Menu
 > レビュワー
 > S&S さんの口コミ一覧
S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2383
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順12
投稿日付順12
変更日付順12
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  ロボコップ(1987) 《ネタバレ》 
ヴァーホーヴェンは磔にされて復活したキリストのイメージをマーフィーに重ねていたそうです。でもそのキリストは、単に新しく生まれ変わったマシーンではなく、この世に残してきた妻子の記憶に苦しむひとりの男でしかなかったというわけです。マーフィーが空き家になった自宅を訪れるエピソードには何度この映画を観ても心が痛みます。 私には「こんな映画、今まで観たことない」と感嘆させられた映画の一本です。スプラッター度は製作当時ではハリウッド史上最凶だったのではないか、今観てもそのエグい描写は衰えていません。ルイス巡査のN・アレンもこの映画の時が最高に輝いていました。ヴァーホーヴェンの名を不朽のものにした映画史に残る傑作です。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2012-10-25 22:17:04)
2.  ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ 《ネタバレ》 
この映画を初めて観たときは、「俺さまこそが、英国のタランティーノじゃ!」というG・リッチーの雄叫びを聞かされたような気がしました。たしかに音楽の使い方のセンスなんかは、その当時のタランティーノを超えているんじゃないかな(もっともタランティーノの方はその後も進化を続けてG・リッチーを遥か彼方に置いてけぼりにしてしまいましたが)。 出てくる連中がどいつもこいつもろくでもないおバカさんなので、物語が動き出す前でも退屈させられません。派手な銃撃戦がある割には死ぬのは悪党だけなのでまあ後味すっきりと言うところでしょうか。 まあこの映画は、ビッグ・クリスことV・ジョーンズが最後はおいしいところを持っていってしまいましたが、あの“車のドア、バタバタ殺法”がちゃんと“スナッチ”でのV・ジョーンズ登場シーンに繋がっているところがにくいです。
[DVD(字幕)] 9点(2013-07-16 21:16:54)
3.  ローラーガールズ・ダイアリー 《ネタバレ》 
近年の活動からドリュー・バリモアは監督業にも進出すると思っていましたが、この監督第一作はラブ・コメとガーリー・ムーヴィーを知り尽くした彼女らしい良作になりました。いまもっとも輝いている女優のひとりであるエレン・ペイジの起用だけでなく、マーシャ・ゲイ・ハーデン以下の脇役陣も絶妙なキャスティングでドリュー・バリモアのセンスの良さが判ります。映画監督の力量はキャスティングにも顕れますからね。パンク丸出しのオープニング・タイトルのカッコよさと、遠くを見つめるエレン・ペイジを豚のオブジェの上に乗せたラスト・カット、こりゃソフィア・コッポラなんて目じゃないですよ! 可愛いけど不気味に大人びたエレン・ペイジの妹なんて、いかにも彼女らしい演出ですよね。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-03-07 00:39:20)(良:1票)
4.  ロング・エンゲージメント 《ネタバレ》 
ジャブリゾの原作小説『長い日曜日』をここまで映像化出来るとは、ジュネ侮りがたし! まず一回鑑賞しただけじゃとてもじゃないけど複雑で多数の登場人物を理解するのは不可能ですが、根本はマチルドとマネクの物語なのであまり周りの人物には関心を向けないで鑑賞した方が賢明です。私は三回観てようやく物語の全体像が理解出来ました。悪夢のような第一次大戦の塹壕戦はキューブリックの『突撃』を超えるリアルさで、細かい時代考証も細部にこだわるジュネらしく完璧です。ジュネ印のキッチュな映像は本作では控えめですが、アンジェロ・バダラメンティの叙情あふれる音楽とマチルダの故郷ブルターニュ地方の美しい自然が見事なアンサンブルを見せてくれます。マチルドの周囲の人たちが善人ばかりというのがまた良くて、特に自転車でやってくる郵便配達人はジャック・タチへのオマージュになっていて感涙ものです。 私は『アメリ』より本作の方が好きですね、純愛ものとしても傑出していると思います。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-12-25 00:53:01)
