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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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1.  フルメタル・ジャケット 《ネタバレ》 
「突撃」に並ぶキューブリックによる戦争映画の傑作。 初見には重い戦争映画、二度目は「博士の異常な愛情」に通じるブラック・ユーモア。ハートマン軍曹とのやり取りは面白いし、戦場の報道部にはスヌーピーだわPT&ミッキーマウスでマーチ(行進)だわ。 彼らにとって訓練から既に戦争が始まる。 海兵隊訓練所における狂気、戦場での狂気。 冒頭は軍隊に入る兵士達が頭を刈る“儀式”から始まる。みんな憂鬱そうな表情で自分の髪とさようなら。 そこからハートマン軍曹による愛ある?薫陶(罵詈雑言)。「親のファ●クでシーツに残ったシミが貴様ら」だなんて言われたらヘコむ。このシーンで爆笑できるようになった人は立派なキューブリックファンです。俺も2回目見た時は爆笑し通しだったわ。あそこまで言われたらもう笑うしかねえww 「マスターピース」を暴言に出来るのはハートマン軍曹だけだと思う。 微笑みデブ(アーニーパイル)も黙りこむ。ジョーカーだけが彼を本名のレナードで呼ぶ良心。ハートマン軍曹は厳しくも彼を見捨てなかったが、ソレが他の訓練兵に憎悪を抱かせレナードに向けられ、微笑みデブは徐々にキリング・マシーンへと変わっていく。 後半のヴェトナムの戦場。「プラトーン」は密林、この作品は市街戦。 上司が次々に死にまくり、異教徒を殺すように機銃を撃つ輸送ヘリのドア・ガンナー、死体にパーティー、見えざる敵と戦う市街戦という名のコンクリート・ジャングル。そんな地獄で戦う彼らにインタビューする報道者たちは何を思うのか。 クライマックスを飾る狙撃者との息詰まる攻防。狙撃者の視点から語られる孤独な戦い、ジョーカーたちも倒れた仲間のために敵の根城に突っ込み“お礼参り”。ビルの中には他に誰かいるかも知れない・・・その緊張が最後まで持続するから凄い。 闇夜のミッキーマウスマーチ。彼らにとっては終わりが迫る喜びの歌、だが原作小説では彼らの戦い、いや地獄はまだ続く。まったく戦争は地獄だぜ。 その後にローリング・ストーンズの「黒くぬれ(Paint It, Black)」を聞くともの凄く切なくなるんです。 昔のキューブリックだったら腰振りのマネだけじゃなく本当に狙撃兵に死姦をかますとかヤッてたかもね。
[DVD(字幕)] 9点(2016-11-01 19:09:31)(笑:1票) (良:1票)
2.  ブレードランナー/ファイナル・カット 《ネタバレ》 
退屈だけど、凄く良い映画だと思う。 この「ブレードランナー」ほど観客の視覚に全てを委ねる映画は無いだろう。 公開当時からスゲエ綺麗なのに、回を増すごとにより画質が向上するんだから凄い。 冒頭の迫力ある近未来の情景。空からは燦然と輝く美しさがあるが、デッカードたち人間が住む地上は混沌とした街。言語と人種が混じり、食文化もごっちゃごちゃ。 酸性雨が降りしきる喧騒な街だが、そんな街に侵入者が見えない恐怖となって潜む。 危険を犯さなくなった人類は、自分たちの代わりに働くレプリカントという機械生命体を産んだ。 彼らは太古の奴隷がそうだったように、散々コキ使われ歯車のように捨てられる消耗品だ。労働、風俗・・・人間はどんどん堕落する。 だが「レプリカント」たちはただの「歯車」じゃない。 人間のように感情を持ち合わせ、人間以上に生きたいと必死に抗う生き物なのだ。 人間が忘れてしまったものが、彼らの心に宿っていく。 そんなレプリたちに不満が溜まり限界が来れば、反乱が生じる。 6人のレプリは必死に生きようとする。 1人、また1人・・・それをあざ笑うかのようにレプリは追い詰められていく。 それを破壊するために追う「ブレードランナー」のデッカード。機械の脚で駆ける者を生身の脚で追う、それが彼らだ。デッカードの使命は同胞の仇か、街の平和のためか、それとも上司の命令に従う忠誠心からなのか。 そんなデッカードが目の当たりにする人間のエゴ。 人間と見分けが付かない感情を持ち合わせる彼らを追う内に「必死に生きるレプリを俺たちは消そうとする。人間の秩序を乱す彼らがおかしいのか、それとも人間の秩序で勝手に縛り付ける俺たちが間違っているのか」とデッカードを葛藤が襲う。 そしてデッカードを優しく包み込むレイチェル。 デッカードは走る。レイチェルたちを守るため、何より仕事として義務を果たすために。 最後の戦いにおけるレプリカント・ロイ・バッティの行動。 デッカードの人間の生命の尊さに気付いたからなのか、それともレプリカントと同じ何かを感じたからなのか、それは解らない。だが、ロイは鳩を殺さなかった。それは彼らが本当は命を思いやる生き物だからだ。だからこそ、人間であるデッカードの命を感じたのではないか。レイチェルを理解してやれる唯一の「人間」に。
