緒に彩られながら切なさより安堵を覚え、肩の荷を降ろした手品師のいた世界は見終わると同時に淡く薄れていくのだが、消えることはない。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-04-09 07:30:00)(良:1票)
122.  グッバイ、レーニン! 《ネタバレ》 
寝たきりの母親の寝室の中だけに再現された東ドイツを、何とか保ち続けようとする息子の涙ぐましき奔走の日々。 アレックスの大嘘大作戦は「ライフ・イズ・ビューティフル」のグイドのように外の世界から大事な人を守るためだったのだけど、彼の作りあげた嘘の国が彼にとっても理想の国家に変貌していくのが不思議。 向こうみずで孝行息子すぎる彼のそばに現実的な姉アリアーネを置くことでバランスをとり、西側の同僚デニスは映像オタクを生かしてサポート、彼が「作品」の反応を知りたがるのがリアル。 恋人ララのおせっかいも結果的にはよかった? 母クリスティアーネの息子への眼差しを見たらそう思える。 外にさまよい出た母親の眼前をアレが横切る場面は圧巻で、まるで「同志」に別れを告げているよう。(CGとは知らず) 西独製品の作り変えや偽ニュース番組製作などの手作り感が、必死になって知恵をしぼれば何でもできてしまうのを見せてくれる。 40年の東西分断を経験したドイツならではの映画でドイツ近代史のお勉強にもなり、イェーン飛行士やお父さん、校長先生のエピソードとあれもこれもとつめこんで洗練された映画とはいえないかもしれないけれど、陰鬱にせずユーモアをからめた軽快なフットワークが好ましい。 戦後愛する母親と西と東に分けられた作家エーリッヒ・ケストナーが生きていたら、彼の本の少年たちのように母親思いのアレックスに、惜しみない拍手を送ったかもしれない。
[DVD(字幕)] 9点(2010-08-20 00:00:03)(良:1票)
123.  モーリス 《ネタバレ》 
ケンブリッジの青春。 E・M・フォースター×アイヴォリー第2作。 死後出版されたフォースターの小説の同性愛と階級意識に主眼を置き、異性より同性に惹かれるモーリスの二つの関係、それぞれ三つの違う階級に属する青年たちの思いを描く。 ジェームズ・ウィルビーが上流のクライヴとプラトニックな関係を結ぶ中産階級のモーリス、彼を取り込みながら保身のため女性に心変わりするクライヴはヒュー・グラント。 主演ウィルビーの演技がやや不安定なのは気になるが、モーリスの焦燥とも受けとれる。 第三の男スカダーのルパート・グレイヴスが、前作「眺めのいい部屋」とは階級の異なる役で主人公を翻弄するのが妙味であり、同じ俳優を使いまわすアイヴォリー。 身分違いの自分への愛を信じきれず脅してみせるスカダーの心中が哀れで、彼との関係は二重の「壁越え」を意味し、クライヴを失った空虚さをスカダーで埋めようとするモーリスと、妻を娶り今では友人として接するクライヴの思いは二度と結び合うことがないのを予感させ、映画は野心に吹き消される情熱と青春の儚さを憂えているようである。 ヘレナ・ボナム=カーターがエキストラ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-05-17 07:00:02)(良:1票)
124.  LOIS&CLARK/新スーパーマン<TVM>
スーパーマン/クラークは何といってもクリストファー・リーブだろうけれども、70年代以降のロイスに関してはテリー・ハッチャーではないかと思う。アンビシャスで負けん気の強いこの女性記者を魅力的に描くのはむずかしい。(マーゴット・キダーは女性らしさが欠けていたし、ケイト・ボスワースは逆にロイスらしさが欠けていた。「リターンズ」がなきものにされたのはありがたいこと)ハッチャーは両方を兼ねそなえており、普段はすましている彼女がいい記事をモノにしようと裏ではジタバタしているのを見ているのがとても楽しい。(クラークの記事を横どりしたりしてるのはちょっとやりすぎ?)「デスパレートな妻たち」でセレブになった彼女だが、90年代ロイスの印象の方が強い。日系のディーン・ケインのクラークもリーブとは違った親しみやすさがあり、慣例をやぶって服装もおしゃれ、特ダネなどよりノスタルジックな記事を好む。アクションよりも2人の微妙な関係に焦点が当てられているロマンティック・コメディ風。レックス・ルーサーは表向きはメトロポリスの名士という新設定で、クラークの父ジョナサンが健在であることもうれしい。当初からオンエアが限定されていたために「ヤング・スーパーマン」(Smallville)より知名度が低い作品だけれども、ファースト・シーズン、特にパイロット版は撮影も美しくシリーズを代表するもの。メトロポリスの街は「シャーロック・ホームズの冒険」のべイカー街と同じくオープン・セット。ジェイ・グルーシュカのテーマ曲も映画にひけをとらない。
