Menu
 > レビュワー
 > ユーカラ さんの口コミ一覧。14ページ目
ユーカラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 936
性別
ブログのURL https://www.jtnews.jp/blog/24461/

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1234567891011121314151617181920
212223242526272829
投稿日付順1234567891011121314151617181920
212223242526272829
変更日付順1234567891011121314151617181920
212223242526272829
>> カレンダー表示
>> 通常表示
261.  007/スペクター 《ネタバレ》 
例によって、愛想の無いサム・メンデス。 その深刻ぶった語り口の割には、アクションは大ざっぱで物量頼みの旧態依然。 ヒロインの生命を守る、と誓ったはずのヒーローがいきなり雪山で彼女を巻き込みかねない無謀な突撃をやらかしてはまずくはないか。 列車での格闘にしてもアジトからの脱出にしても、盛り上がるべき箇所で盛り上がらないのは彼女を庇い、守りながら闘うというエモーションがアクションに欠如しているからでもあろう。オープニングのカメラからして技巧の披瀝にすぎず、カースタントを始めとするアクションは空虚なスペクタクルの羅列に留まっている。 二人のドラマにもう少し注力すれば、ラストの橋のシーンはもっと輝いたろうに。
[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2015-12-11 23:56:06)
262.  杉原千畝 スギハラチウネ 《ネタバレ》 
予告編から想像した通り、心理的表情と観念的ダイアログがくどい映画。 諜報のプロとしての側面や家族のドラマなど、内容をいろいろと欲張ったのも冗長さの原因の一つだろう。 その割に、帰国後の顛末はほとんど省略というのも物足りない。祖国からの迫害には極力触れないという配慮か。 外務省を追われて以降こそ、夫婦のドラマの見せどころではないか。  襖を介しての語りかけが二人の出会いのきっかけとなるが、そこでの一方向的な会話が 後の領事館での対話に活かされる形となる。であればその出会いの瞬間はもっと繊細に 映像で印象付けて欲しいし、 『ゴッドファーザー』もどきのダンスに時間を割くくらいなら、要である二千通のビザ発給を映画らしく肉体労働として描写しつつ、 それを支える妻の姿をこそ描いて欲しいところでもある。  ともあれ、エンディングの杉原一家の家族写真が最も感動的である。  戦後70年を主題とする今年の邦画も、残すところ山田洋次のみ。
[映画館(邦画)] 5点(2015-12-06 22:54:31)
263.  黄金のアデーレ 名画の帰還 《ネタバレ》 
現代パートでの資金難とか家庭不和といった障害はある程度台詞での処理に頼らざるを得ないだろう。  その辺りの淡白さを補うかのように、過去パートの脱出劇がサスペンスと緊張に溢れている。  裏路地で逃亡を通報する者。咄嗟に逃げ道を指示し、手助けする女性。通りの群衆の中で、追う者・追われる者・味方する者・妨害する者、 それぞれの視線が交錯し、スリリングなアクションを形作っている。 出国手続きの受け答えの中で、声を上ずらせながら懸命に機転を利かす若きヒロイン(タチアナ・マズラニー)の気丈さが心を打つ。  弁護士の弁論から大団円まで、クライマックスの調停シーンは裁判映画の型通りの流れだが、それで万々歳とはならない。 その次の場面に訪れる、過去と現在ふたりのヒロインの涙とそれぞれの抱擁が美しい。  その繋がり合いはヘレン・ミレンのチャームあってのもの。メリル・ストリープではこうはいかない。
[映画館(字幕)] 7点(2015-12-04 20:20:53)