[DVD(字幕)] 8点(2016-09-04 03:54:34)
3.  冬の日 《ネタバレ》 
川本喜八郎をはじめ様々なアニメーション作家が参加したオムニバス作品。 秋に始まり春に終わる物語、「風」だったら「風」というように連想ゲームの感覚で繋がっていく。  松尾芭蕉、屏風、句の後にアニメーションがはじまる。  秋の野山をかける男、キツツキ、坂を転がる唐笠を追いかけるスピード、野山を駆け抜ける風。 人形アニメーション、椿。  冬、CG、酒屋、月夜。  酒瓶、トラック、一気に現代に、トラックは馬のように嘶き走り出す、柿、月夜。  蒸気機械、歯車の軋み、馬、赤い閃光が飛び交う薄野、夕日。  田んぼ、箪笥の中の家に飛び込んできた男は鷺と一緒に震える、鳥は人間の女になり、髪の毛が無限に拡がる様は恐ろしい。赤ん坊を奪われた女の髪の毛も無限に伸びる。  ロトスコープ?、白装束の女性、割れて粉々になる大地。  森のような女、廃墟、燃え上がるふくよかな女性。  カラス、冬、寒々しい家、カラスの巨大な影。  「冬の日」を書かれた本がめくられる、本の中を飛び交う色彩の数々。  木の下で胸や尻をだし男をさそう女(やけにコミカルな絵柄だこと)、霧が隠す情事。ここからしばらく変わった絵柄が続く。  船曳?船に乗り込むデブチビハゲのクソ女、ああ殴りたい、心中、沈む時だけシリアスな音楽流しやがって。  江戸時代の美人画みたいな絵。   キツネを取り囲んで脅かす鬼たちが消え、桜の木の下で二人っきりで思い出をめぐらす。  人形アニメ、風に吹き飛ばされる様々なもの。   粘土アニメ。  近未来のSF?、蝶、エイリアン?、檻の中、銀河鉄道?  絵本みたいな絵柄、月夜の光を反射、放たれた矢はロビン・フッドから壇ノ浦、ジョン・ウェイン、「蜘蛛巣城」の三船敏郎を通り過ぎ、芭蕉?を射る。矢ごときでは死なない芭蕉、笑ってみせる。  木こりの帽子を射ぬく矢、木「今です!」、何事もなかったかのように去っていく。  河童、目玉をはめる。  鏡に映る目玉。なにがあったんだよアンタ。    冬、着物姿、下し髪の美女、川のようにうねる長い髪。  人形とアニメの混ぜこぜ。  髑髏から弥生時代?  中国、戦場を舞う幻想。  観音像?ホトトギス。 雨音で絵師もみんな眠くなる、何故か鳩時計と水洗トイレ。  月を見て、豚が頭の上を舞う、豚の行進、幸せそうに酔う。  ま た 豚 か。  豚の酒盛り、バラの園、バラを頭に飾り、琵琶打ち、バラ色に染まる月夜。  牛と琵琶打ち、さっきまで元気に歩いていた牛が…ショックで文字通りブルーに。  滝平二郎みたいな切り絵、牛の骨。  砂絵、夜空に輝く、赤ん坊、妹の眉、星がギラギラ鋭く輝く。  裸の女、薄絹一つ、ビーナスの誕生?  平安時代? 
[DVD(邦画)] 8点(2016-08-29 21:24:53)
4.  プラトーン 《ネタバレ》 
再見。 ロバート・アルドリッチ「攻撃」よろしく、本当の敵は無能な上司だということが刻まれた密林での殺し合い。  黄塵が吹く中をジープが、飛行機が滑走路を走ってくる。 輸送機から降りてくる若き兵士たち、傍らでは車が遺体を運搬している光景、先に戦っていた仲間たちの表情に刻まれたものは何か、疲労、憎悪。 やがて薄暗い密林を突き進み戦場へと近づいていく。いつ何処から敵が現れるか分からない緊張に包まれる。 蛇にも御用心、切り開いて進む、不気味な静けさ、仲間の無線は命綱、熱、嘔吐、肉体をかきむしる虫の侵入。歯を磨いたり朝ションをする平和な一時。  闇夜で炸裂し飛び交う閃光、生き延びるために必死に眼を見開き応戦する兵士たち。撤退、上官に殺意を抱く事件の発生、ヘリの視点で捉えられる地上を駆け抜ける者が撃たれ倒れていく姿。  主人公にとって“最後”の戦い。鋭い閃光が飛び交って暗闇を照らし、男たちは地獄を生き延びるために必死に戦い、走る走る走る。 復讐者は死闘の中でそれを待ち続ける。遺体は隠れ蓑に、味方ごと吹き飛ばす“援護”。  消耗しきった男を立ち上がらせるものは何なのか。仲間の生存?いいや復讐対象の生死を確認するために! ここは戦場だからな。バレなきゃ犯罪じゃないんだぜ?すべてを包み隠す密林…。  ブルドーザーで遺体の山を運ぶ光景はアラン・レネ「夜と霧」を思い出す。  主人公の戦いは終わったが、仲間たちの戦いや死はこれからも続いていく。空から見下ろす穴、穴、穴、人、人、人の群。