[DVD(字幕)] 8点(2009-08-17 00:30:02)(良:1票)
125.  素晴らしき哉、人生!(1946) 《ネタバレ》 
これはフランク・キャプラ流の「クリスマス・キャロル」(祝歌)ではないかと。 薄情な金貸しが不運続きの善人に、案内役の精霊が2級天使に置き換えられていますが、主人公に別の世界を見せて枯れた心を生き返らせる手法は似ていて、お○なども出てくるし、生まれ変わった彼が晴れ晴れとした表情で叫ぶ「メリー・クリスマス!」も。 けれどこんなにうまくアレンジされているならそれでいいのかもしれません。 守銭奴が気前よくなるよりも家族のために自分の夢をあきらめ辛酸を舐めてきた苦労人が報われる方が、見る人により大きな喜びを与えるでしょうから。 ジョージが見せられる世界では彼自身を登場させずに彼の存在意義の大きさを見せ、階段のタマネギや娘ズズの花びらをアクセントにし、彼がしてきた善行の見返りがあるなど独自の味付けをした、誰もが幸せやあたたかさを求めるクリスマスにふさわしい作品。 60年以上多くの人に勇気と力を与えてきたと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-12-10 00:59:58)(良:1票)
126.  ギター弾きの恋 《ネタバレ》 
よく「道」と比較されますが、あれよりも抑えめで引き算された映画。 ハティは500ドルと一緒に捨てられて泣いたろうに、そんなところは見せない。 分身であるギターを粉々にして泣きくずれるエメットの顔も見せようとはしない。 映画の弱点はすべてが見え(見せ)すぎることですが、アレンはそれが哀れっぽさの誘因になるとわかっているんですね。 彼や「ジャズ・カントリー」の著者ナット・ヘントフが語る架空の解説も客観性を助長するもので、才能に人格を食われたギタリストを冷静に見つめながらもいとおしむ視線を感じます。 映画に感情移入や共感や感動しか求めていないのであれば、映画の見方はずいぶん狭くなると思うんです。 ポスターは金の月に座し星座を散らしたジャケットをまとい得意気にプレイするエメットなのに、本編ではここまともに弾くシーンはなしっていうのもハズしていて面白い。 来年没後60年となるジャンゴ・ラインハルトが一瞬姿を見せるのも心憎い演出で、彼はとても有名だけれど、エメットのように自分は第二のジャンゴと自負しながら消えていったギタリストも大勢いるんだろうな、とそんなことも思われました。 ショーン・ペンとサマンサ・モートン、黄色くけぶる映像、ロマギターの音色もよかった。
[DVD(字幕)] 8点(2012-10-06 06:59:58)(良:1票)
127.  善き人のためのソナタ
真摯にきっちりと作られているものの、表現としては十分でないところがあってドイツ映画らしく生硬かもしれませんが、何を描きたかったかは伝わってきます。 最後もドライマンが自分のために大きな犠牲を払ったヴィースラーにもっと報いてあげてほしい気はしましたけれども、相手の誇りを傷つけずに自分にできる最上の方法を選んだのでしょうし、相手もまたその気持ちを受け取った。 一度も言葉を交わしたことのない人間同士の友情の表現として簡潔で清しいものに感じられます。 クリスタの魅力が薄いのは「男の映画」だからでしょうか。 彼女の女優業への情熱は恋人ドライマンよりヴィースラーの方が理解していたのでしょうね。 他人のために得にもならないことをする人は、このような特殊な状況下でなくとも世の中にいてほしい気がします。 (ドライマン役のコッホは「飛ぶ教室」の禁煙さんでしたが、ゲデックは「マーサ」とはわからないくらいイメージが違いました)
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-02-17 00:30:05)(良:1票)
128.  レッド・ツェッペリン/狂熱のライブ
