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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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41.  アリバイなき男
ジョン・ヒューストンの「アスファルト・ジャングル」に引けを取らない強盗映画の傑作。  フィル・カールソンは余り評価されて来なかった人物だが、このフィルム・ノワール作品は中々良く出来た映画だと思う。  常にマスクを被せられた三人の男。 それぞれの顔を知っているのはボスだけであり、三人は互いの顔すら知らない。  恐るべき速さで銀行を襲い、映画はここから物語を始める。  車を使われたというだけで職も名誉も失われてしまった主人公。絶望は怒りへと変わる。   ボスの顔も解らず不安に苛まれる強盗団の男達は、彼らを執拗に追う主人公に追い詰められ板挟み状態だ。  「アスファルト・ジャングル」やキューブリックの「現金に体を張れ」に比べると少し物足りないかも知れないが、それでもジリジリと追い詰められる三人の姿は中々のもの。  完全犯罪を目論むボスの存在がとにかく不気味だ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-23 23:28:13)
42.  愛怨峡 《ネタバレ》 
溝口健二と言えば「女を必ず酷い目に遭わすか死に追いやる鬼畜野郎」と考える人も少なくないだろう。  だがそんな溝口作品にもハッピーエンドで終わる作品がある事を貴方は知っているかな?  それがこの「愛怨峡」だ。 いかにもドロドロとした愛肉劇と殺し合いが起きそうな物騒なタイトルで、「愛憎峠」と間違えやすい題名だが、本作はそれほど陰惨な最後を迎えない。 むしろ誰がどう見てもアレはハッピーに近いラストだろう。  俺は溝口作品にこういう作品が一つでもあって嬉しい。 溝口健二だって人間だ。 神様でも閻魔様でもない。 たまにはこういう終わり方があるべきだ。 だからこそ俺は溝口に惚れた。  大体オープニングからしてズッコケるような感じがする。 物騒なタイトルと裏腹に楽しげなBGMが流れるオープニング。 クレジットの溝口の名前だけやたら崩れている時点で完全にアレです。  家の中を流すように映すカメラワーク、 走る列車から覗く自然の風景→都会のネオンへの切り替え。 距離感と時間経過を列車の風景だけで見せる。 これぞ映画だね。  子のためを思うからこそ預ける辛さ・・・今回の溝口は母親を描こうとした。  時の流れの解りにくさはあったが、アコーディオン?弾きになった芳太郎とおふみの衝撃的な再会で時間経過を辛辣に描く。  時の流れの残酷さ、だがおふみはこの2年で身も心も荒むどころか見違える程に強くなった(化粧の濃さも)。 2年前は弱々しい感じがあったが、心も面付きもたくましくなった彼女は頼もしく見えた。 熱を出した子を寝ずに看病する“母親”、 タバコ片手の“キャバレーの女”という匂いと二面性を感じさせる。  「ヨッちゃん」も素晴らしいかったね。 自らを「ヤクザもん」と呼び、自分を解っている男なわけよ。 オマケに愛する女のために一芝居を打ってまであえて身を引けるその男気。 本音を打ち明けるのも長年苦楽を共にした親方だけという、溝口作品きっての男の中の男だ。  夫婦漫才は山場でもあり伏線でもあった。  アンタがヤクザもんだって? だとしたら最高の“ヤクザ”もんだぜ兄貴・・・兄貴と呼ばせて下さいヨッちゃん兄貴! 溝口がここまで男を描いてくれて感動してしまった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-23 21:08:33)
43.  嵐の孤児
グリフィスの集大成ともいうべき傑作。18世紀末のパリを舞台にした重厚な歴史ドラマ。 フランス貴族に対する辛辣な描写は当時問題となり、ブルジョワ層を敵に回してしまう作品はヒットしなかった。 しかし、今そんな事は関係ない。 展開の速さや詰め込まれたストーリーはグリフィス映画でも屈指の完成度だ。  物語の鍵を握る二人の女性。 運命に翻弄されて違うドラマを歩む二人のヒロイン。ボロ着をまとい寒さに耐える者、愛する者を探す果てに断頭台に消えようとする者。この二重に展開されるドラマの面白さ。 フランス革命やロベスピエールの恐怖政治を絡めたストーリーはより厚みがある。 かつて「イントレランス」で試みられた手法がより分かりやすく、かつ洗練されたものになっているだろう。  登場人物の丁寧な掘り下げはモチロン、グリフィスらしいクライマックスの畳み掛けも素晴らしい。  それにしてもリリアン・ギッシュはキレイだ。「スージーの真心」あたりから余計に可愛くなった気がする。 もっとグリフィスとのコンビが見たかっただけに残念だ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-20 01:09:55)
44.  赤い矢
サミュエル・フラーによる南北戦争を描いた西部劇。 フラーのキリキリした面白さが輝る傑作である。 クリント・イーストウッドの「アウトロー」にも「赤い矢」に通じる演出が感じられる。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-18 18:17:08)
45.  赤い靴(1948) 《ネタバレ》 
赤い靴に“恋をした”少女の壮絶な生き様を眼に焼き付けられる作品。  単なるメロドラマでは終わらず、赤い靴によって取り付かれたように踊り続ける少女の切なさと怖さ。  彼女はもうどうにも止まらない。バレエを愛しているから、踊る事を愛していたから、何より赤い靴を“愛して”しまったから・・・。 新聞紙との踊りは正に死に際の美しさ。  この映画をデジタル・リマスター・エディションとして蘇らせてくれたマーティン・スコセッシには感謝してもしきれない。  フランシス・F・コッポラと組んで蘇らせたというヴォイツェク・イェジーハスの「サラゴサの写本(サラゴサ手稿)」も見なければ!
