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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2386
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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121.  パリは燃えているか 《ネタバレ》 
パリ解放は実は非常に政治的な出来事で、この映画でも前半のレジスタンス勢力の動向は予備知識がないと判りにくいと思います。要はドゴール将軍の勢力と共産党の主導権争いで、戦後のフランスを誰が支配するかという争いでもあったのです。登場するレジスタンス側の人物はみな政界の実力者になった人たちで(アラン・ドロンが演じたシャバンデルマは首相にまで登りつめました)、彼らに対する配慮がこの大作を薄味にしてしまったのではないでしょうか。史実に沿ってはいますがどこか綺麗ごとが目立ち、ヒトラー以外はみんなパリを救うために体を張った善人だったというのはちょっと苦しいですね。確かにそうそうたるスターが観れますが、ルネ・クレマンの演出に緊張感が乏しく、戦闘シーンにも緊迫感がないですね。ラストだけカラーでパリの街が映しだされるところは良かったです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2010-01-27 01:54:10)
122.  バーバー 《ネタバレ》 
コーエン兄弟にしては珍しくグロテスクなキャラがほとんどいない映画でした(鬘の詐欺師がちょっとそれらしかったが)。まあそれはそれで良いのですが、このようなお話をわざわざ脚本書いて映画にすることもなかろうに、というのが率直な感想です。主人公の床屋さんは、それまで平凡ながら人生がそれなりにつながっていたのに、ふとしたはずみで自分を試したくて悪事を働いたばっかりに、物事がすべて悪い方に転がるようになり、人を椅子に座らせて商売していた自分が最後には椅子に座って人生を終える。コーエン兄弟はとことん『人生の皮肉』を観客に見せたかったのでしょうが、ブラックユーモアの味付けなしでは後味が悪すぎますね。最後までビリー・ボブ・ソーントンが演じる人物の頭の中が理解できませんでした。
[DVD(字幕)] 5点(2009-12-29 20:24:10)
123.  ハワーズ・エンド
エマ・トンプソンが魅力的だったのと、アンソニー・ホプキンスが英国中流階級のスノッブを演じて相変わらず上手いなあという感想しか正直言って残りませんでした。ストーリー展開が作劇風なので役者の演技を見せる素材としてはこの原作は良いのでしょうが、もう少し工夫して演出をドラマチックにして盛り上げても良かったのではと思います。それぞれのエピソードがみな唐突過ぎる感じがするのが最大の難です。
[DVD(字幕)] 5点(2009-03-10 00:08:48)
124.  PARTY7 《ネタバレ》 
得点分布を拝見しますと綺麗に0~10点にバラけていますねこの映画、強いて言えば5点以下が弱冠多いみたいですな。まあこういう評価になるのもムリ無いかなというのが、私の感想でございます。まるで下北沢あたりの小劇場の演劇を見せられているかの様な典型的なドタバタ劇、これは計算の上で書かれたと思いたい登場キャラたちが繰り広げるバカ丸出しの会話と掛け合い、こういうところも小劇場チックなんですよ。まあこの中でいちばんおバカなキャラかと言いますと、怪優・我修院達也と『アントム・オブ・パラダイス』のウインスローみたいな扮装の原田芳雄か、甲乙つけがたいところです。ストーリーをまともに追ってゆくと途中でほんとバカらしくなってくるので、ラストのカオスがツボかどうかに評価の分かれ目があるんじゃないかな。オープニング・アニメーションは観れば判るように『キル・ビル Vol.1』のアニメパートでそのタッチがそっくり再現されているし、石井克人を起用するぐらいだからタランティーノもこのおバカ映画を観ていたのかな、彼にはウケそうですね。まあ自分もこういうのは嫌いじゃないけど、5点以上はつけられないなあ…
[CS・衛星(邦画)] 4点(2024-02-29 21:50:27)
125.  パッション(2012) 《ネタバレ》 
