1. ソウ
初見の際にはこのアイデアにはぶっ飛びました、自分の『驚愕させられた映画ランキング』のベスト3に今でもランクインしています。正直に言うと、あのラストには思わず立ち上がるほどびっくりしたもんです。いまじゃあ本作をパクった映画が濫造されちゃいましたけど、やはりオリジナルは偉大です。私はいわゆる“ソウ・マラソン”はすでに完走しておりますけど、監禁ゲームと並行して元刑事ダニー・グローバーが暗躍していたりする第一作がやはりベストな脚本だと思います。このシリーズは回が進むにつれジグソウのゲームをいかにエグく見せるかにどんどん比重がかかって来て『ファイナル・ディスティネーション』シリーズみたいになってしまうんですけど、それはそれで愉しめます。中盤までゴードン医師とアダムの“信頼できない語り手”視点のストーリーテリングが緊迫感を煽ってくれますが、この視点をもっと引っ張ってラストまで持って行ったらもっと良かったかなと感じます。 冷静になればツッコミどころは多々あるんですけど、ストーリーテリングの巧妙さがそんな粗を覆い隠してしまいました。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2017-10-26 23:02:48) |
2. ゾンビランド
《ネタバレ》 ゾンビ+コメディ+ロード・ムーヴィー+バディムーヴィー、って感じですかね。でもそれぞれのジャンルが高いレベルでバランスを保っていて、ゾンビものとしては特筆すべき面白さ。ジェシー・アイゼンバーグとウディ・ハレルソンという組み合わせが実現できた時点で、この映画の成功は約束されたようなものです。エマ・ストーンとアビゲイル・ブレスリンの姉妹も良い味出していますけど、たしかにエマはゾンビランドを彷徨っている割にはメイク濃すぎですよね(笑)。やたらと映画の小ネタが使われていますけど、最大の映画ネタはビル・マーレーのまさかの登場。しかもあんなバカげた退場の仕方をするなんて、こんな使い方ってアリ?実際のビルの家もあんな豪邸だったりして。でもゾンビランド化してしまったのに、どうして電気が途切れることなく供給されているのかな?きっとゾンビ化した発電所職員たちが、かすかに残った人間だったときの本能に従って保守してるんですよ、絶対そうだ(笑)。タラハシーが車のドアに“3”という数字を書き込むのはどうして?何かのおまじない?トゥインキーってそんなに美味しいの?コロンバスの“サバイバル・ルール”は全部で幾つあるの?知りたい。とまあ愉しくなる要素が満載の一編でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-04-24 20:34:05) |
3. それぞれのシネマ
《ネタバレ》 カンヌ映画祭60周年を記念して、カンヌで賞を受けたり縁があった映画作家ち30余人に、時間は3分間テーマは映画で撮らせたオムニバスです。数あるオムニバスでもこれだけの映画作家が参加した例は今までなかったのでは。そうそうたる顔ぶれですが、個人的にはゴダール(彼の場合はカンヌとは因縁ですけど)、クストリッツァ、タランティーノが参加してないのが残念でした。それぞれの作品の傾向として、面白いことに欧米系の監督は詩的・観念的・政治的な切り口で撮った作品が多いのに対し、アジア系はノスタルジーな視点で映画を視ている傾向が強いことでした。そして“盲人が映画を観る”と言うプロットの作品が3本あって、それぞれ男性・女性・子供と別れているのが面白かったです。日本からは北野武が参加してますが、この『素晴らしき休日』はちょっとがっかりな出来で、他の監督に比べて一段落ちるなと感じました。 さてベスト作品ですが、私はエリア・スレイマンの『臆病』を選びたいと思います。自作が酷評される映画監督って大変だよなと同情しちゃいました、爆笑まちがいなしです。ワーストはたぶん観た人の意見が90%は一致すると思うのですが、ラース・フォン・トリアーの『職業』でしょう。この人、ちょっと人格異常なんじゃないでしょうか(怒)。コーエン兄弟も『ワールド・シネマ』で参加していますけど、版権の問題か何かで日本では観れないそうで残念です。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-10-22 17:33:07) |
4. ソウ2
「続編では群れで出す」というモンスターもの映画の鉄則をきっちり応用して、今回のゲームの参加者は大量増加、その上にゲームを見守る警察陣も大量参加で一気ににぎやかになりました。お約束のグロ・シーンはシリーズ後半作に較べるとまだ大人しめですが、その分心理的な嫌悪感を与えられた感じが強いです。地味な絵面でしたが、自分的には注射器のプールは背筋がゾクゾクするほどおぞましかったです。監督が代わっているのに早回しやカットショットの過剰なまでの多用は前作と変わらずというかエスカレートしている感じで、製作に廻ったとはいえジェームズ・ワンの強いコントロールが感じられます。ラストのカットなんかを観ると、この映画は三作目と二本でひとつの映画と言う感じがしますね。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-10-27 22:07:35) |
