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民朗さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1317
性別 男性
ホームページ http://minrou.seesaa.net/
年齢 36歳
メールアドレス baker221b@live.jp
自己紹介 全体的に甘めの評価になりがちです。
当然映画のジャンルによって評価にバラつきがあります。以下参考までに……。

評価が高くなりやすいジャンル:ミュージカル、B級アクション、ロマコメ、バカコメディ
評価が低くなりやすいジャンル:ミステリー、サスペンス、ラブロマンス

基本的に過激な映画が好きです。暴力的な意味でも、性描写的にも、人間性の描き方でも
どれだけ感動的な映画であっても尖った所が無い映画より、過激な表現がある映画の方を評価しています。

13.4.27(追記)……TOHOシネマズが6月1日から高校生料金を1,000円にするとのこと。
今は若い方が映画館に少ない状態なので大変素晴らしいと思います。
(日本の料金はそもそも海外に比べて高すぎる。価格も一律で決められているから劇場間の競合も生まれにくい)
でももうちょっとシネコン自体が上映する映画のラインナップを改めた方が良いのでは。
客が集まる邦画をバンバンかけるのは経営としては正しいけれど、いつか必ずしっぺ返しが来るのは判り切っていることなのに。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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201.  ザ・レイド
すごい映画ですねー。ハッキリ言ってストーリーは無い!最初から最後まで血の雨が続く二時間。もうびっくりです。こんな無茶苦茶な映画があっていいんですね。主人公は特殊部隊(?)の新米で約30人で悪の親玉を捉えるべく犯罪者の巣窟となっている巨大マンションに突入する。案の定、大多数を待ち伏せによって失い、主人公ほか数名絶体絶命。普通の映画では「ここから一度退散して計画を練り直してリターンマッチ」となりますが、この映画は「主人公は無敵のシラット使いだったから殆ど一人で敵を皆殺しする」というとんでもない展開になっていきます。一応主人公サイドに裏切り者がいたり、主人公の兄貴が敵側にいたりとストーリーらしきものはありますが、あくまで枝葉に過ぎないといった感じ。というかアクションパートに比べて明らかに演出等にやる気が感じられない 笑。根幹は如何に肉弾戦における血みどろの殺し合いを見せるかに焦点が置かれており、この後半の展開がまあすごい。上映時間の約9割は血みどろアクションなので、その手のアクションが好きな人は絶対に見た方がいいと思います。 個人的に目を惹かれたのは、ものすごく変な撮影。死体だらけの廊下を意味なくパンしたり、セットの上から2つの部屋を跨いで撮ったり、斜めにしたり、ガタガタ揺らしたり、机の下から撮ったり、グルグル回したりと、何でも思いついたことやってみよう!という感じで非常に観ていて楽しかったです。ハリウッドじゃ絶対に見れないカメラワークの連続でした。
[映画館(字幕)] 7点(2012-11-10 20:52:28)(良:2票)
202.  黄金を抱いて翔べ 《ネタバレ》 
至極真っ当なクライムムービーでした。しかしこの真っ当な映画を作るのが如何に難しいか。こういう映画はサスペンス、スリルのテンポが命。ダラダラ登場人物の紹介をしたり、計画実行までの準備が長すぎたりすると、観ていて飽きが来てしまうものですが、この映画はそこのテンポが抜群に良かったと思います。主要登場人物を多すぎない6人に絞り込み、それぞれの金塊強奪計画の役割、それに付随する職業・性格・出自を的確に描写しています。その様にセットアップが見事だからその後のキャラクターの掘り下げも観ていてとても納得というか話の展開に整合性があります。こういう背景をしっかり描写できない映画が現在如何に多いか良く分かりますね。その後の展開も、主人公たちの邪魔をする奴らは、街のゴロツキ(ヤクザ?)、左翼運動家、北朝鮮のダブルスパイとバラエティに富んでいるのですが、その複雑さを実に綺麗に回収していきます(実は繋がっていてまとめてやっつけたりしますが)。しかし個々の要素が適当に片付けられているかと言うとそうではなく、奴らの襲撃によって確実に主人公たちは消耗し計画に綻びが生じてくる。このあたりの展開の仕方も実に見事だったかと。近年の日本映画の本格的なクライムムービーとしては非常に水準の高い作品だったと思いますし、文句なくオススメ作品ですね。 それから役者がとにかく輝いていて、個人的に最高だったのは桐谷健太さん演じるサラリーマンの野田でした。他のメンツが全員プロなのに対し、いたる所でビビリまくる演技が最高に面白かったです。普段ヤンキーの役が多いこともあってか本作の役柄とのギャップがツボでした。やや残念だったのは真っ当に作りすぎた故なのか、ぶっちゃけ展開が容易に想像できる場面が多々あったことです。産婦人科から出てきて「2人目できたのよ」なんて言っている時点で死亡フラグがビンビンなのに、その上無防備に交差点渡るシーンを撮ったりしたらいかんですよ。あのシーンで母子が無事に横断歩道を渡れると想像した人がいるんでしょうか?
[映画館(邦画)] 7点(2012-11-08 19:52:50)(良:1票)
203.  希望の国 《ネタバレ》 
観た感想を率直に言うと、今観れて良かったです。劇中では何度かこんな言葉が繰り返されます。ニュース番組のキャスターは「大変な時こそ大きく騒がないで大きく構えていきましょう」、お笑い芸人は「こんな大変なことは置いといて僕らはお客さんを笑わせますよ」とか。人間は嫌なことや辛いことを忘れる能力が備わっている生き物です。大抵の人がご自身で被災されたり肉親を震災で亡くさせたりしなければ夜に悪夢で飛び起きたりすることは無いでしょう(テレビじゃ一応今でも日本中の人に傷跡がとか言うけど)。誰だって震災から1年半以上も経つと目の前の仕事とか生活とかの方が身近な問題になってしまう。今じゃニュースも新聞も被災地の状況より原発の再稼働の是非の方をよっぽど大きく報道するようになっている。 その1年前の出来事が段々過去になりつつある今、福島以外の原発が爆発してしまったら、というifを描いたのが本作です。この前、園監督の自伝を拝読したのですが、監督は前々作の「ヒミズ」で福島の被災風景をスクリーンに写したことでかなり非難の声を浴びたそうです。無神経であると。しかし福島の方には、よくぞ撮ってくれた、忘れ去られずに済んで良かったと感謝されたそうです。本作はその「ヒミズ」の被災風景のみで構成された映画と言えると私は思いました。つまりあの震災当時あったことそのものを今描こうと。皆は過去の出来事にしようとしているが、今一度思い出してみようと。私は本作を観て自分が震災を忘れようとしていることを自覚できましたし、そんな自分を仕方ないと許すと同時に恥じました。本当に今この映画を劇場で観れて良かった。 ただ映画としてどうかというと手放しで喜べないシーンも多いと思います。一番ガックシ来たのは、痴呆症で勝手に避難指定区域に入ってしまった大谷直子を何の理由も無しに夏八木勲が見つけてしまうこと。折角結婚指輪の話も入れているのだから、かつて思い出の場所だったから分かったとか何か一つ理由が欲しかった。ピアノがポーーンと一音だけなる音楽が繰り返されるのもそれを聞くだけで映画のテンポが死んでしまっている様に感じてしまい残念。マーラーの荘厳な音楽も繰り返されるとちょっとキツい。 ただし役者さんの演技は抜群に良い。特に夏八木勲と大谷直子の老夫婦はどう見ても長年本当に連れ添った夫婦にしか見えず、最後のキスシーンには非常に感動させられました。
[映画館(邦画)] 7点(2012-11-05 20:30:23)(良:2票)
204.  009 RE:CYBORG 《ネタバレ》 
"未完の傑作"とか言われていますが、個人的には原作の話は地下帝国ヨミ編で一度終わっている訳で、なんでわざわざ映画化するんだろうかと不思議になっていた作品でした。サイボーグ009シリーズの最大の敵は軍産複合体のブラックゴーストであり、連載当時は冷戦真っ只中でベトナム戦争などの軍需産業と政治との問題も注目されていて物語に説得力もありました。しかし今の世の中でも軍産複合体は存在しており、アメコミ映画『アイアンマン』は現在の死の商人を近年では一番上手くヒーローものに落とし込んでいる作品の例だと思います。なので今でもブラックゴーストを敵とした作品を作っても十分通用するのではと思っていました。しかし今回の『009 RE:CYBORG』の敵は神であり、彼の声を聞いた人々がテロを起こしている。これは原作で未完となった天使編を下敷きにしているのでしょう。それ自体が悪いとは言いません。彼(恐らく神)の声を聞いて啓示を受けたかのようにテロを人々が起こすという話が神山監督の代表作『攻殻機動隊』に似ているから二番煎じだとか言うつもりはありません。しかし石ノ森先生が壮大になりすぎるが故に畳みきれなかった作品を扱うなら、最後はキチンと畳まないと態々作り直した意味が無いでしょう。唐突な「神が許したから全部解決したよ」ってエンディングにはズッコケそうになりました。「答えが出ないからやーめた」なんて制作姿勢は私は許容しかねます。最後に地下帝国ヨミ編の感動的なラストを再現しているのもファンサービスのつもりなのかもしれませんが、正直嬉しいものでは無かったです。
[映画館(邦画)] 3点(2012-11-04 11:22:04)(良:1票)
205.  アルゴ 《ネタバレ》 
イラン内での描写の緊張感が尋常ではなく手に汗握る二時間でした。ベン・アフレックは俳優から転向したのに素晴らしいですね。役者のアップから他の役者のアップへのパンショットや小道具を執拗に追うカメラワークは「ボーンシリーズ」のポール・グリーングラス監督の様で実に臨場感があります。その忙しなく緊張感溢れるシーンの合間にハリウッド映画界の皮肉をコミカルに描く辺りのバランス感覚もとても良かったです。役者では相変わらず棘のある爺さんをやらせると最高のパフォーマンスを見せるアラン・アーキンが大物プロデューサーを熱演。もう少し主人公が上官の命令に背き独断で作戦を実行するに至る描写や、カナダ人に扮する為に試行錯誤する描写などを加えてほしい気もしましたが、緊張感を持続させ得る上映時間としては本作の二時間程度がベストなのでしょうね。
[映画館(字幕)] 8点(2012-11-01 19:44:20)(良:1票)
206.  エクスペンダブルズ 《ネタバレ》 
往年の筋肉アクションスターの80年代アクション映画を観まくっていた人なら必ず楽しい映画。まあとにかくストーリーから何から何まで大味な作品なのですが、観ていてスタローンは何だかんだ言ってアクションをちゃんと撮れる監督なんだなあと再確認しました。80年代アクション映画への回帰を図っていても、画面がとにかく忙しないカーチェイスシーンなんかは近年のアクション映画のメソッドを取り入れている。そこに80年代特有の「やり過ぎ感」(例えば敵に銃の全弾ぶち込んだり、火だるまになってる敵に止め刺したり、何でも派手な爆発で解決したり)がミックスされていた気がします。ストーリーはB級映画なんだからこんなもんでイイかな。片手にビール持って観るのが好ましい鑑賞方法でしょう。悪役のエリック・ロバーツは悪くはないのですが、もう少しインパクトのあるキャストが欲しかったです。個人的には彫師のミッキー・ロークを悪役に持ってきて、『追撃者』と同じキャストの対決が見たかったかな。
[地上波(吹替)] 7点(2012-10-28 00:09:18)
207.  エクスペンダブルズ2 《ネタバレ》 
現代に蘇った燃える闘魂祭り第二弾。雑魚は基本的にド派手な爆発か拳銃で蜂の巣にして処理というかつて"ランボー"を演じてたスタローンらしく"乱暴"な映画。スタローンも『ランボー4最後の戦場』で真面目な暴力映画撮るようになったじゃん!と思っていましたけど、本作観ると『ランボー3怒りのアフガン』から何も変わっていませんなぁ。でもそれでいいんです。隠されたソ連の資源、恋人の話をしたらやっぱり死んじゃう新キャラ、最後は男と男の殴り合い、何十回観たかわかんないような内容ですが、それが俺たちの大好きな木曜洋画げk……ゲフンゲフン、正しいB級映画ってもんでしょう。今回からはブルース・ウィリスとアーノルド・シュワルツェネッガーまで本格参戦してやりたい放題。しまいにはチャック・ノリスまでこの祭りに駆けつける!みんなアクションスターとして輝いてた時のことを思い出してか楽しそうに演じてますが、それでいいのかお前ら!まあ楽しいからいいんでしょうね。個人的には悪役をノリノリで演じてたジャン=クロード・ヴァン・ダムが最高でした。最後にお得意の開脚回し蹴りが決まった瞬間、心の中で「ヴァンダボー!」ですよ。 まあそんなくだらない感想は置いといても、B級アクション映画としてはとても良くできた作品だと思いました。取り敢えずスターを沢山集めれば面白くなるのかと言えば、そうではない実例『オーシャンズ~』シリーズがある訳で。本作はスターを沢山集めつつもそれぞれの劇中内でのキャラクター、今までのキャリアをメタ的に茶化したキャラクターを上手く描き分けることに成功していると思います。そもそもこんな大御所俳優にメタ発言させること自体が、普通の監督なら遠慮しちゃって注文できないでしょう。ジェット・リーが皆からチビって言われまくったり、シュワちゃんに『トータル・リコール』の削岩機で登場させたり、チャック・ノリスにチャック・ノリス・ファクト言わせたり……。勿論、その要求に快く(?)応じた役者がまず偉いと思います。最近は家政婦を孕ませたりロクな奴じゃねーなと思っていたけど、中々懐大きいじゃないか。見直したぞシュワルツェネッガー!
[映画館(字幕)] 7点(2012-10-27 01:40:41)(良:2票)
208.  十三人の刺客(2010) 《ネタバレ》 
この映画の最大の魅力は稲垣五郎の怪演に尽きます。しかし他の要素が物足りないという訳ではありません。寧ろ、現代に作られた本格時代劇としては突出した殺陣、リアリズムと言えると思います。数十分に及ぶクライマックスでの殺陣の凄まじさ(特に松方弘樹にの殺陣には惚れ惚れします)、切腹シーンに代表される残酷描写のリアリズム、ここ数年の内にこれだけ気合入れた時代劇があったでしょうか?それでもこの映画の印象は稲垣吾郎が持って行ってしまいます。少なくとも私は見終わった後、只々稲垣五郎演じる斉韶のおぞましさが心に深く染み付きました。忠臣の斬首された頭を蹴鞠のごとく蹴り飛ばしたり、女子供を的に弓技に興じたり、一言では表せない超気持ち悪いあの食事シーンだったり、とにかく稲垣五郎のやることなすこと人非人過ぎて、知らず知らずの内に笑ってしまいました。人って余りに気味の悪いものを見ると笑うものなんですね。普段、清潔感のあるキャラを演じることが多い稲垣五郎だからそここれ程怖い悪役足りえたのでしょうか。映画って面白いですね。
[映画館(邦画)] 8点(2012-10-23 23:05:48)(良:1票)
209.  アイアン・スカイ 《ネタバレ》 
「月に70年間潜んでいたナチが地球を侵略しに来た」話なんて誰が聞いてもバカ映画に違いないと思う。いや、実際に観てもバカ映画だったのですが。只のおふざけ映画ではなく面白い点は、非常に政治的な暗喩が山ほど出てくることです。攻めてきたナチの兵器を「我が総帥の発明品だ」と言い張る北朝鮮、廃棄したと言っておきながら大量破壊兵器を隠し持っていた世界各国、月で見つかる新エネルギー"ヘリウム3"を自国のものと主張し取り合う各国首脳陣、他国のロケットの横腹にカミカゼ特攻しかける日本など政治的にデリケートな話をバカ映画に上手く落としこんでおり劇場内は大爆笑でした。もっともコケにされているのは世界一の大国アメリカ、特にその共和党で、2018年には共和党議員サラ・ペイリンそっくり(ご丁寧に殆ど同じ様な眼鏡までかけている)な女大統領がナチとの戦争をプロパガンダとして自分の次期大統領選挙に利用しようとする。このブッシュの思想そっくりな女が「戦争を起こした大統領は必ず二期目を迎えるのよ!」とか「ナチはアメリカが唯一勝利した相手だから大丈夫だわ!」とか言いまくり、とにかく政治的に戦争を起こしているアメリカをバカにしまくっており、控えている大統領選のネガキャンになるんじゃないの?とも思いましたが面白かったからどうでもいいです 笑。この女大統領がいっつもルームランナー(?)で運動していたり政治よりもファッションに気を遣っているところも政治的な手腕より見た目の華やかさを第一とする共和党のバカさ加減を笑いものにしています。音楽ネタもキメキメで劇中で流れる曲はワグナー(ドイツのナチ信奉者の作曲家)で「ワルキューレの騎行」や「タンホイザー」と実に笑える選曲。特にアメリカが宣戦布告も無しにナチの月面基地に核をぶち込むシーンでワルキューレが流れるんですから、「お前らいきなりアフガンやイラクに攻め込んでまるでナチみたいだな」ってことですね。第三世界のネタが少なかったのはやや残念。「チャップリンの独裁者」を見ただけで改心するヒロインや黒人ジェームズとレナーテとのとってつけたようなロマンスなどヌルい部分も多いですが、それでも現在の世界情勢を丸ごとコケにしている映画として実に面白かったです。
[映画館(字幕)] 8点(2012-10-16 22:23:38)(良:2票)
210.  アシュラ(2012) 《ネタバレ》 
人間の残忍さと尊厳を同時に描いた傑作。上映後に暫く席を立てなかった映画は久しぶりです。それほど深い感動を覚えた気が致します。 『生まれてこないほうがよかったのに』― この台詞は原作漫画で度々繰り返される主題です。アシュラは自分がなぜ生まれたのか、自分の人生に生きる意味はあるのかと自問し続けます。確かに観客もそう共感してしまうほどにアシュラの人生は畜生道に塗れているといっていい。実の母親に焼かれ喰われそうになり、母の愛を村娘に求めるも"人でなし"と蔑まれ、生きるために人肉を喰らい、その結果殺戮を繰り返す。 それでも乞食法師はアシュラに人の道を示す。助け合って生きるのが人間と。誰しも獣(ケダモノ)を己の中に抱えているが、それと戦ってこそ人間であると。人を憎まず、己の中の獣を憎めと。 これ以上拙文を書き連ねるよりも、ラストの法師の言葉を以ってレビューを締めたいと思います。 『私はお前(アシュラ)に教えられた。それはあらゆる命を奪い生きているという人の性(サガ)だ。それでも命ある限り足掻き生きていく。だからこそ、この世は美しい』 最高の人間賛歌。
[映画館(邦画)] 9点(2012-10-13 17:21:34)(良:1票)
211.  カーズ2 《ネタバレ》 
「Mr.インクレディブル」や「トイ・ストーリー3」を観たときにも感じたのですがピクサーの製作陣は本当にスパイ映画が好きなんだと思う。今作はイギリスの諜報部員まで出して完全に007の世界です。それに擬人化された車達が登場人物なので007のような改造された車がバンバン出てきてマシンガンをぶっ放すわ、空は飛ぶわで男の子ならテンション上がらざるを得ないでしょう。ベテランと新米のやり取りもこういうスパイ物では定番で見ているだけでやり取りが楽しい。前作のような叙情感を掻き立てるようなストーリーではありませんがピクサーのアクション映画にお馴染みのスピーディー溢れるチェイスやカメラワークに大変心躍らされました。ただ悪役の動機と落とし前に関してはもう少し上映時間を延ばしてくれても良いから描いてほしかったかな。
[DVD(字幕)] 7点(2012-10-08 21:41:18)(良:1票)
212.  鍵泥棒のメソッド 《ネタバレ》 
今までの内田けんじ作品は出てくるヤクザの描写が余りにもリアリティに欠けていて真面目に観れなかったのですが、今作くらい完全にコメディで通してくれたら全然オッケーです。今作のキャラクター造詣はとにかく無茶苦茶で、ヤクザが金を手に入れただけで簡単に手を引いたり、殺し屋が仕事前に暢気にクラシック聴いてたり、観客が主人公と思っている堺雅人演じる売れない役者が完全に人間の屑だったりします。とりわけ広末涼子演じるヒロインは見ず知らずのオッサンを自分の車で送ったり、数々の無茶苦茶な発言等の為、完全な狂人にしか見えないのですが、それらの現実ではまずありえないような人物描写も劇中の"メソッド演技"に掛けており、この話は完全にコメディでありつつ現実でもあるという作品のバランスにリンクしており上手いなあと思います。ただ皆さん絶賛されている香川照之の演技は個人的に余り好きになれず。最近の彼のオーバーアクトが演技力の高さと言われている風潮はなんだかなーと思います。だってある意味最もメソッド演技から遠い演技じゃないですか?
[映画館(邦画)] 7点(2012-10-08 00:39:12)
213.  アウトレイジ ビヨンド 《ネタバレ》 
結論から言うと前作の面白味は失っていると思います。つまり過剰な暴力描写や誰が死ぬか分からない緊張感は確実に減っています。このシリーズのキャッチコピーである"全員悪人"は今作でも同じなのですが、ストーリー上どうしても大友と木村が主人公だと言わざるを得ません。つまり彼らが終盤まで生き残るのは観ていてなんとなく想像がついてしまう。それに話しが前作の様な巨大暴力団の一下部組織である大友組の話ではなく、山王会のトップと花菱会のトップとの対立の話となっているため銃のドンパチが基本的な殺し方なので、あの手この手の暴力描写を見せてくれた前作に比べ面白みに乏しい。それでもこの映画を高く評価したいのは、まず監督がインタビュー等で話している通り前作よりもエンターテイメントに寄ったこと。ヤクザ映画の2作目で組織がビジネスライクになるに従って信用を失っていく展開は「ゴッドファーザー」シリーズに通じるし実に観客が喜ぶ様なヤクザ映画のお約束をしてくれていると考えて良い。しかも前作の様な誰が生き残るかサッパリ予想が付かないことも無いのでハッキリ言って気楽に観れます。よって観客の間口は前作よりかなり広がったのではないでしょうか。確かに前作を超えているとは全く思えないし、多分映画史に残る類の作品では無いでしょう。しかし"純愛"だとか"○万人が涙した"とか"大ヒット○○の映画化"とか宣伝打っている映画がメジャーで、逆に暴力的な映画がオミットされている邦画界において暴力映画が再び勢いを取り戻してほしい希望を込めて高評価としました。こんな役目、今の日本じゃ間違いなく北野武しか出来ないし。
[映画館(邦画)] 8点(2012-10-07 23:21:46)(良:3票)
214.  ハンガー・ゲーム 《ネタバレ》 
平凡な話であっても感動作に昇華させるのが得意なゲイリー・ロスと、俯瞰した様な乾いた客観的視点が持ち味のスティーヴン・ソダーバーグが組んだ映画と知って、どちらも割りと贔屓している監督なので期待して鑑賞したのですが……、正直余り面白くなかったです。いや、面白くなかったのは至極当たり前です。この映画には明らかな欠点が2つあります。1つ目は架空の世界を寓話として描いていないこと。良作のファンタジーは必ず私たちの生きる世界の問題を何か反映しているものです。「ハリー・ポッター」でさえその根底には人種差別という現実に通じる暗いテーマがあるからあれだけヒットした。しかしこの映画の物語は私たちの世界とまるでリンクしていない。享楽的な金持ち達が少年少女を殺人ゲームの見世物とする話なのですから、もっと現代社会の貧富の差と絡めるとか手はあった筈なのに勿体無い。例えば殺し合いをただテレビで見る富裕層を先進国、殺し合いをさせられる貧民層を代理戦争させられている中東国に暗喩させるとか。そういうことをしないと単に架空の世界で主要人物が死んだって別に悲しくもなんともならない。2つ目は曲がりなりにも殺し合いをしているのに殺人の描写が甘いこと。ターゲットの客層が少年少女だからなのでしょうが、殺人ゲームの話でそこを見せないのはダメでしょー。深作監督の傑作殺し合い映画「バトル・ロワイアル」を見習ってほしい。というか元々人間ドラマの演出が上手いゲイリー・ロスに本来凄惨な話になる筈の映画の監督を任せたのが間違いと思わざるを得ません。2作目の制作・公開は決定しているらしいですが、同じスタッフで続編を作られたら見るかどうか非常に怪しいところです。
[映画館(字幕)] 5点(2012-10-06 00:20:28)
215.  ロボット 《ネタバレ》 
ちょっとメアリー・シェリーの「フランケンシュタイン」の様な生まれてしまったものの悲しみという深刻な場面もありますが、基本的には歌って踊るいつも通りのインド映画。シャンカール監督の「取り敢えずラジニカーントを立ててド派手に仕上げる」という明確な作りがいい感じです。終盤の畳み掛けるようなアクションには腹抱えて笑いました。それにしても180分の完全版を見たのですが、インド映画は長尺にも関わらずストレスフリーで観られますねー。世の中には90分でも苦痛な映画がゴマンとあるのに凄い。
[DVD(字幕)] 8点(2012-10-05 00:48:19)
216.  ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える 《ネタバレ》 
やってることは前作と同じ筈なのに前作より劣っていると感じてしまいました。前作同様オチは見事です。テディの居場所はロジックとして正しく"なるほどなぁ"と唸るトリックだし、相変わらずエンドクレジットで明かされる悪夢の夜の真相には心底笑える。結婚直前に後ろの処女を無くしたステュが哀れすぎて……笑。くわばらくわばら。間違いなくステュはアランを新宿二丁目に放り出す権利がありますよ。微妙なのはチャウがらみのシーン。主要三人はテディの居場所を追ってディーラーを辿っていきチャウの取引へと話が繋がりますが、結局「テディの居場所は分からなかったし手がかりもありませんでした」ってそれ脚本を放棄している気が。それじゃ真剣に見てる観客が馬鹿を見るというか、なんでもありだろと思ってしまいます。
[DVD(字幕)] 6点(2012-09-30 21:01:53)
217.  るろうに剣心 《ネタバレ》 
予告編で佐藤健が「おろ?」と言っているのを見て久しぶりに弩級の珍作が生まれるのではと思っていたのですが、実際に観てみると珍作どころか良作でビックリ。少年漫画の実写化という難しいジャンルの映画化としては無類の出来だったと思います。激しい殺陣の撮り方が(所々何写ってるか分からんシーンもあるが)原作『るろうに剣心』の持つ荒唐無稽ともいえるアクションを上手く再現しています。役者としては男性陣が総じて良く、佐藤健は華奢で女性的だが飛び回るアクションが出来る稀有な俳優でしょうし、江口洋介も出番が少ないとは言え厳格な執行官としての斎藤一そのものだったし、香川照之の武田観柳は完全に和月漫画に出てくるブッ飛んだキャラをトレースできていた。白眉は吉川晃司の鵜堂刃衛で主人公のダークサイド、主人公が人を斬り続けてしまった場合の末路をその怪演で見事に表現出来ていた気がします。逆に女性陣が余り良くない。劇中の説明では色っぽいと言われている恵は全然エロくないし、武井咲の神谷薫は師範代のくせにヒロインとしての弱さが前面に出てしまっている。もう少しコメディリリーフとして二人を動かしても良かったなと思いました。それから原作でも何かと不遇な役回りが多い相楽左之助ですが……、この映画にいるか?このキャラクター。こんな微妙な役ならキャラごと消しても良かった気がします。もちろん原作ファンへのサービスだったのでしょうが。とは言え続編が出れば必ず見に行くでしょうしその気持ちにさせてくれた時点で良作でしょう。
[映画館(邦画)] 8点(2012-09-29 22:26:27)(良:1票)
218.  岳-ガク- 《ネタバレ》 
真面目に映画を作ろうとしている意志は感じられました。過去の山での死亡事故を語らせることで主役二人のキャラクターに深みが生まれている。各キャストも概ねいい配役だったと思います。特に小栗旬はハッキリ言ってテンションも含め端から見れば狂人のような純粋無垢な"三歩"を上手く演じていたかと。また何人かの方が仰っている通り、死体をフォールする場面は衝撃的でした。問題は余りに監督の技量が足りていないことでしょうか。正に今のダメな邦画に蔓延している病理の見本市みたいな演出ばかりになってしまっていたと思います。まず映画なのに画面に動きが余りにも乏しいこと。特に会話場面ではキャラクターに全く動きが見られないばかりか、カメラも基本的に固定してピクリとも動かさず、カメラの視点を切り替えるだけ。だから山岳救助隊が通報を受けたシーンなどは事態は緊迫している筈なのに全く画面に切迫感が生まれていない。そしてその画面の動きの無さを誤魔化すために只管気分を盛り上げるために音楽を流しまくる。恐らくですがこの映画からBGMを取り除くと全然盛り上がらない映画になっていると思います。それってつまり音楽に全てを頼っているってことなんですよね。ホントに面白い映画は「ここぞ!」という場面で音楽を効果的に使っています。それからスローモーションをとにかく多用していること。本作では確か五回は同じようなスローモーションの場面があったと思います。明らかに多過ぎ。決定的な場面でスローモーションというのは定番の演出ですが一つの作品で何度もあると流石に食傷気味になってしまう。監督のフィルモグラフィを見ますと今までドラマの監督としてキャリアを積まれている方の様なので、また映画を撮るときがあったら是非映画的な演出を増やしてほしいと思います。流石にテレビ屋的な演出を二時間見続けるのは辛い。
[地上波(邦画)] 5点(2012-09-24 00:01:13)
219.  踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 《ネタバレ》 
もうファンでもないのに映画館まで観に行った私が悪いということでしょうが、折角1,800円払ったので言いたいことを言おうと思います。最後までテレビドラマの質から脱却できない作品だったなというのが率直な感想です。「海猿」シリーズみたく続編になるに従ってステップアップするならいいですが、「踊る」シリーズはいつまでたっても10年以上前の演出方法を繰り返しているのでホントにルックがショボく感じます。未だに作り手の頭は90年代なんでしょうか。捜査本部の会議室は無駄に暗かったり(明るくしないと目悪くなるよ)、警視以上のお偉方がいる部屋は月明かりの下みたいにメチャ暗い。こんな"暗い部屋にいてしかめ面してたら悪役っぽい"なんて演出しているからバカみたいに見えるんですよ。警察の犯行をもみ消そうとするお偉いさんが全員の前で「さて、臭いものに蓋をしようかな」ってそれ「お主も悪よのう」くらい間抜けな台詞でしょ。なんで声に出して全部説明しちゃうのよ。観客をハラハラさせようとするなら音でビビらせる演出しか出来ない。観客を盛り上げようとするとテーマ曲をうるさい位大音量で流す演出しか出来ない。なんかちょっとでも新しいことしようとか監督は思わないのでしょうか。脚本が崩壊しているのはこのシリーズ毎度のことですから別に期待もしてなかったので気にしていませんが、せめて撮影くらいは真面目にしましょうよ。オープニングから東京スカイツリーを斜めにして撮る!しかもなぜか微妙に斜めに(ピサの斜塔くらい絶妙な傾き加減)。今年完成したばっかりなのに不吉!!最後の初代プレステのムービーみたいなバスのCGには何も言うまい。前作までの様に出オチのようなギャグを後半のシリアスな場面で挟んでこなかったのが本作の唯一の利点だと思います。但しそれ普通の映画だったら普通に出来ていることですからね。やっぱりダメか。スッカスカの内容を適当にでっち上げて昔からのファンから金を吸い上げるのは結構ですが、こんな全体的に古臭い作りの映画が現代の日本のスタンダードとしてヒットしていれば当然邦画のレベルも下がらざるを得ないなと痛感しました。世界よ、これが日本映画の現状だ。最早、邦画界の癌。
[映画館(邦画)] 2点(2012-09-23 00:16:34)(良:1票)
220.  ディクテーター 身元不明でニューヨーク 《ネタバレ》 
毎度ブッ飛んだキャラクターで笑わせてくれるサシャ・バロン・コーエンですが、彼の作品の中では今のところ一番面白いと感じた作品でした。過去作の「ボラット」や「ブルーノ」は有名人や一般人にドッキリを仕掛けていく半ドキュメンタリー的な内容なのですが、今回の「ディクテーター」は完全に劇映画としてストーリーがキッチリとある為、単純に面白い。ではどこが面白かったかと言うとそれは前述の通り「独裁者アラジーン」のキャラクターに尽きます。生まれた時から独裁者の地位を約束され、民主主義・資本主義大反対、処刑大好き、ついでにバイセクシャルでセックスも大好きという完全に悪役としか言いようもない男がなんと主人公。側近の裏切りによって祖国ワディヤ共和国が独裁政治を止め民主国家に生まれ変わることを目撃し、悲壮なBGMをバックに放水車に向かって「独裁万歳!」と叫ぶ場面なんて最高。もの凄く主人公が可哀そうに見えるように演出されていますが、どう考えても主人公の主張に賛同できないから笑うしかありません。最後の主張も実に良い。結局ワディヤ共和国の民主化は世界中の石油業者が金儲けをするために過ぎず、ワディヤ国民のことなんてちっとも考えられていなかった。そこでアラジーンは演説で「独裁は最高だ!なんせ国民の金を1%の人間に集めることだって簡単だからな」と言う。コレはつまり「お前ら資本主義だって金持ち1%に富を集中しているじゃねーか、お前らがやってることも独裁だ!」ってコトですね。これは世界中のデモに発展した"ウォール街を占拠せよ運動"そのものです。最後に痛烈に資本主義の暴走を揶揄している点が素晴らしいなと思います。そしてアラジーンはオッパイも無いし体臭もキツイ男の子みたいな(アンナ・ファリスごめんね)女と結婚する。民主主義は一部の民衆が金を荒稼ぎするシステムを作るものじゃない。好きな物がどれだけ他人から見て無価値でもそれを好きと言えるシステムが真の民主主義。だから相手が好きだったらオッパイなくても、体臭キツくても、ユダヤ人でも別に良いぜ!と独裁者であるアラジーンが最も民主主義的だったのには不覚にも感動を覚えてしまいました。エンドロールで流れる曲は「Aladeen Motherfuckers」。Motherfuckerには最低と最高という意味がある。アラジーンは最低だけど最高なキャラクターだ。「ラララララ~、アラジーン・マザファッカ~♪」
[映画館(字幕)] 9点(2012-09-21 01:16:57)(良:1票)
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