この映画のプロットは前に観た映画でも似たようなのがあったなと思いましたが、自分は未見ですがリュディヴィーヌ・サニエとクリスティン・スコット・トーマスが出演した2009年の仏映画『ラブ・クライム 偽りの愛に溺れて』のリメイクなんだそうです。まあこれと似たようなストーリーの映画はよくあるってことです。大して話題にもならなかった映画なのに何故か三年でリメイク、監督には『アンタッチャブル』や『ミッション・インポッシブル』など一時期ハリウッドでリメイク職人になりかけたデ・パルマがまたまたリメイクを担当。でもあの二作はTVシリーズの映画化で再構築=リストラクションと呼んだ方が正解でしょうし、デ・パルマにとっては初めてのリメイク作品ってことかな。 デジャブ感が強いだけにお話しの展開と犯人はぼんやり者の自分でもすぐ判りました。デ・パルマ印のスプリット・スクリーンなどは殺人シークエンスが始まるところあたりで使われますが全体におとなしめで、言っちゃあ悪いけど散歩に連れてった犬が電柱にマーキングをしてる程度の効果しかなかったような印象です。映像には凝るけど割と判りやすいストーリーテリングがデ・パルマ風味なんだけど、ラストの夢オチか?と思わせるような判りにくい展開は彼らしくなかった。これは原作の脚本に忠実にリメイクしたってことなのかもしれませんけどね。根本的にノオミ・ラパスという女優が自分の好みじゃないってことも、悪印象を強めたのかもしれません。 コッポラ・ルーカス・スピルバーグたちの兄貴分でハリウッドでは巨匠と呼ばれてもおかしくない存在のデ・パルマ、こんな映画に関わるようなキャリアの人じゃないはずなんだけどなあ…
[CS・衛星(字幕)] 4点(2021-02-09 23:27:04)
126.  バッジ373 《ネタバレ》 
本作も『銃犯罪特捜班/ザ。セブン・アップス』と同じく『フレンチ・コネクション』のスピンアウトとみなしてよろしいんじゃないでしょうか。『フレンチ・コネクション』のドイル刑事のモデルとなったエディ・イーガンが原案を出し準主役級で出演までしています。自身をモデルにした主人公キャラはロバート・デュバルが起用されています。 刑事ものにしては妙に社会派ぶったお話しで、悪役はプエルトリコ人のギャングとプエルトリコで革命を起こそうとたくらむ過激派です。ここら辺の事情は、作家のピート・ハミルが脚本に参加しているのが影響しているのかもしれません。ロバート・デュバルが演じるエディ・ライアン刑事が麻薬捜査の手入れで追い詰めたプエルトリコ人のチンピラが転落死してしまい、この手の映画でお約束の停職になるところからスタートです。停職中に相棒刑事が殺害され、拳銃どころかバッジすら持ってないのにライアン刑事は勝手に捜査し始めます。 この映画は脚本だけじゃなく、そもそもロバート・デュバルを主演に持ってきたことが最大の失敗です。もちろんこの人は名優ですけど、刑事役でアクションする柄ではないってことです。考えるに、カーク・ダグラスやバート・ランカスターが盛りを過ぎた70年代は、ハリウッドでアクションがさまになる大物中年男優がほとんどいなかった時代だったんじゃないかな。しいて言えばそのポジションを守っていたのはバート・レイノルズぐらいかもしれませんが、ちょっと小物(失礼)ですよね。この状況は80年代にブルース・ウィリスがブレイクするまで続いたわけです。デュバル本人にやる気があったのかは疑問ですが、犯人を追っかけたりする最低限のアクションも鈍重なんです。またこの刑事にはいい面でも悪い面でも感情移入できる要素が皆無なのが弱みです。唯一のアクション見せ場であるデュバルが運転する路線バスと追う過激派とのカーチェイスも、彼が勝手に乗り込んできて乗客を乗せたまま逃げ回るんですから、乗っている方としてはたまったもんじゃありません。けっきょくバスから引きずり降ろされてボコボコにされてしまうんですから、観ていてほんと疲れます。 社会派的な要素があるのでラストの結末にはカタルシスはゼロ、でもラストショットだけは『ダーティハリー』のモロパクリ、なんとも志の低い映画でした。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2019-03-29 23:43:40)
127.  パージ 《ネタバレ》 