264.  ガールズ&パンツァー 劇場版 《ネタバレ》 
キャラクターの絵柄も、声優の声音もまるで苦手。だが活劇として文句なく面白い。 誰が誰やらという感じの女性軍団が延々と賑やかなトークを繰り広げるが、それらは常にアクションを伴うから心地よい。 それはメカニックの擬人化ともなる。そして迷いのない決断と行動が一貫していて清々しい。 これはホークス的と云ってよいかもしれない。  ラスト近く、二台対三台となり科白がほとんど省かれてからの近接戦闘とぶつかり合いの素晴らしさ。 舞台装置や大道具を存分に駆使しふんだんに投入された戦術のアイデア。 斜面やコーナーでの遠心力や重力を活かしたアクションの物理性。重量と戦速の感覚。 映画ならではの市街破壊のカタルシス。 その過剰とも言えるサービス精神と、今のご時世でミリタリー趣味と街おこしの相性のデリケートさを踏まえた上で尚 ひたすら活劇性に徹してみせる作り手の心意気が感動させる。  全編通してカット数も多い分、大洗町内の背景画の数も膨大である。ランドマークだけでなく其処此処の路地までロケハンが尽くされているのがわかる。 単に街並みを絵で忠実に再現するだけならどうということもない。そのロケーション(地形・建築)をアクションにどう活かすか、がポイントなのだとよく心得られている。  「A級」気取りの作品が入れたがる冗長な後日談を一切カットした、この潔いB的感覚も嬉しい。
[映画館(邦画)] 8点(2015-11-26 23:55:55)
265.  劇場霊 《ネタバレ》 
冒頭で横たわる人形の艶かしい表情の造型など、フィルム撮影の感触や照明効果もあって押井守も大喜びしそうな生々しい物質感がある。 クライマックスで人間を追う動きやそのPOVショット、状況と顛末は『ターミネーター』も思わせる。 その追い詰められる感覚を出す上で、劇場の構造と舞台の空間はしっかり提示して欲しかったところだが。  口話での説明も多く、脅かし系BGMの連発も少々くどい。いつもならすぐにそれとわかる特長的な川井憲次サウンドも、 ラストの島崎遥香のショットに被るメロディーでようやく気付いた次第。 本来ならエンディングで余韻溢れる印象的なインストルメンタルを聞かせてくれるところなのに、 興ざめな歌曲が流れてきてしまうのは、例の企画担当の都合というやつか。  ヒロインの怯えの芝居は単調ながら、頑張ってよく絶叫している。
[映画館(邦画)] 4点(2015-11-22 19:01:01)
266.  レインツリーの国 《ネタバレ》 
『県庁おもてなし課』の監督だったことを忘れていた。 難聴と聾が違うのは承知するし、原作との絡みもあるだろうが、少なくともこれは映画なのだから、 手話までいかなくともせめて身体言語をもう少し活用して欲しいと思う。 作り手は『息子』や『風の歌が聴きたい』での俳優たちの感情表現力をよく見ろと。  男の側は、相手にわかりやすく伝えようという口話をまるでしていないし、 女の側は、相手によって筆談と口話を巧妙に使い分ける人物となっているから、共に好感度は上がらない。 ちょっと解らない事があれば、何でもかんでもお手軽にネット検索、、。 それを映画で見せるか。図鑑でも辞書でも取り出して、身体を使って愚直に手で頁を括れと。  ダラダラだらだらダラダラと画面にメール文字を並びたて良しとし、それをさらに(ヒロインに出会う前から)気色悪いアニメ声で延々と音読させるのだから 自堕落な阿りとしか言い様がない。その免罪符が「言葉を大事にする」だと。  携帯メディアという非映画的な小道具を多用するからには、それをどう映画的に活かすか。演出家が真剣に模索した形跡がまるでない。
[映画館(邦画)] 2点(2015-11-21 23:49:25)
267.  起終点駅 ターミナル 《ネタバレ》 
