1. バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2
《ネタバレ》 面白くない。ビフの介入によって話を無理やり引き延ばしているようで、特に後半はとっちらかった感じ。1作目と同じ時代に行くというアイデアは悪くないですが、そこで違うことをするという面白さが感じられない。単にドタバタしているだけでした。ジェニファーも扱いが悪いなぁ。 それよりも本作で嫌いなのは、主人公が結局自分の都合しか考えていないこと。未来へ行ったのもマーティの一家が没落するのを防ぐためですが、しかしマーティ・ジュニアの代わりに逮捕された男の一家が没落するかもしれません。それ以外にも、事態が変わって影響を受ける人がいるはずです。自分の一家が幸せになれば、他人がどうなろうとお構いなし。その上で「タイムマシンは危険だから解体してしまおう」と言うドクには、開いた口がふさがりません。ふたたび1955に行ったのも父親が殺されたからで、自分に都合のいい時代が続いていれば、戻ったかどうか怪しいものです(前作の最後は、めでたしめでたしで終わっていました)。タイムマシンという、非常に影響力の強いアイテムを使っていながら、関係のない人間に対してこれほど無頓着でいられるというのは、むしろ感心します。マーティもビフも、やっていることは根本的に同じでしょう。 ところで、昨今ネット上での書き込みなどを見ていると、自分の嫌いなものを否定してやたらと叩く、存在自体を認めないという傾向が目につきます。ブログの炎上なんてその典型ですし。こういうのが行きすぎると、自分の嫌いな人間の存在自体を否定して人殺しにまでつながったりします。しかし、世の中自分の思い通りに行くことの方が少なく、ままならないことや嫌いなことがまかり通ったりするものでしょう。自分に都合のいいことしか存在を認めないというのは、かなり社会性が欠落した自己中心的な考えだと思います。この映画は、そうした「自分に都合の悪いことは全否定」という思想が基本にあるようです。このシリーズが人気があることと、こういった思想が蔓延していることに関連があるのかどうか知りませんが、タイムマシンを個人的な都合で使っているこの作品には、不快感しか覚えません。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-04-02 16:18:44) |
2. バック・トゥ・ザ・フューチャー
《ネタバレ》 普通に面白い。主人公がわざとらしくピンチになったり(トランクの鍵が中に落ちるという状況がよくわからないが)、父親が急に強くなったりと、ご都合主義な展開で盛り上げるのもそれらしいです。本作で一番評価したいのはテンポのよさで、2時間近くをダレずに楽しく見させるところは、おみごとでした。現在と過去の両親を同じ俳優が演じているというのも、面白いです。今見るといい意味で時代を感じさせるのは、タイムトラベルものの特権でしょうね。全体としてソツがなく、まとまりもいいのですが、逆にこれはというポイントがない。どこかとんがったところのある作品の方が、評価が高くなるものでしょう。 ついでに、古典的な探偵小説が好きな人間からすると、伏線というのは「そうだったのか!」と思わず膝を叩くようなもので、本作での「辻褄合わせ」(試験の答え合わせのような)は、およそ伏線と呼ぶに値しません。ドクの防弾チョッキぐらいですねぇ、感心したのは。とはいえ、だからつまらないというわけでもないですが。ギャグのネタとしては、十分機能していたと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-03-20 11:29:59) |
3. バベットの晩餐会
《ネタバレ》 途中までは「おいしい食べ物は人の心を温かくする」とかなんとかいう話だろうと思っていて、実際そういう要素もありました。しかし、バベットが「芸術家は貧しくありません」というところに来て、膝を叩いたわけです。 お断りしておきますが、私は食べ物というのは栄養をとるためのものであり、味はよほどまずくなければ平気だし、料理が芸術なんてアホらしいというか、ある種の驕りだとしか考えていません。だから芸術云々はどうでもよくて、「貧しいか否か」がポイント。もちろん金銭的な貧富ではなく、精神的なものです。その点からいえば、主人公姉妹や彼女たちを取り巻く村人も、「貧しくはない」人々です。それが年を経るうちに貧しさが忍び寄ってくる。それがバベットの料理でふたたび心の豊かさを取り戻す、という結末でした。この「心の豊かさ」を描くために宗教が使われているわけですが、それはヨーロッパ人にとってわかりやすいからでしょう。信仰心が厚くても心の貧しい人はいるようで、宗教だからどうこう言うのはあまり適切とは思えません。また、姉妹に心惹かれながら去っていく男性が軍人とオペラ歌手(しかも得意なのがモーツァルトの『ドン・ジョバンニ』)というあたりも暗示的で、うまく対比させていたと思います。 まあ、芸術というか、料理を作る過程もいかにもおいしそうに描いており、グルメ映画としても成功の部類でしょう。しかしそれ以上に、「清貧の高貴な魂」を慎み深く描いていたという点に引きつけられました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-02-28 20:13:30) |
4. 遥かなる山の呼び声
ストーリーとしては割とあるパターンですが、人物描写・心理描写のきめ細かさで見ごたえのある作品になっていました。登場する人はみな、人としてあるべき姿(ありたい姿)を体現した、人としての理想像ですね。人と人との心のふれあいを描いた人情劇として、高レベルでした。耕作の兄や民子の従兄弟など、ちょっとだけ登場する脇役にも味があります。こうなると『故郷』もぜひ見たいですね。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-09-17 08:06:58) |
5. バウンティフルへの旅
《ネタバレ》 人間というのは、何歳になっても自分のアイデンティティーを確立したいのですね。バウンティフルへの旅は、自分が自分らしかった時代への郷愁。けれどもそこには誰もいなくなり、親友も亡くなってしまった。つまり自分の居場所はなくなってしまったわけです。そうなって初めて、新しい一歩を踏み出すことができました。実際、自分にとって価値あるものがすべてなくなるくらいでないと、新しくやり直すのは無理でしょうね。いわゆる「リセット」です。人生のリセットというと、どうもマイナスのイメージがありますが、ここではプラスに使われているのがいいですね。こんなおばあさんでも人生をやり直せるのなら、自分はまだまだこれからと思わせてくれるのも嬉しい。最後に嫁さんが、ちょっといい人だとわかるのもいい。この「ちょっと」というのが微妙で素敵です。レベッカ・デモーネイはきれいだし、緑の衣装もあざやかで印象に残っていますが、彼女がこのドラマでどのような役割を負っているのか、そこがよくわからなくて残念でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-03-15 21:57:46) |
6. パリ警視J
《ネタバレ》 わたくしベルモンドは好きなのですが、これは公開当時見て大いに失望しました。改めて見ると、『フレンチ・コネクション』と『ダーティーハリー』の劣化コピーのようです。とにかく、話に脈絡がない。行き当たりばったりでご都合主義というか、どうしてそういう展開になるのかよくわからない部分がある。が、たぶんその辺は重要ではないのでしょう。とりあえずベルモンドのアクションを見せるだけの映画のようですから。スタントなしであれだけやってのけるのはたしかに格好いいのですが、それだけではねぇ。 内容としては、暴力刑事と麻薬密売組織との血で血を洗う「仁義なき戦い」という感じで、ほとんど捜査の体をなしていません。ハードボイルドというよりはバイオレンスだと思うのですが、それにしては暴力描写がおとなしい。暴力ばかりというわけでもありませんし。そういうところが中途半端なのもマイナスです。が、御歳50のベルモンドが頑張ったということで、オマケで+1点。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-06-13 22:11:56) |