プロットは完全にケータイ小説レベル、イーサン・ホークやレナ・ヘディといったそこそこ名の知れた俳優を起用していますが、B級感は隠しようがない。まあこのプロットは詰めて考察すれば穴だらけなんで無視することにして、やはり『わらの犬』的な映画として観るしかないですね。でも緊迫感は『わらの犬』に遠く及ばず、というよりも比べること自体がペキンパーに失礼極まりないといったほうが正解。イーサン・ホークはいつものイーサンで、今回こそは今までのヘタレキャラを返上するかと思えば最後まで生き残れないし、奥さんのレナ・ヘディにしてもお前の中途半端な態度も事態を悪化させた要因の一つでしょ。パージの日だから交際の邪魔をする父親を始末しよう、いくらバカ娘の恋人だからといってこんなアホな奴いるわけねーじゃん。そして匿われた黒人ホームレスを執拗に狙うヤッピー軍団、あの黒人にそこまで執着する理由がさっぱり判らん、狩りの獲物なら他にいくらでもいるでしょ。そして本当に怖いのは成功を妬む隣人軍団で、もしパージ制度が実際に存在したら、パージの対象は見知らぬ他人じゃなくて人間関係がある者になるに決まってるじゃないですか。そこがこの映画のプロットのおかしい根本理由です。 「1年で12時間だけだれを殺してもイイですよ」こんな制度があるおかげでアメリカが平和な国になった、これは考えようによってはアメリカ人をずいぶん馬鹿にした設定だとも言えますが、トランプを選挙で大統領に選ぶ人たちだからあながち間違っていないのかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2019-02-28 23:55:29)(良:1票)
128.  バトル・ロワイアル 《ネタバレ》 
あの分厚い原作は出版当時にちょこっと立ち読みしただけなのであまり偉そうなことは書けないが、設定やストーリーテリングのニュアンスがけっこう変わっていることは確かみたいです。原作では架空の全体主義国家のお話しだったところを、ほぼリアルタイムの日本が舞台としているところが大きな相違。でもその世界では日本は壊れてしまっていてBR法という理解不能な法律が施行されているわけです。こういうSF的な設定なら徹底的に不条理劇として撮るのが正解だと思いますが、いつもの流儀で泥臭く映像化してしまってるところが深作欣二の限界というかセンスのなさなんでしょうね。でもその脚本を書いたのは当時20代だった息子の健太だというのが、ちょっと不思議。彼は初めて劇映画の脚本を書いたわけで、きっと親父がかなり手を加えているんじゃないかと推測します。だって随所に団塊世代チックな臭みが見え隠れしてますもん。中でも塚本高史があの「腹腹時計」を書いた人物の甥という設定で、その叔父をヒーローの様に描いているのには呆れました。もちろんこれがフィクションの映画化だと承知してますが、現実世界で70年代企業爆破事件の指南書だった「腹腹時計」を持ち出してくるのはいわばルール違反です。三菱重工爆破事件で親戚が犠牲になった者としては、不愉快極まりなしでした。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2018-10-28 22:17:26)
129.  ハイジャック (1972) 《ネタバレ》 
なんでも、これがハリウッドで初めて製作されたハイジャック映画なんだそうです。『大空港』は?という声もあがるでしょうけど、まああれはパニック映画のジャンルでしょう。監督はジョン・ギラーミンで主演がチャールトン・ヘストンとくれば如何にも当時はやっていた超大作路線かと期待されるでしょうが、これが作品規模といい映画自体の出来といい、実にショボい底抜け超大作でした。 冒頭の画面に映らない誰かが口紅を空港売店で買うところやその口紅で旅客機のトイレの鏡に「爆弾を持っている、行き先をアンカレッジに変更しろ」と書かれているのが発見される、これが前半のサスペンスの肝のはずですが下手くそな演出のせいで全然盛り上がらない。乗務員たちは「口紅を使っているぐらいだから、犯人は女性かな?」と至極まっとうな推測をするのですが、稚拙な脚本のせいでジェームズ・ブローリンが演じる軍人が犯人だということがバレバレなんです。この犯人がはっきり言って狂人で、後半ではアンソニー・パーキンスが演じているようなキチ〇イぶりで、若き日のジェームズ・ブローリン、なかなか良い仕事をしてます。ごたごたがあって結局アンカレッジからブローリンの亡命のためにモスクワに飛ぶことになってしまいますが、ここら辺からおかしな展開になってしまいます。まあキチ〇イのすることだから、という言い訳はできるでしょうけど、この軍人は警察に追われているわけでもないので亡命したけりゃソ連大使館に駆け込むかそれこそ航空チケット買ってモスクワに行けば事が済むわけです。冷戦中とはいえソ連と米国は普通に国交があるわけですから、日本のよど号乗っ取り事件と全然違いますね。