[DVD(字幕)] 9点(2016-08-28 03:05:37)
5.  フランケンウィニー(1984) 《ネタバレ》 
ジェームズ・ホエール「フランケンシュタイン」へのオマージュが捧げられた作品。  1984、白黒、古典へのオマージュ、サイレント映画期のコマ撮り、自主制作、人形、恐竜のように飾られた犬、火山、家族で仲良く上映会、犬、ボールの行方は・・・NO-!!  叫び声、墓場、雨かと思ったら散水ホース、人体模型、最愛の者を描いた絵、かえるの解剖 電気、閃きを忘れないうちに走って帰宅、家電をかき集め、ありあわせのもので作る「何か」、鎖、装置、屋根裏部屋、見逃す者、フランケンシュタイン、「ヴィンセント」でも墓掘ってたね、光、輝く時計、馬、トースター、生々しい傷跡、犬の視点、ゴミ箱をふっとばし、うねるホース、黒い影、悲鳴、扉、見てしまったもの、不信、押しかける人々 風車の滑り台 、足元はよく見ましょう、復活、ダイナミック手のひら返し、バチバチ、四方八方からロープで引っ張って八つ裂きにするのかと(そんなことを考えたのは俺だけですね)。
[DVD(字幕)] 8点(2016-08-26 06:27:21)
6.  ブリッジ・オブ・スパイ 《ネタバレ》 
スピルバーグとコーエン兄弟が組んだのは西部劇「トゥルー・グリット」以来だろうか。 今回は久々にB級的感覚でスパッと撮ってきたような、懐かしい感覚に満ちた娯楽映画を引っ提げて帰ってきたようだ。弁護士が国境を越え交渉人として立ち回る冒険の面白さ。  この映画は脚本の映画だと思うけど、それでも冒頭における追跡のワクワク感よ!これぞ映画だ、セリフではなくアクション(動作)によって語られる追う者と追われる者が繰り広げるスリル。 おもむろに自画像を描く男とその理由、部屋から地下鉄、公園と椅子、再び部屋へと戻っていく追跡の後に待ち受ける展開、コインに隠されたメッセージ、それを守ろうと仕事人として己を貫く姿勢は独房の中でも続けられる。ポケットに手を入れるだけでも射殺されそうな緊張は持続され、観客に寝る暇を与えない。劇中で揺さぶられ続ける人々のように。 法廷から学校の「起立」へ、書類から新聞へ。  冷戦下における疑心暗鬼の時代、信頼を重んじる弁護士に転がり込むトラブル。 かつて「シンドラーのリスト」という映画で労働力としてユダヤ人を雇い、やがて仕事に打ち込む同じ人間として彼らの信頼に応えたくなった男がいた。 この映画の弁護士は最初からスパイではなく、命がけで職務を全うしようとした“仕事人”を助けようと孤独な闘いに身を投じていく。「信頼」を守ろうとする行動に対する弁護士なりの礼として。 信じるが故に涙を流したり勉強に励む子供、信頼に応えるが故に叫び声を押し殺し耐える者、最愛の人を見送る者、依頼を引き受ける者、偽物の不気味な笑みと行進をする者、偽りだったとしても本物の何かを込めた者。  冷戦下における情報戦、これが戦争であるならば先に手を出した奴が殺される。 弁護士にも訪れる追跡者の恐怖、雨粒を防ぐはずの傘は居所を知らせてしまい、寒さから身を守るはずのコートは飢えた若者たちの標的となり、窓にまでかかる水は扉の外にいる監視者の視線を示し、車を猛スピードで飛ばすのは獲物を逃がさずに捕まえさせるため。 壁が敷かれるのは人々を引き裂き、逃亡者を阻み処刑させるためだけでなく、新たな交渉相手の登場を予告するため。戦争の傷跡が生み出す信頼しきれない原因(ソ連がやりやがったベルリン、連合軍がしくさりおったドレスデン虐殺)、黙って見ていることしかできない無力さ。 日常の平穏を破った警告の銃撃が、仕事先でも命を奪いとる。次の銃撃は依頼人にも向けられるかも知れない・・・信頼に応えるため、己の意思を貫くために弁護士も諦めない。 マスコミのフラッシュの嵐は地面に転がる電球を踏み砕くように流し、壮大な釣り、ダイナミック朝飯おごり、風邪をこじらせようがハンカチで何度もぬぐい耐えるように待って待って待ち続ける!  軍人と軍人の、学生と国の存在を賭けた駆け引き、アメリカ軍のフラグ建設作戦と迅速なフラグ回収、恐ロシア。  橋における束の間の再会、別れ、抱擁の有無。   いやーマジで続編出ねえかなー。次はキューバ危機辺りで・・・!
