201. 大いなる西部
松嶋菜々子の満面の笑みにこの映画のオープニングシーン、疾走する駅馬車の車輪が重なって蘇ってきます。生茶の味が本当に新しくなったかどうかはさておき、この曲は「清新」というか、何か新しい時代の幕開けを予感させる素晴らしいテーマミュージックだと思います。インディアン殺戮ウエスタンよりこの映画に代表される旧時代と新時代、あるいは西部と東部の男の対立の構図のほうがやっぱり後味良いですね。ヒロイン、ジーン・シモンズの涼しげな目元、キリッとした凛々しい美しさが極めて魅力的。(NHK教育世界名画劇場→) [地上波(字幕)] 9点(2005-04-17 14:08:56) |
202. 旅路(1958)
地味目な設定、お話だけどいい映画です。その分キャストが賑やか。リタ・ヘイワースは最後の輝きといったところ。対するデボラ・カーはひっつめ髪のオールドミスに扮し演技力で勝負。原題の「セパレート・テーブル」をうまく取り入れた邦題にしてもらいたかったですね。そこだけが不満。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-04-10 17:15:43) |
203. お早よう
小津映画の四番バッター杉村春子が、出番は少ないながらここでも大活躍。「もうやンなっちゃうよ本当に、ばあちゃん、あんた本当に楢山行きだよ!」って台詞自体もすごいけど、滑舌のいい彼女の口から発せられると小気味良く聞えるから面白い。久我美子や佐田啓二あたり、この映画じゃ子役に食われて印象が薄い。 [DVD(字幕)] 7点(2005-04-02 14:04:35) |
204. 南太平洋(1958)
一般的には名作ミュージカルという評価みたいなんだけど・・・、自分決してミュージカル嫌いじゃないんだけど・・・。うーん、これはなんだか長いだけでひたすら退屈してしまいました。背中がゾクゾクするようなナンバーも前半に流れる「バリ・ハイ」位。 3点(2005-03-29 14:44:39) |
205. 夫婦善哉
正にこれ、ド演歌「浪花恋しぐれ」の世界。まだあの歌の男には芸の精進っていう言い訳があったけど、森繁扮するこの柳吉はんには何もなし。勘当された金持ちのボンボンという肩書きだけ。女が稼いだ金ちょろまかすわ、妹に金を無心するはやりたい放題。それでも不思議と憎めない人物像になっているのは、当時の森繁自身のキャラクターと役柄が絶妙にマッチしているせいか。淡島千景扮する蝶子も男をふわっと包み込むような優しさと強さを兼ね備え、何ともいえない雰囲気がある女性像を創り上げ極めて魅力的。ちなみに大阪ミナミの「自由軒」東京西新橋に支店あります。この映画観て「生卵かけライスカレー」に興味を持った方は是非! なかなかイケますよ。 7点(2005-03-21 14:46:10)(良:1票) |
206. ソロモンとシバの女王
サイレント時代からの巨匠、キング・ヴィター監督の遺作。この種の史劇は大々的なスペクタクルか、余程の面白い趣向がない限りどれがどれやら区別がつかなくなりがち。さてさて、この作品の呼び物はただ一つ、急襲する敵を夥しい数のミラーの反射で混乱させ大勝利するってシーンのみ。まさかこれ、似合わないカツラを被らせて孤軍奮闘したユル・スキンヘッド・ブリンナー氏へのあてつけじゃあるまいな。 6点(2005-01-31 18:37:17)(笑:1票) |
207. 北北西に進路を取れ
ヒッチコックサスペンスの集大成的秀作!と謳うのはやぶさかではない、が、ラストのラシュモア山での格闘シーン、高さによる恐怖があまり感じられないのは何故だろう?劇場で観てもブラウン管で観てもその印象は変わらず。 9点(2005-01-29 13:49:12) |
208. 水爆と深海の怪物
「でっけえええーーーーー!でもちゃちいいいいーーー!しかもよええーーー!」でも製作年度を考慮してこの点数。 5点(2005-01-23 20:37:14) |
209. 肉の蝋人形 (1953)
こんなん観てる人自分以外にもいたんですね、よかったあ。劇場の呼び込み芸人がボールを画面の観客に向かって投げるってシーンが延々妙に長いと思ったら、元々は3D用映画だったからなんですね。あとはラストの蝋人形の群れがむごたらしく焼け落ちるってシーンしか憶えてないなあ・・・。でもこの手の、問屋制家内工業感満点のホラー映画、実は嫌いじゃない俺。 5点(2005-01-22 15:49:32) |
210. 黒い罠
ヒッチコックは「サイコ」を撮る際、この作品から相当なインスピレーションを受けたであろうと推測される。1950年代のアメリカ映画でドラッグパーティーや輪姦(具体的なシーンはないがジャネット・リーは当然モーテルでそういう辱めを受けたはず)が露骨に描かれている事に驚嘆。友情出演扱いのディートリッヒにもきちんと見せ場を作って花を持たせているあたり、やはりオーソン・ウェルズただものではない!教訓、ハネムーン中には花嫁を決して一人きりにしておかない事。 8点(2005-01-17 14:41:19) |
211. 宗方姉妹