あと登場キャラの描きこみがほとんどないので、それぞれのエピソードが恐ろしく薄っぺらで印象に残りません。とても劇場映画とは思えない、平凡なTVムーヴィーという出来でした。 でもとり得がないわけではなく、本物のB707旅客機を架空のエアライン塗装で飛行させて撮影しているところです。そしてソ連領空でソ連戦闘機が迎撃してくるシーンも、4機の戦闘機がB707の至近距離を威嚇してブンブン飛び回るところを実写で見せてくれます。この戦闘機はおそらく米軍のF-100戦闘機だと思いますが、塗装やマーキングもうまくソ連機に似せていました。さすが『ブルー・マックス』を撮ったギラーミンだけあります。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2018-09-16 23:22:48)
130.  ハノーバー・ストリート/哀愁の街かど 《ネタバレ》 
前半は不倫ロマンス、後半は特殊部隊戦争アクション、まさに驚異のハイブリッド・ムーヴィーで、こんな映画はピーター・ハイアムズじゃなきゃ撮れません(笑)。脚本がまた突飛なほどのご都合主義、とくに後半は唖然・呆然の連打でここまでくるとなんか愉しくなっちゃいます。寝取られ夫と間男が同じ爆撃機に乗り合わせて二人だけ生き残るってのは、まあ目をつぶりましょう。でも三歩歩いただけで捻挫しちゃう、捻挫してるくせにけっこう走ったりする、そして極めつけはどう見たって二発は背中に機関銃弾が命中してるのに死なずに帰還できちゃう、もう“不死身の男 クリストファー・プラマー”と呼ぶしかないでしょう(笑)。こんな理想的な夫としか言いようがないプラマーの妻レスリー・アン・ダウンがハリソン・フォードごときと出会ったとたんに不倫に走っちゃう、こんな女に誰が感情移入できるでしょうか。せめて病院の廊下で二人が出くわすラストシーンは『第三の男』みたいになにも言葉を交わさずにすれ違うだけ、というような余韻が残るような脚本にしていたら少しはピーター・ハイアムズを観直したかもしれません。ジョン・バリーの音楽が『ある日どこかで』を思い出させてくれたので、プラス一点です。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2018-05-26 23:35:15)
131.  パシフィック・ウォー 《ネタバレ》 
初っ端の戦闘シーンを観て一気にテンションが下がりました。インディアナポリスって重巡洋艦なんだよ、この映画ではまるで戦艦みたいな図体でどうせCG使うならちゃんと実艦に似せてくださいよ。だいたい突っ込んでくる特攻機が開戦当初の明灰白色塗装のゼロ戦なのがおかしい。細かいことにこだわるな、っていう人もいるでしょうけど、こういうところを蔑ろにしている戦争映画は、たいてい映画としての出来もひどいのが多いもんです。あの『パール・ハーバー』はこの映画の逆で、登場するゼロ戦が戦争後期の暗緑色塗装だったことが思い出されます。撃沈シーンがまた突っ込みどころ満載。船体が折れるところなんてまるっきり『タイタニック』のまんまですし、これはひょっとしてギャグなのかとマジで首をひねってしまいました。漂流し始めてからはドラマが緊迫していくはずなんですが、個々の登場人物のキャラが描きこまれていないので盛り上がらない。トム・サイズモア以外の乗組員は誰が誰だか見わけもつきません。そして登場するシャーク・アタック、このサメのCGがまたショボすぎて、これはアサイラムの製作かと思いましたよ。 まったく、ニコジーよ、少しは仕事を選べよ(怒)。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2018-03-15 00:04:16)
132.  ハーロー 《ネタバレ》 
26歳で死んだ伝説の女優、ジーン・ハーローの伝記映画。と言っても事実とはかなり違った脚色になっています。 映画が始まると、撮影所の開門を待つ多数の男女が映されます。始業時間になり撮影所に入ってゆくと、この男女たちは流れ作業のように部屋を巡ってゆき、どんどん衣装を着け女はメイクをして様々なキャラになり、建物から出てきます。ベルトコンベヤーに載せられた素材が加工されて製品になってゆくみたいで、かつてのハリウッド撮影所のシステムの一端を巧みに見せてくれるオープニングです。 登場人物は、ハーロー、彼女を売り出すエージェント、母親とヒモみたいな継父、自殺してしまう夫、の各人までは実名ですが、他の登場人物はモデルになる人はいるんでしょうけどみな架空の人物になっています。