07年にリマスタリングがなされ、音楽映画として良質なサウンドが望まれていたが格段に良くなり画質もいくぶん向上し、パッケージもポスターを使用した黒いジャケットに変えられたのはよかった。 これがゼップの最上のライブというわけではないしセットリストも5枚目まで、アコースティック・セットもなくステージングも大掛かりなものではないが、唯一映画の形式で残され、彼らの多彩な音楽嗜好に一通り触れることはできる。 3日分の素材を編集し映像が足りない部分はスタジオでセットを組んで撮られたが、補填された部分は大方溶け込んでいる。 特徴的なブロンドのパーシー(ロバート・プラント)は若々しく声量もあり一見彼がフロントマンと見えるが、パーシー自身が認めるように主役はギターのジミー・ペイジ。 典型的なロック・リバティーンであり悪趣味なアウトフィットを身につけたペイジの特異なプレイが、MSGアリーナでも彼をステージマスターにしている。 一夜の公演に見えないのは、黙々とベースを刻むジョンジーが一人だけ着がえているのが最大の要因なのは反省すべきではないだろうか。 ボンゾのドラムセットはまだこの時期はステージと同じ高さに据えられているが、どこにいようと威力にはさしさわりがない。 ファンタジー・シーンはパーシーのが一番曲とマッチし、アーサー王的な世界に飛びこんでもそれほど違和感はなし。 彼らを支える豪腕マネージャー、ピーター・グラントや彼らの裏側まで知るリチャード・コールの姿も見え、チャーター機スターシップの下ではロック・フォトグラファーのボブ・グルーエンが彼らをとらえようとして待ちかまえているのも興味深い。(彼の作品は公式カメラマンのニール・プレストンに並ぶ) 解散後プラントは永の時間をかけてソロの地位を築いたが、ペイジはゼップ遺産の管理者としての立場にいる。 かつてこんな凄絶なロードライフを送った彼はそれでいいのかもしれない。 (11/2/19 RW)
[DVD(字幕)] 10点(2007-07-01 09:38:55)(良:1票)
129.  ジョニーは戦場へ行った
ジョニーと看護師さんのあの場面は……愛情と同情からのことでしょうけれど、何とも言えない気持ちになります。「エレファント・マン」で有名なJ・メリックのように、体のある部分だけは損傷を免れているというのがかえって残酷な気がします。クリスマスを恋人と過ごすために立ち去ろうとする彼女が、ジョニーを振り返って見る眼差しが忘れられません。
[映画館(字幕)] 8点(2009-06-29 01:08:38)(良:1票)
130.  紅の豚
空や飛行機へのあこがれは人一倍強いつもり。なので宮崎作品といえばこれ。この映画のどこか遠くを見ている感じ、腹八分目なところも好きです。
[映画館(字幕)] 8点(2009-05-27 01:29:35)(良:1票)
131.  クイズ・ショウ
不正・腐敗を暴くのはアメリカ映画の一ジャンルになっているほどで、米国が好む題材。 レッドフォードらしい真摯で端正な作品になっていますが、彼にはあまり向かない題材のようにも見受けられます。 事件の核心に迫るジャーナリストの執念、座を追われた元チャンピオンの偏執、新チャンピオンとなったエリート教授の逡巡・慢心とそれぞれ見応えはあるのですが、欺瞞を描くには彼自身がクリーンすぎるようで。 でもレッドフォードが一番描きたかったのは甘い誘惑に揺れやすい人の心の弱さと知らぬ間に別人に変貌した自分を許せない良心の呵責かもしれず、レイフ・ファインズの苦渋の表情と額の汗はインプレッシブ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-07-22 00:00:04)(良:1票)
132.  髪結いの亭主
パトリス・ルコントを世に知らしめた作品。 ゆらゆらとした空気に満たされ至極映画らしいが、最後寂しさはあっても哀しくも切なくもないのは、彼らが所詮自身の幸福しか頭になかったからか。 偶像を崇拝する男は夫とはなりえず、注がれる愛だけが命の糧である女も妻とはなりえないのだろう。 濃密な肉体と希薄な精神から成る変化を赦さない愛は、閉じているがゆえに育つこともない。 マチルダにとり重要な言葉を告げる客の髪を洗う彼女に触れるアントワーヌは「官能的な理髪師である女を愛する男」を象徴するシーンなのだろうけれども、画的には珍奇でいただけない気がする。 マチルダは満月の欠けるのを畏れた女、年を重ねても少年のエロスを抱き続けたアントワーヌは彼女との10年のためだけにそれまでを生きてきた蝉のごとき男。 彼の人生の夏の日は永かったのか、短かったのか。 「天井にひびが入ってる」僅かな亀裂を気に掛ける彼の言葉には予兆の響きが感じられた。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-01-09 00:00:03)(良:1票)
133.  フェイス/オフ 《ネタバレ》 
