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鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3870
性別 男性
年齢 53歳

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41.  テルマエ・ロマエⅡ
一作目の突き抜けたオモシロさってのは、ダメで元々、あらゆるコトをやってやろう、と言わんばかりの姿勢にあって、ほとんど野心的とも言えるような作品だったと思うんですけれども、やっぱり期待の集まる2作目となると、ある程度、無難なところに落ち着いてしまうのかな、と。 バカバカしい可笑しさに関しては、これはもう前作に負けず劣らずで、この点ではしっかり期待に応えてくれてて、大いに楽しませてくれますけれども。 というより、この、風呂ネタならまだまだあるぞとばかり、ギャグにかける意気込み。そして映画のためギャグのため、ひたすら「オモチャ」になってみせる阿部寛。それを見られるだけでも十分に、幸せな気分にさせてくれるではないですか。
[DVD(邦画)] 7点(2017-03-28 22:05:04)(良:1票)
42.  10 クローバーフィールド・レーン
ごめん、もうちょっと面白い映画を想像してた。勝手な期待を抱いていた私が悪うございました。 ものすごく美人と言ってよいのかそれ程でもないのかよくわからない女性主人公が出ずっぱりで、緊迫感があると言ってよいのかそれ程でもないのかよくわからない密室劇が続き、意外な展開と言ってよいのかどうかよくわからないクライマックスを迎える、という、要するに、よくわかったと言ってよいのかよくわからないと言ってよいのかが、そもそもよくわからないビミョーな珍作でした。珍作と呼んでよいのかそれほどでもないのか(しつこいってば)。 謎めいた開始の割に、状況を(つまり何が謎なのかを)スッキリと整理して見せてしまったのが肩透かしで、結局はジョン・グッドマンの怪演に頼らざるを得ない。色々と伏線を張って見せるけれど、いかにも伏線のための伏線という作為を感じさせる近視野的なものが多く、ふーんなるほどとは思うけれど感覚的にドキリとさせるものが足りない。 まあそれでも、この限られた舞台の中で、緩急をつけながらジワジワと盛り上げていき、それなりに楽しませてくれます。ところで、この映画のシチュエーションを見ていると、ふと、なーんにも関係ない作品ながらフランソワ・オゾンの『焼け石に水』を連想してしまい、つい苦笑してしまいました。そう思えば、アチラがどれだけトンデモ映画だったことか、本作がいかに穏当な作品であることか。クライマックスで突然の大脱線をして見せたところで、ちょっと遅いんだなあ。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2016-12-04 08:46:13)
43.  テルマエ・ロマエ
もう、バカバカしくって楽しくって。風呂ネタ(一部トイレネタ)でここまで楽しませてくれるなんて、いやはや、想像を絶する世界ですよこれは。 古代ローマの設計技師ルシウスが、なぜか現代の日本にタイムスリップしてきて、騒動を巻き起こす前半。すべて一人合点で勘違いしまくってるのだけど、日本の爺さんたちも負けじと勘違いしまくってる楽しさ。究極のすれ違いの果てに、「おフロ最高!」というキーワードを接点にした奇妙な意気投合が垣間見える、アホらしさ。 ときどき現れる謎のオペラ歌手(歌ってるのはアイーダの第3幕終盤ですかね)。ははは、もうこれ以上、笑わせないでください。 そんでもって、中盤からは、上戸彩が「ラテン語を勉強してきた」とか言っていきなりペラペラと阿部寛演じるルシウスと話しだす。そんなアホな、と思うけど、しかし実際、ここで物語がギアチェンジしたような印象があり、グッと我々を引き込んでくれます。 で、ドラマチックな盛り上がりを見せたのち、最後は、前半で互いに勘違いしまくりだったルシウスと日本の爺さんたちとの、お風呂好きパワーが見事に融合するという大団円。 一体、何ちゅう作品なんでしょね。
