81. 悪党に粛清を
マッツ・ミケルセン主演西部劇でこの邦題。想像した通りであった捻り無き展開、こぢんまりしたアクションシーン、ウェットな映像美、爽快感に乏しい結末。怨恨オーラを放ちまくり持ち味全開ミケルセンは熱演ですが、観ていて肩が凝ってしまいました。彼のファンの方なら楽しめると思われる作品。 [DVD(字幕)] 4点(2020-02-23 01:34:10) |
82. アイリッシュマン
シネマート心斎橋へ喜び勇んで出かけました。物語は戦後米国裏社会ギャングものとしてあるある話であります。 パチーノ>ペシ>デニーロ>>>>カイテル。 ホッファを演ずるパチーノはお下品で退く事を知らない唯我独尊振りで、「パチーノと言えばスピーチ、スピーチと言えばパチーノ」面目躍如のシーンには「アル様素敵!!!!」叫びたい衝動に。いやぁ、こういうお姿を拝めただけでも鑑賞の値打ちがあります。 ブファリーノを演ずるペシは往年の狂犬の如き切れ味は無い静かな面持ちながら、絶対服従を強いる凄味は物凄い存在感。 二人の板挟みに身悶えるシーランを演ずるデニーロは流石の名演だけど、何かが物足りない歯痒さがありました。 ハーヴェイ・カイテルの影の薄さが残念なところ。 無法の限りを尽くしたギャングが心身ともに老い衰えて孤独のうちに廃れ行く姿がうら悲しい。 VFXで若返ったお顔を観ながら、70代レジェンドの面々は100まで現役を続ける事が可能である事に嬉しくなっちゃいました。 [映画館(字幕)] 9点(2019-11-24 22:16:21) |
83. 雨
《ネタバレ》 雨降の光景に美しさを感じる私にとっては雨が人の心を狂わせるとは思えなかった。 娼婦に対する宣教師の言動は、魂の救済という名の洗脳であり、独善さは「ターミネーターT-1000」のように人の心を絶対に分かり得ない姿で、怒りを通り越して空恐ろしさを味わう事に。そのような彼が欲情を露わにするシーンでのウォルター・ヒューストンの役者魂炸裂の演技に息を呑む。部屋での出来事を一切見せない演出からの結末に唸らせられる。娼婦の策略だとするのは考え過ぎだろうか。余韻の深い作品。 [DVD(字幕)] 8点(2019-11-21 16:20:46) |
84. 阿修羅少女(アシュラガール) BLOOD-C 異聞
アニメ版を観ていないせいでしょうが、話にさっぱりついて行けません。雑な殺陣と耳障りな音楽にも興醒めです。有名どころを起用しておきながらの残念な出来栄えでありました。 [DVD(邦画)] 1点(2019-10-10 15:18:14) |
85. アタック・オブ・ザ・ジャイアントウーマン
街を踏み潰す復讐鬼と化したジャイアントウーマンが当局との死闘を経て壮絶な最期を遂げる、と言う物語を期待した私をあざ笑うロジャー・コーマンの高笑いが聞こえてきそうな一品。脚本・演出・演技、全てが幼稚であり、胸糞悪さはないものの「アホクサ」で埋め尽くされる一品。グラドルのようなナイスバディな(死語?)三人が惜しげも無くこれでもかっとボイン(死語?今時は巨乳と言うのかな)を晒す(途中から夜店のヨーヨー釣りが浮かんじゃった)のに男性諸氏は楽しめるかもしれない(違ってたらゴメンチャイ) [DVD(字幕)] 1点(2019-09-14 00:28:06) |
86. 明日に別れの接吻を
《ネタバレ》 冒頭裁判シーンで被告席に居ない事でその末路が分かるジェームズ・キャグニーは残忍さに加えてしたたかで狡猾な小悪党を持ち味全開で魅せてくれます。溜めに溜めてから果てる妖怪みたいな表情は余人には出せない名人芸。(ムックリ起き上がってくるのではないかとハラハラしました) 手堅い演技の脇役の面々皆を霞ませてしまうキャグニーの「小さな巨人」ぶりを改めて思い知らされる一品。 [DVD(字幕)] 8点(2019-09-07 19:24:51) |
87. 赤い靴(1948)
《ネタバレ》 「第七のヴェール」「ある日どこかで」が思い浮かぶボリス・レルモントフ。彼にとってヴィクトリア・ペイジは自身理想のバレエを体現してくれるペットと言うかロボット(適切な言葉が浮かばない)であって、彼女が人間らしい愛情を持つことに憤怒する。バレエ以外愛せない男を演じるアントン・ウォルブルックは絶品でありました。「赤い靴」バレエシーンはダンサーの魅力と映画ならではの映像表現が相まって息を呑む素晴らしさ。物語そのものが「赤い靴」であった最期の「靴を脱がせて・・・」が何ともやりきれない。傑作です。 [DVD(字幕)] 9点(2019-07-28 19:49:35) |