5. ゾディアック(2007)
《ネタバレ》 長い、長すぎますよ、実話だし監督があのデヴィッド・フィンチャーだから想像通りだったけど、カタルシス皆無でエンディングですからどっと疲れました。ラストで空港で証言する男なんかもう誰だか判らなくなっていて、観返してみてやっと最初の事件で生き残った被害者だったと判ったぐらいです。ゾディアック事件を追う三人の物語だけど、殺人事件以外は何も起こらなかった様な淡々とした映像の積み重ねで、ここら辺はもろフィンチャー節ですね。でも緊張感の継続はさすがでして、ラスト30分のヒリヒリ感はまた格別です。ジェイク・ギレンホールが謎の男に地下室に招きいれられるシーンなんかはほんとゾッとさせられました。警察の管轄違いから起因する連携の悪さがまた観てる方のイライラを増大させてくれますし、刑事が『ダーティハリー』を観てて現実とのあまりの相違に腹を立てて席を立ってしまうところなんか、いかにもブラックな笑いを誘ってくれます。思ったのはクロエ・セヴィニ―やイライアス・コティーズといった渋い面々が脇やチョイ役を勤めているいるところで、フィンチャーという監督は想像以上にハリウッド俳優たちに支持されているみたいですね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-11-26 22:13:29) |
6. その土曜日、7時58分
《ネタバレ》 シドニー・ルメットの映画では犯罪者には悲惨な末路が用意されている場合が多いのですが、それにしても本作は極めつけ、ルメットの遺作に相応しい陰惨さです。親殺し、子殺し、まるでギリシャ悲劇を現代に甦らせたみたいなものです。ルメットの演出は最後までシャープさが衰えないのですが、個人的にはあの時間軸や視点をいじった演出にはあまり意味がなかった様な気がしました。この手法はどんでん返しや意表を突くプロットが隠されている様な映画でもっとも効果が出るのだと思います。俳優陣ではイーサン・ホークが「うまいなあ」と感心させられましたが、やっぱ努力賞はマリサ・トメイでしょう。のっけから激しいSEXシーンを見せるわ(相手がシーモア・ホフマンと言うのにはちょっと引きましたが)、『もっとも脱ぎっぷりの良いオスカー女優』の面目躍如でした。これからも頑張ってください、期待してます(笑)。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-10-16 19:21:22)(良:1票) |
7. ソウ6
《ネタバレ》 ホフマン刑事がどんどん前面に出てくるようになりました。そりゃジグソウの後継者なんだから当然のことでしょうけど、この人ジグソウに較べるとあまりにやることが雑なうえにお間抜けなので、腹が立ちます。考えてみりゃジグソウはあまりにも用意周到過ぎて辟易となるぐらいですから、ホフマン君の方がリアルな存在と言えるのかもしれません。 本作のゲームは、自分にはシリーズ中で屈指の痛さだった感じがしました。まるで『ベニスの商人』のシャイロックの要求みたいなオープニング・ゲームは、直視できないぐらいです。でも観続けていると疑問に思わざるを得ないのは、この冒頭に出てくる本筋に関係ないゲームは、いったい何なんでしょうね?単なる観客に対するサービスと解するしかないでしょう。ホフマン刑事のキャラも単なるサイコパスになってしまってますけど、彼の行動には何かウラがあるのかと観続けて来た者としては、がっかりです。あとアマンダの秘密やジルの共犯関係などは、いかにもシリーズ製作中の後付けという感じがプンプンです。ここら辺は、連続TVドラマシリーズの手法と一緒ですね。 ラストのサプライズはさすがに「そうだったのか!!」と唸ってしまいました。観客でこの人間関係を予測できた人は、果たしていたでしょうかね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-01-29 22:59:54) |
8. ソウ5
《ネタバレ》 『5』は監督も代わって少し持ち直して来た感もありますが、率直に言って『4』と『5』はやっぱつなげて整理して一本の映画にした方が良かったんじゃないでしょうか。思うに本作はあのゲームを見せたいがために撮ったような感じで、そういやこのシリーズは「一作につき一ゲーム」という製作者側のこだわりがあるように見受けられます。基本的にはストーリー自体はホフマン刑事とFBI捜査官の対決が主題であって、実は本作でのゲームはそれとは無関係に進行していくところが、はっきり言って失敗だったと感じます。あの5人のゲーム参加者とホフマン刑事にどういうつながりがあったのかと、不思議に思いませんか?FBI捜査官が自分の正体を暴きにかかっていると判っているんだから、ゲームを仕掛けて遊んでる場合じゃないでしょう。 ラストのFBI捜査官の最期は絵面としては地味ですけどシリーズ中屈指の悲惨な死にざまでした。彼は冒頭の水槽ヘルメットを被せられた時点でアウトだったのに荒業を使って生き延びたぐらいですから、監督としてはあれぐらい完膚なきまで肉体を破壊しておかないと、安心できなかったのかな(笑)。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-12-28 22:46:44) |
9. ソウ3
《ネタバレ》 “ソウ・マラソン”を数年ぶりにリプレイしておりますが、『3』でようやく“ジグソウ死す”というところまでこぎつけました。ここら辺から自分の感覚がマヒしてしまっているのか、数々のグロ拷問シーンをほとんど覚えていませんでした。強いて言えば判事が出てくるシーンでのフックで次々運ばれてくる豚の死骸ぐらいでしょうか、これだけは強烈でしたから自分にとっては。 ネタバレすると、けっきょく『3』はアマンダのゲームだったというわけです。どおりでジェフのゲームと拉致されたリンのドラマがかち合わず、すごく冗長に感じたわけです。確かに『3』はシリーズで最長の上映時間ですからね。まあここで三作目までの伏線というか観客に見せてこなかった部分を綺麗に整理した感もあるので、これで“ソウ三部作”として完結させるのが普通の映画製作者ですけどね。まさかこれが七作シリーズの三本目だったとは、当時の観客は予想しなかったでしょう。 と言うわけで、飽きてくるのはしょうがないとしてもグダグダ感が少ないのは、このシリーズで褒めるところでしょう。本作で特に疑問に思ったところは、本筋には全然関係ないオープニング・アクトの様なゲーム犠牲者と、女刑事までゲームに巻き込まれて負けてしまうところでしょうか。この刑事殺しは、ジグソウが関与しないアマンダの個人的な犯行ということでしょうか。ドニ―・ウォールバーグの前作からの末路も明らかにされてますけど、これじゃゲームに勝ってもルールが守られてないじゃん、まさしく「ゴールポストが動いた!」ですよ(笑)。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-11-11 22:35:49) |
10. ソードフィッシュ
《ネタバレ》 ×××が×××を付けているのを×××に見られたのや、バスの中に×××があることに×××が気づくのも、すべてトラボルタの仕掛けだったと言うのかい!こいつは神か悪魔か!(確かにお名前はガブリエル“大天使”ですが) この映画を貫いているご都合主義とラストのオチは、もう夢オチみたいなもんです。だいいち、人質を連れて銀行から出てきたテロリストを、なんで警察が狙撃しちゃうのかわけ判りません。そんな粗いお話しでも、有名スターを揃えて華麗な映像を怒濤のごとくぶつけてくれば、映画としてはなんとか観られるものが出来ると言ういい見本かも。 映画史に残るムダ脱ぎをしてオッパイを見せてくれたハリー・ベリーに一点献上です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2012-05-30 01:08:55) |
11. ソウ4
《ネタバレ》 いきなりジグソウの脳みそパッカーンの解剖シーンが始まるのに、なんで警官リッグがジグソウの声に操られてゲームをするの?ジグソウは生前にそこまで準備してたのか(こいつは神か)?とこっちの脳みそこそパッカーンになりそうだったのに、なんと前作と同時進行ストーリーのパラレル・ムーヴィーでした。つうか、このストーリーテリングになんの意味があるんでしょうか、謎かけにもなってないし単に観客を混乱させただけです。要は製作者としては『3』の断片をつないで『5』に繋げるインターミッションのつもりだったのかとも、勘繰ってしまいます。本作辺りからまるで連続TVドラマをぶつ切りにしたような展開になって来て、途中から観ることをきっぱり拒否するような撮り方になってきます。いっそのこと『3』から『ファイナル』までを一本の映画にまとめたらよかったのにと思ったりしますが、そんな長大な映画は誰も観たいとは思わないですよね(笑)。 まあ新しい展開と言えば妙にガタイのいいホフマン刑事と、ジグソウの元妻ジルが前面に出てきたってことでしょうか。あとセシルにさせたゲームが、ジグソウの最初の犯行つまりビギニングだったわけですね。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2017-12-26 22:41:54) |