261. ほつれる
《ネタバレ》 リアルさという点においては近年の日本映画の中でも随一。 不倫と離婚という内容を描いているので、とにかく雰囲気が暗い。 しかもその内容を徹頭徹尾リアルに描くので、居心地というか気分が優れない。 まるで負の一大イベントを体験している感じ。 体験したくもない嫌な人生のイベントを、否応なく体験させてくれる稀有な映画。 エグいぐらいにリアルに。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-03-24 21:38:26)(良:1票) |
262. ジキル博士とハイド氏(1931)
《ネタバレ》 科学を極め過ぎて神の領域を冒涜してしまった男の悲劇を、ホラータッチで描いた逸品。 何不自由ないモテる医者なのに、好奇心に突っ走ると破滅する。 私はそういう教訓話として理解した。 好奇心や探究心はほどほどにしておかないと、せっかくの幸せが消えてしまう。 今ある生活の中にこそ幸せはあるのだ。 いたずらに好奇心に身を委ねてはならない。 と、自分に言い聞かせる。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-03-23 20:53:54) |
263. マイム マイム
《ネタバレ》 終盤の音楽の使い方が実に独創的だ。 ダンスミュージックを爆音で流し続け、セリフはもはや聞き取れない。 とても印象的な演出だ。 これぞ映画っていう感じの魅力。 原作は既読だ、映画は脚本だ、そういった実にくだらない議論を吹き飛ばす、映画ならではの演出と魅力が炸裂。 セリフはもはや脇役でテンポの良い音楽が爆音で流れる。 実にいい。 主人公の女の子は結構かわいい。 それに比して、相手の男が特徴のない大学生で全く魅力がない。 二人が会話するシーンは何度も出てくるが、面白みは感じられない。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-03-15 19:48:17) |
264. 砕け散るところを見せてあげる
《ネタバレ》 UFOのくだりが理解できない。 意味が分からない。 猟奇的な父親役に堤真一は似合わない。 だけどこの映画良いところもある。 それは何だか唯一無二の変わった映画であること。 なんやかんやケチをつけながら見入っている自分がいた。 そして純愛ものだ、そこも好き。 しかし作品名のインパクトが凄いね。 砕け散るところを見せられちゃうのかよ。 すげー怖いわ。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-03-09 22:14:41) |
265. 生き残るヤツ
《ネタバレ》 ヤク中から抜け出すことのできない男。 舞台は70年台のニューヨーク。 青みがかったザラついた映像。 一度、ドロ沼にハマると抜け出せない生き地獄。 地獄だからこそいっときの快楽を求めて麻薬を求めむさぼる。 警察も卑怯な手を使う。 ヤク中を利用して大物を逮捕しようと画策する。 友人が死ぬ時のリアルさと怖さ。 どうしようもない虚しさの漂う哀しき名画。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-03-04 22:40:30) |
266. 夜、鳥たちが啼く
《ネタバレ》 なんか中途半端な関係だけど、居心地がいいしずっとこのままでいいかも。 ってなわけで、なかなかゆる〜くていい感じの日本映画だ。 この監督(脚本)はラブシーンがしつこいのであまり好みではないのだが、本作もそのシーンは健在。 中央線で通勤途中に見ていたが、急におっ始めたので周囲を気にしながらの鑑賞を余儀なくされた! 松本まりかって幸薄な女性を演じるとピタりとハマる。 女性としての魅力はまだあるけど、すいも甘いも知ってる感じ。 おばさんでもないけどピチピチでもない感じが絶妙にいい。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-02-28 20:17:40) |
267. 緋色の街/スカーレット・ストリート
《ネタバレ》 フリッツ・ラングとモノクロ映像と犯罪映画。 鉄板で面白い。 安定した面白さ。 下手に時間軸をずらしたりせず真っ向勝負で分かりやすいのも好み。 主人公のオッサンがこれまた絶妙に冴えないのがリアルすぎる。 「女で人生を棒に振る」を映像化した内容で、このオッサンが不幸になればなるほど何だかスッキリするのは、私の性格が捻くれているせいだろうか? 女に暴力を振るっていた彼氏が冤罪で死刑になったのに何故だか大して可哀想だと思えないのは、私の人格が歪んでいるせいだろうか? オッサンが女に求婚するが、キモいと拒否られるシーン。 それまでフレンドリーだったのに態度が急に冷たくなる。 女のこの変わり身よう…なんか経験あるよなぁ、酷いよなぁ。 オッサンがホテルで一人落ち込んでいる時、ホテルのネオンサインがひたすら点滅しているシーン。 虚しさが倍増する心憎い演出でとても気に入った。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-02-15 19:51:38) |
