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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1246
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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221.  ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。 《ネタバレ》 
和歌山県の太地町立くじらの博物館を舞台にした映画である。冒頭から人とクジラの息の合った演技に驚かされる。 当然ながらクジラに対する地元の思いが語られているほか豆知識なども出ており、クジラとイルカの違いはわかったのと(大事なことらしく二回言っていた)、手触りがナスというのは見た目で想像した通りである。またご当地PRとして近隣の那智勝浦町や串本町の名所も紹介している(那智山青岸渡寺はめちゃめちゃ赤い)。 ほか特に前半では、監督が大阪出身なのと関係あるかわからないが関西風コメディのような雰囲気で、険悪になりそうなところを笑いに転じる面白さは高等技術かも知れない。「ご無沙汰」まで言わせてさっさと次に行くなど切れのいいところも見える。  物語としては、行き詰っていた博物館の組織体制を規格外の人物(さかなクンのイメージ?)が再編する話である。この男がリーダーになったのはなぜか、と取材スタッフがメモしたところからその疑問を解いていく形だが、結論としては誰かを敵にして攻撃するのでなく存在を認めること、素直に心を伝えようとする姿勢が大事ということらしい。その上で本当のリーダーは誰だったのか、というのが最後のオチになっており、ドラマとしても作り込まれていて少し泣かせるところもある。 反捕鯨団体の存在も意識されていたが、終盤で最大最悪の敵が来たと思ったらただの2人連れで(エンドクレジットでは「外国人観光客」)、いかにも人相が悪く洒落のわからない連中だったが、たとえ敵に見えても(敵であっても)忌避することなく、虚心に語りかけていきたいとの思いを見せたのかと思った。地元以外の日本人としても聞くべきものがあるように思われる。  出演者では、まず武田梨奈さんがオラオラ系女子になっていたのが可笑しい。序盤でいきなり蹴りを見せたのは元ヤンか何かだったのかも知れないが、今回は暴力ではなく「サーフィン」が見せ場になっている。また岡本玲という女優は和歌山市出身だそうで、美女というより親しみやすい方言女子になっていて好きだ。以上2人に主人公を含めた3人は、年齢差がありそうに見えるが役者はみな同年齢で、劇中で平たい関係になって馴染んでいたのも自然なことだったらしい。 個人的には別のところで見たことのある飯田祐真さんという人に注目していたが、クレジット順が下の割に重要人物で可愛い役だったのは嬉しい。また制作会社のAD(演・彩羽(いろは))の顔つきにはかなり目を引かれた。ほかリポーター役の本谷紗己という人は本職がモデルで「和歌山市観光発信人」だそうで、この人の出番も結構可笑しい。 そういう面を含めて、娯楽性と社会性をほどよく配合したいい映画だった。
[インターネット(邦画)] 8点(2019-10-19 17:23:39)(良:1票)
222.  おクジラさま ふたつの正義の物語 《ネタバレ》 
題名(副題の方)にクレームを付ける目的で見た。 かつて“正義の味方”という言葉があったが、そこでの“正義”とは社会の構成員が安全・安心に暮らすために必要な共通認識を規範として守り、あるいは守らせるよう努めることだったと考えられる。要は“人を殺してはならない”といった類の極めて基本的なもので、だからこそ“正義の味方”の登場は子ども向け創作物に限られていたわけだが、だからといって子どもの世界にしか正義が存在しないわけではない。わざわざ口に出して言わないにしても、大人を含めた社会の全員が“正義の味方”でなければならないことになる(程度の問題はあるとして)。 そのような前提でいえば、副題のように正義が複数などということはありえない。現実には、何が正しいかについて社会の共通認識が得られにくい問題が多いにしても、逆にいえばそのような問題に対して“正義”という言葉を使うのは誤りだということになる。確かに個別の個人的見解や信念を揶揄するためにこの言葉が濫用されているのも事実だが、それが日本語の“正義”の意味を変質させ、さらには社会の構成員が守るべき規範が存在するという意識までも希薄にしていくことはないのかと危惧される。 この映画の副題は、そのような風潮を助長するとまではいわないにしても(そこまで影響力はないだろうが)社会の安全・安心を損なうことを平気で表現しているのは間違いない。解説文にある「正義の反対は悪ではなく別の正義」という言葉を使うなら、“人を殺してはならない”という正義の反対は“人を殺してもよい”という別の正義であって悪ではない、ということになるが、そういうことをこの映画は意識していたのかどうか。 さらにいえば、捕鯨問題のように人類全体の共通認識が得られにくい題材をわざわざ選んで“正義”を相対化して骨抜きにし、アメリカ発という高級そうな見かけを装って、日本人の多くが正しいと思うことをポピュリズムとして否定し侮蔑して貶めようとしているのではないかと疑っていた。全て副題の印象が悪かったためである。  そういう最悪の先入観のもとで見たが、実際は自分がこの問題に関して感覚的に思っていたことに沿った内容で、日本側へのメッセージも含めてそれほど反発を感じるところはない。外部情報によれば、完成前からアメリカで激しく批判されていたのをものともせずに発表したとのことで、少なくともアメリカに迎合しようとするものではなく、かえって作中で言われていた日本人のPR下手を助けるものになっている。結果として先入観の方が間違っていたことになるが、点数は本来の数字から副題分を減じてつけておく。「正義の反対は…」の英語原文の訳し方に対する反感である。 ほか余談として、登場人物の中立的(親日的)アメリカ人の話の中で「海兵隊を内陸(アイダホ)に投入してるようなもの」という表現はユニークで笑った。これ自体は反捕鯨団体の行動力に一定の敬意を示した上での発言だったが、ここで自分としては“活動的な馬鹿より恐ろしいものはない”という言葉を思い出した。もう一つ、少し可笑しいところとして、小学校で「ろうかはあるこう」と書いてあるのに平気で走る子どもらを映していたのは“元気な子どもたち”(または“大らかな学校”)の表現かと思われる。
[DVD(邦画)] 5点(2019-10-19 17:23:35)
223.  ビハインド・ザ・コーヴ ~捕鯨問題の謎に迫る~ 《ネタバレ》 
「ザ・コーヴ」(2009米)というのが話題になったのは知っていたが、金を出して見る気にならないので裏側の方だけ見た。 撮影・監督・編集の八木景子という人は映画制作の素人だったそうで、作中では登場人物にピントが合っていないといったところもあるが、現地の歴史的・文化的背景を積極的に紹介する一方、地元住民や行政関係者、政府機関、学者などにかなり幅広く話を聞いて、日本人の気に障る事柄を次々に暴いている。上記映画の監督や主演の人物、また活動団体のリーダーにもインタビューして、いかにも胡散臭い発言を引き出していた。 ラストに出ていたまとめのメッセージのうち「裏側で何が起きているか疑いを持って」の部分には素直に賛同できる。作中では「隠し撮りをするようなインチキな映画がアカデミー賞を獲るなんて世も末だなと思った」と語った住民もいたが、逆にいえば、映画とか芸術とかの皮を被せれば虚偽でも言いがかりでも何でも通ると思っている下司な業界など全否定してやるくらいの国民が増えればいい。しかし、初めから事実かどうかなど関係なく利得のために動く勢力とか、事実かどうかなど関係なく自分の信じたいことだけを信じる連中など、話の通じない相手がどこの国にも恐らく一定割合いるのはどうしようもない。 一方で日本政府(外務省?)の態度を問題視するところもあったようで、登場人物からはIWCなど脱退して我が道を行けというような発言もあったが、今年6月に本当に脱退してしまった時はさすがに驚いた。国際連盟からの脱退(1933)をどうしても思い出すわけだが、これが結果的にいい方向へつながるのであれば結構だ。  ところで題名にある「捕鯨問題の謎」というのは、要はベトナム戦争がらみの謀略があったということらしい。取材をもとにして突っ込んでいった結果としてその結論に至ったのはいいとして、国対国の話になってしまったのは行き過ぎのように感じられる(レイシズム批判はともかく)。忘れられない恨みというのはあるにせよ、現在の国際情勢を考えれば米豪を敵にしないのが無難だろうと思うわけだが、しかし終盤で個人としてのアメリカ人などに物わかりのいいことを言わせて対立感情を和らげている面もあった。ちなみに真珠湾vs原爆の話まで出て来たのは、ワシントンDC?の街頭でPR活動中の人物に取材したのが原因ということだろうが、この人物が仕込みではなく本当にたまたまここにいて、これを使わない手はない、と思ったのならわからなくはない。この人物の素性も明らかにしてもらいたかった。 公開後にはこの映画に対する批判も出たようで、その裏にもまた何らかの思惑なり都合なりがあるのだろうから争いの絶えない世の中だが、とりあえず強大な敵に手弁当で立ち向かって行った監督の姿勢には好意的である。この人が鯨の竜田揚げを自由に食べられる世界であってもらいたい。
[DVD(邦画)] 6点(2019-10-19 17:23:32)
224.  埼玉家族 《ネタバレ》 
ふざけた題名に見えるが真面目な家族の物語である。「東京物語」(1953)や「東京家族」(2012)と同じく松竹が製作に関わって配給もしており、一方で埼玉県も製作に加わっていることが「埼玉」である理由になっている。撮影は川口市内が多かったようで、埼玉県が開設した映像産業の拠点である「SKIPシティ」(川口市上青木3丁目)も映像に出ている。制作は「デジタルSKIPステーション」とのことである。 内容としては若手監督4人が担当した短編4つのオムニバスである。事前知識なしで見始めたので途中でやっと気づいたが、ばらばらの4つではなく最初から最後まで一つの家族の物語だった。父・母・兄・妹の4人が、それぞれ周囲の人々に影響されて家族関係を見直す話になっている。  【ハカバノート】高校生の娘の話。よほど深刻な問題のある家族かと思ったが、その実態はあとで明らかになる。幸薄そうな友人(演・美山加恋)が不憫で愛おしい。また女の子に泣かれると弱いので困ってしまう(笑って!)。 【キャンディ】母親の話(いまでも美形)。横浜~大船~久里浜~東京湾フェリー~房総半島と移動するが埼玉は出ない。個人的に最も納得しにくい話だったが、対象層の人々(40代女子か不倫中の女子)には共感してもらいたい。 【父親輪舞曲】父親の話。悪くはないが少し出来すぎの展開である。浮気相手は女優としては好きだが、ああいうのに愛を求めるようではよほど心が疲れていたのか。「ミュージカル作品」とのことで少し身構えていたところ、単に登場人物の心情や状況を歌詞にして歌うだけだった(踊らない)。水崎綾女という人は女優だろうがちゃんと歌の歌える人だったようで、劇中人物としても清潔感が出ていていい感じに見えた。 【ライフワーク】社会人の息子の話。ろくでもない男かと思っていたら気遣いのできるいい奴で、夜勤明けの看護師もきれいに撮れるプロだった。ここは本当にいい顔をしている。 【エンディング】いろいろありながらも一応の大団円。娘のナレーションで総まとめをしていたが、父母についてのコメントには笑った。  ちなみに埼玉の関係では、「荒川のほとり」の風景(戸田公園から東に400m)を父親が懐かしんでいたのが印象深い。こういうと失礼だろうが、外から見れば東京大都市圏の一角にすぎない場所でも、やはり生まれ育ったところが故郷なのだろうなと思わされた。
[DVD(邦画)] 7点(2019-10-06 23:30:07)
225.  埼玉喰種<OV> 《ネタバレ》 
「東京喰種 トーキョーグール」(2017)と同年の製作だが、本家に堂々と対抗する気概を感じるわけでもなく、単に東京を埼玉に取り換えて人目を引こうとしただけらしい。なおグールghoulでなくグールーghoulouとした理由についてまともな説明はなかった。 題名に出したからには埼玉でなければならないので「埼玉にこんな山があるなんて」というような台詞を2回くらい言わせていたが、その山へ行く途中の駅がJR青梅線の軍畑駅(東京都青梅市)で、「高水山/青梅丘陵ハイキングコース/東京都」という表示が映ったりするのは真面目にやっているようには見えない。とりあえず埼玉映画としての性質は全く感じられなかった。  内容としては予告編から受ける印象以上のものはない。人を食うよう運命づけられた巨乳生物の切ない物語(後日談付き)を一応作ろうとしたようだが形だけなので真面目に見る必要はない。脚本のほか演出・撮影・録音・音楽など全般的に低調で、そもそも映画を作ろうとする気がないのではと思ったが、監督は「ホラー・ドキュメンタリー」に携わって来た人物らしく、そういうものの延長で映画のようなものを作るとこういうものができるのかとは思った(ちなみに制作会社はAV会社の系列とのこと)。なおエンディングの前に5分半程度のメイキング映像を入れていたのは作り手の姿勢に問題を感じる。 スタッフはともかくキャストはみな一応の役者だろうが、主演扱いの(ほとんど演技しない)雨宮留菜という人だけは人気グラビアアイドルとのことで、要はアイドルホラーとして作られたものらしい。身長143cmでHカップという極めて特徴的な体型だそうだが、劇中でそれが生かされているわけでもなく、単にその場に突っ立っているだけの人物に見えた。ファンなら姿が見えさえすればいいのかも知れないが。 最初からこういうレベルで作ったにしても独創性もなく平板で、もう少し頭を使って作るということができなかったのかとは思った。それからスタッフにもう少し国語の得意な人がいた方がよかった。  なお女優では、女子社員→母親役(実質主演)の竹内奈菜という人はかなり個性的な風貌だが、特に序盤はほどよく色気が出ていて目を引いた。また犠牲者役の大町沙矢佳という人は、美形ともいえないがなかなかキュートな感じではある。そういうところでも見ないとほかに見どころが全くない製作物だった。
[DVD(邦画)] 1点(2019-10-05 10:40:18)(笑:1票) (良:1票)
226.  翔んで埼玉 《ネタバレ》 
原作は読んでいない。地域限定映画かと思っていたらそうでもなかった。全国的視野からすればどうでもいいような狭い地域の優越感とか劣等感とか対抗意識はどこの地方にもあるだろうが、首都圏というだけで全国に注目される状態を逆に茶化したようでもある。 劇中の伝説では赤城山が世界の果てのようだったが、例えば昔ながらの古風な東京住民(山手線周辺)で、東京こそが日本の中心(あるいは東京こそが日本)と思いながらも実はあまり外に出たことがないとこういう世界観になるのかと思ったりした。ただ最後の「日本埼玉化計画」を見ると、劇中の現実世界では関東以外の日本というのも存在していたことがわかる。 ちなみに関東平野は分水嶺で切れるのでなく平地に境界線を引く形になるので、赤城おろしの吹く熊谷は群馬の延長というのもなるほどと思わせるものがあった。  映画の作りとしては結構面白い。いきなり序盤から「さいたま市」に関する登場人物の率直な感想に爆笑した(エンディングテーマでもひどい言い方をされていた)。伝説パートでは、無心に見つめるシラコバトを踏みつけにできない男の心情に泣かされたのと、逃避行に使った常磐線の列車(シベリア鉄道?満鉄?)が目を引いた。 地元民でなければわからないネタも多いのだろうが、与野の立場くらいは想像がつくとして、八王子と田無が同格というのはわかる人に説明してもらいたい(起点が新宿でも鉄道路線で印象が違ったりするのか、保谷はどうなのか)。そのほか千葉扱いだったが西葛西が出たのはよかった(少し縁のある場所だ)。 話としては適度にスケールの大きい大真面目な伝説物語ができており、連合軍の勝利は感動的だったがラストの野望には不安を残す。世界が埼玉化されるというならうちも底上げされるだろうが、何か大事なものを失うのではという気もした。 なおこんな映画に真顔で出る役者には感心するが(最近よくあるが)個人的にはこれで二階堂ふみの好感度が上がった。可愛いからキスしてあげて、と言いたくなった。  以下余談として、少し前になぜか埼玉の話題になった時、野田の駅を降りたら醤油の匂いがして、という話をしかけたらそこは千葉だろうがと突っ込まれたことを思い出した(大宮から行ったので勘違いした)が本質的な違いなどあるのかどうか。なお最近の話題としては次の1万円札になる偉人も出ているので自慢にしてもいい。
[インターネット(邦画)] 7点(2019-10-05 09:58:24)
227.  クロスロード(2015) 《ネタバレ》 
青年海外協力隊の50周年記念映画で、監督などスタッフにも協力隊OBが参加していたらしい。ちなみに母親役で出ている榊原るみさんはOBではないが監督と夫婦の関係である。 リアルな隊員の姿を描いた映画とのことで、いいことだけでなく受入れ側が適当だったりするといったマイナス面も見せており、また昔の日本が関わった戦争の傷跡のようなものが見えたりもする。一方で昔の日本人が残したものがけっこう皆の役に立っていたりして、少し嬉しくなる場面というのも実際あることと思われる。棚田でドジョウというのは最近あった事例とのことだが、実際の隊員は女性だそうで、公式サイトの写真では聡明な感じの人に見える。  隊員は自分の得意分野を生かした活動ができるらしく、映画の主要人物は写真家・起業家(元商社)・助産師の組み合わせになっている。それぞれの個性を発揮する一方、それぞれの人間的な限界に制約を受けるところもあり、自分としては現地の人々に溶け込めない性格なのを引け目に感じる男に共感した。また助産師は自分のやったことが本当によかったのかと悩む場面もあったが、そこは日本人として当然持っている良心のまま行動してよかったと思われる。感動的な場面も複数あった。 キャッチコピーの「ボランティアなんて偽善だ」は、いわゆる釣りだろうが単純すぎる割切りである。純粋な自己満足でしかなければ偽善になるが、相手の役に立つことをするのは全く悪くない。また純粋な自己犠牲でやるなら相手の役には立っても難行苦行だが、自分の役にも立つというならみんなが得してみんなが幸せになる。写真家の男はさんざん反抗的な態度を見せておいてからやっと納得していたが、今の若い人々ならかえってこういうのは柔軟に折り合いをつけるのではと思ったりする。 最終的には形に残らなくてもheartを残せばいいという結末だったらしい。エンディングテーマは「地上の星」を連想させるものがあって心に染みた。  なお全般的にきっちり作った映画だが、明らかに変だったのは現地の姉弟が全く似ていないことである。姉役のAlodia Gosiengfiaoという人は、Wikipedia, the free encyclopediaによると華人系のようで、若い頃のアグネス・チャン(今でなく)を思わせるタイプだったが本職としては世界的コスプレーヤーだそうである。また助産師(演・TAO/岡本多緒)は体型的に細すぎだがなかなかいいキャラになっていた。
[DVD(邦画)] 7点(2019-09-28 08:27:56)
228.  スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号 《ネタバレ》 
最初が1973年に始まっているが、40年も遡るというのは中高年向けのサービスなのか、あるいは現代のファンを含めて仮面ライダー世界の幅を広げようという考え方か。それにしても顔出しの主要人物で、時代の違うライダー(※)をばらばらに出すのはよほど年季の入ったマニア向けのようで、その間の経過を追って来たわけでもない自分としては誰が誰だか区別がつかず、かろうじて役者として竹内涼真の顔を知っていたくらいである(内田理央という人も見たことがある)。 1973年当時のことをいえば、個人的には仮面ライダーというもの自体が低学年向けと思っていたので真面目に見ていた覚えはないが、それでもアマゾン、ストロンガーといった一応名のある人々を小物のように扱うのは、当時のファンにはどう見えるのかと思う。また、たまたま最近見て嫌いでないと思っていたフォーゼ・ウィザードの扱いが適当なのはかなり気に入らない。過去のライダーを粗略に扱うのはこの映画に限ったことではないようだが、初めて実際に気分が悪くなる事例を見た。 ※仮面ライダーBLACK(1987-88)、BLACK RX(1988-89)、ファイズ(2003-04)、ブレイド(2004-05)、電王(2007-08)  また、最初に世界を改変して異世界設定にするのは劇場版だとよくあることかも知れないが、そのことで一応ディストピア風の話を作っておきながら、ラスト近くでスーパー戦隊が突然現れるのはさすがに場違いに見える。もともと「仮面ライダードライブ」(2014~15)と「手裏剣戦隊ニンニンジャー」(2015~16)のクロスオーバーという前提だったようで、個人的にもニンニンジャーは嫌いでない(かすみ姉のファン)ので出ること自体は結構だが、逆に出番が短すぎて人の顔がよく見えないのは非常に不満だ(山谷花純・矢野優花の2人、男は見なくていい)。そういう面では、霧子という人の出番以外に見どころがなかったようでもある…ただしレースクイーンは格好よかったかも知れない。 個人的には仮面ライダーシリーズ自体に特に思い入れはなく、部外者的な立場で見ても面白いものを作ってもらえればそれでいいわけだが、今回は残念ながらそのようにはなっていなかった。
[インターネット(邦画)] 4点(2019-09-15 17:02:10)
229.  烈車戦隊トッキュウジャーVSキョウリュウジャー THE MOVIE 《ネタバレ》 
スーパー戦隊のVSシリーズとのことで、今の戦隊(烈車戦隊トッキュウジャー)のTV放送が終盤にかかった時期に、前の戦隊(獣電戦隊キョウリュウジャー)と共演するのを基本とし、そこに放送開始前の次の戦隊(手裏剣戦隊ニンニンジャー)が予告的に姿を見せるという構造になっているらしい。ドラマ的にはトッキュウジャーがメインで、キョウリュウジャーはゲストの扱いになっている。  最初のところでトッキュウジャーの攻撃がなぜか敵に効かず、そこに都合よく現れたキョウリュウジャーが簡単に敵を撃退してしまうという事件が起きる。今のヒーローが前のヒーローより弱いというのは初めて見たが、いくらスーパー戦隊でもやはり子どもは大人よりも弱いのかという不安を生じてしまう。実際は子どもだから弱いのではないとわかって相互補完関係ができていたが、最後の決戦を前にしてまたメンタル面の弱さを出していたのも年少者らしい。最後は子どもならではの発想で、「家に帰るまでが遠足」と大人を励ましていたのは少し泣かせるものがあった。 もともと戦隊シリーズは幼児~小学校低学年あたり?が対象なのだろうが、トッキュウジャーはメンバー自体が子どもということもあってか本当にバカバカしく笑えるところが多い。マイッキーなる戦士?が現われたのも変だったが「電車ごっこ」はかなりふざけている(大笑)。また終盤で、メンバーが同じ色同士で一緒に戦いながら軽口のたたき合いをしていたが、女子は女子3人だけ(桃黄桃)でまとまってしまい、プレイボーイ風の男(黒)が仲間外れにされたのも笑うところと思われる。 前に見た戦隊ものの劇場版と同様に、ある程度年齢と関係なく観客を楽しませようとする映画のようで、半端にシリアスな仮面ライダー劇場版(恐らく対象年齢が少し高い)よりも、かえってこういうのの方が素直に楽しめることを実感した。  なお次期主役のニンニンジャーは、意外な(本筋に影響のない)ところで出てきて一通り活躍してから「今日はここまで」と言って去っていた。トッキュウジャーとは対面していないので、次のクロスオーバー映画で前任者を知らなかったのも変ではないらしい。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-09-15 16:56:41)
230.  人間失格 太宰治と3人の女たち 《ネタバレ》 
初日に行ったが年齢層は若干高めだった。 実話をもとにしたフィクションとのことで、主人公のほか登場人物は実在の人物らしい。冒頭の入水事件を除き、ほとんどの部分は1946年に主人公が東京に移転してから1948年に死去するまでの足かけ3年の話である。 日頃この作家の著作に親しんでいるわけでもない男(走れメロスしか知らない)として共感できるものは特にないが、文豪の創作の背景を描いたものとして見ごたえのある映画と思われる(ただし少し眠くなる)。物語のほかにも映像面や役者の演技で見どころは多いだろうが、自分としてはカニを買った場面が好きだ(台詞と顔)。また題名の小説を書く前に主人公が死んでしまうのではないかと思っていたが、最後に執筆経過を手際よくまとめていたのはよかった。  事実がどうかは別としてこの映画で見た限り、主人公が創作のために何人もの女性を身勝手に翻弄したのは非道ともいえるが、しかしできた作品が傑作だから許されるなどと言い訳するまでもなく、この男はこのようにしか生きられなかったというだけに見える。主人公は最後までバカなままで死んだようだが、そのことで「3人の女たち」はそれぞれ最後に得たものがあったらしく、これで基本的にはハッピーエンドと取れる。また最後に傑作が残されたからには読者も得をしたわけで、他のみんなが喜ぶ一方で主人公だけがブチ壊れて滅んだという結末らしいが、そういう理解でこの作家のファンが納得するのかはわからない。 登場人物に関しては、何といっても「3人の女たち」が見どころだろうがそれほど極端にエロい場面はない。個人的な関心事として、山谷花純という若手女優がどこに出ているかと思っていたら最後まで気づかないまま終わってしまったが、本人によれば「田部シメ子役」とのことで、冒頭で入水した人物(実在)がそうだったらしい。出番は短いが「3人の女たち」に加えたもう1人の女としての位置付けになる。 なお主人公の長女役は名の知れた子役のようだったが、長男役の子役はどこから連れて来たのか気になった。  以上のようなことで、自分としては特に大絶賛ということにはならないが、鑑賞者側の限界のために評価しきれていないところが多いと思われる。そういう場合の通例としてとりあえず点数は5点にしておく。
[映画館(邦画)] 5点(2019-09-14 19:44:20)(良:1票)
231.  Lost Harmony ロストハーモニー 《ネタバレ》 
東京の?女子高校の?合唱部員が長野県上田市の山荘に合宿に行ったところ、その場所の因縁のせいで悲惨な目にあったという映画である。ありきたりな話のようではあるがオーソドックスなのは嫌いでない。 事件の原因は、猟奇殺人者のせいではないかと疑わせたりも一応するが、実際は以前にその場所で殺された人物のせいなので心霊ホラーということになる。なぜか携帯の占いゲームで身体の特定部位を指定され、それを奪われる展開になるのでスプラッター要素も含まれている。ただしそれほど怖いものでもなく、ホラーというより登場人物の関係性をもとにした物語の印象が強い。 なお合唱部なので合唱の練習をする場面も一応あるが、出演者に特訓させるまでもなく吹替えと思われるのできれいに聞こえる。曲はコダーイの「天使と羊飼い」(Kodály Zoltán: Angyalok és pásztorok)だったようだが、それ目当てで見るほどのものではない。  主人公は部長になった気負いがある一方、部内の実力評価や無神経な教員のせいもあって親友との関係が崩れそうになっていたが、心優しい親友のおかげで最後に信頼関係を取り戻すことができていた。それ以外の部員にもそれぞれ様々な思いがあったはずなのに、今回の事件で全てが断ち切られてしまったことへの怒りが最後の行動につながったらしい(正確には死者の思いと同調したということか)。主人公の最後の言葉(エンドロールの直前)は心に染みるが、題名との関係でいえば、もう少し合唱への思いが表に出ていた方がよかったかと思う。 なお事件の元凶は、合唱部の女子生徒に次々手を出していた顧問の教員(劇中では副顧問)だったが、こういうのはよくあることだと世間に思われているからこそこういう映画が作られるのだろうから、内部の自浄作用を働かせないと外の世界の信頼を失っていくのではないか。これがこの映画の持つ社会的メッセージだったと勝手に解釈しておく。  キャストに関して、主演の広瀬アリスという人は単なる美少女かと思っていたら、この時点でもちゃんと個性的で華があっていい感じだった。その親友役の吉谷彩子という人は演技派っぽい表情がかなり目を引く。高畑充希はホラー映画はこれだけのようで、そもそも目玉が目立つ女優だが、劇中でもそこを狙われて痛々しい状態になっていた。伊藤沙莉という人はコミカルな感じで出ている。 安手の美少女ホラーのようではあるが、根が真面目そうなので少しいい点にしておく。
[DVD(邦画)] 6点(2019-09-06 22:55:34)
232.  仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム 《ネタバレ》 
仮面ライダーシリーズの劇場版である。当時放映中の「ウィザード」と前作「フォーゼ」のいわゆるクロスオーバーで、よく知らないが過去の仮面ライダーも何人か出ている(Wはわかった)。ほかにかなり大昔の東映特撮ヒーロー(+ヒロイン)も出しており、けっこう幅広い年齢層を視野に入れていたらしい。 中高年の立場としては、本編でもそうだったのだろうがアクション場面には感心させられる。アクション自体も派手だが見せ方の巧みさで退屈させないところがあり、映像技術とあわせて初期のシリーズとは段違いの印象がある。やはり人類は着実に進歩していると思わなければならない。 またクライマックスで、人間など滅んだ方がいいという悪魔の発言を、フォーゼが「俺はそういうつまんねえこと言うやつが大っ嫌いなんだよ」と一言で切り捨てたところは痛快で感動的だった。悪魔でない人間であっても、周囲の世界を貶めて自分だけには価値があると思いたがる連中にその言葉をぶつけてやってもらいたい。とぼけたところのあるウィザードも嫌いでないが、フォーゼも本物のいい奴でかなり好きなキャラクターだと思った。 以下に個別事項を列記。  ○仮面ライダーフォーゼ 高校生のままではなく5年後(2017)の姿で、主人公と元部員がそれぞれの道で活躍している近未来設定である。清水富美加(当時)・真野恵里菜の両人がそれぞれカワイイ子アピールをして、そのほかにトップモデル役の人もいたりして豪華な登場人物である。 今回は足立梨花さんが現役の部員役で快活な女子高生をやっている。また悪役で出た山谷花純さんは後の「手裏剣戦隊ニンニンジャー」(2015~16)のモモニンジャーの人で、登場人物としては可愛いのに色仕掛けでオヤジを無力化させたりして末恐ろしいと思っていたら、ちゃんと戦う場面もあって格好よかった。  ○仮面ライダーウィザード 放映当時(2012)そのままの人物構成と思われる。凛子ちゃん(演・高山侑子)という人は強くてかわいい女性刑事で好きだ。またコヨミ(演・奥仲麻琴)という人は小柄で可愛らしいが、他人を心配したり自分が危なくなったりするだけで本来何の役目なのか不明だった。ここは本編を見ないとわからない。  ○イナズマン(1973-74) フォーゼ編に出る。当時真面目に見ていなかったので懐かしくはない。この映画では変身すると妙に筋肉質で競技用パンツのような恥ずかしい格好だったが、人の姿(演・須賀健太)に戻るとパンツもなくなって全裸だったようで、それを見た足立梨花さんの反応が脱力ギャグになっている。  ○アクマイザー3(1975-76) 全編を通じた悪役で最後の強敵。当時はほとんど見ていなかったが存在は知っている。この映画では「3」がなく単に「アクマイザー」と言っており、本物の悪役なのでファンだった人々は残念かも知れない。口を開けた「ザイダベック」という乗り物は最後に出る。  ○美少女仮面ポワトリン(1990) ウィザード編に出る。放映当時見ているはずもないが文献的に知っている。本来どういうキャラクターなのかわかっていないが、とりあえずこの映画では入来茉里さんがかわいい。演者はかつて新体操をしていたとのことで、アクション場面では本人が優雅な姿を見せているが、変に開脚が多い割に敵に物理的打撃を与えているようでもない。また可憐な女性と思わせておいて、実はその正体は…というオチがあんまりだと思わせる。  以上、変に長くなってしまったが、とにかく超豪華大作かつ個人的には見どころの多い劇場版だった。これは正直好きだ。
[DVD(邦画)] 7点(2019-08-31 09:01:13)
233.  惑星ミズサ 《ネタバレ》 
2014年の映画だが、実際は2011年4月にクランクインの予定のところ震災のため10月に延期され、さらにいろいろあって公開が延びたとのことである。場所は茨城県久慈郡大子町が中心のようで、バス停と食堂は水戸市、風俗街は土浦市桜町という所らしい。  物語としては、出来事の意味づけが緩いようで何が起こっていたのかよくわからなかったが、単純にいえば地球人類の存亡のかかった純愛ストーリーのようである。劇中の宇宙人と提灯屋は、最初に思いがけず一夜をともにした(一緒に歩いた)とはいえ結局最後まで性交渉がなかったようで、月並みないい方としては売春婦かつ聖女とのプラトニックラブということになるか。 愛を貫くか地球を救うのかの選択の結果として愛が敗北した形になっているが、実はそれほど大それた話でもなく提灯屋の単純な心変わりであって、要は平凡な人生を主体的に生きる覚悟が決まったということらしい。この男のほかに地球滅亡を前にした周囲の人間模様も描かれていたが、見える範囲でいえばおおむね融和とか和解の方向だったようである。無駄に訪れた危機だったわけではなく、劇中の宇宙人にはみな感謝すべきということになるだろうが、その宇宙人の方は単純に元に戻ったようでいてそうでもなかったと思われる。 この宇宙人が宇宙人と自称していたのは一般人の世界から自分を切り離していたという意味であり、出身惑星が自分と同じ名前というのも広い宇宙というより自分だけの世界に住んでいたからと取れる。これまで仕事だけが外界との接点だったところ、提灯屋との交流でやっと地球人類の一員になれた気がしていたが、そのことでかえって最後は人としての悲しみと寂しさを知ってしまったという感じの結末かと思った。 ほか映像と音楽の印象はよかった。エンディングの主題歌も心に染みて切ない思いが残る映画になっている。  宇宙人役の佐津川愛美という人は相手役の男と比べると小柄で(152cmとのこと)、相手を見上げた顔がキュートな風俗嬢になっている。また同級生役の入来茉里さんはいつもながらかわいい人で(「お兄ちゃん!」が好きだ)、この人が泣くとキュンとさせられる。劇中人物としての役回りは実はよくわからなかったが、とりあえずこんな義侠心のかけらもない男はやめておけと言いたくなった。ほか提灯屋の母親(演・星野光代)が変にかわいく見えていたことの意味も残念ながらよくわからなかった。
[DVD(邦画)] 7点(2019-08-31 09:00:37)
234.  きらきら眼鏡 《ネタバレ》 
原作は読んでいない。千葉県船橋市の映画だが、ふなっしーは出ない(舞台挨拶には来たらしい)。監督は犬童一利という人物で、著名な犬童一心監督との関係はわからないが、池脇千鶴が主演していることからも関係ないでは済まない気がする。  物語的には何が言いたいのかわからなかったが、若い男に関していえば、最初は“恋人に死なれた立場”で心を閉ざした状態だったのが、それ以外に“友人に死なれた立場”もあることに気づき、さらには“恋人を残して死ななければならない立場”もあることを知って心が一回り大きくなったというようなことか。題名の「きらきら眼鏡」に関しては、「心にシャッター降ろす」のに使うと嘘になるのでよくないが、全てを受け入れた上でなお世界を輝かせようとするのは悪くないという意味かも知れない。 しかし地元の皆さんには大変申し訳ないが、自分としては誰にもどこにも全く共感できない映画だった。年上の女は訳あり風の妙な言動が人物の魅力につながらず、個人的に見た範囲では「潔く柔く」(2013)パターンで目新しくもない。また若い男は、何を考えているかわからない顔がバカに見えて苛立たしいだけである。さらに腹立たしいのが年上の男の「何でおれなんだよ…」という言い方で、誰が何歳で死んでも不思議でないだろうに、自分だけが特別な人間と思ってきたいわゆるリア充だとこういう発想になるということか。登場人物それぞれの人生はあるにせよ、とりあえずおれには関係ないという気分のままで終わった。 唯一面白かったのは、若い男が職場で突然脈絡ない話をしたときの女性駅員の反応だった。この場面は最近お疲れだろうから休めというところにしかつながっていないように見えたが、ほかに何か深い意味があったのか。  出演者に関しては、古畑星夏さんが非常に魅力的に見える場面があったが(きれいで可愛い)、気色悪い男に乱暴なことをされる場面が入れてあるのが気に食わない。また大変失礼だが、池脇千鶴がおばさん体型に見えたのはまずくないか(わざとなのか)。おばさん役なら仕方ないが、一応ラブストーリーのはずなので困ってしまった。 そういうことで個人的には残念な映画だったが、世間の評判はそれほど悪くないようなので、どうかそっちの方を信用していただきたい。
[インターネット(邦画)] 3点(2019-08-24 15:07:34)
235.  たいむすりっぷメガネ 《ネタバレ》 
2011年から2014年まで活動していたアイドルユニット「AeLL.」(エール)が所属していた芸能プロダクションが製作し、メンバー4人が出演したアイドル映画である。主演の篠崎愛という人は巨乳だそうだがこの映画では隠している(脚は見せている)。撮影場所の山梨県南アルプス市というのは、このグループが地元と協力した農業体験イベント「AeLL.村プロジェクト」をやっていた場所らしい。  内容としては、地元眼鏡店(時計店)で作られた眼鏡をかけると一回だけ過去に戻れるという他愛ない設定をもとに、現代→高校時代(8年前)→また現代、という三部構成を作っており、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の矮小化版のようでもある。宣伝上は「ハートフルコメディ」とのことだが実際そう簡単ではなく、まず最初の現代を殺伐とした世界に見せておき、タイムスリップ後の高校時代ではその殺伐感を引き継いだようでいて微妙に笑わせる要素を取り入れながら、最後は映像効果付きのドタバタコメディにまで発展する。最後の現代はまた真面目な展開になり、普通にハートフルな内容にして最後を締めている。タイムスリップの効果としては、主人公の周囲の状況が著しく改善された一方、一番大事なことは結局何も変わっていなかったように見えたが、しかし外面的に変わらなくても本人の気づきがあった、というのが物語の落ちらしい。 導入部からコメディへの移行があまりスムーズでなかった気はするが、主人公が机の引き出しに片足を入れた場面など、真面目な顔で笑わせるような感覚は嫌いでない。コメディだと思えば、主人公が同級生に「老けた」と言われるとか、古典的スケ番の扮装が突っ込みどころというのもわかる。途中で何となく間が悪いようなところもあったが、結果的にはそれほど悪くないと思わされる映画だった。  ちなみに個人的にはこの映画で南アルプス市のイメージが向上するということは全くなかった。当初段階で地元に残っていたのがろくでもない連中ばかりに見えたのはともかく、市役所ぐるみで悪徳業者に騙されるなど全くいいところがなく、景観面でもそれほど美的なところはなかったが、地元の人々がこれで満足だったのであれば結構だ。
[インターネット(邦画)] 4点(2019-08-24 15:07:32)
236.  スマホ拾っただけなのに 《ネタバレ》 
題名は見た通り「スマホを落としただけなのに」(2018)のパロディだが、中身は意外にも「カメラを止めるな!」(2017)に近い。登場人物の男3人が映画研究会なのも映画愛の表現といえなくはないが、要は洋物ホラーオタクなだけというのがレベルのほどを感じさせる。ちなみにオマージュ的な場面もあったようで、自分としても「シャイニング」(1980)はさすがに気がついた。  本家(カメ止めの方)がA-B-A'の構成とするとこの映画はA-A'-Bになっているが、問題なのは本家と同じく最初のAで見るのをやめたくなることである。どれほど低級映画に見えても一応ここは乗り越えなければならないが、さらにこの映画ではBを挟まないA-A'のため、すぐまた同じことを繰り返している印象があるのと、種明かしの面でもなるほどと思わせるものがなく、こういうところはやはり本家がうまく作ってあったということになる。なお一か所だけ、賞味期限の件は笑った。 最後のBはスプラッターになっており、これも大して面白くはないが、本家(スマホの方)にもあった遠隔操作を別の方法でやっていたのが目についたほか、序盤から予告されていたしつこい妄想展開が特徴だったとはいえる。少し和まされたのは素朴な恋物語をからめていたことで、これは基本的には悪くないと思ったが、終盤の悲惨な展開のあとに最後だけ暢気なのは呆れた(人が死んでいる)。 キャストとしてはヒロイン役(冨手麻妙)の胸と脚を目立たせているのが見どころだが、この女優が出るからには素直で可愛いヒロインで済むはずがない、と最初から思わせるのが重大なネタバレ要因になっている。また孫娘役の神田美優という人(熟女系AV女優とは別人、モデルの神田みゆとも違う人)は地元の群馬県桐生市出身とのことで、役者としての今後の活躍を期待したい。  以下余談として、この映画は劇場公開ではなく2019/4/17にDVDレンタル&配信開始だそうだが、劇中で「最近の老人は運転危ねえからな」という台詞があったのは、リリース2日後に発生した池袋の悲惨な事故を思わせる。ただこの映画では運転者側に落ち度はなく、また当時も言われていたように自家用車がないと生活が困難な地域の事例であるから、一概に運転をやめろと言って済む話ではない。東京都板橋区などは問題外として、地方での免許返納を促進するための支援や仕組みづくりが望まれる。
[インターネット(邦画)] 4点(2019-08-17 09:56:53)
237.  時時巡りエブリデイ 《ネタバレ》 
カワイイ系女子が出ていないので事前の期待が高まらなかったが、主演の鳥居みゆきという人は独特な雰囲気で悪くない。また仁後亜由美という人が「かしこい狗は、吠えずに笑う」(2013)に出ていたのは最近見たので覚えていたが、覚えていたというだけで親しみがわくわけでもなく冷ややかに見ていた。それでも結果的には「なんだとー」という台詞が心に残った。 タイムリープの濫用で問題が起こるのは「時をかける少女」(2006)でも見られたが、今回はやっているのが女子高生でもなく可愛気もないため気分が乗らない。時間遡行に関する基本設定はよくわからなかったが、こういうのは真面目に考えるだけ損をする予感があるのでこだわらないことにする。主にタイミングの関係で突発的に笑わされる場面はあったにしても、基礎的なところでそれほど面白いと思わなかったので、平均点を落として大変申し訳ないがそれなりの点数にしておく。要は個人的に合わない映画だったということだ。 なお主人公の居住地は都市部だか農村部だかわからない微妙な生活環境で、映像的にもしょっぱい感じの印象を出している。撮影場所はよくわからないが、少なくとも主人公の家があったのは埼玉県草加市(東京都足立区に隣接)である。また登場人物同士が衝突した自販機のある場所は東京都板橋区だったようで、大体そういうところで撮影していたものらしい。
[DVD(邦画)] 4点(2019-08-17 09:56:51)
238.  黒蝶の秘密 《ネタバレ》 
低予算映画と思われる。題名に「黒蝶」とあるのは昆虫ではなく花のダリアの品種名だそうで、英題のBlack Dahliaと同じ意味らしい。 映画紹介では「ミステリーホラー」とされているがミステリーというほどのものとは思えない。序盤20分くらいのところでもう真相を匂わされるので、本当にそうだとすればかなり陳腐で俗悪な話だと思っていると実際その通りに終わってしまう。またホラーとして見た場合、よくあるヒトコワ系オムニバスの一編を87分に拡張しただけに見えるが、その手のものによくあるように、悲惨な結末にすることだけ考えて現実味や説得力や細部の作り込みを軽視しているのは観客に甘えた印象がある。ちなみに終盤、主人公が錯乱して荒い息の状態が延々と続くのは同じ監督の「デスブログ 劇場版」(2014)にもあり、特に褒める気にはならないが役者の関係で前回よりましになっている。 登場人物としては、主演俳優も見たことがあるがそれはそれとして、実質的には黒ヒロインと白ヒロインの2人が注目のしどころと思われる。個人的には白ヒロインの同僚女子が普通に可愛く見えていたあたりが好きだったので、主人公がいつの間にか黒ヒロインの方に惚れてしまった理由が不明で阿呆に見えたが、しかしここは設定上、「黒蝶」のせいで黒い女の虜になってしまったと理解すべきことらしい。あまり緻密な感じのしない映画でも、その程度の理屈は一応つけていたということである。 それにしても、実際どのくらいの本気度で作ったのかよくわからずに困惑させられる映画ではあった。個人的な相対評価としては、同じく永尾まりや嬢(まりやぎ、元AKB48)の出ている「リアル人狼ゲーム 戦慄のクラッシュ・ルーム」(2014)と同程度ということにしておく。実際は2.5点くらいだが四捨五入ということで。
[インターネット(邦画)] 3点(2019-08-03 08:29:22)
239.  名前 《ネタバレ》 
前に見た「ねこにみかん」(2013)の戸田彬弘監督の映画である。最初にタイトルを出したあとに出演者全員の名前を並べて(主演女優の字で)最後に「計25名」と書いていたのは役者を重んじる姿勢のようで、メイキングでも若い役者に焦点を当てていたのはいい印象だった。撮影は茨城県内が中心で、ロケーション協力には取手市・守谷市・つくばみらい市・利根町といった名前が出ているが、夜の町の風景は旧・水海道市(現・常総市)の中心街だったようである。 物語としては、要は中年男と女子高校生が出会って両方に変化が生じる話である。「ねこにみかん」ほど突拍子もない設定ではなく、性愛関係にもならないので安心して見ていられる。ミステリーというほど謎解きの要素もなく、登場人物と観客が同時並行で事情を理解していく感じになっている。  全体のテーマは演劇部での台詞が端的に言い表していた感じで、これが中年男と女子高校生の両方に共通するのだろうと思うが、人格形成途上の若年者はともかく普通の大人が直接共感できそうな話でもなく、一般人というよりは演技者向けかと思った。演技経験のない自分としては、職業的な俳優など外でも内でも常に演技している状態になって本物の自分がなくなるのではという疑問があったので、まずは自分をしっかり持たないと駄目だというのは初めて聞いた気がする。 2人の交流はほのぼのして笑えるところも多かったが、個人的に気に入らなかったのが同級生の男で、終盤で女子高校生が激白する場面では、何もこんなバカに向かって本音を吐露しなくていいだろうがと呆れた。しかしここは犬猫相手に愚痴をたれるのと同じと思えば言いやすかったのだろうし、また相手が単純バカだったからこそ都合のいい答えが簡単に得られたということかも知れない。  出演者に関して、W主演のうち駒井蓮という人は映画初主演とのことで、公開2年前の撮影とすれば当時高校1年生と思われる(現在は大学生とのこと)。超絶美形でもないがすらりとした長身で、人懐こいようなふてぶてしいような愛嬌のある顔を見せているが、演劇部の場面では本物の演劇部員のような演技もこなしていて感心した。物語自体にそれほど感動しなくても最後にいい印象が残ったのはほとんどこの人のおかげである。 また演劇部の場面では、熱意はあるが傲岸な演出家の役を金澤美穂さんがやっていたのが非常に面白かった。ここは臨場感があって好きだ。
[ブルーレイ(邦画)] 6点(2019-08-03 08:29:20)(良:1票)
240.  文福茶釜 《ネタバレ》 
「古美術ミステリー」の短編集を原作とした映画で、表題作の「文福茶釜」からマンガという要素を除き、代わりに「山居静観」の水墨画を加えて映画一本にしている。映画の舞台は大阪を中心とした関西である(敦賀は出ない)。 内容的には、騙し騙されというほど逆転続きの意外性はないが原作の雰囲気は表現されている。美術品に内在する普遍的価値どころか愛好者の主観的価値も問題にされず、専ら表面上の取引価格しか存在しないかのような世界観だが(「芸術」という言葉が一回だけ出る)、業界人同士の化かし合いは当然としながらも、素人は騙さないという点で一定の倫理水準を保っているのは原作由来のことである。  映画独自の趣向として、原作では登場人物が男(中高年)ばかりで極めて地味なのに対し、映画では女性の新人社員を加えることで華を添えている。かつこの新人を観客に近い存在として劇中世界との接点にしたらしく、顔だけで人を信用してはならないという初歩的な教訓を込めたオチを最後に付けている。ほか原作にはない主人公の生い立ちの話を加えて人情味も出しており、エンドロール後の場面は特に共感できるわけでもなかったが、その場面自体はあとに余韻を残すので悪くない。 少し困ったと思うのは、主人公の勤務先が美術雑誌の出版社という説明はあったが本業の場面がほとんどなく(冒頭の神戸は広告取り)、何で美大出の新卒がこんな会社に就職したのかよくわからなくなることである。この新人はとりあえず修羅場で真贋を見極める力を磨いてから、もっとまともな職場に移った方がいい。  演者については吉本興業の製作らしく関西芸人を揃えたようだが、それはいいとして根本的なところで問題なのは、大阪出身の小芝風花さん(むくれた顔がかわいい)を出しておいて東京言葉をしゃべらせるのはどういう了見なのかということである。自分としてはこの人が大阪弁で本領発揮というのを期待していたので多少の落胆はあったわけだが、それにしても素直で騙されやすい人物をわざわざ東京出身の設定にするのはいわば地域差別(逆差別?)のようなものではないか。真面目で正直な女性は大阪にもいるだろうが(多分いなくはない)。 そういうことで特に好みでもないが基本的には堅実な映画であり、原作ファンと小芝風花さんを見たい人々には見る価値があると思われる。
[インターネット(邦画)] 5点(2019-07-27 12:59:22)
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