[映画館(字幕)] 9点(2016-01-30 00:47:30)
7.  ブルジョワジーの秘かな愉しみ 《ネタバレ》 
コメディ版「皆殺しの天使」。   パーティーに招かれる人々。彼らはひたすら「食事をするため」にいつまでも歩き続ける。  ただ「食う」というために諦めず延々と歩いて歩いて歩き続けるのである。それが面白い。 何処までも馬鹿馬鹿しいやり取りも楽しい。時折出てくる血まみれの人間すらギャグに見えてくる。   招いておいて性交初めてとんずら、 銃を隠し持つ変態紳士(ボディチェックは確実におっぱいも触る)、 鳴り響く謎の爆音、 とりあえず射殺、 とりあえず皆殺し、 そして夢オチのオンパレード・・・本当にやりたい放題だ(褒め言葉)
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-02 17:53:03)
8.  ファニーとアレクサンデル 《ネタバレ》 
この映画は、愛のドラマでもあるし「狼の時刻」のようなホラーでもある。 水の激しい流れで各章は始まる。 まるで人生が流れるように、2年かけて一つの家族のドラマを群像劇風に描いていく。 プロローグのアレクサンデルの幻視体験と一人舞台に始まり、聖夜(性夜)の祭り、家族の死、家族の再婚、新しい生活とアレクの受難、主教の苦悩とアレクの悪夢、そしてエピローグの新しい命の誕生。 冒頭のアレクが見る幻。動くはずのないものが動く恐怖、死神が予告する死の恐怖。 愛情をまんべんなく注く父親や母親。 子供達に文字通り“臭い”ジョークを飛ばして愉しませる。オナラでろうそくを消すシーンは爆笑。 愛情が注がれた子供達は、メイドと枕を炸裂させて聖夜を楽しんでいる。 うら若き母親と中年気味の父親もベッドを粉砕するほど性夜を(ry そんな楽しき夜も、父親はもっと身近に家族達といたいと嘆く。まさか不幸な形で彼の望みが現実になるとは。 父親の代わりとして現れる、悪魔の様な主教がアレクを苦しめていく事になる。 母親は子供達を養うために止む無く再婚を選ぶ。 主教も厳しく子供達にあたるが、それも新しい父親として子供達を立派に育てようとする想いが空回りしているのかも知れない。 舞台の装いを止めさせたのも、父の死という辛い記憶から残された人々を解放しようとしての事だったのかも。 だが、アレクは憎悪を抱いてしまう。 冒頭の動くだけの人形は、人の化身となってアレクの話し相手となる。 亡き父親もその一人として彼を見守る。アレクは未だに前の父親が忘れられない。 それはアレクの寂しさ故だ。妹のファニーがいるだけじゃ寂しさは収まらない。ただ家族の愛に飢えている。 しかし、見守るだけで彼を直接助けようとはしない。 「いるだけならさっさと成仏しちまえよっ!」とばかりにブチ切れるアレク。 主教の家を焼いた業火は亡霊が放ったのか。それとも単なる偶然なのか。それは解らない。 アレクは自分のした事を悔やむ。本当に祈った事は、こんな事じゃなかった。ただ暖かい愛が欲しいだけだったのに・・・。 クライマックスは、新しい命の誕生、主教とアレクが“再会”するシーンで締めくくられる。
[DVD(字幕)] 9点(2015-04-26 06:41:19)
9.  ブラッド・ダイヤモンド 《ネタバレ》 
「ジャンゴ~繋がれざる者」とか「インセプション」とか犯罪街道まっしぐらのプリオは最高ですね。あの髭面が良い。  だがこの作品のプリオも最高だったぜ。薄髭も生き様も。  元傭兵で武器をバンバン売って弾もバカスカ撃っちゃうビジネスマン。金のため利害の一致で組むだけ、他人の命なんか知らね。  そんな奴が武装ヘリとRUFが撃ち合うであろう修羅場に命懸けで突っ込み、利害の一致だったとはいえ一緒に過ごした仲間のため「先に行きやがれえええっ」とたった独りで殿を務める男気! ある父親は息子と故郷を救うためにダイヤを求め、あるビジネスマンはダイヤよりも輝く親子を守るためにダイヤを“諦める”。ダイヤには金だけじゃない、人を救う意思も宿る。  ユニセフの広告なんぞを30秒も見せられるよりも、このたった2時間20分しかない漢の映画を見せてくれる方がどれだけアフリカの現実について考えさせてくれるかっ!   劇中のアーチャー同様、今日も勇気ある名も無き“部外者”が他人のために命を賭ける。彼等は何故足を踏み入れ、そして他人のために血を流せるのだろうか。やっぱり肌の色は違えど同じ赤い血の流れる“人間”だからなんだろうなあ・・・なんて。
[DVD(字幕)] 9点(2015-03-30 05:14:41)(良:2票)
10.  プライベート・ライアン 《ネタバレ》 
個人的には「ザ・パシフィック」や「バンド・オブ・ブラザーズ」「シンドラーのリスト」の方が好きだが、この作品も戦闘シーンが圧巻。 ただちょっと待って欲しい。腸が飛び出ただって? 「炎628」とか「夜と霧」とか「最前線物語」とか、この映画より強烈な戦争映画はいくらでもある。 だがこの映画の戦闘描写も凄い。水中でも容赦なく飛び交う銃弾、水没する戦車、腸をぶちまけ積み上げられる死体、銃弾が飛び交う中で自分の腕を探す兵士、治療しても別の流れ弾で死ぬ兵士、戦車や揚陸舟艇の上陸を阻むべく置かれた障害物が皮肉にも盾となって銃弾から守ってくれる、火炎放射器、降伏しても撃ち殺してしまう狂気、甲子園の砂ならぬフランスの砂、銃剣とガムで作る鏡、魚まで打ち上げられる浜辺。 カメラの揺れ具合や音が消える演出も、戦場で直接戦う兵士の視点で撮られているためであろうか。だからってカメラに血潮を付ける馬鹿がいるか。 映像の生々しさは凄い部類には入るが、ストーリーのムチャクチャさはどうだろうか。 いくら愛する我が子が3人も死んでしまい、せめて末の息子だけでも助けて欲しい。母親の切なる願いは解る。  解るが1人の軍人を救うために1部隊の兵士をむざむざ死にに行かせるような作戦を認証した軍部は異常としか思えない。 今まで10人、100人、1000人以上の味方ために死ぬのがせめてもの救いだったのに、それが今度はたった1人のために1部隊みんな死んで来いときたもんだ。 観客にとっても冒頭から墓参り→20分以上も地獄を見せられた上にそれ。 罰を受けた兵士なら解るが、何もミスをしていないバリバリに動ける兵士にそのような任務を課す。こっちの方がよっぽど残酷極まりない。 まして探す対象は士官や重罪人ならともかく名も無いに等しいたった1人の雑兵。 自分の吹っ飛んだ腕や飛び出た腸を探している兵士はまだ幸せだ。 ミラー大尉たちは、ジェームズ・フランシス・ライアンを見つけるまで四肢が吹き飛ぼうが肉体が木端微塵になろうが任務を続けなければならないのだから。 ライアンは悪くない。こんな作戦を指示できる上層部がクソなんだ。それに逆らえず選ばれた以上、戦うしかない兵士たちのやり場のない怒り。 その鬱憤をライアンにぶちまけるまでは死ねるかよと、死力を尽くしてノルマンディーの戦場を突き進む。
[DVD(字幕)] 9点(2015-03-14 17:37:52)(良:1票)
11.  プレデター 《ネタバレ》 
ジョン・マクティアナンのSFアクション。 「ターミネーター」シリーズ以外イマイチなシュワちゃんだが(ネタとしては当たりだらけ)、この「プレデター」だけはネタ抜きでガチに傑作。 差し詰め「ランボー」でスタローンが地元警察にたった独りで挑むような内容(全然違います)。  シュワちゃん率いる特殊部隊vsプレデター。 この作品だけでなく「コマンドー」までネタにされるのは絶対バル・ベリデ(「コマンドー」にも出た架空国家)とビル・デューク(「コマンドー」で共演)と製作のジョエル・シルバー(「コマンドー」の製作に参加)のせいです。 とりあえずプレデターのデザインにアイデア出してくれたジェームズ・キャメロンよありがとう。この頃のアンタは最高に冴えてる。  筋肉モリモリマッチョマンの変態共がひしめく地球にたった一人で乗り込むプレデター。武器を持たない奴は殺らないこだわりを持った紳士。 でももしも仲間で来て、同胞を地球人が殺していたらプレデターも容赦なかったかも。仲間の仇はたとえ武器を持っていなかろうが許さねえし許すわけねえだろうが的な。クリント・イーストウツドの「許されざる者」がそうであったように。  特殊部隊がゲリラと“潰し合う”様を高見の見物で見てたであろうプレデター。ハンターは疲弊し“油断”する瞬間を待つだけでいい。  見えざる恐怖となって人間たちに襲い掛かるプレデター。いつ何処から出てくるか解らない恐怖、知恵を絞り銃をぶっ放しナイフで奮戦しようが成す術もなく散っていく仲間たち。 シュワも任務をまっとうする為、何より仲間のためにも死んでも死ねるか、一矢報いてやらあと泥をすすっても走って走り、あがいてあがき、チャンスを待って待って反撃開始! 後の「プレデターズ」ではヤクザが日本刀で挑む。アンタらどんだけ日本刀好きなんだよっ! 雄叫びは“見逃して”しまった相手への礼代わり。壮絶な一騎打ちの末に訪れる衝撃的な決着・・・こりゃ笑うしかねえわな。シュワちゃんなら放射能も大丈夫だろう。多分。きっと。
[DVD(吹替)] 9点(2015-03-03 04:18:26)
12.  フェリーニのアマルコルド 《ネタバレ》 
「アマルコルド」とは北部イタリアのリミニ地方の古い言葉で“エム・エルコルド”(私は覚えている)。 この映画は、1930年代を舞台にフェリーニが忘れられない1年を語り、春夏秋冬で彩られ2時間をあっと言う間に駆け抜けるコメディだ。 桜の花びらが舞い、春一番が吹く港町。 夜になれば、からくたの山に冬の女神の人形を掲げて火を放ち、寒い冬が明け暖かい春の訪れを祝う祭りを開く。 ブラスバンドの演奏を、拳銃や爆竹の“音色”で盛り上げる狂騒振り。劇中で幾度と無くバイクが猛スピードで路地を走りぬけ、盛大に燃やされる古い家財道具の山、盲目のオルガン弾きや狂女の、群衆が奏でるアンサンブル! 祭りは終わっても、街には人々の歓喜や悲鳴がこだまし続ける。 食卓での大喧嘩。息子がお手玉をしだせば、爺さんは屁をブッ放しオトンはキレだしテーブルクロス引きを失敗、オカンもブギレまくりの大騒動。お父さんの血管がいつ切れてブッ倒れるかと心配になる。頭にコブ?みたいな変な塊もあったし(お父さんの“マグマだまり”かな)。 それにしても、フェリーニのこの時期の映画はふくよかな女性が多いこと。あれだけふくよかな女性を下品かつ妙なエレガンスすら感じさせて撮れるのは凄い。 子供がその豊満なバストにむしゃぶり付くシーン。まったくエロくないのが凄い。それよりも、馬車の上でたたずむ赤いドレスマダムのの方がずっと色っポイとはどういうワケだ。服を一枚一枚脱ぎ、後はベットで愉しんで下さいってか。エロイッす。 ムッソリーニの出来そこない見たいな軍隊どもの行進。彼らはヴァイオリンの演奏に銃弾の雨を下から浴びせ、鐘楼を打ち落としその響きで演奏を締めくくる。 宮殿におけるアラブ風のベールに包まれた腰の締まった妖艶な美女たちのダンス。もっと長く見たかったなー。 夏には蝉の代わりに狂男が半日叫び続け、船に揺られて盛大に遭難。 霧の中でのダンスシーンは凄いぜ。霧がたち込め手探りで前へ進み、男たちは踊る女性の相手がいない寂しさを友達と手を繋いで埋めるのであった。 秋は車やバイクが猛スピードで走り去るようにあっと言う間に過ぎる。 冬は雪合戦でみんな真っ白、雪と共に広場に舞い降りる孔雀が美しい。 葬式でちょっぴりしんみり、その次は結婚式で新しい命が生まれる事を願いながら映画は幕を閉じていく。再び桜の舞い散る港を映しそれぞれの“春”を祝福するのである。
[DVD(字幕)] 10点(2015-02-24 22:47:40)(良:1票)
13.  フォレスト・ガンプ/一期一会 《ネタバレ》 
「暗黒街の帝王レッグス・ダイヤモンド」よりも高密度で、「ヨーク軍曹」よりも出来すぎだと思うくらいの“実話”。 余りに出来すぎてて完全にギャグ映画の領域です。 人によってはその出来すぎ振りが嫌いな人もいると思う(俺だってエルビス・プレスリーの話は流石にギャグかよと)。 でも、俺は映画として本当に面白かったし、楽しかった。感傷に浸る間もなく次から次へとフォレストの半生は進んでいく。 待って、待って、待って。走って、走って、走って・・・。 政治家の背中よりも曲がった骨はいつしか逞しく伸び、「國民の創生」のように黒人への憎しみを募らせた祖父と違って、子孫のフォレストは黒人も白人も関係なく平等に、馬鹿正直に友情を結んでいった。 ババことベンジャミン・ブルーは良い奴だった。“ババ=ガンプ”は不沈だぜ。でもどんだけエビ好きなんだよ。 それに我等がダン・テイラー小隊長。 先祖代々名誉の戦死、でも本当は戦後に“生きる勇気が無かった”男だったのかも知れない。 ベトナム戦争のエピソードは好きなシーンの一つだ。いままで「M★A★S★H」の様な何処かふざけた雰囲気があると思ったら、雨のシーンの美しさ、そして音楽が鳴り止み銃声と悲鳴がこだまする戦場の恐怖。フォレストは友のために走るが、そこで運命はまたも彼に幸運と別れを授ける。 そこから時間をかけて“死ぬ勇気”から“生きる勇気”に目覚めていくテイラー。フォレストはテイラーの目の前で“足”ではなく“手”によって卓球をして見せた。「まだ腕があるじゃないですか小隊長」というフォレストなりの不器用な気持ちを感じ取っていたのかも知れない。やっぱり部下想いな男だったり、吹っ切れた後の小隊長はとにかくカッコ良かった。 何をやってもフォレストは総て上手くいく。だが、本当に心から欲しかったのはジェニーの愛。いつの間にか増えるポストのように、ジェニーに対する想いはどんどん大きくなっていった。 肝心のジェニーは、想う所があっても中々フォレストと一緒になろうとしない、いや出来なかったのかも知れない。ヒッピー、薬物、情婦・・・再会した彼女がフォレストと“歌った”のではなく“踊った”事が後を引く。彼女を待ち続ける変わりに、フォレストは走る事で彼女のいない溝を埋めようとしたのだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-14 07:15:32)
14.  ファウスト(1926)
ゲーテの戯曲を元にしたムルナウの傑作。 ムルナウの幻想的な演出はモチロン、冷徹なまでに重厚な空気で包まれる。  天上の天使と悪魔に運命を翻弄される人間たち。 疫病の苦しみから逃れるため、悪魔を召喚してしまうゲーテ。 メフィストフェレスはどんな願いも叶えてしまう。制約をしいて。 疫病と救世主、年老いたゲーテは己の無力さに絶望する。 若返り漲るような力を得ようと、結局は悪魔の力によって再び絶望に暮れてしまう。 余りに救いようが無い。  一時の幸せも、瞬く間に惨たらしく散っていく。  恐ろしいまでに冷徹な描写。  だが、ラストのあの美しさは何なのだろうか。あんな終わり方をされたら、黙って泣くしかないじゃないか。 何て最高に卑怯で泣ける泣けるクライマックスなんだ・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-14 07:15:02)(良:1票)
15.  復讐は俺に任せろ
「L.A.コンフィデンシャル」が赤子に思えるほどの傑作中の傑作。  グレン・フォードが魅せるギャングvs警察のフィルム・ノワール。  「ゴッドファーザー」や「L.A.コンフィデンシャル」に多大な影響を与えたのはホークス、黒澤明、そしてフリッツ・ラング。  前半の丁寧なドラマ展開から一定に保たれた緊張の糸。  その糸が弾け飛ぶ時、主人公の壮絶な復讐劇は最高潮のままクライマックスを迎える。  “自殺”の場面から始まるファースト・シーンの強烈な導入、 最初30分はグレン・フォード演じる刑事が地道な聞き込み調査。 平和な家庭での日常、その裏では凶悪な事件を追う刑事だ。だが、まだ罪人を“徹底的に”潰す狂気は無い。優しすぎる一面を持っている。  用心棒をブチのめす場面も何処か優しすぎる甘さを感じさせる。その甘さが後半の狂気をより引き立てるワケでもあるのだが。  ま、アレですよ。とにかくバーの雰囲気とか、色々素晴らしい。 主人公の家庭に響く無言電話、ジリジリと迫る恐怖、積み木が崩れ去る暗示とかとにかく良い。  突然の死が重なる時、車が吹き飛ばされる時、警察バッヂを捨てる時、直接的な描写はなくとも沸騰したコーヒーを浴びせかけるシーンの恐怖、一生消えない火傷を負っても死ぬに死ねない女、外見は無傷でも爆発の衝撃で・・・男は復讐の鬼と化す! ラスト1時間の緊張感に満ちた展開。  主人公が探る一味も顔を出してくる。 リー・マーヴィンの悪党ぶりも良いが、何と言ってもグロリア・グレアムの存在!! こんな魅力的でエロティックで“女”を見せ付けてくれるファム・ファタールは中々お目にかかれない。別にヌードになるワケじゃない、脱がなくともそのセリフ、しぐさで勃起するくらい最高の悪女だ。 特に終盤の彼女は最高だったぜ。 今回のラングは女に容赦なさすぎる。 案外、少女の連続殺人を描いた「M」よりえげつないかも。  モチロン、我等がグレンも最高潮だ。 バーで一味と主人公が邂逅し“ゾッ”とする瞬間。  尋問される男は気の毒だ。 コンド●ムなんか机の上に置いておくから(関係ねえだろ)・・・。  首を締め上げてでも吐かせてやる!  終盤の銃撃戦までの流れも凄かった。 文句なしの傑作です。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-14 07:07:19)(良:1票)
16.  プロジェクトA 《ネタバレ》 
死神を殴り飛ばせる男ことジャッキー・チェンの代表作。 時計台から落ちて生きている事が奇跡すぎる。 中国パネェー。 中国拳法の厳しい修行で鍛え上げられた肉体だからこそ出来るパフォーマンス。 役者魂ここに在り。 内容は「気にしてはいけない」が、 敵味方入り乱れた殴り合い、 体を張ったぶつかり合い、 ハロルド・ロイドやバスター・キートンといった往年のサイレント映画を連想させるシーンの数々、 自転車での路地裏チェイスなど、アクション映画好きは絶対に押さえておきたい面白いシーンばかり。 ジャッキー、サモハン・キンポー、ユン・ピョウの共演も中々見られない。 特にサモハンはキン・フーの傑作群や後に「イップマン」をはじめとする数多くのカンフー映画の武術指導を担う事になる男だ。 この映画はカンフーというより単に体を張る事を強要する馬鹿(ry ジャッキーの命懸けのスタントが凄すぎて笑えねえよ。肝が冷えるわ。バスター・キートンも首の骨を折った事に気付かず演技を続けた(「探偵学入門」)が、3回も時計塔から落ちようなんて発想よく思いつくよこの人は。馬鹿だ。どんだけ役者馬鹿なんだ。どんだけ死神に嫌われてんだアンタは。(大絶賛) これからも長生きしてくれよっ! ※ジャッキーは特殊な訓練を受けております。絶対にマネしないで下さい。    これを「アクション映画」か「ギャグ映画」として見るかは視聴者に任せます。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-11 19:31:36)(良:1票)
17.  不良少年(1961) 《ネタバレ》 
戦後の動静を一人の少年から見つめた、青春映画の珠玉の一篇。  海外でも寺山修司と共同監督した「初恋・地獄篇」で知られる羽仁進。   出演者は全員素人で、ドキュメンタリーの形を成したフィクション。 フィクションとはいえ、一人の少年が“不良”として少年院に入れられ出所するまでの時間は今この場で起きているようなリアリティに溢れる。  リアリティがあるが、少年への感情の移入は無い。 あくまでドキュメンタリーとして淡々に少年を追うのだ。 けれども、時間が経るにつれて優しく精気を取り戻していく少年の顔。恐喝や“可愛がり”、人々との触れ合いをを通じて変わる者、変わらずに再び犯罪の世界の行ってしまうもの。 少年院は彼らの通過点でしかない。  この物語は、そんな通過点で心が変化していく人間を丁寧に描いた作品のようだ。
[映画館(邦画)] 9点(2015-01-06 18:47:36)
18.  ファインディング・ニモ 《ネタバレ》 
恐ろしく平和な「プライベート・ライアン(大嘘)」。 魚の親子がひょんな事で離れ離れ、愛する息子を探すために何度も死に掛けながらありとあらゆる彼らにとっての“海”を泳ぎ続ける。現実の魚やら水の性質の違いで死ぬのかも知れないが、彼らにはギャグ補正やアニメパワーがあるので死なないのです。 それでも、マーリンの子供たちは厳しい自然の洗礼を生まれる前から受けてきた。マーリンも愛する女性と別れ、独りで息子のニモを育ててきた。たった一人の、掛け替えのない家族を。様々な苦難や良き友人たちとの交流を経てニモもマーリンも成長していく。「トイストーリー」でおもちゃに命を吹き込んだピクサーだ。表情の豊かさはいつ見ても楽しい。そこはディズニーから受け継いでリアリティとデフォルメのバランスの良さ。 魚たちは個性豊かで、人間に好かれる哺乳類のイルカにサメが嫉妬しているというジョークには笑った。人間にとってはジョークだが、彼等の中には心からそういう嫉妬や憎悪を燃やして海の中で殺し合う者もいるのだろうか。ただ、そのサメも嫉妬を見せるだけであまり悪い奴に見えない。人間のガキにしても、その無邪気さが魚たちにとって恐怖に見えるだけだもんなあ。  とにかく海の映像は超魅力的だ。本当に海に行きたくなるね。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-28 19:24:33)
19.  夫婦交換騒動 《ネタバレ》 
「夫婦交換騒動(メーベルとチャップリン)」。  「逢引きの場所(他人の外套)」で夫婦を演じたコンビが違う組み合わせ。  ブスとイケメン、美女とデブ。  スカートをまくってしまう杖、雑木林でやり過ごすおいかけっこ、振り回される警官は災難だ。  元通り尻に敷かれる立場に戻るチャップリン。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-23 23:20:06)
20.  不可能な世界への旅行 《ネタバレ》 
「不可能を通る旅(LE VOYAGE A TRAVERS L'IMPOSSIBLE)」。 または「不可能な世界への旅行」。  今回見たのはカラー版。 「日蝕と太陽」や「月世界旅行」と似たプロセスを持ち、特に「月世界旅行」は姉妹作と言っても過言じゃないほど似ている。  意見が飛び交う会議、巨大な歯車が回り続けるスチームパンク的装置、天球、解けた鉄が流れ込む様子は「月世界旅行」よりもインパクトがある。  着々と準備が進み、駅での“自動ドア”?のやり取りなど興味深い。 男が荷物につまづき中々前に進めないといったコメディ要素の強い場面も。  出発した列車はうねるように走り続け、乗換と脱線・大破を繰り返しながら宇宙へと飛んでいく。後の「銀河鉄道の夜」あるいわ「銀河鉄道999」である。  「月世界旅行」でも見られた対象に近づいていくシークエンス。 今回は太陽の口の中に突っ込んでしまう一行。落下の衝撃とあの熱で死なないのは化物すぎてツッコム気力も失せる。 熱くて服を脱ぐシーンも露骨な人間アピールにしか感じられない。氷漬けになっても平気な面々だし。  そんな化物御一行並に頑丈な宇宙艇で“落下”し脱出。潜水艦モードで爆発してダイナミック帰還。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-22 21:40:52)
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