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1.  花嫁の父 《ネタバレ》 
“Father of the Bride”邦題まま。リメイクを観たばかりで、本作の存在を後から知って、観たいなぁと思ってたらBSでやってくれた。ありがとうBS!で、期待通り面白い作品でした。 コメディの中でも“HowToもの”とでも言うんだろうか、結婚式の晴れの舞台の舞台裏。誰もが直面したであろう、豪華さと比例して出ていく底なしの金額の恐ろしさ。出費で削るところは削るとしても、どこを削ればいいんだろう?という楽しさは、万国共通なのかもしれない。  娘の結婚が突然過ぎて、相手のアラ探しをするけど何も出てこない不満。娘の連れてきた男を信頼して落ち着いてる妻にも不満。自分が心配だからって妻まで心配にさせるなんて、良い意味で人間臭くて、良くも悪くも器小さくて、とってもリアル。親同士の話し合いで、酔っ払ってついつい余計な事までべらべら喋るのも、緊張から開放された感も上手い。 招待客1人に付き3.75ドル。1950年の1ドルっって幾らなんだろ?日本円で360円だけど、当時の貨幣価値を考えるとラーメン1杯20円…そりゃ家族で膝を合わせて招待客の取捨選択するわ。1500ドルで駆け落ちの打診なんて、本心じゃないの解るけど、そこまで悩んでる感がとても良く出てる。  ハティ叔母さんのセンス悪い時計から「送り返して!」の流れも綺麗。リメイク作と本筋は変わらないんだけど、やっぱり面白い。自分が式をメチャクチャにする悪夢も、何か本当にそんな夢見そうで怖い。その直後結婚式を不安がるケイを慰める姿が涙ぐましい。自分だって怖いのに。 あれだけ盛大な式のお金を出して、式の当日まで裏方並みに準備をして、教会で花嫁を渡したら、それで役目が終わる。 あぁ、父って偉大。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-06-26 09:18:11)
2.  バトル・ロワイアル 特別編 《ネタバレ》 
~『バトル・ロワイアル』のつづき~  この時のたけしはまだ若くギラギラしていて、出てくるだけで存在感が凄い。原作はあくまで生徒たちが主役で、教師はここまで物語に絡んでこなかったと思う(途中までしか読んでない)けど、映画では主役級の役割を持って登場している。 まるでセリフを喋るように、感情的に話す生徒たち(もちろん演技指導で)と違い、普段の話し方の北野武がまた怖い。桐山役の安藤政信が自らセリフを一切排除した理由も、もしかしたら邦画のセリフっぽいわざとらしさが嫌いだったのかもしれない。  キタノが自分を殺させようとする中川に掛ける言葉「中川、頑張れ」が、自殺した七原の父が書いた「秋也ガンバレ!!」とオーバーラップ(※このキタノのセリフのシーンに、七原の父のシーンを流してしまう親切さが余計。だけど同世代の子供に観せたいという意図があったろうから、敢えてだろうけど)する。 自分が死ぬ。となった時、当然生きるよう努力すると思う。それが無理だと悟った時、冷静であれば、生きられない自分の代わりに、特定の誰かに何かを託したくなるのかもしれない。クサイ話だけど、生きた証を誰かに託す行為。 子供たちも、42人のうち41人が死ぬルールから、自分が生きる可能性が限りなく低いなか、僅か15年の人生の知恵を絞り、生きる努力、生きない決断を自分で選んでいく。子供たちの死に様をみせる映画から見えてくる、子供たちの3日間の生き様。 GPSを持った杉村が、片思いの琴弾に好きだと伝えたくて奔走する。誤って自分を撃った琴弾に「逃げろ」という気持ち。好きな子に気持ちを伝えることに残りの命を使う気持ち。そんな事ができる子供たちだから見えてくる、どこかに忖度のない、残りの人生の使い方。彼らより長いこれからの人生を私がどう生きるか、とても考えさせられた。 最後に「走れ。」とメッセージ。詰め込み過ぎと言うか自己満足と言うか、邦画らしいダサさがまだ残ってる。  今回買ったDVDが特別篇と書いてあって、追加シーンがあるんだそうだ。観たのもう20年近く前だし、公開版とどこが違うのか、調べないと解らなかったけど、物語に深みを持たせる回想シーンとかが追加されているようだ。殺し合い中の他の生徒の動きとかは特に追加がなかったのは残念だけど、バスケのシーンも相馬の過去も、悪くなかったと思う。  当時あれだけセンセーショナルだったこの作品だけど、今だったら数あるシチュエーションの一つに過ぎない。この作品以降、必然性もなく人の命を使った、殺人ゲーム的な作品がたくさん出てきた。多くの作品が『私だったら“このゲームを”どう生き残るか?』って、今置かれている理不尽な状況からの生還を考える程度に過ぎない。 「人生はゲームです」今置かれている特異な状況だけに収まらず、これまでの生き様まで踏み込んだこの作品は、先駆者にして稀有な存在に思える。
[DVD(邦画)] 8点(2022-01-16 16:05:04)(良:1票)
3.  バトル・ロワイアル 《ネタバレ》 