268. ハード・コア(2018)
《ネタバレ》 序盤の内容と雰囲気、これが山下敦弘ワールド全開で10点か9点つけちゃおうかな?!とか思いながら見ていた。 それが埋蔵金やらロボットやらが出てくる辺りから雲行きが怪しくなり、最後は置いてけぼりをくった。 それでも山下敦弘監督の描く世界観はわたしの好みのど真ん中だ。 現代の監督の中では山下敦弘監督が一番好きになった。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-02-13 19:16:33) |
269. ひらいて
《ネタバレ》 もっとすごい方向へ突っ走るかと思っていたら意外とまともな形で終わった。 女子高生の狂気の愛はこんなもんでいいのか? 物足りないぞ! [インターネット(邦画)] 7点(2024-01-16 22:57:04) |
270. あ・うん
《ネタバレ》 最後、高倉健は富司純子に思いを伝えようと雪の中、家を訪問したのではなかったのか? それが3人で酒を飲んで何事もなく終了。 雪の中の意を決した訪問はなんだったのか? 少しくらい気持ちを伝えようとするシーンがあったらともかく、何もないラストシーンに肩透かしをくらった感じ。 自分の好意を伝えないで我慢する、これぞ男の美学ということなのだろうが、気持ちを伝えようとしたけどグッと我慢をするシーンすらなかったのが物足りない。 だけど、すごく分かる話ではある。 好きな女性の幸せを願うからこそ、自分本位で好意を伝えたりせず、好意をそっと自分の胸の中にしまっておく。 これぞ高倉健、これぞ男の美学。 消化不良気味のラストシーンではあったが、高倉健の魅力は存分に出ていたので楽しむことはできた。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-01-14 20:49:35) |
271. プレイタイム(1967)
《ネタバレ》 唯一無二の細かすぎる凄い映画! 画面一杯にいたるところに小ネタが仕掛けられていて、おそらく気づかないまま過ぎていったシーンも多いことだろう。 モダンというものを究極的に細かく、そして完璧主義的に追い求めた映像の数々に溜め息が出た。 芸が細かすぎて見ていて息切れがするほどだ。 ジャック・タチの描く世界は、まるで夢の中のようだ。 とにかく天才的なセンス。 ドアガラス、窓ガラスの透明感が印象的。 そして出てくる数えきれない女性がすべてスカートを履いていて、美脚、特にふくらさぎを露出している。 とにかくふくらはぎ祭りなのだが、こんなことにもジャック・タチの完璧主義的なこだわりを感じる。 あれだけの数の女性が出てくるのに、一人たりともパンツルックの女性が居ないのだ。 かと言ってもう一度この作品を見たいかと言えば、はっきり言って見たくない。 画面広しと沢山の登場人物が何かヘンなことをしていて、それを集中力を切らさずに2時間見ていないといけないから、とにかく疲れるんだ。 だからもう見たくないんだよ。 やはり唯一無二のコメディ作品だ。 ジャック・タチ、特にこの作品はヤバい! [インターネット(字幕)] 7点(2024-01-08 22:04:09) |
272. 生きてるだけで、愛。
《ネタバレ》 なかなかメンタル重めの内容。 趣里はおかしな人ということで理解できるけど、そんな趣里と3年も付き合った菅田将暉を理解できない。 しかもあまり楽しそうでもないしね。 趣里の気持ちはすごい分かる。 生きてるだけで大変っていうやつ。 確かにこの世は生きてるだけで大変だ。 生きてるだけで、愛。というより生きてるだけで、大変。 [インターネット(邦画)] 7点(2023-11-24 21:42:21) |
273. 父、帰る
《ネタバレ》 父が穴を掘って掴み出した何かの箱、あれは何だったんだ?それがすごく気になる! 父は落下して事故で死んだ。 子供たちがその父の死体を、父自身が掘った穴に埋めてしまい、、そんな展開ならもっと面白かったかも。 事故が起きた島の付近には人の気配が全く感じられないのが、また寂しくて怖い雰囲気を増長していて良い。 しかし父親は何故帰ってきたのか? 何故にあそこまで暴力的で威圧的なのか。 あらゆる疑問が分からないまま終わり、もやもやが残る内容でもあった。 もうひと工夫あったら、もっと楽しめたのに。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-11-10 00:14:07) |
274. ノー・エスケープ 自由への国境