佐藤浩市は『愛を積む人』に続いての北海道・不器用男路線。 降旗康男と高倉健コンビ作のようなローカル・スタティック・ハートフル・ナルシズムに落ち着くにはまだ早かろうに。  めぼしいロケーションは佐藤の暮らす寂れた一軒家に釧路駅、そしてお馴染みの幣舞橋といったところでバリエーションに乏しい。 北海道ロケの割に画面は奥行きが浅く、縦の構図を意識したのは、振り返らずに駅舎へと去る本田翼とそれを 車から見送る佐藤のショットくらいだ。  料理の映画でもありながら、調理シーンは手許の接写と、佐藤の表情のアップをつなぐばかり。 彼本人が実演しているとわかるのは筋子をほぐすショットただ一つである。  ロケハンといい、調理シーンといい、かなりの省エネ映画だ。  これでは、料理はただ単に食の観光アピール、コマーシャルに過ぎない。 音楽なら演奏を、料理ならその調理を、俳優が実演してみせるその身体性こそ、美味しさを映画で伝える上で要となると思うが。
[映画館(邦画)] 4点(2015-11-15 13:55:27)
268.  リトルプリンス 星の王子さまと私 《ネタバレ》 
直線と四角形を中心に構成される、グレーを基調とした無機質な街。そこでは、生垣の緑までもが立方体である。 そこに越してきた少女が隣の老人宅を訪ねると、カラフルな円形のパラシュートが彼女を優しく包み込むシーンがまずは感動的だ。 『星の王子さま』の登場、そして少女の冒険が始まるとともに、放物線や円のイメージがさらに広がっていく。  原作パートはその挿絵のイメージを活かしたストップモーションアニメだが、これが何とも味わい深い。 風に揺れる草葉の動きが一本一本細やかに表現されていて、その手作り風の温もり感覚がCGパートとの対比でより際立っている。  大人の街のダークなムードやビッグアイズなどはティム・バートン風の趣だ。  少女が操縦桿を握る紅の翼が夜の街を飛ぶ。サン=テグジュペリのあの『夜間飛行』の世界がそこにある。
[試写会(吹替)] 7点(2015-11-12 23:32:57)
269.  エベレスト 3D 《ネタバレ》 
かつて本多勝一氏が指摘したマロリーの「because,it is there.」が相も変わらず劇中で「そこに山があるから」などと日本語訳されている。 これはエベレストの映画ではないのか。何故に最高峰エベレスト(it)に登るのか、を語らう会話のシーンで字幕は「山があるから。」 頓珍漢な翻訳センスに頭が痛くなる。 映画とは関係ないが。  『エベレスト3D』だが、望遠のパノラマショットの3D効果は案の定、実に薄い。飛び出す絵本レベルで、平板さこそが際立つ。 断崖からの俯瞰の数ショットのみに効果を発揮し、遠近感の失せる嵐のシーン以降は有害でしかない。 深度の浅く薄暗い屋内シーン、人物はアップ中心でその顔貌の凹凸ばかりを3Dで見せつけられても苦痛なだけである。  サテライト電話の用法・見せ方も巧くない。
[映画館(字幕)] 4点(2015-11-10 23:52:32)
270.  ミケランジェロ・プロジェクト 《ネタバレ》 
ノルマンディー、レマゲン、etc、、。CG処理であれ何であれ、戦争映画で馴染みの場所の見事な再現だけでも心ワクワクなのだが、 科白を大幅に削ってテンポよく描写される隊員集めのシーンからその軽快さに心が沸き、 アルデンヌの森の夜に響く、レコードの澄んだ歌声の清らかさに泣かされる。  女心をみせるケイト・ブランシェットに「I love my tie.」と返すマット・デイモンはまるで 『荒野の決闘』のラストのヘンリー・フォンダのようだ。  ブルージュの聖母子像をめぐるエピソードの中で、ヒュー・ボネヴィルが殉職する場面で逆光のジョージ・クルーニーが フラッシュ・フォワードで挿入される。トリッキーな印象の編集だが、それがクライマックスで岩塩鉱の中から眩い光の中に運び出される聖母子像と モニュメントマンたちのシルエットへ、さらにラストで教会の外へ歩み出る彼のシルエットへと変奏されていくことで、 スライドの映写でレクチャーする巻頭巻末のシーンとあわせて、光を巡るドラマとしても印象深い連携になっている。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2015-11-09 20:52:31)