当時は洋画ばかり観ていたから、もしかしたら初めて劇場で観た邦画かもしれない。お金の掛かってない邦画はテレビやレンタルで観るもので、わざわざお金を払ってまで…って考えで。 原作本が出る時にたまたまラジオで「中学生同士が殺し合う小説」って聞いて、何とも悪趣味な内容だなって思ってた。それが社会現象になって、映画化が決まって・・・テレビでは当然、肯定的な意見なんて取り上げられず、青少年への悪影響ばかりが取り沙汰されていたと思う。やはり中学生が、それも同じクラスの友だち同士に殺し合いをさせるという内容は、間違ってもコメンテーターが実名で「これ面白いですよ」なんて言えない時代だったと思う。 当時ネットとかあまりやってなかったから、私もテレビとかで言われる通り、表面的な話題性だけの、中身のない作品だろうと。当時流行っていたエヴァの亜種のように、気分が滅入るような殺し合いをネチネチ描写したものだろうと思っていた。 ただ怖いもの見たさと興味はあった。私ももう大人だし、この作品を通して何を思うんだろうか?アニメ以外で劇場で観る邦画は、どんなものか。  アクションはやっぱり当時の邦画だなって思った。銃の効果音こそ『バキューン!』では無くなってたけどリアルってほどではなく、まだ撃たれて死ぬ時、「ギャーッ!」って手足をバタバタさせて踊るような演技指導の時代だったから、当時流行ってた韓国のアクション映画に比べて、ひと昔前の作品感。 内容には引き込まれるものがあって、楽しい修学旅行から一転して、軍人に銃を向けられる非日常感。そこに退職したキタノが現れて、淡々と状況を説明される違和感。目の前でいきなり女生徒と親友を殺される恐怖と驚き。このあと時々国信のことを思い出すのがリアル。 有無を言わせず始まる殺し合い、出席番号順に名前を呼ばれ、自分のバッグを抱え、武器の入ったバッグを投げ渡されて、次々と走っていく場面の緊張感は、この映画イチの名場面だと思う。武器のバッグをキタノに投げ返す女の子が忘れられない。42人の生徒たちの個性、それぞれが考えを持って状況を捉えていることが、この映画を単なる“悪趣味な殺し合い場面集”と違うことを感じさせる。  単純に42人の殺し合いだから、2時間の映画では駆け足の殺人シーン・ダイジェストになるかと思ったけど、短い時間ながらそれぞれの個性をよく出せていたと思う。分厚い原作に細かい設定があったからこそだと思うけど。 どう見ても大人な川田と桐山も、殺し合いに参加する目的の、怪しい転校生(留年設定)として、案外違和感なく受け入れられた。何でも出来て安心感のある川田の関西弁キャラクターがホッとさせてくれて、主人公のサポートと、鑑賞者に状況を伝える重要な役割を担っていた。もし七原と中川が状況に振り回されるだけの映画だったら、観ている側も状況を理解するのに余計な時間がかかるし、生徒たちの掘り下げも浅くなっていたと思う。  ~『バトル・ロワイアル 特別編』につづく~
[映画館(邦画)] 8点(2022-01-16 15:59:21)
4.  バットマン(1989) 《ネタバレ》 
クリスマス感を味わいたくて、昔を思い出しながら観ました。 '89年の年末は、ゴーストバスターズ2、ビオゴジ、バットマン、BTTF2が次々公開。2G2B対決と銘打たれ、映画好きには期待感ハンパないシーズンでした。 このなかで唯一続きものじゃないバットマンは、ダークホース的な存在だったけど、プリンスのサントラ・アルバムが先行販売されるカタチになり、あの印象的な黄色と黒のバットマン・マークの認知度も高くなってたのもあって、公開前からとても斬新でとてもオシャレな映画の印象があったっけ。  タイツを履いた子供向けなヒーロー映画のダサい印象を、黒いラバースーツのバットマンが変えたと思う。 今でこそコメディ要素が感じられるけど、当時は影を背負った大人も楽しめるリアルなダークヒーローとして復活させたのもインパクトが有ったし、漫画チックな悪役ジョーカーをアカデミー俳優のジャック・ニコルソンが怪演したことも話題になって、なんか大人が本気で創ったヒーロー映画って感じが良かった。 ヴィッキー・ベール役のキム・ベイシンガーの魅力&脚線美が炸裂。劇中ハイヒール3回も脱いでます。戦場写真を撮っていた設定に対し、すぐ悲鳴を上げるとことか、水を掛けられたジョーカーの背中をポンポンするとことか可愛い。  ティム・バートン作品らしく、メカ、美術のこだわりも強く出ている。退廃的なゴッサムシティのヤバさ、空気感。森の中を走るバットモービルの格好良さ、飛行機(名前わかんない)が月と重なる美しさ。 ジョーカーがヴィッキーにプレゼントするガスマスクのリボンが緑と紫なのとか、凄いこだわりだと思う。  これまた全然クリスマスな内容じゃなかったけど、エンディングに流れるプリンスのスキャンダラスが、セクシーで素晴らしい。 ストーリーがしっかりしていて、それでいてオシャレで、とても満足度の高い大好きな映画の一つです。
[映画館(字幕)] 8点(2022-01-01 18:01:10)
5.  バンク・ジョブ 《ネタバレ》 
-The Bank Job-想像通り“金庫破り”とか“銀行強盗”のスラング。 ジェイソン・ステイサムだし、気軽に観られるクライム・アクション映画かな。と思って視聴。なんか、冒頭の“1970年カリブ海”の字幕を見逃した私が一番悪いんだけど、ず~~っと現代劇だと思って鑑賞してた。テリーはクラシックカーの修理屋で、携帯とかはたまたま使わず、あのゴツい無線機にも違和感を感じず…。実話ベースなのもエンドクレジットまで気付かず…かなり疲れてたのかな、なんかもったいない観方をしてしまったよ。そんな疲れた状態でも眠くもならず楽しめたから、大した映画だ。  仲間集めからプランニング、穴掘り、警官が見に来るピンチまで、銀行強盗もののお決まりの展開だけど、ペストの死者の墓(?)が出てくるとこが、観てる私にも予想外だったので面白かった。サクサクと進む穴掘り。簡単に穴が開く銀行の床に、『(現代劇だと思ってるから)そんな馬鹿な…』って思いつつも、貸し金庫の中身の多様さが面白い。洗ってないパンツなんて、入れるんだなぁ。 無線傍受から警察出動。16kmより細かく範囲を絞れないなか、一軒一軒警官を送って見回るマゴマゴしさから、救急車を止めて無線の様子を探るグッドアイデア。それを覆す無線機落下のアクシデントは、なかなか手に汗握る展開。ワゴン車を変えての脱出成功に一件落着と思いきやの、その後のたくさんの組織、人間が複雑に絡み合った展開が面白い(この辺から時代設定に薄々気がつく)。  テリー、MI-5、警部、ヴォーゲル、汚職警官らがパディントン駅に集合するゴチャまぜの展開はワクワクするし、最後テリーがヴォーゲルをボコボコにするのは痛快。よく出来たクライム・サスペンスだなぁと観終わってからの、実は実話な衝撃。 チキン・インが本当にあったこと、マイケルXによるゲイル・ベンソンの殺害、'70年代のマーガレット王女の荒れようと、ミック・ジャガーとのウワサ…って、そのミック・ジャガー出てるし。知れば知るほど面白い話でした。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-11-22 14:13:44)