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-17 08:02:48)
46.  愛する時と死する時
戦争に揺れる男女の恋を描いた傑作。 本物のメロドラマとは、ダグラス・サークのような映画の事を言うのです。 「ロミオとジュリエット」に浸っている女性も、たまにはこういう本格的なメロドラマを見て欲しいものです。 男が見ても面白いんだから仕方ない(理由になってねえよ)。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-14 16:55:02)
47.  穴(1960) 《ネタバレ》 
ジャック・ベッケルはフレンチ・ノワールで数々の傑作を手掛けた。 元々フィルム・ノワールはドイツのフリッツ・ラング「M」やジャン・ルノワールの「十字路の夜」が原型として広く知られているが(知らない?じゃあ今すぐググレ)、アメリカの「暗黒街の顔役」や「マルタの鷹」以来すっかりノワールのお株はアメリカに奪われてしまった。 そんなフィルム・ノワールをフレンンチ・ノワールとしてフランス・・・つまりヨーロッパに復活させた監督の一人がジャック・ベッケルだ。  宇宙刑事ジャン・ギャバンが売れたのもルノワールとベッケル様々です(ギャバンの本体はタバコ)。  そんなベッケルの傑作は「アラブの盗賊」「現金に手を出すな」「モンパルナスの灯」「幸福の設計」「肉体の冠」と豊富だが、最高傑作はやはり「穴」になるだろう。 戦後実際に起きた脱獄事件をモデルに、刑務所内における一大脱獄劇をスリル万点に描いていく。 見張りの目を盗んでのやり取りは終始ドキドキの連続で、何時警備員が飛び出して来るものかと緊張の糸が絶たれない。  土まみれになりながらも穴を掘り続ける男たちの力強さ、鉄格子よりも硬い囚人たちの絆。漢の映画だぜ。 女っ気の無い作品だが、“5人”に会いに来た「あの女」は囚人たちの絆にヒビを入れるファム・ファタールだったのかも。  ラストの壮絶な展開には唖然としてしまったが、最後まで見事な作品だった。もっとベッケルの作品が見たかった。惜しまれる。
[DVD(字幕)] 10点(2014-03-11 23:57:55)(良:1票)
48.  荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻 《ネタバレ》 
あんなにも疲労感を味わう決闘場面は中々御目にかかれない。 あの疲労感は伊藤大輔の「下郎の首」や小林正樹の「切腹」とは違う。 前者がストーリー面における疲労感だとすると、この映画は戦闘描写を徹底的に“みじめたらしく”見応えのあるものにしている。  冒頭に描かれるド派手な仇討劇場の“虚像”。あまりに白すぎるメイクと勇ましすぎる男たち、バッタバッタと何十人も斬り、二刀流、槍・・・その後に語られる“忠実な”記録。  まるで黒澤の「羅生門」における多襄丸の件を思い出す。多襄丸も役人の前では戦闘経験豊富な強者を“装って”いた。  この映画は現在の伊賀は上野を映し、舞台は寛永十一年に遡る。 決闘までの1時間をリアルタイムに描く。薄暗い空、旅の休みに茶屋に入る精悍な表情の武士たち。落ち着いた演技の三船。 桶からこぼれた水が、さらに過去の血痕に繋がる。語られるそれぞれの過去。桜を見ながらの三船と志村の会話の雰囲気。弓を引くだけで撃つ場面は映されない。それは決闘間近で三船が銭を数える時も手が映されなかった。 戦いが曝け出されるのは、クライマックスを待たなければならない。 リアルタイム進行は確かに緊張感があるが、それまで何も起らないと解ると恐ろしく退屈なものになる。同様の理由で「真昼の決闘」も俺はダメなのだ。 観客「待つのは辛いのう」  だが、この映画はそのラスト20分で今までの緊張が弾ける様子に圧倒される。着飾った男たちの“化けの皮”が剥がれていく瞬間のな。  左ト全の舞が面白い。この卜全と三船が「七人の侍」の二人とは思えない(良い意味で)。  