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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2387
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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41.  007は二度死ぬ 《ネタバレ》 
さあ出ました、コネリー・ボンドで最大の問題作(?)でございます。本作はイアン・フレミングが書いた最後の007なんだそうですが、映画化は彼の死後でストーリーは全くと言っていいほど改変されているそうです。 まあ正直いって日本の描写は笑うしか対処のしようがありません。その中でも自分としては最高にウケたのは、丹波哲郎のタイガー田中ですね。なんと都内での移動には決して地上を歩かず、地下鉄丸の内線にしか見えない車輌で地下を高速移動する、しかも車内は豪華ラウンジの様な特別仕様ですからねえ。そして日本と言えばこれ、忍者の登場は欠かせません。タイガー田中率いる特殊部隊は忍者だった!彼らが犠牲を顧みず秘密基地に殴り込みをかけるところは、なかなか勇壮です。典型的な忍者のカッコウじゃないのには少しはスタッフの良識を感じますけど、忍者訓練所が姫路城という設定で撮影中に石垣に傷をつけたって聞かされると、ふざけんなよ!と義憤を感じてしまいます。世界的な映画の撮影と言われて使用許可を与えるなんて、まだ戦後20年足らずの日本は欧米には卑屈だったんですね。 日本描写についつい目が奪われるのでかすんじゃっていますが、脚本もなかなかのもんです。相変わらずスペクターは何をしたいのか良く判らず、ボンド襲う危機(まあどれも簡単に切り抜けちゃうんですけど)とストーリーが上手く融合していないんじゃないでしょうか。と言うか、本作ではボンドは単なる偶然で死を免れてばかりで、三回はそんなシーンが確認できましたよ。さすがのショーン・コネリーも、降板したくなっちゃったのは無理からぬことでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2017-09-02 23:54:16)
42.  007/サンダーボール作戦 《ネタバレ》 
ムダにカネかけてますね~、前作にそこはかとなく漂っていた映像のチープ感は払拭されています、でも力を入れるところがちょっと間違っていますよ。水中撮影はそれだけで結構経費がかかるそうですけど、確かにこれだけ大々的に水中撮影を多用したアクション映画は初めてだったでしょう。実際に走行する潜水艇を製作したり、ほぼ実物大のヴァルカン爆撃機のプロップを海中に沈めて撮ったり、とサービス過剰気味です。でも悲しいかな、それが映像になるとちょっと地味なんですよね。水中銃の大銃撃戦なんて非常にレアなシーンもありますけど、やっぱ水の中ではスピード感がどうしても出せないんですよ。製作陣も撮りだしてみて「しまった」と後悔したんじゃないですか。 今まで何度もTV放映で観ているはずなのにどうしても『ドクター・ノオ』と混同するぐらい本作の印象が薄いのは、ボンド・ガールや悪役たちがあまりにもキャラが立っていないからかもしれません。ボンド・ガールはドミノとフィオナとポーラということになるでしょうが、みんな同タイプの女優なので区別がつきません。ラルゴの手下たちも印象が薄いうえに大して手強くもなくて愕然とさせられます。今回もスペクターは単なるブラック企業みたいな感じで、儲けを追求するための組織ならそこまで全世界を敵にまわすような暴走しなくてももっと手堅く収益が上げられると思いますよ。いっぺん経営コンサルタントにでも分析してもらった方が賢明です(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2017-08-19 23:44:48)
43.  007/ゴールドフィンガー 《ネタバレ》 