6.  バベットの晩餐会 《ネタバレ》 
静かだけどすごい映画だ。ついつい2回連続で見てしまった。 ユトランド。海と草原しか無い寂しい土地。常に灰色の雲の掛かった重たい空。そこで育つ美しい姉妹。高貴な士官との恋愛や、パリの大舞台の歌姫を夢見ることもあっただろうけど、人生を謳歌すること無くただ年老いていく。姉妹も村人も、まるで生まれた時から死ぬ準備をしてきたような敬けんな信者だ。干したヒラメと乾いたパンを、水に浸して戻して煮るだけの質素な食事。この質素な食事が、まるで彼らの味気ない人生のように見える。 そんな村人も、普通の人らしく浮気をしたり人を騙したりもしていたようだ。年老いて人生の幕引きを間近に控えて、お互いにいがみ合う。質素で敬けんな彼らの歩んだ人生は正しかったんだろうか?  野心のまますべての夢を叶え将軍にまでなったローレンスは、人生に虚しさを感じていた。かつて喝采を浴びた歌手パパンは世間から忘れられ、寂しい老後を過ごしている。フランス随一のレストランの料理長だったバベットは、革命で夫と子を失い辺境のユトランドに流れ着いた。華々しく夢を実現してきた彼らの人生の末路。自分の選んだ人生、その選択は正しかったのか?  宝くじはバベットにとって、フランスとの唯一の繋がりである。一晩の晩餐会にその全額を投じたバベット。 村人にとって生涯たった一度であろう豪華な料理が、彼らの心を開かせ、過去の罪を許しあい、輪になって神への感謝の歌を歌う。 かつて無言で村を立ち去ったローレンスは、あれからおよそ50年ののち、マーチーネに告白する。その気持ちを受け入れるマーチーネ。 ヨボヨボだったレーヴェンイェルム婦人が最後、杖も使わず背筋を伸ばし、馬車に飛び乗る。 ローレンスのスピーチ、神の恵みに条件など無い。選択したものは手に入った。拒否したものさえ与えられた。 デザートのいちじくを手掴みで頬張る村人も、丁寧にナイフで切って口にする将軍も、口に広がる味は同じ。どちらの人生も正解だ。 自分で選んだ人生なら、どんな人生にも間違いはない。  タイトルの晩餐会、-Gæstebud=Feast-は“入念に準備したごちそう”だそうな。その晩餐会にバベットは顔を出さない。 この映画のタイトルは、料理を食べることではなく、創ることを表しているんだろう。料理は目で見て味わう芸術を作ることであり、人生も芸術。 神のもとに逝くのが人生の集大成=テーブルに出されるごちそうだとしたら、この長い人生はキッチン=入念な準備と丁寧な調理なのかもしれない。 キッチンで格闘して、料理という芸術作品を作り出す姿こそが、バベットの人生そのものなんだろう。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-11-03 10:40:29)
7.  バタリアン 《ネタバレ》 
~The Return of the Living Dead~生ける屍の再来。バタリアン=大群って邦題も見事。 でもオバンバとかタールマンとかは、今思うと蛇足。頑張ったんだろうけど… 『この映画は真実だけを書いている。そのため人物や団体も全て実名である』「ゾンビの夜って映画知ってるか?アレ本当にあったんだ」なんて、子供だったらアッサリ騙されそうな文言で始まるホラーコメディだけど、当時子供だった私はすっかり騙されたわけだ。 公開時、人気急上昇のシュワちゃんコマンドーとの同時上映で、なんとも豪華な二本立ての新聞広告を見たのを覚えている。 その一年後に金曜ロードショーで放送され、当時の同級生はほとんど観てたんじゃないかな。次の日盛り上がったことと言ったら…タールマンのモノマネするバカ多数。オバンバの声真似するバカも多数。ハーゲンタフ…地元にはハーゲンダッツがないから意味解らない奴多数。ノーカット・ノーモザイクのトラッシュの全裸踊りに度肝を抜かれたもの多数…あぁ楽しかった。 でも観てる間は怖かったな。救急隊員が多数のゾンビに襲われるとことか、オバンバの背骨がゴツゴツ動いて、透明な髄液みたいなのが滴ってるリアルさ。手足のないゾンビが走るの、障害のある役者さんだろうけど、細かく動いてビックリした。 この映画も夏の風物詩として毎年見ているけど、当時も今も楽しく観ている。 フランクの顔芸とジョークの上手さ。社長と葬儀屋の憎めないキャラ。オッサン3人がとても上手い。ゾンビを焼くよう頼まれるシーンで、アーニーが破れたズボンの裾をハサミで切るシーンの間がいい。 死後硬直の前フリのも後に活きるし、アーニーの葬儀社が“復活の家”葬儀社というのも面白い。 建物内に釘や板がたくさんあって、ゾンビから隠れるには最適の家。 フランクが脳みそを食いたい欲望に勝って、妻(指輪)に別れを告げて、自分で焼却炉に入る場面は悲しすぎる。単なるコメディでは片付けちゃいけない、ホラー映画の名シーンじゃないだろうか。 しゃべる。走る。道具も使う新しいゾンビ。これはこれで、ロメロゾンビと違うくて、逃げられなくて怖い。 結末も怖かった。ミサイル(CGっぽいけど、年代からアニメーションだろうか?)が火災を起こし、酸性雨と混ざってゾンビを増やす原因になるなんて、ホラー映画として見事なオチ。 今回気がついたんだけど、ドラム缶の煙を吸ったバートとフランク、トラッシュはゾンビになった。けどゾンビに頭を噛まれたスーサイドとスクーズはゾンビになってない。あと救急隊員も。この世界では脳みそを食われるとゾンビにはならないっぽい。