上着を亭主に投げ渡して死の覚悟を伝え、決闘の準備を進める。  橋の上で見張る男の回想・掲げられる“槍”を黙って見送る。水の中の小石、森の中の木。 ロングショットで偵察、ハッキリ一人一人映される敵の姿、地図。 伝えに行こうとするが、恐怖と脚が動揺してなかなか前に行けない。それを勇気を奮って“歌”によって敵の接近を伝える。  ラスト20分の緊張、手ぬぐいで隠される防具、物見に出される箒を持った亭主、寒さ、敵の動静を見守る。 「七人の侍」は人を斬るのに慣れたプロフェッショナル同士の戦闘(百姓ですら落ち武者狩りで殺人を経験済み)だったが、この映画は人を初めて斬る人間が味わう恐怖がたっぷり描かれている。 怖がって逃げる人々、震える手で鞘から刀を抜く人々、睨みにビクッとして手を覆って引っ込む者、騒ぎで集まる群衆、血の匂いで吐き気を起こす者、初めての殺人で震える者、殺してしまった後に来る後悔の震え、痛みで狂ったように叫ぶ者、一瞬の光り、折れる刀。  この映画の真逆・・・即ち従来の荒木又右衛門が池田富保による「伊賀の水月」なのだ。竹をしならせて崖下に飛び降りるとか、この映画を見た後だと色んな意味でビックリすると思います。  黒澤はこの作品の後に「七人の侍」でより戦闘描写を追及していく。 三船敏郎、志村喬、加東大介、千秋実、左ト全、高堂國典、堺佐千夫、小川虎之助といった面々が共通している。
[ビデオ(邦画)] 8点(2014-03-11 21:45:40)
49.  アパートの鍵貸します 《ネタバレ》 
本作は「深夜の告白」と共にビリー・ワイルダーが苦手という人にもオススメな最高傑作の一つ。 窓の明りで始まる物語、保険会社に務めるさえない平社員のバド(バクスター)は回想形式で自己紹介を済ませると、毎晩“ラブホテル”と化した窓の明りが消えるまで会社で暇を潰したり家の外で待たなければならない様子を観客に見せる。 嫌な上司と鉢合わせするよりもレジスタとにらめっこしていた方がまだマシ、社員がバカなら他人の家で情事にふけるクソ上司。オマケに隣の医者に変な勘違いまでされる始末。残った酒で孤独な自分に乾杯。それを雨に濡れた冷たそうな舗道で孤独に耐えながら待ったり、キング・ヴィダーの「群衆」を思い出すオフィスと天井が拡がる空間で黙々と仕事をする姿が余計に寂しさを感じさせる。 ワイルダーの映画が面白いのは、こういう会話だけでなく細部まで造り込まれた空間が我々の眼を楽しませてくれるからであろう。 バドは不幸続きで何かと苦労を重ね、お人好しの面があり何時の間にかホテル代わりに自分の住むアパートの鍵を貸し放題。家に帰れば何時も「宿泊人」の後始末。友達への助け舟が何時の間にか上司(情事)の密会場だもんなあ。 そんなバドにも好意を寄せる女性。その彼女もまた秘密を隠している。 バドもまた生来のポジティブで前向きな性格で何時までもクヨクヨしない、殴られても殴り返さない、しかし汚名は全部返上する男に成長・・・いや戻ったのかもな。 紆余曲折を経て二人の男女の距離は縮まる。縮まったりまた離れたり。そして束の間のトランプ、ラケットで茹でたパスタをキョトンとしながらも美味しそうに食べる彼女の笑顔。 職は失ってもかけがえのない隣人を得たバド、成功は収めても大切な隣人を次々と失っていくシェルドレイクの対比。悲惨な奴だ。あ、トイレの鍵はゲットしたか。 どんなに良い仕事でも、惚れた女には敵わない。シェルドレイクの仕事を蹴りイキイキと去っていくバドの姿は何度見ても良い。 「彼女を待たせているんだ」の場面で終わっても良かったが、その後に素敵な“奇跡”を用意するワイルダーの二段構え、お見事。愛のないキスに表情は変わらず、愛のこもったトランプで微笑む彼女。 勘違いとはいえ、二人とも気付いた瞬間に全力疾走で相手の元に駆け寄るお似合い振り。 ラストなんかキャプラの「或る夜の出来事」を思い出した。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-11 21:21:37)(良:1票)