J・ウーの大仰な芝居っ気とSFマンガな設定が我慢できればこんなに面白い映画もそうなく、2×2=4人分のキャラクターが楽しめる。善→悪→善のトラボルタより悪→善のまま画面から消えるケイジの方が明らかにもうけ役で、この映画によってあまり女性に人気があったとはいえない彼の支持率も上がった気がする。「プラトーン」のW・デフォーのように悪人顔の役者がいい役だとガゼン魅力が増すのだ。妻に懸命に自分であることを訴えるトロイの顔のアーチャーに、ここぞというダメ押しの台詞で大量のライトがあたって瞳がキラキラ輝く。こんなクサイ演出でもついほだされてしまうほど、過酷な状況で必死にがんばるアーチャーは応援したくなった。アーチャーがO型、トロイがAB型というのもらしくて(自分はトロイと同じなんですが…)ラストしっかりO型の顔にもどってるトラボルタもイイ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-01-08 13:09:56)(良:1票)
134.  トイ・ストーリー 《ネタバレ》 
初の長編CGアニメーションでも技術だけではない「ストーリー」があり、ヒーローきどりで自信家のバズがアイデンティティを砕かれるシーンは図らずもせつない。 そしてウッディの自分の居場所を失う不安とジェラシー。 見た目はオモチャでも中身は人間のリアルな心を、カラフルで楽しい世界にのせて描いた傑作。 アンディの部屋の仲間たちも個性があっていつもにぎやか。 一番人気で活躍するのはバズでも、メインはウッディというスタンスはこの1作目から。 ソリの合わないふたりが自分の弱さを乗り越えて成長し親友になる過程、2人で大空にはばたくシーンはすがすがしさを残す。 To infinity and beyond!
[映画館(字幕)] 8点(2005-11-13 09:03:48)(良:1票)
135.  ロビン・フッド(2010)
リドリー・スコット&ラッセル・クロウによる「シャーウッドの森」前段のロビン。 有名人でも実在の人物かどうかもわからない人なので、好きなように物語を作れるのがミソ。 風景やセットも中世の雰囲気を醸し出しけっして悪くないとは思うものの、悲壮な「グラディエーター」とは作りが違うせいで平板に感じる人の気持ちもわかるので複雑な心境。 プロデューサーの一人でもあるクロウは自分のヒーローであるロビンの映画をもっとコミカルにしたかったようですが、スコット御大にダメ出しされたみたい。(リドリーさんにとっては自国の英雄、「いかん! マジメにやるんだ!」と一蹴されてしょんぼりのラッセル君が目に浮かぶよう) それでもユーモアはあるし、残虐な描写が少ないライトなタッチは見やすいと思います。 クロウは年少時の記憶を失った一人の武将が森の勇者ロビン・フッドになるまでの過程を余裕をもって演じ、ケイト・ブランシェットは華やかさはなくても感じがよくて凛々しいマリアン。(英語でも「騎士」「夜」のナイト取り違えってあるのね) その義父ロクスリーのマックス・フォン・シドーが気骨ある老領主で重みを出す。 ロビン・フッドには珍しく水際での闘いもあり、リチャード王やノッティンガム代官、タック僧など定番キャラも配された冒険活劇は2時間半と長めですが、十分見応えありました。
[映画館(字幕)] 7点(2011-04-06 00:45:19)(良:1票)
136.  アリス・イン・ワンダーランド
アリスはホームズと同じくフェイバリット英国アイテム。 アリスの決定版ということでなく、「ティム・バートンのアリス」としてならば。 バートンはルイス・キャロルの原作よりもそこから派生したサブカルチャーの方に愛着があるようで原作にお門違いなコメントしてるのがトホホだけど、アメリカらしく教訓入りの成長物語に変貌。 リデザインされた「不思議の国」と「鏡の国」の住人たちと19才のアリスのワ(ア)ンダーランドは、CGと3Dに支えられ一応見せますが、プロットに新鮮味がなくアリスも普通の子なのは女性の原案・脚本だからかな。 女たちの話になってて、マッドハッターなんて全然マッドじゃない。 アリスの映像化はシュヴァンクマイエルのものなど多々ありますが、一番有名なのはディズニーのアニメーションで子供が最初に接するのもこれですが、アリスというものを知れば知るほどこれから離れていくのはこれもアメリカのアリスだからで、本当はイギリスが教訓なしの遊び心だけのアリスを作るべき。 VFXを駆使した99年のホールマーク版もアメリカのテレビ作品なので教訓は入っているけれど、オリジナル・イラストレーターのジョン・テニエルの優れたデザインが生かされており、これに較べるとバートン版はややデザインが弱く、(赤の女王の巨顔も99年版のマッドハッターから)映像的にも何度も見たいという気にはならず。 それでも一人の少女アリス・リデルを喜ばせるためだけに大学教授が頭をひねって考え出した世界が、時を経てこんな巨大な映画になって彼の知らない未来の少女たちを楽しませるというのが、人の思いというものそれこそがワンダーなものという気はしましたけれど。 ジョニデ×バートン20周年ということで記念のオブジェもあり。
[映画館(字幕)] 6点(2010-04-20 06:00:05)(良:1票)
137.  スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐 《ネタバレ》 
オリジナルの「スター・ウォーズ/新たなる希望」に直結するエピソード3は、前2作よりもテンションがあり悲劇的。 傑作かどうかはともかく、旧作ファンであれば心を動かされる方が多いのではないかと思います。 当初エピソード6についていた「復讐」(REVENGE)を公開前に「帰還」(RETURN)に変えておりこちらの方で復活した格好ですが、復讐という言葉は善よりも悪にふさわしいのでしょう。 メイス・ウィンドゥを始めとする、オビ=ワンとヨーダ以外のジェダイ一掃も痛ましい。 ヘイデン・クリステンセンが黒装束をまとい、先日のアカデミー賞で特別賞を受けていた俳優ジェームズ・アール・ジョーンズがあの声を吹き込み、ダース・ベイダー卿の誕生。 しかしその声は悪の権化と化しても愛する人を求める哀しいものでした。 C-3POのアンソニー・ダニエルズやヨーダのフランク・オズ以上に、ジョーンズの特徴ある声色は「スター・ウォーズ」と感じさせる威力があり、アナキンがベイダーにとってかわる瞬間はトリロジーの要といえます。 パルパティーン議長(イアン・マクダーミド)がある人物となることは旧作ファンならわかることですが、その文字通りの「変貌」にも納得がいくよう配慮されていました。 パドメは出産直後に絶命するので「ジェダイ」のレイアの記憶とは合致しないことになりますが、ストーリー構成上仕方がないかもしれません。 それぞれ別の里親に引きとられた双子の兄妹があいまみえるには20年の歳月が必要となり、懐かしいタトゥイーンの二つの太陽がそれを予感させる。 新シリーズは堕ちていく物語、けれどそれから復活するための物語でもあるのですから。
[映画館(字幕)] 7点(2012-03-03 07:00:01)(良:1票)
138.  メトロポリス(1926)
ドイツ映画は今と違って20世紀前半は独自の存在感。これも7年後のアメリカの「キング・コング」よりアーティスティックな雰囲気では上回っていると思います。二役のブリギッテ・ヘルムの演技はサイレントを反映して大仰ですが、マリアの姿形がアンドロイドと融合するシーンは幻想的で、ロボット・マリアは「禁断の惑星」のロビーやSWのC-3POなどと一緒に映画のロボット史には必ず顔をだす麗しき造形のフィメール・ロボット。女性色が強いのはフリッツ・ラング夫人のテア・フォン・ハルボウの原作だからでしょうか。BRにも影響を与えているといわれますが確かに俯瞰での高層ビルの形状は似ているようで、製作年代を感じさせるのは複葉機ぐらいのイマジネイティヴな2026年。(私はモロダー版ですが今は見られないんですよね)
[映画館(字幕)] 8点(2010-04-18 06:00:14)(良:1票)
139.  きのうの夜は・・・
このデミが一番自然かもしれない。恋する女の子のアンビバレンス。他の3人もいいし、80年代的な作りではあるが悪くはない。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2009-08-19 00:25:10)(良:1票)
140.  ハワーズ・エンド
E・M・フォースター×アイヴォリー第3作。 不遜なウィルコックスが幅をきかせているせいで非常に不愉快な映画だが、冷厳な階級意識とそれに柔軟に対応する精神を見てとることはできる。(フォースターは英国に存在する「壁」とそれを越えようとする人間を書いた) 翌年の「日の名残り」では惹かれあいながら結ばれることのないアンソニー・ホプキンスとエマ・トンプソンが、心の離れた夫婦なのが面白い。 鷹揚なマーガレットは二つの世界を身をもって繋ぎとめるが悲壮感はなく、そこに居場所を見出すことを当然と受け入れる潔さ。 ヘレナ・ボナム=カーターは「眺めのいい部屋」につづいての奔放な令嬢、「モーリス」ジェームズ・ウィルビーも姑息な嫡男として重要な役割を果たす。 嵐が吹き荒れた後事態は収束し収まりがつくのだが、惜しむらくはキャラクターの内面描写が十分とはいえず展開に性急さ・不自然さを感じるのと、フォースターの小説同様誰もが共感を感じられるような万人向けの内容ではないことか。 英国の「家」に対する感覚は独特である。
[映画館(字幕)] 7点(2010-03-29 06:00:40)(良:1票)

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