[地上波(吹替)] 8点(2021-07-28 01:04:43)
8.  パラサイト 半地下の家族 《ネタバレ》 
半地下の家に驚いた。生活スペースより上にトイレがあるなんて…たぶんあの高さでないと汚水が逆流するとかなのかな。と思ったら洪水で逆流してた。 家族公認で上の住人のWi-Fi盗んだり、食事もジャンクで、バイトのピザの箱組みも雑。ピザ箱は4個に1個失敗してるから、家族の誰かが雑なんだけど、他の三人が修正したりしない。アレでは家族揃って不景気の波をモロに浴びても仕方ないと思える。 奥様の家庭教師審査をあっさりクリアするギウ。芸術に関してもっともらしいこと言って奥様の共感を得られたギジョン。彼女は嘘の演技も証明書の偽造もうまい。メルセデスをスムーズに運転する寡黙なギテク。何でこの才能溢れる家族が揃って失業してるんだろう?ピザ箱くらいきちんと折れよ。 チュンスクの家事料理の腕前まで合格となると、ちょっと話がうますぎる。この奥様(ヨンギョ)はギウ達の話を鵜呑みにしてばかりで、自分で調べたり友人から紹介受けたりしないのか?まぁ、テンポよくサクサク進む小気味よさもあるけど。逆に、韓国の金持ち家族は他人とコミュニケーションを取らないのかもしれない。主にダヘだが弟や家政婦の秘密をべらべら話してしまう。最後のパーティで急に友人たちがたくさん出てきたけど、きっと上っ面の付き合いばかりなんだろう。 地下室が出てきたときは驚いた。北朝鮮との戦争対策か、なるほど納得そういうモンかもな、説得力がある。元家政婦さんの北朝鮮ギャグ面白い。 洪水で避難したときの、ギテクの『計画とは?体育館で泊まる』の話。これは災害とかで日常生活を突然に奪われた経験のある人は、そうだよなって思ったんじゃないかな。 そんな災害なんて他人事、誕生パーティの準備が楽しそうな奥様。これも仕方ないよな、住んでる世界が違うんだから。 妻を殺された地下男の復讐。家庭教師なんて良いから鍵をよこせというご主人。これも、仕方ない。と思う。この子の親だからな。 出来れば、地下夫婦も半地下夫婦もそこそこ幸せな最後になればと思っていたけど、この悲しい結末も納得できた。 父のモールス信号から、将来金持ちになって父を助けるなんて、また計画を建ててるギウ。無計画という父の最後の晩の言葉はどこへ。  結構、国民性を自虐的に(開き直って?)表現してるのに好感が持てた。 のっぺり顔の主人公キム一家と、俳優やアイドルみたいに整った顔立ちのパク一家。整形が普通の国なので、お金のある人は良い顔も手に入れられるんだろう。血まみれ展開は想像できたが、金持ち夫婦の結構生々しい性描写、万人ウケを狙って保守的になってないのが良い。見といて良かった。
[地上波(吹替)] 8点(2021-01-29 14:05:01)(良:1票)
9.  花嫁のパパ(1991) 《ネタバレ》 
“Father of the Bride”邦題まま。 OPで流れるシャンパングラスの泡が観ていて飽きない。'90年代の映画にしてもシンプルな内容で、どこか古典映画っぽい心地良さがあると思ったら、エリザベス・テイラーの『花嫁の父('50)』って映画があったのね。うん、これは是非観てみたい。  結婚の報告をするアニーを見る両親二人の対比が面白い。表情豊かに発せられる言葉に反応するママと、ハナから結論を出して固まっているパパ。パパが「ごめん、なんて言った?」のあと「結婚するの」って言うアニーが子供になってるのが、あぁ、パパには自分の娘が幾つになってもこう見えてるんだな。って納得してしまった。 本気の1on1の本気具合が父娘の仲の良さをヒシヒシ感じさせる。 サボテン・ブラザーズ以来の共演、マーティン・ショートが出てきてからの、濃ゆい笑いも結構好き。  “50年ぶりの寒波襲来”のナレーションに、どれだけハチャメチャな結婚式になるのかと思いきや、結構まとまった綺麗な式に仕上がっていた。パパはてんてこ舞いだったけど。 入場曲のカノンを聞いて、新郎新婦のキスを観て、ライスシャワーを観て、披露宴を観て、ブーケ・トスを観て…結婚式って、良いなぁ…って思った。自分たちの晴れの舞台をみんなに見せる。家族が主演となって新郎新婦を盛り上げる。娘を手放す父親の悲しみを披露宴の盛り上がりで打ち消す。結婚式って、世界共通の大事な家族儀式なんだなぁ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-04-18 21:54:41)
10.  博士の愛した数式 《ネタバレ》 
人生初の国際線の機内で観ました。まだ劇場公開中の映画が観られるなんて、すごいなぁって思いました。そんな思い出補正もあるんだけど、結構好きな映画です。 邦画ってお色気シーンがあるものと思っていたから、ちょっと敬遠していたんだけど、この映画はそういうのが無くてスッキリ楽しめました。それこそ、劇中のルートくらいの子に観てほしい映画。 絵に書いたような素直な学生たち。悪意なくからかわれて人気者の先生=最初の授業っぽいけど既に√ってあだ名が浸透してるとか、まず無い。 理解ある家政婦紹介所とお義姉さん=派遣に子供連れて行って一緒に御飯とか、現実問題無理だろう。 博士を受け入れる少年野球チーム&背番号の変更=背番号は杏子が事故のことで監督と取引したのかも? なんて、私みたく斜に構えた観方ではなく、子供だったらこの映画がすぅ~~っとまっすぐに入ってくるんじゃないかな?  階数、素数、完全数、π、i、e。算数の段階から数字が苦手だった私でも、数学の面白さや神秘性が伝わった。なんかこんな話を学生の頃に聞いていれば、もしかしたら苦手意識無く楽しく学べたかもしれないな。この映画をキッカケに、数学の楽しさを探究したくなる若い子が出てくると思う。 そして記憶を持ち続けられない博士との交流は、人を思い遣る気持ち、人を悲しませない付き合い方を知る、とても良い学びの機会になっていると思う。 ルートが怪我をした時の母親の一言。博士におぶさって、母の被せたキャップをはたき落として気持ちを示す一連のシーン。謝る母親をちゃんと許すところとか、10歳にしては大人すぎてるとは思うけど、やっぱりジーンと来てしまう。…しかし、ほんと吉岡秀隆ソックリな子役を見つけてきたモンだわ。  せっかく主人公を杏子からルートに変更したんだし、純粋に子供向けに創っても良かったのに。 お義姉さんの話は子供には難しいんじゃないかな。それこそ自分たちの曾祖父母(?)の年代の恋愛話だから、子供はどう観るんだろう? 17年前の事故から時間が止まっている博士だけでなく、未亡人もまた、時が止まっているように思えた。1986年の話のようだけど、その年代から観ても古いお屋敷に、和服を着てキッチリ化粧をした未亡人。彼女には老いていく自分を博士に見られたくない気持ちがありながら、博士ひとりを17年前に置いていくことも出来ない優しさ、そして罪の意識から自分からは何もしてやれない悲しさが感じられる。  杏子に対する博士の思いも気になった。事故にあった時、博士は47歳だったそうだ。 杏子は28歳。明るくて屈託なく、グイグイ来る性格。ん?ルートは杏子が18歳のときの子か。で、18歳から家政婦やってるのか。 熱中症から目覚めて、自分の記憶が保たないことを知って悲しむ博士。杏子の手を握り、女の手の暖かさを知る。 そしてこのあときっと鏡を見て、自分が既に64歳の老人になっていることに気がつく。 気持ちは47歳なのに、目覚めたら64歳になってる博士は、28歳の杏子に対し、恋愛とはまた違う何かの感情を感じていたんだと思う。 220と284は友愛数と教えた博士。友愛数は親和数とも言うそうだ(※もちろん知ってたんでなく、調べました)。 だけど敢えて“友愛”の方を伝えるあたり、恥ずかしがり屋の博士の気持ちが込められていたのかもしれない。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2022-09-12 22:52:39)
11.  バグダッド・カフェ 《ネタバレ》 
毎年1~2回、温泉目的で通る国道の、何の用事もない通過点の、いつもそこにある古いドライブイン。何度も通るから存在は知っているんだけど、一度も入ったことはない。『そういやあの店、昔からあるよな…潰れもしないで』『どんな客が使って、いったい何が食べられるんだろう…』『あの場所で暮らす人って、どんな人生歩んでるのかな?…まぁ、私には一生関係ないか』なんて、お店に立ち寄ったり、入る気なんてさらさら無いんだけど、ふとそこに住む人の人生が気になる事がある。バグダッド・カフェもそんな存在なのかな。どこかからどこかに向かう道にあって、殆どの車が前を素通りするだけ。ただ通過点に存在するだけで、それ以上の関心を惹かない店。  -Out Of Rosenheim- “ローゼンハイムから離れて”。 実在の地名だけど、なぜ劇中一度も出てこないジャスミンの故郷がタイトルなのか? 原題からこの映画は“ただ通過される側”の視点から描かれた異色のロードムービーなのかな?って思った。 そしてエンドロールで最初に出てくるのが、監督でもキャストでもなく、挿入歌“コーリング・ユー”。この映画を象徴するジェヴェッタ・スティールの幻想的な歌。この映画は映像より先に歌から出来た作品なのかもしれない。  舞台はカリフォルニア州のバグダッド(これも実在の地名)。ピカピカなお揃いの旅行バッグから、この中年夫婦は新婚旅行の最中だったのかもしれない。 道に迷ったか、行き先で揉めたんだろうか?アッサリと喧嘩別れしてしまう夫婦。 “コーリング・ユー”から生まれた映画だとすると、目的地のラスベガスとは逆方向に向かうジャスミン。本来は通過するだけだったモーテルに泊まることで観えてくる、触れ合う予定のなかった人々。何年もそのまま、そこにある建物。ただ車が流れ行くだけの国道。何の変化も起きないような、ずっと変わらないようでいて、ゆっくり流れていく時間。だけどたまたまそこに住み着いた人たちにも、それぞれの人生がある。  ジャスミンの手品が評判になり“ただ通過される店”が“立ち寄る価値のある人気スポット”に。彼女の手品とみんなの調和が生んだ大きな変化。 「Too much harmony(調和とれ過ぎなんじゃ!)」と去っていくデビー。みんな仲良く調和するよりも、些細な揉め事が絶えない、徐々に退廃していくギスギスしたカフェが良かった人もいる。 ローゼンハイム(薔薇の家庭)から始まったジャスミンの旅。目的地ベガスに行くこともなく、前夫もドイツ国籍も捨てて、アメリカ人と結婚という想定外の終着点を迎える。私には一生関係のない通過点のお店で、そんな人生を過ごしている人達が居るのかもしれない。…なんて考えさせられた一本。
[ビデオ(字幕)] 7点(2022-03-24 00:39:13)
12.  バニー・レークは行方不明 《ネタバレ》 
~Bunny Lake is Missing~邦題ズバリ。 ダフネ先生は見つからない、見守りを頼んだドイツ人の料理人は辞めてしまう、目撃者はゼロ。バニーちゃん行方不明からの描写が丁寧なぶん、アンと共に不安になり、スティーブンと共に苛立ってしまう、丁寧で上手な観せ方。 園長室の異世界っぷり。マイペースなフォードお婆ちゃんといい、軽快な音楽といい、まるで別な映画、千と千尋の湯婆婆の部屋みたいだ。 アンの家も異世界になっていた。ネチネチとアンに絡んでくるホレイチョ・ウィルソンの気持ち悪さは鳥肌モノ。なぜあの家主の家を選んだか。 ジャンケット(フルーチェみたいなものだろうか?)食べながら、一見、回りくどい捜査をしているけど、ズバズバ核心をついてくるニューハウス警視。この人が主要登場人物の中で唯一(?)の一貫した良心の持ち主だと後々気がつく。 スティーブンの豹変ぶりに驚き、それを受け入れてるアンにもっと驚く。何だこの兄妹?この映画の“時代の先取り感”は何だ?モノクロだけど'65年作品だから、カラーの時代のモノクロ作品。 “初日の部屋”“人形の病院”耳に残る名前。「みんみ~~」人形の声可愛い。 バニーちゃんは4歳だから、5年前にアンがちょっと付き合ってた学校の友達が父親。って事だけど、やっぱスティーブンが怪しい。近親相姦的な…そうなると一番不幸なのはバニーちゃんか。 最初から成立しようのない“バニーちゃん=架空の友達”説。でも観ているとバニーちゃんの存在が怪しく見えるから不思議だ。一度も登場してない、都合よく写真もない。 ガラスを割ってバニーちゃんを助けに入るアン…と思いきや、保育園からバレずに誘拐したスティーブンを褒めてる。いきなり飛び込んできたアンに驚かないスティーブン。もしかしてこの事件全体が兄妹の遊び、行方不明ゲームなのか? しかし何故、アンがブランコでスティーブンの気を引いてるとき、バニーちゃんは人形を抱いて寝たふりをしたのか?そしてどうしてそれを劇中丁寧に流したのか?4歳児の気持ちになって考えてみなくては…
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-07-09 23:34:56)(良:1票)
13.  バンド・ワゴン(1953) 《ネタバレ》 
~The Band Wagon~『時流(に乗れ)』って名前の劇中の舞台劇。 この一年くらい、過去にあまり見てこなかったミュージカル映画を観るようになったけど、この映画を見てアステアのダンスの凄さが伝わった気になった。 靴磨きのダンスがいきなり凄い。前半は磨き台の上だからほぼ足の動きだけで踊って見せる。その動きの多彩さ・華麗さに驚いた。 アステアの身体の使い方を観ると、特に足もと、大きな動きの前に小さな予備動作?が入ってるんだけど、一連の動作に無駄がなくて美しい。相当体幹が優れてないと出来ない動き。 それを涼しい顔してやってのける。細かく大胆に動く下半身に対し、上半身は優雅で滑らか。公園でガブリエルとのダンスの美しいこと…こんな書き方しか出来ないけど、とにかくスゴイなって思えた。  当時のゲームセンターって手作り感が面白い。あの“?”の箱にあんな仕掛けがあったなんて。 公園で社交ダンス(無料参加イベント?)してるのも、当時はそういう文化があったのかな? コードバのキャラが魅力的。なんかスポンサー相手に、熱心にファウストを説明するコードバに声を出して笑ってしまった。良いキャラだなぁ。 最悪の初対面をしたトニーとガブリエルがだんだん仲良くなって、吸えないタバコを勧められてぷかぷか吹かすガブリエル可愛い。 大失敗の公演初日のあと、無人のパーティ会場と、若い団員の打ち上げの対比。そこからの方向転換、仕切り直しで盛り上げるトニーと、舵取りをトニーに譲るコードバの柔軟さが良い。最後のプログラムをめくる毎にミュージカルナンバーを流す演出も良かった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-06-07 15:32:44)(良:1票)
14.  80日間世界一周 《ネタバレ》 
制作された1956年でさえ、世界を一周できる人は限られた人だけだったろう。だけど決して実現不可能ではない時代。夢が広がる世界旅行。 気球に乗ってパリへ…テーマ音楽を聞くと幼少期の日曜の朝を思い出す。兼高かおる世界の旅…パンナムのジャンボジェット…は出てこない。そんなのがない時代、1872年(明治4年)の物語だと言うから驚きだ。 ロンドンから西欧、インド、香港と進むが、考えたらイギリス・ロンドンから、インド、東アジアの端っこ香港まで、大英帝国の領地だったのって凄いことだな。そして日本・横浜が当時ももちろん独立国家だったことも、当たり前だけど凄いことだ。 国によってちょっと冗長に思えるが、海外ロケの費用なんかを考えると、仕方ないかな。 全財産を湯水の如く使うのも豪快。特に最後の、燃料が切れるパドル船を解体しながら突き進む姿は熱く、冒険旅行のロマンに溢れている。 それゆえ、フィックス刑事にあのタイミングで逮捕される展開が、フォッグ達と一緒にがっかりできる。 日付変更線のくだりは、海外旅行が割と一般的な今だからこそ「え?それ計算してなかったの?」ってなるが、公開当時は「そうなんだ!」ってなったろうな。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-03-13 11:39:00)
15.  バルカン超特急(1938) 《ネタバレ》 
~The Lady Vanishes~消えた女。 調べたらバルカン半島から東欧経由ドイツ行を『バルカン列車』といったそうで、映画のはロンドンまで行く(ドーバー海峡はどうするんだ?)そうだから、架空の超特急だと思う。 ドイツ圏の架空の国バンドリカ。オープニングのミニチュアの街が結構よく出来ている。世界大戦直前の1938年だから雪山ロケなんて出来なかったんだろう…というか舞台はホテル内、田舎の駅、車内、森の中、都会の駅くらいか?お金掛かってないなぁ。走る列車もミニチュア模型だ。 メイド部屋で1枚のパジャマを上下に分けるイギリス紳士2人、キャラが立ちすぎている。でもまさかの『お色気担当』と思ってたワガママ自己中金持ち女の1人が主人公。 さっきまで話してた人が消える。周りの人は“そんな人いなかった”という。昨日のいけ好かない男が助けてくれる。席に戻ってきたという女性は別人だ。なぞなぞみたいにシンプルな謎だけに興味が湧いて先が気になる。 自分の記憶違いか?と思うようになるアイリス。ハーブティーの件と窓のFROYを見つけるがギルバートに見せる前に消え、絶叫と汽笛が重なる辺り、独りアウェイなアイリスがちょっと可哀想になる。 貨物車両辺りからテンポが良くなる。子牛、魔術師ドッポの看板、消える箱、ホームズとワトソン。掛け合いが楽しい。協力者ギルバートがどんどん良いやつになって、アイリスはどんどん可愛く見える。薬を盛られたと思って背伸びの運動してるアイリスの微笑ましいこと。あーコレTRICKだ。山田と上田コンビに感じた面白さだ。 格闘とか銃撃戦とかあって、ゆるーい空気で事件は解決、敵側の良い人修道女も無事、フロイも生きててハッピーエンド。良かった、良かった。…あれ?車内の敵士官はどうした? 勢いで作った映画っぽいけど、お金掛かってないけど、粗探せばボロボロ出てくるけど、すげー面白かった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-01-29 17:33:25)
16.  バーン・アフター・リーディング 《ネタバレ》 
“Burn After Reading”『読んだ後燃やせ』。機密文書などで使われるフレーズらしい。 執筆中の暴露本の中身を何故知っているのか?ロシア大使館にリークした情報が何故CIAが知ったのか?クローゼットに入っていた男は誰か?コッチは全部解っていて観るから、登場人物の行動が滑稽に、バカバカしく観えてしまう。 CIAの最終決断がタイトルに繋がる理由がもう、早い話『面倒くさいから』なのも面白い。  ブラッド・ピットは見るからにアホな役をしているけど、ジョン・マルコヴィッチは凄い立場だったのかと思いきや、実はそうでもなかった人も出てくる。個人的に、『セッション』の印象から性格がしつこそうなJ・K・シモンズが事なかれ主義だったり、『俺がハマーだ!!』の印象から破天荒そうなデビッド・ラッシュが気を使う立場の中間管理職だったりが、なんか面白かった。  みんな自分の立場で、時に真剣に、時に命がけで精一杯アホなことをしている。そのアホの連鎖のそもそもの引き金が、自己満足に近い美容整形代の為。というのも、どうにもこうにも…コックス、ハリー、リンダのその後がどうなったか?が気になるっちゃ気になるけど、それこそ“Burn After Reading”なんだよね。ってオチなんだろうな。
[インターネット(字幕)] 6点(2023-03-26 18:24:21)
17.  バットマン リターンズ 《ネタバレ》 
大ヒット作バットマンの続編なんだけど、今回バットマン=ブルース・ウェインにはあまりスポットが当たっておらず脇役扱い。前作から3年しか経っていないのに、早くもスピン・オフ感が出ています。 じゃあ主役は誰か?キャット・ウーマン?ペンギン?マックス・シュレック?どれも一癖二癖ある悪役だけど、3人もいっぺんに出てしまったため、前作のバットマンにとってジョーカーほど強敵感が出なかったと思う。 キャット・ウーマン単体でも映画になったと思うけど、彼女が徹底した悪じゃないことと、クリスマスにヒーローが女性を痛めつける映画はどうだろう?って感じで。かと言ってマックスは表向き普通の人だし。やはり怪人を出したいってことで、ペンギンをくっつけたのかな?  マックスは置いておいて、キャット・ウーマン、ピッタリしたラバースーツはとてもセクシーで魅力的。鞭さばきも華麗で格好良かった。変身前のドテドテ歩く野暮ったいセリーナも可愛くて、ミシェル・ファイファーにピッタリの変身キャラだったと思う。これだけ魅力的なキャラを1回で終わらせるのは惜しい気が…9つの命ももっと掘り下げてほしかったように思う。 ペンギン。手や鼻に限らず、服の下の体型が異形で、幼い頃に捨てられた理由も解る。けど彼がどうやってサーカスギャングを率いたか。また傘のプロペラ飛行装置や、ペンギンミサイルの高度な科学力・財源が不明で突飛だったので、もう少し知りたかった。 勝負はバットマンの圧勝なんだけど、それぞれの物悲しい最後は見事で、こんなクリスマス映画も悪くないなって思った。  しかしゴッサムシティって、あんな変なギャングがウジャウジャいるのが普通なのかな?前作では普通のマフィアがいて、ボスになったジョーカーの趣味に下っ端が付き合わされてた感があったけど、本作はいきなりピエロだもんな。あ、でも犬と御婦人は面白かった。あの時犬が咥えたブーメランが、後のプリンセス誘拐の伏線になってたし。 人間(ペンギン)と意思疎通できるペンギン軍団も、前作の世界観から飛躍していて、最初ちょっとついて行けなかった。でもどれがCGでどれが人形かわからない大量のペンギンは、観ていて癒される。 あとニクソンとかベトナム開戦とか、アメリカの史実が単語として出てきたのも意外だったかな。 前作にあって本作にないもの。プリンス。当時のメディアミックスの成功例だったバットマンが、映画単体になってしまった。
[ビデオ(字幕)] 6点(2022-05-30 12:21:00)
18.  バベル 《ネタバレ》 
-babel- “言葉の混乱”。 ベルベル語、英語、スペイン語、日本語、そして聾者。言語や言葉の違いに混乱する映画にも取れるけど、劇中そこまで言葉のコミュニケーションで困ってる様子はない。旧約聖書の時代とは異なり、バスには英語を話すガイドが乗っていて、移民の家政婦は二ヶ国語を話せて、聾者は筆談や唇を読んでコミュニケーションを図る。 -babelize-で“混乱を引き起こす”となるようだ。子どものたった一発の“試し撃ち”がテロ行為と誤解され、外交問題にまで発展し、世界中のニュースになる。 飲酒運転を誤魔化そうとした結果、子供を誘拐したと誤解され、不法入国の逃亡者になり、幼い兄妹の命に関わる事件を引き起こす。 警察が父を訪ねてきた事を、母の自殺を疑っていると誤解した娘。…でも何故日本?=銃による犯罪が少ない平和な国だから。かもしれない。  菊地凛子の聾者演技は素晴らしい。けど、今ひとつ事件(この映画のテーマ)との関わりが見えてこない。チエコはまだ処女なことに劣等感を抱いている。「あんたの親父とヤッて機嫌直す」。歯医者、刑事と年上との関係を求めるところから、父親への近親愛があるんだろうか?近親愛はお姉ちゃんの裸を覗くユセフにも観られたし…なんて書いたけど、どうも違うような気もする。 