[DVD(邦画)] 9点(2016-10-25 13:02:54)(良:1票)
44.  ディパーテッド
インファナル・アフェアをアメリカに持っていったら、アンディ・ラウの役は、マット・デイモンの優等生顔になっちゃうのね。え、これが優等生顔なの?と改めて言われると困っちゃうけど、どうもこのヒトはそういうイメージがある。アンディ・ラウとマット・デイモン、サルっぽい感じだけが共通か(失礼)。 トニー・レオンのビンボー臭い顔(またまた失礼)の代わりに、こちらはディカプリオ。レオ様なんて呼ばれてたけど実はオレ、結構目つきが悪いんだぜ、とばかりに、凄みのあるところを見せて、これはなかなかのハマリ役ではないかと。実際、この二人のうち、ディカプリオの方に映画の力点が置かれているように感じられます。 ジャック・ニコルソンは、万年シャイニング。万年ジョーカー。もう、どうぞ、お好きにしてください。ただ、本心を掴みかねるキャラクター、という意味では、一応、役柄を全うしてはおりますが。 マーチン・シーンとマーク・ウォルバーグのコンビが、なかなかナイスでした。有能なのか無能なのか、お互いに性格が合うのか正反対なのか、どう受け止めていいのかわからないけど、何せ物語のカナメになる存在だから、ディカプリオも我々もこの迷コンビを受け入れざるを得ない、という、絶妙の役どころ。 もともと、オモロくて盛り上がる映画をリメイクしている、というアドバンテージもあるでしょうけど、概して、なかなかうまく作られたリメイク作ではないかと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-10-25 12:27:43)
45.  天国から来たチャンピオン
まさに運命のいたずら、間違って寿命前に天国へ運ばれそうになったアメフト選手の魂が、元の体に戻り損ね、その代わり折よく(?)殺された大富豪の体に入り込んで一騒動。天使のお偉いさんであるジェームズ・メイソンが、何やら言いたそうな顔をしながらボケっと突っ立ってて、役に立たないことこの上ない。おたくの管理が悪いもんだから、人間の運命をトコトンまで狂わせてしまってどうするのよ、と言いたくもなります。で、その彼が、ようやくラスト近くの試合の場面でマトモなセリフをのたまうのですが、いやいやマトモどころか。この狂いまくってしまった運命を含めた一切合財を「それが、運命、だったんです!!」と言い切ってしまうムチャクチャさ。いや~、ホント、実に強引で、実にシャレてます。おいおい今までの展開は何だったんだよ、ってそりゃすべて、ちょっと切ないようでちょっとハッピーな感じのこのシャレたラストを導くための、運命、だったのですな。 とまあ、物語はよくできてると思うのですが、すみません、この映画、昔からあまり好きになれない。さて何でだろう。ジェームズ・メイソンがこれ見よがしに突っ立ってる、その芸の無さか(いや突っ立ってる事自体が重要なのかも知れないけれど、でも観ててさほど面白くない)。それとも、物語の中心が大富豪の邸宅の中に限られる変化の無さか。 それとも、主演のウォーレン・ビーティ、いやベイティと言うんですかね、彼の、やたら涼しい顔した臆面の無い演技のせいか。赤の他人の体を突然乗っ取ったことでその他人を演じる苦労、みたいなものも無いし、それでも発生してしまう行き違いからの混乱もない。周囲の人々は確かに面食らってはいるらしいけれど、そもそも彼らには、主人公の姿が生前の大富豪の姿に見えているらしいのだけど、具体的にどう見えているのか、よくわからない。いや多分それ自体が悪い訳じゃなくて、それをどう可笑しさにつなげられるか、なんだろうけど、どうもこのベイティの余裕綽々の涼しい顔を観てると、もうちょっとガンバレよ、と言いたくなっちゃう(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-03-24 23:29:32)