5.  ロッキー・ホラー・ショー
昔、名画座で『ファントム・オブ・パラダイス』と二本立てで良く上映してましたね。今から考えると、豪華なプログラムですこと! この歳になっても、♪スィ~トトランシルベニヤア~を聞くとアドレナリンが噴き出しますよ。低予算とは思えないカラフルな画面構成の素晴らしさは現代でも全く色あせていません。武道館で上映して、みんなで米まいたり、“タイムワープ”を踊ったりしたら楽しいだろうな~。ミュージカル映画の中で一番好きかも。
[DVD(字幕)] 9点(2010-03-26 23:50:50)
6.  ロケットマン 《ネタバレ》 
エルトン・ジョンは現代のモーツァルトだと個人的に評価している自分としては、かなり期待して鑑賞。だってその神童ぶりや恵まれなかった肉親関係、そして奇抜なファッションや言動には両者に共通点が多い気がするんですけど。初めてラジオのヒットチャートで“Saturday Night's Alright”を聴いたときの衝撃は今でも忘れられません。 ミュージカル映画と聞いていましたが、これは明らかに音楽劇風味が強い人間ドラマですね。監督がデクスチャー・フレッチャー、彼はトラブル後にブライアン・シンガーから監督を引き継いで『ボヘミアン・ラプソディー』を完成させていて、どちらも主人公がホモセクシュアルであるというのが興味深いですね。この人は芸歴の長い俳優で『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルス』のソープ役なんかが有名。その長い映画人生を活かして監督業にも進出、今後この分野でも活躍するんじゃないでしょうか。子役時代には『ダウンタウン物語』でジョデイ・フォスターとも共演していて、遅ればせながらジョデイと同じ道に進もうとしているのは感慨深いです。 しかし驚嘆するのは、現役の大スターが製作総指揮まで務めて自己の人生とその恥部をさらけ出す映画を製作したってことでしょう。もちろん全部が全部というわけではなくオブラートに包んだようなところもあったでしょうが、ホモセクシュアル描写を含めて『ボヘミアン・ラプソディー』なんかよりはるかに綺麗ごとを排したストーリーテリングには引き込まれました。これはタロン・エガートンの熱演が効いていると思いますが、オスカーで彼がノミネートすらされなかったのは納得できません。歌唱力も抜群でした、それにしても欧米の俳優たちはどうしてこんなに音楽スキルが高い人が多いんでしょうかね? 気になったところとしては、ジョン・リードに比べてバーニー・トーピンとの関係が割とあっさりめだったような印象ですかね。この黄金コンビは50年以上に渡っていていろいろあったと思いますが、自分の恥部はともかくバーニーのことは突っ込まないようにしたエルトンの友情を感じました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-08-22 22:01:25)
7.  ロボット 《ネタバレ》 
最近妙に『ムトゥ/踊るマハラジャ』をもう一遍観たくて堪らなかったところに本作に遭遇いたしました。18年ぶりにお目にかかるラジニカーント様、げげっ、ぜんぜん老けてないじゃないですか、『ムトゥ/踊るマハラジャ』の頃よりも若返っているんじゃないかと思いましたよ。まあ最近はメイクというかCGのクオリティが進歩してますからね(笑)。でもとても還暦を迎えているとは思えない身体の動きとダンスのキレの良さ、いやはやさすがポリウッドのスーパー・スターでございます。 お話はまさに『フランケンシュタイン』と『ターミネーター』を足して二で割ってミュージカルに仕立てた様な感じです。チッティが、特に後半凶悪モデルになってからが、若き日の安岡力也みたいなんで可笑しくてたまりませんでした。“連結モード”に入ってからの七変化は、なんか崇高なものを観てしまったかのような錯覚してしまうものほどの凄さです(思いっきりおバカな映像とも言えますが)。 ダンス・シーンのロケ地がまた絶景で、砂漠の様なところから高原地帯までインドと言う国はバラエティに富んだ風景に恵まれていますね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-07-14 19:28:46)
8.  ロード・オブ・ウォー 《ネタバレ》 