オープニング、なんとジェームズ・ボンドがアヒルのデコイを頭にくっつけて水中から登場。よくこんなこと監督はやらせたもんだよ、と呆れますが第三作からはいよいよ007も洒落っ気要素が強くなってきます。 007シリーズの突っ込みどころといえば何をやりたいのか意味不明な悪ボスたちの存在ですが、ゴールドフィンガー氏もかなりのもんです。ぶっちゃけ単なる金持ちのデブ親父というわけですが、カードやゴルフで真剣にインチキするなど、器の小ささが情けない。でもミニマムではセコい煩悩のかたまりのくせに、悪の本業ではフォートノックスの合衆国金保管所に核爆弾を仕掛けるんですから訳が判りません。この作戦、要は「世界最大の金保管庫が放射能に汚染されて実質的に無価値になれば、自分の持っている金が暴騰して大儲けができる」という、これまたしごく下世話な動機です。でもこれってよく考えなくても、突っ込みどころが満載なおバカ作戦なんですよね。だいたい、あんな頑丈な保管庫の中でたとえ超小型といえども核爆弾を破裂させれば、ほとんどの金が蒸発しちゃって放射能汚染どころの騒ぎではないでしょう。そして世界経済のシステムは破壊されて確実に大混乱になりますから、実業家であるゴールドフィンガー氏にはデメリットしかないでしょう。まあこれは原作に問題があるわけで、考えるとイアン・フレミングの007は結構なおバカ小説だと言えるでしょう。 そしてこの映画ではジェームズ・ボンドがびっくりするほど活躍しないんですよね。伏線なのかと思いきやボンドは最後までゴールドフィンガーに捕まったままだし、唯一の功績はオッドジョブを感電死させたことぐらいです。どうやってゴールドフィンガーの作戦をボンドは仲間に知らせたんだろうと不思議に思っていたら、なんとボンドに男に目覚めさせられたプッシー・ガロアが寝返って通報した(それも説明セリフだけで済ますという横着な撮り方です)という驚愕のオチでした。なるほど、大活躍していたのはボンドの下半身だったわけですね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2017-07-26 19:57:09)
44.  第27囚人戦車隊 《ネタバレ》 
デンマークの資本でハリウッド俳優とユーゴスラビア人俳優を使いユーゴで撮影されたという典型的なB級戦争映画。70~80年代のユーゴでは『戦略大作戦』や『戦争のはらわた』といったハリウッド戦争アクションが撮影されていますが、ユーゴでロケするメリットはもちろん西側と比べて物価が安いことと、第二次大戦の両陣営の兵器がけっこう残って使えたことに尽きます。 本作はドイツ兵を主人公にしたプロットが珍しいと言えます。囚人兵を集めた懲罰戦車部隊がソ連軍を相手に特殊作戦を展開するという、内容自体はよくあるパターンです。前半は戦車が動き回るのが見どころという風情ですけど、出てくる戦車は大戦中の実物ですけど全部ソ連戦車ばっかり。それに鉄十字マークを付けてドイツ戦車ですと言われても、少しも似せようとしてないので実感がないことは夥しいです。ドイツ戦車兵の軍服もなんかおかしなレプリカなのでこれまた雰囲気が出ません。おまけに肝心のソ連軍後方に潜入しての特殊作戦が、戦車を捨てて徒歩で実行とくればなんか騙された気分です。また脚本がヘロヘロで何を訴えたいのか良く判らんというのも致命的。世間に名が少しは知れていると言える出演者はデヴィッド・キャラダインとオリヴァー・リードぐらいです。そのオリヴァー・リードの出演シーンはラストの五分にも満たない超短時間ですから、もう開いた口が塞がりません。この二人が出演している80年代の映画はそれぞれ駄作ばっかりというのが定説ですけど、その二人が曲がりなりにも共演してしまったというわけで、その破壊力は想像通りでございました。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2017-07-11 22:30:07)(良:1票)
45.  007/ロシアより愛をこめて 《ネタバレ》 
『ゴールドフィンガー』と初期007シリーズのトップ評価を競っていますが、個人的には本作がコネリー・007の最高傑作だと思っています。主題歌“ロシアより愛をこめて”も、シリーズ中もっとも有名な歌曲なんじゃないでしょうか。そういえばエンドクレジットに“次は『ゴールドフィンガー』でお会いしましょう”みたいな文言があるのに気が付きました。このころにはもう007シリーズの世界的なブレイクが確定していたんですね。 本作から007お得意のガジェットが登場してきますが、まだ仕掛けスーツケース程度で可愛いものです。それよりも男と男は肉体勝負、男と女は色気で勝負、のハード路線で撮られているのがポイントです。ダニエラ・ビアンキはこの映画の撮影時はまだ22歳(!)、その美貌は歴代ボンドガールの中でも文句なしのNO,1でしょう。彼女はこの後ロクに映画に出演せず60年代終わりには引退しちゃったんですから、実にもったいないことでした。ボンドに対するロバート・ショウがこれまた“記憶に残る悪役ベスト・ランキング”の上位にランク・インすることは必定です。ボンドとの列車内での格闘はまさにヘビー級戦で、迫力満点です。アクション・シーン全般もVFXをほとんど使わない肉弾戦が中心なので、引き込まれてしまいます。当時としては濃厚だったと思われるお色気路線もふんだんで、これぞ“大人のアクション映画”と呼ぶにふさわしいと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-06-28 22:16:40)(良:1票)
46.  007/ドクター・ノオ 《ネタバレ》 
ジェームズ・ボンド、記念すべき初登場作。余談ですけど自分が子供のころにはたしか“ゼロ・ゼロ・セヴン”だったはずですけど、いつごろから“ダブル・オー・セヴン”に変わったんですかね? 前半はけっこうサスペンスを意識した撮り方をしてたんだな、と今の眼で観ても感じます。当然ですがシリーズ中盤以降のなんでもありのボンドではなく、マネーペニー女史といちゃついたりところどころでブラックな皮肉を吐くところなどジェームズ・ボンドのキャラを確立させる布石を打つだけで終わったという感じも否めません。それでも部屋に入るときの用心振りなどエージェントとして当然身に付けているはずの描写はきっちり押さえているところは好感が持てます。 やはりこの映画が趣をガラリと変えるのは、ドクター・ノオの島で例のドラゴンが登場してからでしょうね。ドクター・ノオというキャラはシリーズ中でも屈指の不気味クンだと自分は感じるんですけど、スペクター加入してまで彼が何をしたかったのかがいまいち不明なんですよ。秘密基地の中にわざわざメイドまで用意してボンドたちを迎えたり、独房に閉じ込めたボンドには通気口を破られていとも簡単に逃げられたリ、なんかわきが甘いんです。最近のアクション映画のラスボスの最期と較べると、信じられないぐらいあっさり退治されちゃうのは逆に新鮮に感じるぐらいです。この映画の後半パートに関しては、尺が30分ぐらい足りなかったのかな。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-06-26 23:42:24)
47.  ダイ・ハード3 《ネタバレ》 
製作陣も三作目を撮るにあたって、傑作だった一作目の監督ジョン・マクティアナンを再起用して気合いを入れ直してきた感があります。相棒をマクレーン刑事につけて90年代流行りのバディ・ムーヴィーに寄せた設定が前二作とは決定的に変えたところです。その相棒にサミュエル・L・ジャクソンを持ってくるところなぞ、気合いが入ってる感じは伝わります。そして悪役にはあのハンス・グルーバーの兄貴が登場です。ここまで頑張っているのは判りますけど、そりゃあ第一作を超えるどころか肩を並べる水準にまで達していないところは、まあ必然だったとしか言いようがないでしょう。第一作はビルの中、第二作は空港の敷地内と限定されている空間でのサスペンスだったのに、それがほぼNY市全域という舞台設定にしてしまったのは、初心を忘れてしまったとしか言いようがありません。現在ではもう不可能でしょうけど、たぶんNY市全面協力だったロケを多用した派手な破壊シーンの迫力は認めますけど、それでは他のアクション映画との差別化はできなくなってしまったわけです。グルーバー兄貴の犯行手口も動機からして弟の二番煎じに過ぎず、観てる方にも容易に見抜かれてしまいます。 実はダイ・ハードのシリーズはこの先は未見なんですけど、残り二作には相当出来が悪いものもあるという噂を聞いておりますし、観続けてゆく気力がちょっと萎えてしまいます。
[CS・衛星(吹替)] 5点(2017-05-04 22:57:50)
48.  ダラスの熱い日 《ネタバレ》 
たぶん本作がケネディ暗殺陰謀説を唱えた最初の映画だったと思います。テーマがこれですからメジャーのマークがいっさい出てこないインディーズ映画で、おまけに反骨の人ドルトン・トランボが脚本を書いていますからもう全編ピリピリした緊張感に満ち溢れています。まるで8ミリ映画のように解像度の低いフィルムを使っているのは低予算のせいかもしれませんが、それを逆手にとって記録フィルムを本編に挟み込んだ構成はドラマ部分の緊迫感盛り上げに多大な効果を上げています。陰謀の黒幕は情報機関の関係者らしき人物たちがテキサスの石油王らしき人物を抱き込むというフィクションです。この図式は現在流布されている陰謀説のどれにも該当しないものですが、案外その陰謀説自体がこの映画にインスパイアされた妄想である可能性もあります。なんといっても強烈なのは「その後の三年間で18人の証人が死んだ、この出来事が起こる確率は10京分の1であると保険専門家は計算している」という最後のナレーションで、こんな衝撃的なことを淡々と語られたら誰もが陰謀説を信じてしまいますよ。その効果はオリヴァー・ストーンの『JFK』なんか目じゃありません。そう、『JFK』と違って陰謀側の行動を淡々と見せ続けるだけに徹したトランボの脚本の威力なんです。近年になって18人死亡説にはかなり怪しいところがあるということが研究によって明らかにされています、しかしプロパガンダとして考えるとこの映画の脚本の破壊力は絶大だと思います。
[映画館(字幕)] 6点(2017-03-11 22:44:36)(良:1票)
49.  ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー 《ネタバレ》 
レーサー崩れとコンビを組んでたメカニックの二人組が強盗をはたらき、そして引っ掛けたビッチな娘を連れてただひたすら車をぶっ飛ばして田舎町を逃げ回る、という実に単純なお話しです。明らかに『イージーライダー』や『バニシング・ポイント』をパクりましたという展開と終わり方なんですが、これはこれで妙に味のある映画かなと思います。『イージーライダー』とは違ってこの三人組に絡む住人たちは彼らに全然敵意を持っていないし、彼ら自身も強盗するにしても銃すら持ってないうえ警察も最後まで発砲しない、という良く考えたらこの手のジャンルにしては珍しい展開なんです。カーチェイスも田舎だからただ直線道路を突っ走るだけみたいな画ですけど、これはアメ車ダッジのエンジン音を愉しむと言うのが正解なのかもしれません。でもヘリコプターとダッジの走りながらのお相撲は、なかなかの迫力でした。 と言うことで、中身が無い割には引き込まれてしまうのは、監督ジョン・ハフの職人技なんでしょうね。でもこの頃のスーザン・ジョージとしては珍しく脱ぎがなかったのはマイナス一点です。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-04-28 20:04:12)
50.  誰よりも狙われた男 《ネタバレ》 
スパイというか対テロ活動がテーマなのに劇中で銃の発砲は一回もない、登場人物が誰も死なないし殺されないというある意味変わった作品です。それでいて緊張感が溢れるストーリーテリングは、監督は無名ながらけっこういい腕してるとお見受けいたします。最近ジョン・ル・カレ原作小説の映画化で秀作が続いていますが、あの超地味なル・カレのスパイ小説が欧米では再評価されてきているのでしょうか、いまやすっかり忘れられた存在となったハッタリ屋フレデリック・フォーサイスとは好対照です。とくに映画の前半はこの先どういう展開になるんだろうとハラハラさせられどおしで、これもフィリップ・シーモア・ホフマンの好演のなせる業でしょう。これが彼の遺作とは、ハリウッド映画界にとっても実に痛い損失です。ラストの彼がタクシーの運ちゃんに化けるシークエンスでは、彼の見せる怒りと憔悴が入り交じった表情は70年代のマーロン・ブランドを思い起こさせてくれました。もし長生きしていたら、きっとマーロン・ブランドを超える名優にまで進化していたんじゃないかと思うと、残念でなりません。 最後まで判らなかったのは、“誰よりも狙われた男”とは誰のことだったのかということで、シーモア・ホフマンが演じるギュンターのことなんでしょうか?なんか違う気がしますけど。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-04-02 21:29:54)
51.  第四の核 《ネタバレ》 
原作はフレデリック・フォーサイスのポリティカル・ノヴェルです。原題は直訳すると『第四の議定書』という感じですね。冒頭で「米ソ間では核軍縮条約を締結したときに四つの議定書を交わしたが、四番目の議定書は未だに内容は秘密になっている」なんて意味深なテロップが流れます。実はこの議定書のことはその後のストーリーではまったく出てこないので結局なんのことやら判らずじまいなんですが、これは膨大な原作小説を端折ったせいなんでしょう。まあそのことは忘れてしまっても、この映画を観るのにはなんの支障も有りませんけどね。 かいつまんで言うと、英国の米軍基地で事故に見せかけて小型核爆弾を爆発させて英国をNATOから離脱させるという陰謀を強硬派のKGB議長が計画し、その任務のために潜入してきた凄腕エージェントと英国情報部MI5の闘いを描いています。