ハーローが出演した映画も当然ストーリーテリングの中で触れられるわけですが、これもすべて架空作という徹底ぶりです。私生活もかなり盛っていて、スターになってからピーター・ローフォードが演じる脚本家と結婚するのですが、それが初婚ということになっています。実際には彼女はその前後にも結婚していて短い生涯で三回結婚、初婚は実は16歳だったそうです。こんなハリウッドでは周知のことを脚色して、どういう意味があるんでしょうかね。もっとヘンなのはハーローを伝説の存在に高めた『地獄の天使』とご存知ハワード・ヒューズについて全く触れていないことでしょう。レスリー・ニールセンが演じるキャラがヒューズをモデルにしているのかな、と言えなくもないですけど、映画の中ではハーローの無名時代に一作だけ監督しているので、あまりにかけ離れています。またハーロー役のキャロル・ベイカーも、あんまりハーローの雰囲気が出ていないのも不満でした。 というわけで、冗長な凡作ですとしか言いようがないんですけど、それでも光ったところはあるもんです。まずエージェントのレッド・バトンズ、成功のためなら手段を選ばないけど、ハーローには最後まで誠実に接します。まあ原作者がこのエージェントなので善い人なのは当然でしょうが、バトンズの演技は光っていました。そしてハーローの継父役のラフ・ヴァローネを、私は強く推したいです。もうこの人はハーローの稼ぎしか頭にない単なるヒモ男だと思っていたら、ストーリーが深まるにつれて実は矜持を秘めた男だったと判ってきます。ハーローの臨終の床に佇む彼の表情には、なんかグッとくるものがありました。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2017-08-04 23:14:40)
133.  白線秘密地帯 《ネタバレ》 
新東宝で“海女もの”と並んで異彩を放っている“地帯(ライン)シリーズ”の栄えある(?)第一作であります。製作された昭和33年は売春防止法が施行された年で、その売防法の裏をかく売春組織を描くのが“ライン・シリーズ”の共通したプロットです。そのテーマからすると、同年に撮られている『女体桟橋』が起源という説も有りますが、まあはっきり言ってどうでもイイことでしょう。 トルコ風呂なんて懐かしい代物が最新の風俗業と言うことで時代を感じさせてくれますが、こと色の道になりますと古来より日本人は才能を発揮してきたんだなと素直に感心いたします。主人公の刑事は宇津井健、彼にほとんど芝居をさせずに犬のように売春組織を追いつめてゆく姿を市街ロケを多用してドキュメンタリー・タッチで描いています。そして特筆すべきはこの映画こそ菅原文太の映画デビュー作なんです。役は大友純の子分のチンピラギャングでセリフもほとんどないんですが、これは確かに文太です。 ここでどうしても触れておきたいのは、私が観たのはオリジナルの71分が13分もカットされたバージョンだったことです。つまり上映時間にして2割は短いということで、正直言って観てて筋を追うのがやっとという感じでした。1シーンで5カットあったところを3カットに短縮してる様なものですが、ローアングルを多用した意欲的なカメラワークなのでちょっと残念です。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2015-03-07 23:30:14)
134.  800万の死にざま 《ネタバレ》 
監督がハル・アシュビー、脚本がオリヴァー・ストーンという布陣でここまで面白くない映画が出来ちゃったというのはある意味サプライズです。このお二人、良く考えたら刑事アクションもの映画に関わったのはほとんど本作だけなんですよね、やはりこれは人選ミスなんでしょう。 まず一夜だけのあんな薄い間柄だったのに、なんでジェフ・ブリッジスがあの娼婦の仇を討とうと奮闘するのかがさっぱり理解できないし、当然感情移入もできません。あの手のタイプの男なら、娘もいることだし奥さんと縁りを戻す方向で努力するほうが自然なストーリー・テリングだと思うんですけどね。終わってみればまたまた娼婦のロザンナ・アークエットと仲良くなってるとはなんか違う感じがするんです。こういうのがハードボイルドなんだと思ってるとしたら、オリヴァー・ストーンも勘違いが甚だしいですよ。 唯一この映画で興味が引かれたのはがらんどうの倉庫でジェフ・ブリッジスとアンディ・ガルシアたちが人質交換で三すくみ状態になるシークエンスで、タランティーノお得意のプロットの原型みたいな感じでした。シネフィルのタラの事だから、きっとこの映画も観てて影響を受けているのかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2015-02-27 01:18:37)