50.  按摩と女 《ネタバレ》 
按摩を主人公にした当時としては珍しい映画。 取り敢えずクレジットの「曳かれる男」にワロタ。  ストーリーは清水宏らしく至極単純、温泉宿にマッサージを生業としてやって来る按摩、 そんな按摩と東京から来たワケ有り女性とのロマンス。 そこに絡む同じく東京からやって来た男とそれに付きそう子供。 謎めいた女性に“嗅覚”が反応し惹かれていく按摩。 同じく子供の世話を一人でするのは大変だと洩らす男。 「奥さんは?」満更でも無い表情を覗かせる女性。 根っからのお嬢様である高峰三枝子の気品と色気が良い。  「按摩が人にぶつかるなんてたりめえだろぅが!」スゲー自己中。 挙句にぶつかっといて叩きのめすって・・・按摩強えぇー。後の「座頭市」である。 ラストの馬車を見送るシーンは超名場面です。 眼の見える人間には見えず、眼の見えない男に見えるもの・・・徳大寺伸の繊細な演技が光る。 ・・・で、結局宿屋ドロボーは誰だったんだよ・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-06 14:35:45)
51.  アマデウス ディレクターズカット 《ネタバレ》 
前見た時は退屈だったけど、今回は「未完成交響曲」を見てこの作品を思い出し再見。こんな良い映画だったのか・・・フォアマンに謝りたい。 ミロシュ・フォアマンと言えばチェコ時代に「ブロンドの恋」や「火事だよ!カワイ子ちゃん」といった傑作コメディを撮った事でも知られている。 アメリカ時代なら「ラグ・タイム」の方が好きだけど、この作品もとても素晴らしい映画だった。 とにかくファースト・シーンが強烈かつ完璧。 冒頭からいきなり血まみれになった場面から始まり「『カッコーの巣の上』よりも危険な映画なのか?」という警戒はそこまででOK。 オープニングが終わり、老いた音楽家がある男と自分自身の顛末を語り始めればもう安心だ。二人の人間を中心に繰り広げられる音楽と人の心の狂気をたっぷりと見せてくれるのだから。 天才ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの波乱に満ちた生涯を、努力の音楽家アントニオ・サリエリの視点を通して描く。 元々はブロードウェイ用の劇だったが、舞台をウィーン(撮影場所はプラハ)に写したことで映画さながらの奥行を感じられる。 才能に溢れた奇人として描かれるモーツァルトは、後世に残した「凄まじい」曲の内容を知っていればあまり違和感は無いだろう(「俺の尻を舐めろ」とか)。 音楽の神様、神童として異常に持ち上げられた表の面の裏には、ただ純粋に音楽を追い求めた子供のようにはしゃぐモーツァルトがいたのかも知れない。 色恋沙汰、酒をガブ呑み、即興演奏と遊び放題。音楽が奏でる喜怒哀楽の感情を豊かに堪能させてくれる。その自由な生き方、外に飛び出していくパワーが逆にモーツァルトの想像力を豊かにしたとも言える。 その対極の位置にあるのがサリエリ。 ヴォルフィ(モーツァルトの奥さんが彼を呼ぶ時の愛称)の無垢な純心に知らず知らず傷ついていくサリエリ。 努力によって困難な壁を登ってきた彼にとっては、才能だけで宙を飛ぶように上に行くヴォルフィが許せなかった。 神への信仰を捨て、うら若き乙女を諜報に使わせ、あわよくば宿敵を陥れてやろうと心が歪んでいく。 そんな彼の心を、モーツァルトの曲が度々洗い流してサリエリは良心の呵責に悩み続けた。 最期まで罠に落とそうとするサリエリ、ひたすら音楽に没頭したモーツァルト。 まったく違う性質の人間同士だったからこそ、互いを理解するのに時間がかかりすぎてしまったのだろう。
[DVD(字幕)] 8点(2014-03-06 14:17:04)
52.  明日に向って撃て! 《ネタバレ》 
ファーストシーン、ガンファイト、人間ドラマ。全部揃っているのに西部劇らしくない西部劇。だが実に映画らしい映画だ。ジョージ・ロイ・ヒルは「スティング」も面白かったけど、俺はコッチの方が好きだ(女の子もこの映画の方が可愛くて魅力的だ)。   冒頭からエドウィン・S・ポーターの「大列車強盗」を彷彿とさせる列車の襲撃→駆けつけた騎馬隊から逃げ去るスタートダッシュ。 酒場でのポーカーから振り向き様のガンファイア、見ず知らずの美女を強姦するゲス野郎なのかと思いきや、実は馴染みの女性に対するちょっとした挨拶(イタズラ)だったという。「やーね脅かさないでよ」と笑って済ませてくれる仲の良さ。ちょっとした三角関係も“さわり”で終わるぐらい絆が深いともいえる。 仲良く逃避行、断崖ダイブ、強盗、銃を持った者が避けられぬ殺し合いの連鎖。  犯罪に生き急いでしまった者たちの束の間の安らぎ、叶わぬ願い、結局は元の殺し合いの世界に戻ってしまう虚しさ・・・それを独特の静寂が包み込む。その何とも言えない雰囲気を好きになってしまった。  サイレント映画の「アクション」で魅せる事にこだわった造り込みと呼吸、音のない静けさの中からいかに“音が聞こえてくる”ような映像を撮るか。  まるで古いアルバムをめくるような・・・。そういう心意気に溢れた映画だ。アメリカン・ニューシネマ特有のアクの強さは余り無いけども、抜き撃ちや幻想的とも言える映像は見応えがある。   機関砲といった武器ではなく、自転車で時代の波に追われるガンマンたちを表現するのが良い。 殺伐した世界の中で、一瞬の平和なひと時に流れる「雨にぬれても」は印象的。   サム・ペキンパーが“動”のワイルドバンチなら、この映画は“静”のワイルドバンチ。 ラストの「奴らは死んだのか生き残ったのか!?」というテンションが上がったまま終わるクライマックスも最高。
[DVD(字幕)] 10点(2014-01-30 11:00:14)(良:2票)
53.  アウトロー(1976) 《ネタバレ》 
アメリカ建国200年記念の名にふさわしい堂々とした西部劇。  フォレスト・カーターの原作に、イーストウッドの西部劇に対する愛情と野心を詰め込んだ傑作。  「許されざる者」や「ペイルライダー」も良いが、やはり俺は二挺拳銃の唸りが熱い本作を推す。  強烈なファーストシーン、カスタマイズ銃やガトリングの唸りなどガンファイトに富んだ血のたぎる作り込み。  時代のうねりによって復讐者と化す「ジョージー・ウェールズ」の波乱の旅を描く。  アメリカの豊かな自然、  西部の厳しき大地、  大地に生きる人間の生活感溢れる力強さ、  染み渡る日本的情緒、  カッコいいオッサン・・・! 主人公は最初普通の開拓民で、家族を殺された事で復讐の旅を続ける無敵の唾吐きガンマンになっていく過程が面白い。おまえは何回ツバを吐くんだ(笑)また主人公も仲間に助けられながら窮地を脱する場面もかなりあった。仲間あって無敵が本作の魅力でしょう。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-30 10:38:26)(良:1票)
54.  アンタッチャブル 《ネタバレ》 
ハワード・ホークスの「暗黒街の顔役(SCAR FACE)」の復活を予感させたパルマの傑作。同時にショーン・コネリーにとっても「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」や「王になろうとした男」に並ぶ最高傑作! 豪華なキャスト、オープニングから血が騒ぐエンニオ・モリコーネの神BGM、うごめく影と「The Untouchables(触れられざる者)」の文字。 アル・カポネがふんぞり返り髭剃りをするシーンから映画は始まる。記者の質問に対して「暴力はいけない」などとほざき、裏で部下に“見せしめ”として酒場に置き土産させて吹き飛ばすような男だ。 禁酒法時代、法権力を弄び警察すらギャングに手を出さずグルになる奴まで出て腐敗しきっていた時代。 そんな時代にある男たちが立ち上がり、巨悪へと挑む。エリオット・ネスの孤独な奮闘と空回り、それに応えるジム・マローンの男気と頭脳、凄腕の新人ジョージ・ストーン、殺る時は殺る簿記係のオスカー・ウォーレスも加わり4人、いや騎兵隊さながらのレンジャーたちの協力などもあり徐々にアル・カポネに迫る。彼等を突き動かすのはカポネに殺された少女の、酒場の、人々の声なき哀しみ、そして怒り。 そんな警察とギャングの死闘の巻き添えを喰らって死ぬ市民はもっと不幸です。 「戦艦ポチョムキン」をオマージュした駅での銃撃戦は正にそんな場面。 ネスとマローンが橋の上で出会うシーンからしてカッコ良い。素早く警棒をポケットに突きつけ腕を押さえるシーン。もしマローンがギャングの仲間だったら、ネスは懐に手を入れた瞬間に殺されていた。 「新鮮なリンゴ」を収穫する仲間集め、罵り合いの面接、マローンの殴り込み、西部劇を思わせる橋の上でのガンファイトと“死体蹴り”尋問、法廷と建物内における最終闘争・・・マッチで気付く仇、ネスが文字通り“落とし前”を付けるシーンはスッとする。その直前まで指で迷い、眼が泳ぎ葛藤を表す。撃鉄を戻す瞬間に伝わる悔しさ、殺し屋がネスに殺意を戻させる“一言”。裁判長が折れ弁護士すら裏切る瞬間は何度見ても最高。 警察側に暗殺者が迫る瞬間の戦慄。カポネからマローンへの“鎮魂歌(レクイエム)”。 駅での死闘は誰も母親を助けない、助けに入ったネスが犯人に気を取られ危うく赤子を殺しかける緊張。 ネスとカポネが正面から罵りあう姿は何処か憎めない。だってデ・ニーロのブチ切れ振りが凄いんだもん。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:15:37)(良:1票)
55.  赤い河 《ネタバレ》 
「リオ・ブラボー」がガンファイトなら、「赤い河」は人間ドラマの傑作。  牛、牛、牛。 見渡す限りの牛の大河。  西部劇というよりは、西部開拓時代に生きた人間たちの生き様を色濃く描ききった歴史ドラマ。 カウボーイは何故銃を持って戦ったのか?それは牧場を武装した他者から守るため。  アメリカに渡った開拓者たちは、そこに元々居住していたインディアンを押し流すように町や農場を作った。  生き残ったインディアンたちは当然報復してくる。  こちらも武装しなければ殺される・・・家族を守るため、新大陸で生き残るためカウボーイは誕生した。  開拓者たちは「侵略者」である前に「移住者」でしかなかった。  ヨーロッパで絶望し、夢と希望を抱いて命懸けでアメリカに渡ってきた。  弱肉強食の大自然・・・殺るか殺られるかの厳しき世界に。    8分目におけるコマンチの夜襲、牛の大群を追い立てるカウボーイたちの迫力、思わぬ仲間割れなど見所も豊富。  後半の山場であるコマンチに包囲された馬車隊の救出劇!   ダメなオッサンすぎて逆にカッコいいジョン・ウェイン、後半の主人公モンゴメリー・クリフトの男気、ウェインとは「リオ・ブラボー」でも名コンビだったウォルター・ブレナン爺さん、ジョアン・ミレーがエロイ等々登場人物も魅力的。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:10:14)(良:2票)
56.  アンドロメダ・・・ 《ネタバレ》 
ロバート・ワイズのSF映画は結構面白くて好きなのだが、流石に「地球が静止する日」や「スタートレック」等に比べると派手さに欠け題材も取っ付きずらい印象。  宇宙船やら宇宙人やらが出てくる映画を期待した人間はさぞかし肩透かしを喰らったと思う。 本作のSFは「少し不思議」なミステリー仕立てだ。  人々が全滅した街に残された「未知」。 生存者は? 何故生存したのか? 物語は淡々とした作りだが、徐々に「未知」の招待に近づいていく緊迫感が漂う。  近未来風のセットではなく、あくまで当時の技術で魅せる事にこだわった造り込み。  宇宙人はいるのか? 地球外生命体はいるのか? いずれにせよ、地球外生命体が本当に発見された時が再評価の時だと思う(スタートレックしかり)。  核で成長とかその発想はなかったわ。 そういやトランスフォーマーで「レーザーウェーブ」ってロボットがいるのよ。 好物が核燃料だぜ? 是非とも福島の復興に来てください(超切実)。