いわば『ジャッカルの日』のリサイクル・ヴァージョンみたいなプロットなんですけど、サスペンスとしてはけっこう面白く撮れています。そのジャッカルとルベル警視に相当する役を演じるのがピアース・ブロスナンとマイケル・ケインというわけです。ブロスナンはまだジェームズ・ボンドに抜擢されるはるか前ですが、とにかくこのKGBエージェントが渋いというか不気味なんです。登場シーンでは1シーンを除いてまったく無表情で押し通し、自分の行動の目撃者はもちろんのこと、核爆弾製造の支援のためにソ連から派遣されてきた女スパイですら役目が終わると表情ひとつ変えずに殺してしまいます。対するマイケル・ケインは、かつての当たり役ハリー・パーマーを彷彿させるカッコよさです。こういう上司には反抗的だけど有能なキャラを演じたら彼はピカイチです。 ケインがブロスナンを追いつめてゆく過程や、土壇場で二人が邂逅し秒殺で勝負がつくところなんかは、『ジャッカルの日』とそっくりなんですが、原作の政治的な要素をばっさり捨ててエンタテイメントに仕立てたのでまあしょうがないというしかないですね。そこそこ面白かったというのが感想ですが、これが日本では未公開だったというのはちょっと不思議ですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-03-17 22:37:23)(良:1票)
52.  大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス 《ネタバレ》 
昭和ガメラと言えばギャオス、実は大映特撮怪獣映画が産んだ最高のスターだったりして。その後のガメラシリーズでもカメオ出演して大根切りされたり平成ガメラでは一段と凶悪なキャラとして再登場果たしたり、やはりギャオスの存在感は大きいんです。とにかくあの幾何学的なスタイルがカッコ良いんですよね。人間を喰ったり血を吸うのが大好きで太陽光線を浴びると死んじゃうとか、怪獣というよりヴァンパイアみたいな奴です。 前作に続いてガメラは、またもや怪獣退治のためにどこからともなく登場するまるでフーテンの寅みたいな存在です。大映特撮の特徴としては怪獣が傷を負うシーンがやたらと多いことですが、本作のガメラとギャオスの対決はもう流血デスマッチ状態、怪獣スプラッターと呼ぶに相応しいですね。両者とも血の色が赤くないのでインパクトは多少減じましたが、これがふつうに赤かったらさぞや壮絶な画面となったことでしょう。自分の足を超音波メスでぶった切ってガメラから逃げるところなんて、観ていてもう痛すぎです。そして未だに強烈に記憶が残っているのが走る車を超音波メスで縦切りしちゃうシーンで、なんでこんな画を撮ったのか監督のセンスは理解不能です、でもこれは日本怪獣映画史の中でもトップクラスのびっくり映像であることは間違いないです。 欲ボケ人間のドラマが本編パートのサブストーリーというのは前作バルゴン戦を踏襲していていかにも大映らしいかなと思います。でもお上(道路公団)が善で地元住民が悪という露骨に体制的なプロットは、東宝特撮では到底考えられなくこれまた大映らしいところです。 さて本作からモンスターがなぜか子供の味方という他国の同種映画では考えられないプロットが本格化したわけですが、リアルタイムでガメラを観ていた子供の自分でもガメラ・シリーズは本作が耐性の限度でしたね。これ以降のガメラ・シリーズは子供の眼で観てもバカバカしいものでした。
[映画館(邦画)] 5点(2016-01-16 23:24:06)(良:1票)
53.  大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン 《ネタバレ》 
昭和ガメラ・シリーズの中では文句なしの最高傑作、というか思わず「どうしちゃったの?」と訊きたくなるほど他のガメラとはタッチが違い、それは東宝の『フランケンシュタイン』2作に負けないグル―ビーさです。「ガメラと言えば子ども(というかガキ)」がお約束なのに、本作ではエキストラ・クラスまで観ても子供が全然画面に登場しません。その分関西を舞台にしてるだけあってコッテコテの欲まみれ男ばっかり登場してくるのですが、これはこれで観ててちょっと鬱陶しい感じです。あと気がついたのは、ガメラ映画ではやたらとナレーションが多いんですよ、東宝の怪獣映画は対照的にナレーションはほとんど皆無です。これはきっと本田猪四郎の拘りなんでしょうね。 バルゴンはニューギニアが産地ということですが、戦時中にニューギニア戦線に従軍した兵士がその卵を見つけたというのは、なんか有りそうなお話しの様で掴みはGoodです。たしかにあれはオパールと間違えても不思議じゃないです、まさかトカゲの卵とは誰も気がつかないでしょう。約40年ぶりに観直したのですが、バルゴンの造形は思いのほか良く出来ています。またこの映画ではローアングルからバルゴンを撮ることに拘っていて、怪獣としての重々しさが良く表現されていたと思います。でも「水に浸かると皮膚が溶ける」という弱点は致命的で、色んな奇天烈な武器も持あってますけど昭和の怪獣の中ではいちばん弱いかもしれません。なんせ人工雨を浴びせられるだけで中盤からはほとんど動けなくなってしまいますからねえ。これならもう少し頑張れば、ガメラに頼らなくても自衛隊が史上初めて怪獣を退治する快挙が達成できたかもしれません。 この様に本作はバルゴンと欲深男たちの物語で、実はガメラは脇役なんです。冒頭こそ派手にダムバスターしてくれますけどすぐにどっかに飛んで行ってしまい、中盤になってやっとバルゴンのいる大阪に登場します、しかも唐突に。でもすぐ冷凍液で凍らせられてお休み、ラスト10分を切ったところで再登場。自分の発した光線で自爆し瀕死の重傷を負ったバルゴンを咥えて琵琶湖に引きずり込んで息の根を止める、良く考えるとガメラがスクリーンに登場するのは30分弱しかないんです。 でもなんでガメラはバルゴンが水に弱いって知っていたんでしょうか?これも怪獣映画でお馴染みの便利なフレーズ「動物の本能」ってやつでしょうかね。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2015-12-24 22:21:58)
54.  ダリオ・アルジェントのドラキュラ 《ネタバレ》 
昨今の有名な映画作家の間では3D映画を撮ることがトレンドですが、ダリオ・アルジェントはその題材にオーソドックスなゴシックホラーを選びました、というわけです。 ご存知『吸血鬼ドラキュラ』ですが、ストーリーのアウトラインは原作や過去作とはだいぶ違っています。まず舞台がドラキュラ城の周辺に限定されていて、ロンドンにドラキュラが出現するオリジナルとはだいぶ違いがあります。まあこの辺はバジェットの都合も有ったんでしょうね。トーマス・クレッチマンのドラキュラ伯爵は新しいタイプのドラキュラ像を開拓したいという意図のキャスティングなのかもしれませんが、優雅なのは良いとしても迫力に欠けています。「ドラキュラはいろいろなケダモノに変身できる」という原作の設定は活かして狼やフクロウに変身します、過去作では意外とここはスル―されてきたのでちょっと新鮮かも。昆虫好きのアルジェントらしく蠅などの虫にも変化するのですが、中盤でドラキュラが巨大な○○○○になって襲ってきたのには心底びっくりしてしまいました。いやー、ほんと映像観ていただければ判ると思いますけど、とてつもなくシュールで最初は観てて訳わかりませんでした。 終盤はジョナサン・ハーカーの妻ミラに亡き妻の面影を観てしまったドラキュラの悲恋物語になって来て「ちょっと待てよ」と言いたくなりました。その最期もなぜか狼男みたいに銀の弾丸で撃ち殺されるというのも、なんかアルジェントが勘違いしてるんじゃないかと首を傾げたくなります。正直これじゃコッポラ版の『ドラキュラ』の方がはるかに面白かったと思います、やっぱりアルジェントにはゴシックホラーは似合わないんですよね。 アーシア・アルジェントも久々のアルジェント映画出演でしたが、ムダ脱ぎさせられるは悲惨な殺され方するはで、アルジェントお得意の娘いじめは健在でした(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2015-12-18 20:47:59)
55.  大怪獣ガメラ 《ネタバレ》 
そもそもガメラのアイデアは、大映社長の永田雅一が旅客機の中で観た空を飛ぶ亀の夢なんだそうです。まあそれを映画にしちゃうところがワンマン社長の面目躍如なんですが、いくら怪獣とはいっても生物としてのリアリティを決定的に欠いたキャラが、大映という会社自体が消滅してしまったのになんと21世紀まで生き残るとは驚きですね。松竹のギララや日活のガッパはあえなく一作で消滅ですからねえ。 昭和の各社の怪獣映画の中でも大映のは脚本のいい加減さではやはりピカイチですね。その割には妙に凝ったところもあって、たとえば本作では原爆搭載機を撃墜するのは明らかに米空軍機ですし、船越英二と浜村純は東京大学と北海道大学の教授という風にかなり現実社会にリンクしています。東宝特撮では絶対考えられないことで、あっちでは“ロリシカ国”“東都大学”“毎朝新聞”が定番ですからねえ。でもそれとストーリーにリアリティがあるかは全く別問題でして、東大と北大の学者さんが考えた対ガメラ作戦が「カメはひっくり返ると自力では起き上がれないので、餓死させる」と来るんですから、それも大真面目に。そしてガメラが火を吹いて回転しながら逃げてしまうと、「カメが空を飛ぶとは…」と北大の先生、もうそれは観てるこっちがいうセリフじゃ(笑)。 特撮技術自体は同じ大映でも京都撮影所が製作した『大魔神』には足元にも及びませんが、当時としては頑張っていた方でしょう。ガメラの吐く火炎は口にバーナーを仕込んで本物の火を出したそうで、いやはや何とも凄いアナログ撮影ですがスタッフの熱意というか根性は伝わってきます。そしてガメラ映画にはお約束の子供はこの第一作目から始まってますが、このガキがまたとことんウザいんです。いろんなところに勝手に潜り込んできて危うく助けようとした大人ともどもガメラに殺されそうになり迷惑このうえなしです。でもあれだけガメラ・ガメラと執心だったくせに、大島のロケット基地を観たら途端に「僕も大人になったら立派な科学者になるんだ」と宗旨替えしちゃうんです。もういいから、お前早く死ね!(怒)
[CS・衛星(邦画)] 4点(2015-12-12 22:11:56)
56.  ダラス・バイヤーズクラブ 《ネタバレ》 
マシュー・マコノヒーは「この演技でオスカー獲れなかったら、あと何年やってもオスカー俳優になるのはムリなんじゃないか」と断言できる名演を見せてくれました。この人、個人的には若いころのポール・ニューマンに似てると思っていましたが、危うくマコノヒーもニューマンと同じ万年ノミネート名優になってしまうところでしたね。エイズという難病ジャンルのテーマですが、マコノヒーは決して苦悩や怒りといった根源的な感情をオーバーアクトせず、享楽的なカウボーイという役柄を淡々とした演技で表現するという離れ業を見せてくれました。ジャレッド・レトの方は正直いってそんなに凄い演技とは思わなかったのですが、ホモを上手く演じればオスカーが近くなるというジンクスは健在かなと感じました。でも主役のマコノヒーがあれだけの演技ですから、レトの方も輝いたという相乗効果があったんだと思います。 波乱万丈の実話の映画化にしては、淡々と事実を追っただけの様な撮り方です。この監督の意図は、結果としてはあんまり上手くいかなかったんじゃないかと思います。相棒レイヨンの死も実に淡々として呆気なかったけど、ここは切なさが前面に出ていて良かったかなと感じました。でもマコノヒーがロデオをするところでフェードアウトしてゆく終わり方はジーンと来てよかったです。人生って、ある意味ロデオみたいなものなんですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-11-24 23:39:02)(良:1票)
57.  脱走四万キロ 《ネタバレ》 
バトル・オブ・ブリテンで撃墜されて英軍の捕虜になったフォン・ヴェラ大尉の、まさに“脱走バカ一代記”といったところでしょうか。カナダにまで送られてそこで三度目の脱走に成功しオンタリオ湖を超えて合衆国にまでたどり着き、なんと本国にまで帰還して軍務に復帰したというんだから戦史に残る偉業です。これは当時まだ米国が参戦しておらず中立国だったから可能だったわけで、ドイツの大使館などがその後彼がメキシコやスペインを経由して帰国する手助けをしてくれたおかげでもあります。 映画ではもうフォン・ヴェラ大尉の三度の脱走以外の描写は極力省いていて、おかげで上映時間の四分の三近くが脱走と逃走の描写で占めるというストイックさです。脱走の仕方もいろいろで、トンネルを掘るオーソドックスなところから外出中に警備兵のすきを突いて塀を乗り越えるだけといった人を喰った方法とバラエティに富んでいます。二回目なんてもう少しで戦闘機を盗めるところまでいき、これがほぼ実話と言うんだからまさに“事実は小説よりも奇なり”です。彼がなぜここまで脱走に執着するのかは、そういう演出プランなのかもしれませんが、観る者にはさっぱり伝わってきません。でも演じているのがハーディ・クリューガーだから何となく納得させられちゃいます。こういうバカの次元にまで突き抜けちゃう様な行動をするキャラには、この人はピッタリなんですよね。 帰還後に英軍の尋問官に「俺は賭けに勝った、賞品の煙草をくれ」とだけ書かれた大尉からの葉書が届いてラストですが、これはたぶんフィクションだと思いますけどなんかヴェラ大尉という人物の本質を上手く表現しているのかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-08-20 21:26:27)