135.  バーニング 《ネタバレ》 
懐かしいですね~バンボロくん。この映画は東宝東和が当時大宣伝した底抜け超大作のひとつですが、これが実際観てみると『13日の金曜日』をパクった典型的なB級映画でした。日本人にB級映画を突っ込みながら観るという作法がまだ理解されていないころですからしょうがなかったかもしれませんが、もうこれは詐欺です。中身も子供たちの悪戯で大やけどを負ったキャンプ場の管理人が復讐するスラッシャー映画ですが、この殺人鬼バンボロ(これは東宝東和が勝手につけた名前)、ジェイソンやフレディーの様なスーパー・ナチュラルではなくただの性格の悪いおっさんだというのがどうも気にかかります。ラストでやっと全身を見せますがまるで溶解人間みたいなお顔で、障害者を化け物扱いしてるみたいでなんか後味が悪いです。 この映画はワインスタイン兄弟のミラマックス製作で、ボブ・ワインスタインは脚本にまで参加してます。彼らもその活動原点はロジャー・コーマンと大して変わらなかったんですね。眼を皿のようにしても判別出来なかったホリ―・ハンターは別にしても、スタッフがムダに豪華なんです。特殊メイクはトム・サヴィーニ、『ヒドゥン』のジャック・ショルダーが編集ですが、音楽を担当したお方に注目です。アルジェント映画のゴブリンの様ないかにも安っぽいサウンドが基調なんですが、何とリック・ウェイクマンが書いたスコアなんですよ。どうしてここに彼が引っ張って来られたか、それは大いなる謎です。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2014-09-20 23:34:16)(良:1票)
136.  ハードコアの夜 《ネタバレ》 
もし父親が熱心なカルヴァン派キリスト教徒でしかもジョージ・C・スコットだったら、たぶん自分も耐えられずに逃げ出したと思います(笑)。お話は『96時間』の元ネタと言ってよいほど同じですが、リーアム・二―ソンじゃないんで銃をぶっ放して暴れる様な爽快さは皆無です。この親父のイタイところは周囲の人間や観ている私たちですらうすうす勘付いているのに、ただ一人娘が誘拐されてブルー・フィルムに出演させられたと思いこんでいるところでしょう。そこそこ有能な私立探偵もクビにして単身で西海岸に乗り込んでピンク街で聞き込みを始めるなんて、やってることもかなり無茶です。スーツにネクタイ姿じゃかえって怪しまれ、場数に踏むにつれてどんどん服装がラフになってきて、ニセ広告を出して男優を面接するところではカツラに付け髭で変装しちゃう、この映画で唯一笑わせていただいたシーンでした。 この親父の嫌なところは、とにかく信仰と娘のことしか頭の中にないところでしょう。途中で娘と一緒にブルー・フィルムに出演していた女と知り合いますが、彼女が下品な女なりにスコットと心を通わせようとしても全然受け付けない。少女娼婦を救うために体を張った『タクシードライバー』のトラヴィスの方が、はるかに立派な人間に思えてきます。 ジョージ・C・スコットの熱演は魅せてくれますが、ラストはなんのカタルシスもない想像通りの展開でした。登場人物が誰も人間的に成長しない、70年代のポール・シュレイダーらしい一本です。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2014-03-25 20:40:17)
137.  ハンガー・ゲーム 《ネタバレ》 
もし自分が不幸にしてこのゲームの参加者になってしまったら、ゲーム中はどこかに隠れていて残りの23人がひとりになるまで待ちます。その最後のひとりがとてつもなく強いリスクはありますが、そいつと勝負するのが最善の選択だと思います。たぶんみんな同じこと考えて隠れてしまい、ゲームが成立しない可能性が高いのではないでしょうか。劇中ではゲーム開始早々に集団が出来てあぶれ者を狙うようになりますが、これは事前に予想できたはずで開催者としてはこうならない様な工夫が絶対に必要でしょう。と考えると、やはりこの映画(というか原作小説)の設定は×でやはりタイマンのトーナメントかリーグ戦でしかこのゲームは成立しないんじゃないかと思います。ここら辺の詰めの甘さは原作がジュブナイル小説だということも関係あるかもしれませんけど、映画として観せるならもっと毒味がなければいけません。原作通りなのかもしれませんが、あのルール変更だけは何とかして欲しかったところです、どっとシラけました。 どう見ても『バトルロワイヤル』と数多あるデストピア系映画を融合させた様な作品ですが、原作者のスーザン・コリンズは“『バトルロワイヤル』は原作小説を読んだこともないし映画を観たこともない”と言い張っているそうです(笑)。
