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161.  しゃべれども しゃべれども 《ネタバレ》 
一人の若手落語家(国分太一)を主人公にした平山秀幸監督の映画。以前から気にはなっていたがなかなか食指が動かず、今になってようやく見たのだが、いかにも日本映画らしい雰囲気のよく出た映画になっていて、それに落語という題材がうまく合っていて生かされていてまさにこれぞ日本映画にしか出来ない映画といえる映画になっていて素直に面白かった。主人公である三つ葉(本名:外山達也)はなかなか真打に上がれないでいるが、それでも落語が好きで決してあきらめようとはしない姿勢が、見ていてつい応援したくなるし、彼の開いた落語教室に集まってくる三人がそれぞれ他人との会話が苦手な女性や、しゃべりが下手な野球解説者などコンプレックスを抱え、この三人と三つ葉の関りもちゃんとドラマとして面白くできていて、見始めてすぐは三つ葉が真打になるまでの話かと思っていたのだが、そうではなく三つ葉を含めた四人が自分のコンプレックスとそれぞれに向き合い、互いに一歩踏み出すまでが描かれていて、本作のテーマは落語そのものよりも他人との関り、自分の思いを伝えることの大切さ、これにあるのだと感じることができ、そうしたらとてもこの四人がとても身近な存在に思えてきた。三つ葉の元にやってくる三人の中でも、関西から引っ越してきた阪神ファンの少年がとくに良い味を出していて、この少年は本作の中でも特に印象に残った。その他の出演者でいうとやっぱり三つ葉の祖母を演じる八千草薫がなんともチャーミングで、落語の演目をつぶやきながら玄関先を掃いたりしている姿がなんとも言えないし、思わずこういうおばあちゃん、良いなあと感じさせてくれるのが嬉しい。落語が題材の映画とあって劇中に落語が披露されるシーンが多いのだが、三つ葉の師匠を演じる伊東四朗も、独演会における国分太一演じる三つ葉の落語も本当に自然な感じで、今まで一回もライブで落語を聞いたことがないのだが、思わずライブで落語を聞いてみたい、そんな気持ちになれたのも嬉しかった。物語としては、さっきも書いたように四人それぞれが一歩踏み出たところで終わっていて、明快にそれぞれの問題が解決したというところまでは描いていないが、それが逆に良かったし、この後のそれぞれの人生を想像してみるのも楽しい。なんだか見終わって久々に気持ちの良い映画を見た気がしたし、見て本当に良かった。平山監督は大作映画も手掛けているが、それよりもこういう地に足のついた映画のほうが持ち味が出ているように感じる。
[DVD(邦画)] 8点(2018-05-05 21:58:15)(良:1票)
162.  戦国野郎
最初の脚本はもっとシリアスな雰囲気だったらしいが、全体的にポジティブで明るい雰囲気の娯楽作でとても面白かった。岡本喜八監督の映画で加山雄三や佐藤允が出ているというとつい「独立愚連隊」みたいな雰囲気を期待してしまうのだが、やはり雰囲気的に似たところも感じられる。それだけではなく、黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」のような雰囲気もあり、星由里子が雪姫を思わせる気の強いヒロインを演じているのが面白い。この映画の星由里子は「若大将」シリーズで演じているヒロイン・澄子よりも可愛かったし、下の方が既に書かれているけど、雪姫を演じる上原美佐よりも魅力的だったと思う。映画は「隠し砦の三悪人」にくらべると確かに殺陣の迫力や緊張感がイマイチで、完成度では及ばないと思うものの喜八監督の軽快な演出と加山雄三の陽性なキャラクターのおかげか「隠し砦の三悪人」よりも見やすい映画で痛快さも増しているような気がして、こちらのほうが個人的には好みかもしれないなあ。ラスト近くで馬借の一人が背中の出血を確認した後、悲鳴をあげて倒れるシーンは笑えるが、ひょっとしたらこのシーン、「太陽にほえろ!」の松田優作の殉職シーンの元ネタかもしれないと一瞬思ったけどさすがにそれはないだろう。
[DVD(邦画)] 9点(2009-04-01 21:10:40)(良:1票)
163.  永遠の人 《ネタバレ》 
