1. 抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より
《ネタバレ》 「死刑囚は逃げた あるいは風は自ら望むところに吹く」原題を忠実に映像化しています。望みを叶える為に出来る事を独りコツコツとやり抜く。些細な気の緩み失敗が即処刑に繋がるので細部にまで気を配る丹念な作業の緊張感が物凄い。これ程の準備をしても一人では成功できなかった事実に風が吹いたのを見ました。脱獄ものの最高作。 [DVD(字幕)] 10点(2017-02-19 23:55:49) |
2. 天国に行けないパパ
《ネタバレ》 定年間近の安全第一・安定志向のバート・シンプソン刑事が余命2週間の宣告を受けて殉職を目指す。「死にたいのに死ねない」コメディとしての大小取り混ぜた笑いどころ満載の中に、ほっこりさせられる後輩アーニーとの絆や、涙が滲んだ別れた妻子との絆や、目を見張った「ブリット」「フレンチコネクション」を凌ぐ壮絶なカーチェイスが盛り込まれた傑作。 [DVD(字幕)] 10点(2017-01-29 15:41:43)(良:1票) |
3. テス
《ネタバレ》 観たいと思ってから40年。 この世にこんな美しい人居てるのか!ランキング第5位ナスターシャ・キンスキーは絶頂の美しさであり、ロマン・ポランスキーのS性が浮かび上がる数々の演出を受けて立つティーンエイジャーとは思えない堂々とした演技にも喝采。ポランスキー印の重厚幽玄な映像美にもウットリ。エンジェルのステレオタイプなちっちゃい男ぶりは当時の宗教観を映し出しているような。彼の苦悩が示されていないのでノコノコ帰ってきて何を今更と白けた点が残念。テスの起承転結に於いて泥にまみれて遮二無二働いている時が一番幸せに見えたのが何とも切なくラストショットにやるせなさが募ります。 貧乏暇無しで4回に分けての鑑賞となりましたが、続きを観るのが待ち遠しかった、シャロン・テートもあの世で満足しているであろう傑作。 [インターネット(字幕)] 9点(2022-11-25 15:42:46)(良:1票) |
4. 天国から来たチャンピオン
苦手なウォーレン・ベイティ故にスルーしてきた本作。ジェームズ・メイソン目当てに鑑賞。役柄としてのみならず、俳優としてもキャストの演技を見守っている感のあるジェームズ・メイソンの極々静かな佇まいの中にある圧倒的な存在感に只々見惚れるばかり。自然と皆も入魂の演技を見せるのか、爽快で(ウォーレン・ベイティ)、クスッとさせられ(ダイアン・キャノン&チャールズ・グローディン)、ほろ苦く(ジャック・ウォーデン)て切なく(ジュリー・クリスティ)もあるお伽噺が胸に沁み入る珠玉の逸品。 [DVD(字幕)] 9点(2018-06-10 00:07:03) |
5. デリシュ!
舞台は革命直前のフランス。世界初のレストラン誕生(実話??)までの物語。 食事とは貴族にとって己の権勢を誇示するものであり庶民にとっては腹の足し。豚の餌であるトリュフとジャガイモに「我々をドイツ人だと思っているのか」激怒する司祭。食べ物の恨みも革命要因の一つかと思い浮かぶところが興味深い。 また、作品の味付けとしてのロマンス模様が慎ましやかで好感。更に中世絵画のような映像美が素晴らしい。上質な作品です。 [DVD(字幕)] 8点(2023-07-31 08:30:31) |
6. ファイヤーボール(1978)
《ネタバレ》 amazon prime Star Channel EX -DRAMA & CLASSICS 対象作品のレースものということで鑑賞。イケイケな歌と共に流れるタイトルロールで脚本クローネンバーグに「ヘッ?」そして監督もクローネンバーグに「あらまぁ、ハズレかなぁ」 レースはレースでも400㍍を6秒そこそこで走るドラッグレース。 いやぁ、これが全編血湧き肉躍る(死語?)物語で一気見。 勝ち負けよりもカーオイルが売れればOK、勝つためにコストを上げるのはダメ、どこかで聞いたような理屈のスポンサーを演じるのがお懐かしのジョン・サクソン。ステレオタイプの悪徳ぶりが見応えあり。 正真正銘の炎上シーンも盛り沢山。結末も爽快。 湿地帯の隠花植物の様なイメージとは真逆の掘出物の作品でした。 鑑賞後に知った監督は無類のカーマニアというのになるほど納得。 [インターネット(字幕)] 8点(2023-05-22 02:08:20) |