[CS・衛星(吹替)] 4点(2013-12-07 23:25:54)(良:1票)
138.  バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 《ネタバレ》 
この映画が世に出てきたときは、さんざん罵倒されてきたバブル時代がついに肯定的に懐古される様になったんだなと感無量でした。バブル時代まっ盛りのときには自分は東京にはいなかったけど、ほんとにタクシー拾うのに万札ヒラヒラさせてたんでしょうか、それともこれは都市伝説と思った方が良いのでしょうか? バブルの申し子ホイチョイプロダクションと今年はついにフジTVの社長にまで成り上がった亀山Pがタッグを組んだわけですが、映画としてはまあ予想通りのつまらなさでした。ドラム式洗濯機を研究してたらタイムマシンが出来ちゃった、くだらないけどなかなか秀逸なアイデアなので実にもったいない。バブルの崩壊を防ぐためにタイムトラベルして不動産総量規制を止めさせる、いかにも経済週刊誌の記事を真に受けたサラリーマンが考えそうな発想ですが、まあそれはそれでいいでしょう。でも肝心の脚本がTVのヴァラエティのネタを安易に並べたようなレベルの低さなのです。阿部寛をはじめ出演者たちがみなTVドラマの様な演技なので、これがまた全然笑えません。こういうのを典型的な頭の悪いコメディと呼ぶべきでしょう。 と貶してはいますが、広末涼子が予想外にいい味出してたのでプラス1点させていただきます。 
[CS・衛星(邦画)] 4点(2013-08-30 23:55:09)
139.  ハプニング 《ネタバレ》 
掴みはOK、あの訳のわからなさはなかなか良いアイデアです。でもだんだん風呂敷を広げてくると、出ました、“植物の陰謀”説、このいかれっぷりがシャマラン印なんです。TVのニュース解説では政府の陰謀をマジで論議しているし、もう疲れます。M・ウォールバーグが造花の鉢植えに話しかけるシーンは、もうギャグとしか思えないけどけっこうシリアスに撮っているのには脱力です。訳のわからないものからファミリー(本作の場合は疑似家族ですけど)が逃げ回るというプロットはスピルバーグの『宇宙戦争』を連想させますが、肝心のウォールバーグとZ・デシャネルの夫婦の言動に説得力がなさ過ぎです。 あのラスト、“オチのシャマラン”という金看板は今後おろしますということなんでしょうか。それはちょっと考え違いですよね、シャマランはやっぱ弾けなくちゃいけません。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2013-01-22 19:57:49)
140.  バンテージ・ポイント 《ネタバレ》 
同じ事件を8人の視点で描く、と言っても30分程度の出来事なのでスポットを当てる人物が替わるたびに同じシーンを違うショットで見せられると言うのは、能がなさ過ぎると思います。つまり観客が見せられるのは“違う視点”からは程遠い映像でしかないということです。『パルプ・フィクション』でタランティーノが見せてくれたような世界を期待していたので、かなり失望させられました。タラのテクニックと才能を再認識した次第です。テロリスト側の男たちがみんな同じ様な風貌なので、誰が誰だか途中から判らなくなってしまったのもマイナスです。 でも私が思うにこの映画の最大の失敗は、○○○が×××だったと言う現実には絶対あり得ないバカな設定でしょう。こんな風に不測の事態が起きたらどうやって世界に説明するのでしょうか、全体主義国家の独裁者じゃないんだからね。△△△が犯人の一味だと言うのもミステリーならば禁じ手でしょう、これならもうなんでもありの世界になっちゃいますよ。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2012-10-31 20:47:21)(良:1票)
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