46.  テレマークの要塞 《ネタバレ》 
ナチスの原爆製造を阻止するために、工場破壊作戦に乗り出すレジスタンスの活躍。セリフもBGMも無く、張り詰めた空気の中で着々と進められる破壊工作、そして雪山を舞台にしたスキーの追跡劇、見どころは多々あるのですが・・・どうもしっくりこないのが、(せっかく破壊した工場がすぐに復旧してしまったため)民間人の大きな犠牲を払って空襲による破壊を試みたり、これまた民間人の犠牲が避けられない船の爆破作戦を決行したりして、これらの犠牲に対する苦悩についても言及されるのに、いざ実際の映画描写となると、なーんにも描かれていない、完全にボカされちゃってる、って事ですね。このあたりが、娯楽作の限界でしょうか。沈没させようという船から、せめて子供たちや知人の女性だけでも助けよう、というのは他の人々を見捨てるということでもあり、まさに苦悩の極致たるべきところ、しかしこれがまあ実にアッサリと、まるで全員助かったかのごとく描く。別に悲惨な光景を見せろとは言わないけれど、ちょっとお気楽過ぎるかな、と。見どころが多い割に、何だかユルいんですね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-11-24 22:43:23)
47.  ディファイアンス 《ネタバレ》 
第2次大戦下、ナチス及びその協力者からの迫害を逃れ、生き延びるために森の中にユダヤ人コミュニティを作り上げた三兄弟のお話。まず緑の森が印象的に描かれた後、冬の訪れにより森が雪景色となり、生活も厳しいものになっていくと、はたして彼らは無事に春を迎え、あの緑を再び目にすることができるのか、という気持ちになってきます。もっとも、春が訪れたところで無事に暮らせる訳ではないのだけど……。本作で特に描かれるのは、三兄弟の長男で、リーダーである主人公の、矛盾と苦悩。武闘派の次男に対し、穏健派の長男(それとて一度は復讐に手を染め、その虚しさを知ればこそ、なのであるけれど)、しかし意見の対立から殴り合いの喧嘩になったとき、石を手にし相手を撲殺しかねなかったのは、長男の方であった時の衝撃。ユダヤ人たちが集まり組織が大きくなるにつれ、統制も取れなくなっていく。捕えられた無抵抗のドイツ兵をユダヤ人たちがリンチする場面、我々は主人公がこれを止めることを我々は期待するのだけど、彼はその光景を虚しく眺め、無力に立ち去っていく、その時の絶望感たるや、物凄いものがあります。もはやそれほどまでに、明日が無い身である、ということ。神をいくら信じても、現実には奇跡は起きない、ということ。その絶望感を、最終的には兄弟愛が救う、というのが、出来すぎたヒューマニズムかも知れないけれど、本作が提示する「救い」として、やはりそれは美しいと思うのです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-01-11 09:01:05)
48.  天井桟敷の人々