88. 嵐の三色旗
《ネタバレ》 原作未読。乱世の中で、私の中の永遠のヒーローである岩清水弘による「君のためなら死ねる」を体現したロナルド・コールマン(今作では髭無し)の抑えた演技の中に溢れる切なさに身悶え。祭り会場の如き熱気に包まれた処刑場に「自由・平等・博愛」が聞いて呆れるフランス革命の黒歴史を初めて知る事となりました。迫力満点の映像による見応え十二分の秀作。 [DVD(字幕)] 8点(2019-07-28 19:23:12) |
89. アラジン(2019)
アニメ版未見。「バグダッドの盗賊」(1940年・イギリス)に多大な影響を受けていると思われる本作。ストーリーは及ばず、映像美は79年間の技術進化で流石の迫力だけど、あの時のように心底見惚れるというものではなかった。ウィル・スミスの安定感ぶりとジャスミンの心折れない歌力に+1点ずつ。 [映画館(字幕)] 7点(2019-07-17 22:01:06)(良:1票) |
90. 暁に祈れ
《ネタバレ》 タイに流れ着いた薬物常習イギリス人ボクサーが収監された刑務所内で自分を取り戻しムエタイに励む。ビリー・ムーアの自伝を元に製作された本作は、刑務所は本物、エキストラ囚人は本物の元受刑者で全身ビッシリ刺青も本物といった具合のリアル志向。陰謀や裏切り要素は皆無でのべつ幕なしの喧嘩三昧は猿山のサルそのもので、ビリーが味わう「地獄」は施設の劣悪さしか感じられない。勝利は予想通りで盛り上がらないものの、その後の展開は意外なもので、将来の自分を見据えているかのようなラストの演出がなかなか感慨深い。 見た事あると思ったのがタイ初の金メダリスト ソムラック・カムシンで懐かしさに+1点 [DVD(字幕)] 6点(2019-06-22 01:35:13) |
91. アブノーマル・ウォッチャー
《ネタバレ》 大家のオッチャン。変態だけど見た目は上品・善良・普通の人間、ではなく、見た目そのものがこれ以上ない程気色悪い変態。やる事もこれまた気色悪さマックスの変態。ハズレ作品かと思ったけれど、変態が暴走するだけ、ではなく、出産間近の若夫婦の不倫ドラマが上手く絡まり合ってなかなかの見応え。旦那の浮気現場(そもそも自宅に引っ張り込むのはアカンでしょ)を覗き見するオッチャンの表情が何とも言えない気色悪さ。怒っているのかそそられているのか。迷宮入りしてしまうっぽい展開に無理筋を感じた矢先のラストショット。オッチャンの満面の笑みに驚愕。この結末も無理筋そのものだけど記憶に留まりそう。 [DVD(字幕)] 7点(2019-05-15 20:35:04) |
92. アガサ・クリスティー ねじれた家
魅力のカケラも無い一族の罵り合いがひたすら続くだけ。謎解きの妙が無い。居ても居なくても良いキャラだったお目当てテレンス・スタンプ。父親ジェレミーには遠く及ばない青臭いマックス・アイアンズ。極めつけが犯人及び犯行動機及びエンディングで「はぁ? 何なんそれ?」アガサ・クリスティが語る「自身の最高傑作」に「本当にそう思ってるのか」問い詰めたい気分。広報戦略にひっかかった感満載の作品。 [映画館(字幕)] 3点(2019-04-28 02:18:43)(良:1票) |
93. アタック・オブ・ザ・キラー・ドーナツ
トマト⇒ドーナツの順番での鑑賞が良かったのか、結構楽しめました。キラードーナツ達の文字にしにくい唸り声(?)はキラートマトを思い起させます。38年の歳月で進化した映像技術なのか、整列したドーナツが身を捻って睨みつける(?)姿はトマトには無い不気味さでありました。登場人物及びストーリーもおおよそ筋が通っていて笑える部分もそこそこありました。音楽もいい感じです。ラストシーンが無駄に長いのが難点かなぁ。それと汚いシーンがあるので、ドーナツ食べながらの鑑賞は避けたほうがよろしいかと。 [DVD(字幕)] 5点(2019-04-26 16:54:07) |