271.  グラスホッパー 《ネタバレ》 
阪本善尚のカメラがいい。男たちの首筋を流れる汗が夏の暑苦しさを伝え、ふっと影が差していく屋内が人物の細やかな心情変化を伝える。 浅野忠信をはじめとする俳優たちの見栄えのよさも、その陰影を浮き立たせる撮影の素晴らしさゆえである。  尾行する生田斗真と、その対象である吉岡秀隆がホームであわや接近遭遇するショットの緊迫感。 囮として潜入した女性が手錠を外して凄腕を披露していくその凛々しい表情など、なかなかの見所である。  それぞれのドラマが絡んでいくうねりは淡白だし、 回想によるもたつき、案の定出てくるラストの種明かし説明などがやはり蛇足なのだが、 ラストの波留の笑顔で帳消しにしても良い。
[映画館(邦画)] 5点(2015-11-08 09:15:02)
272.  S -最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE 《ネタバレ》 
「この国のために」とかいう、あまり耳馴染みになりたくないイマドキなフレーズが押し付けがましく二回も三回も出てくる。 こういうところからもジワジワと慣らされていくわけか。簡単に括れば、御用映画。 『海猿』だの『図書館なんたら』だの、カワイイお兄さん、お姉さん達のソフトな外面で覆ったマッチョイズムが解りやすい。  そのヤサ男:向井らが乱打戦、ヒロイン新垣・綾野らが狙撃戦を担うわけだが、やはり狙撃のほうが映画と相性がいい。  ジャックされたバス内を狙う狙撃手の眼。ターゲットスコープ内の視点。揺れるヘリ内で銃身を安定させてのタンカー側との狙撃戦。その俯瞰ショット。 それら一撃一撃が重みを持つシーンが映画を引き締めている。  向井・オダギリが無駄に格闘するクライマックスの肉弾戦は、新垣が止めの一撃を狙うシーンの緊張の邪魔ですらある。
[映画館(邦画)] 4点(2015-11-06 22:58:10)
273.  サクラ花 -桜花最期の特攻- 《ネタバレ》 
夜の整備場内、夜の滑走路と先の見えない視界不良の場から続き、鹿児島から沖縄へと飛ぶ一式陸攻機内という限定空間を主たる舞台とすることで、 マクロな戦争スペクタクルを封じている。 沖縄まであと一時間半程度という台詞から、かなり実時間に近づけている事もわかる。  直前まで会話していた仲間が、突然の機銃音と共に血まみれになって即死する。 敵機に狙い撃ちされる度に機体に穴が空き、撃たれた隊員達は次々に身体から血を噴き出し、のたうつ。  低予算を逆手に取った風防外部の状況を示さない戦略は、より目前の戦場の惨状即ち人間が損壊し絶命していく痛みを際立たせている。  乗り合わせる隊員らの過去も多くは語られない。その事が一方ではサスペンスを生み、一方では桜花に乗り込み特攻していく十七歳の若者と 一式に残る若者の短いやりとりを感動的にする。  「ボタンの掛け違い」、「まさか時代がここまで急転するとは」といった科白の数々は今現在に向けられている。
[映画館(邦画)] 6点(2015-11-03 21:47:58)
274.  俺物語!! 《ネタバレ》 
カメラに正対しての顔芸のアップに頼りすぎ。カメラに向かってヒロイン微笑むの図も映画というよりもテレビコマーシャルのよう。 コミックのキャラクターが映画によって動きを得たというのに、アクションシーンも動感に乏しく硬直気味。 火事の中、棺桶を支えるシーンは状況の提示が絵解きとして不適格。意味を伝えるだけならフィルムコミックで十分である。 特にこの遊園地のシーンは演出全般の粗雑さが目立つ。おそらく原作エピソードの継ぎ接ぎだろうが、キャラの感情の流れが一貫していない。 永野芽郁が懸命に主人公のカッコ良さを訴える場面の人物配置が不適当。鈴木亮平は影となる位置に置くべき。 鈴木が永野にかけてやったブレザーの扱いが雑。汚れたブレザーを何故そのまま返させるのか。何故、それを抱きしめさせないのか。 