第一幕、第二幕の二部構成。第一幕は登場人物が一通り出そろったところで終わり、という感じ。幕間の6年間に登場人物たちはそれぞれの道を歩み、第二幕で再び皮肉な再会を果たす。ドラマについては全体的に、ややセリフ過多な印象もありますが(ただし説明セリフに堕することはない)、劇中劇として繰り広げられるパントマイム劇が、それと好対照をなしていて、無言の舞台に引き込まれます。と同時に、セリフ劇にこだわるフレデリックと、パントマイマーのバチストとの対比もそこにはあります。飛び入りのように獅子の着グルミで舞台に立ったフレデリック、おそらくは肉体で客を沸かせる才能の持ち主でもあろうけれど、本人はセリフにこだわり、陳腐な詩を口ずさみ、後に別の劇団でシェイクスピア俳優として成功するけれど、その舞台はなんだかさらに陳腐。その一方、肉体で演じることに関しては雄弁だけど(パントマイムによる目撃証言!)それ以外はひたすら不器用なバチストの存在は、さらに純化されていき、それは周りにも影響を与えていく。映画冒頭の雑踏シーンが圧巻ですが、その雑踏から生まれ出てきたような登場人物たちが、映画を通じてその存在感を明らかにし、互いに複雑な関係で結ばれ、そしてラストでは、その雑踏によって引き裂かれていく。いやはやすごいラストシーンです。……映画中盤、ドラマを断ち切ってしまうような「省略」があり、もう少し描いて欲しかった部分もあるのですが……。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-09-27 09:32:32)(良:1票)
49.  天国の門 《ネタバレ》 
3時間半を超えるディレクターズカット版、初めて観ました。今までこの作品については、クライマックスの戦闘シーンがグチャグチャな印象で、これはきっとカットされまくった短縮版を観ているからなんだろう、くらいに思ってたのですが……そういう問題じゃなかったようです、今回もしっかりカオス状態でした。だからこその途轍もない迫力、でもあるのですが。映画の元になっているのは、西部開拓時代の“ジョンソン郡戦争”事件、史実に忠実な部分と(相当な)創作の部分があるようですが、それはともかく、この歴史のうねりの中で、二人の男(ジム、ネイト)と一人の女(エラ)の関係がじっくりと描かれます。脇を固めるジェフ・ブリッジスやジョン・ハートも忘れ難いけれど、さらにその脇を固めるのが無数のエキストラ。冒頭の卒業式シーンから、とにかく画面内にたくさんの人々を配置し、このあたりにも「製作費使い過ぎました」感が溢れているのですが(笑)、大規模なセットと無数の人々が、時代の空気を醸し出していて、主人公たちの個人的なドラマを取り囲む時代の空気が、郷愁をもって描かれています。懐かしく、かつ取り戻すことのできない時代の流れ。移民たちを狙う傭兵の群れの登場により、不穏な空気が兆してくる。クリス・クリストファーソン演じる保安官ジムの方が、移民たちの立場に近い、いわばヒーロー役であるハズのところ、彼の腰は意外に重く、視線はイザベル・ユペール演じるエラへと傾きがち。むしろ微妙な立場にいたクリストファー・ウォーケン演じるネイトの方が、決然と矢面に立ち、壮絶な最期を遂げる。戦いの場に赴くジム、そして唐突でカオス状態の凄まじい戦闘シーンへ。最後、騎兵隊が現れて戦いを止めた時には最早、死体の山が築かれており、今頃来ても遅いんだよ、やっぱり見て見ぬふりってのが一番イケナイよね、という展開ではあるのですが、そもそも主人公自身もまた、戦いの場に「遅れて」やってきた身である、という皮肉。そして悲劇の連鎖もまた簡単には止めることができない、もう昔には戻れない、とうことの残酷さ。この長尺版、確かにものすごーく長いですが、それにも充分見合うだけの重みと衝撃力のある、クライマックスと結末です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-06-23 13:58:25)
50.  天国の約束