[DVD(字幕)] 8点(2014-01-22 00:14:29)
57.  アラビアのロレンス 《ネタバレ》 
再見。 個人的にリーンは「逢びき」といった女性映画の方が面白いが、本作も再見したことで見どころの多い作品だったことに気付いた。本作を見直そうと思ったのはデヴィッド・リーンがジョン・フォードの傑作「捜索者」を参考に本作を撮ったというエピソードを知ったからだ。  確かに砂漠の情景の壮大さ、夕陽といった自然の美しさ、奇襲を受ける瞬間の緊張と騎馬が雪崩れ込む馬のスピードと戦闘描写、銃を撃ちまくる異常性、人種差別問題、復讐の狂気に身を染めていってしまう孤独な旅人といった要素。リーンが実在したロレンスを描くのにここまでフォードの西部劇を手本にしていたということに驚く。  冒頭、男がバイクのエンジンをかけ、それにまたがり田舎道の向こうへ消えていく。 乗り手の視点でバイクは細い道を延々と走り続け、豊かな自然に包まれたのどかさ、そこを抜けた瞬間に拡がる開けた視界が一気に緊張をたかめ、上り続けるバイクのスピード、道の向こうから接近する対向車…! 木の枝に突っ込むもの、枝にひっかかるゴーグルが静かに語る「突然」の死。  そこから彼を知る者が群衆となって詰めかけ、口々に彼について語り「突然」ロレンスの過去へと飛ぶのである。  ラクダが闊歩する蒸し暑そうな外、それを余所に室内で地図作りに励む優男。 男は退屈な仕事に飽き、欲求を抑えられずにいた。ビリヤードの玉を「突然」弾き飛ばすような、地図を見るのではなくそこを自分の脚で突き進みたい、狭い室内から無限に拡がるかのように存在する砂の海原へ飛び出したい!観客も速くロレンスが砂漠に飛び出し暴れまわる姿を今か今かと待ちわびて。  マッチの火が消えた瞬間に「突然」その待ちに待った光景に切り替わる。  夜が明ける瞬間、砂、砂、砂が風に舞い絶えず動き続ける。それを幼気な処女のごとくキラキラした瞳で見つめるロレンス。ロレンスは劇中で度々顔を曇らせ独り葛藤をエスカレートさせていく。 実在のロレンスがそうだったように、ロレンスの中の異性が徐々に穢れていく様子を淡々とフィルムに刻んでいく。処女がSEXの快感に目覚めたように好戦的な戦士になっていく様を。 どんなに無精髭が生えようが、婦人が化粧をするようにそれを剃り、ドレスをプレゼントされた少女のようにはしゃぐ。短剣をアクセサリーのように掲げ、布を掴み笑みを浮かべながら楽しそうに走り、嫌らしい手つきで肌に触れる男に見せる拒否反応。  ラクダにまたがり、夜を超え、延々と進み続けた先で井戸をくみ上げるバケツが落ち「突然」やってくる地平線の彼方の黒い点。その不気味なゆらめきが徐々に近づき空気を一変させ、不意に抜き放つ銃撃!  岩の間から「突然」現れる複葉機、戦場を飛び交う機銃掃射と爆撃、成す術もなく蟻のように蹂躙される騎兵。  力を求める漢たちと夢を見つけたい旅人の出会い。利害の一致が固い絆に変わっていく。 漆黒の民アリとの憎悪を超えた友情、アラブを駆け抜ける荒くれ者アウダ、喰えない王子ファイサル、アレンビー将軍を始めとする曲者揃いの軍人たち。  ピクニック気分の行進がやがて隊列を整え、咆哮し、駱駝も馬も大地を駆け抜ける大軍団にまで成長していく! 指揮棒は挨拶代わりにコンパスを取り上げ、眠りそうな者を叩き起こし、床を叩き客人を歓迎し、振り下ろされ騎馬の大群を雪崩れ込ませる! 駱駝の群が寝そべる静寂、太陽が照り付け、砂塵が舞う砂漠を裸足で歩み続け荷物を一つずつ捨て、吹き出す汗とこびりついた砂が語る絶望。  軍服からまっさらな衣装に身を包むことで「同胞」として受け入れられ、そしてロレンスもそれを受け入れる。 盛大な歓迎、岩をよじ登り遠くの敵陣を眺めるワクワクするような瞬間、突然の殺人と処刑、哀しき対面と銃撃。投げ捨てたものに群がる仲間に向けられる複雑な視線。  基地を制圧される瞬間を上から見下ろす視点で捉え続け、基地を奪われた無力さ・砂浜でたたずむ姿によって描かれる達成はロレンスのもの。 