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141.  バッテリー
少年野球を題材にした作品で、子役たちもいい(特に主人公の弟役の笑顔が最高。)のだが、もともと岡山に住んでいる設定の子をはじめとして方言がポジティブすぎで、中学生なのに一人称ワシだったり、なんか話し方が年寄り臭すぎでどうも若々しさというものが感じられず、また顧問の先生が生徒に話しかける際も方言であるなどということは絶対になくかなりの違和感を感じた。このおかげで(まあ、狙ったのかもしれないが。)相当に田舎臭い映画になってしまっているのが地元の人間としてひいてしまう。また、思ったとおりドラマが浅く、母親との関係などじっくりと描くべきところがあっさりとしていたり、その他いろんなエピソードを詰め込みすぎていて長い原作(未読)を無理矢理2時間におさめようとした感がある。終盤重体になった弟が瀕死の状態で兄に話しかけるシーンはいかにもここで泣けという感じで冷めてしまったし、ラストの母親の応援シーンは皆さん書かれているとおりやりすぎだと思う。見ていなかったが、これだと今年NHKで放送されていた連続ドラマの方がよさそうだ。
[DVD(邦画)] 3点(2008-09-27 12:56:19)(良:1票)
142.  トラ・トラ・トラ!
アメリカのシーンはリチャード・フライシャー、日本のシーンは黒澤明に代わって、日活の舛田利雄と当時まだブレイク前だった深作欣二が監督した日米合作の戦争映画。それだけに日米双方の視点で物語が描かれていて偏りがない。ところで、「パールハーバー」で山本五十六役だったマコ岩松がこれにも役は違うが出ていて驚いた。渥美清のカメオ出演が笑える。もし、黒澤が最後まで日本側監督をやっていたらどういう描き方をしたかも少し気になる。
[ビデオ(字幕)] 8点(2005-03-02 13:41:20)(良:1票)
143.  さらばラバウル 《ネタバレ》 
昭和19年のラバウル戦線を舞台にした東宝の戦争映画で、本多猪四郎監督と円谷英二のコンビが「ゴジラ」の直前に手がけた作品としても知られている。怪獣や宇宙人、変身人間など一切出てこない本多監督の作品は初めて見たが、「ゴジラ」には及ばないと思うものの、この映画も人間ドラマがしっかりとしていてとても良かった。でも、主人公の鬼隊長と言われる若林大尉を演じる池部良はストイックに演じているもののちょっと鬼隊長というには貫禄不足のような気がする。この鬼隊長が捕らえた米軍パイロットの取り調べで米軍と日本軍の違いに愕然とするあたりから変わっていくという展開なのでもっと演じる俳優に貫禄がほしかった。「ゴジラ」で芹沢博士を演じていた平田昭彦が本作でも若林の部下役で出演しており、ここでも現地の女性(根岸明美)と悲恋を演じる役どころというのがちょっと興味深い。男中心に展開する映画にもかかわらず岡田茉莉子(可愛い。)や中北千枝子、根岸明美といった女性の登場人物の描き方がうまく、エンドマーク直前もこの女性たちが船の上で「ラバウル小唄」を合唱するシーンで終わりというのが本多監督らしいところ。実録映像も交えた円谷英二による空中戦の特撮も見事。ほとんど機会がないのが残念だが本多監督の怪獣映画やSF映画以外の映画ももっと見たいと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2009-04-21 23:25:13)(良:1票)
144.  運命じゃない人 《ネタバレ》 