7. 天国の笑い声
DVDタイトルは「オードリー・ヘプバーンの 素晴らしき遺産」ですが、彼女の出番は2回で計1分程。画面に映えるキュートな姿が目を惹きましたが、彼女お目当てで鑑賞された方はがっくりかもしれません。 しかしながら本作は掘り出し物でした。 イタズラ好きな富豪の遺産を相続する4人はそれぞれに与えられたムチャクチャな課題をクリアしなくてはならず、四苦八苦模様に大笑いさせられ、お金は必要だけど重要ではない事に気づく姿にしみじみとさせられ、何となく予感があったオチにスッキリ爽快。 全員の達者な演技に魅入ったウェルメイドなコメディであり、多くの方に観ていただきたい作品です。 [DVD(字幕)] 8点(2022-03-30 02:13:58) |
8. 手錠のまゝの脱獄
《ネタバレ》 脱獄ではなくて逃走話。いがみ合いながら絆が深まってゆくというのは予定調和で淡々と眺めていたところでの子供の登場に仰天。その子の母親によろめきドラマに話が向かうのかと思いきや。当時の世相を浮き彫りにさせる彼女の言動は本作MIPで見事な脚本に唸ります。ヒトとヒトとの繋がりを世に問うた名作です。 [DVD(字幕)] 8点(2022-03-06 22:54:29) |
9. デッドゾーン
《ネタバレ》 オープニングのシベリウス交響曲第2番2楽章モチーフそのままの旋律に早くも惹き込まれます。 「夜は千の眼を持つ」が浮かぶ特殊能力を授かった者の苦悩と悲劇。本作では更に孤独感と諦念が際立つジョニーの姿がクリストファー・ウォーケンの絶品名演も相まってやるせなく、彼の心を抉るサラの残酷なおためごかしに腸が煮える。名優を配しながらぶつ切りのエピソードが勿体ないのですが、鮮やかすぎる着地が余韻を残します。坂上忍、もとい、マーティン・シーンのトランプ氏を思わせる怪演にも拍手。超苦手な監督作品とは思えない傑作。 [DVD(字幕)] 8点(2021-05-09 00:57:15) |
10. 天国でまた会おう
《ネタバレ》 ピエール・ルメートルによる原作を映画化。ゴンクール賞受賞、セザール賞13部門ノミネート・5部門受賞も伊達ではない秀作。 WW1で命からがら帰還したエドゥアールは戦闘で顎と声を失い、彼に命を救ってもらったアルベールは職と婚約者を失う。戦没者に対する敬意とは裏腹に帰還兵を「よくもおめおめと帰ってこれたものだ!」と嫌悪する社会で、手をとりあって詐欺を企てる二人の友情。エドゥアールと父親(政財界の実力者にして大富豪)の確執。ここに因縁の相手で業突く張りのプラデルが絡む。陰惨で辛気臭くなりがちな話をエドゥアールの思いを代弁する少女の存在が和らげてくれる。エドゥアールが被る数々の仮面の妖しげな美しさ以上に印象深いのが、父親の鉄仮面ぶり。タイトルの意味が分かったシーンに胸が潰れそうに。現実離れ感が強いラストに違和感があったものの目の離せない愛憎劇を堪能しました。 かなり脚色が加えられているそうで、原作を読むことにします。 [映画館(字幕)] 8点(2019-03-25 12:17:35) |
11. 手紙は憶えている
《ネタバレ》 「オットー・ヴァリッシュは君だ」まさに青天の霹靂でありました。マックスの深謀遠慮は憎悪が生きる糧となっていたようで胸の詰まる結末でした。痴呆症のヨタヨタの老人を演ずる矍鑠としたクリストファー・プラマーの衰えぬ役者魂に喝采を送ります。 [DVD(字幕)] 8点(2017-05-30 00:55:59) |
12. 天使にラブ・ソングを・・・
《ネタバレ》 実に良く練られた起承転結にユーモアが加味された最後まで飽きることなく楽しめた作品。デロリス救出の為に皆がカジノに一列になって乗り込むシリアスな場面にデロリスの台詞「こんな服ペンギンのようでイヤ」が浮かび大笑いしてしまったのは私だけなのだろうか。物語を引き締めてくれたスパイスの効いた存在感の院長はデロリスと共に忘れがたいキャラクターだった。 [DVD(字幕)] 8点(2016-12-25 01:22:34) |