永野の友人たちが鈴木を見直すのは「惚れそうになった」という科白ではなく、具体的なカットバック等による表情で示すべき。 といった具合である。  メインの恋愛ドラマもまたヒロインの作るスイーツのように大甘だが、ドラマの進行と共に脇役を含めた人物たちに次第に血が通っていくのがいい。 チョイ役であるパン屋、ケーキ店の店主たちがみせる人柄の良さ。彼らの言葉を介して伝わるヒロインの真情。 そんな細部もまたクライマックスを盛り上げる手助けをしている。  クレジットによるとロケ地は杜の都、仙台らしい。鈴木亮平が夕陽を見る高層階のベランダや校舎の屋上や、風が緑を揺らす橋と川の俯瞰ショットなど、 開放的で見晴らしの良い景観がところどころにあり、少女漫画のファンタジーと登場人物たちの清潔感とによく馴染む。  それだけに、ラストの告白シーンの橋は爽やかな快晴で撮って欲しかった。
[映画館(邦画)] 5点(2015-11-02 23:17:37)
275.  メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮 《ネタバレ》 
砂漠の荒野を超えてその先に聳える山を目指す。という西部劇的で魅力ある設定だが、これがあまりにもあっさり踏破してしまうので拍子抜けする。 どうやら2~3日で難なく麓まで着いてしまう程度の距離だったらしい。 ご都合主義こそ映画とはいえ、このシリーズでは所謂デストピアとその世界観が売りなのだろうから、その中でどのように食料を調達し、 水をどのように確保するかくらいの設定はせめて描写の中で提示して欲しい。子供相手とはいえ、申し訳程度に水筒一本で誤魔化そうとは虫が良すぎる。 一方では『マッドマックス』最新作があれだけ水の扱いを重視しているのに。 この時点で、まともに付き合う気はなくなる。  とりあえず、目先の危機また危機という小状況を繋げていくことで刹那的なサスペンスを持続させていくのは前作同様、ある意味簡単である。 その前提の部分で、もっともらしい嘘をついて欲しい。  腹も減らない、喉も乾かない、何百キロ歩いても疲れ知らずの若者達がどれだけの危機に陥ってもハラハラなどしようがない。  最近こればっかりといった感じの廃都市のCGスペクタクルを楽しむのみ。
[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2015-10-30 23:09:03)
276.  ダイバージェントNEO 《ネタバレ》 
この壁に囲まれたエリアに生きる人々という世界観。邦画でも洋画でも最近よく見かけるのは偶然か。 その舞台となるデストピアの細密な描写力がなかなかで、瓦礫混じりの都市の俯瞰などに眼を奪われる。  ヒロインの脳内イメージシーンであることを前提として展開されるビル崩壊やアクロバティックなアクションにサスペンスなど無いが、 その瓦解のスペクタクルで乗り切ってしまう。  そのイメージの中で、髪を切ったシェイリーン・ウッドリーがその澄んだ瞳と、凛とした美しい表情をみせる。  ロベルト・シュベンケ監督となって、120分を切ったのもいい。前作からの説明もそこそこにドラマは進むが、把握には困らない。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2015-10-25 20:31:40)
277.  わたしに会うまでの1600キロ 《ネタバレ》 
山上から誤って片方の靴を落としてしまったヒロインは、もう一足の靴も潔く放り投げる。 それを実際にシェリル・ストレイドが行ったかどうかはまったく問題でなく、何よりも映画の要請として投げる。  『ダラス・バイヤーズクラブ』は主人公が病に冒されつつも行動的に世界各地を飛び回る、何ともフットワークの軽い映画に思えたが、 こちらはフラッシュバックを交えながらの地道な歩行の映画だ。  出発の朝、荷物を詰め込んだバックパックを何とか背負おうと悶絶格闘するヒロイン。 その重みの感覚、テント設営の不慣れな手つき、旅と共に身体じゅうに出来た傷や痣などの描写が実に丹念である。  劇中で、森で出会った子供が歌いだす。その清らかな歌声が不思議に沁み入る。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-10-18 18:06:36)
