2241. スリザー
《ネタバレ》 この映画、80年代・90年代に作られたホラー映画のオマージュがいろいろ詰まっているそうですが、その手のホラー・ゾンビものをほとんど観ていない自分にはピンときませんでした。しかし、ラスト近くにスリザーの親玉と化したマイケル・ルーカーが部屋いっぱいに膨れ上がった姿を見て、「あっ、デビルマンのパクリ!」とさすがに思いました。結構お金をかけて丁寧に撮ったB級映画だと思いますが、これコメディなのですかねえ?能天気な音楽が流れるラストシーンが結構好きです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-08-29 22:50:04) |
2242. トロピック・サンダー/史上最低の作戦
金かかってますね~。内容は語るほどのものではないのですが、ちょっとやりすぎという面が強すぎです。序盤のグロい描写はちょっとひどすぎ。一番参ったのは、ベン・スティーラーのわざとらしい演技ですかね。監督としては知的で力量があり、音楽の使い方にも素晴らしいセンスを持っているのは確かで、そろそろ出演するのを止めて監督に専念したらと言いたい。とは言え、トム・クルーズの熱演に敬意を表してプラス2点です。 [DVD(字幕)] 7点(2009-08-29 20:16:08) |
2243. 恐竜100万年
《ネタバレ》 「子供たちは恐竜に、お父さんはラクエル・ウェルチに」、これは番組案内文ですが思わず爆笑です。この作品、あのハマープロの製作なのですね。確かにラクエル・ウェルチの肢体にはこの歳でも眼が釘づけでしたが、どうしてどうして、その他大勢のハマー・ガールズもなかなかでしたよ。黒い髪の山の部族が闘争的な気質で、海辺に住む部族は金髪で山の部族より文化が進んでいるという設定は、どこか北欧人種優位の人種感が感じられていやらしいところですが。そうそう恐竜でしたね、これはあまり活躍していませんでした。冒頭いきなり実物トカゲさんが登場でちょっと引きましたが、あいつは大写しで見せられると結構気持ちが悪いものですね。洞窟に住む猿人みたいなのが出てきて仲間を殺して食っちゃたりするところや、翼竜どうしが戦って勝った方が負けた方のヒナを捕食したり、結構ハードな自然の掟の描写もありました。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-08-25 19:40:57)(良:1票) |
2244. マッキントッシュの男
《ネタバレ》 あたり・はずれがあるジョン・ヒューストン作品の中では凡作です。原作は未読ですが、ウォルター・ヒルの脚本がサスペンスを盛り上げるのに失敗していて、ストーリーからするともっと面白い話になるはずなのにと感じてしまいます。そもそもポール・ニューマン演じるリアデンが、冒頭ダイヤを強奪する作戦の意味がよくわかりません。ヒューストンは本来脚本家ですが、監督作で脚本を手掛けてない映画はハズレである傾向が強いようです。ラスト、ニューマンとドミニク・サンダがそれぞれとる意外な行動が、男と女の本性が出ていて面白かったですが。 [ビデオ(字幕)] 5点(2009-08-25 00:48:12) |
2245. レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う
《ネタバレ》 「モーゼに会う」は「ゴー・アメリカ」とセットで観るのが正しい鑑賞法です。本作ではついに旧約聖書のパロディにカウリスマキは挑戦し、哲学的な高みに到達してしまいました(単なるおバカが極まっただけかも)。シュールな味わいはグレード・アップしていますが、「自由の女神の鼻」だけは何度観ても意味がわかりません。ラストに向けてテンションが落ちてゆく感じがして、「ゴー・アメリカ」より落ちる評価です。 [DVD(字幕)] 6点(2009-08-23 22:49:55) |
2246. レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ
《ネタバレ》 とんがりリーゼントとブーツ、あのレニングラードカウボーイを画面に出すだけで反則技です。そしてあの独特の間、なんでおかしいのか自分なりに分析してみましたが、カウリスマキ以外には使えない技術であるという結論でした。レニングラードカウボーイの演奏レパートリーが、どんどん広がっていくのが楽しいです。 [DVD(字幕)] 8点(2009-08-23 22:48:34) |
2247. キル・ビル Vol.2
《ネタバレ》 前作よりも、断然こっちの方が好きです。ブライドが子供と出会うシーンは、思わずほろりとしてしまいまいた。タランティーノの映画で泣かされるとは予想外です。キル・ビルシリーズは出てくる女性が皆やたら強くて凶暴ですが、デヴィッド・キャラダインとマイケル・マドセンのキャラが対照的に描かれているのが面白い。マイケル・マドセンの落ちぶれ方と、なんか惨めな死にざまは良かったです。 [DVD(字幕)] 8点(2009-08-23 10:26:45) |
2248. ダーリング
《ネタバレ》 思ったより難解な作品でした。主人公のジュリー・クリスティーは幼いころから「ダーリング」と呼ばれてかわいがられ若くして結婚しますが、TVの街頭インタビュー出演をきっかけに妻子あるTVプロデューサーダーク・ボガードと同棲を始めます。やがて彼女はチャンスをつかみキャンペーンキャラクターとして活躍し始めますが、スポンサー企業の御曹司ローレンス・ハーヴェイともできちゃってそれから華麗な男遍歴が始まります。このクリスティーの役柄が、自己中な性格のうえ上昇志向が強くてあまり魅力的でないのが難点。なんせ最後はイタリアの旧王家の王子様と結婚しちゃって、「王女様」とまで呼ばれる御身分になるのですから。そんな彼女の恋愛模様をシニカルにある意味冷めた眼で描いているのですが、ローレンス・ハーヴェイ以下の登場人物がみんな現実離れした言動をするので、なんか昔のATG映画を見ているような雰囲気でした。ラストはロンドンの街角でいきなりおばさんが「サンタ・ルチア」を歌いだしてエンド・クレジットなのですが、いまだに「?」で訳がわかりません。ところで、この映画のダーク・ボガードはいいですよ。「ベニスに死す」や「愛の嵐」といった癖のある役が多い人ですが、繊細で知的な普通の男を鮮やかに演じています。 [DVD(字幕)] 5点(2009-08-18 01:33:49) |
2249. スカーフェイス
《ネタバレ》 デ・パルマの作品としては最高傑作ではないでしょうか。この映画、不思議とデ・パルマ印の華麗な映像カットがないのですが、作品としてのパワーが群を抜いています。アル・パチーノの演技は言うまでもないのですが、このトニー・モンタナに絡む周辺人物たちがギラギラした悪党ばかりで、特にロバート・ロジアは「仁義なき戦い」の金子信雄を彷彿させるキャラで面白かったです。ジョルジオ・モロダーのやる気のなさそうな音楽が不思議とこの映画にはマッチしているんです。妹へのゆがんだ愛情が爆発するところからは、まるでギリシャ悲劇を観ているようなインパクトでラストの大銃撃戦まで一気に突っ走るところは、本当に「映画の神様が降りてきた」ような迫力でした。 [DVD(字幕)] 9点(2009-08-15 01:58:33)(良:1票) |
2250. プラネット・テラー in グラインドハウス
「スプラッターはやりすぎるとギャグになる」という定理をロドリゲスが実証してくれました。タランティーノの「デスプルーフ」と違ってあまりヘタウマ感がないのは、もともとのロドリゲスのヘタさがイメージとしてあるからでしょう。そう言えば、あの「マチューテ」がロドリゲスの監督でいよいよ実写化されるそうで、デ・ニーロも出演するそうです。これは期待しちゃいますね。 [DVD(字幕)] 6点(2009-08-14 12:45:50) |
2251. ナック
《ネタバレ》 オープニングはとってもシュールです。白いセーターにスカートの美女たち(数十人はいますが、全員同じ服装)がモテ男の部屋に呼ばれるため階段に行列している光景は強烈なインパクトを与えるシーンで、リチャード・レスターはこれが撮りたくてこの映画を作ったのではと思えるほどです。「ザ・ナック」とは「女の子をひっかけるコツ」という意味で、女の子に縁がない教師の主人公が何とかして「ザ・ナック」を習得しようとするスラプスティックコメディですが、色んな映画で見慣れたスラプスティック演出手法が展開されます。製作年度を考えれば、当然この作品がそれらの元祖なわけで、当時としては相当斬新でアートな映像だったのでしょう。この作品は良く「モッズの青春を描いた映画」と紹介されますが、登場人物で“モッズ”と呼べそうなのはモテ男トーレンぐらいです。モッズと60年代のロンドンを描いた映画としては、個人的にはマイケル・サーンの「ジョアンナ」の方がレベルは高いと思っています。まあ勢いで獲っちゃったのでしょうが、カンヌでパルムドール受賞するほどの出来かなと思います。 [DVD(字幕)] 5点(2009-08-13 14:08:56) |
2252. ミュンヘン
《ネタバレ》 スピルバーグらしい残酷描写を堪能させていただきました。“こんなもの見せなくてもよからうに”というようなシーンが幾つもあり、それは通常不要で映画の質を落とすものなのですが、かえってスピルバーグタッチとして受け入れられるのが面白い。この映画は決してイスラエルの作戦を容認しているようには思えません。暗殺のターゲットとなる「黒い十月」のメンバーたちがみんな中年のおっさんで、見た目は普通の中産階級の様に描いているのは、「プライベート・ライアン」でドイツ兵を坊主頭の野蛮人として登場させていることと対比して興味深かったです。 [DVD(字幕)] 8点(2009-08-08 00:34:27) |
2253. 歩兵の前進
《ネタバレ》 「1942年、官僚主義に支配された英国陸軍の総数は過去最大に…」とアニメーションで解説するタイトルバックは古さを感じさせず期待が高まるのですが、中身は全然面白くないのでした。大学生の主人公が招集されて陸軍に入隊しますが、どんくさい彼はへまばかりするというお決まりの展開です。主人公と対照的に要領がよい兵隊を若き日のリチャード・アッテンボローがアクの強いキャラで演じています。皮肉を利かせてコミカルに軍隊内の矛盾を描けば面白いのに、そこが中途半端でドリフのコントを見せられているみたいでした(決して、ドリフを貶しているわけではありません、念のため)。やがて伯父の少佐の計らいで主人公は特殊部隊に採用されますが、その作戦が敗戦も近いドイツ国内に潜入して美術品をかっぱらってくるというものなのですが、そこからご都合主義の展開になってゆきます。ドイツ将校役でこれも若きクリストファー・リーが出ていますが、「ウィッカーマン」でも感じましたが、ドラキュラでない素顔の彼って結構知的な紳士に見えます。50~60年代のイギリスの娯楽映画は日本では未公開だった作品が多いのですが、こんな珍品がソフト化されるとは意外でした。どうせなら、「暁の出撃(ダム・バスターズ)」を早くDVD化してほしいものです。 [DVD(字幕)] 3点(2009-08-06 00:23:34) |
2254. シンシナティ・キッド
この作品ではマックイーンはお得意のアクション演技は見せず、エドワード・G・ロビンソン、カール・マルデンという二人の名優に負けない抑えた演技を披露してくれます。もともとマックイーンは演技力のある役者ですので、ポーカー・プレイヤーとしての説得力ある駆け引きが堪能できました。ただこの映画でのエドワード・G・ロビンソンは迫真の名演で、さすがのマックイーンも影が薄くなってしまいました。この人本当にギャンブル強そうに見えますねえ。 [DVD(字幕)] 7点(2009-08-02 00:31:10) |
2255. 氷の微笑
《ネタバレ》 初見時は、犯人は果たして誰なのかと真剣に?だったのですが、最近観直したらシャロン・ストーン以外にホシは考えられないという撮り方だったのに気がつきました。例の足の組み直しやらソフトコアポルノなみのエロエロシーンに気をとられてしまいますが、これミステリーとしては大した話じゃないんですね。マイケル・ダグラスも余りにアホッぽいキャラクターで、これじゃ感情移入のしようがないです。 [ビデオ(字幕)] 5点(2009-07-31 22:29:26) |
2256. パンズ・ラビリンス
《ネタバレ》 ダーク・ファンタジーというコピーに見事に騙されました。私はこの結末はバッドエンドと解釈します。確かにオフィリアは生き延びることができても、フランコ政権下のスペインではおそらくメルセデスたちレジスタンスも含めて長くは生きられなかったでしょう。そもそも母親が大尉と結婚(というか妊娠)さえしなければ内戦の残り火とも言える残酷な闘争にオフィリアも巻き込まれることはなかったはずだし、彼女はきっと平凡な育ち方をして人生を過ごしたのではと感じます。子供には自分の人生を自由に生きてゆくことができる無限の可能性があるはずなのに、母親の愚行によってこんな悲しい結末に終わってしまったことに、思わず涙してしまいました。観終わってからの後味は、私には「火垂るの墓」に匹敵する悲しみがありました。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2009-07-28 20:41:20) |
2257. マーズ・アタック!
《ネタバレ》 トレーディング・カードからこんな作品を創造しちゃうティム・バートンは、やっぱり天才です。自分にはこれはツボにストライクでした。出演交渉されて、「どの役がやりたい?」と聞かれて「全部!」と答えたジャック・ニコルスン、さすが良く判ってらっしゃる。よく観ると、本作はスピルバーグの「宇宙戦争」に影響を与えていますね。冒頭で印象的な「暴走炎上牛」のシーンは、「宇宙戦争」でも似たようなシーンが思いださせてくれますよね。あとラストシーンなど、結構ニヤリとさせてくれました。 [DVD(字幕)] 8点(2009-07-26 23:30:01) |
2258. 運命の逆転
《ネタバレ》 米国で無罪が確定している事件なのに、こんな映画の撮り方をして実在のフォン・ビューローから抗議されなかったのでしょうか?原作は未読ですが、著者は映画にも出ているフォン・ビューローの弁護士だそうで、それって結構えげつない話ですよね。プロデューサーにオリヴァー・ストーンが入っているので、こういう作品になってしまったのかな。この映画はジェレミー・アイアンズとグレン・クローズの演技をひたすら堪能するのが正解なのでしょうが、この弁護士の言動がどうしても不愉快でしかたなかったです。この事件のほかに黒人少年の冤罪事件を無償で弁護しているという設定が、またわざとらしく偽善的でした。 [ビデオ(字幕)] 5点(2009-07-25 22:59:16) |
2259. ロシュフォールの恋人たち
《ネタバレ》 ドヌーブ・ドルレアックのたった一度きりの姉妹共演が観られて幸せです。最近出たデジタル・リマスター版DVDで鑑賞ですが、旧版のDVDが一時期中古で4万円(!)の値がついていたそうで、私も含めてこの作品のファンが多いのですね。ダンスシーンは良く観るとダンサーの手足の動きが微妙にそろってなかったりして、ハリウッド製ミュージカルでは考えられない部分もありますが、この色彩の鮮やかさはハリウッドも脱帽でしょう。「トト」が金髪で美青年なのがびっくりしました。なにはともあれ、この作品はフランスミュージカル映画の最高峰です。 [DVD(字幕)] 8点(2009-07-24 21:26:48) |
2260. スフィア
《ネタバレ》 前半、深海で地球外生命体と遭遇かという展開は良く考えられています。だけど後半は「禁断の惑星」を彷彿させるようで、そこらへんからグダグダになってしまいます。球体に入ったか入らなかったのかというやり取りは、緻密に構成した脚本ならばもっと面白くなったでしょうに。しかし、ラストの「超能力を使って忘れよう」は、マジでギャグかと思ってしまいましたよ。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-07-22 00:11:30) |