13. 鉄道員(1956)
《ネタバレ》 初見。サンドリーニの視点で淡々と描かれたホームドラマなれど泣かされ通しだった。怒り、悲しみ、自責の念で絶望感に苛まれても、自身で体を痛めつけるような事だけはしてはならない、人生に於いて不幸せと交互に訪れる幸せを少しばかり味わって息を引き取ったアンドレアを見て痛感する。耳にしたことがあるテーマ曲と共に胸に沁み入る作品。 [DVD(字幕)] 8点(2016-02-08 01:14:31)(良:1票) |
14. テルミン
理不尽な国家権力によって翻弄された生涯には、ご自身は一言も語られませんが数知れない苦悩や葛藤があった事が想像出来ます。それでも生き抜かれたところに感銘を受けます。音程が外れる、外れないが紙一重の危うさを感じるテルミンの音色に生を授かった者が生きてゆく姿が重なりました。映画に関して、テルミンという楽器に関しての知識が皆無の状況で出会えた本作。この喜びがあるので映画鑑賞はやめられません。 [DVD(字幕)] 8点(2009-08-09 17:43:42)(良:1票) |
15. テノール! 人生はハーモニー
ケチなラッパーがオペラ歌手としてガルニエ宮に立つまでの姿が描かれています。 成長物語として王道の展開を気楽に眺めていました。 ガルニエ宮の特筆ものである絢爛豪華さにウットリ。 観た甲斐あった作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2024-01-08 02:26:17) |
16. デイライト
スタローン無双を気楽に眺めていたところ。ジョージ救出の件で涙腺が刺激され、老夫婦とワンコに決壊。ジョージが出てくるのを待つ彼女にボロボロ。出勤前なのに困ったものです。予想外の力作でありました。 [DVD(字幕)] 7点(2022-06-08 16:47:41) |
17. テスト・パイロット
テストパイロット クラーク・ゲイブル、親友の整備士 スペンサー・トレイシー、所属航空会社社長 ライオネル・バリモア、不時着時に知り合った女性 マーナ・ロイ。四者共々持ち味が出ている名演で見応えあるドラマ。MIPは控え目ながらも芯の強さを見せるスペンサー・トレイシー、僅差で独特の存在感を見せるライオネル・バリモアでありました。最後のテスト飛行機は日本を焼き尽くしたB29なのですかね・・・名場面ながらも複雑な思いに駆られました。 [DVD(字幕)] 7点(2021-02-02 16:36:51) |
18. デッドエンド(1937)
《ネタバレ》 お目当てジョエル・マクリーはいまいちインパクトに欠ける役柄で物足りません。特筆すべきは悪役ハンフリー・ボガートで、荒んで哀れな人物像が場面をさらっておりました。悪ガキ達に貧者だからといって彼のような最期を迎えないでもらいたいと思わされるもので、過保護なシルヴィア・シドニーに「違うだろ」イライラさせられました。 [DVD(字幕)] 7点(2021-01-16 02:52:13) |
19. デデという娼婦
《ネタバレ》 ストーリーは他愛なく「新しい人生が始まるのね・・・」ってそうはいく筈もない事が容易にわかります。デデをとりまく3人の男が印象薄く残念。シモーヌ・シニョレの得も言われる唇の美しさに+2点。 [DVD(字幕)] 7点(2020-11-11 01:17:34) |
20. 天国と地獄
《ネタバレ》 学生時分に観ているものの内容を全て忘れています。会社権力争いものではなく営利目的未成年者略取ものだったとは。毛色が変わっているのが攫われたのが運転手の子だった点。葛藤の末に身代金3000万円(昭和38年時の!)を払い、無事だったしんいちに全速力で駆け寄り抱きしめる後姿は私も泣けてしまう。竹内にたどり着くまでの警察ワンチームの使命感溢れる理詰めな捜査模様は鑑賞歴中最上で頭が下がる思い。なので、監督の主張であったとしてもその後身柄確保に至るまでのやり口に無理筋を感じるところ。ラストの面会は圧巻。どん底に落ちても前を向く権藤と拗ねるだけの竹内のそもそも器の違いをまざまざと見せつける二人の名演が忘れ難い。 [DVD(邦画)] 7点(2020-06-11 01:52:40)(良:1票) |