これは小津としてはストーリーを語る事にもう精一杯状態の失敗作だと思う。なにより高峰秀子という女優が小津映画向きでない事が一番のマイナスポイント。実際木下、成瀬映画での彼女の自然体名演技を観慣れた方なら、いかにこの映画の窮屈な画面の中、無理矢理な「小手先芝居」をさせられているかわかるはず。映画のメインテーマとなっている「何が古いもので何が新しいものか」という議論云々より、言わなければいけない事を腹の中にためているだけの姉と、思った事をズバズバすぐ口に出して周囲を困惑させる妹、それぞれの性格設定自体にそもそも問題あり。笠智衆の父親が不治の病という設定もなんだが意味ないような感じ。えへらえへらと薄ら笑いを浮かべているだけのモテモテ上原謙より、無職のプータローだがどっしり構えている山村聡のほうがよっぽど魅力的。しかし格調高い小津映画で必殺七連発平手乱れ打ちを観られるとは思ってもみなかったよなあ。 [映画館(字幕)] 7点(2005-01-15 14:22:23)(良:1票) |
212. 点と線
主役の刑事が正義派一点張りで人間的魅力に欠けるのが難点だが、松本清張のベストセラー小説を実にわかりやすくコンパクトに映像化してるのでこれはこれで面白かったです。高峰三枝子とばあや以外の女性陣が馴染みがないせいか当時のメイクアップのせいか、皆同じに見えて困りました。ドラマ「黒革の手帳」が面白かったという方、この作品も含め「顔」「ゼロの焦点」「疑惑」「張込み」あたりの映画の秀作も是非!(中には駄作もあるんで要注意) 7点(2004-12-31 19:16:22) |
213. 陽のあたる坂道(1958)
石坂洋次郎の原作長篇も良いけど、映画も名作です。西洋風の豪邸住いのブルジョア家庭の揉め事なんて下手に描けば鼻持ちならない絵空事になってしまいがちだけど、これ多分脚本がいいんでしょうね、裕次郎演じる次男の抱えるいびつなコンプレックスが、 観客にうまく同化できるよう真直ぐに伝わってきます。誉めすぎかもしれないけど、日本版「エデンの東」。足が悪い妹役の芦川いづみ、この映画でもメチャメチャ可愛いっす! 8点(2004-11-18 00:31:50) |
214. イヴの総て
ナレーション過多のドラマや映画はあまり好きではないが、この作品だけは別。マンキウィッツ監督の洗練された語り口と練りに練られた台詞の巧さには舌を巻く。ジョージ・サンダースの「イィィィィィヴ(語間を延ばすのがポイント)・ハリントン」っていう口調が特に印象的。でもベティ・デイヴィスがこの演技でオスカーを逃がしちゃったのは納得いかないよなあ。ダブルノミニーのアン・バクスターと票が分散しちゃったんでしょうね多分。 9点(2004-10-31 13:19:29) |
215. ローマの休日
映画の内容とは全く関係ないんですが、オードリーの吹替えはやっぱ池田昌子さんの方が良いと思います。 9点(2004-10-30 15:40:48)(良:3票) |
216. 欲望という名の電車(1951)
「ヘイ、ステエエエエラアアアアーー!!」と慟哭するスタンリー(ブランド)の咆哮がいつまでも耳に残って離れません。 7点(2004-10-23 17:03:54) |
217. 挽歌(1957)
和製クールビューティの決定版(と自分は勝手に思っている)久我美子の代表作。今の世の中ならさほど珍しくもない、中年男を翻弄しまくる彼女の小悪魔的キャラクターは、当時としてはかなり斬新な女性像だったと思われる。脇を固める森雅之、高峰三枝子も貫禄の演技。最果て北海道の廃線跡でのロケーションが情感たっぷりで美しい。原節子は久我美子の持ち味を「特殊児童的演技」と評していたらしいが、その特徴が最も生かされた作品はこれ! 7点(2004-10-23 14:15:55) |
218. 慕情(1955)
ジェニファー・ジョーンズって不思議な女優さんですね。野性的な娘(白昼の決闘)ジプシーの女(女狐)一見貞淑なアメリカ人の人妻(終着駅)、そしてこの映画でのイギリス人と中国人とのハーフの女医と、演じる役柄によって受ける印象がこんなに異なる人も珍しいと思う。演技も(特にラブシーンとか)すごく巧い!でも・・・、何故か人気ないんですよね、日本でもアメリカでも。 ラスト、思い出の丘を駆け上がっていくシーンで泣かされるのは彼女の演技力あっての事。ホールデンがこの映画ではデクノボーに見えて仕方なかった。 7点(2004-10-11 16:42:05)(良:1票) |
219. 彼岸花
どうしても達者な関西弁を自由自在に操る浪花千栄子や、大輪の花の如き美貌の山本富士子に視線が行きがちになってしまうが、ここでは敢えて田中絹代の控えめながらも力強い演技を僕は声を大にして褒め称えたい。佐分利信と芦ノ湖のベンチに座り、戦争中防空壕の中で家族が一緒だった事を回想するシーン、ゴタゴタが一件落着して電話口で「良かった、ほんとに良かった」と娘の幸せを心から祝福するシーン等はその中でも特に絶品といえる。長年役者を続けてきた人だけが出せる、たおやかな気品とでもいったらいいか。最近こういう女優さんいないよなあ・・・。 [映画館(字幕)] 10点(2004-09-26 15:19:24)(良:1票) |
220. リリー
いいですよ、この映画。キャロン嬢のファニー・フェイス(個人的にオードリーより彼女こそこの呼称に最もふさわしい女優だったと思う)は、この年齢にしては幼すぎる感のある孤児リリーのキャラクターにぴったりで。「ハイ・リリー、ハイ・リリー、ハイロー」って主題歌もあまり知られてないけど、いつでも口ずさめる名曲だと思います。期待しないで食べた大味そうなデザートが、実は繊細な味で大満足でしたって気持ちにさせてもらいました。って例えが何か変ですかね~、俺甘党なもんですみません・・・。 8点(2004-09-19 15:58:39)(良:2票) |