94. アタック・オブ・ザ・キラートマト
予備知識ゼロで鑑賞。トマト大好き、トマトジュース大好き、ブラッディメアリー大好き。愛しのトマトがコケにされた悶絶駄作。アカンわ。 [DVD(字幕)] 0点(2019-04-25 16:55:14) |
95. 暗黒街(1927)
序盤はブルの馬鹿みたいな俺様キャラと、ブルの右腕としての活躍が描かれないロールス・ロイスにギャング映画らしさを感じられず、サイレントなのでこんなものかと眺めていました。途中から三角関係のメロドラマとして盛り上がってゆき、「人生を凝縮した数時間」に於けるブルは前言撤回の一匹狼に相応しい姿で痺れました。エドワード・G・ロビンソン、ジェームズ・キャグニーを始めとする多くのスターが活躍するギャング映画の先駆けとなった作品に敬意を表しての8点。 [DVD(字幕)] 8点(2019-04-18 01:53:59) |
96. あの頃エッフェル塔の下で
《ネタバレ》 空港での足止めの件及びパスポート売り渡しの件は物語の肉付けに過ぎず、本筋は少年少女の恋愛話。ダラダラ繰り広げられる双方の好き勝手な振舞は幼い事を差し引いてもウンザリさせられる。後年再会したコヴァルキに恨みつらみを吐き散らかす、無様さ極まれるザマをお目当てマチュー・アマルリックが流石の芸達者ぶりで見せてくれるこのシーン以外観るべきものが無い期待大外れの作品。残念。 [DVD(字幕)] 3点(2019-01-20 16:17:24) |
97. アンコール!!
「年金ズ」の面々に、リタイアした勝ち組さんが自治体が支援するナントカ大学に入って優雅なお時間を過ごされているのが思い浮かびます。この方々が間違っても歌うことないヘビメタやセックスがどうたらは映画ならではでしょうが、アーサーならずとも「何じゃこりゃ」で白けます。冒頭のシーンで予想した通りの展開だったありきたりな物語。しかし、キャスティングが奇跡的でテレンス・スタンプとヴァネッサ・レッドグレイヴは鑑賞歴中でのベスト熟年カップル。皺くちゃになっても瞳の色は若かりし頃と同じで「血と怒りの河」「わが命つきるとも」の溢れ出ていた魅力そのままに齢を重ねた姿に感動しました。お二人に点数の全てを。 [インターネット(字幕)] 8点(2019-01-07 13:34:14) |
98. ある公爵夫人の生涯
嫌いなレイフ・ファインズの持ち味が120%発揮されており、あまりのゲス・クズ・カスっぷりに怒りを通り越して淡々と眺めておりました。お目当てシャーロット・ランプリングは魅力のカケラもないキャラで期待外れ。キーラ・ナイトレイはキリリとした美しさながら、薄幸さが漂っておらず惹きこまれない。多くの召使にかしずかれている貴族というのは、綺麗なお洋服で飾り立てても痴話喧嘩などを彼等彼女等の前で平気でしているのに呆れる。犬猫並みの存在なのだろう。実在の人物という事で、末裔の方々はこれを観て何を思うのだろう。数日後には忘れてそうな愚作。 [インターネット(字幕)] 4点(2018-12-29 00:32:32) |
99. あなたの旅立ち、綴ります
御年83歳シャーリー・マクレーンの画面に映える美しさは驚異的。この所お馴染みのクセが凄いキャラクターも貫録で演じています。仕事一筋、友達はお金だけ人間がふと味わう寂しさが滲み出ていた良作。 [DVD(字幕)] 7点(2018-12-23 23:54:00)(良:1票) |
100. ある秘密
《ネタバレ》 マチュー・アマルリック出演という事で鑑賞。本作では語り手であり極々静かな存在であったのに物足りなさを感じたものの、何一つ罪が無いにもかかわらず原罪を背負わされ苦しんだ幼少期のフランソワが大人になったキャラクターはドンピシャのはまり役で流石だと感心しきり。アンナ、マキシム、タニアの三角関係は艶めかしいカメラワークも相まって気品あるものでした。マキシムへの復讐としてシモンを道連れにした行為はシモンが憐れであり、ヴィシー政権下でナチスに加担してユダヤ人を迫害したフランス黒歴史と併せて、どうにもこうにも遣り切れない。描かれた3つの時代の色彩の違いが各々の心模様を写したかのようで見事な演出が印象深い。 [DVD(字幕)] 7点(2018-10-28 13:25:27) |