《ネタバレ》 これストーリーは無難に面白いんだけど、それ以上にロケーションがいい。 荒涼とした砂漠に切り立った岩山、無数に生えたサボテン。 特にあの根っこが絡まったサボテンの大群は初めて見たし、ストーリーにもうまく絡んでいた。 あれだけ無慈悲に殺しまくったオッサンが、最後に命乞いするのも愉快。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-11-04 20:11:38) |
275. her 世界でひとつの彼女
《ネタバレ》 OSと恋をする話ってので、キワモノなんじゃないかと警戒しながら見始めたものの、その世界観に途中からはまり意外と楽しめた。 最後の方でOSが起動しなくなり焦ったが、これも相手がOSならではの特性をうまく活かしている展開だと思う。 OSとの恋愛だからといって永遠に続くとはならず、最後は別れがあるのも、リアルな恋愛に近く面白い結びだ。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-10-29 11:11:05) |
276. バージニア・ウルフなんかこわくない
《ネタバレ》 夢と現実が混在した夫婦喧嘩に2時間付き合わされる。 でもその夫婦喧嘩はとてもパワフルで圧倒された。 登場人物の会話の中で、見ている誰しもが心当たりがあるであろうエピソードが幾つも出てくる。 これがまた居心地の悪い気分になる。 気分はすぐれないけど、なんだか物凄いものを見た気分にもなる。 二人の気合いの入った夫婦喧嘩に引き込まれ、退屈はしなかった。 見た後に健やかな気分になれないので評価は分かれるであろう作品。 私は案外好み。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-10-28 22:43:23) |
277. ラ・ポワント・クールト
《ネタバレ》 倦怠期を迎えた夫婦が夫の故郷を二人で散策するうちに、いつの間にやら仲直りをする。 そんな単純な話だが、何故だか面白い。 牧歌的な村の風景と素朴なモノクロ映像、そこに奇妙な音楽が混じり合うことによって、独特の味わいを生み出している。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-09-16 18:34:53) |
278. 君は永遠にそいつらより若い
《ネタバレ》 いろいろ生理的に合わない表現、登場人物が多いが、それでも嫌いになり切れない何かを感じる作品だ。 なんといっても奈緒の存在感がすごい。 見た目もかわいいけど、それ以上にそこ知れない癒しを感じる。 世の中の楽しい部分よりも辛く悲しい部分に焦点を当てているが故に、個人的には好みとは言い難い内容ではあるが、だがしかしこの世は楽しいことよりも辛いことの方が多いということを鑑みると、この作品はそういった厳しい現実から目を逸らさずに、そこに横たわる厳然たる現実を描いた、極めてリアルな日本映画なんだと思う。 おとぎ話みたいな夢みたいな面白おかしい話じゃないけど、ご都合主義なんかじゃ決してない、世のリアルを描いた作品として評価したい。 だけど、楽しい気分にはならない。 楽しい気分になりたい人は見ない方がよいかも。 ただただ厳しい現実を目の当たりにするだけだから。 [インターネット(邦画)] 7点(2023-08-31 22:56:29) |
279. 脱出(1944)
《ネタバレ》 ハンフリー・ボガートを今までかっこいいと思ったことはなかったのに、この作品でかっこいいと思えた。 それだけハンフリー・ボガートの魅力満載な作品だ。 ローレン・バコールも抜群の美しさ。 話の内容はぼちぼちといったところだが、この二人の魅力だけで満足度は高い。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-08-27 18:06:53)(良:1票) |
280. よだかの片想い
《ネタバレ》 目から鱗の話だった。 あれだけ目立つあざが顔にあるなら、誰でもそれに気づくわけで、そのあざをいじらないでスルーするのもかえって不自然かと思い、私ならそのあざのことをネタにするに違いない。 だけど最終的に良い仲になったのは、そのあざを「あってもなくても好き」と言っていた後輩であって、つまりはどんなに目立つコンプレックスがあったとしても、それを全く気にしない人こそが、コンプレックスを持つ人から一番好まれる存在なのかと。 自分に当てはめた場合、コンプレックスのことを気にしない人の方が、自分も嬉しいかもしれない。 それに気づけたから、この作品を見ることができて良かった。 それぞれの人がもつコンプレックスについて、その真実に迫るすごい作品なのかもしれない。 [インターネット(邦画)] 7点(2023-08-15 20:27:07)(良:1票) |