先ごろ“映画『ロード・オブ・ウォー』のモデルとなった武器商人が逮捕された”というニュースが流れましたが、その画像を見て感心しました、この人本作でのニコラス・ケイジに雰囲気がそっくりなんですもの。けっこう緻密な役作りをしてたんですね、ニコジー。この映画観た人は誰もがタイトル・バックの“弾丸の一生”に感心すると思いますが、実はむかしアメリカで放映されたある警察ものTVドラマ・シリーズのタイトル・バックが、これと同じアイデアに基づいたものだったそうです。 とまあ余談はさておき、「銃と弾薬は世界が必要とする商品である」という武器商人ユーリー・オルロフの生きざまは、ニコジーの軽妙な演技が生きていて、監督アンドリュー・ニコルはその才気を見せつけてくれます。とくに前半のサクセスぶりとイーサン・ホークとニコジーの駆け引きは楽しませていただきましたが、嫁さんと弟が絡むシークエンスになると途端にテンポが悪くなるのは残念です。ラストのどんでん返しも強烈なインパクトがありましたが、実在のモデルが逮捕されると言う現実は、国際情勢の変化とその闇の深さがひしひしと感じさせられます。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-05-11 18:22:37)(良:1票)
9.  ローズマリーの赤ちゃん 《ネタバレ》 
“モダン・ホラー”というジャンルはこの映画が開拓したと言っても過言ではない。それまでのこけおどしが目立ったホラー映画とは明らかに一線を画す、神経症的な恐怖表現が実に鮮烈です(本作のプロデューサーが、B級ギミック・ホラーの帝王ウィリアム・キャッスルであるとは何たる皮肉!)。ミア・ファローは決して演技派女優ではないけど、妊娠して髪をショートカットにしてからの演技、とくにその表情は目を見張らせられます。また、出世をしたいがために奥さんを悪魔に貸しちゃうジョン・カサベテスのキャラが説得力があり過ぎです。なんせ自宅を抵当に入れて借金までして映画を撮ってた人ですから、映画のためなら喜んで悪魔と契約しちゃいそう(笑)。
[DVD(字幕)] 8点(2011-08-24 20:15:04)
10.  ロシュフォールの恋人たち 《ネタバレ》 
ドヌーブ・ドルレアックのたった一度きりの姉妹共演が観られて幸せです。最近出たデジタル・リマスター版DVDで鑑賞ですが、旧版のDVDが一時期中古で4万円(!)の値がついていたそうで、私も含めてこの作品のファンが多いのですね。ダンスシーンは良く観るとダンサーの手足の動きが微妙にそろってなかったりして、ハリウッド製ミュージカルでは考えられない部分もありますが、この色彩の鮮やかさはハリウッドも脱帽でしょう。「トト」が金髪で美青年なのがびっくりしました。なにはともあれ、この作品はフランスミュージカル映画の最高峰です。
[DVD(字幕)] 8点(2009-07-24 21:26:48)
11.  ロイ・ビーン 《ネタバレ》 
純情一筋のポール・ニューマンが良かったですね。悪党をつるしまくったロイ・ビーンをファンタスティックに描いていますが、ひげもじゃでむさ苦しいながらもカッコよくてかわいいロイ・ビーン像はジョン・ヒューストンの実像とだぶるところがあります。ジャクリーン・ビゼットは私にとっての「リリー様」なので、全盛期の美しいビゼット様を拝めて感無量です。それにしてもクマのブルーノ君、信じられないような名演技でした。ブルーノ君のお墓が立派なのも爆笑でした。
[ビデオ(字幕)] 8点(2009-07-03 23:18:57)
12.  ロボコップ(2014) 《ネタバレ》 
全然違う製作陣だったけど『トータル・リコール』のリメイクが予想通りの出来だったので、しょうじき全然期待はしてませんでした。製作会社のロゴを観ればチャイナマネーが注入されていることは明白でしたが、オムニ社の生産拠点がもろ中国本土に置かれているという設定には、ちょっと頭がクラクラしてしまいました。という開始冒頭での懸念はその後も尾を引きましたが、けっこう真面目に撮られていることは確認できます。 オリジナルの傑作『ロボコップ』はなんせヴァーホーヴェンが監督でしたからグロ要素とデフォルメされたブラックセンスが満載でしたが、このリメイクはロボコップ化されたマーフィーの物語に重点が置かれた脚本で、荒唐無稽さは極力おさえられたストーリーテリングだったと思います。今作も悪の根源は当然オムニ社ですが、デトロイト市を乗っ取っているようなぶっ飛んだ存在ではなく、連邦議会の法律に規制をかけられている巨大兵器産業という感じです。本作での究極の悪役はCEOであるマイケル・キートンで、もう彼の芸風通りの悪辣さで、オリジナルのダン・オハーリヒーの様なとぼけた味わいは皆無です。オムニ社側のもう一人のキャラがロボコップ開発責任者のゲイリー・オールドマンですが、オールドマンらしくなく善玉でマーフィーを助けようと奮闘します。そう言えば彼は昔ほど悪役キャラを演じることが無くなってきている気がします、オスカー受賞したしイメージを気にするようになってきたのかな(笑)。ロボコップ=マーフィーの造形と思考なんかはより人間的になっているが、オリジナルにあった様なマシーンと化してしまって妻子にも正体を明かせないマーフィーの苦悩が観られないところはどうかと思うところです。