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プロフィール
コメント数 2255
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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121.  バニラ・スカイ 《ネタバレ》 
単純かつ下世話な言い方をすると、「淫夢とセックスならどちらが良いですか?」という話。主人公が出した答えは「やっぱりセックスがいい!」というもの。自分も賛成です。ただ超イケメンのトム・クルーズに言われてもなぁと思う。素寒貧になったって、どうせモテモテでしょ、とちょっとやっかみ。怪我後の顔で復活を望んだのなら大拍手だったのに。冗談はさておき本題へ。本作の欠点は主人公の最後の決断に、感動が不足していることだと思います。まず問題なのが主人公の設定。トムは生まれながらの大金持ち。いわゆる“勝ち組”です。世間の厳しさを知らないから、簡単に現実を生きるなんて選択できるんじゃないの?と思えてしまう。さらに胡散臭いのが冷凍保存会社。何故トムは夢で混乱してしまったのか。会社の説明では、トムの潜在意識が作用したとのこと。確かにもっともらしい。でも本当でしょうか?冷凍保存の維持管理には大変な費用がかかるはず。トムに莫大な資産がある間ならともかく、資産が底を尽いたお坊ちゃんを繋ぎとめておく理由はありません。冷凍保存会社は、巧妙な手段で彼に目覚めを促したのではないかと推測します。何のことはない、彼は“自ら起きた”のではなく、“起こされた”だけ。だとすると、ますます決断の価値が薄れてしまいます。ビルの屋上から飛び降りるトム。フラッシュバックされる過去の記憶。このシーンは好き。胸が熱くなります。もっと大きな感動に繋がれば傑作になったのではないかと。それだけに惜しいと思いました。
[DVD(字幕)] 7点(2007-11-10 18:03:18)(笑:1票) (良:2票)
122.  さよならみどりちゃん 《ネタバレ》 
不幸体質の女性の恋のお話。最初は、「そんなに辛い恋愛ならしなければいいのに」とか「この男、最低だな」とか思って観ていました。でも恋愛は理性でするものじゃない。そういうことを久しぶりに思い出しました。ゆうこからは、“理屈ではなく人を愛おしむ気持ち”を、ユタカからは‘人と深く交わることへの恐怖“”愛されることへの渇望と不安“が伝わってきました。2人とも器用に振る舞いながら、本当は不器用。それは理解できます。でも今2人の関係を”よし“としていいのか。今の状況からは光が見えません。やっぱり一歩前に踏み出すべき。自分はそう思います。「私を愛してよ」と本音を吐露したゆうこ。スナックを辞める決断をしたこと。頑なに拒んでいた歌を歌ったこと。満面の笑みで歌い踊るゆうこからは、恋する女性の切なさがにじみ出ていました。でも今の状況から踏み出す一歩、いや半歩も同時に見えた気がします。やっぱり女性は芯が強いのかもしれません。物語には痛々しいくらいのリアリティがありました。キャスティング的にはメインからスナックの客に至るまで良くはまっていたと思います。とくに星野真理は役を自分のものにしていたと思います。
[DVD(邦画)] 7点(2006-08-03 17:57:29)(良:3票)
123.  アウトレイジ ビヨンド 《ネタバレ》 
これはいけません。楽しくありません。前作はコメディと見紛うばかりの(というか本気でコメディだと自分は思っていますが)ハイテンション・極道エンタメ映画でありましたが、本作は常識的なヤクザ抗争映画。“画面全体からビンビン伝わってきた大物・実力派俳優のノリノリ感”も半減してしまっています。良かったのは、小日向と松重がチンピラの取り調べをするシーンくらい(真っ当に面白い“刑事と容疑者”コントでしたね)。やはり圧倒的な「バカヤロー」「コノヤロー」不足が原因と考えます。やっぱり全員が四六時中悪態をついてこその『アウトレイジ』ですよ。イヤミの「ザンス」、コロ助の「ナリ」よろしく、全ての台詞の語尾に「バカヤロー」を付けてもいいくらい。ラストもスッキリさせ過ぎでした。ヤクザの自己中っぷりや理不尽さを表現するなら、憎まれっ子は世に憚らなきゃ。監督もこの出来では満足していないのでは?是非早期のセルフリメイクを希望します。タイトルは『アウトレイジ・びよーんど』で。勿論メインゲストの大物組長役は『ゆーとぴあ』のお二人でお願いします。
[DVD(邦画)] 6点(2013-08-25 18:58:19)(良:3票)
124.  オーロラの彼方へ 《ネタバレ》 
“もしも、あのときこうしていたら”誰もが抱く思いです。でも、そのことで本当に望む結果が待っているかどうかは誰にも分かりません。仮に自分が主人公と同じ立場なら、同じことをしたと思います。大切な人の死を見過ごすことは出来ません。でもその次には、宝くじの当たり番号を調べ、競馬の万馬券を調べてと、私利私欲に走りますね(苦笑)。しかし、主人公たちは全然そんなことをしない(ヤフーの件は思いつき)。はなから気にしていないのです。さらに、未来を変えた責任を取ろうと奔走します。自分の力が及ばぬことと割り切ることも出来るのに。そんな人達だから、無線はつながったような気がします。幻想的なオーロラ。何処の誰と話しているか分からない無線機。ひょっとしたら時空を超えて交信できるかもと思わせる雰囲気があります。テンポよくハラハラドキドキ観られる良質の娯楽作品です。最後に気になった点をひとつだけ。最終的に主人公は職業まで変わったのかな?(消防隊長になった?)。もしそうだとしたら、最初の人生を全否定しているようで、ちょっと残念です。変わる前の人生だって価値ある人生だと思うから。
[DVD(字幕)] 8点(2006-06-15 17:55:14)(良:3票)
125.  遊びの時間は終らない 《ネタバレ》 
地震や火事を想定した予行演習。小中学生の頃はよくありました。先生は必ず言います。「真剣にやれ!」と。でも子供たちの耳には届きません。だって先生たちから真剣さが伝わってこないから。申し訳程度のスモーク。都合のいい時間帯、場所からの出火。どこにリアリティがあるのでしょう。「お約束」という大きな看板がどーんと掲げられています。小学の高学年くらいになれば、それくらい分かります。だから白けてしまうのです。最初はそういう大人世界の矛盾を、子供心に“変だな”と思ったもの。でも次第に慣れてくるのです。イチイチ突っかかるのが面倒になってきます。いつの間にか、物分かりのいい大人が出来上がっているという仕組み。本作の主人公は、そんな大人にならなかった男。真っ直ぐで、正直で、正義感が強い。彼はひたすらリアルに銀行強盗を演じました。当然いろいろな不都合が出てくるのが道理。困るのは大人たち。これがシニカルな笑いに繋がりました。子供心に抱いたモヤモヤがスッキリする不思議。だから、大人社会に疑問を感じている人ほど観ていて爽快なのだと思います。主人公に共感できるか、はたまた眉をひそめてしまうか。観客の“大人度”が量れそうです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-10-08 20:06:44)(良:3票)
126.  新解釈・三國志 《ネタバレ》 
NHK人形劇から始まり、横山光輝の漫画全60冊を誕生日プレゼントでねだり、吉川英治の小説も読みふけり、スーパーファミコン版光栄の『Ⅱ』は50回以上中国全土を統一した『三国志』大好きな私。さらに福田雄一コメディも大好物で『新解釈』なるアプローチも面白そう。期待値はかなり高かったのですが、見事に空振りました。何がまずかったかと考えたのですが、純粋に『物語』が面白くなかったのだと思います。『三国志』の高い認知度に胡坐をかいた粗い脚本が諸悪の根源と考えます。メインとなる物語で魅せてこそ、福田コメディの生命線、アドリブや悪ふざけが活きる訳で。もっとも本作については、悪ふざけもセンスを欠くものが多く、特に渡辺直美の容姿体形を揶揄するネタは、東京五輪開会式案『オリンピッグ』より数倍タチが悪いものでした。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2021-10-22 23:17:27)(良:3票)
127.  あなたへ 《ネタバレ》 
最愛の妻からのラストメッセージ。それは絵手紙にしたためられた僅か5文字の言葉。「さようなら」たった一言を伝えるために、妻は夫に旅をさせました。環境を変えること、体を動かすことで見えてくるものがあるということ。「あなたは、あなたの時間を生きて」過去の思い出に囚われることなく、新しい人生を歩んで欲しいという妻の願いは夫に届いた様子。篭の中の鳥、いや刑務所に餌づけされた雀は、大空に飛び立つ決意をしたようです。ただ薬が効きすぎたのか、刑務官の職まで手放してしまいました。退職後も請われて仕事が出来るなど誇らしいこと。ニセ教師や南原の例を見ても分かるように、居場所があるのは幸せな事です。新しい生き方を模索する気持ちは尊重したいですが、今まで積み重ねてきたものも大切にして欲しいと感じました。根なし草の放浪とならぬ事を祈るばかりです……。齢八十の大スター・高倉健を主演に迎え、豪華キャストでお送りする和製ロードムービー。健さんは流石に若々しいものの、それでも80歳のおじいちゃんには変わりありません。本作のテーマを扱う上で主人公の年齢は重要なファクターとなりますので、明らかにミスキャストでしょう。吉永小百合もそうですが、主役しか許されぬ役者人生というのも虚しい気がします。年齢相応の適役でこそ、役者は一番輝けるのでは。イベントは発生してもアクシデントは皆無であること、移動距離と期間及び移動手段のバランス上、ロードムービーとしては極めてコンパクトで平凡な印象です。大仰なBGMに頼るのも限度があります。ロマンには欠けては、ロードムービーの醍醐味半減と言わざるをえません。
[地上波(邦画)] 5点(2013-08-22 18:49:46)(良:3票)
128.  スイス・アーミー・マン 《ネタバレ》 
(ネタバレあります。未見の方はご注意ください。)十徳ナイフ並みの 、いやそれを遥かに上回る“万能死体“を使っての無人島からの脱出劇。ノッケからオナラ風腐敗ガスエンジンのボートに変化という飛ばしっぷり(苦笑)。斬新な着想はキャッチーなれど、出オチの危険性大かと危惧しておりましたが、いやいやどうして、見応え十分でした。しっかりコメディとして成立していたと思います。ただし中盤、観念的なアプローチが過ぎたというか、ハイセンスな部分を見せようと意気込み過ぎたというか、やや中弛みした感は否めません(手作りバスあたりの件ですね)。とはいえ、見終えてみれば主題は明快で、こんなキワモノ設定の中ブレることなく結末までたどり着いた点には拍手を送りたいと思います。いや、やっぱりたどり着いてないかな。スミマセンそこは要審議で(苦笑)。というように、反芻しても“苦笑い”がやたら多いのですが、決して駄目じゃなかったと思うのです。好意的な苦笑い。その最大要因は、ダニエル・ラドクリフくんにあります。もう手放しでホメたいチャーミングな死体ぶりでした。それに天下のハリー・ポッターがよくぞこんなヨゴレ役を引き受けたものだなと感心します。彼の熱演(死体だから冷演かな)無くしては、本作の成功はありませんでした。本年度のアカデミー最優秀死体賞は彼で決定ですな。さて、色んな見方・捉え方が可能なストーリー(真っ当な解釈は妄想・精神疾患系あるいは心理状態の比喩表現。そもそも漂流などしていない)ですが、私的には愚直に“メニーくん=宇宙人説”を推したいと思います(タイガー星雲か、ZOJIRUSHI系からやってきたと睨んでおります)。全部“ほんとう”と信じるなら、これしかラストの状況に対する説明はつかない気がいたします。まあ正直いいますと、“整合性なんてハナから気にしちゃいない“が真相だと思われますが。観客で勝手に判断してくれのスタイル。無責任かもしれませんが、個人的にはこんなのもアリだと思います。映画は究極の自由空間ですし。the endの神タイミングに対し+1点査定で。
[映画館(字幕)] 9点(2017-09-25 08:51:46)(良:3票)
129.  es[エス](2001) 《ネタバレ》 
私たちは社会生活を営んで生きています。それは少なからず何かを演じて生きているということ。ある人はサラリーマンを。ある人は学生を。意識しようとしまいと、“こうあるべき”という役割を演じて生きているのが、社会的動物たる人間です。本作では、心理学の実験として「看守」と「囚人」の役割が被験者に与えられます。当然、被験者は初め役割を演じます。報酬を得られる単なる実験として。しかし教授という神のもと、与えられた役割という大義名分のもと、次第に自己より役の占める割合が増していきます。物事を決めるのは自己ではなく役割。それはとても心地よい状況のはずです。なぜならそこには自己責任が存在しないから。でも、自分に都合の悪い決定だと逆に息苦しく感じることもある。勝手なものです。でもそれは日常生活でもごく普通に行われている心の動き。心の安定に必要な行為です。だからこそ、本作で起こった事象にはリアリティがあります。社会と隔離された密閉された空間。そこでひとつの社会を形成してしまっている状況。思考を停止させるのになんと好条件なことか。役割が自己を食い尽くしていく恐怖があります。普通の人間に潜む狂気が一番恐ろしい。
[DVD(字幕)] 8点(2006-08-07 17:58:22)(良:3票)
130.  アフロ田中 《ネタバレ》 
社長「これはこれは、無断欠勤中の田中くん。今日はどうしたんですか」田中「はい。私、今日はずっとダラダラとしておりました。あ違います。正確にはヘラブナ釣りを少々」社長「で、わざわざ私を探しに来たということは、私に何か言う事があるんだろ」田中「いえ、私の方からは何も言える事はありません。あるのはただ、無断欠勤をしたという事実だけです」社長「だからこそね、何か言う事があるんじゃないのかってこと」田中「いえ、私からは何も。あるのはただ、無断欠勤をしたという事実だけです」社長「そこを押すよな、さっきからな。ま、でも一応反省はしているんだよな」田中「それはもちろんです。社長」社長「ん、それならまあ今後マズい事やんないようにな」田中「ありがとうございます。失礼します」社長「もやもやするなあ」以上完全再現させていただきました。この件に大爆笑。腹を抱えました。完全無欠の謝罪技術、社会人なら是非身に付けたいものです。さて、本作の長所はキャラクター造形の素晴らしさに尽きると感じます。超絶美人だけれど、今まで魅力的とは一度も思った事がない佐々木希を、これだけ愛おしく撮れるのは凄いと思いますし(『ハメ●り?!』なんて台詞を吐かせたのは金メダル級の大仕事)、悪友たちもみな、肩の力が抜けていてイイ感じ。そして主演の松田翔太。菩薩もびっくりアルカイクスマイルから、悩み慄く眉間の皺まで、表情豊かで観ていて楽しかったです。童貞倫理審議会が認定する優良童貞ボーイでありました。そんな田中にシンパシーを感じてしまう自分が情けないやら愛おしいやら。披露宴会場ロビーにて、肩を寄せ合いタバコをふかす野郎どもが美しく見えました。失恋上等。情けなくてバンザイ。死ぬ間際、きっとあいつら5人は思いだし笑いで死ねる。そんな人生の一コマを集めるために、人は生きていくのだと思います。
[DVD(邦画)] 9点(2013-01-01 00:00:00)(良:3票)
131.  予言 《ネタバレ》 
三上博史の過剰な演技、血管の浮き出た顔はホラー向きだと思いました。酒井法子もこういう作品がすっかり板に付いたような。堀北も本来は影のある役でこそ本領を発揮するタイプ。小野真弓の地味目の顔立ちにも不幸が似合う。概ねキャスティングは良好だと思います。物語は、往年の名作オカルト漫画『恐怖新聞』からアイデアを頂戴しているとのこと。本作で示される恐怖新聞の法則は、“新聞に書かれている事実を変えてはいけない”。変えた場合は、災いがその身に降り掛かる。しかも単純に死ぬのではなく、時限の隙間(あの世とこの世のハザマ)をさまよう罰が与えられるようです。それはある種の地獄。見たくない悲劇を永遠に繰り返す。山本圭がそのことを証言しています。ですからラストに救いはありません。おそらく三上は、我が身を犠牲にして永遠に家族を救い続けるのでしょう。切なく、やるせない。本来であれば、感動系にシフトしてもおかしくないお話です。三上は命を賭して元妻を救っています。でも“あえて”その部分を、物語の焦点にしていません。もっと大切なことがある。最後に突きつけるのは、過去はどんなにあがいても変えられないという厳しい現実。“後悔先に立たず”です。ただし、逆説的なメッセージが隠されていることも見逃せません。悲劇が起こるまでの僅かな時間、三上は幸せを味わうことが出来る。彼はようやく家族の幸せに気付きました。恐怖新聞のせいで事故が起きたのではありません。誰だっていつ死ぬのか分からない。だから今を大切に生きる必要がある。本作はホラー。救いはありません。でも少しだけ優しい。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-08-16 17:59:15)(良:3票)
132.  夜のピクニック 《ネタバレ》 
主人公の願い事。それは、ある同級生と話をすること。本当は何時話しかけたって構わないのだと思う。でも彼女はそれを先延ばしにした。一度先延ばしにしてしまうと、もうダメです。今日と同じ明日が来るなら、また先延ばしにしない理由はない。明日から始めるダイエットは成功しないのと同じ。彼女は何かキッカケが欲しかった。それが年に一度のピクニック。3年生最後の鍛練歩行祭でした。彼女の心境はよく分かる。そういうことってよくあると思う。小さな勇気をケチったばかりに、大きな勇気が必要になってしまう。願いを叶えることなく歩行祭を終える可能性は、実は高かったと思います。彼女はそこまで追い込まれていない。そういう意味で、ローサのおまじないは(ちょっとムカつくけど)有り難い。友達は大切です。それは主人公の母が遠回しにかけた、おまじないでもあったと思います。彼女は心の蟠りを解きました。心が軽くなれば高く跳べる。彼女と彼は、今日とは違う明日を迎えることが出来るでしょう。それは人生をより豊かにすることだと思います。いいお話でした。キャストも嫌味が無い。清々しい青春ムービーだったと思います。ただ惜しい箇所がちらほら。筋立てはシンプルなので、退屈しないように小ネタを仕込みたいのは分かります。でもそれは物語の雑味になる。必要ないと思いました。このテーマを扱うならば、勇気をもってシンプルな味付けで勝負して欲しい。
[DVD(邦画)] 7点(2007-11-22 17:56:08)(良:3票)
133.  コン・エアー 《ネタバレ》 
低予算・低クオリティのB級C級映画は星の数ほど存在しますが、本作のように大金をつぎ込んだA級バカ映画には、年に何本もお目にかかれない。バカを大スケールで、しかもコンスタントに届けてくれるハリウッドには、心から感謝申し上げたい。まるで豪勢な『お笑いウルトラクイズ』を観ているようでした(失礼)。もっとも、本作を観始めた頃は、真っ当なクライムアクションだと思っていました。深刻なトラブルに巻き込まれた主人公を本気で心配した。ところが様子がおかしい。主人公が友達思いなのは分かります。正義漢だということも。だだ、それにしても楽観的過ぎやしないか。ポーにとっては、妻子に会う事が最優先事項じゃないのか?そんな疑問は、爆発炎上を背にダイブする主人公を見て吹き飛びました。ああアレか。“主人公だから死にません”っていう、アレか。娯楽作品のお約束。そういう映画だと分かればシメたもの。こちらも、そのつもりで観させてもらう。そんな観客のスタンスを見透かしたかのように、バカは加速して行きます。空飛ぶスポーツカー。ラスベガス市街地に突っ込む飛行機。大惨事?いえいえ、死者数はゼロに決まってます。777でコインが飛び出す能天気なカットがその事を裏付けている。本作は素敵なバカ映画でした。あんまり素敵なので、クソバカ映画と呼ばせてもらいます。もちろんマジで褒めてます。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-03-24 18:55:23)(笑:1票) (良:2票)
134.  トランス・ワールド 《ネタバレ》 
(ネタバレ厳禁映画です。鑑賞前の閲覧はご注意ください。) 予算規模、脚本・演出・演技のクオリティ、どれをとってもお馴染みフジ系TVドラマ『世にも奇妙な物語』のそれと寸分違いません。これで本作がどんな映画か、伝わる人には伝わると思いますが、言及したいポイントが1か所あります。それはトム(クリント・イーストウッドの息子)の扱い。過去を変えることで、女性2人の運命が好転するのは明白でした。彼女たちが父親(祖父)を助けたいと考えるのは当然です。ただしトムだけは違いました。母親の人生が変われば、彼は存在しなくなります。これもほぼ確定事項。そのことに気づきながら、トムは曾祖父の命を救おうとしました。これって凄い献身です。ほんと感動ポイントなんです。彼の決断と勇気にきちんとフォーカスした演出があれば、もうワンランク作品の完成度が上がったと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2014-10-09 20:57:34)(良:3票)
135.  ドッペルゲンガー 《ネタバレ》 
(こう考えたら面白いなという自分なりの解釈です。)ドッペルゲンガー(以下ドッペ)は、何故役所と永作弟に現われたのでしょう。2人の共通点は「本体」に強いストレスがあったこと。役所は人工人体の開発、永作弟は小説の執筆で。しかしそれなら誰にでも当てはまる。他の要因が必要です。役所の場合、佐藤仁美からドッペの話を聞かされた直後に、自身のドッペが発現しています。つまり“ドッペの存在を意識した”。このことが重要である気がします。次にドッペの特徴は何か。ドッペは本体よりアグレッシブ。本体がしたくても出来ないこと(役所の場合は研究室破壊、資金調達、佐藤と永作に××など)を次々と行います。それに神出鬼没。そして最後は本体に殺されます。(”ドッペを見た者は死ぬ”の逆です。)永作弟の自殺も、役所の場合と同じと考える方が自然です。となると“死んだ弟はドッペ。しかも本体に殺された”ことになります。これも自殺といえます。いや、そもそも「本体」という考え方が正しくないのかも。本体=ドッペ。“こうありたい自分”になったのなら、もう一人の自分は不要です。憎悪の対象ですらある。それは役所がもうひとつの分身、人工人体と別れを告げた場面とも重なります。まとめると【強いストレスのある人間がドッペを意識したとき、ドッペは発現する。ドッペは本体より積極的で、本体の欲求を満たしてくれる。しかしいずれ片方は殺される。残るのは、両方の人格を統合したひとりの人間】。そう捉えると、ひとつの考えが浮かんできます。“ドッペは役所と永作弟だけなのか?”役所と永作の周りの人間は、ドッペの存在を意識した可能性が高い。そしてストレスの無い人間はいない…。柄本は役所と同じように会社を辞め、何故か大金を手にした。さらに神出鬼没。最後は車に轢かれて死にます。運転手は誰?ユースケもあの高さから落ちたのに平気。終盤の永作は、はじけていました。ということは…。ドッペは“意識することで発現する”伝染病のようなものではないか。本作の観客もまた、自身のドッペルゲンガーを意識したはずです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2006-09-29 18:10:50)(良:3票)
136.  パージ:アナーキー 《ネタバレ》 
暗視ゴーグルのアドバンテージだけで、防弾チョッキひとつ身にまとわず「狩り」を愉しむ富裕層って、どんだけアホやねんと。絶体絶命の大ピンチに正義の味方が颯爽と現れて助かるなんて、そんな脚本よく通したなと。基本ウソだらけの映画ですが、一番の大嘘は人が人を好んで殺すという点と考えます。人が殺人を嫌うのは、殺したくないし、殺されたくないから。種の衰退に加担する行為を忌み嫌うのは自然の摂理です。それは富裕層とて同じこと。机上の理論は、悪意に満ちた偏見でもありました。貧困層が殺される側に甘んじる設定にしても同じこと。全ての犯罪が罪に問われない“人生一発逆転タイム”にただ逃げ隠れするだけなんて、ご冗談でしょう。
[DVD(吹替)] 5点(2017-05-15 22:25:35)(良:3票)
137.  ミッドナイトイーグル 《ネタバレ》 
(すいません。大いにネタバレありですので、未見の皆様はご注意ください。)     雪山に挑む大沢と玉木。彼らが命を賭す理由が見えません。謎の集団に狙撃され、雪崩で荷物を失い、それでも目的地を目指すという。雪山での“勇気”が何かを、彼らはよく知っているはずです。玉木の「逃げたくない」では動機不十分。増援ヘリの出動も意味が分からない。吉田と大森の友達トークなど聞きたくない。トマホーク着弾までのおよそ10分間、核爆弾をテロリストから死守することがどれほど困難か。そんなときに呑気にカメラを拭いている大沢に呆れる。どれもほんの少しのフォローがあれば納得出来ました。吉田から2人に事情を説明して助力を請えばいい。ヘリは状況説明のために一機落す。大沢は銃が持てない程負傷すれば問題ない。難しい仕掛けは要りません。気遣いが欲しいのです。それが娯楽作品でのリアリティだと思います。他にも気になる点がある。キーパーソンは大沢の無線を受け取った濱田岳くん。民間人である大沢に最終手段を提案されるほど、当局は不甲斐無い。なら岳くんだって後半活躍できたはず。せっかくの良キャラを活かさないのは勿体無いです。大沢と竹内の関係性も希薄。重要な2人のドラマが迫って来ない。竹内の最後の台詞「許さない」が、単に冷たい言葉に聞こえてしまっては意味がない。大切なのは構想だと思います。一人のキャラ、一つの台詞を活かすためにどうするか。そのための尺はたっぷりとある。その場しのぎでは、どんな魅力的な人物も、深い言葉も、輝かないと思います。
[映画館(邦画)] 5点(2007-12-03 18:10:34)(良:3票)
138.  ミッドサマー 《ネタバレ》 
盛大にネタバレしています。未見の皆様はご注意ください。  学生たちが訪れた村は、いわゆる『カルト教団』のコミュニティ。その特異な風習は、我々の価値観(ルール)の範疇から逸脱するものでした。しかし学生たちは当初『文化の違い』と捉えました。研究対象としての魅力に抗えなかったのでしょう。もちろんこれは誤りです。我々の社会が許容できない価値観を『文化』とは呼びません。『蛮行』、いや『習性』でしょうか。狼が小動物を食らい、小鳥がさえずるが如し。村人は良心の呵責を一切感じる事無く人を殺せました。同じ顔、同じ言語を話しても、基本的な価値観を共有できなければ、それはもう『別種の生き物』です。DNA的にはどうあれ、『野生動物』や『宇宙人』に同じ。この要点を見誤ったが故に、学生たちは命を落としました。彼らは危機に対して鈍感過ぎました。 『別種の生き物』とは共存するのが人類の基本戦略です。豊かな生態系を維持することは人類にとって有益だからです。人の多様性を認めるのも然り。しかしカルトは、人間社会にとって百害あって一利なしです。我々の文化・生活圏と隔離されているならまだしも、彼らは人間社会に足を踏み入れ『尊厳』を踏みにじりました。これは看過不可。『文化の違い』などでは決してなく、我々にとってはただの犯罪集団、というより『害獣』です。世間に気づかれたら最後、コミュニティの解体は免れません。にも関わらず、長年集団が維持されてきたのは、そのシステムが巧妙であったからと考えます。 (ここからは完全推論です)最重要ポイントは、村人全員がそこで生まれた者ばかりということ。第1期(誕生~18歳まで)は教育期間。村の『常識』を植え付けます。『常識』に理論武装は必要ありません。だから最強。異なる価値観に触れたところで揺らいだりしません。工作員の学生は「自分も親を亡くした」と口にしていましたが、これは主人公を取り込むための方便でしょう。村に親子の概念なし。全員が家族ですから。我々にとって村人が『別種の生き物』であるように、村人にとっては外界の人間もまた同様。役目が終われば全員廃棄でしょう。また、注目すべきは村の憲法『経典』を常にアップデートできること。彼らは常に外界の文化文明に触れていますから、古の理では満足できなくなること必至です。時代の流れに沿うように経典を書き換えられる制度設計が、村の維持に大きく役立っているのは間違いありません。そういう意味では『蛮行』が廃止になる可能性もゼロではありません。しかし『伝統』は『常識』に負けない強固な概念。簡単には覆せません。ちなみに、意図的に障がい児を作り出し『無垢なる王』に据える手法も見事な知恵と言えましょう。神輿の上は軽いほど良く、有力者に都合がよい「神託」を出す便利な道具であります。  気づけばバッドエンド一直線の物語は恐怖でしかなく、ホラーとして一級と考えます。しかしその一方、サスペンスとしては選択肢がないため物足りません。学生たちには最低限、生きる為に足掻いて欲しかったなあと。これが本作に対する率直な感想です。同じ設定・脚本で、市川崑監督とか堤幸彦監督だったら、どんな物語になるのか見てみたい気もします。
[DVD(吹替)] 7点(2020-11-25 19:24:15)(良:3票)
139.  椿三十郎(1962) 《ネタバレ》 
僅か100分足らずの尺ながら、物語は充実しています。かといって忙しない印象もありません。動を際立たせる静。緊張を和らげる粋な笑い。その脚本、演出の巧みさには舌を巻きます。登場人物も魅力的。脇役も際立っていますが、やはり主演の三船に尽きます。身分は素浪人。名は椿三十郎。偽名です。“ヒーローは名を名乗らない(名乗ってはいけない)”という大前提が、きちんと守られています。『月光仮面』と同じ。それは見返りを求めないという宣言です。「義を見てせざるは勇なきなり」よりも「君子危うきに近寄らず」が主流な昨今、やはりヒーローはこうでなくては!と思います。おまけに頭もキレます。しかし欠点もある。粗野な振る舞い、独断専行。奥方には「抜き身」と評されます。彼の人物像を見事に言い表している。そんな主人公が、奥方の人柄にほだされたのが本作の肝。奥方は世間知らずです。でも計算がない。飾り無い無垢な言葉だから、世俗にまみれた主人公の心に響いたのでしょう。「人を殺してはいけません。」「本当によい刀は鞘に納まっているものです。」しかし事態は甘くありません。殺生は避けたいが避けられない。奥方の言葉と現実との間で、主人公の心は揺れ動きます。その葛藤は言葉と態度に表れます。だから彼に深く感情移入できる。最後の決闘。もはや何の益もありません。でも武士であるが故に立ち会わざるを得ない。勝利の余韻よりも虚しさが勝ります。「お見事!」と言われて一喝する椿の姿が心に残ります。紛うことなき娯楽時代劇の傑作。思い入れの要素を差し引いても、10点は動きません。
[DVD(邦画)] 10点(2007-08-01 18:06:03)(良:3票)
140.  幸福のスイッチ 《ネタバレ》 
口を開けば文句ばかり。プライドだけは一人前。世間知らずもいいところ。上野を観ていると腹が立ちます。でもちょっと苦くて、むず痒い。自分自身を観ているようだから。間違いなく、ああいう時期が自分にもあった。というか、今もその傾向が無いとは言えません。なんともお恥ずかしい限り。だから彼女の気持ちや考え方はよく分かる。電気屋は家電製品を売るのが仕事。部屋の模様替えなんかに付き合っていられるか。ごもっとも。でもそれは普通の電気屋の考え方。それではライバル店には勝てません。ジュリー夫妻は開店当初、顧客開拓のために町内の家々を全て回ったという。さらに“売った製品の面倒は最後までみる“というポリシーを貫いてきた。他の店がやらないこと。だから価値がある。量販店が他では出せない低価格で製品を提供するのと同じ発想。商売で成功する秘訣をジュリーは知っている。しかもその仕事に喜びを感じ、みんなから感謝されている。こんなに素晴らしいことはない。外面の天才?それがどんなに凄いことか。学校の勉強では教えてくれないこと、経験して初めて分かることがある。彼女は直に電気屋の仕事に触れることで、ジュリーの偉大さに気付いたはずです。(もっとも素直にそう思えるまでは、もう少し時間が必要かと思いますが。)幸せのスイッチは”気付くこと“だと思う。それは大人の入り口にある灯り。人生を照らすひかり。彼女は今、パチンとスイッチを入れました。
[DVD(邦画)] 8点(2007-12-06 18:23:08)(良:3票)

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