まさかと思うような「予想通り、そのまんま」のラストですけれども(笑)、にも関わらず、呆れることなく、まさかと思うほどサワヤカな気分になれちゃう映画でした。ある少年の1日の物語、いろいろな事件の発生する一日とは言え、わざわざ大人になってからの回想という形式をとるような内容でも無い気がするのですが、つまり回想のナレーションが時に鬱陶しく思われたりしなくもないのですが、とは言えこういうのも「懐かしさ」を醸し出すための、ある種お約束的なものではあります。あと、少年に感化を与える祖父の役にはメジャーな俳優をあてて、これがアル・パチーノ。と、このように言ってくると、まるで何から何までいかにも定番といった映画のように聞こえてしまうのですが、実際には必ずしも、そうでも無いのがこの映画。“定番”と呼ぶには、ずいぶんモヤモヤした内容で、そこが良かったりする。少年の目から見た大人の世界は、ホントによくわからない。大恐慌下で大人は大変らしいけれど、少年には少年の日常がある。大人はわからない、ましてや浮世離れしまくった爺さんの言うことはもっとわからない。少年の大人を見つめる目が映画には再三登場する…。いや、大人にも大人の世界はよくわかんないんだけど(笑)、そんなこと少年にはもっとわからない。わからないなりに少年はラストで背伸びをして、いざ背伸びをして見せると、大人はそれに視線で応え、なんとなく共犯関係が成立する。それが、「大人になる」っていうことなんだなあ。と、まあ、正直、「大人になる」とは実に訳のワカランことなんですが、そういう訳のワカラナさをそのまんま映画にしている。そこに好感が持てます。そして、アル・パチーノの役は、別にアル・パチーノである必然性はまったく無くって(長々しい演説をぶつ訳でもないし)、またそこに好感が持てたり。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-07-22 03:32:40)
51.  デスカッパ
“今夜あなたとブル~~スカ~イ♪”でしたっけ。ちょっと違うか。いや悪くないんじゃないですか、この作品。初代ウルトラマンのアキコ隊員、ウルトラマンAの南夕子から、ウルトラマンメビウスのコノミ隊員まで、歴代女優陣を適宜つまみ食いしたようなキャスティングですが、彼女たちを物語に無理なくちりばめて、好感が持てます。あの『大決戦!超ウルトラ8兄弟』とは大違いです(アレは阿鼻叫喚の地獄図のような同窓会絵巻だった……)。いや、「無理なく」って、無理はあるんですよ、勿論! 内容的には、実にふざけた内容です(キッパリ)。ふざけてるけど、レトロな味わい。レトロだけど、やっぱりふざけてる。ふざけてるけど、どうか許してやって下さい。女優さんのコスプレに免じて許してやって下さい(ただしちょっとマニア向けかも)。アホらしいけれど、そこはかとなく漂う懐かしさと哀愁が心地よい。怪獣同士の気合いの入った戦いが素晴らしい。あんな完璧なドラゴンスクリューは久しぶりに見ましたぜ。と言う訳で、意外に楽しめちゃって、“ラッキ~ ハッピ~♪”
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-01-04 23:18:17)(笑:2票)
52.  デストラップ/死の罠 《ネタバレ》 
一般に、「“ドンデン返し”があります」と言うだけで一種のネタバレになりかねないので、一応「ネタバレ有」にしておきますが、本作はその方面での代表作みたいなもんなんで、今更、という気もしますが。まあ、一見すると、“ドンデン返し”のみに頼った凡作、という感じですけどね、しかしその凡作っぽい装いが、実は油断ならないのです。三流スリラー作家を演じる主人公のいかにもボンクラな表情。騒がしいばかりのボンクラな妻。そこにやってくるのはスーパーマンで皆さんお馴染みの大根役者。そこに展開されるのは、三流作家が企む二流の陰謀劇、入れ子構造になったこのボンクラぶり。「何やねんこの作品は」とか思いつつ観ているうちに、観ている私もボンクラであることを思い出し、作品との間に妙な共犯意識が生まれてくる。なんと、この私まで含めたボンクラの階層構造だったとは。そのピラミッドの頂点でルメットが笑ってます。この作品、もっとスマートに作ることも出来たとは思いますが、それをやってしまうと多分、最後に白けてしまう訳で、これぞ“ボンクラ”活用法の良い例でしょう。“ドンデン返し”というもののあるべき姿を、見事に示しています。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-12-30 11:29:22)(良:1票)