マイケル・キートンが強烈過ぎて全般的に他の悪役が影が薄いのが難点と言えなくもないけど、軍事教官役のジャッキー・アール・ヘイリーだけは存在感を出してましたね。マーフィーの相棒も黒人刑事に変わったりしているけど、名前はナンシー・アレンの役名と同じルイスだったり、随所にオリジナルからの引用というか小ネタも使われていました。その相棒ルイスがブラック・カラーのマーフィーのコスチュームを見て、「お前、黒い方がいいな」と笑うところは、この映画で唯一笑えるところだったかもしれません。 結論としては、オリジナル版の毒味が好物な自分としては物足りないところが多々ありますが、オリジナルの無視した要素を膨らませた脚本として観れば面白いし、『トータル・リコール』のリメイクよりははるかにマシ、普通に退屈させないアクション映画だったと思います。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2024-01-16 23:32:40)
13.  ロボコップ2 《ネタバレ》 
久しぶりに観直してみましたが、以前の悪印象はなんだったのかなと思うほど水準をクリアした続編だなと感じました。もっともこれは、当時続けて観た『3』があまりに酷かったので記憶が引きずられたのかもしれません(笑)。第一作の主要スタッフが抜けてしまったので脚本を書いたのが原作者のフランク・ミラー、この人はヴァーホーベンに負けず劣らずの悪趣味大魔王なのでなんかすごい映画になってしまった感もあります。第一作のグロ要素は傷を負ったりする場面の人体破壊がメインでしたが、本作ではケインのロボコップ化手術の見せ方など、なんか「この見せ方って必要?」と首を傾げたくなるシーンが多かった気がします。パロディCMの挿入などヴァーホーベンを意識した脚本にしたからかもしれませんが、これはいま話題の90年代鬼畜系カルチャーの反映だったのかな。 舞台となるデトロイトがオムニ社と合併を迫られる惨状は、製作後に現実のものとなり20年後には財政破綻に追い込まれる未来を予言している感があります。つまり、荒唐無稽なようでいてシャレにならないストーリーなわけです。ダン・オハーリヒーをはじめオムニ社の面々の悪逆非道ぶりがスケールアップしているのも注目したいところです。前作のラストでは瀕死の重傷だったナンシー・アレンが、すました顔して活躍するのには苦笑でした。ヴァーホーベンが引き続き監督していれば、たぶんナンシー・アレンもロボコップ化したストーリーになってたんじゃないかな。そしてピーター・ウェラーはロボコップの顔面(それも数少ないマスクを外したカット)だけの出演となり、これじゃあ嫌気がさして第三作に出演しなかったのは理解できますよ。 ハリウッド時代のヴァーホーベンの代表作のうち『トータル・リコール』以外の三作(『ロボコップ』『氷の微笑』『スターシップ・トゥルーパーズ』)は続編が製作されるかシリーズ化されましたが、いずれにも彼は参加していない(というかお呼びがかからなかった?)のは興味深いところです。そこはジェームズ・キャメロンやリドリー・スコットとは大違い、彼らと違ってヴァーホーベンが商売下手だったのは否定できないでしょう。その分、これらの代表作は一作一作がパワーに満ちているので、私は好きです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-08-12 21:43:13)
14.  ロープ 《ネタバレ》 
製作当時は一缶のフィルムで最大15分程度しか撮影できなかったので、いくら80分と短めの作品でも全編長回しで撮るのは不可能、したがって本作はあくまで“ノーカット風”と呼ぶのが正解。前半はそれなりに頑張っているけど、中盤すぎると切り返しのカットがあるうえに、明らかに編集点と判る映像もあります。まあヒッチコックは、技術的には不可能なので過去には誰も思いつかなかった全編ワンカットで撮られた映画がもし実現できるとしたらどんな風になるだろうか、という発想で実験というよりも遊び心で本作を撮ったような気がします。そうなると登場人物が少ない室内劇が題材とならざるを得ず、テーマはともかくとしても映像的には退屈な映画となってしまったわけです。そういうワンカット撮影の時間的な制約を逆手にとった、カメラが屋外を縦横無尽に動きまわるオーソン・ウェルズの『黒い罠』のオープニングが、やはりこのテクニックの最高峰となるんじゃないですかね。 肝心のストーリーですが、推理劇というか会話劇として観るとヒッチコックらしい王道だなと感じます。まるで『罪と罰』のラスコーリニコフみたいな主人公の思想は凡人には理解不能ですが、ほとんど変人の部類のひねくれたインテリであるジェームズ・スチュワートが自分たちと同種の人間だと勘違いする心理が面白い。この犯人像はモデルとなったレオポルド&ローブ事件とほぼ一緒らしいですが、現代ではこの手の人間はサイコパスと呼ばれるわけです。 この作品はヒッチコック初のカラー映画ですが、色彩設計もやはり力が入っています。劇中と実際のタイム・ランが一致していますから、窓から見える摩天楼の遠景とその背後にかかる大きな積乱雲が、鮮やかな夕焼けからマジックアワーを経て暗闇に沈んでゆく経過がとくに美しい。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-08-30 22:03:58)(良:1票)
15.  ロリ・マドンナ戦争 《ネタバレ》 
アパラチア山脈のふもとで暮らすフェザー家とガッシャル家はお隣同士(山の中だから土地は隣接していても家自体は数キロ離れている)、農業や牧畜で生計をたてるいわゆるヒルビリーと呼ばれる人たちです。フェザー家の家長はロッド・スタイガーで家族構成は夫婦と五人の息子、同じくガッシャル家はロバート・ライアン夫婦と四人の息子と娘が一人。牧草地の権利をめぐってとくに親父同士は非常に仲が悪いが、子供たちはフェザー家の次男とガッシャル家の娘がつきあってたりしている。ここでガッシャル家がつまらない悪戯をフェザー家に仕掛けます。フェザーの兄弟がガッシャルの郵便を盗んでいることを逆手にとってロリ・マドンナという架空の娘が長男に出した偽ラブレターを盗ませます。この悪戯がたまたまバスの乗り換えのために当地に降りた無関係の娘を巻き込み、事態は血で血を洗うとんでもない事態になってしまいます。 プロット自体は『ロミオとジュリエット』を思わせるところもありますが、どちらかというと国家間の紛争が発生するシステムを暗喩していると考えた方が正解でしょう。公開当時は「この映画はベトナム戦争をあてこすっている」と評されたそうですが、それも正当な観方でしょう。経済力としては廃車寸前のピックアップ・トラックが象徴するようにフェザー家の方が劣勢で(ガッシャル家は時代にあったステーションワゴン)、これにはロッド・スタイガーの個性も原因の一つです。彼はとても偏屈で暴力的なキャラで、ここまでひどくなってしまったわけが物語の後半で明らかになりますが、ここは名優ロッド・スタイガーの演技を堪能してください。フェザー兄弟にはジェフ・ブリッジスやエド・ローター、そしてランディ・クエイドといった有名俳優(今となってはですが)がいますが、やはりジェフ・ブリッジスとエド・ローターは光ってますね。ガッシャル兄妹にはゲイリー・ビューシィがいますが、あのゲイリー・ビューシィが両家の和平交渉役を買って出る登場人物の中でもっとも平和的・理性的なキャラを演じているというのが面白いです。けっきょく男手の差がものを言ったのか、母親まで殺され兄弟全滅で娘は家を飛び出して去るというガッシャル家の敗北という感じですが、フェザー家も父親が長男を殺してついには廃人のようになってしまい、これはもう勝った負けたの問題じゃ済まないところまでエスカレートした空しい、いかにもアメリカン・ニューシネマの時代らしい幕の閉じ方でした。 実は原作小説は実話をもとにしていて、ハットフィールド家vsマッコイ家の10年にわたる抗争としてアメリカ史では有名なんだそうです。2012年にはケヴィン・コスナー主演で“Hatfields & McCoys”としてTVミニシリーズ化されています。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-03-31 22:41:05)
16.  ロスト・ボディ(2012) 《ネタバレ》 
なかなか愉しめました。観終わって冷静に考えるとかなり無理があるという真相でしたが、無茶なプロットでも脚本次第でここまでの作品に仕上がるというわけです。ヤリ手女房のイヤミ女ぶりはなかなかのもので、これじゃあ殺したくなるのも無理はございません。登場人物の中に必ず犯人や事件の真相があるというミステリーの王道を踏まえたオーソドックスな撮り方も好感が持てます(まれにそうじゃないミステリーも有りますからねえ)。まあ観て損はないと思います。 あんまりネタばれしたくないんですけど、でもこれだけは突っ込んでおきます。「旦那が離婚するという選択をしたら、どうするんだよ?(笑)」。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-11-18 21:20:22)
17.  ローリング・サンダー(1977) 《ネタバレ》 
ヴェトナム帰還兵ジャンルの映画は数あれど、ジョン・ランボーから見て極北に位置するのが本作のチャールズ・レーン少佐になるのでしょうか。その寡黙ぶりは高倉健を彷彿させますが、そういや脚本のポール・シュレイダーって『ザ・ヤクザ』も撮ってましたね。捕虜抑留中に妻を寝取られていたと判っても、妻そして間男にもなんの感情も示さない様な前半の彼ってほんと観てて痛ましい限りです。トミー・リー・ジョーンズも登場シーンではまったく無表情で芝居をしてたのが、ラストの大殺戮の場面では嬉々としてショットガンぶっ放してるのが堪らなく不気味でした。 余談ですがレーン少佐がかぎ爪付き義手になってしまう原因が映画ではイマイチ不明でしたが、実は襲撃されたときにディスポーザーに腕を突っ込まれた為で、そのシーンはグロすぎるということでカットされちゃったそうです。でもそのカットはないよな、と私は感じます。かぎ爪義手のウィリアム・ディヴェインは今や伝説的なキャラとなり、ショットガンに義手で装填している図柄のポスターはすっかりアイコンみたいになっているぐらいなんですから。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-09-16 23:01:58)
18.  ロンゲスト・ヤード(1974) 《ネタバレ》 
この映画はその後の数あるチーム対戦型スポーツ映画に模倣され、ついにはリメイクまでされてしまった、まさに「偉大なオリジナル」ですよ。スプリット・スクリーンに始まってスローモーションで終わる試合の見せ方はもう完璧としか言いようがありません。フェアー・プレイも減ったくれもない荒技の数々、そして肉体がぶつかり合う音の迫力、まーこれぞ漢のドラマです。そうそう、「男」と言えば密告屋アンガーと便利屋がバート・レイノルズにラブ・モーションを送っているのに再見して気がつきました、明らかにこの二人はホモですね(笑)。もちろんレイノルズは無視してましたが、さりげない描写ながらけっこう繊細なアルドリッチの演出でした。
[映画館(字幕)] 7点(2011-05-31 19:17:57)
19.  ロング・グッドバイ 《ネタバレ》 
フィリップ・マーロウに思い入れも蘊蓄もない自分にとって、昔からグールド=マーロウというぐらいマーロウのイメージになっている作品です。ハンフリー・ボガード、ジェームズ・ガーナー、ロバート・ミッチャム、それにしてもがこれだけ個性の異なる俳優が演じているキャラクターって珍しいですね。 まあ本作は完全にアルトマンがドロドロになるまで料理してますので、オリジナルのストーリーと思った方が良いでしょう。70年代らしくカウンター・カルチャー風俗をとりいれていますが、自分としてはそこら辺はあまり好みじゃないです。それにしてもあのシュワちゃんがムキムキボディを見せてくれるシーンですが、どうしてみんな脱がされるのかさっぱり理解できません。マーク・ライデルの演じるキャラが本作でもっともシュールで意味不明でした。
[DVD(字幕)] 7点(2010-10-22 00:52:00)
20.  ロックンロール・ハイスクール 《ネタバレ》 
ロジャー・コーマン製作総指揮、ノン・クレジットながらジョー・ダンテも演出に参加した、あの伝説のNYパンクの雄ラモーンズが唯一出演した劇場映画、もっともラモーンズの面々は演技するんじゃなくて演奏しているだけなんだけどね。まあストーリーはよくある学園モノといっちゃあ観も蓋もないけど、ラモーンズが登場してからはノリまくったパーティ・ムーヴィー状態。ラストは高校生たちが校舎を爆破してしまうという超アナーキーな展開。生徒たちを管理して締め上げようとする女校長が悪役だけど、彼女の側近というかしもべのような二人組(ヘンゼルとグレーテル!と呼ばれているが、男です)の変態ぶりが強烈でしたね。あと唯一の生徒たちの理解者である音楽教師を、やはりコーマン一家のポール・バーテル(『デスレース2000年』の監督)が演じています。校内で妖しい企業を運営している男をロン・ハワードの実弟クリント・ハワードが怪演していますが、この兄弟って恐ろしく似てないですね。まあラモーンズ好きなんて今はけっこうなお歳の方々が多いんでしょうが、ファンにはたまらない一編であることは確かでしょう。しかし現在はオリジナルメンバー四人(つまりこの映画に出ている四人)は皆他界してしまっているとは、残念なことです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2023-05-16 22:50:47)
030.13%
1110.46%
2351.47%
31265.29%
42038.52%
535614.94%
644218.55%
761325.72%
842717.92%
91375.75%
10301.26%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS