241. 告白(2010)
90年代以降日本で盛り上がりを見せた少年犯罪の凶悪化言説、それが反映された最末期の作品ですね。なぜか2010年代以降この手の作品が全然話題にならなくなった気がします。他に注目すべき問題が出てきて少年犯罪程度で騒ぐ時代ではなくなったのか、あるいは観客やクリエイターの世代交代が進んだおかげでしょうか。アメリカの銃乱射などは現役バリバリの題材なところを見ると実は大して現実を反映した深刻な問題でもなかったんでしょうね。松たか子が殺してやりたいというと教室が静まり返る場面は良かったですね、みんな先生の話を聞いていないように見えて実はちゃんと聞いているんですよね。法律があてにできないにしろ警察の存在を無視しなければ成り立たないような不自然な物語を構築するのはやめるべきだと思います。こんなしょーもない内容で罪と罰を持ち出すとか勘弁してください。 [インターネット(邦画)] 1点(2023-09-24 18:37:05) |
242. エージェント・マロリー
え…これはちょっと酷くないですか…。とにかくストーリーがさっぱり理解できない(笑)。場面が切り替わると時間や場所はとびとびでろくに説明すらされません。人物の掘り下げやエピソードの積み重ねなんかまるでする気もなく、他の映画とは違う作家性っぽいものを自己演出しようと必死なだけで何の意味もないじゃないですか。いや、怖ろしいことにそうですらなく純粋に下手なだけという可能性すらあります。ほんと素人が作ったみたいな映画でプロの仕事じゃないですよこんなの。まあ所詮アクション映画のストーリーなんてアクションの添え物でしかなくワンパターンなものでしかないのだからこれぐらい捻った方がまだ面白味があるという批評性はあるのかもしれませんが、こんな思想も美学も感じられない無意味にこねくり回しただけの作品に付き合うのは時間の無駄でしかないと思います。 [インターネット(字幕)] 1点(2023-09-07 22:50:58) |
243. サイコ・ゴアマン
しょーもない内容なのはわかりきっていましたが、まあやっぱりしょーもない映画です。確かに懐かしさも感じさせるおどろおどろしいパッケージには惹かれますが、本編はアクションはろくにないし特殊メイクもCGも大したことないので全然見応えはないです。80年代の低予算特撮へのオマージュなわけですが、くだらない安っぽいとされるそれらの作品の中には良質とされる人間ドラマではあまり触れられることのない文明批判や環境問題をテーマに据えた光る内容を持ったものもあります。安易にビジュアルイメージやチープな演出を真似るだけでなくそういう要素を拾い出そうとするのが本当の愛やリスペクトではないでしょうか。まあ今時それができる人間は権威ある賞からもまともに評価されるのでしょうけど。安っぽくとも真剣さが感じられない作品に真面目に付き合う気にはなれません。 [インターネット(字幕)] 1点(2023-07-26 23:49:02) |
244. 悪魔のいけにえ
私も中高生の頃に見た時はすごい映画だ芸術だ!と感動すら覚えたのですが、まあまともに内容も理解していないがゆえの評価ですね。撮影と音響はいいのですが、娯楽性が希薄な上に真剣に考察するようなテーマ性もないです。ナチスとかベトナムの暗喩ですらありません。今見直して見ると純然たる食肉産業従事者への差別煽動映画、というよりは差別意識を悪用したような映画ですかね。肉食批判ですらないですよね、不快感・嫌悪感を催すための演出に利用されているだけですから。日本では絶対に作るのが許される作品ではありません。車椅子の身体障害者もあからさまに笑いものにしている、影響という意味ではこっちの方がヤバいかもです。不快なものを描くことではなく不快に感じさせようとしていること自体が不快です。昔は絶叫や眼球アップのしつこい演出が良い…と思ってましたが、しつこいものはやっぱりしつこいだけでそれ以上の価値はないです。13日の金曜日って実はすごくまともな作品だったのかもと思えてきました。少なくともあの映画にはある程度ジェイソンへの同情心があります。 [インターネット(字幕)] 1点(2023-04-18 23:43:18) |
245. 1917 命をかけた伝令
数年前マーティン・スコセッシ監督がマーベル映画は映画ではなくテーマパークに過ぎないと評し話題になりましたが、その形容は何よりもこの映画にあてはまるものだと思います。戦場の映像には微塵も本当らしさがなく戦争ジオラマやゲームのプレイ映像を見ているかのようでもあります。1950年代の頃、フランスの映画界で大きな影響力を持ったアンドレ・バザンという批評家がいました。彼は長回しこそ映画においてリアリズムを追及する技法であると評価していました。全編ワンカットで撮られたかのように演出されたこの映画は、その単純で素朴な考え方が大きな間違いであることを証明するためだけに生み出されたとしか思えません。フィルムからデジタル撮影に変わったことで長回しは以前よりずっと容易になりました。そこにもう新規性などはないと思います。そもそも映画においてカットはなぜ必要なのでしょうか。答えは単純です、省略のためです。しかしその省略こそが映画を単なる見世物以上のものにしていると私は考えます。省略されるからこそ映されない・語られない何かを我々は想像します。そこにこそ真実性や象徴性というものは宿るのではないでしょうか。この映画には画面に映されたもの以外への想像力を刺激する部分がないのです。しかしラストのアルフレッド・H・メンデス上等兵に捧ぐという字幕にだけは感動を覚えました。そこには決して我々の目には見えなかった物語性を感じたからです。だからこそ本編がこのような語り方で良いとは思えないのです。 [インターネット(字幕)] 1点(2023-03-22 21:54:39)(良:1票) |
246. シン・ゴジラ
この映画の良いところはゴジラへの愛がないところです。愛なんてろくなもんじゃありません、くだらないこだわりでしかないです。既存の作品のイメージにこだわらずに震災のイメージを借用し現代的な作品として再構築することに成功しました。その上で言います、この映画の悪いところはゴジラへの愛がないところです。庵野秀明という人はエヴァンゲリオンというアニメーション作品においてキリスト教の要素をあちこちに散りばめておりましたが肝心のキリスト教がどういう思想かという点には全く興味を持っておりませんでした。あくまで表層的に言葉のカッコよさだけで引用していたわけです。この映画ではゴジラは日本神話に登場するヤマタノオロチになぞらえられております。しかしこれがまさに表層的にしか物事を理解していない人間の陥る誤りなのです。ゴジラは日本の作品である、ゴジラは神のごとき存在である→日本神話の中から何かを引用しよう→日本神話に出てくる怪獣といえばヤマタノオロチだ、こういう思考の流れだと推測します。しかしゴジラはヤマタノオロチではなく、むしろそれを退治したスサノオに近くはないでしょうか?高天原(≒東京)を荒らした後、地上に降りヤマタノオロチ(≒キングギドラ)を退治し英雄となるような存在なのです。スサノオのように複数の顔を併せ持つことがゴジラが愛されてきた理由ではないでしょうか。この映画はその点の解釈で致命的な誤りを犯しているためシリーズにおいて異端でしかあり得ません。そしてその方が一個の作品としては正しいとも言えます。 [インターネット(邦画)] 1点(2023-03-11 23:25:41)(良:1票) |
247. キッスで殺せ!
誰もまともに内容を理解できないおかげで傑作扱いされているという恐るべき映画。しかし好意的なこじつけなしではとてもじゃないが評価できる代物とは思えません。批評家の深読みをひとまず無視して純粋に作品内のみからまともに内容を読み取ろうとすると、神話の時代からパンドラのような愚かな女のせいで人類に不幸がもたらされた、核戦争の引き金を引くのも女だろうというオチ、男に従順だった女は生き延びられる、凄まじい女性蔑視作品である、こういう読み解き方も可能なわけです。原作が元々マッチョイズム全開の作品だったようなので全部が全部映画スタッフの責任とは言えないまでも、あのトランク関係は明らかに映画版で追加した要素ですからね。マンハッタン計画に台詞で言及しているだけでそれへの批判になるというのも無理があります、ただ煽情的なテーマを軽々しく扱ってるだけです。マッカーシズムへの批判だという監督の発言は後出しじゃんけんとしか思えません。当時はただ仕事で興味のない原作をいやいや映画化した結果珍妙なものが出来上がったというのが真相だったりはしないでしょうか。今は公開当時の米国での酷評こそ実は正しいのかもしれないという再々評価が必要な作品かもしれません。 [DVD(字幕)] 0点(2023-06-29 23:39:54) |
248. レクイエム・フォー・ドリーム
個人的には何が評価されてるのか全くわからない映画ナンバーワンです。えっ?内容これだけ?テレビの再現ドラマレベルじゃないですか?過食や薬物はいけません、人生を破滅させますとか学校の道徳の授業かよと。技法にこだわっている割に心理描写は全部台詞で説明しちゃいますし。その技法も時計じかけのオレンジやらブライアン・デ・パルマとか既視感ばかりで目新しさもありません。有名な音楽も感情的で大袈裟で作品から浮いてます。図式的な人物像にリアリティを感じないので全く暗い気持ちにすらなれません。社会の逸脱者を見世物にしているだけですよこんなの。ああでもかわいそうなおばあちゃんにはちょっと弱いかもしれない…。まあ日本は欧米に比べると薬物が社会問題としてほとんど目立たない国らしいので、それもこの映画に深刻さを感じられない一因かもしれません。 [インターネット(字幕)] 0点(2023-04-20 23:43:43) |
249. トップガン マーヴェリック
なんて夢のない映画でしょう。この映画が娯楽映画の王道と持ち上げられてるのは理解不能です。戦闘機マニアやトム・クルーズのファンが面白いというのはわかります。しかしふだん軍隊と関係ない生活を送っている人間がこの映画のどこに感情移入できるのかさっぱりわかりません。こんなものは懐古主義だ、所詮米軍のプロパガンダだ、ステレオタイプな人物像しか描かれていない、こういう批判を口にする人間がいてもいいと思いますので私が言います、それで救われる人間もいるでしょうから。昔のようにジェリー・ブラッカイマーの映画なんぞ真面目に語る価値がないとバカにするぐらいの余裕こそ必要です。今の時代に続編を作るべきなのはトップガンではなく7月4日に生まれての方である、このぐらいの皮肉は言わなきゃいけないのです。 [インターネット(字幕)] 0点(2023-03-31 23:07:29)(笑:1票) (良:3票) |
250. バビロン(2022)
監督デミアン・チャゼルは1985年生まれ、バック・トゥ・ザ・フューチャーが公開された年である。当然この映画で描かれた時代を実際に経験したわけではない。ファースト・マンのような映画ではあくまで客観的に史実の再現に注力していたから良かったものの、この映画はまるで死んだ人間の意見を勝手に代弁しているかのようである。そしてその意見すらもはや時代錯誤でしかない。劇中ブラッド・ピットの語る演劇に対する対抗心など果して今の映画関係者にどれだけ残っているのやら。映画はもう今では学も金もない人間の娯楽じゃない、既に芸術として認められており権威を振りかざす立場ですらある。もしそうでなければデミアン・チャゼル自身がこんな映画を作ることが許されたわけがない。それで出来上がったのは若者の年寄りごっこ、金持ちの貧乏人ごっこ、インテリの不良ごっこ。あるいは白人の黒人・メキシコ人ごっこ、男の女ごっこを加えてもいい。経験に裏打ちされていない捏造された思い出に何の価値があるというのだろう。愛国心はならず者の最後の砦というが、これでは映画愛も似たようなものである。 [映画館(字幕)] 0点(2023-03-04 22:19:40)(良:2票) |