「女狙撃兵マリュートカ」を彷彿とさせる砂漠から本物の海原にたどり着く光景。  後半はとにかく流血が強調される。 記者が探し求める人間は線路を爆破し汽車を横転させる!砂上からの一斉射撃、斜面を駆け降りる人の群れが車両を蹂躙する。 生き残りに一撃を浴びせカメラを打ち砕く頼もしさと野蛮さ、横転した列車の上を歩き回り歓声を浴び、馬の大群が一斉に飛び出し砂漠を駆け抜ける。  破壊の跡に残された瓦礫、遺体の山、疲れ果てた一団。そこに追い打ちをかける瞬間に高揚感は消え失せ、暴力と狂気が強調される。 追撃と野戦病院の惨状、ビンタを喰らい力なく崩れ去り、別れを惜しむように車上で立ち上がってしまう姿。
[DVD(字幕)] 8点(2014-01-21 23:50:23)
58.  赤線地帯 《ネタバレ》 
世間では評価の低い今作ですが、私には「山椒大夫」や「雨月物語」よりもずっと残酷で恐ろしい作品です。そりゃあ「夜の女」に比べると人物の掘り下げや辛辣さは無いですが、テンポの良いストーリー、一見軽快に振る舞う女たちが背負う心の闇。若尾文子のように成功を収める狡猾な女もいれば、木暮実千代のように出来てしまった子を育てるのに奮闘する女、息子に愛情が伝わらず絶望・発狂する女、と様々な女の栄枯渇水をまざまざ見せつけられます。56歳にしてこれほど若いエネルギーに溢れる作品。もっと面白い、もっと凄い映画を撮ったかも知れない・・・そう思うとこの作品が遺作として人々に記憶されるとは皮肉にも感じられます。ああ・・・もっと見たかった・・・こういう溝口映画を・・・。
[DVD(邦画)] 9点(2014-01-20 13:13:28)
59.  ある映画監督の生涯 溝口健二の記録 《ネタバレ》 
溝口健二、そしてその全てのファンに捧げられたともいうべきドキュメンタリー。 まあ溝口健二を余り知らない人が見ても楽しめるかどうかは解らないですが、多くが語られてこなかった溝口健二について知る事が出来る貴重なフィルムです。 溝口健二が何者なのか、溝口健二がどんな映画を撮ったのか。それを探るために溝口健二と関係が深かった人々に片っ端からインタビューしていきます。宮川一夫、川口松太郎、依田義賢、増村保造、それに伊藤大輔まで!そして溝口映画を彩ってきた女優たち。彼女たちの老いた姿は最初ショックかも知れませんが、当時を活き活きと回想する姿はじんわりしてしまいます。特に「祇園囃子」についてのシーンが印象的。「祇園囃子」は溝口健二に言わせると間に合せの作品だったそうです(えー!?間に合せであんな面白い映画を撮ったの)。「力を抜いて」なんて聞く兼人さんはちょっとデリカシーに欠けている気がします。モチロン悪気は無いと思います・・・ただ、命懸けで役を演じてきた人に対して「力を抜いて」は無いでしょう。聞かれる方は目が笑っていないんですもの。「おめえさんに何が解りますんや?」とでも言われているような冷たい目が怒りに似た心情を感じさせます。ただ良くも悪くも「祇園囃子」を始めとする溝口映画がまた見たくなるほど刺激のある内容です。
[DVD(邦画)] 8点(2014-01-18 15:52:53)
60.  嵐ケ丘(1939)
ワイラーの作品では「黒蘭の女」「孔雀夫人」に次いで好きな作品です。  この映画の何が凄いかと言いますと、原作の復讐劇を完全な恋愛映画にしてしまったベン・ヘクトの恐ろしさです。  原作好きには物足りなく感じる人もいるかと思いますが、私はこういう「嵐が丘」も有りだと思っています。 ローレンス・オリヴィエとマール・オベロンのピリピリした空気、一瞬ながら異常な躍動感に溢れた乗馬シーン(ワイラーは馬で本気出す人)と細かい演出も見所です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-10 19:41:48)(良:1票)
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