278.  ジョン・ウィック 《ネタバレ》 
結末部一歩手前を巻頭に持ってくるのも、キアヌ・リーヴスの顔半分に影を落として二面化する照明設計もノワールスタイルの証。 全般に照度を落とした心象情景の中、主として人工の光が彼の相貌を染める。 摩天楼の夜景空撮に稲光、白銀に輝く雨の反射にネオンサインと、光と影を意識してドラマに組み込んでいる。  雨の波止場で決着を付けた彼が画面手前に歩み来ると同時に、その顔面を次第にシルエット化させて死を仄めかす。 そこで冒頭のショットへと回帰するが、瀕死の彼を生に呼び戻すのは亡き妻の声と、彼女を映した携帯端末の光であると。  打撃系と関節系を組み合わせた連続技のアクションを出来うる限り持続的な引きのフィクスショットで撮る。 桟敷部分からの垂直落下を、多人数掛けの銃撃とそのリアクションをワンショットで収める。  そうした意欲的なアクション演出も随所に光る。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-10-17 22:06:38)
279.  マイ・インターン 《ネタバレ》 
アン・ハサウェイがオフィス内を自転車で颯爽と駆け抜けるという折角の設定な訳だが、それがエクササイズの為でもあるという説明には余念がない割に 肝心な画面的な面白さになっていかないのがもどかしい。ただ単に独特なキャラクターであるとの意味付け以上のものが見いだせない。  中盤のメール誤送信騒ぎのエピソードも、ドラマ上の重要性は薄い訳だから何らかのアクション的盛り上がりを狙ってのものと思うが、 それならそれでもっとコミカルなドタバタを躍動的に見せて欲しい。  というわけで、もっとアクティブな演出をみせてくれれば嬉しいが、かわりにカッティングの小気味良さは其処此処で光っている。 物流倉庫でラッピングを指導するヒロインと、それを見守る紳士との切り返しショットのさりげない印象付け。 教会でのサイレント的なユーモアもいい。  衣装の映画だけにアン・ハサウェイもロバート・デ・ニーロもその着こなしが素晴らしく、ファッションが俳優の魅力をさらに引き立てている。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2015-10-15 23:37:14)
280.  バクマン。 《ネタバレ》 
漫画を題材として映画ならではの特性を活かすとするならば、要となるのは必然的に絵を描く行為の具体性、身体性という事になるだろう。 例えば、絵が姿を現していくキャンバスをそのまま捉えていくクルーゾーの『ピカソ』。 例えば文字を書く手と鉛筆の動きをアクションとして、表情として捉える柳町光男の『十九歳の地図』。  本作では、まず野蛮なまでに荒々しいペンの音が描き手の生々しい息吹を伝えてくる。 それだけで充分に格闘の具体的描写となっているのだから、ライバルとの格闘イメージシーンなどは逆に意味として概括してしまっているようで アクションが際立たないという転倒が起こっている。 入稿締切までのタイムリミットにも時間の具体的な提示が欲しい。  何しろ、逆光ショットの多用によってとにかく画面が暗いという印象がまず来るのだが、 学校の階段上、通路、病院のベッド際、暗い室内から見るテレビ画面内の上段と、 ヒロインの小松菜奈が特権的に光芒を放つという映画的な論拠もあるだろう。  『ゲゲゲの女房』に続いて、宮藤官九郎の漫画家像がいい。
[映画館(邦画)] 6点(2015-10-10 03:43:49)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS