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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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241.  DEMONLOVER デーモンラヴァー 《ネタバレ》 
アサイヤスとの出会いは『レディ・アサシン』というまるでアメリカのB級アクションのようなタイトルの映画だったのだがこれが凄かった。それよりも5年も前に製作された『DEMONLOVER デーモンラヴァー』をさらなる期待を持って見てしまったために衝撃を受けるまでには至らなかったが、それでも短いカットでも計算しつくされているのだろうと思わせるカメラの動きに見惚れ、かと思うと緊張が画面にへばりついたような長いワンシーンにぞくぞくさせられた。ソニックユースが作り出すノイズミュージックも緊張を煽る。産業スパイというどこか作り話的なものがビジネスの世界という現実的描写で描かれる前半から一気に映画が動くのが「人が死ぬ」シーンだ。その唐突さがいい。突如として転がり込む「死」のどこか虚構じみた感覚が怖い。勿体無いのがそこから先が長いこと。長いとまた形勢逆転という展開を期待してしまうのだが、それがないから後味悪し。
[DVD(字幕)] 6点(2009-08-20 18:00:58)
242.  カンパニー・マン 《ネタバレ》 
オープニング・・・顔を映さずに近未来をうかがわせるブルーとシルバーを基調とした涼しげな映像にスッとキャスト、スタッフの名前が入る。センスいいなあ。手の込んだ洒落たタイトルロールと言えばヒッチコックの『北北西に進路を取れ』。物語後半にあきらかにこの『北北西に進路を取れ』を意識したシーンが登場する。なるほど全体の流れもまたヒッチコックお得意の「巻き込まれ型サスペンス」だ。もしかして原題の「CYPHER」が「PSYCHO」と似ているのはお遊びか?しかしヒッチコック映画のようにぐいぐいと引きつける力がない。少々のトリックでは驚かない現代の観客を相手にするというハンデを克服するための二転三転の展開がかえって映画を退屈にしてしまっている。二転三転の展開が早すぎて先読みしながら見るのが面倒くさくなってくるのだ。しかしまあ、よくがんばってると思う。オチがイマイチ不評なようだが私は好きだ。たしかに誰が誰だったとかという展開そのものはどんでん返しとしては弱いんだけど、(超ネタバレ→)謎の女に助けてもらってばかりの主人公の行動が実は全て女のためだったって、それまでの妙にシステマチックな、それこそ『キューブ』的展開から一気にメロドラマ、とまではいかないまでも人間味に溢れててホッとするというか、映画の世界観がごろっと変わっちゃうところにどんでん返しの極みを見たというか。良かったよ。あのオチは。
[DVD(字幕)] 6点(2009-08-17 15:05:53)(良:1票)
243.  TOKKO―特攻―
日系アメリカ人が撮ったからどうのといったことはあまり感じられなかったけども、特攻隊の生存者だけでなく特攻を受けた戦艦の生存者の証言映像があるのはインタビュー形式のドキュメンタリーとしての強度を得ている。はたして特攻隊とはなんだったのか。そこに狂気はなかったのか。特攻隊の生存者の一人が言う。天皇がもう少し早く降伏してくれてたらと。今だから言えるのかもしれないし、そう感じる人だからこそ生きて帰ってきたとも言えるかもしれない。つまり、生存者の証言では特攻に狂信めいたものはないのだが、特攻で命を落とした者もそうとは言い切れないってこと。私の祖父は戦死している。私の父は、内心では天皇なんかくそくらえ!と思っていると母から聞いたことがある(ここで言う天皇とは個人ではなく、戦時の概念としての)。でもそれは今生きている父が思うのであって祖父がどう思って死んでいったのかはわからないってこと。だから何もかもがこの映画でわかるわけじゃない。もしかしたら偏った伝え方になっているかもしれない。でも少なくとも証言者は「死にたくない」と思っていた特攻隊員だったのだ。別の生存者が映画終了間際に言う。語り継がなければいけないが、謙虚にしゃべらなきゃならないと。重い言葉だと思った。
[DVD(邦画)] 6点(2009-08-06 15:00:50)
244.  ホタル(2001)
昭和天皇崩御の後に戦友の自殺。夏目漱石の「こころ」の明治天皇崩御と乃木大将の殉死と先生の決断の関係によく似ている。昭和天皇に対する思いと明治天皇に対する思いはおそらく全く違うものだろうけど、ひとつの時代の終焉とともにその時代の象徴するものに殉死するという意味で同じだと思う。この映画は「特攻隊」を題材にしているが、主題は過ぎ去ってゆく時間の中で過去とどう向き合ってゆくのか、どう落とし前をつけてゆくのかということだと思う。「二人でひとつ」という理想的な夫婦のカタチを見せてくれる二人にとっての落とし前のひとつが妻の初恋の人の遺品を家族の元に届けること。21世紀の訪れとともに夫婦の結晶とも言うべき漁船を燃やすのもまた一つの時代の終焉に伴う落とし前。「戦争」や「特攻隊」は向き合うべき過去のひとつに過ぎない。でも、遠い昔にあったらしいことと割り切れちゃいそうな「過去に起こったこと」を描いているのではなく「過去と向き合う今」を描いているからこそ立派な反戦映画にもなっているのだと思う。戦争を語り継ぐのに映画は最適な媒体の一つだと実感する。
[DVD(邦画)] 6点(2009-08-05 19:06:57)
245.  ユメ十夜
10人の監督がまさしく十人十色に漱石「夢十夜」を描く。  ■「第一夜」顔を極端に暗くする一方で空間を目一杯眩しい光で満たす。斜め構図も幻想世界の構築に貢献している。なんてったって先頭バッターですからこれぐらいの突飛さはあってしかるべしなんだけど、世界観の構築だけで終わってるような。 ■「第二夜」市川崑はモダンなモノクロをベースにサイレント、細かいカット、ストップモーション、パートカラーと手が込んでいる。大御所が「一」「二」と続くんだけど、作品は全く大御所っぽくない。何やったって安定感だけはあるんだけど。 ■「第三夜」夢そのものだけでなく、漱石がその夢を書くところを入れることでオムニバスの一編に終わらない一本の作品として成り立たせている。この夢は元々清水崇監督と相性ぴったし。 ■「第四夜」えらいドラマチック。長く感じた。 ■「第五夜」スプラッターアクションだ。一番強烈な印象を残す。 ■「第六夜」みんな自分流に好き勝手にアレンジしまくってんだけど、ぶっ飛び具合が最も激しいのがコレ。だけど内容は最も忠実だったりする。ワロター! ■「第七夜」アーティスティックなアニメーション。このアーティスティックな部分が鼻につくかつかないかで好みが割れそう。 ■「第八夜」なっ、なんのこっちゃ!こんな話あったか?どえらく改変されてんだろうな。原作読み直したくなってきた。 ■「第九夜」前が前だけにものすごくふつう。ふつうなんだけどなんかやってくれそうなオーラが緒川たまきから発散されている。そこがミステリアス。 ■「第十夜」最後にこれかよ!くだらん!マンガチックにアレンジは全然かまわないがオフザケが過ぎる。  ◆<総評> 監督の順番変えて欲しい。 でもまあ、個性的な監督が一同に介する企画ものは好きです。甘甘の6点。
[DVD(邦画)] 6点(2009-07-24 19:33:54)
246.  クジラの島の少女 《ネタバレ》 
何人かの方が触れられていますが、私も『風の谷のナウシカ』を想起しました。伝説の再現という現象もさることながら画的にもそっくり。・・・伝統を守り続けるということは伝統を継承するということであり、伝統とは生活、習慣、行事、全てに伝統はあるわけで、族長は男でなければならないというのはその一部にすぎない。それでもそこに拘る族長はえらく保守的とも思えるが、必要以上に保守的にさせているのが欧米生活の急激な進出とその合理性が持つ力への警戒心なのだろう。男尊女卑的にも見える慣わしではあるが族長自身の孫にあたる主人公の少女に対する愛情の深さはそんじょそこらのおじいちゃんには負けない。この二人の関係が目立たず、しかししっかりと描かれているから少女がおじいちゃんの意思を継ぎたいと思い、無理を承知で懸命に族長を目指す展開に信憑性を持たせている。同時に作品の持つ小難しいメッセージ性よりも癒し系の色合いを濃くしていて好感が持てる。クライマックスのいわゆるナウシカなファンタジーは先進文明下では起こりえない現象としてアリだと思うし、美しい画づらともども感動的でもあったのだが、その後が駆け足にすぎる。ラストの画が映るまでに病院シーンのしんみりした余韻をもう少し味わいたかった。
[DVD(字幕)] 6点(2009-07-17 17:27:44)
247.  スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい 《ネタバレ》 
けっこう面白かったス。出てくる人間、どいつもこいつも主役になれそう、というか誰が主役かわからんのは確信犯か。誰もが映画の中で我を張りながら殺される駒としての可能性を秘めているのがこの映画の面白いところであり怖いところである。映画はそのことをまずベン・アフレックを使って宣言するのだ。あとはかっこいい女二人組に感情を移入させようが、非情な殺し屋が最後まで残るというお約束を信じようが、いやいやFBIもなかなか見せてくれるような展開だとか思ってみたところで、どこか疑わしくもあり、そしてやっぱり微妙に裏切ってくれるのである。漫画チックにすら見えるかっこいい構図も荒唐無稽なストーリーによく合っている。惜しむらくは狙われているご本人が影が薄く作品内の駒として一人だけ蚊帳の外にいること。それとオチ。カラクリはまあアレでよいとしてもダラダラと描きすぎ。
[DVD(字幕)] 6点(2009-07-09 14:23:30)(良:2票)
248.  HAZARD
眠い日本。眠れない日本。だからアメリカへ。だからニューヨークへ。危険な場所へ。園子温の思想が映像と化す。出てくるやつらはめちゃくちゃだ。めちゃくちゃすぎる。でもそこを突っ込むのはナンセンス。思想の映像化なんだから。「危険」を画面に残すためのニューヨークロケとハンディカメラ風の画像。全体的に光が乏しいのも長回しをするのもおそらくは現場からあふれ出ている「危険」を画面に残すためだろう。自由と引き換えに死の危険がそこにはある。というのがよく出ていると思う。ざらついた映像は映像そのものを暴力的に感じさせる。生きることを実感したいなら死を近くに置いとけばいい。若いなら無茶しろや!そういうことなんだと思うんだけど最後の日本のシーンはちょいとわかりやすすぎないか。でもこのシーンがあるから園子温の映画なんだよね。
[DVD(字幕)] 6点(2009-06-15 17:08:53)
249.  消されたヘッドライン 《ネタバレ》 
トニー・ギルロイ監督「デュプリシティ~」を観たのが本作鑑賞の前日だったせいか、本作の脚本家の一人にギルロイがいることを知らない時点でなんとなく似ているなあと思ったのだが、ストーリーも雰囲気もけして似てはおらず、ただ単に二転三転する展開と最後にドンとひっくり返す構成だけが似ているだけなのかもしれないが、どちらにしても比べてしまったわけで、比べて気になったのが本作の脇役陣の存在感の薄さである。とくに編集局長へレン・ミレンは勿体無い。キャスティングだけ見ると実に適材適所だと思うのだが、各キャラクターが実にステレオタイプであることもまた事実。ベテラン記者のやぼったさと現場主義。新人記者のはつらつさと正義感。編集局長の資本至上主義。最後のどんでん返しは予想できない。しかしそこに痛快さはない。ダースベイダーを倒すことに躍起になってたら倒すべきはハン・ソロだったみたいな。ちょっと違うか。巨大な組織を相手にした反体制のヒロイズム、ダンディズムがしぼんでゆく。それでも書く!というジャーナリスト魂な映画だったわけだが、このオチの部分だけ妙に安っぽいドラマになってる。
[映画館(字幕)] 6点(2009-06-08 16:09:31)(良:1票)
250.  ビジターQ
びっくらこいた。家族の体を成していない家庭に異物が混入することで化学変化が起こる。いわば『家族ゲーム』なんだけど、かなりエログロい。こんな映画ありかよ!とひたすらびっくらこくんだけども、エログロの過激さの大半は映画に必要だったものではなく、こんな映画ありかよと思わせるためだけにあるような気がしてならない。見てる間中頭に浮かぶのは、よくこんなの引き受けたなってこと。あるいはカット!の声のあとの役者たちの反応を想像したり。とにかく映画の外のことばかり気になってしまった。「うんこじゃねえか!!」には大爆笑したが。父親の問題は男としての自信を取り戻すことで解決し(むちゃくちゃな取り戻し方だが)、母親の問題は女であることの確認を得て解決し、子供たちの問題は親の問題をクリアしたことで解決する。たんまりとありすぎた諸問題は全て両親から派生していた。実に簡単な構図(むりやりに簡単にしている)がこのナンセンスエログロ映画をちょっとだけ哲学チックにしてみせている。ほんのちょっとだけ。
[DVD(邦画)] 6点(2009-06-03 16:38:31)
251.  自殺サークル
54人の女子高生たちが「いっせいのーせ!」と手を繋いで地下鉄に飛び込む。この壮絶な画を撮りたかっただけの映画、だったとしてもだからダメってことにはならない。映画は本来、見せたい画がまずあってそこから物語が作られるほうがいいに決まっている。見せたい画ができたから物語を変更するのだってアリだ。「物語」ありきの映画より「画」ありきの映画のほうが、、というより映画は「画」ありきでなきゃいけない。しかし園子温監督は実は「画」よりも「物語」よりも「思想や哲学」が先にある人なんじゃないかと思ってる。「思想」を表現する手段として「画」があり「物語」がある。作品自体が園子温なのだと言ってもいい。特に初期作品はその傾向が強いと思われる。で、集団飛び込み自殺のシーンだが、このシーンはやっぱり「画」が「思想」を超えている。「画」を見せることの魅力に負けているというか、それが映画作家のあるべき姿なんだろうけど、そのことで映画的であっても園子温的ではないように思った。というかこの人はこの後に「映画」と「園子温」が混ざり合った独自のワールドを作り上げるのだが、この作品はまだその混ざり合いを試行錯誤している段階の作品なんだと思う。いや、面白いのは面白かったんですけどね。でも続編はもっと面白いです。
[DVD(字幕)] 6点(2009-04-30 11:39:29)
252.  殺人の追憶
未解決の連続暴行殺人事件がことごとく韓国の歴史の闇とリンクする。ことごとくである。そして物語構成に一切の無駄が無く全てが全てにからんでゆく。北朝鮮の侵攻に対する灯火規制と共に起こる事件。当たり前のように行われる警察の拷問と軍事政権下の国家権力に対する国民の怒り。怒りは容疑者から証人へと変わった男を警察から遠ざけ、またある時はデモ行進によって機動隊の出動を邪魔する。どちらが犯人か判別できないある事件の容疑者と被害者の兄の写真。あるいは都会刑事を犯人と間違うエピソード。刑事の自信と確信をことごとく失墜させてゆく展開はまさに何を信用すればいいのかわからない時代を写し取っている。強引なやり口を批判する都会刑事もまた闇に翻弄され自らを失ってゆく。そしてトンネルの闇に同化するように消えてゆく容疑者は時代の闇そのものだったのか。排水溝を覗くことの繰り返しは十数年という月日の流れの中で闇の時代が過ぎ去ったことを提示する。このあまりの完璧さに感心しながらも完璧であることに少々の不満も感じる。そしてこの完璧な構成を分りやすくする大袈裟で過剰な語り口がどうも苦手だ。まあでもボン・ジュノは社会派をエンターテインメントに紛れ込ませて見せるのがうまい。
[DVD(字幕)] 6点(2009-04-20 16:55:31)(良:1票)
253.  宮廷画家ゴヤは見た 《ネタバレ》 
『アマデウス』のゴヤ・バージョンを想像してたら全然違った。ゴヤはいなくてもいいくらいの役回り。単にゴヤの生きていた時代のお話ってだけ。でもゴヤの描いた絵がこの時代を切り取っているからこそ生まれた作品なのだろう。宮廷画家だからこそ異端審問を免れたといえるような、人を悪魔に見立てたような風刺版画はまさに「宮廷画家ゴヤは見た」である。今の視点で見るからこの世界のイビツさが際立つのではなく、その時代を生きるゴヤの目にもはっきりとそのイビツさが映されていたというところにそのイビツさに真実味が加わる。教会は神の名の下に天使を裸に剥き腕がちぎれんばかりの拷問を行う。ゴヤは見た。美しい顔が歪む様を。正義はその都度変貌することを。人間があまりに弱く愚かなことを。見応えがあった。ゴヤのモデルとなった二人の男女が時代に大きく翻弄される展開はちょっとわかりやす過ぎる気もするしドラマチックに過ぎる気もするが、まあ娯楽映画としてこの異常な世界を見せるにはこれくらいのドラマを見せないといけないのかもしれない。
[映画館(字幕)] 6点(2009-04-07 16:44:03)(良:1票)
254.  みなさん、さようなら(2003) 《ネタバレ》 
原題「蛮族の侵入」。ローマ帝国は蛮族の侵入によって滅亡し、ヨーロッパ史は古代から中世へと移ることになる。。。主人公は社会主義者を公言する。息子は仕事が証券ディーラーというあからさまな資本主義代表。息子の、金に物言わせる強引な行動は、そのことをよりわかりやすく提示する。世界は社会主義が超資本主義という蛮族の侵入後、崩壊する。資本主義の象徴とも言えるツインタワーは反対にイスラム原理主義という蛮族の侵入によって倒壊する。人類の歴史は人殺しの歴史。ホロコーストすら霞む大量殺人の歴史。世界はその痛手を乗り越え新たな歴史を刻んでゆく。しかし個人は死んだらお終い。癌という蛮族の侵入にあった父はひたすら「生」を愛して死んでゆく。父と息子は主義や宗教を超えて繋がる。大量の死を刻む歴史の中でたったひとつの命の尊さが描かれた作品。
[DVD(字幕)] 6点(2009-03-26 17:43:55)(良:1票)
255.  善き人のためのソナタ 《ネタバレ》 
レーニンがベートーヴェンの「熱情ソナタ」に対し「これを聴くと革命が達成できない。この曲を本気で聴いた者は悪人になれない」と言ったというエピソードが紹介される。芸術家を監視する、国家に従属する男の心の変化の伏線となっている。冒頭の尋問シーンや講義シーンからもわかるように主人公はそんじょそこらのことで動揺するようなタイプではない。だから監視される男女の思いやりや苦悩を見たからといって国家に背くはずなどあり得ない。やっぱりそこには真の芸術家が奏でる「善き人のためのソナタ」を聴いてしまったがための変化ととらえていいのではないだろうか。本物の芸術に触れた者はその芸術を守ろうとする。あるいは本物の芸術に触れた者はその芸術を葬り去ろうとする者が許せない。芸術を理解する者としない者に線を引き理解する者の側に近寄ってゆく。しかしここで大きな不満がある。監視者は「善き人のためのソナタ」で涙を流すが監視者を監視する我々には響いてこない。ここはオリジナルもいいが既存のクラッシック曲でも良かったかもしれない。そして何よりも重要なのはその曲をまるごと聴かせることだ。『トウキョウソナタ』のように。『夜顔』のように。我々が本物の芸術を感じないことにはどうにもならないと思うのだが。
[DVD(字幕)] 6点(2009-03-25 13:34:19)(良:2票)
256.  雨あがる
この夫婦こそが理想の日本人夫婦。などと思われる人も多いのかもしれないが、私の場合はこの人の良さがどうもわざとらしく思えて仕方がなかった。いい子ぶりっ子。傍から見てもいい人にしか見えないのに、遠慮しがちな振る舞いがわざとらしく、正直うっとうしい。黒澤明の遺稿と聞いてこのわざとらしさに合点。まるで舞台劇なのだ。黒澤明が監督してたらおそらくもっともっと舞台劇風になってこのわざとらしさがかえって活きてくるのだと思う。でも小泉監督の優しく繊細なタッチは黒澤脚本を活かしきっていない。脚本を小泉監督の思うままに改変したほうが良かったように思う。それほどに画面からは黒澤監督には到底出せないであろう優しさが溢れていた。雨上がりの空気の美しさに気付ける人生は素晴らしい。という人生賛歌の映画。
[DVD(邦画)] 6点(2009-03-18 14:16:23)
257.  ロード・トゥ・パーディション 《ネタバレ》 
これは犯罪映画じゃなく紛れもないロードムービー。旅の中で息子は父の愛を感じ取ってゆく。父親が子供に愛情をカタチとして見せるのってこういった極限でないとなかなか難しい。父は息子の命を守ることと同時に生き様を見せる。一方の父親もまた組織より息子を選ぶのだがその息子は甘えと嫉妬心によって父を見ようとはせず、また父も愛情と生き様を見せることができなかった。両父親が対峙する雨の銃撃シーンが美しい。ちょいとキレイすぎて緊張と哀愁に欠けるところもあるんだけど。この両者もまた実ではないが親子の絆を持つ。「Perdition」というのは妻の姉の家がある場所の名前なのだが、「魂の喪失、地獄に落ちること」という意味もある。息子のために父親を殺す。 まさに息子のために地獄への道を選んだ男の物語。大人になった息子の言葉で始まりそして終わるという、つまりは回想の形式ををとってるんだけどそこが不満といえば不満。息子が父を理解し愛したことはラストシーンが示したとおりなのだから、言葉は邪魔なだけ。
[DVD(字幕)] 6点(2009-03-05 16:09:58)
258.  のんきな姉さん
現在と過去、さらには虚実が入り乱れてゆく構成が面白い。不思議とややこしいとは思わなかった。過去である墓参りの回想シーンから現在のはずの姉のいる会社と携帯電話で繋がる弟のいる雪原シーンに戻ると、現在のシーン全てが虚構にまみれて見えてくる。もしかして現在は精神世界、あるいは死後の世界だったりするのかもとか思った。現実味を帯びているのは過去の場面ばかりだ。過去の窓から射しこむ眩しいくらいの光に対して現在の二つの場所には光が無い。一見オフィスでのやり取りは現実的に見えるようだが、三浦友和のすっとぼけたキャラは別の意味で現実離れしている。何もかも、本当に何もかもお見通しの課長なんているはずないのだ。なかなか味わい深いこの映画の中で唯一にして決定的にダメだと思ったのがヒロイン。色気ない。顔がキャラと合ってない。演技がぎこちない。そしてなにより美しくない(美人じゃないってことじゃなく)。ハダカがないことからも全て意図的なのだろうけど。
[DVD(邦画)] 6点(2009-02-25 17:03:39)
259.  グラスハウス 《ネタバレ》 
これを見た当時、リーリー・ソビエスキーを知らなかった(今もよく知らないけど)ので着替えや水着シーンが出てきても「おお!あのリーリー・ソビエスキーが!!」とか思うこともなくかえってサスペンスを堪能できたような。身元引き受け夫婦がのっけから怪しさ満点で、もしやミスリードしているのかと裏の裏を読んで鑑賞したのに、そのまんまやんけ。これもまたミスリードかと思わせるという作戦だったのだろうか(違うよな)。それでも防犯スイッチの番号や車の運転シーンへの伏線が何気に無理なくされている点などはけっこう巧い。薬漬け、病院解雇、幼きリーリーと遊ぶ思い出のビデオテープ、そしてダイアン・レインの死と連なる流れも巧い。事故に見せた犯行がそのまま自分にかえってくる展開も巧い。着替え&水着シーンだって単なるサービスショットなんかじゃなく、その後の車内シートベルト事件から弁護士訪問、そしてそれに結果的に加担したメイド解雇による拘束感の増大へと繋がる伏線になっている。欲を言えば、ガラスで覆われた屋敷やプールの水の音が反響する仕組みなんかがサスペンスに加わってくれると完璧だったのだが。
[DVD(字幕)] 6点(2009-02-24 13:48:25)(良:1票)
260.  ポセイドン(2006)
誉高いオリジナルにあった、パニック映画にしては重厚にして濃厚な人間ドラマは一方でちょいと説教臭いというか暑苦しいというか、そんなところもあったのだが、このリメイク版はその暑苦しいところが全く無くすっきり見ることができる。オリジナルの贅肉をそぎ落とした作品。あまりに落としすぎて拍子抜けするくらいだ。だからオリジナルでは脱出劇の最中に一人また一人と命を落としてゆくというのはドラマを盛り上げるための必要なシーンでもあるのだが、すっきり簡潔を信条とする(?)リメイクで同じシチュエーションをやっても全く盛り上がらないのだ。なのに何故オリジナル同様の数人の脱出劇にしちゃったのだろう。迫力のCG映像を最大のウリにしていることは分かりきってるんだし、実際その部分は成功してるんだから、展開も大幅変更すればもっと面白かったかもしれない。全員でゾロゾロ脱出してドカドカ人が死んじゃう映画とか。
[DVD(字幕)] 6点(2009-01-21 14:35:59)
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