夫婦を描いた木下恵介監督の年代記ものといえば「喜びも悲しみも幾歳月」が思い浮かぶが、この映画は恋人がいながら別の男に無理矢理犯されて強引に結婚させられてしまった女がその後30年近くに渡って憎しみを抱きながら生きていくという物語で、時を経てそれが家や子供たちにまで及んでいくという重苦しい展開。夫婦の長年の絆を描いていた「喜びも悲しみも幾歳月」とは正反対にとてもドロドロした夫婦関係、人間関係をリアルに描いていて、「喜びも悲しみも幾歳月」と同じ監督の映画とは思えないほどであるが、こういうドロドロした人間ドラマを描かせてもうまさを感じさせているし、五部構成で各部の終わりに流れる日本語フラメンコの主題歌も実験的で、監督としての作風の幅の広さも感じることができる。主演の高峰秀子は夫を憎み続けながら恋人が忘れられないで苦しむ主人公 さだ子を熱演していて内に秘めた思いというものを見事に表現していて素晴らしい。木下監督の映画では高峰秀子と佐田啓二が夫婦を演じる作品が多いように思う(とはいえあまり見ていないのだが。)が、この映画では佐田啓二はさだ子の恋人 隆役で、反対に結婚した女(乙羽信子)を愛することが出来ずに別れてしまうという主人公さだ子とは対照的な生き方をする男を演じている。さだ子の夫を演じるのは仲代達矢で、女を襲って無理やり夫婦になるとかどことなく後に岡本喜八監督の「大菩薩峠」で演じることになる机龍之介のような狂気じみた印象を残している。息子役の一人が田村正和。木下監督の「女の園」でデビューした兄である田村高広に続いて、その弟の田村正和も木下作品である本作がデビュー作だそうだが、なかなかピュアに好演しており、この息子の悲しみもよく描かれていたと思う。ドロドロしたまま救いのない終わり方をするのではと思っていたが、ラストシーンは救いがあり、ドロドロしたままでは終わらせないという木下監督の人間に対する優しさのようなものが感じられる終わり方になっていてとても良かった。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-04-24 15:59:05)(良:1票)
164.  あゝ声なき友 《ネタバレ》 
所属していた部隊でただ一人生き残った男が、復員後、亡き戦友たちが書いた最後の手紙をその親族に渡すために全国を渡り歩く姿を描いた今井正監督の反戦映画。今井監督の「喜劇 にっぽんのお婆ちゃん」に脇役で出演していた渥美清が企画の段階からかかわり、主演した作品で、この頃、「男はつらいよ」シリーズで人気を得ていた彼の寅さんだけではなく俳優としてもっといろんな役を演じてみたいという意欲が感じられる作品となっていて、コメディータッチのシーンは一切なく、非常にシリアスな展開だが、今井監督らしいメッセージ性の強い力作で、映画としては佳作といっていい出来。しかし、春川ますみや財津一郎、松村達雄など「男はつらいよ」シリーズでも何度か見かける面々が何人か出ている(倍賞千恵子も出てるし。)こともあってか、渥美清のシリアスな演技に妙な違和感を感じてしまうのも事実。確かに今井監督はこういうテーマの映画にはうってつけの監督で、さっきも書いたように見ごたえのある力作に仕上げているし、これも繰り返しになるかもしれないが、寅さんのイメージを打破したかった渥美清の意欲も分かる。だがもし、今井監督でなく、野村芳太郎監督や山田洋次監督など渥美清と付き合いの深い監督がこの映画の監督だったら、この映画の印象はまったく違うものになっていたかもしれないし、なによりも渥美清という俳優の持ち味がもっと発揮される映画になったかもしれない。見終わってついそんなことを考えてしまった。
[DVD(邦画)] 7点(2013-03-14 14:00:31)(良:1票)
165.  僕達急行 A列車で行こう