序盤は普通にラブロマンスが展開するのかと思いきや、そうではなく一つの出来事をさまざまな視点から語ることによってその裏には実はとんでもないことが隠されているという展開になっているのは意表をついている。下手をすれば複雑になりがちなストーリーを実にテンポよく快活に描いていて、最後まで飽きさせない脚本の構成力がまず素晴らしいし、それに低予算でネームバリューのある俳優が出ていなくても脚本が面白ければ面白い映画は作れるという見本のような映画になっていることも好感が持てて良く、これが初の劇場公開作という内田けんじ監督の才能の高さをじゅうぶんに感じられる映画だ。主人公を演じる中村靖日は「ウルトラマンギンガS」のゲスト出演で冴えないサラリーマンを演じていたのが印象に残っている程度なのだが、本作でもサラリーマンを演じていて、こういう普通の役どころがハマる俳優なのだろう。そのとぼけた演技も良い。彼がレストランで知り合った女と別れるときに携帯の番号を聞き出そうと走り出すシーンは自分に重なるところがあり、思わず感情移入してしまった。聞き出した番号が偽物だったにもかかわらず、書き間違いだと言って電話をかけ続ける姿がなんだか切なかった。その女が部屋にあったヤクザの金をくすねる展開は意外。じゅうぶん面白い映画なのだが、唯一、ラストがあまりスッキリしていないのはちょっと残念だった。でも、内田監督の映画には今後も期待したい。
[DVD(邦画)] 7点(2015-01-29 17:58:44)(良:1票)
145.  魚影の群れ 《ネタバレ》 
相米慎二監督といえば「セーラー服と機関銃」のようなアイドル映画や「お引越し」のような子供の成長を描いた映画の印象が強いけれどもこれはもう完全に大人の映画で、緒形拳演じる主人公の漁師としての生き様とそんな彼に漁師の弟子入りを志願する佐藤浩市扮する青年とのドラマが非常に見ごたえがあり、二人がマグロ釣りに出かけて行き、誤って釣り糸が佐藤浩市の顔に巻きつくシーンの壮絶さ。それでいながらマグロを諦めようとしない緒形拳の執念も物凄い。昔「私の青空」という田畑智子(「お引越し」のレンコ)主演のNHK朝のドラマでも取り上げられていたが、ここまで壮絶なものとは。それが相米監督お得意の長まわしによってこれでもかこれでもかとリアルに描かれていて漁師という仕事の壮絶さを思い知らされたような気がする。そんな緒形拳を「人間よりもマグロの方が大事なのか。」と責める夏目雅子扮する娘。この映画は緒形拳と佐藤浩市の男と男のドラマでありながら、この夏目雅子の存在も大きく、海に出て行った緒形拳や佐藤浩市の帰りを待ち続ける姿や、さきほど書いた佐藤浩市が死に掛けてるのにほっといてマグロを釣っていた緒形拳に対して非難を浴びせかけるシーンなどこのトキ子という女性の内面的な部分もよく描かれており、この部分のドラマも非常に見ごたえがあるものになっている。もちろん演じる夏目雅子も見事で、既に青観さんが書かれているようにこの女優でなければ出せない味というのか、そういうものがあるからこそ、ドラマに深みが加わっているのだと思う。ラストの彼女の海に向かってのやり場のない絶叫は思わず見ているこちらも悲しくなってしまった。そして、改めて、夏目雅子という名女優の若すぎる死を惜しく思うし、生きていたら今頃どんな女優になっていただろうと思う。27年間の生涯、そしてわずか10年間にも満たない女優人生。その中でもこの映画は「時代屋の女房」と並んで彼女の映画での代表作と言えるのではないかと思う。坂道を自転車に乗って明るく颯爽と走っている姿も印象的だった。そして緒形拳や相米監督にとっても間違いなく代表作の一つだと思うし、相米監督も53歳という若すぎる死が惜しまれる。それに緒形拳だってもう亡くなってしまっているのは非常に残念。この三人にはもっと長く生きていてもらいたかった。
[DVD(邦画)] 8点(2010-10-13 01:45:34)(良:1票)
146.  東海道四谷怪談
四谷怪談を題材にした映画と言えば深作欣二監督の「忠臣蔵外伝 四谷怪談」しか見たことがなく、ストーリーもあまりよく知らない状態だったので新鮮な気持ちで見ることが出来た。映画としては低予算なB級ホラー映画ではあるが、それでも歌舞伎のような音楽と演出がとても効果的に使われており、溝口健二監督の作品とためをはるぐらいの映像美にもあふれ、単なる怪談映画では収まりきらないような芸術的傑作になっていて正直驚いた。中川信夫監督の作品を見るのはこれが初めてだったのだが、これ一本でじゅうぶん巨匠のひとりだと感じた。出演している俳優陣も天知茂のニヒルな伊右衛門はハマリ役だし、名前は知らないがお岩役の女優もなかなか不気味で、とくに毒薬を飲んで顔が醜く変わった直後の演技はかなりインパクトがあり印象に残る。「忠臣蔵外伝 四谷怪談」で荻野目慶子が演じたお梅は高笑いだけが印象に残るだけの存在だったが、本作では若き池内淳子で清楚なお嬢様という感じで良かった。何はともあれ、いかにも日本的な怪談映画でありながらそれ以上に日本的な美しさ、様式美を感じさせてくれる、そんな映画だった。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2008-08-14 03:19:27)(良:1票)
147.  映画ドラえもん のび太の恐竜2006 《ネタバレ》 
「ドラえもん」リニューアル後の最初の劇場版となる「のび太の恐竜」のリメイク版。以前にも地上波で放送されたときに見ているが、ノーカット版を見るのは今回が初めて。以前に見た時はオリジナルをあまり覚えていなかったのだが、今回10年以上ぶりに見返すと本作も覚えていない部分が多かった。(笑)でも、そのおかげか新鮮な気持ちで見れたのは結果として良かったと思う。冒頭ののび太が恐竜(正確には首長竜)の卵の化石を見つけるくだりが今になって見ると都合が良すぎる気がしないでもないが、前半は卵から生まれたピー助とのび太の交流が丁寧に描かれていて微笑ましいし、のび太が化石を卵にして羽化させた目的はいつものようにスネ夫を見返すためというのを忘れるほど見入ってしまった。大きくなりすぎたピー助が風邪をひいたのび太に会いたいばかりに家まで来てしまったことにより、世間が騒ぎ始めるという展開は翌年の映画である原恵一監督の「河童のクゥと夏休み」を彷彿させているが、あの映画もやはり旧作からの影響があったのだろう。誤ってピー助をアメリカ大陸へ送っていたことが判明したことから始まるレギュラー5人の冒険はすっかり親世代(未婚で子供もいないけど。)になった今見てもけっこう面白く、またジャングルなどの作画もキレイで丁寧でアニメーターの仕事ぶりも秀逸だった。以前に見た時はラストの展開がオリジナルと違うような気がして、少し違和感を感じた覚えがあるのだが、今回はそれをあまり感じず、むしろ、タイムパトロールの力を借りずに目的地である日本まで自力でたどり着くという結末は他人の力を借りずに目標を成し遂げることの素晴らしさを主たる支持層である子供たちに伝えるメッセージとしてはじゅうぶんだと感じる。恐竜ハンターの雇い主である恐竜コレクターのドルマンスタインの出番が意外に少なくてビックリしたのだが、オリジナルでもこんな感じだったかな。はじめて見た時はまだ新しい声優陣に若干の違和感を感じていたのだが、10年以上たった今では現在のメンバーのほうがしっくりくるようになってる。今では劇場版シリーズは旧シリーズを見ていた世代が監督を手掛けていることが多いのだが、本作は旧シリーズに関わっていた渡辺歩監督が手掛けており、ドルマンスタインの声を野村道子の夫であり、旧シリーズ劇場版の常連悪役だった内海賢二が担当するなど、まだどこか手探りで旧シリーズに引っ張られているような感じがある。でも、映画としてじゅうぶんに面白かったし、これからも「ドラえもん」はずっと続いていてほしいと心から思う。(2018年3月24日更新)
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-03-11 02:42:53)(良:1票)
148.  トラック野郎 故郷特急便 《ネタバレ》 
シリーズ第10作。冒頭にシリーズ10本記念と表示される力の入れようで、いつもと違い、今までなかったマドンナに石川さゆりと森下愛子という二人を迎えている。(桃さんがマドンナに惚れた時に星が出るのもちゃんと二回ある。)病気になったジョナサン(愛川欽也)に代わって、母ちゃん(春川ますみ)が一時的に桃さん(菅原文太)とコンビを組んでジョナサン号を運転しているのはシリーズでも珍しい気がする。桃さんがライバル(原田大二郎)との喧嘩で「南国土佐を後にして」のレコードを割ってしまい、そのレコードを聴きたがっている風美子(森下愛子)の寝たきりの母親のために、その歌い手である結花(石川さゆり)を連れてきて歌わせるシーンは、桃さんらしい優しさがとてもよく出ていてよかった。今回のライバルは過去に闘犬で負けた過去があり、その相手を打ち負かしたいという一心で帰ってくるが、その相手を演じているのが安部徹というのは見ていてなんだか「網走番外地」シリーズを思い出してしまうが、さすがにそこまでワルではないのもなんか良い。(これが任侠映画だったら原田大二郎は間違いなく殺されている。)そして、やっぱり今回、いちばん良かったのはクライマックス、桃さんに惚れ、「あなたの奥さんになるの。」という結花に対して、彼女の夢であった歌手としての成功を後押しするためにあえて自分から身を引く桃さんの姿はこれまで以上にカッコよく、自分を犠牲にしても、惚れた相手の幸福を願う桃さんはそれでこそ男だ!と思わずにはいられないし、本当に熱くて素直に感動した。撮影中は次回作もやるつもりだったのが、いろいろあって結果的に今回が最終作となってしまったわけだが、このクライマックスの別れのシーンは本当に最終作のラストに相応しいもので、最後がこのラストで本当に良かったと心から思う。これでこのシリーズはすべて見終わったことになるのだが、やっぱり、桃さんの男としての生きざまにすごく憧れるし、シリーズ自体も「男はつらいよ」シリーズとは違った良さがあり、まさしく名シリーズだったと思う。これで終わってしまうのは惜しい気もするが、最後に、桃さん、ジョナサン、そして鈴木則文監督、素晴らしいシリーズを今までありがとうと心から感謝を言いたい。
[DVD(邦画)] 9点(2019-03-30 19:02:04)(良:1票)
149.  ALWAYS 三丁目の夕日
そんなに期待してなかったんでまあそこそこって感じ。でも、原作のマンガを何冊か読んだことがあるのでそれと比べるとやっぱり物足りない感じがする。吉岡秀隆はわりと好きなんだけど、「男はつらいよ」や「北の国から」のイメージが強すぎてまわりに渥美清や田中邦衛のような名優がいないとちょっと違和感を感じてしまう。
[地上波(邦画)] 5点(2006-12-14 03:21:33)(良:1票)
150.  白ゆき姫殺人事件 《ネタバレ》 
2時間ドラマのようなタイトルからまったく期待せずに見たのだが、殺人事件そのものよりも事件に対するネットの興味本位の書き込みやそれにまた踊らされるマスコミの報道によってもたらされた情報が何の確証もないまま真実であるかのように広まっていく怖さがリアルに描かれたまさに現代ならではの社会派エンターテイメント映画となっていてなかなか面白かった。構成的にはそんなに目新しさは感じないのだが、ネットとメディアを題材にしたことで、話がとても身近に感じられるのが良いし、それがこの映画のリアルな怖さにつながっているのだろう。だからというわけでもないが、ヒロインの城野美姫(井上真央)には感情移入できる部分もあった。ディレクター赤星(綾野剛)が城野の関係者たちを取材していくシーンはフェイクドキュメンタリーを見ているようで面白い。ワイドショーの取材VTRをそのまま流すシーンが二度もあったのはひょっとしたら映画館で見ていたらチープに感じたかもしれないが、あれがあることによって本作全体をワイドショーのように見せるという意図があったのだろうと思う。城野が犯人ではないと分かった後、今度は赤星が書き込みに批判され、今まで批判されていた城野が一転して書き込みに擁護されるようになるのはネット社会というものを痛烈に表していて思わず笑ってしまう。「告白」の湊かなえ原作であるが、監督が違うせいか「告白」ほどのインパクトはない。でも「告白」よりも分かりやすくとっつきやすい感じであるので、本作のほうが他人には薦めやすいかもしれない。城野がいちばん最後に赤星に言うセリフである「いいことありますよ」がなにか皮肉めいて聞こえるのは気のせいだろうか。その前にある実家に帰ってきた城野と小学生時代の友人・谷村夕子(貫地谷しほり)とのロウソクのくだりは別になくてもいいように思いながらも少しほろっとしてしまった。(原作知らないのだが、こういうところがいかにも松竹だよなあ。)それと、本作ではテレビ局がどこも製作に参加していない。別に珍しいことでもないのだが内容が内容だけについ納得できてしまう。まあ、これも憶測にすぎないけど。
[DVD(邦画)] 7点(2017-04-09 01:21:41)(良:1票)
151.  風花(2000) 《ネタバレ》 
相米慎二監督の遺作となったロードムービー。非常に淡々とした展開だが、見ているうちにだんだん引き込まれた。風俗店で働くゆり子(小泉今日子)とそこの客として彼女と出会った簾司(浅野忠信)という互いに人生の屈折を味わった二人が主人公なのだが、その二人を通して人生とは何かということを深く考えさせられる映画になっていてとても良かった。全編にわたって死の影がつきまとい、とても重いのだが、相米監督は主人公の二人をとてもあたたかくそして優しく見つめているのが見てとれる。それはゆり子が雪の中で薬を飲んで自殺しようとするのを簾司がなんとか助けようとするシーンだったり、未来への希望の持てるようなラストシーンに躊躇に表れていて、この監督の優しさが感じられるし、もちろん、この映画の撮影中は相米監督は自分が死ぬことなど考えていなかったかもしれないけど、この映画が公開された年に肺がんにより亡くなっている。それを思うと遺作がこれなのは本当に偶然なのだろうかと思えてきてしまってなんだか妙に悲しくなってしまった。柄本明が座頭市のモノマネをするシーンは微笑ましいが、もし、相米監督が亡くならなければ次回作は初めての時代劇(「壬生義士伝」)だったということで、深読みしすぎかも知れないが初めて挑むジャンルへの意欲のようなものも一方で感じられていただけにやはり相米監督の早すぎる死というものが惜しまれる。この間見た「魚影の群れ」もそうだけど、相米監督というのはただのアイドル映画の監督というのではなく、れっきとした作家性も兼ね備えた素晴らしい監督であるということを遺作となってしまったこの映画でもじゅうぶんに感じることができた。まだ何本かしかこの監督の映画は見れていない気がするんだけど、出来る限り見ていきたいと改めて思う。
[DVD(邦画)] 7点(2010-11-04 14:30:53)(良:1票)
152.  ステキな金縛り ONCE IN A BLUE MOON 《ネタバレ》 
自ら演出の舞台や、脚本を担当している「古畑任三郎」でも法廷劇を扱ったことのある三谷幸喜監督が手がけた法廷映画であるが、ただの法廷劇ではなく、証人が戦国時代の落武者の幽霊であるというのはいかにも歴史マニアの三谷監督らしいところで、この設定だけで面白いし、よくこの奇想天外な設定を生かしきっていると思う。主演の深津絵里と西田敏行のやりとりなど三谷監督らしい笑いも多く安心して見ていられた。前作「ザ・マジックアワー」でもそうだったのだが、本作も犯行のあった時間に被告が泊まっていたホテルが「犬神家の一族」の那須ホテルを彷彿とさせていたり、フランク・キャプラ監督の映画に言及するシーンがあったりと三谷監督の映画好きぶりが垣間見えるのが楽しい。(幽霊である小日向文世が「スミス都へ行く」や「素晴らしき哉、人生」の上映時間を細かく記憶しているのには笑った。)ストーリーも思っていたより面白く、長いわりには退屈しなかったのだが、ただ、裁判のシーン以外のところで詰め込みすぎた感があり、少し不満も残る。その中でもやはりいちばん気になるのはラストで、エミ(深津絵里)に六兵衛(西田敏行)の姿が見えなくなるというだけで良かったのに、そこからさらに死んでいるエミの父(草彅剛)の幽霊を登場させたのは「感動させてやろう」という魂胆が見え見えでやり過ぎ感があり残念で、この父親との再会シーンを削ってしまったほうがもっとキレイに終われただろうと思うと惜しい。それでも主役ふたりが歌う主題歌はけっこう良かったし、本作は三谷監督の映画では「THE 有頂天ホテル」よりは好きなので少し甘めかもしれないが7点。でも、同じく7点をつけている「ザ・マジックアワー」のほうが本作よりも好きだな。最後にもう一言、「ザ・マジックアワー」の主人公である村田大樹(佐藤浩市)が登場してエミに自己紹介するシーンではつい「ザ・マジックアワー」での村田に高千穂マリ(深津絵里)が自己紹介するシーンを思い出してしまったことも書き加えておこう。
[DVD(邦画)] 7点(2013-08-06 22:46:41)(良:1票)
153.  ひとり狼 《ネタバレ》 
村上元三がなかなか映画化の許可を出さなかった原作を雷蔵主演で映画化した股旅時代劇。雷蔵の股旅ものはあまり見た記憶がないが、こういうアウトローな役柄を演じていてもピッタリとハマっているし、カッコいい。それに雷蔵念願の企画だけあって、本作の雷蔵がそうとうこの役に入れ込んでいるのが分かり、その演技は素晴らしいの一言で、この前見た「眠狂四郎 女地獄」と同じく雷蔵にとって晩年の主演作だが、本作はその雷蔵晩年の代表作とも言っていいのではないかと思う。映画としても見ごたえじゅうぶんで長門勇演じる渡世人(これがいい味出してる。)の回想形式でストーリーが展開していくという構成がいいし、主人公 伊三蔵の渡世人としての悲しみや孤独がうまく描かれていてドラマ性も高く、作り手の良い映画を作ろうという意気込みがよく感じられる傑作である。前半で渡世人の作法を細かく描いていたのも新鮮だった。(ほかに今まで見た時代劇では市川崑監督の「股旅」くらいしか思い浮かばない。)印象に残るのはやはり伊三蔵が自分の息子と話すシーン、実子を前に父親と名乗ることのできない伊三蔵の辛さには思わず感情移入せざるを得ない。それにラスト、伊三蔵が息子にいう「見ろ!人間の屑のすることを。」というセリフがなんとも切なく、心に残る。
[DVD(邦画)] 8点(2014-08-08 00:04:31)(良:1票)
154.  隠し剣 鬼の爪
確かに「たそがれ清兵衛」と似たようなストーリー展開で、新鮮味はなかったが、こちらのほうが山田洋次らしい映画だったように思えて、個人的には山田作品としては「たそがれ清兵衛」よりも良かった。出演している役者陣ではきえ役の松たか子が実にいい。実は芝居をしている松たか子を実はこれで初めて見たのだが、アイドルのイメージが強かった(って、何年前の話だよ。)ので、予想以上にいい演技をしているのを見て驚いた。ところで、山田監督の次回作はまた藤沢周平原作の時代劇だそうで、楽しみではあるが、主演がキムタクとのことなのでちょっと心配。
[ビデオ(邦画)] 8点(2006-01-10 03:35:45)(良:1票)
155.  待ち伏せ
三船、裕次郎、勝新、錦之助に日活で裕次郎とコンビを組んでいた浅丘ルリ子というキャストが豪華な稲垣浩監督の遺作となった時代劇。こういうキャスティングだと映画のスケールも壮大になりがちなのだが、舞台がほとんど一箇所に集中しているため、逆にシンプルなつくりになっていたのが良かった。三船と勝新の共演作を初めて見たけど、二人ともやっぱカッコイイ。股旅スタイルで登場した裕次郎にかなり違和感がある。この映画で役人を演じている錦之助なら旅鴉役はバッチリなので、役を取り替えたほうが良かったのではないかと思った。その錦之助は出番が少ないのが残念だが、さすがに存在感のある演技を見せている。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2006-01-22 16:06:50)(良:1票)
156.  座頭市地獄旅
今回は伊藤大輔の脚本とあって、いつもよりもしっかりとした作品になっていてとても面白かった。これまで見たシリーズでは盲人であるはずの市が女湯を覗こうとしたりするちょっとあり得ないと思うシーンがある作品もあったが、今回はもちろんそういうシーンはなく、逆に盲人であることを生かした描写があるのがなかなか良かった。今回のヒロインの名前が1作目と同じ「お種」であり、市が1作目のヒロインであるおたね(万里昌代)の話をするところがあって思わず1作目をまた見たくなってしまった。(このキャラクターは2作目と4作目にも登場するらしいが未見。)成田三樹夫も凄みのある演技を見せていて良かった。ただ、本人同様将棋マニアという設定(加えて伊藤大輔も「王将」を何度も映画化してる。)のせいか将棋をしているシーンが多く、ラストの市との対決シーンも今まで友情で結ばれていたわりに葛藤もなくえらくあっさりと斬ってしまうのがちょっと残念だった。もう少しこのあたりにドラマが欲しかったなあ。
[ビデオ(邦画)] 8点(2006-07-31 03:26:21)(良:1票)
157.  竜馬暗殺
坂本竜馬を描いた作品というと、まだ小学生だった15年くらい前にNHKで放送されていたアニメ「おーい!竜馬」の印象が未だに強く、竜馬本人のイメージも爽やかな青年という印象だが、そのイメージを覆すようにこの映画の竜馬はアブラギッシュで汗臭く、濃いキャラクターに描かれていてなおかつ演じる原田芳雄がそのキャラクターに非常にマッチしていて新鮮に感じた。相棒・中岡慎太郎を演じるのが石橋蓮司。この16年後に作られた同じ黒木和雄監督の「浪人街」を先に見ているものだからまたこの二人の濃いキャラクターが黒木監督の映画で見られたのが良かった。(時系列にいくと本作が先なのでこういう書き方は少し変なのだが。)70年代の映画にもかかわらず、それ以前に作られた映画のようなざらついた白黒の映像、そして時代劇にもかかわらず、70年代の時代の雰囲気が伝わってくるような演出も効果的だった。ラストの「ええじゃないか」の踊りの中に消えていく中川梨絵が印象的で見終わったあと余韻が残るのもいいし、テーマ音楽も良かった。しかし、少し時間が長く感じたのがちょっと残念だった。まあ、見ている時の自分が少し疲れていたせいもあったかもしれないが。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2008-09-20 17:07:41)(良:1票)
158.  WXIII 機動警察パトレイバー 《ネタバレ》 
「機動警察パトレイバー」の劇場版第3作だが、監督が交代となり、主役も特車二課の面々から本作オリジナルキャラクターの刑事二人に変更されており、本来のパトレイバーとは違う雰囲気だが、絵の雰囲気や音楽は2作目に近い雰囲気で、主役の刑事が歩き回りながら捜査をするシーンなどは1作目を彷彿とさせている。しかしどうもねえ、シリアスなのはいいのだが、それに加えて暗く、特車二課の面々もほとんど出てこないので、本当にこれはパトレイバーなのかと思ってしまった。今回、登場するのが夫と娘を亡くしたマッドサイエンティストの女で、その女がガン細胞と娘の遺伝子を融合させて怪獣を作り出すという設定も「ウルトラマン」とかなら脚本的に違和感無いのだが、(実際見ていて「ゴジラVSビオランテ」の高橋幸治を思い出してしまった。)押井守監督が手がけた前2作で描いたサイバーテロやクーデターと比べるとリアリティーが全く感じられない。(まあ、前2作は現在だからこそリアリティーが感じられる部分もあるのだが。)それでもパトレイバーとは別物のSFアニメ映画と割り切ればそこそこ面白いとは思う。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-07-22 14:03:15)(良:1票)
159.  CURE キュア 《ネタバレ》 
当時ちょっと話題になっていた記憶がある映画だが、あまり期待しないで今さらながら初めて見た。(黒沢清監督の映画を見るのもほとんどこれが初めて。)サイコキラーのマインドコントロールによる連続殺人事件を題材にしているが、このテーマがいかにも90年代の終わりごろのスリラー映画らしさがあるし、また同時に当時とてもタイムリーなネタでもある。前半は間宮(萩原聖人)の登場後から彼が出会う人々を次々に暗示にかけていく様が描かれるのだが、あまりに簡単に暗示にかかりすぎと思えてしまい、これはちょっとと思いながら見ていた。それに間宮の「あんた誰」で始まる暗示方法も最初はインパクトがあるのだが、2、3回繰り返されるとイライラしてフラストレーションがたまってしまう。(病み上がりで見てたからよけいに。)でも、後者は観客に対しても間宮への憎悪を募らせるという黒沢監督の意図があったのかもしれないと感じた。後半はこの事件を捜査する刑事 高部(役所広司)と間宮の対峙が描かれているが、ここからは引き込まれた。精神を患っている妻(中川安奈)を持つ高部は間宮と対峙していくうちに彼に影響されていく(「妻が人生のお荷物」と言い切るあたり、いつ間宮の暗示にかかってもおかしくない。)わけだが、最終的には間宮の伝道師としての役割を高部が継いだともとれるラストのレストランのシーンはいやでも印象に残るし、はじめから終わりまで説明的な部分がほとんどなく、いろいろ考察できるのがいい。でも、本作ではそれが作り手が映画を見る人を信頼しているというよりは、なんか挑戦的な感じがして少し鼻についた。「犯罪者の心理なんてたとえ本人であっても分からない。」という言葉にはいろいろ考えさせられるものがある。とても完成度の高い映画だと思うけど、やっぱり個人的な好みでいえば苦手な映画かもしれない。
[DVD(邦画)] 6点(2017-12-10 13:03:02)(良:1票)
160.  インナースペース 《ネタバレ》 
「ミクロの決死圏」を見た流れで取りあえず本作も見てみたが、こちらは「ミクロの決死圏」とは違い、人体内の冒険よりも、ミクロ化実験に必要なチップが奪われてしまい、それを取り返すほうに主観が置かれているため、「ミクロの決死圏」とはかなり印象の違う映画になっているが、こちらも面白かった。体内に入られる人間が健康体で、体内のミクロ化した側の人間と通信で会話したり、キスがきっかっけでまた違う人の体内に入ったりするのが、「ミクロの決死圏」との最大の差異だ。ストーリー展開としてはシリアスだが、コメディー要素も強く安心して見ていられるのもよかった。見る前は中学生くらいの頃に見ておけばよかったかなと思うかもと不安だったのだがそういうこともなかった。主人公は一応ミクロ化するタック(デニス・クエイド)ということになっているが、設定上彼の存在感は薄く、タックが体内に入り込むことになる内気なスーパーマーケット店員 ジャック(マーチン・ショート)が自然と主人公然としてくるのは仕方のないところ。頼りなさげなジャックがタックに励まされ徐々にやる気を出してくるあたりは単純だが爽快感があっていい。デニス・クエイドの恋人役がのちに彼と結婚することになるメグ・ライアン(懐かしい!)で、共演シーン自体は少ないが、ラストシーンは二人の結婚式のシーンというのもあとから見れば意味深に思える。でも現実ではその後別れてしまったのは残念だった。
[DVD(字幕)] 6点(2013-05-30 14:16:03)(良:1票)

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