勇気を出して裸になっても誰も自分を抱いてくれない孤独。異性と上手くやってる親友と違い、バカは出来ても一歩踏み出せない自分。父親の家族愛しか知らない寂しさ。って感じだろうか?  日本人所有の銃で、モロッコの遊牧民の子に妻を撃たれ、アメリカに置いてきた幼い子供たちはメキシコの国境で死にかける。 ジョーンズ一家のワールド・ワイドな災難とも言えるけど、異国の登場人物のなかに、故意に人を傷付けようとする人は一人も居なかった。 スーザンを献身的に看病するガイドと老婆。一方で何も協力せず自分の身の安全ばかり考えるアメリカ人観光客。 必死になって救助を探すアメリア。妹のレイチェルが子守を引き受けさえすれば、アメリアも子供たちをメキシコに連れて行くことはなかった。 観光客もレイチェルも、同じ英語を話すアメリカ人同士なのに、言葉は通じるのに助け合わない。 別れ際、ガイドに現金を渡すリチャードと受け取らないガイド。心に対する感謝の気持が現金。 綿谷がハッサンに感謝の気持で渡したウィンチェスターM70。アメリカ製のライフルが、巡り巡ってアメリカ人を傷付ける。 現金と銃。世界に混乱を引き起こすのは言葉の違いではない。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-03-02 01:19:39)
19.  バックドラフト 《ネタバレ》 
冒頭の1972年再現映像がすごい。制作年から約20年前なんだけど、やっぱりハリウッドはスケールがデカいと実感する。 そしてカート・ラッセルそっくりなお父さん役の俳優さんだなと思ったら、本人だった。 主人公の仕事を魅力的に描く映画の中で、消防士ものでは今でもこの作品が一番に思いつく。火災現場や交通事故の救助活動。出動シーンから訓練シーン。憧れの職業のコマーシャル映画として、消防士の格好良さを余すところ無く魅せるぜモンタージュ♪ 犯人が現役消防士なことより。消防車の上でイチャイチャなんて、よく消防局の許可が出たものだと思うけど、ホースの束が案外ふかふかしてそうだな。なんて観ないとわからないことを教えてくれる。 悲惨な火災現場でジョークや歓喜の声を飛ばすのは『あんな怖い現場にグイグイ入っていけるアメリカ人のメンタル、すげぇ』って思って観てた。今でこそ不謹慎かもだけど、当時は違和感とかは感じなかったな。 スティーブンは思いのほか優しく見えて、厳しさも常識の範疇に思える。むしろ初見時より弟への愛情が感じられる。確かにちょっと短腹だけど。むしろブライアンの言い分「ティムと同じに扱え」とか、そこは解ったうえで、飲み込んで頑張れよと思う。 CGが世に出だしたばかりの当時だけど、生き物のような炎の演出は今見ても見劣りがない。CGよりカメラワークが良くて、最近の『カメラの寄りすぎや斬新すぎる構図で、観てて何が起きてるか解らない。』と言うことがなく、水位が上がっているなぁ、床が抜けていくなぁ。など、何が起きているか解る演出が嬉しいのが、意外な発見だった。
[ビデオ(字幕)] 6点(2021-03-28 15:11:51)
20.  運び屋 《ネタバレ》 
~The Mule~麻薬の運び屋。頑固者。運搬用のラバ。う~ん、どれも当てはまる。けど、トランスポーターみたいなカッコいいアレでは無い。 麻薬の運搬ってかなり重たい犯罪だろうけど、何かほのぼのした話。 ガレージの三人組は気さくな連中だし、フリオはピリピリしてるけど根は良いヤツ、殺す殺す言ってたコワモテのヒゲも、最後はボスに懇願してくれた。今まで蔑ろにしてきた家族との絆も回復して、罪を償いながら、大好きな花の飼育をしながら刑務所で余生を過ごす…悪くない老後。 わざわざ俳優復帰してまで、平凡なほのぼの爺さんの犯罪映画作るなんて、イーストウッド丸くなったなぁ…  アールは娘の結婚式の日さえもすっぽかし、仲間だけでなく他の結婚式の一団にも酒を奢るクソ野郎。 そんなクソ野郎が、死ぬ間際の歳に大金手に入れて、元妻の死に目を看取ったからって娘に許されるのか? なんかモヤモヤする。 違和感を感じたのが、アールが捕まる時の顔の傷。たまたま転んだ?誰かに付けられた?何で説明が無いんだろ? 誰かに傷付けられたとしたら、やっぱコワモテのヒゲだろう。アールを気に入って命を救おうとボスに連絡してるっぽいのに、痛めつける必要があるか?何か違和感。コワモテのヒゲやフリオ、組織のその後が描かれないのもすげーモヤる。  (BDの特典映像とかで説明されてるのか?そうでないなら)…このクソ野郎、もしかして自分に都合悪い事は目を瞑ってるんじゃないか? 男で90歳は平均寿命より長い。普通なら死んでる年齢まで娘に嫌われたヤツが、今さら許されるだけの何かをしただろうか? コイツは麻薬の輸送で手に入れた汚い金で、まず自分の新車買って、次に自分の農場を取り返す。外面良く見せたいから焼けた施設の修復。そして女遊び。優先するのは自分と外面…本当にクソ野郎。 アールのデイリリーは大人気で優勝。スピーチジョークで会場を大爆笑させ、女二人相手に朝まで喜ばせ、フリオは美味いバーガーに喜び、カタギになる話を真剣に受け止める…自己中って自分がやった事は、さも素晴らしい事したように大袈裟に言うんだよな。 娘の「感謝祭に来てね」も、単なる社交辞令をクソ野郎が都合良く解釈してるだけじゃないか?「ジェームズ・スチュワートに似てるね」なんて言われて嬉しいことは忘れないけど、都合の悪いことは目を瞑る。 『自己中クソ野郎は死ぬまでクソ野郎』って映画を、クソ野郎側の一方的な視点でサラッと作ってみたんだとしたら、イーストウッドってやっぱすげーわ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-02-17 20:40:16)
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