自らも鉄道マニアであるという森田芳光監督が手がけた鉄道をテーマにした映画で、森田監督の遺作でもある作品。出来不出来が極端に激しい監督だけに遺作でちょっと見る前は不安が大きかったが、最初から最後まで安心して見ていられる映画で、なかなか面白かった。同じ趣味を持つ二人の男(松山ケンイチ、瑛太)が出会い、お互い友人となるという言ってしまえばありがちな展開かもしれないが、この二人を通して趣味を持つことの素晴らしさ、その趣味を共有できる友人の存在の素晴らしさをあらためて感じるし、なによりもその趣味を糧にして日々を生きている二人には勇気づけられるものがあり、それだけでもこの映画を見てよかったと思えるし、人間なにか一つでも打ち込める好きな趣味を持っていればどんなことがあっても頑張って生きていけるという森田監督のエールのようなものも感じられた。登場人物すべて鉄道に関する名前がつけられているあたりに森田監督のこだわりが見え、本当にそうとうに鉄道が好きなんだなというのもよく分かる。それだけに自分の趣味をテーマに映画を撮ったという森田監督の喜びがこちらにも伝わってきて、才気は感じないものの、きっと森田監督は楽しみながら撮影していたのだろう。それだけにこれが遺作というのはやっぱり惜しく、ましてや本作の公開を待たずして亡くなってしまったことは監督本人がいちばん悔しかっただろうし、まだまだ作りたい映画があっただろうにと思うと非常に残念に思う。あまり本数は見ていないし、今まで見た10本ほどの映画も出来不出来がかなり激しいのだが、それでも独特の個性があり嫌いにはなれない監督で、61歳という若さでの死が本当に惜しい。もっと長生きしてたくさん映画を作り続けてほしかった。
[DVD(邦画)] 7点(2013-09-10 15:38:34)(良:1票)
166.  人間の條件 第四部 戦雲篇 《ネタバレ》 
第四部。今回の見どころはなんといってもクライマックスとなる終盤の戦闘シーンだろう。戦争映画の大規模な戦闘シーンの場合、バックに壮大な音楽を流してシーンを盛り上げる演出が多いと思うが、そうせずに淡々と描く小林正樹監督の演出と梶を演じる仲代達矢ら俳優陣の迫真の演技のおかげで逆にリアルで緊迫感のある戦闘シーンとなっていて見ごたえじゅうぶんだった。この戦闘シーンを含めて上等兵になった梶の苦悩や、少尉として梶と再会した影山の運命など今回も重い展開。とくに発狂した小野寺兵長を梶が殺すというラストは偶然そうなったとはいえ、かなり衝撃的だった。このことで第二部のラストで楊春蘭が言っていたように本当に「鬼」になってしまった梶。(劇中、自分自身で言ってる。)あとの2本がこの先、どうなっていくのか見るのがちょっと怖い気もする。
[DVD(邦画)] 8点(2008-06-18 23:18:53)(良:1票)
167.  トラック野郎 望郷一番星 《ネタバレ》 
シリーズ第3作。かなり久しぶりに(約3年ぶり)このシリーズ見たけど、やっぱり面白かったし、相変わらず惚れっぽくてバカで単純な、そして熱い桃さん(菅原文太)がとにかく魅力的で、やっぱり毎回思うけど見ていて惚れる。今回は3作目ということもあってか、桃さんの故郷の話が語られたりしてこのあたりから本格的に長期シリーズ化を意識しているみたい。その桃さんが過去のトラウマから馬が嫌いになった話も語られているが、それは北海道へ向かうカーフェリーの中で出会った今回のマドンナ(島田陽子)が牧場の経営者と知るやあっさり克服し、逆に馬について調べはじめるのはいかにも桃さんらしくて笑える。薬殺されそうな生まれたばかりの病気の仔馬に一晩中寄り添って治してしまうのはよく考えたら無茶苦茶なんだけど、桃さんの優しさを感じずにはいられないし、惚れたマドンナが自分ではなく獣医の男と結婚することが分かっても「おめでとうございます。」と潔く引き下がるのも、まさしく男らしくカッコいい。このシリーズは「男はつらいよ」シリーズを意識している部分も多くあるのだが、見ていて寅さんにゲスト出演する菅原文太というのを見たかったとつい思えてしまう。それだけでなく、トラック野郎たちの友情というか、きずなというか、そういったものもちゃんと描かれているのもこのシリーズのいいところで、今回、ライバルとして登場する北海道のトラック野郎であるカムチャッカ(梅宮辰夫)が、桃さんと市場まで桃さんとトラックで競走したり、誤解から二人が殴り合いの対決をするなどを経て、最後には仲間になるのも前回のボルサリーノ2(田中邦衛)のときもそうだったが、単なる勧善懲悪ではなく、お互いを認め合うことの大切さをきっちりと描いていて良い。(冒頭の広島で警官(室田日出男、川谷拓三)に問い詰められるトラック仲間(分かるかな?分かんねえだろうなあ。)を無線を使って助けるのもなんかいい。)だまされて金を持ち逃げされたジョナサン(愛川欽也)がトラックを売ると言い出すのもジョナサンの男気を感じる。今回、桃さんがクライマックスのトラック激走で同乗するのは40トンの魚。途中の山道で細いつり橋を大型トラックで渡るシーンは本当にアクション映画の一場面のようでハラハラすることができ、これまで見た激走シーンの中でももっとも見ものだ。都はるみが本人役で出演しているが、その前に都はるみファンのトラック野郎・宮城県(吉川団十郎)が事故死するシーンが描かれていたためか、登場シーンにとくに違和感は感じなかった。その宮城県の事故のシーンはイブ・モンタン主演の「恐怖の報酬」のラストを思い起こさせるもので、きっと鈴木則文監督は映画が大好きなのだろうと思わずにはいられない。
[DVD(邦画)] 8点(2018-05-26 18:25:32)(良:1票)
168.  仁義なき戦い 広島死闘篇 《ネタバレ》 
「仁義なき戦い」シリーズ第2作。今回はシリーズ本来の主人公である広能(菅原文太)を脇に回し、元予科練志願だった山中正治(北大路欣也)の悲劇的な末路を描いていて、前作のような勢いはやや抑え気味になっているものの、山中のドラマがなかなか見ごたえがあり、集団よりも個人に焦点をあてているのもあるのだろうけど、そのおかげで前作よりも分かりやすく、ドラマとしても前作より面白かった。予科練の歌を口ずさむ山中にはどこかかつて軍国少年だった深作欣二監督自身が投影されているのではないかと感じられるし、ヒロインの靖子(梶芽衣子)が戦争未亡人というのも利いている。ラスト、警察に包囲された山中の自殺シーンと、靖子の彼を思って号泣するシーンは演じる二人の熱演もあり、印象に残る名シーンになっているし、組織に利用され、虫けらのように死んでいく男のやりきれなさがよく伝わってくる深作監督の演出も見事。しかし、深作監督が苦手としているのかこの二人の惹かれ合っていく過程の描き方がちょっと適当というか下手に思え、この部分にもっと深みがあれば良かったと思う。出演者では山中を演じた北大路欣也はもちろんだが、大友を演じる千葉真一のキレたキャラクターもいい。最初は千葉真一が山中を演じ、北大路欣也が大友を演じるはずであったらしいが、逆にして正解だったと思う。成田三樹夫も相変わらずカッコイイし、広能の舎弟として登場する前田吟は「男はつらいよ」シリーズの博役でおなじみなだけにこういうヤクザ役は新鮮に感じる。そしてやはり梶芽衣子が美しく、恋人と引き離される女性の悲しさを見事に表していて素晴らしく、山中と靖子の惹かれあっていく部分の演出が下手に感じながらも、それでも彼女の演技から靖子の女としての悲しみが伝わってくるのはすごいと思う。このシリーズは基本的には女気なんかなさそうだけど、この映画の梶芽衣子は本当にいい。
[DVD(邦画)] 8点(2011-02-15 14:42:54)(良:1票)
169.  忍たま乱太郎(2011) 《ネタバレ》 
NHKの長寿アニメ「忍たま乱太郎」の実写映画化作品。アニメと同じ脚本家(浦沢義雄)が脚本を担当し、同じ主題歌を使っているが、アニメのオリジナルキャラクターであるヘムヘムとシゲが登場しないこともあってか、アニメよりも原作の漫画をベースにして作られているのかもしれない。とにかく登場する大人の出演者たちが加藤清史郎ら子役たちよりも明らかにノリノリで演じていて楽しそうなのが印象に残る映画で、大御所俳優たちがひたすらバカみたいなことをやっているが、それが見ていて楽しく、子供向けだろうなという見る前の予想を覆して、退屈することなく楽しめた。先週見たばかりの「十三人の刺客」と同じ三池崇史監督だが、「十三人の刺客」にも出演していて渋い演技を見せていた平幹二朗や松方弘樹が特殊メイクを施した姿でコミカルに役を演じているのはギャップを感じる。でもそのギャップも笑えるのだ。もうこれだけで単なる子供向け映画ではない。ラストの鐘を鳴らすシーンも、そう来たかという感じで、たぶんアニメだとやらない展開だと思うが、自分的にはぜんぜんOK。取り立てて深い内容があるわけではないが、子供よりも大人のほうが見ていて楽しめるのではないかと思った。(でも合わない人も多そう。)個人的にはある意味ではアニメよりも面白かったけど、そんなに高い評価をする映画でもないので、まあアニメの劇場版と同じ6点が妥当かな。
[DVD(邦画)] 6点(2013-01-08 13:45:41)(良:1票)
170.  釣りバカ日誌18 ハマちゃんスーさん瀬戸の約束
シリーズ第20作。わが地元である岡山でロケをしたということで公開時地元テレビのローカル番組でやたらと宣伝されてた。だからというわけでもないが、今回はテレビ放送を待たずしてDVDでの鑑賞。前作がかなりつまらなかったので全くと言っていいほど期待していなかったが、ここ最近あまり見られなかった浜ちゃんとスーさんの絡みが今回は多く、またここ最近の定番であった男女ゲスト二人の恋愛劇も今回はいつもより控えめだったので久しぶりにこのシリーズらしい作品になっていて(前作では守られていなかったシリーズのいわゆる「お約束」も今回はきちんとあって○。)楽しめた。浜ちゃんが自分の会社が進める建設事業の反対運動に加わるという話は初期の作品でもあった気がするけどまあいいか。ワンシーンだけ出てきてセリフも一言だけの小沢昭一がさすがに若い頃に出演していた川島雄三監督作ほどではないもののそれでもやっぱりどこか怪しさのただようインパクトのある役柄ですごく印象的。しかし同時にやはりどこか川島作品に出ていた当時と比べて物足りなさも感じる。ところで、星由里子が岡山弁しゃべってると10年ほど前のNHK朝ドラ「あぐり」での野村萬斎の母親役を思い浮かべてしまう。そういえばあのドラマ、高嶋政伸も出てたなあ。
[DVD(邦画)] 6点(2008-09-09 11:52:22)(良:1票)
171.  クレヨンしんちゃん ちょー嵐を呼ぶ金矛の勇者 《ネタバレ》 
劇場版シリーズ第16作。もう劇場版は長い間見てなかったけど、しんのすけの声優が交代ということで劇場版をなにか一本見ておこうと手に取った。テレビシリーズの第一話からひまわりの生まれるまでを手掛けていた本郷みつる監督が12年ぶりに手掛けた劇場版で、夜しか活動できないゲストヒロインや、周囲に信用してもらえないしんのすけというのは「ヘンダーランドの大冒険」を思わせていて、実際にそれのリメイクっぽい雰囲気があるし、ほかにも日常描写が主の前半(「アクション仮面VSハイグレ魔王」)やロボットアニメやSFに懐疑的なみさえ(「雲黒斎の野望」)など本郷監督が手掛けていたころの劇場版を思わせる部分もあり、懐かしく思える。ストーリーがあくまで子供向けに展開するのも本郷監督らしい。しかし、敵であるダークの部下二人の最期があっけなすぎて思わず過去の本郷監督のシリーズならばもう少し悪役の個性と恐怖感をうまく出せていたと思う。(「ヘンダーランドの大冒険」のチョキリーヌ・ベスタやス・ノーマン・パーは今でも強烈に覚えている。)それに、野原一家が基本的に家から出ずにクライマックスのダークとの対決を迎えるというのもスケール感に乏しくこじんまりとしていてなんか地味な印象しか残らない。本郷監督らしさは出ていると思うが、なにかこうやっつけ感もある映画だったように思う。「アッパレ!戦国大合戦」での又兵衛役が素晴らしかった屋良有作が「ブリブリ王国の秘宝」に続いておかまを演じているのはちょっと今更感があるものの、このおかまの登場も本郷監督の劇場版クレしんらしいところ。それにしてもしんのすけの声優交代のニュース。去年だったか25周年のときにまさか「ドラえもん」のような事は起こらないよなと思っていただけに知ったときは正直びっくりしたというのが本音で、今は見るのは時々になってしまったけど、本郷監督や原恵一監督のころは大ハマりで見ていたので残念な気持ちもあるのが事実なんだけど、今は矢島晶子さんに長い間ご苦労様でしたと言いたい。そして、しんのすけが新しい声に変っても「クレヨンしんちゃん」は「ドラえもん」と同じくずっと続いてほしいと心から思う。
[DVD(邦画)] 5点(2018-06-29 01:28:54)(良:1票)
172.  幸福の黄色いハンカチ
映画見て感動して泣いた初めての経験がコレだった。見て良かったと思えた日本映画も初めて。武田鉄矢と桃井かおりのコンビも最高だった。これを見て以降、どちらかと言えば苦手だった日本映画も見るようになった。まさに日本映画史上に残る名作。2014年11月24日追記 高倉健が亡くなって2週間。思えば、初めて日本の俳優の良さというものを感じたのはこの映画の健さんだった気がする。また、今になって考えると刑務所から出所して自分を待っているかも分からない妻の元へ帰る男という役柄はまさに健さんにピッタリな配役で、この役を高倉健が演じるからこそ、この映画は後世に残る名作となったのだと思う。冒頭で健さんが食堂で醤油ラーメンとカツ丼を頼むシーンが印象的なのだけど、先日、醤油ラーメンとカツ丼を昼食と夕食に食べ、あらためてこの映画の健さんに想いをはせた。83歳という高齢での死ではあるけれど、なんとなくまだ死なない気がしていたので非常に残念で惜しい。謹んでご冥福をお祈りします。
[地上波(邦画)] 10点(2005-03-23 14:37:06)(良:1票)
173.  デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム! 《ネタバレ》 
テレビシリーズ一度も見たことない状態だったので、一見さんお断りな映画だったらどうしようかと思っていたが、これが本当に東映アニメフェアの子供向け映画として公開された映画なのかと思うほど緻密に作られていて、ネットの中に現れたモンスターがデータを食い荒らすという展開もリアルにコンピューターウイルスを連想させていてひょっとしたら実際にこんなことが起こるかもしれないと思わせる設定で見事だし、細田守監督の演出もしっかりとしていて大人の鑑賞にじゅうぶん堪えうる作品に仕上がっていたのでかなり驚いた。NTTやペンタゴンなど実在のものがそのままの名前で出てくるのがちょっと子供相手の東映アニメでは異色な感じだが、そうすることでなおも映画にリアリティーを生むことに成功している。それに下の方も書かれているけど主人公たちが戦っているのを知らないで日常生活を送っている一般の人々の描写も細かで丁寧でこれが入ることによってストーリーに厚みが出ているのもうまい。確かにテレビシリーズ見ていないから登場人物たちのバックボーンとかがよく分からない点は少し残念だが、この映画は今まで見た東映アニメ映画の中でもいちばん面白いと思うし、純粋に映画という枠で考えても快作といえる作品だと思う。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2008-12-23 01:03:49)(良:1票)
174.  ブラボー!若大将 《ネタバレ》 
若大将が社会人になって3作目。今回は若大将に最初から恋人(高橋紀子)がいる設定だが、冒頭で若大将がふられるという展開は今までなかったので妙に新鮮に感じるし、今までポジティブ一直線だったシリーズだが、今回は上司との衝突で会社を辞めた若大将の屈折や、田能久の金を使い込んでしまう江口などネガティブな部分が描かれていてこのシリーズらしくないといえばそうだが、逆にそれがリアルに感じられなかなか面白かった。前2作でスポーツを描かなかったのが不評だったのか、若大将が大学のテニス部に顔を出すエピソードが学生編を思い出させており、それによって若大将が元気を取り戻すのはこのシリーズはやっぱりこうじゃなくちゃと思わせる展開で見ていて心地よい。今までとは随分毛色の違う作品になっていて、教訓めいた部分もあるのでシリーズの熱狂的なファンから見れば好き嫌いがはっきりと出るとは思うが、ぼくとしてはこの回はけっこう好きだ。最近いろいろ悩んで落ち込むことが多かったので「悩まないやつなんかいないさ。」という若大将のセリフに元気づけられた。少し甘めだけど8点。
[DVD(邦画)] 8点(2012-02-16 13:12:53)(良:1票)
175.  山椒大夫 《ネタバレ》 
「安寿と厨子王」はタイトルだけ知ってたけど、どんなストーリーかは全く知らなかったので悲惨なストーリー展開にはかなり驚いた。安寿と厨子王が連れて来られる山椒大夫の荘園が現在からすればモロに北朝鮮みたいな感じなのも恐ろしい。全体としては「雨月物語」や「近松物語」と並んで世界的評価の高い作品というのが頷ける素晴らしい映画で、安寿が入水自殺する湖のシーンや親子が引き裂かれるシーンなど映像がとにかく美しく、溝口映画にはやっぱり宮川一夫のカメラだなあと感じる。母親を演じる田中絹代も冒頭とラストでは本当に別人のようになっていて女優魂を感じた。まさに完璧な映画だと思う。それにしてもこの時代の溝口健二ってとても晩年とは思えないくらい傑作を連発していてほんとにすごい。
[CS・衛星(邦画)] 10点(2006-09-14 16:51:53)(良:1票)
176.  緋牡丹博徒 鉄火場列伝 《ネタバレ》 
久しぶりにこのシリーズ見たけどやっぱり面白い。相変わらず藤純子演じるお竜は強さと優しさを兼ね備えていて、美しく、それでいてかっこいいし、やはりこの役は藤純子だからこそここまで魅力的なのだとあらためて思うし、この「緋牡丹博徒」がシリーズとして続いた理由の一つもそこにあるのではないかと思う。さらに今回でいえば待田京介がなんといってもよく、今までこのシリーズを含め何度か見た俳優だが、あまり意識して見ていなかったせいか、ここまでかっこよく、そして印象に残るというのははじめてかもしれない。鶴田浩二と血のつながりのない幼い娘のエピソードはこの前見た「関の弥太ッぺ」を彷彿とさせている(探していた女が死んでいたと分かるシーンは「関の弥太ッぺ」と全く同じような印象。)が、両方とも同じ山下耕作監督だけに意識してるのかもしれない。でもこの親子のエピソードもやっぱり泣ける。とくに、鶴田浩二が死ぬ間際のシーンは、鶴田浩二の演技も相まってか、思わず涙が出そうになった。ヤクザ映画というと血なまぐさいリアルな決闘をつい思い浮かべるのだが、この映画での最後のお竜と天津敏の決闘シーンはまさに華麗に舞うようなという言葉がピッタリの演出で、非常に美しかった。中盤に突如として登場した丹波哲郎が最後にいいとこ持っていったり、阿波踊りをクライマックスに持ってくるなど、終盤は大盛り上がり。それでいてどこか切なさを感じさせているエンディングが山下監督らしいところだ。
[DVD(邦画)] 8点(2013-04-04 14:07:09)(良:1票)
177.  名もなく貧しく美しく 《ネタバレ》 
聾唖者夫婦の十数年間の人生を描いた松山善三監督のデビュー作。こういう映画はつい身構えて見てしまうのだが、松山監督が助監督をつとめていた木下恵介監督からの影響も見られる年代記もので、聾唖者(に限らず障害者)が世の中で生きていくとはどういうことかということがよく描かれていて、最後まで素直な気持ちで見ることができた。産まれてくる子供が聾唖者だったらという不安、妊娠したことを母親(原泉)に笑顔で報告に行った秋子(高峰秀子)が母親から出産を反対される辛さ、産まれてきた子供を聾唖者であるがゆえに事故死させてしまった辛さ、次に産まれてきた子供である一郎(島津雅彦)から聾唖者であるがゆえに避けられてしまう辛さ、耳が聴こえたらという秋子の苦悩、そしていわれのない差別。そういう辛さが見ている側であるこちらにもじゅうぶんに伝わってきて主人公夫婦につい感情移入させられてしまうし、そんな中でも二人で力を合わせて生きていこうというこの夫婦の生き方は本当に美しく、勇気づけられる。「私たちは一人では生きていけません。お互い助け合って普通の人に負けないように生きていきましょう。」という秋子のセリフにも心打たれた。既に書かれている方もおられるが、弟(沼田曜一)にミシンを持っていかれ、失意のうちに自殺を考え、家を飛び出して電車に乗った秋子を道夫(小林桂樹)が追いかけ、車両の窓越しに手話で説得するシーンは本当に名シーンで、道夫が秋子に言われた言葉を今度は秋子に言って説得するのが泣けるし、このセリフにあらためて「人はひとりでは生きていけない」ということを考えさせられた。松山監督の代表作ともされている映画だが、ハンディを持っているからといってけっして特別な人間(←こういう表現は個人的にはきらいだ。)などではなくたとえハンディを持っていてもそれ以外は普通の人間と変わらないのだという松山監督のメッセージのようなものが感じ取ることができて良かった。賛否両論ある秋子が交通事故死するラストだけは安直なお涙頂戴に走った気がしないでもなく、普通にハッピーエンドでも良かったような気がするが、(でも、意図としては分からないではない。)それでも本作は紛れもない名画で、本当に見て良かったと心から思える映画だったと思う。また、昭和36年というまだ今よりも障害者への理解が進んでいないと思われる時代に作られたことも評価したい。
[DVD(邦画)] 8点(2015-07-24 01:52:31)(良:1票)
178.  緋牡丹博徒 《ネタバレ》 
藤純子主演の任侠映画シリーズ第1作。藤純子の主演映画を見るのはこれが初めてで当然このシリーズを見るのも初めてという状況だったんだけど面白かった。藤純子(富司純子)といえば大林宣彦監督の「ふたり」の美加と千鶴子の母親役の印象が強く、若い頃の東映での出演作で印象に残っているものが少なかった(まあ、あまり見ていないというのもあるんだが。)のだが、この映画の藤純子は美しく、そしてかっこよくてもうこの映画一本見ただけで藤純子がなぜ当時人気があったか分かるし、もちろん今、見ても純粋にいいと思える。山下耕作監督は花を使った演出がうまいからと本作の監督に抜擢されたそうだけど、お竜が一度は堅気になろうとしたが、父親を殺されたことで再びヤクザの世界に戻る決心をするその心情を、牡丹の色が白から赤に変わることで表現する演出をはじめ、ところどころに牡丹の花のショットを挟むことによって血生臭いヤクザ映画に美しさを与えている。お竜が財布を水の中に捨てるシーンも彼女の悲しみをよく表現したシーンだろう。「私は男になった。」と口では言っていても女は女。そんなお竜のつらさがしっかりと描けているからこそ、主人公であるお竜=矢野竜子という女性を描いた人間ドラマとしても深みのあるものになっている。それに片桐(高倉健)と加倉井(大木実)の関係にもドラマ性を持たせるなどただの勧善懲悪ものではない深さを感じさせているのが良い。脇のキャラもよく、山本燐一扮するフグ新とか、おたか(清川虹子)の息子である吉太郎(山城新伍・・・だったんだ。)など印象に残る脇役が多かった。普段凄みを利かせた役柄の多い印象の若山富三郎がお笑い担当でコミカルな演技をしているのはかなり意外な感じがする。
[DVD(邦画)] 8点(2011-07-21 15:43:22)(良:1票)
179.  風雲児たち 蘭学革命(れぼりゅうし)篇<TVM> 《ネタバレ》 
みなもと太郎の歴史ギャグ漫画(未読)をドラマ化した三谷幸喜脚本による今年のNHK正月時代劇。前野良沢と杉田玄白による解体新書執筆のエピソードを描いていて、「黒井戸殺し」同様に「真田丸」の出演者が多い(遠藤憲一に至っては「真田丸」の出演者の中で唯一「黒井戸殺し」にも本作にも出てる。)のだが、原作がギャグ漫画ということもあってか、三谷幸喜らしさは「真田丸」よりも出ていたと思う。冒頭のテロップを読み上げる有働由美子のナレーションからして「真田丸」のセルフパロディっぽいのだが、そこで「これは大河ドラマではない。よって時代考証は大雑把である。」と断りを入れた上で「真田丸」とは違った軽めのテイストを強めた作風になっているのが面白い(フルヘッヘンドのくだりなんて大河でやったら暴動が起きそうなレベル。)し、それでいて、志は同じながらも翻訳に対する考え方の違いから良沢と玄白が対立、決裂し、約20年後に和解するまでが丁寧に描かれており、そのあたりドラマとしての見ごたえもしっかりあったのは良かった。のちに歴史に名を遺すことになる人物たちがチラリと登場しているのも、本作が長大な原作のほんの一部分を描いただけであるというのを実感できる。ただ、そういう人物が登場するたびにわざわざナレーションによる解説入るのはちょっとうざったく感じなくもないが。「真田丸」も「黒井戸殺し」も面白かったのだが、やはり三谷幸喜作品はこういう軽めでサクッと見られる作品のほうが好きかもしれない。
[地上波(邦画)] 7点(2018-12-31 17:58:12)(良:1票)
180.  助太刀屋助六
同じ真田広之出演の「たそがれ清兵衛」や「ラスト・サムライ」とは違い、軽いノリで楽しめる映画である。ところで岸部一徳は時代劇ではなぜいつもこういう役なんだろうか。
[ビデオ(邦画)] 8点(2005-04-01 23:44:07)(良:1票)

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