58.  大脱出(2013) 《ネタバレ》 
いやはや、還暦を過ぎた二人の元気なお姿を拝見出来るだけでも満足です、と言いきれる人ならこの映画は堪らないんでしょうね。『エクスペンタブルズ』シリーズで顔合わせはしてますけど、タイマンで拳ファイトまで見せてくれるとはちょっと感激ものです。スタローンが頭脳キレまくりというキャラは実に珍しいんだけど、後半になってからの暴れっぷりはシュワちゃんの方に軍配が上がりそうです。でも意識してるのかどうかは判りませんが、シュワちゃんが銃をぶっ放すスタイルは『コマンドー』や『プレデター』のシーンを再現してるみたいで可笑しかったです。シュワちゃんが何者かなんて誰にでも推測がつく様な単純な脚本、でもこの二人を共演させるのに複雑なドラマと言うのはあり得ないことは確かです。でもプロットはなかなか秀逸なんだから、監獄の正体が判ったときのサプライズをもっと盛り上げる脚本の方が良かった気がします。「脱出不可能な洋上の刑務所」というところを強調したパブを展開しちゃってたのは、ちょっとネタばれだったと思いますよ。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-08-10 22:40:19)
59.  タクシードライバー(1976) 《ネタバレ》 
この映画は自分にとっては観たときの精神状態を測定するリトマス試験紙の様なものです。もちろん引き込まれるのは鬱々としているときで、そういう状態ではほんとは観ない方が賢明かもしれません。もういろんなシチュエーションで10回は観てるけど、毎回初めて観たような感覚になるし、感情移入する登場人物も観るたびに違うんです。ちなみに今回は心優しい(?)ポン引きのハーヴェイ・カイテルで、せっかくジョディ・フォスターと仲良くしてたのに可哀想じゃないですか。 トラヴィスという男はけっきょくなんだったんだろうか、これは永久に解けない疑問かもしれません。この映画でのデ・ニーロは前半・中盤・クライマックスと別人のように形相が変わってしまうのがまた凄い。始めはちょっとコミュニケーション障害気味な表情に幼さの残る青年という感じが、目つきがテンパった凄味のある殺し屋風キャラに変貌してしまいます。それは、身なりは良いが不気味さを漂わせたマーティン・スコセッシを客として乗せてからなんです。スコセッシは悪魔だったのでしょうか、そう言えば『エンゼル・ハート』のルシファーの化身であるデ・ニーロは、本作のスコセッシの風貌と瓜二つでしたね。
[ビデオ(字幕)] 8点(2015-07-03 00:37:24)
60.  ダーティハリー4 《ネタバレ》 
シリーズ唯一のイーストウッド監督作ですけど、まだ作風がドン・シーゲル風味だったころですので出来としてはB級色の強い刑事アクションという感じです。前作以上に「泣けるぜ」とぼやく回数が多かったようで、ハリー・キャラハンもちょっとくたびれてきたかな、という印象ですね。「ゲームのルールは変わったんだぞ」という上司のお説教のおかげでしょうか、本作ではとうとうオート・マグナムを使う様になってしまいました。ラストのオート・マグナムを構えてシルエットになって悪漢の前に現れるところなぞ、「待ってました!」と掛け声をかけたくなるカッコよさですね。でも殺しのシーンではソンドラ・ロックの“股間撃ち抜き殺法”の方がはるかにエグくて、どっちかと言えば主役は彼女じゃないでしょうか。 シリーズとしての疲弊感はキャスティング面において濃厚で、『ガントレット』組のソンドラ・ロックやパット・ヒングルは我慢するにしても、ハリーの相棒が『3』にも出てたアルバート・ポップウェルというのはさすがにどうかと思います。だってこの人、前作では悪役だったんですから、いくら7年のブランクがあったとしてもちょっとあり得ない配役ですよ。良く観るとこの俳優は第一作から全部に悪役として出演していて、とうとうハリーの相棒にまで登りつめたって訳です(笑)。イーストウッドのお気に入り黒人俳優だったみたいで、彼の後継者がモーガン・フリーマンということになるんでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-06-30 00:52:09)(良:1票)
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