53.  天地創造
その昔、テレビ番組「題名のない音楽会」でやってたネタ。司会である在りし日のマユズミ御大が語るところによると、音大だか芸大だかの試験で出題された「オラトリオ“天地創造”の作曲者は?」という問題に対し、思いのほか正解者が少なかった(ヨーゼフ・ハイドンです)とのことで、御大も呆れておられたのですが、「ところが」1名だけ、感心にも「黛敏郎」と回答した学生がいましたとさ、というのがオチでした。ホンマかいな、と未だに半信半疑なのですが、私も古い話を引きずり過ぎですね(笑)。さてこの映画。旧約聖書を題材にしたスペクタクル作品としてお馴染みですが、やっぱりスペクタクルにしちゃあ、やけに理屈っぽい作品ですよねえ。こんなに金と手間暇かけて、何もこんなに説明的な作品を作らんでもなあ、と思っちゃう。ノアの方舟のエピソードあたりは、様々な描写が織り込まれてなかなか楽しいですが(ウチの子供たちも喜んで観てましたし)、全体的には「旧約聖書の内容を一所懸命に“説明”している作品」との印象が強いです。良く言えば「マジメ」ですが、遊びが乏しくて、これはもう、企画の段階ですでに大きな不自由を抱えてしまっていますね。しかし、本作の音楽に大抜擢された黛御大は、入魂の本当に素晴らしい仕事をされたと思います。映画音楽としてはもしかするとやや雄弁に過ぎるかも知れないけれど、本作に関して言えば、この音楽が映画の弱いところをしっかりと補ってくれているように感じます。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-12-16 07:55:03)(良:3票)
54.  デスペラード
実際には物語も無ければ背景も無く、伏線も無い、要するになーんにも無い。そこにあるのはアクション。すべてが刹那的。背景のありそうなモットモらしい、だけど実際には何も説明していないセリフの数々、妙にアッサリ死んじゃって何しに出てきたのか、しかし存在感だけはしっかりと残す、ブシェミ、トレホ、そしてタランティーノ。クライマックスでは主人公が突如3人に増殖し(!)、訳ワカランけどひたすら楽しい(ってか、初めて観た時はまだ『エル・マリアッチ』を観てなかったので「コレ誰やねん」状態だったけど、観た後で本作を観直すと、この世界観に妙に納得してしまう自分がいる)。アクション映画ってのは、アクションシーンがあるからアクション映画なんじゃなくって、この作品のように、映画自体がアクロバティックに(時にクラッシュしながら)突き進んでいくからこその、“アクション”映画。別の呼び方では「バカ映画」とも言いますかね。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2012-09-09 11:19:28)
55.  天使にラブ・ソングを・・・
どうせ「芸達者ウーピーの芸に、オンブに抱っこ」みたいな作品じゃないの~と思ってたら、さにあらず。まず演出において「どう見せれば面白いか」と工夫を凝らしていて、その中でウーピーが暴れまわる。追跡シーンなどの楽しさ。いやホント、愉しい作品です。ところで、クリスマス前に百貨店とか行くと、催し物スペースで「ゴスペル無料コンサート」とかやってて、オバチャン達の同好会がノリノリで歌ってるけれどあまりお客さん集まって無くて。うわークリスマスだというのに罪だよなー、とか思いつつ、歌ってるオバチャン達の視線を感じつつ、私も立ち去っちゃうんですけど。この映画みたいにコーラスだけで「お客さん(?)」を教会に集められたら、苦労ないよね。と、あのオバチャン達は思ってるに違いない。
[CS・衛星(吹替)] 8点(2012-04-08 08:56:25)(良:2票)
56.  デルス・ウザーラ
たき火を囲む人々、物音がして、デルス・ウザーラが現れる冒頭のシーン、ここを見たら「うわー(異国テイスト全開でもやっぱし)クロサワだぁ」とか思っちゃうんだけど、この作品、“上手く”撮られている映画、というタイプの作品ではなく(美しくは撮られているけれども)、自然の荒々しさをそのまま伝えるような、荒削りの感覚。ひたすらロングショット、時には人物がほとんどシルエットに近い状態にもなり、誰が誰やら、はっきり言って終盤のハバロフスクの隊長宅の場面になってようやく「ああ隊長ってこんな顔だったのか」とか思っちゃうんだけど(笑)、デルスの顔だけは、鮮明に脳裏に焼きつき、忘れられない。あまりにもいい味のオヤジ。厳しい自然を生き抜く自然児、ということで超人的な才能を発揮したりもするんだけど、その自然児ぶりたるや、あの『まあだだよ』の百閒先生に繋がるものが。しかしこちらの作品は厳しい。ひたすら厳しい。物語の中の登場人物のみならず、俳優、スタッフみな命がけ。第一部のクライマックス、夕闇が迫る中で草を刈り続けるシーン、息遣いをそのまま取り入れたもの凄い緊迫感。沈みゆく太陽の恐ろしいほどの効果、いや実際は何カットにも分け、何日もかけて撮影されたのかも知れないけれど、そんなこと考えも及ばない、寒さと恐怖を共感し、無事に朝を迎えられた時にはひたすらホッとする。これほどまでに自然は厳しいのに、しかも我々は映画冒頭でデルスに死を知らされているのに、彼は都会に住めないと言い、山へ帰っていく。その後の展開の、省略された描写が実に鮮烈。厳しい映画です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-12-28 22:57:57)
57.  デビルズ・ゾーン
ワー懐かしい。何の気なしにDVD借りて観てみたら、子供の頃にテレビで見たヤツやんか(まさかこんな80年代感覚あふれるナウいタイトルだったとは・・・)。懐かしさのあまり、ついつい甘い点数にしがちなところを、ここはグッとこらえて厳しい点数をつけるようなこらえ性も無く、しかし幸いにも、改めて観て非常にオモシロイ作品である事が確認できたので、堂々と甘い点をつけちゃう。そう、これは“蝋人形の館”ならぬ、“マネキン人形の館”。これってオリジナリティあるのかね。さあ。でも『アイ・アム・レジェンド』には影響を与えているんじゃなかろうか(1%くらい。いや1ppmくらい)。このマネキン人形の不気味さ。それ以上に、映画全体を貫く、ワケの判らなさ。いや意味不明という事ではなくて、一体、このマネキン・ネタだけでどこまで連れて行かれるのやら、という意味でのワケ判らなさ、不安感。まず最初の犠牲者。襲われた男の恐怖に苛まれるカットと、変なマネキン人形のカットとの反復により恐怖をあおり立て(ているらしい。のでここは怖がって観て下さい)、ついに男が絶命したところで、カメラがゆっくりと室内を見まわす。ひとつの部屋の中に居る襲う者と襲われる者が切れ切れのショットで捉えられていたものが、この瞬間、連続したショットで繋ぎ合わされようとする、そのゾッとする感覚、いやスバラシイです。その後も映画は独特の一人合点な迷走を続け、アホらしいと呆れるもよし、いっちょお付き合いして怖がってみるもよし。生きたまま女性がマネキン化されていくシーンの怖さとアホラシさ、マネキンたちが妙に派手な照明に彩られている悪趣味な感じとアホラシさ、これらは子供の頃に観て以来、非常に印象に残っております。ワケがわからないって、最強ですね、ホント。この作品、おススメ!!
[DVD(字幕)] 9点(2011-10-13 22:41:29)(良:1票)
58.  天国の日々 《ネタバレ》 
柔らかい光に包まれた大自然の中で、農場で働く人々もまた、しばしば“単なる人影”として描かれ、大自然と一体化しているように見えますが、その人影の中から主人公たちの表情が浮き上がってきて、切ない物語が綴られていきます。寄る辺なき労働者のビルと、妹であり映画の語り手であるリンダ、そして兄の恋人アビーの3人の一行。ある農場の期間労働者としてこき使われているうち、アビーは農場主に見染められます。農場主は余命いくばくもないため、ビルはアビーに農場主との結婚を勧め・・・と言う訳で、ようやくビルは平穏な生活を手に入れるのですが、その裏には、恋人を他の男と結婚させてしまうという大きな代償と、農場主からの疑惑の視線による緊張感を伴った、表面的な平穏さに過ぎません。この物語が静かに描かれていく中に、自然の風物の映像が何度となく挿入されるのですが、その挿入映像の中のひとつかと思われた“イナゴ”が、大群となって物語の表舞台に躍り出て、その欺瞞に裏打ちされた平穏さを突如打ち破ってしまう瞬間の怖さ。大炎上する麦畑の光景、その映像もコワイ、流れる音楽もコワイ。後はひたすら追いつめられ転落していくしかないのですが、その果敢ない行く末の虚しさよりも、映画ラストで、生き残った者たちがそれぞれまた新しい生活へと向かっていくこと、死者が忘れられていくことの方に、幾層倍の虚しさを感じます。怖い映画でした。映像の美しさ故に、残酷な映画でした。うーん、でも何で使われている曲が『水族館』なんだろう(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-02-03 00:15:19)(良:1票)
59.  天平の甍 《ネタバレ》 
今年(2010年)奈良で行われております平城遷都1300年祭も、メイン会場である平城宮跡会場イベントは先日無事、成功裏に終了し、奈良在住の私としましては、多くの皆さまに奈良にお越しいただいて、誠にありがたい気持ちで一杯でございます(開催前は正直、大コケするんじゃないかとかなり心配してましたが・・・終了後)。BS2さんまで、本作を放送していただき遷都祭をバックアップ、ありがとうございました。さて本作。井上靖の代表作の映画化ですが、原作が切り詰めた文体によって、歴史という波間に翻弄される名もなき僧たちの運命の、その果敢なさが痛いほど伝わってくる作品です。と同時に、異国においてもがく日本人の姿は、現代の我々にも強く迫ってくるものがあります。で、この映画化ですが、淡々とした城達也“機長”のナレーションによって進められるあたりは原作の持ち味ですが、全体的な印象はむしろ“ダイナミック”。中国の自然の雄大さをたっぷりと描き、人間の小ささを描き、その小さい存在である人間の喜怒哀楽をストレートに描いています。“映える”映像を作り出すための様々なアレンジ(●恋愛色の絡み ●原作では戒融との再会や後日談が触れられるのに対し、映画では戒融は大自然に消えてゆく ●栄叡は寺の裏ではなく、荒涼たる最果ての山岳地帯に埋葬される ●玄朗との劇的で感傷的な別れ 等々)。そういう濃いドラマの中で、田村高廣演じる鑒真和上の静かで凛とした表情が対照的(ちょっと神懸かり的な面もあり。漂流中に栄叡が予言する降雨も、鑒真の予言へとアレンジ)。原作の小説は、映画として見事に再構成されています(武満徹の音楽も忘れ難し)。あと、実際に奈良の寺でロケしているのもうれしいところ(冒頭に登場したのは、平安神宮のようでしたが。笑)。 ※娘が私の横で意外に映画に見入っておりました。しかもラスト近くの西大寺ロケに、私より先に気付いた。エライ!!
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-11-23 17:31:40)
60.  デイ・オブ・ザ・デッド
子供の頃にはロメロの『ゾンビ』なんかもフツーにゴールデンタイムに放送されたりして、翌日には子供たちの話題になったり、それこそ“ゾンビごっこ”に興じてみたりする訳ですが、中に物知り顔のヤツが「ゾンビって、火に弱いねんで」とか言いだして、私なんぞは「なろほど、それはいかにもありそうな事だ」と、深く深く納得し、気がつけば大人になった今にいたるまでそれを何となく信じておりましたが・・・本作で、それをしっかりと確認することができました。ありがとう、スティーブ・マイナー監督(何のお礼なんだか)。それにしてもスティーブ・マイナーか、懐かしい響きですなあ(笑)。さて本作、これもまあ、最近はやりの“走るゾンビ”もの、の一本ですが、走るだけじゃなくて、ウナリ声で威嚇したりして、もはやこれは、ナマハゲか何かに近い存在ではないか、と。とりあえずサワヤカに楽しめるゾンビ映画。
[DVD(字幕)] 7点(2010-09-23 03:37:20)
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